説明

ピリピロペン誘導体の製造法

1,11位がアシルオキシ基であって、7位が水酸基であるピリピロペン誘導体の効率的な製造方法が開示される。この方法は、下記式B1で表される化合物の1位および11位の水酸基を、塩基存在下または非存在下にて、アシル化剤を用いて1〜3の工程数で選択的にアシル化する工程を含む。


【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本特許出願は、先に出願された日本国における特許出願である特願2010−44416号(出願日:2010年3月1日)に基づく優先権の主張を伴うものである。この先の特許出願における全開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【発明の背景】
【0002】
技術分野
本発明は、害虫防除剤として有用なピリピロペン誘導体の製造法に関するものであり、より詳細には、1位および11位にアシルオキシ基を有し、7位に水酸基を有するピリピロペン誘導体の製造法に関するものである。
【0003】
背景技術
1位および11位にアシルオキシ基を有し、7位が水酸基であるピリピロペン誘導体は、WO2006/129714に記載されるように、害虫に対して防除効果を示す化合物である。
【0004】
1位および11位にアシルオキシ基を有し、7位が水酸基であるピリピロペン誘導体の製造法としては、WO2006/129714および特開平8−259569号公報に、1,7,11−トリアシルオキシ体を原料とした非選択的なアシルオキシ基の加水分解によって生じる複数の生成物から精製または単離する方法が開示されている。
【0005】
また、特開平8−259569号公報には、ピリピロペン誘導体の合成に保護基を組み合わせて用いることが記載されており、Journal of Antibiotics, Vol. 49, No. 11, p. 1149 (1996)、Bioorganic Medicinal Chemistry Letter, Vol. 5, No. 22, p. 2683 (1995)、および特開平8−269065号公報には、保護基を利用して7位にアシル基を導入した合成例が開示されている。
【0006】
WO2009/022702には、保護基を利用して1,7,11−トリデアセチルピリピロペンから1,11−ジアシル−7−デアセチルピリピロペンを製造する方法が開示されている。
【0007】
これまでに知られている、1、11位にアシルオキシ基を有し、7位が水酸基であるピリピロペン誘導体の製造は、1,7,11位トリアシルオキシ体の非選択的な加水分解や、保護基を用いて多工程で製造する方法であるため、工業的製造においては製造コストの低減、収率の向上、精製・単離の簡便化または工程数の短縮等さらに製造効率を上げることが望まれている。
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、天然物として得られるピリピロペンA物質及びその類縁体(Pure Appl. Chem., vol.71, No6, pp.1059-1064, 1999.;WO94/09147;特開平8-239385号公報、特開平8-259569号公報、Bioorganic Medicinal Chemistry Letter 5巻22号2683頁1995年;WO2004/060065)から、容易に得られるトリデアシル体(特開平8-259569号公報、公開技2008-500997号)を用いて、1位と11位の水酸基を選択的に、直接、あるいは段階的にアシル化することによって、短工程で目的とする有用な1、11位ジアシルオキシ体を得ることにより、本発明を完成させた。
【0009】
1.本発明は、次式C:
【化1】

[式中、Rは、直鎖、分岐鎖または環状のC2-6アルキルカルボニル基(この基のアルキル部分が分岐鎖または環状であるときは、C3-6アルキルカルボニル基)を表す]
で表される化合物Cを製造する方法であって、
次式B1:
【化2】

で表される化合物B1の1位および11位の水酸基を塩基存在下または非存在下にアシル化剤を用いて1〜3の工程数で選択的にアシル化する工程を含む方法を提供するものである。
【0010】
2.本発明によれば、化合物B1から化合物Cを1つの工程数でアシル化することを特徴とする、前記1.に記載の方法が提供される。すなわち、この実施態様では、前記1.に記載の方法において、化合物B1の1位および11位の水酸基を1つの工程でアシル化することにより化合物Cを得る。
【0011】
3.また、本発明によれば、化合物B1の11位の水酸基をアシル化剤を用いて次式B2:
【化3】

[式中、Rは、前記1.における式Cで定義したとおりである]
で表される化合物B2を製造する工程および化合物B2の1位水酸基をさらにアシル化する工程からなる、2つの工程数でアシル化することを特徴とする、前記1.に記載の方法が提供される。すなわち、この実施態様では、前記1.に記載の方法において、化合物B1の11位の水酸基を、アシル化剤を用いてアシル化することにより、化合物B2を製造する工程、および化合物B2の1位の水酸基をさらにアシル化する工程からなる2つの工程でアシル化することにより化合物Cを得る。
【0012】
4.別の本発明の態様によれば、化合物B1の11位水酸基をアシル化することによって前記化合物B2を製造する工程、化合物B2の11位のアシル基を1位の水酸基に転移させることによって次式B3:
【化4】

[式中、Rは、前記1.における式Cで定義したとおりである]
で表される化合物B3を製造する工程、および化合物B3の11位の水酸基をアシル化する工程からなる、3つの工程数でアシル化することを特徴とする、前記1.に記載の方法が提供される。すなわち、この実施態様では、前記1.に記載の方法において、化合物B1の11位の水酸基をアシル化することによって化合物B2を製造する工程、化合物B2の11位のアシル基を1位の水酸基に転移させることによって化合物B3を製造する工程、および化合物B3の11位の水酸基をアシル化する工程からなる3つの工程でアシル化することにより化合物Cを得る。
【0013】
5.さらに本発明によれば、式B1の化合物を製造する工程として次式A1:
【化5】

[式中、A1、A7およびA11は、同一または異なっていてもよく、アセチル基またはプロピオニル基を表す]
で表される化合物A1の1位、7位および11位のアシル基を、塩基を用いて加水分解する工程を含む、前記1.〜4.に記載の方法が提供される。すなわち、この実施態様では、前記1.〜4.に記載の方法において、式B1の化合物を製造する工程として、化合物A1の1位、7位および11位のアシル基を、塩基を用いて加水分解する工程がさらに含まれる。
【0014】
6.また別の本発明の態様によれば、前記化合物Cを製造する方法であって、前記化合物B1の1位、11位、7位の水酸基をアシル化することによって、次式B4:
【化6】

[式中、Rは、前記で定義したとおりである]
で表される化合物B4を得た後、7位水酸基を選択的に脱アシル化する工程を含む、方法が提供される。
【0015】
本発明の態様によれば、前記1.〜5.の方法で製造される化合物Cを含有する反応液を減圧下に濃縮することによって得られる化合物Cの粗生成物に、適当な溶媒を加えることによってか、また前記1.〜5.の方法で製造される化合物Cを含有する反応液の酢酸エチル抽出液を濃縮することによってか、さらに選択される溶媒を加えることによって析出した化合物Cの溶媒和物結晶を単離精製する方法が提供される。
【0016】
本発明の別の態様によれば、化合物Cの溶媒和物結晶を単離精製する方法が提供され、該方法は、
(a)化合物Cを含有する反応液を、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロルメタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンからなる群から選択される有機溶媒で抽出処理し、得られた抽出液を乾燥した後または乾燥せずに濃縮する工程、
(b)化合物Cを含有する反応液を乾固することによって粗生成物を得た後に、該粗生成物を、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロルメタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、およびエタノールからなる群から選択される有機溶媒に室温または加温下で溶解する工程、または
(c)化合物Cを含有する反応液を乾固することによって粗生成物を得た後に、該粗生成物を、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロルメタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、およびエタノールからなる群から選択される有機溶媒に室温または加温下で溶解し、得られた溶解液に、ヘプタン、ヘキサン、およびシクロヘキサンからなる群から選択される貧溶媒を加える工程
を含んでなる。本発明の好ましい実施態様によれば、前記工程(a)は、(a’)化合物Cを含有する反応液を、酢酸エチルで抽出処理し、得られた抽出液を乾燥した後または乾燥せずに濃縮する工程とされる。本発明の他の好ましい実施態様によれば、前記工程(b)は、(b’)化合物Cを含有する反応液を乾固することによって粗生成物を得た後に、該粗生成物を、酢酸エチルに室温または加温下で溶解する工程とされる。本発明の他の好ましい実施態様によれば、前記工程(c)は、(c’)化合物Cを含有する反応液を乾固することによって粗生成物を得た後に、該粗生成物を、酢酸エチルに室温または加温下で溶解し、得られた溶解液にヘキサンを加える工程とされる。
【0017】
また別の本発明の態様によれば、化合物B1から化合物Cを製造する方法であって、化合物Cを含有する反応液から化合物Cを結晶化によって単離精製する工程を含む前記1.〜5.による方法が提供される。すなわち、この実施態様では、前記1.〜5.に記載の方法において、化合物Cを含有する反応液から、化合物Cを結晶化によって単離精製する工程がさらに含まれる。
【0018】
本発明によって、害虫防除剤として有用な1、11位にアシルオキシ基を有し、7位が水酸基であるピリピロペン誘導体を短工程で効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】は、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの酢酸エチル溶媒和結晶について測定された粉末X線パターンを表す。
【発明の具体的説明】
【0020】
製造方法
本明細書において、置換基または置換基の一部としての「アルキル」という用語はそれぞれ、特に定義されていない限り、直鎖状、分岐鎖状、環状またはそれらの組み合わせのアルキルを意味する。
【0021】
本明細書において、置換基に付される「Ca-b」との記号は、その置換基に含まれる炭素原子の数がa個からb個までであることを意味する。また、「Ca-bアルキルカルボニル」という場合の「Ca-b」とは、カルボニル部分の炭素原子を除いた、アルキル部分の炭素原子の数がa個からb個までであることを意味する。
【0022】
Rが表す、直鎖、分岐鎖または環状のC2-6アルキルカルボニル基(この基のアルキル部分が分岐鎖または環状であるときは、C3-6アルキルカルボニル基)の具体例としては、シクロプロパンカルボニル基、プロピオニル基等が挙げられる。
【0023】
本発明の別の好ましい実施態様としては、アシル化を塩基非存在下に行う、前記1.〜5.に記載の方法が挙げられる。
【0024】
本発明の好ましい実施態様としては、化合物B1の1位および11位の水酸基をアシル化する際に用いる塩基が2,4,6-コリジンまたは2,6-ルチジンである、前記1.〜5.に記載の方法が挙げられる。
【0025】
本発明の別の好ましい実施態様としては、化合物B1に対してアシル化剤を2.0〜5.0等量使用する、前記2.に記載の方法が挙げられる。
【0026】
本発明の別の好ましい実施態様としては、使用する溶媒が化合物B2を製造する工程と化合物B2の1位水酸基をさらにアシル化する工程とで異なることを特徴とする、前記3.に記載の方法が挙げられる。
【0027】
本発明の別の好ましい実施態様としては、化合物B2から化合物B3を製造する工程を塩基の存在下に行うことを特徴とする、前記4.に記載の方法が挙げられる。
【0028】
本発明の別のさらに好ましい実施態様としては、化合物B2から化合物B3を製造する工程を塩基として1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の存在下に行うことを特徴とする、前記4.に記載の方法が挙げられる。
【0029】
本発明のさらに好ましい実施態様としては、RにおけるC2-6アルキルカルボニル基が、環状のC3-6アルキルカルボニル基であり、より好ましくはシクロプロパンカルボニル基である。
【0030】
本発明の好ましい実施態様では、前記3.に記載の方法において、化合物B2を製造する工程において化合物B1に対して1.0〜3.0等量の塩基が使用され、該工程と化合物B2の1位水酸基をさらにアシル化する工程とを併せて合計2.0〜4.5等量、より好ましくは2.0〜3.0等量の塩基が使用される。
【0031】
本発明の好ましい実施態様では、前記1.〜4.に記載の方法において、化合物B1に対して2.0〜5.0等量のアシル化剤が使用される。
【0032】
本発明の好ましい実施態様では、前記3.に記載の方法において、化合物B2を製造する工程において化合物B1に対して1.0〜3.5等量のアシル化剤が使用され、該工程と化合物B2の1位水酸基をさらにアシル化する工程とを併せて合計2.0〜4.5等量のアシル化剤が使用される。
【0033】
本発明のまた別の好ましい実施態様としては、化合物B1から化合物Cを製造するための中間体化合物として化合物B2を利用する方法が挙げられる。すなわち、この実施態様では、化合物Cの製造における化合物B2の使用が提供される。
【0034】
本発明のまた別の好ましい実施態様としては、化合物B1から化合物Cを製造するための中間体化合物として化合物B2および化合物B3を利用する方法が挙げられる。すなわち、この実施態様では、化合物Cの製造における化合物B3の使用が提供される。
【0035】
本発明を以下のスキームに沿ってさらに詳細に説明する。
【化7】

[前記のスキームにおいて、A1,A7、A11、およびRは、前記で定義したとおりである]
【0036】
また、前記スキームに示される各工程における生成物は、後処理または単離することなく、次の工程に用いても良い。
【0037】
1-1:化合物A1からの化合物B1の製造
化合物A1は、例えば、Pure Appl. Chem., vol.71, No6, pp.1059-1064, 1999.;特開平8-239385号公報、特開平6-184158号公報、WO2004/060065、特開平8-259569号公報、またはBioorganic Medicinal Chemistry Letter 5巻22号2683頁に記載の方法で得ることができる。
【0038】
なお、化合物A1としてピリピロペンAを製造原料とする場合は、有機合成化学協会誌 (1998), 56巻6号,478-488頁または、WO94/09147に記載される方法によって製造されるピリピロペンAを用いることができる。
【0039】
化合物B1としては、例えば特開平8-259569号公報、公開技2008-50997に記載の方法による誘導体を用いることもできる。
【0040】
化合物A1から化合物B1を製造する方法としてはWO2009/022702に記載される方法が挙げられ、化合物A1の1位、7位、11位のアシル基を塩基存在下に加水分解することによって化合物B1を製造することができる。
【0041】
詳細には、使用可能な溶媒としては、メタノールなどの炭素数1〜4のアルコール溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリルなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、または、水、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0042】
使用可能な塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなどの無機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert-ブトキシカリウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のアルコキシド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ヒドラジン、グアニジンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
【0043】
塩基の使用量は、化合物A1に対して0.01〜4.5等量用いることが好ましく、反応温度は、好ましくは−20℃〜50℃の範囲であり、反応時間は、好ましくは0.5時間〜72時間の範囲である。
【0044】
2-1:化合物B1からの化合物Cの製造
(1)化合物B1から化合物Cを直接製造する工程
前記2.の化合物B1から化合物Cを製造する方法において使用可能な溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチル−2−ピペラジノン、N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、およびこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは非プロトン性極性有機溶媒が挙げられる。より好ましくは、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミドであり、特に好ましくはN−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミドである。
【0045】
前記2.の方法は、塩基非存在下に行うことが好ましいが、塩基存在下に行う場合の使用可能な塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなどの無機塩基、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0] ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0] ノナ−5−エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、グアニジン、ルチジン、コリジン、2,2’−ビピリジル、トリフェニルアミン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、2,2’−ビピリジル、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなど挙げられ、より好ましくは、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンが挙げられ、特に好ましくは、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジンが挙げられる。
【0046】
塩基を使用する場合の塩基の使用量は、好ましくは化合物B1に対して2.0〜4.5等量であり、より好ましくは2.0〜3.0等量である
【0047】
1位および11位へのR基の導入は、目的とするRに対応するアシル化剤としてはROH、RCl、(R)2O、または混合酸無水物、好ましくは、RCl、(R)2Oを使用し、塩基の存在下または非存在下、またはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、ジピリジルジスルフィド、ジイミダゾイルジスルフィド、1,3,5−トリクロロベンゾイルクロリド、1,3,5−トリクロロベンゾイル無水物、PyBop、PyBropなどの縮合剤を用いることによっても行うことができ、塩基存在下または非存在下にRClまたは、(R)2Oを使用して実施するのが好ましい。
【0048】
より好ましいアシル化剤としては、シクロプロパンカルボニルクロライド、ブチリルクロライド、無水シクロプロパンカルボン酸などが挙げられる。
【0049】
アシル化剤の使用量は、好ましくは化合物B1に対して2.0〜5.0等量であり、より好ましくは2.2〜4.5等量であり、これを一度にあるいは2〜5回に分けて使用することが挙げられる。
【0050】
反応温度は、−20℃〜50℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは−10℃〜50℃、さらに好ましくは−10℃〜室温である。反応時間は、0.1時間〜7日間の範囲とすることが好ましく、3時間〜4日間の範囲とすることがより好ましい。
【0051】
本方法によれば化合物B1から1つの工程数で化合物Cを収率40%以上で得ることができる。
【0052】
(2)化合物B1から化合物B2を製造する工程
前記3.または4.の化合物B1から化合物B2を製造する方法において使用可能な溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチル−2−ピペラジノン、N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、およびこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは非プロトン性極性有機溶媒が挙げられる。特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトアミドである。
【0053】
塩基は用いなくても反応を実施することはできるが、塩基を用いる場合の使用可能な塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、ナトリウムt−ブチラート(NaOt−Bu)、カリウムメチラート(KOMe)、酢酸カリウム(KOAc)、ナトリウムメチラート(NaOMe)、水酸化セシウム一水和物(CsOH.HO)、リチウムメチラート(LiOMe)およびリチウムt−ブチラート(LiOt−Bu)などの無機塩基、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0] ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0] ノナ−5−エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、グアニジン、ルチジン、コリジン、2,2’−ビピリジル、トリフェニルアミン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、2,2’−ビピリジル、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなど挙げられ、より好ましくは、トリエチルアミン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンが挙げられ、特に好ましくは、トリエチルアミン、2,6−ルチジンが挙げられる。
【0054】
基Rとして導入されるアシル化剤としては、ROH、RCl、(R)2O、または混合酸無水物、好ましくは、RCl、(R)2Oまたは混合酸無水物を使用し、塩基の存在下または非存在下、またはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、ジピリジルジスルフィド、ジイミダゾイルジスルフィド、1,3,5−トリクロロベンゾイルクロリド、1,3,5−トリクロロベンゾイル無水物、PyBop、PyBropなどの縮合剤を用いることによって行うことができ、塩基存在下または非存在下にRClまたは、(R)2Oを使用して実施するのが好ましい。
【0055】
より好ましいアシル化剤としては、シクロプロパンカルボニルクロライド、無水シクロプロパンカルボン酸、シクロプロパンカルボン酸・ピバリン酸無水物などが挙げられる。
【0056】
アシル化剤の使用量は、好ましくは化合物B1に対して1.0〜3.5等量であり、より好ましくは1.1〜3.0等量である。
【0057】
塩基を使用する場合の塩基の使用量は、好ましくは化合物B1に対して1.0〜3.0等量であり、より好ましくは1.1〜2.5等量である。
【0058】
反応温度は、−20℃〜60℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは−10℃〜60℃である。反応時間は、0.1時間〜7日間の範囲とすることが好ましく、より好ましくは45分〜48時間である。
【0059】
(3)化合物B2から化合物Cを製造する工程
前記3.の化合物B2から化合物Cを製造する方法において使用可能な溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチル−2−ピペラジノン、N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、およびこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは非プロトン性極性有機溶媒が挙げられる。特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリジノンである。
【0060】
塩基は用いなくても反応を実施することはできるが、塩基を用いる場合の使用可能な塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなどの無機塩基、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0] ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0] ノナ−5−エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、グアニジン、ルチジン、コリジン、2,2’−ビピリジル、トリフェニルアミン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、2,2’−ビピリジル、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなど挙げられ、より好ましくは、トリエチルアミン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンが挙げられ、特に好ましくは、トリエチルアミン、2,6−ルチジンが挙げられる。
【0061】
基Rとして導入されるアシル化剤としては、ROH、RCl、(R)2O、または混合酸無水物、好ましくは、RCl、(R)2Oを使用し、塩基の存在下または非存在下、またはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、ジピリジルジスルフィド、ジイミダゾイルジスルフィド、1,3,5−トリクロロベンゾイルクロリド、1,3,5−トリクロロベンゾイル無水物、PyBop、PyBropなどの縮合剤を用いることによって行うことができ、塩基存在下または非存在下にRClまたは、(R)2Oを使用して実施するのが好ましい。
【0062】
より好ましいアシル化剤としては、シクロプロパンカルボニルクロライド、無水シクロプロパンカルボン酸などが挙げられる。
【0063】
塩基を使用する場合の使用量は、好ましくは化合物B2に対して0.1〜5.0等量、より好ましくは0.1〜3.0等量であり、より好ましくは(2)に記載の方法と合計で2.0〜4.5等量、さらに好ましくは2.0〜3.0等量使用する方法が挙げられる。
【0064】
アシル化剤の使用量は、好ましくは化合物B1に対して1.0〜3.0等量であり、より好ましくは(2)に記載の工程と合計で2.0〜4.5等量使用する方法が挙げられる。
【0065】
反応温度は、-20℃〜60℃の範囲とすることが好ましい。反応時間は、0.1時間〜7日間の範囲とすることが好ましい。
【0066】
本工程は前記(2)に記載の工程の生成物を取出すことなく、連続的に行うこともできる。
【0067】
(4)化合物B2から化合物B3を製造する工程
前記4.の化合物B2から化合物B3を製造する方法において使用可能な溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチル−2−ピペラジノン、N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒、およびこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは非プロトン性極性有機溶媒が挙げられる。
【0068】
使用可能な塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、t−ブトキシカリウムなどの無機塩基、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0] ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0] ノナ−5−エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、グアニジン、ルチジン、コリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、フォスファゼンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、炭酸カリウム、炭酸セシウム、t−ブトキシカリウム、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0] ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0] ノナ−5−エンなど挙げられ、より好ましくは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0] ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0] ノナ−5−エンが挙げられる。
【0069】
塩基の使用量は、好ましくは化合物B2に対して0.1〜3.0等量であり、より好ましくは0.1〜2.0等量である。
【0070】
反応温度は、0℃〜150℃の範囲とすることが好ましい。反応時間は、0.1時間〜7日間の範囲とすることが好ましい。
【0071】
(5)化合物B3から化合物Cを製造する工程
前記4.の化合物B3から化合物Cを製造する方法において使用可能な溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチル−2−ピペラジノン、N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、およびこれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくは非プロトン性極性有機溶媒が挙げられる。特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリジノンである。
【0072】
塩基は用いなくても反応を実施することはできるが、塩基を用いる場合の使用可能な塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなどの無機塩基、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0] ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0] ノナ−5−エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、グアニジン、ルチジン、コリジン、2,2’−ビピリジル、トリフェニルアミン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、ピリジン、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、2,2’−ビピリジル、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンなど挙げられ、より好ましくは、2,6−ルチジン、2,4,6−コリジン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリンが挙げられる。
【0073】
基Rとして導入されるアシル化剤としては、ROH、RCl、(R)2O、または混合酸無水物が挙げられ、好ましくは、RCl、(R)2Oを使用し、塩基の存在下または非存在下、またはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、ジピリジルジスルフィド、ジイミダゾイルジスルフィド、1,3,5−トリクロロベンゾイルクロリド、1,3,5−トリクロロベンゾイル無水物、PyBop、PyBropなどの縮合剤を用いることによっても行うことができ、塩基存在下または非存在下にRClまたは、(R)2Oを使用して実施するのが好ましい。
【0074】
より好ましいアシル化剤としては、シクロプロパンカルボニルクロライド、無水シクロプロパンカルボン酸などが挙げられる。
【0075】
塩基を使用する場合の使用量は、好ましくは化合物B2に対して1.0〜3.0等量である。
【0076】
アシル化剤の使用量は、好ましくは化合物B1に対して1.0〜2.5等量である。
【0077】
反応温度は、-20℃〜60℃の範囲とすることが好ましい。反応時間は、0.1時間〜7日間の範囲とすることが好ましい。
【0078】
(6)粗生成物から化合物Cの精製単離の方法
前記の(1)、(3)、(5)の方法で得られる化合物Cの反応液または粗生成物から化合物Cを精製単離する方法としては、好ましくは、結晶化によって化合物Cを得る方法が挙げられる。該結晶は、溶媒を結晶格子内に取込んだ溶媒和結晶として得てもよく、得られた溶媒和結晶を乾燥することによって、あるいは得られた溶媒和結晶をメタノールに溶解して水を加えること等によって生じた析出物をろ取し、これを加温、減圧下乾燥することにより、溶媒あるいは水を含まない化合物Cを得ることができる。
【0079】
化合物Cの結晶を得る好ましい態様としては、前記1.〜5.に記載の方法で得られる化合物Cを含有する反応液を、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロルメタン、およびエーテルからなる群から選択される有機溶媒で抽出処理し、得られた抽出液を乾燥した後または乾燥せずに濃縮し、そのまま結晶化するか、反応液を乾固し、粗生成物を得た後に、該粗生成物を酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロルメタン、エーテル、メタノール、およびエタノールからなる群から選択される有機溶媒に室温あるいは加温下で溶解すること、あるいはこの溶解液にさらにヘプタン、ヘキサン、およびシクロヘキサンからなる群から選択される貧溶媒を加えることにより結晶化して得る方法が挙げられる。この方法に用いられるエーテルは、好ましくはジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンから選択される。
【0080】
化合物Cの結晶を得るより具体的な例としては、反応液から溶媒を留去して得られた粗生成物に酢酸エチルを加えて、あるいは反応液の酢酸エチル抽出液を濃縮し、室温、必要に応じて加温し、酢酸エチル溶媒和結晶を単離する方法が挙げられ、必要に応じて、酢酸エチル抽出液あるいはその濃縮液にペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、好ましくはヘキサンを加えることによって酢酸エチル溶媒和結晶を得る方法が挙げられる。さらに、得られた酢酸エチル和結晶をメタノールに溶解したのち、水を加えて生じた析出物をろ取し、これを加温、減圧下乾燥することによって、化合物Cを得ることができる。
【0081】
2-2:化合物B4を経由した化合物B1から化合物Cの製造
前記6.の方法における化合物B1から化合物B4を製造する工程は、無溶媒で実施することもできるが、使用可能な溶媒としては、アセトン、ジエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチル−2−ピペラジノンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0082】
そして、基Rとして導入されるアシル化剤としては、ROH、RCl、(R)2Oまたは、混合酸無水物が挙げられ、RCl、(R)2Oが好ましく、塩基存在下あるいは非存在下で、またはジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、カルボニルジイミダゾール、ジピリジルジスルフィド、ジイミダゾイルジスルフィド、1,3,5−トリクロロベンゾイルクロリド、1,3,5−トリクロロベンゾイル無水物、PyBop、PyBropなどの縮合剤を用いることによって行うことができる。
【0083】
使用可能な塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、tert-ブトキシカリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ピリジン、ルチジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられる。
【0084】
反応温度は、好ましくは−20℃〜50℃の範囲であり、反応時間は、好ましくは0.5時間〜48時間の範囲である。
【0085】
前記6.の方法における化合物B4から化合物Cを製造する工程において使用可能な溶媒としては、メタノールなどの炭素数1〜4のアルコール溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリジノン、N−メチル−2−ピペラジノンなどの非プロトン性極性有機溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、または、水、およびこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0086】
使用可能な塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、水酸化バリウムなどの無機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、tert-ブトキシカリウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のアルコキシド、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ヒドラジン、グアニジンなどの有機塩基が挙げられ、好ましくは、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
【0087】
塩基の使用量は、化合物B4に対して0.01〜24等量用いることが好ましく、反応温度は、好ましくは−20℃〜50℃の範囲であり、反応時間は、好ましくは0.5時間〜14日間の範囲である。
【実施例】
【0088】
本発明の具体例を以下に示すが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0089】
実験例に記載の純度とは、特に条件を示したものを除いて、以下に示すHPLCの条件で測定した時の目的とする物質の面積100分率を示す。
【0090】
HPLCの測定条件
カラム: Inertsil ODS-2または4 (5μm) 4.6φ×150 mm
(実施例1〜13ではODS-2を使用し、実施例14〜20ではODS-4を使用した。)
カラム温度 : 30℃
移動相 : 水−アセトニトリル
移動相の条件:下表1に示したとおり
【表1】

【0091】
実施例1
11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
WO2006/129714に記載の方法に準じて合成した1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 1.00gをN-メチル-2-ピロリジノン5mlに懸濁し、2,6-ルチジン0.55ml(2.2eq)を加え、室温下、シクロプロパンカルボニルクロライド0.44ml(2.2eq)を滴下した。1時間後、反応液を200mlの水に滴下した。5時間攪拌後析出物をろ過し水洗の後、乾燥し、0.816gの11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAがメインの粉末を得た。また、ろ液に食塩25gを加え、酢酸エチル20mlで抽出し、酢酸エチル層を水洗後、酢酸エチルを溜去後、乾燥して、0.27gの11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAがメインの泡状物質を得た。粉末及び泡状物質を合わせて、シリカゲルクロマト(MERCK社製Silica gel C-60を100ml、酢酸エチル-メタノール(50:1(v/v)、流速10ml/min)を行い、11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを532mg得た(収率:46.3%)(純度95.6%)。
【0092】
FAB-MS;m/z 526 (M+H)+1H-NMR (CDCl3) δ 2.15 (1H, dt, J = 3.4, 9.5 Hz), 2.42 (1H, bs), 2.96 (1H, s), 3.41 (1H, dd, J = 5.1, 11.0Hz), 3.75 (1H, d, J = 11.9 Hz), 3.83 (1H, dd, J = 4.9, 11.9 Hz), 4.29 (1H, d, J = 11.7 Hz), 5.00 (1H, d, J = 3.2 Hz), 6.52 (1H, s), 7.42 (1H, dd, J = 4.9, 8.1 Hz), 8.11 (1H, dt, J = 2.0, 8.3 Hz), 8.69 (1H, dd, J = 1.3, 4.8 Hz), 9.00 (1H, d, J = 1.7 Hz)
【0093】
実施例2
11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 1.00gをN-メチル-2-ピロリジノン5mlに懸濁し、2,6-ルチジン0.50ml(2.0eq)を加え、室温下、シクロプロパンカルボニルクロライド0.33ml(1.7eq)を滴下した。45分後、反応液を100mlの水に滴下した。食塩5gを加え、1晩攪拌後析出物をろ過し水洗の後、乾燥し、1.053gの11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAがメインの粉末を得た。粉末のうち526mg(半量)を、シリカゲルクロマト(関東化学社Silica gel C-60N(40-50μm)を100ml、酢酸エチル-メタノール(50:1(v/v)、流速5ml/min)を行い、11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを366mg得た(収率:63.7%)(純度95.1%)。
【0094】
実施例3
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA1.00gをN-メチル-2-ピロリジノン5mlに懸濁し、2,4,6-コリジン0.76ml(2.6eq)を加え、室温下、シクロプロパンカルボニルクロライド0.50ml(2.5eq)に滴下した。8.5時間反応後、反応液を200mlの水に滴下した。1晩攪拌後、析出物をろ過、乾燥し、1.135gの1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAがメインの粉末を得た。また、ろ液に食塩25gを加え、酢酸エチル20mlで抽出し、酢酸エチル層を水洗後、酢酸エチルを溜去後、乾燥して、0.12gの1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAがメインの泡状物質を得た。粉末及び泡状物質を合わせて、シリカゲルクロマト(MERCK社製Silica gel C-60を150ml、酢酸エチルのみ、流速10ml/min)を行い、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを743mg(収率:57.2%)(純度80.8%)で得た。得られた化合物のFAB-MS、1H-NMR測定し、WO2006/129714に記載の化合物261のデータと一致することを確認した。
【0095】
FAB-MS;m/z 594 (M+H)+1H-NMR (CDCl3) δ 3.75 (1H, d, J = 12.0Hz), 3.79 (1H, dd, J = 4.6, 11.7 Hz), 3.87 (1H, d, J = 11.7 Hz), 4.82 (1H, dd, J = 4.9,11.2 Hz), 4.99 (1H, s), 6.52 (1H, s), 7.42 (1H, dd, J = 4.8, 7.9 Hz), 8.10 (1H, d, J = 7.8Hz), 8.69 (1H, d, J = 3.9 Hz), 9.00 (1H, s)
【0096】
実施例4
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 1.00gをN-メチル-2-ピロリジノン4mlに懸濁し、2,6-ルチジン0.75ml(3.0eq)を加え、室温下、シクロプロパンカルボニルクロライド0.54ml(2.7eq)を滴下した。3時間反応後、反応液を100mlの水に滴下した。2時間攪拌した後、食塩10gを加えた。その後、一晩攪拌し、析出物をろ過し水洗した。得られた粉末を乾燥し、1.276gの1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAがメインの粉末を得た。この1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを、シリカゲルクロマト(MERCK社製Silica gel C-60を一回目50ml、メインを集めて二回目150ml、酢酸エチルのみ、流速5ml/min)を行い、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを576mg(収率:44.4%)(純度:88.6%)と115mg(収率:8.8%)(純度:74.9%)を得た。
【0097】
実施例5
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 500mgをN-メチル-2-ピロリジノン2.5mlに懸濁し、室温下、シクロプロパンカルボニルクロライド0.25ml(2.5eq)を滴下した。24時間反応後、反応液を50mlの水に滴下した。8%重曹水でpH7.5に調整後、食塩5gを加え、一晩攪拌した後、析出物をろ過し水洗した。得られた粉末を乾燥し、604mgの1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAがメインの粉末を得た。この1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを、シリカゲルクロマト精製(関東化学社Silica gel C-60Nを100ml、酢酸エチルのみ、流速5ml/min)を行い、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを338mg(収率:52.0%)(純度:93.2%)得た。
【0098】
実施例6
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 500mgをN-メチル-2-ピロリジノン2.5mlに懸濁し、0℃に冷却後、シクロプロパンカルボニルクロライド0.15ml(1.5eq)を滴下した。0℃で20時間攪拌後にシクロプロパンカルボニルクロライド0.1ml(1.0eq)を追加し、さらに66時間攪拌後にシクロプロパンカルボニルクロライド0.1ml(1.0eq)を追加した。95時間攪拌後、氷水50mlに滴下した。8%重曹水でpH7.5に調整後、食塩5gを加え、攪拌した後、析出物をろ過し水洗した。ろ液を酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去した。この残渣と析出物をあわせてシリカゲルクロマト精製(関東化学社Silica gel C-60Nを150ml、酢酸エチルのみ、流速5ml/min)を行い、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを396mg(収率:60.9%)(純度:95.3%)得た。
【0099】
実施例7
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
実施例1で得られた11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA200mg(純度95.6%)をN-メチル-2-ピロリジノン1.0mlに懸濁し、室温下、シクロプロパンカルボニルクロライド0.06ml(1.5eq)を滴下した。21時間30分反応後、反応液に20mlの水に加え、8%重曹水でpH7.5に調整後、酢酸エチル10mlと食塩3gを加え、抽出後水洗した。水層についてさらに酢酸エチル10mlを加え抽出後さらに水洗し、先の酢酸エチル層を合わせて、酢酸エチルを減圧溜去した。得られた295mgの1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAがメインの粉末を、シリカゲルクロマト精製(関東化学社Silica gel C-60Nを100ml、酢酸エチルのみ、流速5ml/min)し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを119mg(収率:55.0%)(純度:96.5%)得た。
【0100】
実施例8
1,7,11−トリ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 500mgをN-メチル-2-ピロリジノン2.5mlに懸濁し、ピリジン 0.44ml(5eq)を加え、室温下、シクロプロパンカルボニルクロライド0.45ml(4.5eq)を滴下した。1.5時間反応後、反応液を50mlの水に滴下した。3時間攪拌した後、食塩5gを加えた。その後、1.5時間攪拌し、析出物をろ過し水洗した。得られた粉末を乾燥し、721mg(収率99.4%)(純度 89.6%)の1,7,11−トリ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの粉末を得た。得られた化合物のFAB-MS、1H-NMR測定し、WO2006/129714に記載の化合物218のデータと一致することを確認した。
【0101】
FAB-MS;m/z 662 (M+H)+1H-NMR (CDCl3) δ 2.89 (1H, s), 3.72(1H, d, J = 11.7 Hz), 3.82 (1H, d, J = 11.7 Hz), 4.79 (1H, dd, J = 4.9, 11.5 Hz), 5.01 (1H, bs), 5.02 (1H, dd, J = 4.9, 11.2 Hz), 6.46 (1H, s), 7.41 (1H, dd, J = 4.8, 7.9 Hz), 8.10 (1H, dt, J = 1.7, 6.4 Hz), 8.69 (1H, bs), 9.02 (1H, s)
【0102】
実施例9
1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
実施例8で合成した1,7,11−O−トリシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル ピリピロペンA(1.0g)を95%メタノール水溶液(30 mL)に溶解し、室温でtert−ブトキシカリウム(85 mg)を加えた。同温で16時間撹拌後、酢酸を加え、減圧下でメタノールを留去してクロロホルムで抽出した。クロロホルム層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下で溶媒を留去して、1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの粗生成物(724 mg、純度50%)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Merck シリカゲル60F254 0.5 mm、ヘキサン:アセトン=10:5.5)にて精製して、1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル ピリピロペンA(370 mg、収率41%)を得た。
【0103】
実施例10
1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成(結晶化による手法)
実施例8で合成した1,7,11−O−トリシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル ピリピロペンA(4 g)をメタノール(100 mL)に加温溶解し、室温で炭酸カリウム(420 mg)を加えた。同温で6時間撹拌後、酢酸(370 mg)と水(100 mL)を加え、23時間放置した。析出した原料を濾取した後、水(50 mL)を加えて20時間放置した。メタノールを減圧下で留去して7時間放置することで、1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAが析出し、濾取によりこれを得た(900 mg、収率25.1%、純度81%)。
【0104】
実施例 11
11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 4.53gをN-メチル-2-ピロリジノン22.5gに懸濁し、トリエチルアミン1.51g(1.51eq)と無水シクロプロパンカルボン酸2.25(1.47eq)gを60℃で23時間過熱攪拌した。その後、減圧下、バス温70℃で濃縮した。得られた油状物質に水10mlを加え固化した後、水10mlで3回洗浄しろ取した。得られた粉末を水5mlで洗浄し減圧下40℃で一日乾燥し、11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを4.73g(収率91.4%)(純度:76.2%)を得た。
【0105】
実施例12
1−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
実施例1と同様にして得た11−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA199.7mg(純度95.6%)をクロロベンゼン2.0mlに懸濁し、DBU0.02ml(ca0.4eq)を加え、80℃で9時間過熱攪拌した。その後徐々に室温とし、2日間室温にて攪拌し、酢酸エチル20ml、水5mlを加えて、有機層を分離し減圧下濃縮した。クロロベンゼンが残った状態で結晶が析出したので、結晶をろ過し、トルエンで洗浄した。得られた結晶を減圧下60℃一晩乾燥し、1−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA153.4mg(収率:76.8%)(純度94.5%)を得た。
【0106】
実施例13
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA(500mg)をN-メチル-2-ピロリジノン3.0mlに懸濁し、0℃で、シクロプロパンカルボニルクロライド0.10ml(1.0eq)に滴下した。1日反応後、シクロプロパンカルボニルクロライド0.025ml(0.25eq)を、さらに41時間後にN-メチル-2-ピロリジノン1.0mlとシクロプロパンカルボニルクロライド0.025ml(0.25eq)を加え、65時間反応させた後、反応液を30mlの氷水と酢酸エチル50mlに注下した。さらに、8%重曹水で中和し、3gの食塩を加え攪拌後、分液した。有機層を水10mlで2回洗浄し、減圧下溶媒を溜去した。得られた粉末678mgを、シリカゲルクロマト(MERCK社製Silica gel C-60(80ml)、酢酸エチル-メタノール(50:1(v/v))を行い、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを479mg(収率:83.3%)(純度95.2%)で、また、1−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを51mg(10.2%)回収した。
【0107】
実施例14
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 1.00gをN-メチル-2-ピロリジノン7.0mlに懸濁し、0℃に冷却し、シクロプロパンカルボニルクロライド0.4ml(2.0eq)を滴下した。
【0108】
その後、シクロプロパンカルボニルクロライドは7時間後、23時間後、26時間後にそれぞれ0.1ml(0.5eq)を0℃で滴下した。4日後に反応液を酢酸エチル50mlと氷水50mlに注下し、さらに重曹0.7gと8%重曹水で中和し、食塩5.0gを加え、攪拌静置後、分液した。有機層を水20mlで二回洗浄し、減圧下濃縮した。得られた泡状粉末に酢酸エチル8.0ml加え60℃に加熱し、n-ヘキサン8.0mlを加え、50℃に冷却後、種晶をごく少量添加した。結晶析出後、n−ヘキサン2.0mlを追加し、一晩攪拌した。結晶をろ過し、n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1(v/v))10mlで洗浄した。得られた結晶を60℃で一晩乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを787mg(収率:60.5%)(純度87.5%)で得た。
【0109】
実施例15
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 10.0gをN-メチル-2-ピロリジノン40.0mlに懸濁し、0℃に冷却し、シクロプロパンカルボニルクロライド3.0ml(1.5eq)を滴下した。
【0110】
その後、シクロプロパンカルボニルクロライドは6時間後に2.0ml(1.0eq)、24時間後に1.0ml(0.5eq)、32時間後に0.50ml(0.25eq)、48時間後に1.0ml(0.5ea)をそれぞれ0℃で滴下した。また、あわせてN-メチル-2-ピロリジノンを、6時間後に20.0ml、48時間後に10.0ml添加した。96時間後に反応液を酢酸エチル100mlと氷水200mlに注下し、攪拌後分液した。
【0111】
水層に、酢酸エチル170mlを加え、さらに重曹10.1gで中和し、食塩20.0gを加え、攪拌静置後、分液した。有機層を5%食塩水50mlで一回、水30mlで二回洗浄し、減圧下濃縮後、酢酸エチルを加えて110mlとした後、60℃に加熱し、n-ヘキサン100.0mlを加え、50℃に冷却後、種晶をごく少量添加した。結晶析出して3時間経過後、n−ヘキサン20mlを追加し、2日間攪拌した。結晶をろ過し、n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1(v/v))50mlで洗浄した。得られた結晶を60℃で一日乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを8.83g(重量収率:67.9%)(純度86.4%)で得た。
【0112】
得られた1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを8.83gの内の、8.70gをメタノール43.5mlに溶解し、室温下、水を29.0ml加えたところ、白濁したので、30℃の加温して、メタノール1.0mlを加えた後、種結晶を極少量加えた。結晶析出後、水15.0mlとメタノール3.0mlの混液を二分割で加えた。一晩室温下攪拌した後、ろ過し、水16.0mlとメタノール4.0mlの混液で結晶を洗浄した。得られた結晶を80℃、減圧下乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを6.22g(通算重量収率:48.5%)(純度94.5%)で得た。
【0113】
実施例16
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 10.0gをN-メチル-2-ピロリジノン40.0mlに懸濁し、0℃に冷却し、シクロプロパンカルボニルクロライド7.0ml(3.5eq)を滴下した。
【0114】
その後0℃で53時間反応後、反応液を酢酸エチル50mlと氷水80mlに注下し、7℃以下で攪拌後分液した。水層に、酢酸エチル30mlを加え、攪拌後分液した。得られた水層に、酢酸エチル100mlを加え、1N水酸化ナトリウム72mlと少量の8%重曹水で中和し、10〜15℃で食塩15.0gを加え、攪拌静置後、分液した。有機層を5%食塩水30mlで一回、水30mlで二回洗浄し、減圧下濃縮後、酢酸エチル20mlを加えて、60℃に加熱し、n-ヘキサン14mlを加えたところ白濁したので、酢酸エチル4.0ml加え溶解後、50℃に冷却後、種晶をごく少量添加した。結晶析出して1.5時間経過後、n−ヘキサン10mlを追加し、一晩攪拌した。得られた結晶をろ過し、n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1(v/v))30mlで洗浄した。得られた結晶を80℃で二日間乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを8.48g(重量収率:65.2%)(純度83.4%)で得た。
【0115】
前記後処理において得られる酢酸エチル溶液を中和後、食塩および水で洗浄し、減圧下乾燥したものと結晶のろ液と洗浄液を濃縮、乾燥したものをあわせて(5.71g)、メタノール30.0mlに溶解後、室温下、5N水酸化ナトリウム溶液を5.16ml滴下した。1.5時間後にさらに5N水酸化ナトリウム溶液を2.0ml滴下し、18時間室温下攪拌後、ろ過し、メタノール−水(1:1(v/v))22mlで洗浄した。得られた結晶を80℃で1日乾燥し、原料の1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを1.96g(回収率19.6%)(純度:94.5%)得た。
【0116】
回収率を入れた前記1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの収率としては81.0%となる。
【0117】
実施例17
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA10.0gをN-メチル-2-ピロリジノン40.0mlに懸濁し、3℃に冷却し、シクロプロパンカルボニルクロライド7.0ml(3.5eq)を滴下した。その後0℃で48時間反応後、反応液を酢酸エチル50mlと氷水80mlに注下し、10℃以下で攪拌後分液した。得られた水層に、酢酸エチル100mlを加え、5N水酸化ナトリウム25mlと少量の8%重曹水で中和し、10〜15℃で食塩8gを加え、攪拌溶解し、静置後、分液した。有機層を5%食塩水30mlで一回、水30mlで二回洗浄し、減圧下40mlまで濃縮後、室温下5時間攪拌して結晶を析出させた後、n-ヘキサン20mlを2時間かけて加え、一晩攪拌した。得られた結晶をろ過し、n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1(v/v))30mlで洗浄した。得られた結晶を室温減圧下30分乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの結晶を7.31gで得た。得られた結晶は、NMRスペクトラム(装置:Lambda-400、溶媒:CDCl3、δ4.12のCH3COOCH2CH3の2プロトンの積分値と1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの1プロトンの積分値の比)から、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA1.0molに対して酢酸エチル0.96molを含有していた(重量収率(酢酸エチル和物として):49.1%)(純度88.9%)。
【0118】
また、その結晶の粉末X線回折パターンは下記の値を示した。
粉末X線回折パターン
装置:RINT 2200(理学電気株式会社製)
測定条件:X線:CuKα/40kV/20mA、サンプリング幅:0.020°、スキャンスピード:0.500°/min、走査幅:2θ/θ、走査範囲:3.0〜40.0°
以下の回折角[2θ(°)]にその特徴的なピークを示す。
回折角(2θ):7.4±0.1°、12.0±0.1°、17.0±0.1°、18.3±0.1°、19.1±0.1°
図1に得られた粉末X線パターンを示した。
【0119】
実施例18
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA10.0gをN-メチル-2-ピロリジノン40.0mlに懸濁し、0℃に冷却し、シクロプロパンカルボニルクロライド3.0ml(1.5eq)を滴下した。その後、シクロプロパンカルボニルクロライドは4時間後に2.0ml(1.0eq)を0℃で滴下した。
【0120】
0℃で69時間反応させた後に反応液を酢酸エチル100mlと氷水120mlに注下し、攪拌後分液した。水層に、酢酸エチル100mlを加え、さらに重曹9.5gで中和し、食塩8.0gを加え、攪拌静置後、分液した。有機層を5%食塩水30mlで一回、水30mlで二回洗浄し、減圧下濃縮後、酢酸エチル35.0mlを加えた後、室温下1.5時間攪拌後、n-ヘキサン35.0mlを二時間かけて滴下した。室温下一晩攪拌後、析出した結晶をろ過し、n−ヘキサン−酢酸エチル(1:1(v/v))30mlで洗浄した。得られた結晶を減圧下4時間乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA含有の結晶を9.39g得た。得られた結晶は、実施例17に準じた方法で解析したところ、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA1.0molに対して酢酸エチル1molを含有していた(重量収率(酢酸エチル和物として):63.0%)(純度85.5%)。
【0121】
また、その結晶の粉末X線回折パターンは実施例17の結果と同じであった。
【0122】
得られた1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの酢酸エチル和物9.39gの内の、8.00gをメタノール16.0mlに溶解し、35℃に加温し、水を10.0ml加えたところ、白濁したので、メタノール1.0mlを加えた。1時間後、25℃に冷却し、20〜25℃で水16.8mlとメタノール7.2mlの混液を2時間かけて滴下した。一晩室温下攪拌した後、生じた析出物をろ取し、水7.0mlとメタノール3.0mlの混液で洗浄した。得られた固体のうち500mgをサンプリングした後、残りを80℃、減圧下乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを5.68g(サンプリングを換算すると6.01g)(1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAからの通算重量収率:54.2%)(純度92.3%)得た。
【0123】
実施例19
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA20.0gをN-メチル-2-ピロリジノン80.0mlに懸濁し、−10℃に冷却し、シクロプロパンカルボニルクロライド12.0ml(3.0eq)を滴下した。−10℃で4時間反応後、さらにシクロプロパンカルボニルクロライド4.0ml(1.0eq)を滴下した。その後、−10℃で72時間反応後、反応液を酢酸エチル200mlと8%重曹水180mlに5℃以下で注下し、8%重曹水20mlを加えて中和後、15%食塩水20mlを加え、10℃で攪拌後分液した。有機層を水60mlで三回洗浄し、減圧下60mlまで濃縮後、酢酸エチル100mlを加えさらに減圧下、80mlまで濃縮した。室温下一晩攪拌し、得られた結晶をろ過し、n−ヘキサン10ml−酢酸エチル20mlの混液で洗浄した。得られた結晶を80℃減圧下一晩乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを17.80gで得た。得られた結晶は、実施例17に準じた方法で解析したところ、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA1.0molに対して酢酸エチル0.75molを含有していた(重量収率:61.8%(酢酸エチル和物として))(純度87.5%)。
【0124】
実施例20
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA50.0gをN-メチル-2-ピロリジノン200mlに懸濁し、−10℃に冷却し、シクロプロパンカルボニルクロライド15.0ml(1.5eq)を滴下した。その後、シクロプロパンカルボニルクロライドは3時間後に15.0ml(1.5eq)と5時間後に10.0ml(1.0eq)を−10℃で滴下した。−10℃で72時間反応させた後に、反応液を酢酸エチル500mlと8%重曹水500mlに5℃以下で注下し、少量の8%重曹水で中和後、10℃以上で15%食塩水300mlを加え分液した。有機層を水100mlで三回洗浄し、減圧下150mlまで濃縮後、酢酸エチル250mlを加え、再度減圧下200mlまで濃縮し、酢酸エチル50mlを加えて、室温下一晩攪拌した。析出した結晶をろ過し、酢酸エチル80mlで洗浄した。得られた結晶を減圧下50℃、2時間乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA含有の結晶を44.90g得た。得られた結晶は、実施例17に準じた方法で解析したところ、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA1.0molに対して酢酸エチル0.99molを含有していた(重量収率:60.2%(酢酸エチル和物として))(純度87.5%)。
【0125】
実施例21
1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA50.0gをN-メチル-2-ピロリジノン200mlに懸濁し、−10℃に冷却し、シクロプロパンカルボニルクロライド15.0ml(1.5eq)を滴下した。その後、シクロプロパンカルボニルクロライドは3時間後に15.0ml(1.5eq)と5時間後に10.0ml(1.0eq)を−10℃で滴下した。−10℃で75時間反応させた後に、反応液を酢酸エチル500mlと氷水500mlと重曹40.0gの混合液に5℃以下で注下し、少量の8%重曹水で中和後、10℃以上で15%食塩水300mlを加え分液した。有機層を水150mlで三回洗浄し、減圧下100mlまで濃縮後、酢酸エチル200mlを加え、再度減圧下150mlまで濃縮し、酢酸エチル50mlを加えて、室温下一晩攪拌した。析出した結晶をろ過し、酢酸エチル60mlで洗浄した。得られた結晶を減圧下40℃で1時間、室温で2時間乾燥し、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA含有の結晶を49.10g(重量収率:65.8%(酢酸エチル和物として))(純度84.7%)得た。
【0126】
得られた結晶は、実施例17と同様の解析により、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 1.0molに対して酢酸エチル0.98molを含有していた。
【0127】
得られた結晶のうちの24.0gを酢酸エチル48.0mlに懸濁し、70℃で一時間攪拌の後、室温で一晩攪拌した。その後、ろ過し、酢酸エチル30mlで洗浄後、室温下5時間乾燥し、20.54g(重量収率:56.4%(酢酸エチル和物として;1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAからの通算収率)(純度93.2%)を得た。
【0128】
得られた結晶は、1,11−ジ−O−シクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA 1.0molに対して酢酸エチル1.00molを含有していた。
【0129】
実施例22
実施例8で合成した1,7,11−O−トリシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル ピリピロペンAから1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAを以下の表3に記載の試薬、溶媒、時間、温度条件で合成した。反応終了後に得られた反応液を以下に示した分析条件で高速液体クロマトグラフィーにかけて反応液中に生成した1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチルピリピロペンAの量を確認し、表3に示した。
【0130】
分析条件
検出器:紫外吸光光度計又はフォトダイオードアレイ検出器(測定波長:254 nm) カラム: CAPCELL PAK C18 2.0mm.I.D×150 mm 内径 5μm
カラム温度:40°C
移動相A:水
移動相B:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する。
流量:毎分0.2 mL
移動相の条件:下表2に示したとおり
【表2】

【0131】
【表3】

【0132】
実施例23
1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA(45.0g)をN,N−ジメチルアセトアミド(185.0g)中に懸濁し、懸濁液を-10℃まで冷却し、34.4g(3.5等量)のシクロプロパンカルボニルクロライドを15分で懸濁液に添加した。反応混合物を-10℃で72時間進行させた。次いで、トルエン(640g)および8%重炭酸ナトリウム(500g)からなる混合溶液に反応溶液を20℃15分で投与した。COの発生が停止したら、混合物を60℃まで加熱し、相を分離した。有機相を水(135g)で3回洗浄し、次いで、トルエン(595g)を留去した。トルエン(160g)を加えた後、溶液に1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンA(0.06g)種を加え、ゆっくりと室温まで冷却し、一晩中攪拌した。沈殿した結晶を濾過により採集し、トルエン(25g)で洗浄した。それによって得られた結晶を減圧下100℃で3日間乾燥させて、29.3gの1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンAを得た(収率:46.9%)(純度:87.8%)。
【0133】
実施例24
1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA(45.0g)をN,N−ジメチルアセトアミド(185.0g)中に懸濁し、懸濁液を-10℃まで冷却し、34.4g(3.5等量)のシクロプロパンカルボニルクロライドを15分で懸濁液に添加した。反応混合物を-10℃で88時間進行させた。次いで、トルエン(640g)および8%重炭酸ナトリウム(500g)からなる混合溶液に反応溶液を20℃15分間で投与した。COの発生が停止したら、混合物を40℃まで加熱し、相を分離した。有機相を水(135g)で3回洗浄し、次いで、トルエン(630g)を留去した。トルエン(100g)を加えた後、溶液に1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンA(0.05g)種を加え、ゆっくりと室温まで冷却し、一晩中攪拌した。沈殿した結晶を濾過により採集し、トルエン(25g)で洗浄した。それによって得られた結晶を減圧下120℃で1日間乾燥させて、32.7gの1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンAを得た(収率:50.9%)(純度:85.2%)。
【0134】
実施例25
1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンAの合成
1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンA(45.0g)をN,N−ジメチルアセトアミド(185.0g)中に懸濁し、懸濁液を0℃まで冷却し、34.4g(3.5等量)のシクロプロパンカルボニルクロライドを15分で懸濁液に添加した。反応混合物を-10℃で50時間進行させた。次いで、トルエン(640g)および8%重炭酸ナトリウム(500g)からなる混合溶液に反応溶液を20℃15分間で投与した。COの発生が停止したら、混合物を40℃まで加熱し、相を分離した。有機相を水(135g)で3回洗浄し、次いで、トルエンを少量ずつ加え(合計350g)、留去した(合計912g)。溶液に1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンA(0.05g)種を加え、ゆっくりと室温まで冷却し、一晩中攪拌した。沈殿した結晶を濾過により採集し、トルエン(33g)で洗浄した。それによって得られた結晶を減圧下室温で3日間、120℃で1日間乾燥させて、27.6gの1,11−O−ジシクロプロパンカルボニル−1,7,11−トリデアセチル−ピリピロペンAを得た(収率:47.4%)(純度:93.9%)。
【0135】
実施例26
酸無水物による直接アシル化
【化8】

【0136】
1,7,11−トリデアセチルピリピロペンA(1.0g)および塩基(〜20mol%)をN,N−ジメチルアセトアミド(4.0g)中に懸濁し、0.81g(2.1等量)のシクロプロパンカルボン酸・ピバリン酸無水物を懸濁液に添加した。反応混合物をおよそ5時間攪拌し、次いで60℃まで加熱し、18時間攪拌した。
【0137】
反応の転換後に定性HPLC分析を行った。HPLCに使用するための条件を表4にまとめる。データを表5にまとめる。
【0138】
【表4】

【0139】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式C:
【化1】

[式中、Rは、直鎖、分岐鎖または環状のC2-6アルキルカルボニル基(この基のアルキル部分が分岐鎖または環状であるときは、C3-6アルキルカルボニル基)を表す]
で表される化合物Cを製造する方法であって、
次式B1:
【化2】

で表される化合物B1の1位および11位の水酸基を、塩基存在下または非存在下にて、アシル化剤を用いて1〜3の工程数で選択的にアシル化する工程を含んでなる、方法。
【請求項2】
化合物B1の1位および11位の水酸基を1つの工程でアシル化することにより化合物Cを得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物B1の11位の水酸基を、アシル化剤を用いてアシル化することにより、次式B2:
【化3】

[式中、Rは、請求項1における式Cで定義したとおりである]
で表される化合物B2を製造する工程、および
化合物B2の1位の水酸基をさらにアシル化する工程
からなる2つの工程でアシル化することにより化合物Cを得る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
化合物B1の11位の水酸基をアシル化することによって、次式B2:
【化4】

[式中、Rは、請求項1における式Cで定義したとおりである]
で表される化合物B2を製造する工程、
化合物B2の11位のアシル基を1位の水酸基に転移させることによって、次式B3:
【化5】

[式中、Rは、請求項1における式Cで定義したとおりである]
で表される化合物B3を製造する工程、および
化合物B3の11位の水酸基をアシル化する工程
からなる3つの工程でアシル化することにより化合物Cを得る、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
式B1の化合物を製造する工程として、次式A1:
【化6】

[式中、A1、A7およびA11は、同一または異なっていてもよく、アセチル基またはプロピオニル基を表す]
で表される化合物A1の1位、7位および11位のアシル基を、塩基を用いて加水分解する工程をさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
アシル化を塩基非存在下で行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
化合物B1の1位および/または11位の水酸基をアシル化する際に用いる塩基が2,4,6-コリジンまたは2,6-ルチジンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
化合物B2を製造する工程において、化合物B1に対して1.0〜3.0等量の塩基を使用し、該工程と化合物B2の1位水酸基をさらにアシル化する工程とを併せて合計2.0〜4.5等量の塩基を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
化合物B1に対して2.0〜5.0等量のアシル化剤を使用する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
化合物B2を製造する工程において、化合物B1に対して1.0〜3.5等量のアシル化剤を使用し、該工程と化合物B2の1位水酸基をさらにアシル化する工程とを併せて合計2.0〜4.5等量のアシル化剤を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
Rがシクロプロパンカルボニル基である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
化合物B2から化合物B3を製造する工程を塩基の存在下で行う、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
化合物B1から化合物Cを直接製造する工程または化合物B1から化合物B2を製造する工程において、N−メチル−2−ピロリジノンまたはN,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として使用する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
化合物B1から化合物Cを直接製造する工程または化合物B1から化合物B2を製造する工程において、N,N−ジメチルアセトアミドを溶媒として使用する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
化合物Cを含有する反応液から、化合物Cを結晶化によって単離精製する工程をさらに含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
次式C:
【化7】

[式中、Rは、直鎖、分岐鎖または環状のC2-6アルキルカルボニル基(この基のアルキル部分が分岐鎖または環状であるときは、C3-6アルキルカルボニル基)を表す]
で表される化合物Cの溶媒和物結晶を単離精製する方法であって、
(a)化合物Cを含有する反応液を、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロルメタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンからなる群から選択される有機溶媒で抽出処理し、得られた抽出液を乾燥した後または乾燥せずに濃縮する工程、
(b)化合物Cを含有する反応液を乾固することによって粗生成物を得た後に、該粗生成物を、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロルメタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、およびエタノールからなる群から選択される有機溶媒に室温または加温下で溶解する工程、または
(c)化合物Cを含有する反応液を乾固することによって粗生成物を得た後に、該粗生成物を、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、エチルベンゼン、クロロホルム、ジクロルメタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、およびエタノールからなる群から選択される有機溶媒に室温または加温下で溶解し、得られた溶解液に、ヘプタン、ヘキサン、およびシクロヘキサンからなる群から選択される貧溶媒を加える工程
を含んでなる、方法。
【請求項17】
次式C:
【化8】

[式中、Rは、直鎖、分岐鎖または環状のC2-6アルキルカルボニル基(この基のアルキル部分が分岐鎖または環状であるときは、C3-6アルキルカルボニル基)を表す]
で表される化合物Cの製造における、次式B2:
【化9】

[式中、Rは、式Cで定義したとおりである]
で表される化合物B2の使用。
【請求項18】
次式C:
【化10】

[式中、Rは、直鎖、分岐鎖または環状のC2-6アルキルカルボニル基(この基のアルキル部分が分岐鎖または環状であるときは、C3-6アルキルカルボニル基)を表す]
で表される化合物Cの製造における、次式B3:
【化11】

[式中、Rは、請求項1における式Cで定義したとおりである]
で表される化合物B3の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2013−521224(P2013−521224A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540182(P2012−540182)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【国際出願番号】PCT/JP2010/070414
【国際公開番号】WO2011/108155
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000006091)Meiji Seikaファルマ株式会社 (180)
【Fターム(参考)】