説明

ファスナー付き収納袋

【課題】 無断で開封されたことを認識することができる再開封防止手段を備えた袋としての使用を可能にしたファスナー付き包装袋を提供する。
【解決手段】 袋主体1の上端に折目2を介してこの袋主体1と連通したファスナー5付き収納口部3を一体に設けていると共にこの収納口部3の裏面側に上記折目2から上方に向かって収納口部3よりも上端縁までの長さが長い封緘片4を突設してあり、袋主体1の表面に文字等の印刷による剥離剤層8aとこの剥離剤層8aを含むように袋主体1の表面に印刷した着色剤層8bを設ける一方、封緘片4の表面に剥離紙7Aによって被覆された粘着剤層6Aを設けることによって再開封防止手段を構成し、袋主体1内に物品等を収納したのち、封緘片4を収納口部3と共に袋主体1の表面上に折り返して封止し、しかるのち、開封した際には上記剥離剤層8aの剥離によって印刷パターンが現出するように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部を密封することができるファスナー付き収納袋、特に、再開封防止機能を奏する収納袋として使用に適したファスナー付き収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、偏平状に形成されている封筒や袋体などの収納袋においては、その開口端における裏面側のシートに折り曲げ可能なフラップ片を突設し、このフラッフ片を表面側シートの上端部に折り重ねてその内面(表面側に向けている面)に層着している粘着剤層を表面側シートに貼着することにより密封するように構成した構造のものが広く知られたおり、また、このようなフラップ片を備えている収納袋を貴重品や重要な書類、或いは、犯罪上の証拠品等を収納する袋体に採用するには、例えば、特許文献1に記載されているように、フラップ片の内面に層着している上記粘着剤層に代えて、改ざん防止用シートを設けた構造としている。
【0003】
この改ざん防止用シートは、フラップの裏面に貼着した粘着剤層と、剥離シートによって被覆された粘着剤層と、これらの粘着剤層間に中間層として介在させている剥離後再接着不能な弱接着剤とからなり、使用に際しては、剥離シートを剥がすと共に包装体内に貴重品等の物品を収納したのち、通常の封筒のように、フラップ片を折り返して包装体の開口部裏面に粘着剤層を貼着することにより密封している。そして、この密封した状態からフラップ片を剥がした開封した場合には、再接着が不能となって無断で開封されたことが判明でき、従って、未開封の状態と開封された状態とを明確に識別することができて無断に開封されるのを防止する再開封防止機能を奏することができる。なお、改ざん防止用シートとしては、上記のような剥離後再接着不能な弱接着剤を有するシート以外に、剥離すると文字や図柄等の印刷が現出するように構成したシールも開発されている。
【0004】
一方、収納袋の開口部を上記のようなフラップ片によることなく、ファスナーによって密封可能に構成した収納袋も広く知られている。例えば、特許文献2に記載されているように、表裏シートの四方端縁同士を熱融着してシールすると共に表裏シートの対向面における上端部に互いに係合する凸条と凹条とからなるファスナーを設け、且つ、一側端縁における上端部にこのファスナーの上方部に沿って上端部を切除するための切込み、或いは摘み片を設けた収納袋が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−91529号公報
【特許文献2】特開平6−286758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、開口部をフラップ片により密封するように構成している上記改ざん防止用包装袋によれば、使用する前は収納袋の開口部は密閉されることなく開放した状態を保持しているために、該開口部から収納袋内に異物等が侵入する虞れがあり、そのため、使用時に貴重品等を収納すると異物によって該貴重品等が汚損される場合が生じる。さらにフラップ片の内面に貼着している改ざん防止用シートは上述したように、未開封の状態と開封の状態とを識別できるように構成しておけばその目的を達成することができるので、通常はフラップ片の大きさや形状に合わせることなくフラップ片よりも小さい形状のシールを使用している。
【0007】
そのため、フラップ片を貼着している改ざん防止シートの周囲と、この周囲に対向する収納袋の表面側シートの上端部との間に隙間が生じることになり、例えば、この改ざん防止用収納袋に、自動車事故等の現場において小さな塗料片や破片等の小片を収納したり、事件現場等において小さな証拠品を収納すると、封止後に収納袋をそのフラップ側を下側に向けた場合には、内部に収納している小片等が収納袋の開口端から上記隙間を通じて外部に漏出する虞れがある。
【0008】
一方、開口部をファスナーによって密封するように構成している収納袋においては、内部に収納している物品が粉粒物のような小さなものであっても、外部に漏出する虞れはないが、この収納袋を、改ざんの防止等を可能にする再開封防止手段付き収納袋に構成することは困難である。その理由は、収納袋における上記ファスナーから上端縁までの上端部を、上記フラップ片と同様に、開口部であるファスナーを被覆する折り返し可能な封緘片とし、この封緘片の内面に再開封防止用シール等を貼着できればよいが、ファスナーの上方近傍部から上端縁までの収納袋の上端部は、使用時にファスナーに沿って切除してファスナーの開閉が可能となるようにしているので、再開封防止手段を付帯させることができないからである。
【0009】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、開口部をファスナーによって開閉自在にしているにもかかわらず、再開封防止手段付きの収納袋としての使用を可能にし、さらに、密封後においては、例え、ファスナーの一部分が閉止していない状態であっても収納物が外部に漏出するのを防止することができるファスナー付き収納袋を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のファスナー付き収納袋は、請求項1に記載したように、柔軟な合成樹脂製シートからなる偏平状に形成された袋主体の上端に折目を介して該袋主体の表面側に向かって折り重ね可能な収納口部を連設してこの収納口部に袋主体の上端開口部を開閉自在に閉止するファスナーを設けてあり、さらに、収納口部の裏面側における上記折目から上方に向かって収納口部よりも上端までの長さが長い封緘片を突設してあり、この封緘片を上記折目から上記収納口部と共に該収納口部を被覆するようにして袋主体の表面側に折り重ね、袋主体の表面に貼着するように構成している。
【0011】
このように構成したファスナー付き収納袋において、請求項2に係る発明は、縦長矩形状の表面側シートとこの表面側シートよりも長い裏面側シートとを重ね合わせてこれらの表裏シートの下端縁同士と上部以外の両側端縁同士とを熱融着によりシールすることによって袋主体を形成していると共に、この袋主体の上端から上方に突出した表面側シートの上部と裏面側シートの上部との対向面に一枚の中間シート片を二つ折り状態にして重ね合わせてこれらの重なり合った両側端縁同士と上端縁同士とを熱融着によりシールすることによって、表面側シートの上部とこの表面側シートの上部に重ねている上記シート半片とで袋主体に連通した収納口部を形成していると共に、裏面側シートの上部とこの裏面側シートの上部に重ねている上記シート半片とで封緘片を形成してあり、さらに、上記収納口部を形成している表面側シートの上部とシート半片との下部対向面にファスナーを構成する凸条と凹条とをそれぞれ取付けていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記請求項2に記載の発明において、表面側シートと裏面側シート及び中間シート片を、透明な軟質合成樹脂製シートから形成していることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項4に係る発明は、上記収納口部の一側端縁における長さ方向の中間部に、ファスナーの上方に沿って、上端縁が熱融着により密閉されている収納口部の上部を切除するための切り込みを設けていることを特徴とし、請求項5に係る発明は、上記袋主体の一側端縁における下端部に、この袋主体の下端に沿って該袋主体の下端部を切除するための切り込みを設けていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に係る発明は、上記封緘片の表面とこの封緘片を折り重ね状態で貼着させる袋主体の表面とのいずれか一方に、封緘片を剥離して開封した際に元の密閉状態に復元不能にする再開封防止手段を設けていることを特徴する。
【0015】
請求項7に係る発明は、上記再開封防止手段は、封緘片の表面又は袋主体の表面に文字や図柄模様等の印刷による剥離剤層と、この剥離剤層を含むように袋主体の表面に印刷した着色剤層と、この着色剤層上に層着している粘着剤層と、粘着剤層を被覆している剥離紙とから構成していることを特徴とする。
【0016】
一方、請求項8に係る発明は、上記封緘片の表面に剥離紙によって被覆された粘着剤層を設けている一方、袋主体の表面に上記封緘片をその粘着剤層を介して貼着させ、且つ、この封緘片を剥離した際にはその開封の痕跡を現出させる印刷層を設けてなり、この印刷層と上記剥離紙によって被覆された粘着剤層と再開封防止手段を構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、偏平状の袋主体の上端に折目を介してファスナーを設けた収納口部を連設していると共に、この収納口部の裏面側における上記折目から上方に向かって収納口部よりも上端までの長さが長い封緘片を突設しているので、不使用時には、袋主体の収納口部がファスナーによって密閉されているから、袋内に塵埃や異物等の侵入を防止することができて内部を常に綺麗に保持しておくことができるのは勿論、使用時には、ファスナーを開くことによって袋主体内に収納口部を通じて物品等を容易に収納でき、収納後にファスナーを閉じて収納口部を袋主体の表面における上端部に折り重ねると共にこの収納口部の裏面側に設けている上記封緘片も折り重ねることよって、この封緘片で収納口部を包み込みようにして全面的に被覆、保護することができる。
【0018】
さらに、封緘片は折目から上端までの長さを収納口部よりも長くしているので、収納口部と共に袋主体の表面に折り重ねた際に、下方に向けているその先部を収納口部の先端から突出させることができ、この突出部分を該突出部分に層着している粘着剤層、或いは、粘着剤層を有するシール片を介して袋主体に表面に貼着することにより、袋主体の表面に折り重ねている収納口部をこの封緘片によって確実に包被して外部からのファスナーの開閉操作を不能にすることができ、袋主体内に物品等を安全に収納しておくことができる。
【0019】
その上、収納口部は封緘片と共に上記のように折目を介して袋主体の上部表面上に折り重ねられるので、袋主体をその開口端を下側に向けても、収納している物品等が上記折目を介して折り畳まれている下端部に集合するだけでファスナー側に移動することはなく、従って、万一ファスナーの一部が不測に開放されていても、外部に漏出する虞れはない。また、封緘片を再開封防止手段を介して袋主体に貼着するように構成しておくことにより未開封の状態と開封された状態とを明確に判別することができて無断開封を未然に防止する機能を発揮することができる。
【0020】
請求項2及び請求項3に係る発明によれば、上記袋主体は、透明な軟質合成樹脂製シートからなる縦長矩形状の表面側シートとこの表面側シートよりも長い裏面側シートとを重ね合わせてこれらの表裏シートの下端縁同士と上部以外の両側端縁同士とを熱融着によってシールすることにより形成され、この袋主体に連通する収納口部は、袋主体の上端から上方に突出した表面側シートの上部と裏面側シートの上部との対向面に一枚の透明な軟質合成樹脂製シートからなる中間シート片を二つ折り状態にして重ね合わせてこれらの重なり合った両側端縁同士と上端縁同士とを熱融着によってシールすることにより、表面側シートの上部とこの表面側シートの上部に重ねている上記シート半片とで形成され、封緘片は、上記裏面側シートの上部とこの裏面側シートの上部に重ねている上記シート半片とで封緘片を形成しているので、表裏シートと中間シート片とによって袋主体の上端に収納口部と封緘片とを前後に分岐した構造の収納袋を簡単に作製することができると共に開封後に再び封止しても透明な軟質合成樹脂シートからなる封緘片から開封された痕跡を明確に透視することができる収納袋を得ることができる。
【0021】
さらに、請求項4に係る発明によれば、上記収納口部の一側端縁における長さ方向の中間部に、ファスナーの上方に沿って、上端縁が熱融着により密閉されている収納口部の上部を切除するための切り込みを設けているので、使用前には収納口部の熱融着によりシールされている上端縁によってファスナーが不測に開放するのを確実に防止しておくことができると共に使用時に切り込み部分からファスナーの上方近傍部に沿って収納口部の上部を切除することにより、ファスナーの開閉操作を可能にすることができるものであり、また、請求項5に係る発明によれば、上記袋主体の一側端縁における下端部に、この袋主体の下端に沿って該袋主体の下端部を切除する切り込みを設けているので、袋主体内から収納物品等を取り出す際には、上記ファスナーの開放によることなく、封緘片を袋主体の表面に貼着した状態を保持させたまま、上記切り込み部分から袋主体の下端部を切除することにより簡単且つ且つ確実に取り出すことができる。
【0022】
また、請求項6に係る発明によれば、上記封緘片の表面とこの封緘片を折り重ね状態で貼着させる袋主体の表面とのいずれか一方に、封緘片を剥離して開封した際に元の密閉状態に修復不能にする再開封防止手段を設けているので、この収納袋を改ざん防止用袋や事件現場等において収納した証拠品が無断に取り出されるのを防止することができる袋として使用することができる。
【0023】
この際、上記再開封防止手段としては、請求項7に記載したように、封緘片の表面又は袋主体の表面に文字や図柄模様等の印刷による剥離剤層と、この剥離剤層を含むように袋主体の表面に印刷した着色剤層と、この着色剤層上に層着している粘着剤層と、粘着剤層を被覆している剥離紙とから構成しているので、開封した場合には、剥離剤層の文字や図柄模様等のパターンと同一の着色パターンを現出させることができ、この状態で再度封止しても元の状態に復元することが不可能となり、透明な軟質合成樹脂シートからなる封緘片を通じてその着色パターンを明確に透視することができて開放されたことを確実に判断することができる。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、上記封緘片の表面に剥離紙によって被覆された粘着剤層を設けている一方、袋主体の表面に上記封緘片をその粘着剤層を介して貼着させ、且つ、この封緘片を剥離した際にはその開封の痕跡を現出させる印刷層を設けてなり、この印刷層と上記剥離紙によって被覆された粘着剤層と再開封防止手段を構成しているので、構造が簡単で安価に形成することができると共に、剥離紙を剥離したのち封緘片を折目から折り返してその粘着剤層を袋主体に印刷している印刷層に貼着することによって袋主体を密封したのち開封すると、上記請求項6に記載した再開封防止手段と同様に、印刷層が透明な封緘片を通じて表面に現出して開封されたことを確実に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明ファスナー付き収納袋の斜視図。
【図2】その縦断側面図。
【図3】袋主体に物品を収納している状態の縦断側面図。
【図4】封止した状態の縦断側面図。
【図5】再開封防止手段を設けた収納袋の斜視図。
【図6】その縦断側面図。
【図7】収納口部の上端シール部分を切除した状態の斜視図。
【図8】袋主体に物品を収納している状態の縦断側面図。
【図9】剥離紙を剥離している状態の斜視図。
【図10】その縦断側面図。
【図11】封緘片によって袋主体を封止した状態の斜視図。
【図12】その縦断側面図。
【図13】開封したのち再度封止した状態の斜視図。
【図14】再開封防止手段の別な構造を示す要部の拡大縦断側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明の具体的な実施例を図面について説明すると、図1、図2に示すように、ファスナー付き収納袋はポリエチレン樹脂や塩化ビニル樹脂等の透明な軟質合成樹脂製シートからなり、偏平状に形成された正面矩形状の袋主体1の上端に折目2を介して該袋主体1の表面側に向かって折り重ね可能でその下端が袋主体の開口上端に連通している収納口部3を連設していると共に、この収納口部3の裏面に重なるようにして上記折目2から上方に向かって、折目2から上端縁までの長さが収納口部3よりも長い封緘片4を突設してあり、さらに、収納口部3の下部における表裏対向内面に互いに係合する凸条5aと凹条5bとからなる合成樹脂製のファスナー5を設けてこのファスナー5により袋主体1の上端開口部を開閉自在に閉止するように構成している。
【0027】
上記収納袋の構成をさらに詳しく説明すると、透明な軟質合成樹脂製シートからなる縦長矩形状の表面側シート11とこの表面側シート11と同幅で且つ長さ寸法が表面側シート11よりも長い縦長矩形状の裏面側シート12シートとをその下端縁を重ね合わせてこれらの表裏シート11、12の下端縁同士と上部以外の両側端縁同士とを熱融着によりシール14、15して上端が開口1aしている袋主体1を形成していると共に、この袋主体1の上端から上方に突出している上記表面側シート11の上部11a と裏面側シート12の上部12a との対向面に、これらの表裏シート11、12と同一幅を有し、且つ、表裏シート11、12の上部11a 、12a の長さの和に等しい長さを有する透明な軟質合成樹脂樹脂シートからなる一枚の中間シート片13を二つ折り状態にして重ね合わせ、表面側シート11の上部11a とこの上部11a の内面に重ねた中間シート片13の一半片13a との両側端縁同士と上端縁同士とを熱融着によりシール16、17することによって、下端が袋主体1の上端開口部に連通している上記収納口部3を形成していると共に、裏面側シート12の上部12a とこの上部12a の内面に重ねた中間シート片13の他半片13b との両側端縁同士と上端縁同士とを熱融着によりシール18、19することによって上記封緘片4を形成している。
【0028】
上記収納口部3を形成している表面側シート11の上部11a と中間シート片13の一半片13a との対向内面における下部には、収納口部3を形成する前に上記ファスナー5の凸条5aと凹条5bをそれぞれ固着してあり、これらの凸条5aと凹条5bとを係合させた状態にして収納口部3を形成している。また、封緘片4の表面上端部には全幅に亘って一定の上下幅を有する細長い粘着剤層6を層着してあり、この粘着剤層6を剥離紙7によって被覆している。
【0029】
さらに、収納口部3の一側端縁のシール部16におけるファスナー5の一側端部又は両側端部から上方に小間隔を存した部分に側端面から水平状に切り込み9を設けてあり、この切り込み9から収納口部3の中間部をファスナー5の上方近傍部に沿って水平状に切断して収納口部3の上半部を切除するように構成していると共に、上記袋主体1の一側端縁又は両側端部のシール部15における下端部にも、側端面から水平状に切り込み10を設けてあり、この切り込み10から袋主体1の下端部を切除することにより袋主体1の底部を開口させるように構成している
【0030】
このように構成したファスナー付き収納袋を使用するには、まず、袋主体1の上端に連設している収納口部3の上半部をその一側シール部16に設けている切り込み9から切除することにより該収納口部3の上端シール部17を除去して収納口部3を開口可能にしたのち、収納口部3を形成している表裏シート部、即ち、表面側シート11の上部11a と中間シート片13の一半片13a とにおける上記切断端面を有する上端部を摘んで互いに引き離すことよりファスナー5の凸条5aと凹条5bとの係合を解いて図3に示すように収納口部3を開口させる。
【0031】
そして、この開口部から収納口部3内を通じて袋主体1内に物品Aを収納したのちファスナー5を閉止し、しかるのち、図4に示すように折目2から収納口部3を袋主体1の上端部表面に折り重ねると共に封緘片4も折目2から収納口部3上に折り重ねる。この際、収納口部3と封緘片4とを一体的に袋主体1の表面上に折り重ねてもよい。また、封緘片4を折り重ねる前に、剥離紙7を剥離してその表面上端部に粘着剤層6を露出させる。なお、物品Aは1個しか図示していないが、複数個の物品を収納することができるのは勿論である。
【0032】
このように、収納口部3と封緘片4とを袋主体1の表面上に折り重ねると、それまで上向きになっていたこれらの収納口部3と封緘片4との上部である先部が下向きとなり、その上、封緘片4は収納口部3よりも長いので、下向きになっている封緘片4の先部が封緘片4の先端から下方に突出して、袋主体1の表面上部に重なった状態となると共に、封緘片4の先端部表面に設けている上記粘着剤層6が袋主体1の表面に対向した状態となり、この粘着剤層6を袋主体1の表面上部に貼着することにより、袋主体1を封止することができる。
【0033】
次に、袋主体1内に収納されている物品Aを袋主体1から取り出すには、粘着剤層6によって袋主体1に貼着している封緘片4を剥がして収納口部3と共に上方に引き起し、ファスナー5を開放して袋主体1内の物品Aを収納口部3の開口端から取り出してもよいが、袋主体1の一側シール部16における下端部に設けている切り込み10から袋主体1の下端部を引き裂いて袋主体1の下端を開口させれば、この開口部を通じて直接的に且つ全ての物品Aを円滑に取り出すことができる。なお、袋主体1を封止する手段としては、封緘片4に剥離紙7によって被覆された粘着剤層6を設けておくことなく、封緘片4を収納口部3と共に袋主体1の表面上部に折り返して重ね合わせたのち、封緘片4の先端と袋主体1の表面間に亘ってシール片(図示せず)を貼着してもよい。この場合、シール片を剥がすとその剥がした痕跡が現出するようにしておけば、袋内に収納した書類等の改ざんや袋内に収納した貴重品、或いは、事件現場等において収納した証拠品等の物品が無断に取り出されるのを抑止し得る再開封防止機能を発揮させることができる。
【0034】
このような再開封防止手段としては、上記シール片に限らず、別な構造の再開封防止手段を上記構成の収納袋に設けておくことができる。即ち、図5、図6に示すように、袋主体1の上端に連設している封緘片4の表面、即ち、この封緘片4の表面シート部を形成している上記中間シート片の他半片13b の表面において、収納口部3の一側縁に設けている切り込み9の位置から上方部分に一定の上下幅でもって略全横幅に亘って粘着剤層6Aを設け、この粘着剤層6Aを剥離紙7Aによって被覆しておく一方、封緘片4を折目2から折り返して袋主体1の表面に重ね合わせた際における粘着剤層6Aが重なる袋主体1の表面上部全面に、粘着剤層6Aの貼着後に剥離して開封した時に、その開封の痕跡を現出させる印刷層8を設けてあり、粘着剤層6Aとこの印刷層8とによって再開封防止手段を構成している。
【0035】
上記印刷層8としては、袋主体1の表面上部に文字や図柄模様等の印刷による剥離剤層8aと、この剥離剤層8a間に露出する袋主体1の表面から該剥離剤層8aを全面的に被覆するように印刷してなる着色剤層8bとからなる。なお、図5においては、剥離剤層8aは「開封済」の印刷文字であって、着色剤層8bの一部を剥離して外部に露呈させた状態を示している。また、着色剤層8bは白色の印刷インキによって形成している。
【0036】
このように構成した再開封防止手段付き包装袋を使用するには、上述したように、まず袋主体1の上端に連設している収納口部3の上半部をその一側シール部16に設けている切り込み9から切除することにより該収納口部3の上端シール部17を図7、図8に示すように除去して収納口部3を開口可能にしたのち、収納口部3を形成している表裏シート部、即ち、表面側シート11の上部11a と中間シート片13の一半片13a とにおける上記切断端面を有する上端部を摘んで互いに引き離すことよりファスナー5の凸条5aと凹条5bとの係合を解いて図8に示すように収納口部3を開口させる。
【0037】
次いで、この開口部から収納口部3内を通じて袋主体1内に物品Aを収納したのちファスナー5を閉止し、しかるのち、図9、図10に示すように剥離紙7Aを剥離してその表面上端部に粘着剤層6Aを露出させたのち、図11、図12に示すように、折目2から収納口部3を袋主体1の上端部表面に折り重ねると共に封緘片4も折目2から収納口部3上に折り重ねる。この際、収納口部3は袋主体1の表面に設けられている印刷層8の上端と袋主体1の上端間の印刷層8が設けられていない袋主体1の上端部表面に重ねられ、粘着剤層6Aは印刷層8上に貼着され、この貼着によって袋主体1の開口端は封止される。
【0038】
次に、袋主体1内に収納されている物品Aを袋主体1から取り出そうとして、封緘片4を剥がすと、印刷層8における剥離剤層8aを設けている部分は、封緘片4に層着している粘着剤層6Aに接着している該剥離剤層8a上の着色剤層8b部分と共に袋主体1の表面から剥離して封緘片4側に転移する一方、剥離剤層8a以外の着色剤層8bは袋主体1の表面側に残って、この着色剤層8bにより剥離剤層8aの文字パターンと同一の着色パターンを袋主体1の表面に現出させる。この状態になると、封緘片4により再度、袋主体1を封止しようとしても、剥離剤層8aを元の位置に修復することが極めて困難であり、封止しても図13に示すように透明な封緘片4から上記着色パターンを透視することができ、開封されたことを明確に認識することができる。
【0039】
なお、内部に収納している物品Aを取り出すには、上述したように、粘着剤層6Aによって袋主体1に貼着している封緘片4を剥がして収納口部3と共に上方に引き起し、ファスナー5を開放して袋主体1内の物品Aを収納口部3の開口端から取り出してもよいが、袋主体1の一側シール部15における下端部に設けている切り込み10から袋主体1の下端部を引き裂いて袋主体1の下端を開口させれば、この開口部を通じて直接的に且つ全ての物品Aを円滑に取り出すことができる。
【0040】
以上の実施例においては、封緘片4の表面に剥離紙7Aによって被覆された粘着剤層6Aを設けている一方、袋主体1の表面に上記封緘片4をその粘着剤層6Aを介して貼着させ、且つ、この封緘片4を剥離した際にはその開封の痕跡を現出させる印刷層8を設けることによって再開封防止手段を構成しているが、袋主体1と封緘片4との対向面のいずれか一方に、図14に示すように、文字や図柄模様等の印刷による剥離剤層8aと、この剥離剤層8aを含むように該剥離剤層8aを設けている面に印刷した着色剤層8bと、この着色剤層8b上に層着している粘着剤層6Bと、粘着剤層6Bを被覆している剥離紙7Bとから構成しておいても上記と同様な作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 袋主体
2 折目
3 収納口部
4 封緘片
5 ファスナー
6 粘着剤層
7 剥離紙
8 印刷層
9、10 切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟な合成樹脂製シートからなる偏平状に形成された袋主体の上端に折目を介して該袋主体の表面側に向かって折り重ね可能な収納口部を連設してこの収納口部に袋主体の上端開口部を開閉自在に閉止するファスナーを設けてあり、さらに、収納口部の裏面側における上記折目から上方に向かって収納口部よりも上端までの長さが長い封緘片を突設してあり、この封緘片を上記折目から上記収納口部と共に該収納口部を被覆するようにして袋主体の表面側に折り重ね、袋主体の表面に貼着するように構成していることを特徴とするファスナー付き収納袋。
【請求項2】
縦長矩形状の表面側シートとこの表面側シートよりも長い裏面側シートとを重ね合わせてこれらの表裏シートの下端縁同士と上部以外の両側端縁同士とを熱融着によりシールすることによって袋主体を形成していると共に、この袋主体の上端から上方に突出した表面側シートの上部と裏面側シートの上部との対向面に一枚の中間シート片を二つ折り状態にして重ね合わせてこれらの重なり合った両側端縁同士と上端縁同士とを熱融着によりシールすることによって、表面側シートの上部とこの表面側シートの上部に重ねている上記シート半片とで袋主体に連通した収納口部を形成していると共に、裏面側シートの上部とこの裏面側シートの上部に重ねている上記シート半片とで封緘片を形成してあり、さらに、上記収納口部を形成している表面側シートの上部とシート半片との下部対向面にファスナーを構成する凸条と凹条とをそれぞれ取付けていることを特徴とする請求項1に記載のファスナー付き収納袋。
【請求項3】
表面側シートと裏面側シート及び中間シート片は、透明な軟質合成樹脂製シートであることを特徴とする請求項2に記載のファスナー付き収納袋。
【請求項4】
収納口部の一側端縁における長さ方向の中間部に、ファスナーの上方に沿って、上端縁が熱融着により密閉されている収納口部の上部を切除するための切り込みを設けていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のファスナー付き収納袋。
【請求項5】
袋主体の一側端縁における下端部に、この袋主体の下端に沿って該袋主体の下端部を切除するための切り込みを設けていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のファスナー付き収納袋。
【請求項6】
封緘片の表面とこの封緘片を折り重ね状態で貼着させる袋主体の表面とのいずれか一方に、封緘片を剥離して開封した際に元の密閉状態に復元不能にする再開封防止手段を設けていることを特徴する請求項1又は請求項2に記載のファスナー付き収納袋。
【請求項7】
再開封防止手段は、封緘片の表面又は袋主体の表面に文字や図柄模様等の印刷による剥離剤層と、この剥離剤層を含むように袋主体の表面に印刷した着色剤層と、この着色剤層上に層着している粘着剤層と、粘着剤層を被覆している剥離紙とから構成していることを特徴とする請求項6に記載のファスナー付き収納袋。
【請求項8】
封緘片の表面に剥離紙によって被覆された粘着剤層を設けている一方、袋主体の表面に上記封緘片をその粘着剤層を介して貼着させ、且つ、この封緘片を剥離した際にはその開封の痕跡を現出させる印刷層を設けてなり、この印刷層と上記剥離紙によって被覆された粘着剤層とによって再開封防止手段を構成していることを特徴とする請求項6に記載のファスナー付き収納袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−68377(P2011−68377A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219947(P2009−219947)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】