説明

ピッキングシステム

【課題】効率良くピッキング作業ができるピッキングシステムを提供する。
【解決手段】ピッキングシステム1は、複数のゾーンからなる棚手段3を備える。各ゾーンは、ピッキング対象物である商品を保管する複数の間口2を有する。ピッキングシステム1は、間口2に対して商品を割り付ける制御手段10を備える。制御手段10は、グループ名データ、割り付け範囲指定用のゾーン位置データおよび割り付け範囲指定用の間口位置データを含むものであって商品特性に対応するグループ情報に基づいて、間口2に対して商品を割り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、効率良くピッキング作業ができるピッキングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたピッキングシステムが知られている。
【0003】
この従来のピッキングシステムは、ピッキングされる商品が保管される複数の間口を有するゾーンが並んで構成された棚手段と、間口からピッキングされた商品が収納される集品容器を棚手段に沿って搬送する互いに平行な2つの搬送手段と、これら2つの搬送手段をそれぞれ個別に制御する制御手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−1152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、このようなピッキングシステムにおいては、制御手段が間口に対して商品を割り付けるが、この間口への商品の割り付けによってピッキング作業性が左右され、効率良くピッキング作業ができないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、効率良くピッキング作業ができるピッキングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のピッキングシステムは、ピッキングされる商品が保管される複数の間口を有するゾーンが並んで構成された棚手段と、前記間口に対して商品を割り付ける制御手段とを備え、前記制御手段は、グループ名データ、割り付け範囲指定用のゾーン位置データおよび割り付け範囲指定用の間口位置データを含むものであって商品特性に対応するグループ情報に基づいて、前記間口に対して商品を割り付けるものである。
【0008】
請求項2記載のピッキングシステムは、請求項1記載のピッキングシステムにおいて、1つのグループ情報に対して複数の商品を設定することが可能となっているものである。
【0009】
請求項3記載のピッキングシステムは、請求項1または2記載のピッキングシステムにおいて、制御手段による割り付け後に、手動操作によって割り付けの変更が可能となっているものである。
【0010】
請求項4記載のピッキングシステムは、請求項1ないし3のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、制御手段は、グループ情報のゾーン位置データおよび間口位置データから求められる指定間口数が前記グループ情報に対応する商品特性を有する商品の合計間口数を超えるか否かを判断し、その合計間口数を超える場合には異常を報知するものである。
【0011】
請求項5記載のピッキングシステムは、請求項1ないし4のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、制御手段は、グループ情報設定有り商品の割り付け後に、グループ情報設定無し商品の割り付けを行うものである。
【0012】
請求項6記載のピッキングシステムは、請求項1ないし5のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、ゾーン位置データはゾーンナンバであり、間口位置データは間口アドレスであるものである。
【0013】
請求項7記載のピッキングシステムは、請求項1ないし6のいずれか一記載のピッキングシステムにおいて、グループ情報は、少なくとも重量品および大量品に対して設定され、制御手段は、作業者がピッキングしやすい間口に対して前記少なくとも重量品および大量品を割り付けるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、制御手段は、グループ名データ、割り付け範囲指定用のゾーン位置データおよび割り付け範囲指定用の間口位置データを含むものであって商品特性に対応するグループ情報に基づいて間口に対して商品を割り付けるため、ピッキングされる商品の商品特性に対応して割り付けを行うことができ、効率良くピッキング作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るピッキングシステムの概略平面図である。
【図2】同上ピッキングシステムのブロック図である。
【図3】同上ピッキングシステムの棚手段の各ゾーンのピッキング側からみた概略正面図である。
【図4】同上ピッキングシステムの低頻度品用棚手段の各ゾーンのピッキング側からみた概略正面図である。
【図5】同上ピッキングシステムの全体フローチャートである。
【図6】同上ピッキングシステムの自動割付フローチャートである。
【図7】同上ピッキングシステムの表示手段に表示された棚条件設定画面の例を示す図である。
【図8】同上ピッキングシステムの表示手段に表示された商品情報入力画面の例を示す図である。
【図9】同上ピッキングシステムの表示手段に表示された棚割り付け画面の例を示す図である。
【図10】同上ピッキングシステムによる割り付け例を説明するための説明図である。
【図11】同上ピッキングシステムによる割り付け例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1において、1はピッキングシステムで、このピッキングシステム1は、作業者Xによってピッキングされる商品が保管される複数の間口(保管部)2を有する複数、すなわち例えば12のゾーン(棚)が長手方向に直線状に並んで構成された水平方向長手状の棚手段3を備えている。
【0018】
また、ピッキングシステム1は、作業者Xによってピッキングされる低頻度品である商品が保管される複数の低頻度品用間口(保管部)6を有する複数、すなわち例えば4つの低頻度品用ゾーン(棚)によって構成された低頻度品用棚手段7を備えている。
【0019】
さらに、ピッキングシステム1は、間口2および低頻度品用間口6からピッキングされた商品が投入収納される上面開口状の箱形状をなす集品容器を棚手段3の長手方向に沿った搬送方向にタクト搬送する搬送手段8を備えている。
【0020】
搬送手段8は、1本のコンベヤラインからなるものでもよく、互いに平行な2本或いは3本以上のコンベヤラインからなるものでもよい。また、例えばピッキングされた商品を集品容器内に自動投入する投入手段等を設けた構成等でもよい。なお、搬送手段8の搬送方向下流端付近に低頻度品用棚手段7が配設されている。
【0021】
ここで、棚手段3は、図1に示されるように、ゾーンナンバ(以下、「ゾーンNo」という)が搬送手段8の搬送方向上流側から搬送方向下流側に向かって順に「1」〜「12」と決められた12のゾーンにて構成されている。そして、各ゾーンごとに、作業者Xが一人ずつ配置されている。
【0022】
各ゾーンは、複数列複数段、すなわち例えば6列4段(合計24)の間口2にて構成されている。つまり、図3に示されるように、各ゾーンは、間口アドレス(以下、「アドレス」という)が下段側から上段側に向かって順に「01」〜「24」と決められた24の間口2にて構成されている。なお、同じ段のアドレスは、正面視で左端側ほど若い数字となっている。
【0023】
低頻度品用棚手段7は、図1に示されるように、ゾーンNoが搬送手段8側に向かって順に「13」〜「16」と決められた4つの低頻度品用ゾーンにて構成されている。これら4つの低頻度品用ゾーンに対して、例えば1人の作業者Xが配置されている。
【0024】
各低頻度品用ゾーンは、複数列複数段、すなわち例えば3列4段(合計12)の低頻度品用間口6にて構成されている。つまり、図4に示されるように、各低頻度品用ゾーンは、アドレスが下段側から上段側に向かって順に「01」〜「12」と決められた12の間口である低頻度品用間口6にて構成されている。なお、同じ段のアドレスは、正面視で右端側ほど若い数字となっている。
【0025】
なお、棚手段3は例えば流動棚で構成され、また棚手段である低頻度品用棚手段7は例えば固定棚で構成されている。また、間口2,6のロケーションは、ゾーンNoおよびアドレスによって構成されるものである。
【0026】
また、ピッキングシステム1は、図1および図2に示すように、ゾーンNoおよびアドレスからなるロケーションを決定して使用ゾーンの各間口2,6に対して商品を自動的に割り付ける割り付け処理等を行う処理部である制御手段10を備えている。そして、制御手段10には、搬送手段8、間口側指示手段(間口側点灯手段)11、集品容器側指示手段(集品容器側点灯手段)12、通信手段13、記憶手段14、表示手段15および入力手段16等が電気的に接続されている。
【0027】
間口側指示手段11は、各作業者Xに対して次にピッキングすべき商品が保管されている間口2,6を指示(報知)するものである。間口側指示手段11は、例えば各間口2,6ごとに設けられたLEDランプ等である。
【0028】
集品容器側指示手段12は、各作業者Xに対して間口2,6からピッキングした商品を投入収納すべき集品容器を指示(報知)するものである。集品容器側指示手段12は、例えば集品容器の各停止位置ごとに設けられたLEDランプ等である。
【0029】
通信手段13は、例えば受注センターに設置されたホストコンピュータ等のコンピュータ装置との間で情報をやり取りするためのものである。記憶手段14は、例えば受注情報および商品情報等の各種情報を記憶するものである。表示手段15は、例えば各種情報等を表示する液晶モニタ等である。入力手段16は、例えば各種情報等を入力するためのキーボードおよびマウス等である。なお、入力表示手段である液晶式のタッチパネルで、表示手段15および入力手段16を構成するようにしてもよい。
【0030】
次に、上記ピッキングシステム1の作用等を図面を参照して説明する。
【0031】
まず図5の全体フローチャートを参照しつつ、ピッキングシステム1による商品の割り付けについて説明すると、ステップ1において、棚手段3に関する条件である棚条件に変更がある場合には、割り付け作業者(情報設定作業者)は、棚条件の入力を行う(ステップ2)。
【0032】
次いで、割り付け作業者は、ピッキングされる商品の特性である商品特性に対応するグループ情報の入力を行なう(ステップ3)。グループ情報は、少なくとも、グループ名データ(例えば「重量品1」)、割り付け範囲指定用のゾーン位置データ(例えば「ゾーンNo:1〜3」、および、割り付け範囲指定用の間口位置データ(例えば「アドレス:08〜09」)を含むものである。
【0033】
このとき、割り付け作業者は、グループ情報をこのグループ情報に対応する商品特性を有する商品の商品名データに関連付けて入力する。またこのとき、割り付け作業者は、特定の間口2,6に割り付けられるべき商品については、固定情報(例えば「固定ゾーンNo:1、固定アドレス:21」)をこの固定情報に対応する商品の商品名データに関連付けて入力する(ステップ3)。
【0034】
こうして入力されて設定された設定情報(グループ情報、固定情報)は、商品名をキーとしてマスタ管理される。なお後に変更があった場合は、設定マスタも更新される。
【0035】
次いで、割り付け作業者は、受注センターに設置されたホストコンピュータから受注情報を受信した後(ステップ4)、この受信した受注情報に応じて商品情報の入力を必要に応じて行なう(ステップ5)。
【0036】
次いで、割り付け作業者は、間口2,6に対する商品の自動割り付けの実行後、つまり制御手段10によるグループ情報等に基づく自動割り付け後(ステップ6)、必要に応じて、入力手段16の操作に基づく手動操作によって割り付けの変更(ロケーション移動)を行う(ステップ7)。
【0037】
その後、こうして設定された割り付け情報(ロケーション情報)が、受注センターに設置されたホストコンピュータに向けて送信される(ステップ8)。
【0038】
次に、図7を参照して棚条件の設定について説明する。
【0039】
図7は、ピッキングシステム1の表示手段15に表示された棚条件設定画面の例を示す図である。
【0040】
図7の画面は、商品のカテゴリ(例えば「冷蔵」、「冷凍」、「一般品」等)を表示するカテゴリ表示部21と、このカテゴリ表示部21に表示されるカテゴリを変更するための変更用ボタン22とを有している。
【0041】
また、図7の画面は、低頻度棚割り付け率(低頻度品用間口割り付け率)を表示する割り付け率表示部23と、この割り付け率表示部23に表示される低頻度棚割り付け率を変更するための「割り付け率変更」ボタン24とを有している。「割り付け率変更」ボタン24をクリック(操作)すると、割り付け率表示部23に低頻度棚割り付け率を入力することが可能となる。
【0042】
例えば低頻度棚割り付け率が「3」%に入力設定された場合には、受注行数(受注ピッキング作業数)が全受注行数に対して3%以内である商品は、棚手段3のゾーンの間口2には割り付けられず、低頻度品用棚手段7の低頻度品用ゾーンの低頻度品用間口6に割り付けられる。なお、受注行数は、作業者Xによるピッキング作業数(ピッキング単位数)であり、例えば作業者Xがピッキングする商品個数とは異なる場合もある。
【0043】
さらに、図7の画面は、間口2のアドレスおよび割り付け順(割り付ける順番を示す数字)を表示する間口対応表示部26と、この間口対応表示部26に表示される割り付け順を変更するための「割り付け順変更」ボタン27とを有している。
【0044】
そして、例えば禁止棚(禁止間口)の設定・解除を行う場合には、割り付け作業者は、まず、設定・解除したい間口対応表示部26上の間口部分をクリックする。すると、「禁止棚設定」の項目25aおよび「禁止棚解除」の項目25bが表示される。その後、割り付け作業者は、設定したい項目を選択してクリックする。「禁止棚設定」の項目25aをクリックした場合には対応する間口2が禁止棚の状態となり、「禁止棚解除」の項目25bをクリックした場合には対応する間口2が禁止棚解除の状態となる。
【0045】
また、例えば割り付け順を変更する場合には、割り付け作業者は、まず、「割り付け順変更」ボタン27をクリックする。すると、設定されていた割り付け順がクリアされる。次いで、割り付け作業者は、割り付けしたい順に間口対応表示部26上の間口部分をクリックする。すると、割り付け順が間口対応表示部26に昇順に表示される。間口対応表示部26上のすべての間口部分(禁止棚がある場合にはその間口部分を除く)をクリックすると、割り付け順が変更不可の状態となる。なお、各ゾーンごとに異なる割り付け順を設定可能となっているが、すべてのゾーンに対して共通の割り付け順しか設定できない構成でもよい。
【0046】
また、図7の画面は、棚手段3のゾーンNoおよび使用可能間口数(割り付け可能な間口数)を表示する複数のゾーン選択ボタン28と、各ゾーン選択ボタン28ごとに設けられたチェックボックス29と、使用ゾーンを変更するための「使用ゾーン変更」ボタン30と、選択中の一のゾーンのゾーンNoを表示する選択ゾーン表示部31とを有している。
【0047】
そして、割り付け作業者が「使用ゾーン変更」ボタン30をクリックすると、チェックボックス29にチェックを入力することが可能となる。その後、割り付け作業者は、使用するゾーンに対応するチェックボックス29にはチェックを入力し、使用しないゾーンに対応するチェックボックス29からチェックを外す。
【0048】
そして、このような図7の画面において、入力内容が変更された場合には、「変更あり」の項目32が表示される。そして、割り付け作業者が「設定」ボタン33をクリックすると、変更後の入力内容が設定される。割り付け作業者が「キャンセル」ボタン34をクリックすると、変更前の入力内容が図7の画面に表示される。なお、「設定」ボタン33か、「キャンセル」ボタン34がクリックされた後においては、低頻度棚割り付け率および使用ゾーンが変更不可の状態となる。
【0049】
次に、図8を参照して商品情報の入力について説明する。
【0050】
図8は、ピッキングシステム1の表示手段15に表示された商品情報入力画面の例を示す図である。
【0051】
この図8の商品情報入力画面(情報設定用画面)において、商品特性が他の商品とは異なる特殊な商品に関し、特殊な商品の受注情報に対して、その商品特性に対応するグループ情報を関連付けて設定することが可能となっている。なお、1つのグループ情報に対して、商品特性が同一または類似する複数の商品を設定することが可能となっている。
【0052】
図8の画面は、受信した受注情報および入力された商品情報を一覧表にして表示する情報表示部41を有している。
【0053】
この情報表示部41は、最後に受信した情報を対象データの初期表示とするが、変更用ボタン42の操作に基づく対象データの選択で過去4回の情報を表示することが可能である。また、表示条件は、「全件」または「グループ登録なし」を選択し、「表示」ボタン43をクリックすると、対象データが一覧表示される。
【0054】
そして、情報表示部41に受注情報が表示された後、割り付け作業者は、その受信した受注情報に応じて商品情報の入力を必要に応じて行なう。
【0055】
つまり、商品特性が他の商品とは異なる特殊な商品に関してのみ、その商品の受注情報に対応するように、グループ情報および固定情報を入力する。ただし、商品名をキーとして既にマスタ管理されている商品に関しては、自動で入力される。また、間口数については、受注行数および所定の係数等に応じて決定された間口数が自動で入力されるが、手動で入力するようにしてもよい。なお、入力なしの商品はグループ情報なし、間口数=0として処理される。
【0056】
すなわち例えばマスタ管理されていない場合やマスタ管理を変更する場合等には、割り付け作業者は、一覧表の「グループ」の欄にグループ名データ(例えば「大量品1」、「重量品1」等)や「固定」の項目を入力し、「固定」の項目を入力したときには一覧表の「固定ゾーンNo」および「固定アドレス」の欄にゾーンNoおよびアドレスも入力する。
【0057】
このとき、一覧表の「グループ」の欄のうち、グループ名データを入力したい空欄部分でクリックすると、予め設定されたグループ情報のグループ名データを含むリスト45が表示され、「グループ」(グループ名データ)や「固定」を選択して入力する。
【0058】
また、リスト45にないグループ情報を入力する場合には、「グループ管理」ボタン46をクリックすると、所定のグループ管理画面が表示され、このグループ管理画面中の「追加」ボタン47をクリックして新たなグループ情報を追加する。つまり、「追加」ボタン47の操作で表示された追加画面において、割り付け作業者は、グループ名データ(例えば「大型品1」)、割り付け範囲指定用のゾーン位置データ(例えば「ゾーンNo:1〜3」)および割り付け範囲指定用の間口位置データ(例えば「アドレス:10〜13」)を入力する。なお、グループ管理画面中の「変更」ボタン48、「更新」ボタン49、「キャンセル」ボタン50、「削除」ボタン51等を操作してグループ情報の変更や削除等も可能である。また、複数のグループ情報が設定された場合において、各グループ情報間で重複した間口を指定することは不可能である。
【0059】
そして、このような図8の画面において、商品情報の入力が完了した場合には、割り付け作業者は、「設定」ボタン53をクリックする。すると、情報表示部41に表示中の一覧表の入力内容が設定される。
【0060】
このとき、制御手段10は、入力内容のチェックを行い、異常検出時にはメッセージボックスを出力する。「キャンセル」ボタン54の操作で、設定前の情報を再表示する。
【0061】
具体的には、制御手段10は、固定アドレスの重複チェックを行い、重複がある場合には異常を報知する。また、制御手段10は、グループ情報のゾーン位置データおよび間口位置データから求められる指定間口数がグループ情報に対応する商品特性を有する受注商品の合計間口数を超えるか否かを判断し、その合計間口数を超える場合には異常を報知する。
【0062】
次に、図6の自動割付フローチャート、図10および図11を参照して間口への商品の割り付けについて具体的に説明する。
【0063】
まず、制御手段10は、固定情報に対応する固定ロケーション商品(固定情報設定有り商品)の割り付けを行う(ステップ1)。
【0064】
例えば、制御手段10は、固定情報に基づいて、「ア」の商品をゾーンNoが「1」のゾーンにおけるアドレスが「21」の間口に割り付ける(図10、図11参照)。
【0065】
次いで、制御手段10は、グループ情報設定有り商品(グループ情報によりグループ分けされた商品)の割り付けを行う(ステップ2)。
【0066】
割り付け順については、(1)受注行数の多い商品、(2)取り扱い難易度の高い商品、の順で割り付けを行う。また、ロケーションの決定については、(1)ゾーン設定範囲(割り付け範囲指定用のゾーン位置データ)から合計受注行数(トータル行数)の少ないゾーン、(2)アドレス設定範囲(割り付け範囲指定用の間口位置データ)の空間口から割り付け順の最も早いアドレス、の順でロケーションの決定を行う。
【0067】
例えば、制御手段10は、グループ情報に基づいて、間口数「3」である「イ」の商品(「大量品1」)を、ゾーンNoが「2」のゾーンにおけるアドレスが「10」の間口、ゾーンNoが「3」のゾーンにおけるアドレスが「10」の間口、ゾーンNoが「1」のゾーンにおけるアドレスが「10」の間口にそれぞれ順に割り付ける(図10、図11参照)。その後、図10および図11に示されるように、制御手段10は、グループ情報に基づいて、「ウ」、「エ」の商品(「重量品1」)の割り付けを行う。
【0068】
次いで、制御手段10は、グループ情報設定無し商品(固定情報およびグループ情報が設定されていない商品)の割り付けを行う(ステップ3)。
【0069】
割り付け順については、(1)受注行数の多い商品、(2)取り扱い難易度の高い商品、の順で割り付けを行う。また、ロケーションの決定については、(1)全体の使用ゾーンから合計受注行数(トータル行数)の少ないゾーン、(2)空間口から割り付け順の最も早いアドレス、の順でロケーションの決定を行う。
【0070】
例えば図10および図11に示されるように、制御手段10は、「オ」、「カ」、「キ」の商品の割り付けを行う。
【0071】
こうして、受注した全商品のロケーションが決定して割り付けの設定が完了するが、この制御手段10による自動割り付け後に、割り付け作業者の手動操作によってその割り付けの変更が可能となっている。
【0072】
ここで、図9は、ピッキングシステム1の表示手段15に表示された棚割り付け画面の例を示す図である。なお、この図9の画面で手動操作による割り付けの変更が可能である。
【0073】
この図9の画面は、設定された割り付け情報を表示する情報表示部61を有している。この情報表示部61は、最後に受信した情報を対象データの初期表示とするが、変更用ボタン62の操作に基づく対象データの選択で過去4回の情報を表示することが可能である。
【0074】
また、図9の画面中の「棚割付実行」ボタン63をクリックすると、設定された商品情報(グループ情報および固定情報)に基づいて自動割り付けが実行され、データのステータスが「割付済」となる。
【0075】
さらに、自動割り付け後、「棚移動開始」ボタン64をクリックすると、手動による棚移動つまり割り付けの変更(ロケーションの変更)が可能な状態となる。
【0076】
この状態時において、図9の画面上の移動元の間口部分をクリックした後、図9の画面上の移動先の間口部分をクリックすれば、ロケーションが入れ替わる。このとき、ゾーンを変更する場合は、ゾーン選択ボタン65をクリックしてから、移動元・移動先の間口部分をクリックする。なお、棚移動は、繰り返し操作することが可能である。
【0077】
必要な棚移動の完了後、「棚移動終了」ボタン66をクリックすると、変更後の割り付け情報(ロケーション情報)が設定される。そして、「ロケーション情報送信」ボタン67をクリックすると、設定された割り付け情報(ロケーション情報)がホストコンピュータに向けて送信される。
【0078】
そして、このようなピッキングシステム1によれば、制御手段10は、商品特性が他の商品とは異なる特殊な商品に関しては、その特殊な商品に関する受注情報に関連付けられて入力設定されたグループ情報に基づいて、ゾーンNoおよびアドレスからなるロケーションを決定して間口2,6に対する商品の割り付けを行うため、ピッキングされる商品の商品特性に対応して割り付けを行うことができ、効率良くピッキング作業ができ、しかも、ピッキングミスを軽減できる。
【0079】
すなわち例えば従来の構成では、商品には作業係数の設定しかないため、商品特性に合わせて商品のロケーションをコントロールすることができない。このため、重量品が棚上段や下流ゾーンに割り付けられる場合や、互いに類似する類似品が隣り合う間口に割り付けられる場合がある。重量品が棚上段になると商品の取扱いを慎重にしてピッキング作業性が悪くなり、重量品が下流ゾーンになると集品容器内での商品の上下入れ替えが発生してピッキング作業性が悪くなり、類似品が隣り同士に並ぶとピックミスが発生しやすくなる。
【0080】
これに対し、このピッキングシステム1では、重量品、類似品や大量品等の商品についてその商品特性に合わせてロケーションをコントロールできるため、従来のような問題がなく、効率良くピッキング作業ができ、しかも、ピッキングミスを軽減できる。
【0081】
また、制御手段10は、受注情報より発注行数の少ない商品から低頻度品の指定を行う機能を有し、低頻度品の設定を行うことで、低頻度品の商品を、棚手段3のゾーンの間口2ではなく、低頻度品用棚手段7の低頻度品用ゾーンの低頻度品用間口6に割り付けることができ、しかも、低頻度棚割り付け率を指定することもできる。
【0082】
なお、上記実施の形態では、ピッキングした商品を搬送手段8上の集品容器内に直接投入するものについて説明したが、例えば、ピッキングした商品を投入手段上に載せ、この投入手段の作動で商品が集品用センタコンベヤ上に投入されるものや、ハンディターミナルおよび台車等を使用するもの等でもよい。
【0083】
また、ピッキング作業において大量ピックの受注商品が突発的に出ることがあり、この指示で大量商品に関するピッキング作業の時間が長くなり、他の作業ゾーンに待ち時間を発生させる要因となる。そこで、予め設定した点数以上のピック指示データを抜き出し、別の場所で事前ピックを行い、専用ゾーンから投入合流する機能を設けて、全体の待ち時間を短縮するようにしてもよい。なお、事前ピックは、例えばリストピックや、ハンディターミナルによるピッキング等である。
【0084】
さらに、グループ情報のグループ名データは、例えば「大量品」、「重量品」、「割れ物」、「大型品」、「異型品」、「類似品」等であるが(図8参照)、これに限られるものではない。
【0085】
また例えばピッキングシステム1は、グループ情報が少なくとも重量品および大量品に対して設定されかつこの際に制御手段10は作業者が通常の立ち姿勢のままピッキングしやすい間口に対して少なくとも重量品および大量品を割り付ける構成等でもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 ピッキングシステム
2 間口
3 棚手段
10 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキングされる商品が保管される複数の間口を有するゾーンが並んで構成された棚手段と、
前記間口に対して商品を割り付ける制御手段とを備え、
前記制御手段は、グループ名データ、割り付け範囲指定用のゾーン位置データおよび割り付け範囲指定用の間口位置データを含むものであって商品特性に対応するグループ情報に基づいて、前記間口に対して商品を割り付ける
ことを特徴とするピッキングシステム。
【請求項2】
1つのグループ情報に対して複数の商品を設定することが可能となっている
ことを特徴とする請求項1記載のピッキングシステム。
【請求項3】
制御手段による割り付け後に、手動操作によって割り付けの変更が可能となっている
ことを特徴とする請求項1または2記載のピッキングシステム。
【請求項4】
制御手段は、グループ情報のゾーン位置データおよび間口位置データから求められる指定間口数が前記グループ情報に対応する商品特性を有する商品の合計間口数を超えるか否かを判断し、その合計間口数を超える場合には異常を報知する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のピッキングシステム。
【請求項5】
制御手段は、グループ情報設定有り商品の割り付け後に、グループ情報設定無し商品の割り付けを行う
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のピッキングシステム。
【請求項6】
ゾーン位置データはゾーンナンバであり、間口位置データは間口アドレスである
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載のピッキングシステム。
【請求項7】
グループ情報は、少なくとも重量品および大量品に対して設定され、
制御手段は、作業者がピッキングしやすい間口に対して前記少なくとも重量品および大量品を割り付ける
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載のピッキングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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