説明

ヒートポンプ式給湯装置

【課題】貯湯タンク内に中温水が多量に残っている場合は沸き上げ量が少なくなるため湯切れする可能性があった。
【解決手段】給水管2と出湯管4が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンク1と、この貯湯タンク1下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク1上部に戻すヒートポンプ式加熱手段23と、所定の時間帯にヒートポンプ式加熱手段23による沸き上げを開始し、ヒートポンプ式加熱手段23への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、貯湯タンク1内の中温水の発生状況を判断する制御手段41とを備え、制御手段41は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のヒートポンプ式給湯装置においては、給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻す加熱手段と、所定の時間帯に加熱手段による沸き上げを開始し、加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了するようにし、貯湯タンク内の残っている中温水の温度に応じて沸き終い温度を変更して中温水の沸き上げを防止して、ヒートポンプの加熱効率を低下させないようにしたものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−49054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この従来のものでは、中温水の温度に応じて沸き終い温度を変更するため、中温水が多量に残っている場合に沸き上げ量が少なくなるため湯切れの可能性が高まってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明は上記課題を解決するため、請求項1では、給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻すヒートポンプ式加熱手段と、所定の時間帯に前記ヒートポンプ式加熱手段による沸き上げを開始し、前記ヒートポンプ式加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、前記貯湯タンク内の中温水の発生状況を判断する制御手段とを備え、前記制御手段は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、前記所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにした。
【0006】
また、請求項2では、前記制御手段は、過去所定期間の単位期間毎の使用熱量のバラツキ度合を算出し、バラツキ度合が小さい場合に、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断するようにした。
【0007】
また、請求項3では、給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻すヒートポンプ式加熱手段と、所定の時間帯に前記ヒートポンプ式加熱手段による沸き上げを開始し、前記ヒートポンプ式加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、前記貯湯タンク内の中温水の発生状況を判断する制御手段と、浴槽内の浴水を前記貯湯タンク内の湯水で追い焚きする風呂熱交換器と、前記浴槽と前記風呂熱交換器とを浴水が循環可能に接続する風呂循環回路とを備え、前記制御手段は、浴水追い焚きの使用状況から中温水の発生量を判断し、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、沸き上げを終了する前記所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにした。
【0008】
また、請求項4では、給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻すヒートポンプ式加熱手段と、所定の時間帯に前記ヒートポンプ式加熱手段による沸き上げを開始し、前記ヒートポンプ式加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、前記貯湯タンク内の中温水の発生状況を判断する制御手段と、浴槽内の浴水を前記貯湯タンク内の湯水で追い焚きする風呂熱交換器と、前記浴槽と前記風呂熱交換器とを浴水が循環可能に接続する風呂循環回路とを備え、前記制御手段は、過去所定期間の単位期間毎の使用熱量に基づいて算出されるバラツキ度合と、浴水追い焚きの使用状況から中温水の発生量を判断し、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、前記所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにした。
【0009】
また、請求項5では、前記バラツキ度合は、過去所定期間の単位期間毎の使用熱量の標準偏差から算出するようにした。
【0010】
また、請求項6では、前記バラツキ度合は、過去所定期間の単位期間毎の使用熱量の最大値と最小値の差から算出するようにした。
【0011】
また、請求項7では、前記制御手段は、浴水追い焚きの使用状況を、過去所定期間の各単位期間毎の浴水追い焚きの時間、回数または加熱量の何れかから検出し、各単位期間の全てで追い焚きの時間、回数または加熱量が少ない場合に、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断するようにした。
【0012】
また、請求項8では、給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクの側面に複数もうけられた貯湯温度センサと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻すヒートポンプ式加熱手段と、所定の時間帯に前記ヒートポンプ式加熱手段による沸き上げを開始し、前記ヒートポンプ式加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、前記貯湯温度センサの検出温度に基づいて中温水の発生状況を判断する制御手段とを備え、前記制御手段は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、前記所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用湯量が日々一定でばらつかないような使用パターンや、各日の風呂追い焚きの時間、回数、加熱量が少ないような使用パターン等の中温水の発生量が少ない状況が所定期間継続するような場合、沸き終い温度を低い温度に変更することで、所定の時間帯での中温水の沸き上げを防止してヒートポンプの加熱効率を向上させることができ、一方、日々の使用湯量がばらつくような使用パターンや、各日の風呂追い焚きの時間、回数、加熱量が多いような使用パターン等の中温水の発生量が多い場合、沸き終い温度を高い温度に変更することで、所定の時間帯での沸き上げ時に中温水も沸き上げ、沸き上げ量を確実に確保して湯切れを防止することができる。このように、ユーザーの使用状況に合わせて、湯切れを防止した上で最適かつ効率的な沸き上げを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態のヒートポンプ式風呂給湯機の概略構成図
【図2】第1実施形態の沸き上げ動作を説明するフローチャート
【図3】第2実施形態の沸き上げ動作を説明するフローチャート
【図4】第3実施形態の沸き上げ動作を説明するフローチャート
【図5】第4実施形態の沸き上げ動作を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態のヒートポンプ式給湯装置を図面に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク(ここではタンク容量370L)、2は貯湯タンク1に給水する給水管、3は給水管2に設けられ給水圧を減圧する減圧弁、4は貯湯タンク1上部から出湯する出湯管、5は出湯管4に設けられ過圧を逃がす過圧逃がし弁、6は減圧弁3の下流側の給水管2から分岐した給水バイパス管、7は出湯管4からの湯水と給水バイパス管6からの水とを混合する給湯混合弁、8は給湯混合弁7からの湯水を給湯する給湯管、9は給湯管8に設けられた給湯温度センサ、10は給湯管8を流れる流量を検出する給湯流量センサ、11は給水温度を検出する給水温度センサ、12は給湯栓である。
【0016】
13は浴槽、14は貯湯タンク1内の上部に設けた風呂熱交換器、15は浴槽13と風呂熱交換器14とを浴水が循環可能に接続している風呂循環回路、16は風呂循環回路15途中に設けられた風呂循環ポンプ、17は浴槽13から風呂熱交換器14へ戻る浴水の温度を検出する風呂戻り温度センサ、18は風呂熱交換器14から浴槽13へ往く浴水の温度を検出する風呂往き温度センサ、19は浴槽13内の水位を圧力により検出する水位センサ、20は給湯管8から分岐されて風呂循環回路15へ接続された湯張り管、21は湯張り管20の開閉を行う湯張り電磁弁である。
【0017】
22は貯湯タンク1の側面上下に複数設けられ各部の貯湯温度を検出する貯湯温度センサであり、ここでは、貯湯温度センサ22aは30L、貯湯温度センサ22bは80L、貯湯温度センサ22cは130L、貯湯温度センサ22dは180L、貯湯温度センサ22eは230L、貯湯温度センサ22fは280L、貯湯温度センサ22gは330Lの容量の貯湯温度を検出するものである。
【0018】
23は貯湯タンク1内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段で、冷媒を圧縮する圧縮機24と、圧縮された高温冷媒と貯湯タンク1からの湯水とを熱交換する冷媒水熱交換器25と、冷媒水熱交換器25で放熱された冷媒を減圧する膨張弁26と、低温低圧の冷媒を蒸発される蒸発器としての空気熱交換器27とを冷媒配管28で環状に接続して構成され、一定の加熱能力で作動するように制御されるもので、貯湯タンク1下部から取り出した湯を加熱して貯湯タンク1上部に戻すようにしているため沸き上げる湯量を自在にコントロールできるものである。なお、29は空気熱交換機27に熱源となる外気を送風する送風ファンである。
【0019】
30は貯湯タンク1の下部と冷媒水熱交換器25の入口とを接続し、冷媒水熱交換機25の出口と貯湯タンク1の上部とを接続する加熱循環回路、31は冷媒水熱交換機25入口側の加熱循環回路30に設けられ貯湯タンク1下部から取り出した湯水を冷媒水熱交換機25を介して貯湯タンク1上部に循環させる加熱循環ポンプ、32は冷媒水熱交換機25に流入する湯水の温度を検出する入水温度センサ、33は冷媒水熱交換機25から流出する湯水の温度を検出する沸き上げ温度センサ、34は外気温度を検出する外気温度センサである。
【0020】
35は給湯温度や各種必要な設定を行うためのリモートコントローラで、給湯設定温度や風呂設定温度を表示する表示部36と、給湯設定温度および風呂設定温度を設定する温度設定スイッチ37と、浴槽13への所定湯量の湯張りに続いて所定の保温時間だけ保温運転を行わせるフロスイッチ38と、浴水を加熱する追焚き動作を行わせる追焚きスイッチ39と、貯湯タンク1からの使用熱量の実績に対する余裕分を多めにして翌日に必要な熱量(必要熱量Q)を設定する多めモードと使用熱量の実績に対する余裕分を少なめにして必要熱量Qを設定する少なめモードの少なくとも2種類の沸き上げモードを手動操作によって切り替える沸き上げモード切替スイッチ40とを備えている。
【0021】
41はこのヒートポンプ式風呂給湯機の作動を制御する制御手段で、予め作動を制御するためのプログラムが記憶されていると共に、演算、比較、記憶機能、カウント機能を有し、給湯温度センサ9、給湯流量センサ10、給水温度センサ11、風呂戻り温度センサ17、風呂往き温度センサ18、水位センサ19、貯湯温度センサ22a〜e、入水温度センサ32、沸き上げ温度センサ33、外気温度センサ34にて検出される値が入力され、給湯混合弁7、風呂循環ポンプ16、湯張り電磁弁21、圧縮機24、膨張弁26、送風ファン29、加熱循環ポンプ31の駆動を制御し、沸き上げ動作、給湯動作や風呂加熱動作等を制御するもので、リモートコントローラ35と通信可能に接続されているものである。
【0022】
<給湯動作>
次に、給湯栓12が開かれ、給湯流量センサ10が給湯開始と見なせる量以上の流量を検出すると、制御手段41は給湯温度センサ9で検出する給湯温度がリモートコントローラ35で設定した給湯設定温度となるように給湯混合弁7の開度を調節し、出湯管4からの湯と給水バイパス管6からの水とを混合して給湯設定温度の湯を給湯する。
【0023】
このとき、制御手段41は、給水温度センサ11で検出する給水温度と給湯流量センサ11で検出する給湯流量と給湯設定温度とから使用熱量を所定温度の給湯量に換算して、積算記憶する。
【0024】
そして、給湯栓12が閉じられる等して給湯流量センサ10が検出する流量が給湯停止と見なせる量未満の流量まで低下すると、制御手段41は給湯混合弁7の開度調節を終了し、給湯を終了する。
【0025】
<湯張り動作>
また、リモートコントローラ35の風呂スイッチ38がオンされた場合について説明すると、制御手段41は湯張り電磁弁21を開き、給湯温度センサ9で検出する給湯温度がリモートコントローラ35で設定した風呂設定温度となるように給湯混合弁7の開度を調節して風呂設定温度の湯を湯張りし、給湯流量センサ10が検出する湯張り電磁弁21を開いてからの流量積算値が予めリモートコントローラ35等で設定した湯張り湯量に達すると湯張り電磁弁21を閉じる。
【0026】
このとき、制御手段41は、給水温度センサ11で検出する給水温度と給湯流量センサ11で検出する給湯流量と風呂設定温度とから浴槽13へ給湯された使用熱量を所定温度の給湯量に換算して、積算記憶する。
【0027】
そして、湯張り運転を完了すると制御手段41は所定の保温時間(例えば2時間)の保温運転を行う。この保温運転では、定期的に風呂循環ポンプ16を駆動して浴水温度をチェックし、風呂設定温度未満であれば風呂加熱要求ありとして風呂循環ポンプ16の駆動を継続して浴水を風呂設定温度まで加熱するようにしている。そして、湯張り運転の完了から所定の保温時間が経過すると、浴水の保温運転を行わないようにしている。
【0028】
<追い焚き動作>
また、リモートコントローラ35の追い焚きスイッチ39がオンされると、制御手段41は、風呂加熱要求ありとして風呂設定温度まで加熱する追い焚き運転を行うようにしており、追い焚き運転によって風呂加熱要求が発生すると、制御手段41は、風呂循環ポンプ16を駆動開始し、浴水を風呂熱交換器14に循環させて、貯湯タンク1内の貯湯熱によって浴水を加熱する風呂加熱動作を開始し、そして、風呂戻り温度センサ17が風呂設定温度以上を検出すると、風呂循環ポンプ16を駆動停止して風呂加熱動作を終了する。
【0029】
<沸き上げ動作>
次に、電力料金単価の安価な深夜の沸き上げ動作について、図2のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、所定の時間帯である23時から翌朝7時までの深夜時間帯がそれ以外の昼間時間帯よりも電力料金単価が安価な料金制度に基づいて説明するが、これに限られず、例えば22時から翌朝8時までを安価な深夜時間帯とする料金制度でもよいものである。
【0030】
現在時刻が23時になり深夜時間帯の開始時刻となると(ステップS1でYes)、制御手段41は設定されている沸き上げモードと、給湯負荷として積算記憶している過去数日分の1日単位の使用熱量とに基づいて翌日に必要な必要熱量Qを算出、決定する(ステップS2)。ここでは、過去一週間の所定温度換算の給湯量の平均値と、その標準偏差に基づく値と、沸き上げモードの種類に応じた余裕分(例えば多めモードでは43℃換算100L分の熱量、少なめモードでは43℃換算50L分の熱量)との和から必要熱量Qを算出、決定するようにしている。
【0031】
次に、制御手段41は、外気温度センサ34で検出する外気温度Taに応じ、予め記憶されている外気温度Taに応じたテーブルデータから目標沸き上げ温度Tsetを決定する(ステップS3)。ここでは、目標沸き上げ温度Tsetを外気温度Taが10℃未満で75℃、外気温度Taが10℃以上では70℃としている。
【0032】
なお、外気温度Taと目標沸き上げ温度Tsetの関係データの代わりに、給水温度Twと目標沸き上げ温度Tsetのテーブルデータを制御手段41に予め記憶し、ステップS3では、給水温度センサ11、最下部の貯湯温度センサ22gあるいは入水温度センサ32で検出される給水温度Twに基づいて目標沸き上げ温度Tsetを決定する構成としてもよい。
【0033】
そして、制御手段41は、必要熱量Qを目標沸き上げ温度Tsetから給水温度Twを引いた値で除して、目標沸き上げ量Vを算出する(ステップS4)。このとき、目標沸き上げ量Vは、貯湯温度センサ22a〜gの位置に応じて補正され、算出された値が、130L以下では130L、130L超180L以下では180L、180L超230L未満では230L、230L超280L以下では280L、280L超では330Lを目標沸き上げ量Vとなるように補正して決定していると共に、決定された目標沸き上げ量Vに対応する貯湯温度センサ22c〜gのいずれか一つを沸き終いを判定する貯湯温度センサとする。なお、必要熱量Qが多い場合は、深夜時間帯に沸き上げ切れなかった不足分を昼間時間帯の沸き増し動作で沸き上げるようにしている。
【0034】
次に、制御手段41は、貯湯温度センサ22a〜gの検出温度に基づき、残湯判定温度(例えば50℃)以上の残湯量Vzを算出し(ステップS5)、目標沸き上げ量Vから残湯量Vzを減じて沸き上げ必要量Vpを算出する(ステップS6)。
【0035】
そして、制御手段41は、過去の所定期間(例えば一週間)の単位期間(例えば1日)毎の使用熱量のバラツキ度合を算出する(ステップS7)。ここで、バラツキ度合は、過去一週間の一日毎の使用熱量の標準偏差や、過去一週間の一日毎の使用熱量の最大使用熱量と最小使用熱量の差をバラツキ度合を表す数値とすることができる。
【0036】
次に、制御手段41は、前記ステップS7で算出したバラツキ度合を表す数値を予め定められた所定値と比較し(ステップS8)、バラツキ度合が小さい場合は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断して、所定の沸き終い温度を低い温度(ここでは50℃)に変更する(ステップS9)。一方、バラツキ度合が大きい場合は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が比較的多いと判断して、所定の沸き終い温度を高い温度(ここでは60℃)に変更する(ステップS10)。
【0037】
そして、制御手段41は、沸き上げ必要量Vpをヒートポンプ式加熱手段29の一定の加熱能力で除して沸き上げ時間を算出し、深夜時間帯の終了時刻から逆算して沸き上げ開始時刻(ピークシフト時刻)を算出する(ステップS11)。
【0038】
現在時刻がピークシフト時刻となると(ステップS12でYes)、前記ステップS3で決定した目標沸き上げ温度Tsetでの沸き上げ動作を開始すべく、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動開始し、貯湯タンク1下部から取り出した水を目標沸き上げ温度Tsetの湯に加熱して貯湯タンク1上部から戻して積層状に貯湯する(ステップS13)。
【0039】
前記ステップS4で決定した目標沸き上げ量Vに対応する貯湯温度センサ22c〜g(沸き終い温度センサ)が前記ステップS9またはS10で決定した沸き終い温度を検出するか、または入水温度センサ32が加熱上限温度(例えば55℃)以上を検出するかして沸き上げが完了されると(ステップS14)、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS15)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている(ステップS16)。一方で、現在時刻が深夜時間帯の終了時刻である7時に到達すると(ステップS17)、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS15)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている(ステップS16)。
【0040】
このように、使用湯量が日々一定でばらつかないような使用パターンであって中温水の発生量が少ない状況が所定期間継続するような場合、沸き終い温度を低い温度(ここでは50℃)に変更することで、深夜時間帯での中温水の沸き上げを防止してヒートポンプの加熱効率を向上させることができ、一方、日々の使用湯量がばらつくような使用パターンで中温水の発生量が多い場合、沸き終い温度を高い温度に変更することで、所定の時間帯での沸き上げ時に中温水も沸き上げ、沸き上げ量を確実に確保して湯切れを防止することができる。このように、ユーザーの使用状況に合わせて、湯切れを防止した上で最適かつ効率的な沸き上げを行うことができる。
【0041】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、先の実施形態と同一のものには同一の符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施形態は、制御手段41が浴水追い焚きの使用状況から中温水の発生量を判断するようにしたもので、以下に判断の詳細を説明する。
【0042】
制御手段41は、風呂追い焚き運転あるいは風呂保温運転によって浴水を風呂熱交換器14で加熱した時間である風呂追い焚き時間を一日毎に積算し、過去直近一週間において一日毎の風呂追い焚き時間の積算時間が閾値以下であった連続回数を記憶するようにしている。
【0043】
<沸き上げ動作>
次に、沸き上げ動作について図3のフローチャートに基づき、先の実施形態と異なる箇所を中心に説明すると、ステップS6で沸き上げ必要量Vpを算出した後に、ステップS18へ進み、制御手段41が記憶している風呂追い焚き時間の積算時間が閾値以下であった連続回数が7回であるかを判定し、連続回数が7回であれば(ステップS18でYes)、ステップS9へ進み所定の沸き終い温度を50℃とし、連続回数が7回未満であれば(ステップS18でNo)、ステップS10へ進み所定の沸き終い温度を60℃とする。
【0044】
その後の沸き上げにおいて、前記ステップS4で決定した目標沸き上げ量Vに対応する貯湯温度センサ22c〜g(沸き終い温度センサ)が前記ステップS9またはS10で決定した沸き終い温度を検出するか、または入水温度センサ32が加熱上限温度(例えば55℃)以上を検出するかして沸き上げが完了されると(ステップS14)、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS15)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている(ステップS16)。一方で、現在時刻が深夜時間帯の終了時刻である7時に到達すると(ステップS17)、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS15)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている(ステップS16)。
【0045】
このように、各日の風呂追い焚きの時間が少ないような使用パターン等の中温水の発生量が少ない状況が所定期間継続するような場合、沸き終い温度を低い温度に変更することで、所定の時間帯での中温水の沸き上げを防止してヒートポンプの加熱効率を向上させることができ、一方、各日の風呂追い焚きの時間が多いような使用パターン等の中温水の発生量が多い場合、沸き終い温度を高い温度に変更することで、所定の時間帯での沸き上げ時に中温水も沸き上げ、沸き上げ量を確実に確保して湯切れを防止することができる。このように、ユーザーの使用状況に合わせて、湯切れを防止した上で最適かつ効率的な沸き上げを行うことができる。
【0046】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、先の実施形態と同一のものには同一の符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施形態は、制御手段41が過去所定期間の単位期間毎の使用熱量に基づいて算出されるバラツキ度合と浴水追い焚きの使用状況とから中温水の発生量を判断するようにしたもので、以下に判断の詳細を説明する。
【0047】
制御手段41は、風呂追い焚き運転あるいは風呂保温運転によって浴水を風呂熱交換器14で加熱した加熱量を風呂戻り温度センサ17の検出温度と風呂設定温度と風呂追い焚き時間とから算出して一日毎に積算し、過去直近一週間において一日毎の風呂加熱量が閾値以下であった連続回数を記憶するようにしている。なお、風呂加熱量は公知の別の方法によって算出したり、推測するようにしてもよい。
【0048】
<沸き上げ動作>
次に、沸き上げ動作について図4のフローチャートに基づき、先の実施形態と異なる箇所を中心に説明すると、ステップS6で沸き上げ必要量Vpを算出した後に、ステップS18へ進み、制御手段41が記憶している風呂加熱量の積算値が閾値以下であった連続回数が7回であるかを判定し、連続回数が7回であれば(ステップS18でYes)、ステップS7へ進み、過去の所定期間(例えば一週間)の単位期間(例えば1日)毎の使用熱量のバラツキ度合を算出する。ここで、バラツキ度合は、過去一週間の一日毎の使用熱量の標準偏差や、過去一週間の一日毎の使用熱量の最大使用熱量と最小使用熱量の差をバラツキ度合を表す数値とすることができる。
【0049】
次に、制御手段41は、前記ステップS7で算出したバラツキ度合を表す数値を予め定められた所定値と比較し(ステップS8)、バラツキ度合が小さい場合は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断して、所定の沸き終い温度を低い温度(ここでは50℃)に変更する(ステップS9)。一方、バラツキ度合が大きい場合は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が比較的多いと判断して、所定の沸き終い温度を高い温度(ここでは60℃)に変更する(ステップS10)。
【0050】
また、前記ステップS18で制御手段41が記憶している風呂加熱量の積算値が閾値以下であった連続回数が7回未満であれば(ステップS18でNo)、ステップS10へ進み所定の沸き終い温度を60℃とする。
【0051】
その後の沸き上げにおいて、前記ステップS4で決定した目標沸き上げ量Vに対応する貯湯温度センサ22c〜g(沸き終い温度センサ)が前記ステップS9またはS10で決定した沸き終い温度を検出するか、または入水温度センサ32が加熱上限温度(例えば55℃)以上を検出するかして沸き上げが完了されると(ステップS14)、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS15)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている(ステップS16)。一方で、現在時刻が深夜時間帯の終了時刻である7時に到達すると(ステップS17)、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS15)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている(ステップS16)。
【0052】
このように、使用湯量が日々一定でばらつかないような使用パターンでかつ各日の風呂追い焚きの加熱量が少ないような使用パターンであることを判定することで、中温水の発生量が少ない状況であることを確実に判定し、使用湯量が日々一定でばらつかないような使用パターンでかつ各日の風呂追い焚きの加熱量が少ないような使用パターンの中温水の発生量が少ない状況が所定期間継続するような場合、沸き終い温度を低い温度に変更することで、所定の時間帯での中温水の沸き上げを防止してヒートポンプの加熱効率を向上させることができ、一方、日々の使用湯量がばらつくような使用パターンや、各日の風呂追い焚きの加熱量が多いような使用パターンの中温水の発生量が多い場合、沸き終い温度を高い温度に変更することで、所定の時間帯での沸き上げ時に中温水も沸き上げ、沸き上げ量を確実に確保して湯切れを防止することができる。このように、ユーザーの使用状況に合わせて、湯切れを防止した上で最適かつ効率的な沸き上げを行うことができる。
【0053】
なお、浴水追い焚きの使用状況から中温水の発生量を判断するにあたり、第2の実施形態では追い焚き時間、第3の実施形態では風呂加熱量を例に説明したが、これに限らず、風呂追い焚き運転あるいは風呂保温運転によって浴水を風呂熱交換器14で加熱した回数を一日毎に積算し、過去直近一週間において一日毎の風呂追い焚き回数が閾値以下であるかどうかから中温水の発生量を判断するようにしてもよい。
【0054】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、先の実施形態と同一のものには同一の符号を付してその説明を省略する。
この第4の実施形態は、制御手段41が貯湯温度センサ22の検出温度に基づいて中温水の発生状況を判断するようにしたもので、以下に判断の詳細を説明する。
【0055】
制御手段41は、深夜時間帯開始時の貯湯タンク1内の中温水の残湯量を貯湯温度センサ22によって検出し、過去直近一週間において一日毎の中温水の残湯量が閾値以下であった連続回数を記憶するようにしている。
【0056】
<沸き上げ動作>
次に、沸き上げ動作について図5のフローチャートに基づき、先の実施形態と異なる箇所を中心に説明すると、ステップS6で沸き上げ必要量Vpを算出した後に、ステップS19へ進み、貯湯温度センサ22a〜gで検出する貯湯温度から中温水の残湯量(例えば50℃以上60℃未満の温水量)を検出し、所定の閾値以下であるかどうかを判定する。
【0057】
そして、続くステップS20では、制御手段41が記憶している中温水の残湯量が閾値以下であった連続回数が7回であるかを判定し、連続回数が7回であれば(ステップS20でYes)、ステップS7へ進み、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断して、所定の沸き終い温度を低い温度(ここでは50℃)に変更する(ステップS9)。一方、連続回数が7回未満であれば(ステップS20でNo)、ステップS10へ進み所定の沸き終い温度を60℃とする。
【0058】
その後の沸き上げにおいて、前記ステップS4で決定した目標沸き上げ量Vに対応する貯湯温度センサ22c〜g(沸き終い温度センサ)が前記ステップS9またはS10で決定した沸き終い温度を検出するか、または入水温度センサ32が加熱上限温度(例えば55℃)以上を検出するかして沸き上げが完了されると(ステップS14)、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS15)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている(ステップS16)。一方で、現在時刻が深夜時間帯の終了時刻である7時に到達すると(ステップS17)、ヒートポンプ式加熱手段23および加熱循環ポンプ31を駆動停止して沸き上げ動作を終了し(ステップS15)、沸き上げ動作のフローを終了するようにしている(ステップS16)。
【0059】
このように、沸き上げ開始前の貯湯温度に基づいて中温水の発生量が少ない状況であることを確実に判定し、中温水の発生量が少ない状況が所定期間継続するような場合、沸き終い温度を低い温度に変更することで、所定の時間帯での中温水の沸き上げを防止してヒートポンプの加熱効率を向上させることができ、一方、中温水の発生量が多い場合、沸き終い温度を高い温度に変更することで、所定の時間帯での沸き上げ時に中温水も沸き上げ、沸き上げ量を確実に確保して湯切れを防止することができる。このように、ユーザーの使用状況に合わせて、湯切れを防止した上で最適かつ効率的な沸き上げを行うことができる。
【0060】
なお、本発明は上記の実施形態のみに限定されるものではなく、例えば、沸き終い温度を判定する温度センサとして、入水温度センサ32を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 貯湯タンク
2 給水管
4 出湯管
13 浴槽
14 風呂熱交換器
15 風呂循環回路
22 貯湯温度センサ
23 ヒートポンプ式加熱手段
41 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻すヒートポンプ式加熱手段と、所定の時間帯に前記ヒートポンプ式加熱手段による沸き上げを開始し、前記ヒートポンプ式加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、前記貯湯タンク内の中温水の発生状況を判断する制御手段とを備え、前記制御手段は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、前記所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにしたことを特徴とするヒートポンプ式給湯装置。
【請求項2】
前記制御手段は、過去所定期間の単位期間毎の使用熱量のバラツキ度合を算出し、バラツキ度合が小さい場合に、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断するようにしたことを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項3】
給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻すヒートポンプ式加熱手段と、所定の時間帯に前記ヒートポンプ式加熱手段による沸き上げを開始し、前記ヒートポンプ式加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、前記貯湯タンク内の中温水の発生状況を判断する制御手段と、浴槽内の浴水を前記貯湯タンク内の湯水で追い焚きする風呂熱交換器と、前記浴槽と前記風呂熱交換器とを浴水が循環可能に接続する風呂循環回路とを備え、前記制御手段は、浴水追い焚きの使用状況から中温水の発生量を判断し、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、沸き上げを終了する前記所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにしたことを特徴とするヒートポンプ式式給湯装置。
【請求項4】
給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻すヒートポンプ式加熱手段と、所定の時間帯に前記ヒートポンプ式加熱手段による沸き上げを開始し、前記ヒートポンプ式加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、前記貯湯タンク内の中温水の発生状況を判断する制御手段と、浴槽内の浴水を前記貯湯タンク内の湯水で追い焚きする風呂熱交換器と、前記浴槽と前記風呂熱交換器とを浴水が循環可能に接続する風呂循環回路とを備え、前記制御手段は、過去所定期間の単位期間毎の使用熱量に基づいて算出されるバラツキ度合と、浴水追い焚きの使用状況から中温水の発生量を判断し、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、前記所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにしたことを特徴とするヒートポンプ式式給湯装置。
【請求項5】
前記バラツキ度合は、過去所定期間の単位期間毎の使用熱量の標準偏差から算出するようにしたことを特徴とする請求項2または4に記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項6】
前記バラツキ度合は、過去所定期間の単位期間毎の使用熱量の最大値と最小値の差から算出するようにしたことを特徴とする2または4に記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項7】
前記制御手段は、浴水追い焚きの使用状況を、過去所定期間の各単位期間毎の浴水追い焚きの時間、回数または加熱量の何れかから検出し、各単位期間の全てで追い焚きの時間、回数または加熱量が少ない場合に、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断するようにしたことを特徴とする請求項3または4に記載のヒートポンプ式給湯装置。
【請求項8】
給水管と出湯管が接続されて湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクの側面に複数もうけられた貯湯温度センサと、この貯湯タンク下部から取り出した湯水を加熱して貯湯タンク上部に戻すヒートポンプ式加熱手段と、所定の時間帯に前記ヒートポンプ式加熱手段による沸き上げを開始し、前記ヒートポンプ式加熱手段への入水温度が所定の沸き終い温度以上となると沸き上げを終了すると共に、前記貯湯温度センサの検出温度に基づいて中温水の発生状況を判断する制御手段とを備え、前記制御手段は、過去所定期間にわたり中温水の発生量が少ないと判断した場合は、前記所定の沸き終い温度を低い温度に変更するようにしたことを特徴とするヒートポンプ式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87968(P2013−87968A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225690(P2011−225690)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)