説明

パーキング機構付電動式ブレーキ装置

【課題】電動モータ6aを駆動源とし、この電動モータ6aへの通電停止後の状態であっても制動力を維持できるパーキング機構を備え、しかも、故障時に不用意にこのパーキング機構の為のロック装置が作動する事のない、比較的簡単で、小型且つ低コストで造れる構造を実現する。
【解決手段】パーキングロック装置5aを、前記電動モータ6aの出力軸15aに固定した回転側係合部材11aと、固定のケーシング31内に軸方向の変位のみ可能に支持した抑止側係合部材12aとにより構成する。この抑止側係合部材12aに、圧縮ばね13aにより、前記回転側係合部材から遠ざける方向の弾力を付与する。又、ソレノイド14aの通電時に前記抑止側係合部材12aを、前記回転側係合部材11aに向けて変位させ、回転側、抑止側、各係合突起18a、27a同士を係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動モータを駆動源として制動力を発生させ、しかも、この電動モータへの通電を停止した後も制動力を維持したままの状態にできる、パーキング機構付電動式ブレーキ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータを駆動源とする電動式ディスクブレーキ装置は、従来から広く実施されている油圧式のディスクブレーキ装置に比べて、配管が不要になり、製造の容易化、低コスト化を図れるだけでなく、用済のブレーキ液が生じず環境負荷が少ない、ブレーキ液の移動がない分応答性の向上を図れる等、多くの利点がある為、研究が進められている。又、パーキング機構のみを電動式とするディスクブレーキ装置も、油圧式ディスクブレーキ装置の信頼性を確保したまま、坂道発進時の制御が容易にできる等の理由により、研究が進められている。この様な電動式ディスクブレーキ装置として、電動モータの出力を増力機構に入力し、この増力機構により、この電動モータの回転運動を増力しつつ直線運動に変換し、一対のパッドをロータの両側面に強く押し付ける構造のものが、従来から各種提案されている。又、電動モータへの通電を停止した後も制動力を維持したままの状態にできる、パーキング機構付電動式ブレーキ装置も、例えば特許文献1〜3に記載される等により、従来から知られている。これら各特許文献に記載された発明は、何れも、それぞれが制動用摩擦部材である一対のパッドを、車輪と共に回転する、制動用回転体であるロータの軸方向両側面に押圧する、ディスクブレーキ装置を対象としている。
【0003】
この為、前記各特許文献に記載された何れのパーキング機構付電動式ブレーキ装置も、電動モータの出力軸の回転運動を直線運動に変換して前記両パッドを前記ロータに押圧する電動式押圧装置と、前記電動モータへの通電停止後にもこれら両パッドをこのロータに押し付けたままの状態に維持する為のパーキング用ロック装置とを備えている。このうちのパーキング用ロック装置には、前記電動モータへの通電停止後の状態でも、前記両パッドを前記ロータに押圧し続けられる機能が要求される。又、安全の為、故障時に不用意にパーキングロック装置が作動しない構造とする必要がある。
【0004】
電動モータへの通電停止後にも前記両パッドを前記ロータに押圧し続ける機能に就いては、前記各特許文献に記載された何れの発明もが備えてはいるが、何れも構造が複雑でコストが嵩む事が避けられない。又、故障時にパーキングロック装置が作動しない構造に関しては、特許文献1、2に記載された発明の構造は備えているが、特許文献3に記載された発明の構造は備えていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、電動モータを駆動源とし、この電動モータへの通電停止後の状態であっても制動力を維持できるパーキング機構を備え、しかも、故障時に不用意にこのパーキング機構の為のロック装置が作動する事のない、比較的簡単で、小型且つ低コストで造れる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置は、従来から知られているパーキング機構付電動式ブレーキ装置と同様に、制動用回転体と、支持部材と、制動用摩擦部材と、電動式押圧装置と、パーキング用ロック装置とを備える。
このうちの制動用回転体は、車輪と共に回転するもので、ディスクブレーキ装置を構成するロータ、又は、ドラムブレーキ装置を構成するドラムが相当する。
又、前記支持部材は、前記制動用回転体に隣接した状態で、回転しない部分に支持されたもので、ディスクブレーキ装置を構成するサポート(フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置の場合)或はキャリパ(対向ピストン型ディスクブレーキ装置の場合)、又は、ドラムブレーキ装置を構成するバックプレートが相当する。
又、前記制動用摩擦部材は、前記支持部材の一部に、前記制動用回転体の一部(ロータの軸方向両側面、ドラムの内周面)に対向した状態で、この制動用回転体に対する遠近動を可能に支持されている。
又、前記電動式押圧装置は、電動モータを駆動源とし、減速機を介して前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に近づく方向に移動させる。
更に、前記パーキング用ロック装置は、前記電動モータへの通電停止後にも、前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けたままの状態に維持する。
【0007】
特に、本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置に於いては、前記パーキングロック装置は、回転側係合部材と、抑止側係合部材と、弾性部材と、電動式のアクチュエータとを備える。
このうちの回転側係合部材は、前記電動モータへの通電に伴って回転する回転軸の一部に固定されたもので、この回転軸と同心の回転側係合面を有する。又、前記回転側係合部材には、前記電動式押圧装置により前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けて制動力を生じさせた状態で、この制動力の反作用に基づいて所定方向に回転しようとするトルクが付与される。
又、前記抑止側係合部材は、前記支持部材に直接又は他の部材を介して、前記回転側係合面に対し遠近動する方向の変位を可能に、前記回転軸を中心とする回転を阻止された状態で支持されたもので、先端部を前記回転側係合面と係脱可能な形状としている。そして、この回転側係合面の円周方向複数箇所に回転側係合突起を形成しており、これら各回転側係合突起の円周方向片側面を、前記抑止側係合部材の変位方向に対し傾斜した傾斜辺としている。更に、この傾斜辺を、前記弾性部材の弾力に基づく前記抑止側係合部材の移動方向に関して前方に向かう程、前記抑止側係合部材の先端部との係り代が大きくなる方向に傾斜させている。
又、前記弾性部材は、前記抑止側係合部材に対して、前記回転側係合部材から遠ざける方向の弾力を付与する。
更に、前記電動式のアクチュエータは、通電に基づき前記抑止側係合部材に対して、前記弾性部材の弾力に抗して前記回転側係合部材に近づく方向の力を付与する為のもので、例えば、直動式のソレノイド等を利用できる。
【0008】
上述の様な本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記回転側係合部材が固定される回転軸を、前記電動モータの出力軸とする。
又、上述の様な本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置を実施する場合の具体的構造として、例えば請求項3〜5に記載した発明の様な構造を採用できる。
【0009】
このうちの請求項3に記載した発明の構造の場合には、前記回転側係合面を、前記回転側係合部材の軸方向先端面として、この軸方向先端面に複数の回転側係合突起を、円周方向に関して等間隔に形成する。そして、これら各回転側係合突起の円周方向片側面を、それぞれ前記傾斜辺とする。
又、前記抑止側係合部材を、前記回転側係合部材と同心に配置して、この抑止側係合部材の軸方向先端面に、それぞれが前記先端部である、前記回転側係合突起と同数の抑止側係合突起を、円周方向に関して等間隔に形成する。そして、これら各抑止側突起の円周方向片側面で前記回転側、抑止側両係合部材が互いに近づいた状態で前記各傾斜辺と当接する面を、これら各傾斜辺と同方向に傾斜した第二の傾斜辺とする。
【0010】
又、請求項4に記載した発明の構造の場合には、前記回転側係合面を、前記回転側係合部材の外周面として、この外周面に複数の回転側係合突起を形成する。又、これら各回転側係合突起の円周方向片側面を、前記抑止側係合部材の変位方向に対し傾斜させる。尚、これら各回転側係合突起は、円周方向に関して等間隔に形成する事が好ましいが、必ずしも等間隔である必要はない。
又、前記抑止側係合部材を、前記回転側係合部材の周囲に配置すると共に、この回転側係合部材の径方向に変位可能とする。そして、前記回転側係合部材の径方向に関して内端側に存在する、前記抑止側係合部材を前記径方向に関して最も内端側に変位させた状態で、この抑止側係合部材の先端部と前記各回転側係合突起のうちの何れかの回転側係合突起の円周方向片側面とを係合させる。この為に、前記抑止側係合部材の先端部の円周方向片側面で前記各回転側係合突起の円周方向片側面と係合する面を、これら各回転側係合突起の円周方向片側面と同方向に傾斜させる。
【0011】
更に、請求項5に記載した発明の構造の場合には、前記回転側係合面を、前記回転側係合部材の外周面として、この外周面に複数の回転側係合突起を形成し、これら各回転側係合突起の円周方向片側面を、前記回転側係合部材の軸方向に対し傾斜させる。
又、前記抑止側係合部材を、前記回転側係合部材の外径寄り部分に配置して、この回転側係合部材の軸方向に変位可能とする。そして、前記抑止側係合部材の先端部をこの回転側係合部材の周囲に進入させた状態で、この抑止側係合部材の先端部と前記各回転側係合突起のうちの何れかの回転側係合突起の円周方向片側面とを係合させる。
【発明の効果】
【0012】
上述の様に構成する本発明のパーキング機構付電動式ブレーキ装置の作用は、次の通りである。
制動時には、電動式押圧装置を構成する電動モータに通電する事により、ブレーキパッド、ブレーキシュー等の制動用摩擦部材を、ロータ、ブレーキドラム等の制動用回転体に押し付けて、この制動用回転体と共に回転する車輪に対して制動力を加える。走行している車両を減速したり、更に停止させるサービスブレーキの作動時には、前記電動モータへの通電量を適切に規制して、前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付ける力を調節する。この様なサービスブレーキの作動時には、電動式のアクチュエータには通電せず、弾性部材の弾力に基づいて抑止側係合部材を、その先端部を回転側係合部材から退避させておく。従って、この抑止側係合部材が、前記電動式押圧装置の作動に影響を及ぼす事はない。
【0013】
又、車両を停止状態に維持する為のパーキングブレーキの作動時には、前記電動式押圧装置により前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けて制動力を発生させた状態で、前記アクチュエータに通電する。この通電に基づいて、前記抑止側係合部材が前記弾性部材の弾力に抗して変位し、この抑止側係合部材の先端部と、回転側係合部材の回転側係合突起とが、この回転側係合部材の回転方向に関して重畳する。言い換えれば、これら抑止側係合部材の先端部と回転側係合部材の回転側係合突起の傾斜辺とが、この回転側係合部材の回転に伴って係合可能な状態となる。
【0014】
そこで、前記アクチュエータに通電した状態のまま、前記電動式押圧装置を構成する電動モータへの通電を停止する。すると、前記制動力の反作用に基づいて前記回転側係合部材が所定方向に回転する傾向になり、前記抑止側係合部材の先端部と前記回転側係合部材の回転側係合突起の傾斜辺とが係合する。この状態で、前記アクチュエータへの通電を停止する。この状態で前記抑止側係合部材は、前記弾性部材の弾力に基づき、その先端部を前記回転側係合突起との係合を外す方向に変位する傾向になる。但し、前記傾斜辺は、この方向に関して前方に向かう程、前記抑止側係合部材の先端部との係り代が大きくなる方向に傾斜している。この為、前記弾性部材の弾力と前記傾斜辺の傾斜角度とを適切に規制する事により、前記アクチュエータへの通電を停止した後に於いても、前記抑止側係合部材の先端部と前記回転側係合部材の回転側係合突起とを係合させたままの状態に維持できる。
【0015】
この状態では、何れの部分にも通電する事なく、前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けたままにできる。言い換えれば、バッテリー等の電源を消耗する事なく、制動力を確保できる。
又、仮に前記アクチュエータに断線等の故障が発生した場合には、前記抑止側係合部材が、前記弾性部材の弾力により前記回転側係合部材から退避する方向に変位し、前記抑止側係合部材の先端部と前記回転側係合部材の回転側係合突起とが係合する事がなくなる。この為、前記アクチュエータの故障により、前記電動式押圧装置の作動が損なわれる事はない。言い換えれば、パーキングブレーキ用の部品である前記アクチュエータの故障により、サービスブレーキの作動が損なわれる事はない。
本発明は、前述の様に構成し、上述の様に作用する為、故障時に不用意にパーキング機構の為のロック装置が作動する事がなく、しかも、比較的簡単に構成できて、小型且つ低コストなパーキング機構付電動式ブレーキ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す模式図。
【図2】パーキングブレーキの為のロック装置部分を示す、図1のイ部に相当する模式図。
【図3】より具体的な構造を示す、図2のロ部に相当する断面図。
【図4】図3のハ−ハ断面図。
【図5】回転側、抑止側両係合部材を、非係合状態(A)と係合状態(B)とで示す側面図。
【図6】より具体化した、本発明の実施の形態の第2例を示す断面図で、左下部は図7のニ−ニ断面を、右上部は同ホ−ホ断面を、それぞれ表している。
【図7】一部を省略して示す、図6のヘ−ヘ断面図。
【図8】図7の上方から見た図。
【図9】図6のト部拡大図。
【図10】図9のチ−チ断面図。
【図11】増力機構及び軸力センサを組み合わせたユニットを取り出して、キャリパに組み付けた状態で示す断面図(A)及び組み付ける以前の状態で示す断面図(B)。
【図12】本発明の実施の形態の第3例を示す、図2のリ−リ視図に相当する図。
【図13】同第4例を示す、図12同様の図。
【図14】図13のヌ矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施の形態の第1例]
図1〜5は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の構造は、本発明を、フローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置に適用した場合に就いて示している。この為に本例のパーキング機構付電動式ブレーキ装置は、制動用回転体であるロータ1と、支持部材であるサポート(図示省略)と、それぞれが制動用摩擦部材である、インナパッド2及びアウタパッド3と、電動式押圧装置4と、パーキング用ロック装置5とを備える。このうちのロータ1は、図示しない車輪と同心に固定されて、この車輪と共に回転する。又、前記サポートは、前記ロータ1の円周方向の一部を跨ぐ状態で、このロータ1に隣接して設けられ、懸架装置を構成するナックル等の、回転しない部分に支持固定される。この様なフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置を構成するサポートの構造及び機能に就いては、従来から一般的に実施されている油圧式のディスクブレーキ装置で周知である事は勿論、電動式ディスクブレーキ装置に関しても、特許文献4等、多くの文献に記載されていて周知であるから、図示並びに説明は省略する。又、前記インナ、アウタ両パッド2、3は、前記サポートの一部で前記ロータ1の円周方向の一部を軸方向両側から挟む部分に、このロータ1の軸方向両側面に対向した状態で、このロータ1に対する遠近動を可能に、即ち、このロータ1の軸方向の変位を可能に支持されている。
【0018】
又、前記電動式押圧装置4は、駆動源である電動モータ6と、歯車式減速機の如き、動力の伝達方向に関して可逆性を有する減速機7と、ボール螺子機構の如き、回転運動を直線運動に変換する推力発生機構8とを備えたもので、キャリパ9内に設置されている。又、このキャリパ9は前記サポートに対し、前記ロータ1の軸方向の変位を可能に支持されている。本例の場合に前記推力発生機構8は、前記インナパッド2を前記ロータ1のインナ側面に押し付ける様にしている。この推力発生機構8に関しても、力の伝達方向に関して、可逆性を持たせている。そして、この押し付けの反作用として前記キャリパ9が前記サポートに対してインナ側に変位し、このキャリパ9のアウタ側端部に設けたキャリパ爪10が前記アウタパッド3を、前記ロータ1のアウタ側面に押し付ける。この状態でこのロータ1が、このアウタパッド3と前記インナパッド2とで軸方向両側から強く挟持され、制動が行われる。
【0019】
更に、前記パーキング用ロック装置5は、前記電動モータ6への通電停止後にも、前記インナ、アウタ両パッド2、3を前記ロータ1の軸方向両側面に押し付けたままの状態に維持する為に設けている。この様な役目を持つ、前記パーキングロック装置5は、回転側係合部材11と、抑止側係合部材12と、弾性部材であるコイル式の圧縮ばね13と、電動式のアクチュエータであるソレノイド14とを備える。
【0020】
このうちの回転側係合部材11は、前記電動モータ6の出力軸15の先端部に、前記減速機7を構成する減速小歯車16と共に固定している。この様な回転側係合部材11の先端面(前記電動モータ6の本体部分と反対側の面)の外径寄り部分は、前記出力軸15と同心の回転側係合面17としている。本例の場合、この回転側係合面17の円周方向に関する形状を、円周方向に関して非対称な(波の頂部が円周方向に関して一方に偏った)波形としている。即ち、前記回転側係合部材11の先端面の外径寄り部分に複数の回転側係合突起18、18を、円周方向に関して等間隔に形成して、前記回転側係合面17としている。これら各回転側係合突起18、18は、それぞれ頂角が鋭角である三角形状で、基部から頂部に向かうに従って円周方向に関して同じ側に向かう方向に傾斜している。この為、前記各回転側係合突起18、18の円周方向両側面は、何れも前記出力軸15の軸方向に対し傾斜している。
【0021】
これら各回転側係合突起18、18の円周方向両側面のうち、軸方向に関して前記回転側係合部材11の基端側に向いた面である円周方向片側面を、それぞれ傾斜辺19、19としている。前記減速小歯車16を含む前記減速機7、並びに、前記推力発生機構8は、前述の様に、動力若しくは力の伝達方向に関して可逆性を有する。この可逆性の為に前記回転側係合部材11は、前記インナ、アウタ両パッド2、3を前記ロータ1の軸方向両側面に押し付けて制動力を生じさせた状態で、この制動力の反作用に基づいて所定方向に回転しようとするトルクが付与される。このトルクの作用方向は、前記各回転側係合突起18、18の頂部が回転方向前側に位置する方向、言い変えれば、前記各傾斜片19、19が回転方向に関して前側面となる方向としている。
【0022】
又、前記抑止側係合部材12及び前記ソレノイド14は、前記キャリパ9の内部に固定している。この為に、このキャリパ9の内面に、円環状に構成した前記ソレノイド14と、前記抑止側係合部材12を支持する為のホルダ20とを、前記キャリパ9の内面側から重ね合わせる状態で、複数本(図示の例では3本)の取付ボルト21、21により固定している。前記抑止側係合部材12は、先端部に大径の頭部22を、中間部乃至基端部に小径の杆部23を、それぞれ有する。この様な抑止側係合部材12の材料は、金属、合成樹脂等、十分な強度及び剛性を確保できる限り問わない。但し、非磁性材製とする場合には、少なくとも一部に磁性材を固定して、前記ソレノイド14により前記抑止側係合部材12を軸方向に変位させられる様にする。この様な抑止側係合部材12のうちの頭部22の外周面は、円周方向の一部に平坦部24を有する、非円筒面としている。そして、この様な頭部22を、前記ホルダ20の保持孔25に内嵌している。この保持孔25の内周面に関しても、円周方向の一部に平坦部26を有する非円筒面としている。前記頭部22は、この平坦部26と前記平坦部24との係合に基づいて回転を阻止された状態で、前記ホルダ20の内側に、前記回転側係合面17に対し遠近動する方向、即ち、前記出力軸15の軸方向の変位を可能に支持している。
【0023】
この様な抑止側係合部材12のうち、前記頭部22の先端面の外径寄り部分の形状を、前記回転側係合面17と係脱可能な形状としている。即ち、この頭部22の先端面の外径寄り部分に、前記回転側係合部材11の先端面の回転側係合突起18、18と同数の抑止側係合突起27、27を、円周方向に関して等間隔に形成している。これら各抑止側係合突起27、27は、前記各回転側係合突起18、18と同様に、それぞれ頂角が鋭角である三角形状で、基部から頂部に向かうに従って円周方向に関して同じ側に向かう方向に傾斜している。この為、前記各抑止側係合突起27、27の円周方向両側面は、何れも前記抑止側係合部材12の軸方向(出力軸15の軸方向)に対し傾斜している。但し、前記各抑止側係合突起27、27の円周方向両側面が傾斜している方向は、前記各回転側係合突起18、18とは逆方向としている。そして、前記各抑止側係合突起27、27の円周方向片側面で前記回転側、抑止側両係合部材11、12同士が互いに近づいた状態で、このうちの回転側係合部材11側の前記各傾斜辺19、19と当接する面を、これら各傾斜辺19、19と同方向に、略同じ角度θだけ傾斜した、第二の傾斜辺28、28としている。
【0024】
要するに、前記回転側係合部材11側の各傾斜辺19、19と、前記抑止側係合部材12側の各第二の傾斜辺28、28とを、前記各回転側係合突起18、18と前記各抑止側係合突起27、27との先端に向う程、これら各係合突起18、27同士の係り代(前記各傾斜辺19、28同士を当接させた状態で、これら各回転側係合突起18、27同士が軸方向に重畳する寸法)が大きくなる方向に傾斜させている。
【0025】
上述の様な抑止側係合部材12には、前記圧縮ばね13により、前記回転側係合部材11から離れる方向の弾力を付与し、前記ソレノイド14により、この弾力に抗して(この弾力よりも大きな力で)この回転側静止部材11に近付けられる様にしている。即ち、前記ソレノイド14のON・OFFにより、前記抑止側係合部材12を軸方向に往復移動可能としている。但し、前記圧縮ばね13の弾力は、前記制動力の反力に基づいて前記回転側係合部材11に加わるトルクにより、前記各傾斜辺19、28同士が当接した状態では、前記抑止側係合部材12が前記回転側係合部材11から離れる方向に変位しない程度の小さな値に止めている。具体的には、前記反力に基づいて前記回転側係合部材11に加わる接線方向の力の大きさをFとし、この力の作用方向に対する前記各傾斜辺19、28の傾斜角度をθとし、これら各傾斜辺19、29の当接部の摩擦係数をμとし、前記圧縮ばね13の弾力の大きさをWとした場合に、F>W・(tanθ−μ)/(1+μ・tanθ)を満たすべく、この弾力の大きさW、前記傾斜角度θ等を規制する。
【0026】
上述の様に構成する本例のパーキング機構付電動式ブレーキ装置による制動時には、前記電動モータ6に通電する事により、前記推力発生機構8を伸張させ、前記インナパッド2を前記ロータ1のインナ側面に押し付ける。これと共に、前記キャリパ9をインナ側に変位させて、前記キャリパ爪10により前記アウタパッド3を前記ロータ1のアウタ側面に押し付ける。そして、これら両パッド2、3によりこのロータ1を両側から強く挟持して、このロータ1と共に回転する車輪に対して制動力を加える。制動力の大きさは、前記電動モータ6への通電量を規制して、前記出力軸15から前記減速機7を介して前記推力発生機構8に入力するトルクを調節する事により調節する。この様なサービスブレーキの作動時には、前記ソレノイド14には通電せず、前記圧縮ばね13の弾力に基づいて前記抑止側係合部材12を、図5の(A)に示す様に、その先端部を前記回転側係合部材11から退避させておく。従って、前記抑止側係合部材12が、前記電動モータ6を含む電動式押圧装置4の作動に影響を及ぼす事はない。
【0027】
又、車両を停止状態に維持する為のパーキングブレーキの作動時には、前記電動式押圧装置4により前記インナ、アウタ両パッド2、3を前記ロータ1の両側面に押し付けて制動力を発生させた状態で、前記ソレノイド14に通電する(ONする)。この通電に基づいて、前記抑止側係合部材12が前記圧縮ばね13の弾力に抗して、前記回転側係合部材11に近付く方向に変位する。そして、前記抑止側係合部材12の先端面から軸方向に突出した前記各抑止側係合突起27、27と、前記回転側係合部材11の先端面から軸方向に突出した前記各回転側係合突起18、18とが、この回転側係合部材11の回転方向に関して重畳する。言い換えれば、前記各抑止側係合突起27、27の先端部が、円周方向に隣り合う前記各回転側係合突起18、18同士の間に進入し、これら各抑止側係合突起27、27の第二の傾斜辺28、28と、前記回転側係合部材11の回転側係合突起18、18の傾斜辺19、19とが、この回転側係合部材11の回転に伴って係合可能な状態となる。
【0028】
そこで、前記ソレノイド14に通電した状態のまま、前記電動式押圧装置4を構成する電動モータ6への通電を停止する。この電動モータ6の出力軸15の回転に基づいて、前記インナ、アウタ両パッド2、3を前記ロータ1の両側面に押圧して制動力を発生させる為の、前記推力発生機構8及び前記減速機7は、前述の様に、力の伝達に関して可逆性を有するものであるから、前記電動モータ6への通電を停止した状態では、前記制動力の反作用に基づいて前記回転側係合部材11が所定方向に回転する傾向になる。この状態では前記抑止側係合部材12に、前記ソレノイド14により、前記回転側係合部材11に向かう方向の力が付与されている為、この回転側係合部材11が少しだけ回転した状態で、図5の(B)に示す様に、各抑止側係合突起27、27の第二の傾斜辺28、28と、前記回転側係合部材11の回転側係合突起18、18の傾斜辺19、19とが係合する。
【0029】
この状態で、この回転側係合部材11がそれ以上、前記制動力を低下させる方向に回転する事はなくなる。前記各傾斜辺28、19同士が係合するまでに前記回転側係合部材11が回転する量(角度)は僅かであり、しかも、この回転側係合部材11と前記両パッド2、3との間には、大きな増力比(減速比)を有する、前記減速機7及び推力発生機構8が存在する。従って、前記各傾斜辺28、19同士が係合するまで、前記回転側係合部材11が回転する事に伴う、前記制動力の低下は、殆ど無視できる程度の僅かなものである。そこで、図5の(B)に示す様に、前記各傾斜辺28、19同士が係合した状態で、前記ソレノイド14への通電を停止する(OFFする)。
【0030】
この様にソレノイド14をOFFした状態で前記抑止側係合部材12は、前記圧縮ばね13の弾力に基づき、前記回転側係合部材11から退避する傾向になる。言い換えれば、特に抵抗がなければ、図5の(A)に示す様に、前記回転側係合部材11の先端面の回転側係合突起18、18と、前記抑止側係合部材12の先端面の抑止側係合突起27、27との係合が外れる傾向になる。但し、前記各傾斜辺28、19は、これら各回転側係合突起18、27が外れる方向に変位する程、前記各係合突起18、27同士の係り代が大きくなる方向に傾斜している。又、前記圧縮ばね13の弾力や前記各傾斜辺28、19の傾斜角度θ等を、前述の様に適切に規制している。従って、前記ソレノイド14をOFFした後に於いても、前記各係合突起18、27同士を係合させたままの状態に維持できる。尚、前記各傾斜辺28、19同士が係合した状態で、前記各抑止側係合突起27、27と前記回転側係合突起18、18とには、制動力に基づく反力により、前記両係合部材11、12の回転方向の力が加わる。但し、この力に関しても、前記大きな増力比の分だけ小さくなる(摩擦を無視しても、前記反力をこの増力比で除した、小さな値になる)為、上記各係合突起27、18の強度を特に大きくしなくても、十分な耐久性を確保できる。
【0031】
上述の様に、前記各傾斜辺28、19同士を係合させた状態では、何れの部分にも通電する事なく、前記インナ、アウタ両パッド2、3を前記ロータ1の軸方向両側面に押し付けたままにできる為、バッテリー等の電源を消耗する事なく、制動力を確保できる。
パーキングブレーキの作動を解除する為には、前記電動モータ6に通電する事より前記回転側係合部材11を、制動力を高める方向に僅かに回転させる。この際、前記ソレノイド14はOFFのままとしておく。そして、前記各係合突起18、27同士の係り代が喪失する(これら各係合突起18、27の先端同士が軸方向に重畳しない状態に)まで、前記回転側係合部材11を回動させる。すると、前記抑止側係合部材12が、前記圧縮ばね13の弾力に基づいて前記回転側係合部材11から退避し、前記各係合突起18、28同士の係合が外れて、前記回転側係合部材11が回転可能となり、前記両パッド2、3を前記ロータ1の軸方向両側面に押し付けていた力が喪失する。
【0032】
又、仮に前記ソレノイド14に断線等の故障が発生した場合には、前記抑止側係合部材12が、前記圧縮ばね13の弾力により前記回転側係合部材11から退避する方向に変位し、前記各係合突起18、27同士が係合する事がなくなる。この為、前記ソレノイド14の故障により、前記電動式押圧装置4の作動が損なわれる事はなく、パーキングブレーキ用の部品である前記ソレノイド14の故障により、サービスブレーキの作動が損なわれる事はない。
この為、故障時に不用意にパーキング機構の為のロック装置が作動する事がなく、しかも、比較的簡単に構成できて、小型且つ低コストなパーキング機構付電動式ブレーキ装置を実現できる。
【0033】
[実施の形態の第2例]
図6〜11は、請求項1〜3に対応する、より具体化した、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合も、本発明をフローティングキャリパ型ディスクブレーキ装置に適用した場合に就いて示している。この為に本例の場合には、電動式押圧装置4aを構成する、電動モータ6aと、減速機7aと、推力発生装置8aとをキャリパ9aに組み付け、更にこのキャリパ9aを図示しないサポートに対し、ロータ1aの軸方向(図6の左右方向)の変位を可能に支持している。又、本例の場合には、前記推力発生装置8aを、送りねじ機構29とボール・ランプ機構30との組み合わせにより構成している。この様な推力発生装置8aの構造及び作用は、基本的には、特許文献5に記載された従来構造と同様である。但し、本発明を実施する場合、推力発生機構8aは、図示の様な送りねじ機構29とボール・ランプ機構30とを組み合わせた構造や、上述した実施の形態の第1例の様なボールねじ機構に限らず、カム・ローラ機構等、回転方向の力を増力しつつ軸力に変換する、各種機械的な増力機構を採用できる。
【0034】
本例の場合には、前記電動モータ6aと、前記減速機7aと、パーキングロック装置5aとを、前記キャリパ9aに固定したケーシング31内に収納している。又、前記電動モータ6aの出力軸15aの先端部に回転側係合部材11aと減速小歯車16aとを、この出力軸15aの先端側から順に、互いに同心に外嵌固定し(スプライン係合させ)ている。このうちの回転側係合部材11aの先端面(図6、9の右端面)に、回転側係合突起18a、18aを形成している。これら各回転側係合突起18a、18aの形状に関しては、前述した実施の形態の第1例の回転側係合部材11の回転側係合突起18、18(例えば図5参照)と同様である。又、前記減速機7aは、前記減速小歯車16aと、前記推力発生機構8aの中心部に設けた駆動スピンドル32の基端部に外嵌固定した減速大歯車33との間に、図7に示す様に複数個の歯車を配置する事により、前記出力軸15aの回転を、増力(トルクを増大)して、前記駆動スピンドル32に伝達し、この駆動スピンドル32を大きなトルクで回転駆動する様にしている。
【0035】
前記推力発生機構8aを構成する為に、前記駆動スピンドル32の軸方向中間部に外向フランジ状の鍔部34を形成し、この鍔部34のインナ側面をスラスト転がり軸受35により支承している。この構成により前記駆動スピンドル32を、インナ側に向いたスラスト荷重を支承しつつ、回転駆動自在としている。又、本例の場合には、前記鍔部34と前記スラスト転がり軸受35とを、軸力センサ36、及び、波板ばね、圧縮コイルばね、ゴム等、軸方向に関して弾性変形自在な弾性部材37と共に、ケースユニット38内に収納している。このケースユニット38は、インナ側ケース39とアウタ側ケース40とを組み合わせて成る。このケースユニット38は、これらインナ側、アウタ側両ケース39、40を、軸方向に関する若干の相対変位を可能に、且つ、非分離に組み合わせて成る。
【0036】
このうちのインナ側ケース39は、中心部に円形の通孔41を有する円輪形の底板部42の外周縁からアウタ側に向け、円筒状の固定側周壁部43を設けている。この固定側周壁部43の基半寄り部分(インナ寄り部分)の円周方向1箇所位置に、前記軸力センサ36の測定信号を取り出すコネクタ44の端部を露出させる為の取り出し孔45を形成している。又、前記固定側周壁部43の先半寄り部分(アウタ寄り部分)の円周方向複数箇所(例えば、円周方向等間隔の2〜3箇所位置)に、軸方向に長い係止孔46、46を形成している。尚、前記コネクタ44の端部を露出させる為の構造は、前記取り出し孔45に代えて、前記固定側周壁部43の先端縁(アウタ側端縁)に開口する切り欠きとしても良い。但し、この場合には、この切り欠きと前記各係止孔46、46との円周方向に関する位相をずらせる(円周方向に隣り合う係止孔46、46同士の間に切り欠きを設ける)。
【0037】
一方、前記アウタ側ケース40は、中心部に円形の通孔47を有する円輪形の底板部48の外周縁からインナ側に向け、円筒状の変位側周壁部49を設けている。そして、この変位側周壁部49の先端縁(インナ側端縁)の円周方向複数箇所位置に形成した各係合片50、50を前記各係合孔33、33に、軸方向の変位を可能に係合させて、前記ケースユニット38を構成している。このケースユニット38の軸方向寸法は、前記各係合孔33、33内で前記各係合片50、50が変位できる範囲で、伸縮可能になる。又、前記変位側周壁部49の円周方向複数箇所(例えば、円周方向等間隔の2〜3箇所位置)に、この変位側周壁部49の外周面から、前記ケースユニット38の径方向外方に突出する状態で、それぞれ係止片51、51を、突出形成している。
【0038】
この様なケースユニット38内に、前記駆動スピンドル32の中間部に設けた鍔部34と、前記軸力センサ36と、前記スラスト転がり軸受35と、前記弾性部材37とを組み込んで、図11の(B)に示す様な軸力測定ユニット52とする。そして、この軸力測定ユニット52を、図6に示す様に、前記キャリパ9aのインナ側部分に設けたシリンダ空間53の奥端部(インナ側端部)に組み付けている。このシリンダ空間53の奥端部のうちで前記コネクタ44の端部に整合する部分には、このシリンダ空間53の内径側及びアウタ側に開口する凹溝54を形成して、前記コネクタ44の端部との干渉防止を図っている。又、前記シリンダ空間53の中間部奥端寄り部分に係止凹部55を、前記凹溝54部分を除き、ほぼ全周に亙って形成している。
【0039】
前記軸力測定ユニット52は前記シリンダ空間53の奥端部に、前記弾性部材37を軸方向に、前記各係止片51、51を径方向内方に、それぞれ弾性的に圧縮しつつ押し込む。そして、押し込み完了後の状態で、前記弾性部材37の弾力により、前記各係止片51、51の先端縁を前記係止凹部55のアウタ側内側面に突き当てる。この状態で、前記アウタ側ケース40が前記シリンダ空間53から抜け出る方向(アウタ側)に変位する事はなくなり、前記軸力センサ36に、測定精度を確保する為に十分な予圧が付与された状態となる。そこで、前記キャリパ9aに形成した接続孔56を通じて前記シリンダ空間53内に、ハーネス57の端部に設けたプラグ58を差し込んで、このプラグ58と前記コネクタ44とを接続し、前記軸力センサ36の測定信号を取り出し可能とする。
【0040】
この様にして、前記シリンダ空間53の奥端部に組み付けた前記軸力測定ユニット52とインナパッド2aとの間に、前記送りねじ機構29と前記ボールランプ機構30とを組み合わせた、前記推力発生装置8aを設けている。このうちの送りねじ機構29は、前記駆動スピンドル32のアウタ側半部(図6の左半部)に設けた雄ねじ部59に、駆動側ロータ60の中心部に設けたねじ孔61を螺合させる事により構成している。又、前記ボール・ランプ機構30は、前記駆動側ロータ60と、被駆動側ロータ62と、複数個のボール63、63とを備える。これら両ロータ60、62の互いに対向する面の円周方向複数箇所(例えば3〜4箇所)には、それぞれが軸方向に見た形状が円弧形である、駆動側ランプ部64、64と被駆動側ランプ部65、65とを設けている。
【0041】
これら各ランプ部64、65の、軸方向に関する深さは、円周方向に関して漸次変化しているが、変化の方向は前記各駆動側ランプ部64、64と前記各被駆動側ランプ部65、65とで、互いに逆方向としている。従って、前記両ロータ60、62を相対回転させ、前記各ボール63、63を前記各ランプ部64、65に沿って転動させると、前記ロータ60、62同士の間隔が大きな力で拡縮される。又、このうちの被駆動側ロータ62と前記インナパッド2aとの間には、この被駆動側ロータ62と球面係合した間座66を挟持している。更に、この被駆動側ロータ62の一部外周縁から突出した係合突片67と前記凹溝54の一部とが、スリーブ75を介して係合してこの被駆動側ロータ62を前記駆動スピンドル32の先端部周囲に、回転を阻止した状態で、軸方向の変位を可能に支持している。
【0042】
制動を行う際には、前記電動モータ6aに通電して前記出力軸15aを回転させ、前記減速機7aを介して前記駆動スピンドル32を回転駆動させる。この回転駆動の初期段階では前記駆動側ロータ60が、付勢ばね68等の抵抗により回転せず、前記雄ねじ部59と前記ねじ孔61との螺合に基づいて、前記駆動スピンドル32の先端側に平行移動(前記ロータ1aに向けて、回転せずに移動)する。この平行移動により、前記ロータ1aの軸方向両側面と、前記インナパッド2a及びアウタパッド3aとの間の隙間が詰められる。この様な平行移動の間、前記各ボール63、63は、前記各ランプ部64、65のうちで最も深くなった側の端部に位置している。
【0043】
前記平行移動の結果、前記各部の隙間が喪失し、前記駆動側ロータ60がそれ以上前記ロータ1aに向けて移動する事に対する抵抗が大きくなると、この駆動側ロータ60が前記駆動スピンドル32と共に回転し、この駆動側ロータ60と前記被駆動側ロータ62とが相対回転する。すると、前記各ボール63、63が、転動しながら、前記各ランプ部64、65のうちで浅い側に移動し、前記両ロータ60、62同士の間隔が拡がる。これら各ランプ部64、65の傾斜角度は緩いので、これら両ロータ60、62同士の間隔を拡げる力は大きくなり、前記インナ、アウタ両パッド2a、3aを前記ロータ1aの両側面に、前記間座66及びキャリパ爪10aにより、大きな力で押し付けて、制動を行える。この様にして制動を行うべく、前記インナ、アウタ両パッド2a、3aを前記ロータ1aの両側面に押し付ける力の大きさの調節は、前記電動モータ6aへの通電量を調節するフィードフォワード制御により行える他、前記軸力センサ36の測定信号に基づくフィードバック制御によっても行える。
【0044】
上述の様にして前記インナ、アウタ両パッド2a、3aを前記ロータ1aの両側面に押し付けて制動力を生じさせた後、前記電動モータ6aの通電を停止した後にも制動力を維持する、パーキングブレーキ機構を実現する為に、前記ケーシング31内に前記出力軸15aの先端部に固定した回転側係合部材11aと対向する状態で、抑止側係合部材12aを設けて、前記パーキングロック機構5aを構成している。このパーキングロック機構5aの構成は、基本的には、前述した実施の形態の第1例のパーキングロック機構5(図2〜3参照)と同様である。但し、本例の場合には、パーキングブレーキを作動させた状態で前記電動モータ6aに断線等の故障が発生し、前記回転側、抑止側各係合突起18a、27a同士の係合を外せなくなっても、前記パーキングブレーキの解除を行える様にする為の、非常用解除機構を設けている。
【0045】
本例の場合も、互いに対向する、前記回転側、抑止側両係合部材11a、12aの先端面に、それぞれ複数個ずつの回転側、抑止側各係合突起18a、27aを、互いに同心に形成している。これら回転側、抑止側各係合突起18a、27aの形状は、前述した実施の形態の第1例の回転側、抑止側各係合突起18、27(図5参照)の形状と同様である。そして、圧縮ばね13aにより前記抑止側係合部材12aに、前記回転側係合部材11aから退避する方向の弾力を付与すると共に、ソレノイド14aにより前記抑止側係合部材12aを、前記圧縮ばね13aの弾力に抗して、前記回転側係合部材11aに近づく方向に変位させられる様にしている。
【0046】
特に本例の場合には、前記ソレノイド14aと共に取付ボルト21aにより前記ケーシング31の内面に固定した、ホルダ20aの保持孔25aを、前述の実施の形態の第1例の様な平坦部26(図4参照)を持たない、単なる円孔と(内周面を円筒面と)している。これに対して、前記抑止側係合部材12aの頭部22aには、前述の実施の形態の第1例と同様の平坦部24aを設けている。又、前記ホルダ20aの外径寄り部分に通孔69を、この通孔69の一部が前記保持孔25aの内周面の一部に露出する状態で形成している。即ち、これら通孔69と保持孔25aとの中心軸を捩れの位置関係としている。又、この通孔69の一端(図10の左端)部は、この通孔69の中間部乃至他端部よりも内径が大きい大径部70としている。そして、この通孔69内に、回り止めピン71を圧入固定している。この回り止めピン71は、この通孔69の中間部乃至他端部に圧入可能な円杆部72と、前記大径部70に圧入可能な頭部73とを備える。又、この頭部73の端面中央部にねじ孔74を形成している。このねじ孔74は、前記回り止めピン71を前記通孔69から引き抜く為の引き抜き治具の雄ねじ部を螺合させる為のものである。
【0047】
上述の様な回り止めピン71の円杆部72のうちで、前記保持孔25aの内周面から露出した部分は、前記抑止側係合部材12aの頭部22aの平坦部24aと係合する。これにより、この抑止側係合部材12aが前記保持孔25a内で回転せずに、軸方向の変位のみ行える様にしている。但し、後述の様に、前記回り止めピン71を前記通孔69から抜き取った状態では、前記抑止側係合部材12aが前記保持孔25a内で回転して、仮に前記回転側、抑止側各係合突起18a、27a同士が互いに係合した状態であっても、前記回転側係合部材11aの回転を阻止できない状態となる。
【0048】
上述の様な構成を有する本例のパーキング機構付電動式ブレーキ装置も、何れの部分も故障していない、通常状態では、前述した実施の形態の第1例の場合と(推力発生機構8a部分以外)ほぼ同様の作用により、前記インナ、アウタ両パッド2a、3aを前記ロータ1aの両側面に強く押し付けて制動を行う。又、パーキングブレーキの作動時には、前記ソレノイド14aへの通電後に前記電動モータ6aへの通電を停止する事により、前記回転側、抑止側各係合突起18a、27a同士を互いに係合させて、前記インナ、アウタ両パッド2a、3aを前記ロータ1aの両側面に強く押し付けたままの状態にする。
【0049】
更に本例の場合には、上述の様にしてパーキングブレーキを作動させた状態で、前記電動モータ6aに断線等の故障が発生した場合にも、このパーキングブレーキの作動を解除できる。即ち、前述した通り、このパーキングブレーキの作動を解除する際には、僅かとは言え、前記電動モータ6aにより前記回転側係合部材11aを、制動力を高める方向に回動させる必要がある。この為、前記電動モータ6aが故障すると、前記パーキングブレーキの作動を解除する事ができなくなり、故障した車両を移動させる(例えば、信号待ちで停止した車両を路肩に寄せたり、或は駐車中に故障した車両をキャリアカーに積み込む)事ができなくなる。
【0050】
これに対して本例の構造の場合には、前記ホルダ20aから前記回り止めピン71を引き抜く事により、前記パーキングブレーキの作動を解除できる。即ち、前記ケーシング31の一部で前記回り止めピン71の頭部73に対向する部分に設けた透孔を塞いだ盲蓋を外し、この透孔を通じて前記ケース内に引き抜き治具の先端部を差し込んで、この先端部に形成した雄ねじ部と、前記頭部73に形成したねじ孔74とを螺合させる。そして、前記引き抜き治具により前記回り止めピン71を前記通孔69から引き抜いて、この回り止めピン71の円杆部72と、前記回転側係合部材11aの頭部22aの平坦部24aとの係合を外す。この状態では、前述の様に、前記回転側、抑止側各係合突起18a、27a同士が互いに係合していても、前記回転側係合部材11aの回転が可能になり、前記インナ、アウタ両パッド2a、3aが前記ロータ1aの両側面から退避する方向に変位して、前記パーキングブレーキが解除される。
【0051】
[実施の形態の第3例]
図12は、請求項1、2、4に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、回転側係合部材11bを風車の如き形状とする事により、この回転側係合部材11bの外周面を回転側係合面としている。即ち、この回転側係合部材11bの外周面に複数の回転側係合突起18b、18bを、それぞれこの回転側係合部材11bの径方向に対し、円周方向に関して同方向に傾斜させた状態で設けている。そして、前記各回転側係合突起18b、18bのうちで径方向内方に向いた円周方向片側面を、それぞれ傾斜辺19a、19aとしている。
【0052】
又、抑止側係合部材12bを、前記回転側係合部材11bの周囲に配置すると共に、この回転側係合部材11bの径方向に変位可能としている。前記係止側係合部材12bをこの径方向に変位させる為の力は、前述した実施の形態の第1〜2例の場合と同様に、圧縮ばね等の弾性部材とソレノイド(図12には省略)とにより得ている。即ち、このうちの圧縮ばね等により前記抑止側係合部材12bに、前記回転側係合部材11bの外周面から退避する方向の弾力を付与し、前記ソレノイドにより前記抑止側係合部材12bを、この弾力に抗して前記回転側係合部材11bに向けて径方向内方に変位させる様にしている。
【0053】
この様な本例の構造の場合には、パーキングブレーキの作動時には前記回転側係合部材11bの外周面に設けた複数の回転側係合突起18b、18bのうちの何れか1個の回転側係合突起18bの傾斜辺19aと、前記抑止側係合部材12bの先端部に設けた第二の傾斜辺28aとを係合させて、前記回転側係合部材11bの回転を阻止する。これに対してパーキングブレーキを解除する際には、前記抑止側係合部材12bを前記回転側係合部材11bの径方向外方に変位させて、前記第二の傾斜辺28aを、何れの傾斜辺19aとも係合させない。
回転側、抑止側両係合部材11b、12bの形状、構造の相違点以外は、前述の実施の形態の第1〜2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
【0054】
[実施の形態の第4例]
図13〜14は、請求項1、2、5に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合も、回転側係合部剤11cの外周面を回転側係合面として、この回転側係合部材11cを風車の如き形状としている。但し、本例の場合には、この回転側係合部材11cの外周面に設けた複数の回転側係合突起18c、18cの円周方向片側面を、それぞれこの回転側係合部材11cの軸方向に対し傾斜した傾斜辺19b、19bとしている。
【0055】
又、抑止側係合部材12cを、前記回転側係合部材11cの外径寄り部分に配置して、この回転側係合部材11cの軸方向に変位可能としている。本例の場合も、前記係止側係合部材12cをこの軸方向に変位させる為の力を、圧縮ばね等の弾性部材とソレノイド(図13〜14には省略)とにより得ている。即ち、このうちの圧縮ばね等により前記抑止側係合部材12cに、この抑止側係合部12cの先端部が前記回転側係合部材11cの周囲から退避する方向の弾力を付与し、前記ソレノイドにより前記抑止側係合部材12cに、この抑止側係合部材12cの先端部を、前記弾力に抗して前記回転側係合部材11cの周囲に向けて変位させる様にしている。
【0056】
この様な本例の構造の場合には、パーキングブレーキの作動時には前記回転側係合部材11cの外周面に設けた複数の回転側係合突起18c、18cのうちの何れか1個の回転側係合突起18cの傾斜辺19bと、前記抑止側係合部材12cの先端部に設けた第二の傾斜辺28bとを係合させて、前記回転側係合部材11cの回転を阻止する。これに対してパーキングブレーキを解除する際には、前記抑止側係合部材12cを前記回転側係合部材11cの径方向外方に変位させて、前記第二の傾斜辺28bを、何れの傾斜辺19bとも係合させない。
回転側、抑止側両係合部材11c、12cの形状、構造の相違点以外は、前述の実施の形態の第1〜2例と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上の説明は、パーキングブレーキだけでなくサービスブレーキも電動式とする構造に本発明を適用した場合に就いて述べた。但し、本発明の特徴は、電動モータを動力源としてパーキングブレーキを作動させ、且つ、電動モータへの通電を停止した後も制動力を維持したままの状態にできる構造の改良に関する。従って、サービスブレーキを油圧式に作動させ、パーキングブレーキのみを電動モータにより作動させる構造にも、本発明を適用できる。更に本発明は、ディスクブレーキ装置に限らず、ドラムブレーキ装置で実施する事もできる。
【符号の説明】
【0058】
1、1a ロータ
2、2a インナパッド
3、3a アウタパッド
4、4a 電動式押圧装置
5、5a パーキングロック装置
6、6a 電動モータ
7、7a 減速機
8、8a 推力発生機構
9、9a キャリパ
10、10a キャリパ爪
11、11a、11b、11c 回転側係合部材
12、12a、12b、12c 抑止側係合部材
13、13a 圧縮ばね
14、14a ソレノイド
15、15a 出力軸
16、16a 減速小歯車
17 回転側係合面
18、18a、18b 回転側係合突起
19、19a、19b 傾斜辺
20、20a ホルダ
21、21a 取付ボルト
22、22a 頭部
23 杆部
24、24a 平坦部
25、25a 保持孔
26 平坦部
27、27a 抑止側係合突起
28、28a、28b 第二の傾斜辺
29 送りねじ機構
30 ボール・ランプ機構
31 ケーシング
32 駆動スピンドル
33 減速大歯車
34 鍔部
35 スラスト転がり軸受
36 軸力センサ
37 弾性部材
38 ケースユニット
39 インナ側ケース
40 アウタ側ケース
41 通孔
42 底板部
43 固定側周壁部
44 コネクタ
45 取り出し孔
46 係止孔
47 通孔
48 底板部
49 変位側周壁
50 係合片
51 係止片
52 軸力測定ユニット
53 シリンダ空間
54 凹溝
55 係止凹部
56 接続孔
57 ハーネス
58 プラグ
59 雄ねじ部
60 駆動側ロータ
61 ねじ孔
62 被駆動側ロータ
63 ボール
64 駆動側ランプ部
65 被駆動側ランプ部
66 間座
67 係合突片
68 付勢ばね
69 通孔
70 大径部
71 回り止めピン
72 円杆部
73 頭部
74 ねじ孔
75 スリーブ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2003−307240号公報
【特許文献2】特開2008−275053号公報
【特許文献3】特表2001−524647号公報
【特許文献4】特開平8−244580号公報
【特許文献5】特開2004−169729号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転する制動用回転体と、この制動用回転体に隣接した状態で、回転しない部分に支持された支持部材と、この支持部材の一部にこの制動用回転体の一部に対向した状態で、この制動用回転体に対する遠近動を可能に支持された制動用摩擦部材と、電動モータを駆動源とし、減速機を介してこの制動用摩擦部材を前記制動用回転体に近づく方向に移動させる電動式押圧装置と、前記電動モータへの通電停止後にも前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けたままの状態に維持する為のパーキング用ロック装置とを備えたパーキング機構付電動式ブレーキ装置に於いて、
前記パーキングロック装置は、前記電動モータへの通電に伴って回転する回転軸の一部に固定された、この回転軸と同心の回転側係合面を有する回転側係合部材と、前記支持部材に直接又は他の部材を介して、この回転側係合面に対し遠近動する方向の変位を可能に、前記回転軸を中心とする回転を阻止された状態で支持された、先端部を前記回転側係合面と係脱可能な形状とした抑止側係合部材と、この抑止側係合部材に対して、前記回転側係合部材から遠ざける方向の弾力を付与する弾性部材と、通電に基づきこの抑止側係合部材に対して、この弾性部材の弾力に抗して前記回転側係合部材に近づく方向の力を付与する電動式のアクチュエータとを備えたものであり、
前記回転側係合部材は、前記電動式押圧装置により前記制動用摩擦部材を前記制動用回転体に押し付けて制動力を生じさせた状態で、この制動力の反作用に基づいて所定方向に回転しようとするトルクが付与されるものであり、
前記回転側係合面の円周方向複数箇所に回転側係合突起が形成されており、これら各回転側係合突起の円周方向片側面は、前記抑止側係合部材の変位方向に対し傾斜した傾斜辺であって、この傾斜辺は、前記弾性部材の弾力に基づく前記抑止側係合部材の移動方向に関して前方に向かう程、前記抑止側係合部材の先端部との係り代が大きくなる方向に傾斜している事を特徴とするパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項2】
前記回転側係合部材が固定される回転軸が、前記電動モータの出力軸である、請求項1に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項3】
前記回転側係合面が前記回転側係合部材の軸方向先端面であって、この軸方向先端面に複数の回転側係合突起が、円周方向に関して等間隔に形成されており、これら各回転側係合突起の円周方向片側面がそれぞれ前記傾斜辺であり、前記抑止側係合部材が前記回転側係合部材と同心に配置されていて、この抑止側係合部材の軸方向先端面に、それぞれが前記先端部である、前記回転側係合突起と同数の抑止側係合突起が、円周方向に関して等間隔に形成されており、これら各抑止側突起の円周方向片側面で前記回転側、抑止側両係合部材が互いに近づいた状態で前記各傾斜辺と当接する面を、これら各傾斜辺と同方向に傾斜した第二の傾斜辺としている、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項4】
前記回転側係合面が前記回転側係合部材の外周面であって、この外周面に複数の回転側係合突起が形成されており、前記抑止側係合部材が前記回転側係合部材の周囲に配置されていて、この回転側係合部材の径方向に変位可能とされており、前記各回転側係合突起の円周方向片側面が、前記抑止側係合部材の変位方向に対し傾斜しており、前記回転側係合部材の径方向に関して内端側に存在する、前記抑止側係合部材を前記径方向に関して最も内端側に変位させた状態で、この抑止側係合部材の先端部と前記各回転側係合突起のうちの何れかの回転側係合突起の円周方向片側面とを係合させる、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。
【請求項5】
前記回転側係合面が前記回転側係合部材の外周面であって、この外周面に複数の回転側係合突起が形成されており、前記抑止側係合部材が前記回転側係合部材の外径寄り部分に配置されていて、この回転側係合部材の軸方向に変位可能とされており、前記各回転側係合突起の円周方向片側面が、前記回転側係合部材の軸方向に対し傾斜しており、前記抑止側係合部材の先端部をこの回転側係合部材の周囲に進入させた状態で、この抑止側係合部材の先端部と前記各回転側係合突起のうちの何れかの回転側係合突起の円周方向片側面とを係合させる、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載したパーキング機構付電動式ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−193805(P2012−193805A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−58748(P2011−58748)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】