説明

ファックス送信システム、及びファックス送信制御装置

【課題】ファックスの宛先及び送信文書の誤りを無くすための技術を提供する。
【解決手段】複合機と、ファックス送信制御装置と、ファックス送信承認装置とを含むシステムにおいて、ファックス送信制御装置が、格納手段から読み出した送信先情報を複合機に送信し、複合機は、送信先情報を表示し、送信先が選択された後に、スキャンにより得られた文書画像を含む文書確認画面を表示し、文書確認が取れたことを示す情報の入力を受けた後に、文書画像と、選択された送信先電話番号とを含むファックス送信処理要求をファックス送信制御装置に送信し、ファックス送信制御装置は、文書画像及び送信先電話番号を含むファックス送信承認要求をファックス送信承認装置にメールで送信し、ファックス送信承認装置は、承認者用端末から承認通知を受信した後に、文書画像及び送信先電話番号を含むファックス送信実行要求を複合機にメールで送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合機を用いてファックス送信を行う際に、ファックスを誤った宛先に送信してしまったり、適切でない文書を送信してしまうといったファックスの誤送信を防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー機能、ファックス機能、スキャナ機能等を1つの筐体に収めて構成される複合機が普及している。従来技術において、このような複合機からファックスを送信する場合、複合機のオペレーションパネル上のテンキーで、送信先の電話番号を入力し、ファックス送信を行うのが一般的である。
【0003】
また、従来技術では、文書を複合機にセットする前に、利用者が目視でファックス送信の対象とする文書の内容を確認し、ファックス送信の対象として正しい文書かどうかをチェックすることも一般に行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−253959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来技術のように、テンキーで電話番号を手入力する方式では、番号の入力違いにより、ファックスを誤った宛先に送信してしまう可能性がある。
【0006】
この問題を解消するために、複合機内に予めファックスの送信先毎に電話番号を登録しておき、ファックス送信の際に、登録された送信先をオペレーションパネル上に表示し、送信先を選択することによりファックス送信を行う技術がある。
【0007】
しかしながら、一般に、企業で使用される複合機は、企業の拠点毎、フロア毎等の単位で、非常に多数設置されるものであるため、送信先の電話番号を予め登録しておく方式では、登録情報を最新の情報に保つために大きな労力を要する。
【0008】
すなわち、例えば、移転等により、ある送信先の電話番号が変更になった場合に、多数設置されている複合機において登録された電話番号を、正しいものに更新するためには、複合機を設置している各部門へ変更情報を周知・徹底し、各複合機で実際に登録情報の変更を実施しなければならず、大きな手間がかかり、変更の実施が漏れてしまう複合機が生じる可能性もある。
【0009】
従って、送信先の電話番号を予め登録しておく方式では、登録されている情報が正しくない可能性があり、その場合、ファックスを誤った宛先に送信してしまうことになる。
【0010】
また、ファックス送信の対象となる文書を、複合機にセットする前に確認する従来の方法では、何かの手違いで、確認した文書と、実際に複合機にセットした文書が異なる可能性があり、確実な確認方法ではない。また、例えば、ファックス送信を上長等の承認者に承認してもらう際には、ファックス送信しようとする文書を、実際に承認者に見せる等の面倒な作業が発生する。また、承認者にとって見れば、確認した文書と、実際にファックス送信される文書が同じである保証はなく、不安が残る。
【0011】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、上記従来技術の問題を解消し、ファックスの宛先及び送信文書の誤りを無くすためのファックス誤送信防止技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、複合機と、ファックス送信制御装置と、ファックス送信承認装置とが通信ネットワークに接続されて構成されたファックス送信システムであって、前記ファックス送信制御装置は、送信先識別情報及び送信先電話番号を含む送信先情報を格納した送信先情報格納手段を備え、前記ファックス送信制御装置が、前記複合機からの要求に基づき、前記送信先情報格納手段から送信先情報を読み出し、当該送信先情報を前記複合機に送信し、前記複合機は、ユーザが特定の送信先を選択できるように、前記送信先情報を表示手段に表示し、当該表示手段の画面上で特定の送信先が選択された後に、ユーザからの指示に基づいて、ファックス送信対象となる文書のスキャンを実行し、スキャンにより得られた文書画像を含む文書確認画面を前記表示手段に表示し、前記複合機は、文書確認が取れたことを示す情報の入力を受けた後に、前記文書画像と、選択された送信先電話番号とを含むファックス送信処理要求を前記ファックス送信制御装置に送信し、前記ファックス送信制御装置は、前記文書画像及び前記送信先電話番号を含むファックス送信承認要求を前記ファックス送信承認装置にメールで送信し、前記ファックス送信承認装置は、前記通信ネットワークに接続された承認者用端末に前記文書画像を送信し、当該承認者用端末から承認通知を受信した後に、前記文書画像及び前記送信先電話番号を含むファックス送信実行要求を前記複合機にメールで送信し、前記複合機が、前記文書画像を、前記送信先電話番号に対応するファックス装置にファックス送信することを特徴とするファックス送信システムとして構成される。
【0013】
前記ファックス送信制御装置は、前記ファックス送信処理要求を受信した後に、前記ファックス送信を識別するためのファックス送信識別情報を生成し、ステータス情報格納手段に格納するとともに、当該ファックス送信識別情報を前記ファックス送信承認要求に含め、更に、前記ファックス送信承認装置は、前記ファックス送信実行要求に前記ファックス送信識別情報を含め、前記ファックス送信承認装置は、前記ファックス送信識別情報を付加した前記承認に関わるステータス情報を前記ファックス送信制御装置に送信し、前記複合機は、前記ファックス送信識別情報を付加したファックス送信のステータス情報を前記ファックス送信制御装置に送信し、前記ファックス送信制御装置は、各ステータス情報を、前記ファックス送信識別情報に対応付けて前記ステータス情報格納手段に格納するように構成してもよい。
【0014】
また、本発明は、複合機と、ファックス送信制御装置と、ファックス送信承認装置とが通信ネットワークに接続されて構成されたファックス送信システムにおいて使用される前記ファックス送信制御装置であって、送信先識別情報及び送信先電話番号を含む送信先情報を格納した送信先情報格納手段と、前記複合機における処理内容を記述した制御情報を、前記複合機に送信する複合機処理制御手段と、前記通信ネットワーク上でメール送受信を行うためのメール通信機能手段と、を備え、前記複合機処理制御手段は、前記複合機からの要求に基づき、前記送信先情報格納手段から送信先情報を読み出し、当該送信先情報を含む制御情報を前記複合機に送信し、当該制御情報を受信した前記複合機は、当該制御情報に基づき、ユーザが特定の送信先を選択できるように、前記送信先情報を表示手段に表示し、前記複合機から、送信先の選択がなされたことを示す情報の通知を受けた後に、前記複合機処理制御手段は、文書確認画面情報を含む制御情報を前記複合機に送信し、当該複合機は、受信した制御情報に基づき、スキャンにより得られたファックス送信対象の文書画像を含む文書確認画面を前記表示手段に表示し、文書確認が取れたことを示す情報の入力を受けた後に、前記文書画像と、選択された送信先電話番号とを含むファックス送信処理要求を前記ファックス送信制御装置に送信し、前記ファックス送信処理要求を受信した前記ファックス送信制御装置における前記メール通信機能手段は、前記文書画像及び前記送信先電話番号を含むファックス送信承認要求を前記ファックス送信承認装置にメールで送信することを特徴とするファックス送信制御装置として構成してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ファックス送信制御装置で管理されている電話番号を用いてファックス送信を行うことができるので、手入力で電話番号を入力する方式での番号入力ミス等を無くすことができる。
【0016】
また、ファックス送信制御装置において一元的に電話番号を管理することで、多数の複合機の各々で登録情報の更新を行わなければならなかった従来技術に比べて、更新等の管理に係る手間が大幅に軽減されるとともに、電話番号の更新漏れを無くすことができ、常に最新の電話番号に基づきファックス送信を行うことが可能となる。
【0017】
また、本発明を用いることにより、実際にファックスで送信されることになる文書画像を自分(複合機のユーザ)で確認することができるので、確実に送信前の文書内容チェックを行うことができる。また、文書画像を承認者に自動的に確認してもらうことができ、承認に係る手間が無くなり、更に、承認者にとっては、実際にファックスで送信されることになる文書画像を確認するので、確実な承認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係るファックス送信システムの全体構成図である。
【図2】複合機3の機能構成図である。
【図3】ファックス送信制御装置1の機能構成図である。
【図4】送信先情報格納部16に格納されている送信先情報の例を示す図である。
【図5】ユーザ情報格納部17に格納されているユーザ情報の例を示す図である。
【図6】ステータス情報格納部18に格納されるステータス情報の例を示す図である。
【図7】ファックス送信承認装置2の機能構成図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るファックス送信システムの動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係るファックス送信システムの動作を説明するためのシーケンスチャートである。
【図10】複合機3上に表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(システム構成)
図1に、本発明の実施の形態に係るファックス送信システムの全体構成図を示す。図1に示すように、本発明の実施の形態に係るファックス送信システムは、ファックス送信制御装置1、ファックス送信承認装置2、及び複合機3を有し、これらが通信ネットワーク4に接続されて構成される。
【0021】
また、通信ネットワーク4には、ファックス送信承認装置2と通信を行う承認者用端末5が接続されている。複合機3は、ファックスの送信先となるファックス装置7が接続された公衆電話網6にも接続されている。
【0022】
通信ネットワーク4は、IPネットワークであればよく、その形態は特定のものに限定されるものではない。例えば、通信ネットワーク4は、企業内プライベートネットワーク、もしくはインターネット、又はこれらが接続されたネットワークである。また、例えば、複合機3から通信ネットワーク4へのアクセス部分に、無線ネットワークを用いてもよい。
【0023】
また、通信ネットワーク4は、メールサーバを含み、通信ネットワーク4に接続された各装置は、メールによる通信が可能である。
【0024】
なお、図示の便宜上、図1には、複合機3が1台だけ示されているが、実際には、多数の複合機が通信ネットワーク4に接続され、ファックス送信制御装置1等と通信することにより、図示した複合機3と同様の動作を行う。
【0025】
<複合機>
複合機3は、コピー機能、スキャナー機能、ファックス機能等を1台に収めた装置であり、MFPとも呼ばれる。本実施の形態で使用する複合機3としては、商用で提供されている複合機を使用することができる。なお、本実施の形態で説明する機能を実現するにあたっては、複合機3にコピー機能を備えることは必須ではない。
【0026】
図2に、本実施の形態における複合機3の機能構成図を示す。なお、図2は、複合機3が備える機能のうち、本実施の形態に関係する機能のみを示している。
【0027】
図2に示すように、複合機3は、表示部31、操作入力部32、ネットワーク通信部33、メール通信機能部34、ファックス機能部35、スキャナー機能部36、命令解釈実行部37、及び、データ格納部38を有する。
【0028】
表示部31は、命令解釈実行部37からの指示に基づき、データを画面表示するための機能部である。操作入力部32は、ユーザからの操作入力を受け付け、操作イベントを命令解釈実行部37に通知する機能部である。表示部31は、ハードウェア要素として、例えばタッチパネルを用いて実現される。また、操作入力部32は、複合機の操作パネル上のハードウェアキーを用いて実現してもよいし、表示部31に用いられるタッチパネル上に表示するソフトウェアキーで実現してもよい。
【0029】
ネットワーク通信部33は、通信ネットワーク4を介してデータ通信を行う機能部であり、ハードウェアとしてのネットワークインタフェース、及びソフトウェアとしてのTCP/IP通信機能等を含むものである。
【0030】
メール通信機能部34は、ネットワーク通信部33を介して、SMTPに従ったメール送受信を行う機能部である。また、メール通信機能部33は、メール通信と、公衆電話網6を介したファックス通信との相互変換を行うインターネットFAXゲートウェイ機能も備えている。
【0031】
ファックス機能部35は、公衆電話網6を介してファックス装置7とファックス(G3等)の送受信をする機能を有する。スキャナー機能部36は、複合機3にセットされた文書を読み取り、画像データに変換し、データ格納部38に格納するスキャナー機能を有する。
【0032】
命令解釈実行部37は、例えば、Webブラウザにより実現される機能部であり、ネットワーク通信部33を介して、ファックス送信制御装置1から命令文(具体的には、例えば、HTML文書及びHTML文書内で指定されるプログラム等)を受信し、命令文に従って、画面表示、ユーザによる操作入力に応じた処理、複合機の各機能部への処理指示等を行う機能部である。なお、命令文に基づき、複合機3の制御が行われるので、命令文を「制御情報」と称してもよい。
【0033】
データ格納部38は、メモリもしくはハードディスク等の記憶装置により実現されるものであり、複合機3の各機能部から適宜参照されて、データの書き込み/読み出しが行われる。
【0034】
<ファックス送信制御装置>
ファックス送信制御装置1は、複合機3の命令解釈実行部37と通信を行って、複合機3に表示する画面表示用コンテンツ(送信先情報等)、及び複合機3の動作を規定する命令文等を複合機3に送信するとともに、複合機3においてファックス送信実行指示がなされた場合には、ファックス送信対象の文書画像データを複合機3から受信し、当該文書画像データを含むファックス送信承認依頼をメールでファックス送信承認装置2に送信する等の処理を行う装置である。
【0035】
図3に、ファックス送信制御装置1の機能構成図を示す。図3に示すように、ファックス送信制御装置1は、ネットワーク通信部11、複合機処理制御部12、メール通信機能部13、ステータス処理部14、制御データ格納部15、送信先情報格納部16、ユーザ情報格納部17、及びステータス情報格納部18を有する。
【0036】
ネットワーク通信部11は、通信ネットワーク4を介してデータ通信を行うための機能部である。メール通信機能部13は、一般的なメールの送受信を行うとともに、インターネットFAXのプロトコルに準拠したメールの送受信も行うことができる機能部である。
【0037】
複合機処理制御部12は、複合機3の命令解釈実行部37と通信を行って、複合機3から受信する要求等に応じて、制御データ格納部15等から画面表示のためのデータや命令文を取得し、それらからなる命令文を複合機3の命令解釈実行部37に送信する等の機能を有する。なお、複合機3における命令解釈実行部37が、Webブラウザで実現される場合には、複合機処理制御部12は、それに対応する機能としてWebサーバ機能を含む。
【0038】
ステータス処理部14は、ファックス送信処理要求を受けた場合に、そのファックス送信を識別可能な識別情報(以下、これをメッセージIDと呼ぶ)を生成し(又は払い出し)、それをユーザIDとともにステータス情報格納部18に格納するとともに、複合機3等から受信する各ステータスの情報を、ステータス情報格納部18に格納する。
【0039】
前述したとおり、制御データ格納部15には、複合機3において表示される画面情報、及び、複合機3の動作を制御するための命令文等が格納されており、複合機処理制御部12は、制御データ格納部15に格納された情報に基づき、命令文を構成し、複合機3に送る。
【0040】
送信先情報格納部16は、送信先情報を格納する。図4に、送信先情報格納部16に格納されている送信先情報の例を示す。図4に示すように、本例での送信先情報は、会社名等の宛先組織名、組織内の特定の個人名(代表含む)等の組織内宛先、及び、各組織内宛先に対応した電話番号(ファックス番号)を含む。これらの情報は、ファックス送信制御装置1の管理者等により、必要に応じて随時更新され、最新の情報に保たれている。
【0041】
図5に、ユーザ情報格納部17に格納されているユーザ情報の例を示す。図5に示すように、本例におけるユーザ情報は、ユーザID、パスワード、及び、各ユーザにおいて予め登録された送信先情報を含む。この送信先情報は、例えば、該当ユーザが担当する取引先の会社名等である。
【0042】
図6に、ステータス情報格納部18に格納されるステータス情報の例を示す。図6に示すように、本例におけるステータス情報は、ユーザID、メッセージID、及び、ファックス送信が完了したこと等を示すステータスを含む。
【0043】
上述した各機能を有するファックス送信制御装置1は、メモリやハードディスク等の記憶手段及びCPUを備える一般的なコンピュータに、各機能部に対応する処理を行うためのプログラムを搭載することにより実現できる。当該プログラムは、可搬メモリやディスク等の記録媒体から上記コンピュータにインストールしてもよいし、ネットワーク上のサーバから上記コンピュータにダウンロードし、インストールすることとしてもよい。
【0044】
また、本発明の実施の形態に係るファックス送信制御装置1の内部の機能区分は、図3に示すものに限られるわけではなく、本実施の形態に示す動作を実現できる構成であれば、どのような機能区分でもよい。
【0045】
<ファックス送信承認装置>
ファックス送信承認装置2は、ファックス送信制御装置1から、ファックス送信承認要求を受信したことに応じて、ファックス送信承認処理を行い、承認がなされたときに、ファックス送信実行要求を複合機3に送信する等の機能を有する装置である。
【0046】
図7に、ファックス送信承認装置2の機能構成図を示す。図7に示すように、ファックス送信承認装置2は、ネットワーク通信部21、承認機能部22、メール通信機能部23、及びデータ格納部24を有する。
【0047】
ネットワーク通信部21は、通信ネットワーク4を介してデータ通信を行うための機能部である。メール通信機能部23は、一般的なメールの送受信を行うとともに、インターネットFAXのプロトコルに準拠したメールの送受信も行うことができる機能部である。
【0048】
承認機能部22は、メール通信機能部23を介して、ファックス送信制御装置1から、ファックス送信承認要求を受信したときに、ファックス送信を行うユーザのユーザIDに対応付けられた、承認者(上長等)の承認者用端末5に対してメールで承認依頼を送ることにより承認処理を行う機能部である。また、データ格納部24には、処理に係るデータが格納される。
【0049】
なお、メール送信等においてオンラインで送信内容に係る承認を行う技術自体は、既に種々のものが存在し、本実施の形態でも様々な形態で承認を行うことが可能である。本実施の形態において承認機能部22が実施する承認処理は、一例に過ぎない。
【0050】
(システムの動作)
次に、本発明の実施の形態に係るファックス送信システムの動作を、図8、及び図9のシーケンスチャートを参照しながら説明する。また、複合機3における表示部31上に表示される画面の一例を図10に示し、図10も適宜参照する。
【0051】
複合機3のデータ格納部38には、ファックス送信制御装置1のアドレス(URL)が登録されており、複合機3のユーザが、表示部31上でそのアドレスを指定することにより、複合機3(の命令解釈実行部37)は、ファックス送信制御装置1にアクセスする(ステップ1)。なお、表示部31上に、メニューが表示され、「ファックス送信」を選択したときに、ファックス送信制御装置1にアクセスするようにしてもよい。
【0052】
アクセスを受けたファックス送信制御装置1において、複合機処理制御部12が、ログイン情報を含む命令文を複合機3に送る(ステップ2)。命令文を受信した複合機3において、命令解釈実行部37が、図10(a)に示すログイン画面を表示部31上に表示する。そして、ユーザIDとパスワードが操作入力部32から入力されると、命令解釈実行部37は、ユーザIDとパスワードを含むログイン要求をファックス送信制御装置1に送信する(ステップ3)。
【0053】
ログイン要求を受信したファックス送信制御装置1の複合機処理制御部12は、ログイン要求に含まれるユーザIDとパスワードが、ユーザ情報格納部17に存在するか否かをチェックすることによりユーザ認証を行う。ここでは、ユーザ認証に成功したものとする。
【0054】
この後、複合機3とファックス送信制御装置1との間で通信が行われることによりファックスの送信制御が行われる(ステップ4、ステップ5)。ここでの処理については、図9のシーケンスチャートを用いて説明する。
【0055】
ユーザ認証に成功した後、複合機処理制御部12は、認証に成功したユーザIDに基づき、当該ユーザの登録送信先をユーザ情報格納部17から取得し、当該登録送信先に対応する送信先情報を送信先情報格納部16から取得する(ステップ101)。そして、複合機処理制御部12は、送信先画面情報を含む命令文を複合機3に送信する(ステップ102)。当該命令文を受信した複合機3の命令解釈実行部37は、図10(b)に示すような、送信先情報を含む送信先選択画面を表示する(ステップ103)。
【0056】
なお、上記のように登録送信先を用いた処理を行う代わりに、複合機3から検索ワード(会社名の最初の数文字等)を受信し、検索ワードに対応する送信先情報を送信先情報格納部16から取得し、当該送信先情報を含む命令文を送信することとしてもよい。
【0057】
図10(b)に示す表示画面上で、ユーザにより、1つの送信先が指定され、OKボタンが押されると(ステップ104)、選択された送信先電話番号がデータ格納部38に格納されるとともに、命令解釈実行部37からファックス送信制御装置1に対して送信先選択完了通知が送信される(ステップ105)。
【0058】
ファックス送信制御装置1の複合機処理制御部12は、送信先選択完了通知により送信先選択が完了したことを確認すると、文書スキャン操作指示画面情報を含む命令文を複合機3に対して送信する(ステップ106)。
【0059】
当該命令文を受信した複合機3の命令解釈実行部37は、図10(c)に示すような文書スキャン指示画面を表示部31上に表示する(ステップ107)。そして、ユーザが、複合機3に文書をセットし、"スキャン実行"ボタンを押すと(ステップ108)、命令解釈実行部37は、上記の命令文に含まれる命令を実行することにより、スキャナー機能部36に対して、文書のスキャンを行って、文書画像データをデータ格納部38に格納するよう指示する。これにより、スキャン処理が実行され、完了する(ステップ109)。
【0060】
スキャン処理が完了すると、スキャン完了通知がスキャナー機能部36から命令解釈実行部37に通知され、命令解釈実行部37は、スキャン完了通知をファックス送信制御装置1に送信する(ステップ110)。
【0061】
ファックス送信制御装置1において、複合機処理制御部12がスキャン完了通知を受信すると、複合機処理制御部12は、スキャンが完了したことを確認し、続いて、送信確認画面情報を含む命令文を複合機3に送信する(ステップ111)。
【0062】
命令文を受信した複合機3の命令解釈実行部37は、図10(d)に示す画面を表示部31に表示する(ステップ112)。ユーザは、この画面情報を見て、送信先が正しいことを確認すると、送信確認ボタンを押す(ステップ113)。そして、送信確認ボタンを押したことを示す送信確認通知が、ファイル送信制御装置1の複合機処理制御部12に送られ(ステップ114)、複合機処理制御部12は、送信確認が行われたことを確認する。なお、このステップ112の画面表示は、送信先の電話番号を確認する上で有効であるが、送信前にも電話番号の確認を行うため、ステップ112の表示に関わる処理を省略することも可能である。
【0063】
続いて、複合機処理制御部12は、文書確認画面情報を含む命令文を複合機3に送信する(ステップ115)。複合機において、当該命令文を受信した命令解釈実行部37は、当該命令文の命令に基づき、データ格納部38に格納されている文書画像データを取得し、図10(e)に示すような文書確認画面を表示部31に表示する(ステップ116)。
【0064】
ユーザが、文書の内容が正しいことを確認すると、文書確認ボタンを押す(ステップ117)。文書確認ボタンを押したことを示す文書確認通知が、ファイル送信制御装置1の複合機処理制御部12に送られ(ステップ118)、複合機処理制御部12は、文書確認が行われたことを確認する。
【0065】
続いて、複合機処理制御部12は、ファックス送信実行画面情報を含む命令文を複合機に送信する(ステップ119)。複合機3において、当該命令文を受信した命令解釈実行部37は、図10(f)に示すようなファックス送信実行画面を表示部31に表示する(ステップ120)。ここで、ユーザが送信実行ボタンを押した(ステップ121)後の動作については、図8(ステップ6以降)を参照して説明する。
【0066】
ユーザにより送信実行ボタンが押されると、命令解釈実行部37は、送信対象である文書画像データを含むファックス送信処理要求(送信先電話番号、及び複合機3の識別情報を含む)をファックス送信制御装置1の複合機処理制御部12に送信する(ステップ6)。
【0067】
ファックス送信処理要求を受信した複合機処理制御部12は、ステータス処理部14に指示して、ファックス送信を識別するためのメッセージIDを生成させ、当該メッセージIDを、該当のユーザIDとともにステータス情報格納部18に格納させる(ステップ7)。
【0068】
そして、複合機処理制御部12は、ファックス送信対象である文書画像データ、送信先電話番号、メッセージID、及びユーザIDを含むファックス送信承認要求を、メール通信機能部13を用いて、メールでファックス送信承認装置2に送信する(ステップ8)。このファックス送信承認要求は、インターネットFAXのプロトコルに基づいて送信される。
【0069】
ファックス送信承認要求を受信したファックス送信承認装置2の承認機能部22は、ファックス送信承認要求に含まれている情報をデータ格納部24に格納するとともに、ファックス送信承認要求に含まれるユーザIDのユーザに対応する承認者のアドレス(承認者用端末5のアドレスであり、データ格納部24に予め格納されている)に対し、メール通信機能部23を用いて、メールで承認依頼を送る。この承認依頼には、文書画像データにアクセスするためのリンク情報(URL)が含まれる。
【0070】
なお、ここでは、ユーザIDで承認者を選択することを想定しているが、これは一例に過ぎない。例えば、複合機3の識別情報に基づき承認者を選択してもよい。また、承認者を固定的に定めておいてもよい。
【0071】
承認者用端末5上で、承認者が上記のリンク情報を選択(クリック)すると(ステップ9)、承認者用端末5に送信対象の文書画面が表示され(ステップ10)、承認者が、画面に表示されている承認の旨のボタンをクリックすることにより(ステップ11)、承認が完了した旨の情報(承認完了通知)が承認者用端末5からファックス送信承認装置1に送られる(ステップ12)。
【0072】
なお、前述したように、メール等を用いたオンラインでの文書承認処理自体には既存の種々の形態があり、上記の例は一例に過ぎない。
【0073】
承認完了通知を受信したファックス送信承認装置1におけるメール通信機能部23は、文書画像データ、メッセージID、及び送信先電話番号を含むファックス送信実行要求をメールで複合機3に送信する(ステップ13)。このメールは、インターネットFAXにプロトコルに基づいて送信されるものである。
複合機3において、ファックス送信実行要求を受信したメール通信機能部34は、ファックス機能部35にファックス送信指示を行い、ファックス機能部35が、ファックス送信実行要求に含まれていた文書画像データの文書画像を、宛先の電話番号のファックス装置7に向けてファックス送信する(ステップ14)。
【0074】
一方、承認完了通知を受信したファックス送信承認装置2において、メール通信機能部23が、承認が完了したことを示すステータス情報(メッセージIDを含む)をメールにてファックス送信制御装置1に送信する(ステップ15)。ファックス送信制御装置1では、ステータス処理部14が、ステータス情報格納部18に、当該メッセージIDと対応付けて承認完了を示す情報を格納する。もちろん、該当する場合には、承認に失敗したことを示すステータス情報や、承認途中であることを示すステータス情報が、ファックス送信制御装置1に送られ、ステータス情報格納部18に格納される。
【0075】
他方、ファックス送信に成功したことを検知したファックス機能部35は、その旨をメール通信機能部34に通知し、メール通信機能部34は、メッセージIDを含むファックス送信完了通知をメールでファックス送信制御装置1に送信する(ステップ16)。ファックス送信制御装置1では、ステータス処理部14が、ステータス情報格納部18に、当該メッセージIDと対応付けてファックス送信完了を示すステータス情報を格納する。もちろん、該当する場合には、ファックス送信に失敗したことを示すステータス情報が、ファックス送信制御装置1に送られ、ステータス情報格納部18に格納される。
【0076】
ユーザは、複合機3(もしくはPC端末)から、ファックス送信制御装置1にログインし、ステータス確認要求を送信し(ステップ17)、ユーザIDに対応付けられたステータス情報を取得し、複合機3(もしくはPC端末)上で表示させることができる(ステップ18)。これにより、ユーザは、ファックス送信が正常に完了したかどうかを確認できる。
【0077】
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。例えば、上記の実施の形態の処理では、複合機3は、画面を表示し、操作が行われる度に、ファイル送信制御装置1にアクセスし、次の命令文を受信していたが、制御方式はこれに限られるわけではなく、例えば、複合機3は、複数画面分の遷移を実行可能な画面情報と命令文(プログラム)をファイル送信制御装置1から受信し、そのプログラムに従って、複数画面分の処理を、ファイル送信制御装置1にアクセスすることなく実行してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 ファックス送信制御装置
2 ファックス送信承認装置
3 複合機
4 通信ネットワーク
5 承認者用端末
6 公衆電話網
7 ファックス装置
11 ネットワーク通信部
12 複合機処理制御部
13 メール通信機能部
14 ステータス処理部
15 制御データ格納部
16 送信先情報格納部
17 ユーザ情報格納部
18 ステータス情報格納部
21 ネットワーク通信部
22 承認機能部
23 メール通信機能部
24 データ格納部
31 表示部
32 操作入力部
33 ネットワーク通信部
34 メール通信機能部
35 ファックス機能部
36 スキャナー機能部
37 命令解釈実行部
38 データ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合機と、ファックス送信制御装置と、ファックス送信承認装置とが通信ネットワークに接続されて構成されたファックス送信システムであって、
前記ファックス送信制御装置は、送信先識別情報及び送信先電話番号を含む送信先情報を格納した送信先情報格納手段を備え、
前記ファックス送信制御装置が、前記複合機からの要求に基づき、前記送信先情報格納手段から送信先情報を読み出し、当該送信先情報を前記複合機に送信し、
前記複合機は、ユーザが特定の送信先を選択できるように、前記送信先情報を表示手段に表示し、当該表示手段の画面上で特定の送信先が選択された後に、ユーザからの指示に基づいて、ファックス送信対象となる文書のスキャンを実行し、スキャンにより得られた文書画像を含む文書確認画面を前記表示手段に表示し、
前記複合機は、文書確認が取れたことを示す情報の入力を受けた後に、前記文書画像と、選択された送信先電話番号とを含むファックス送信処理要求を前記ファックス送信制御装置に送信し、
前記ファックス送信制御装置は、前記文書画像及び前記送信先電話番号を含むファックス送信承認要求を前記ファックス送信承認装置にメールで送信し、
前記ファックス送信承認装置は、前記通信ネットワークに接続された承認者用端末に前記文書画像を送信し、当該承認者用端末から承認通知を受信した後に、前記文書画像及び前記送信先電話番号を含むファックス送信実行要求を前記複合機にメールで送信し、
前記複合機が、前記文書画像を、前記送信先電話番号に対応するファックス装置にファックス送信する
ことを特徴とするファックス送信システム。
【請求項2】
前記ファックス送信制御装置は、前記ファックス送信処理要求を受信した後に、前記ファックス送信を識別するためのファックス送信識別情報を生成し、ステータス情報格納手段に格納するとともに、当該ファックス送信識別情報を前記ファックス送信承認要求に含め、更に、前記ファックス送信承認装置は、前記ファックス送信実行要求に前記ファックス送信識別情報を含め、
前記ファックス送信承認装置は、前記ファックス送信識別情報を付加した前記承認に関わるステータス情報を前記ファックス送信制御装置に送信し、
前記複合機は、前記ファックス送信識別情報を付加したファックス送信のステータス情報を前記ファックス送信制御装置に送信し、
前記ファックス送信制御装置は、各ステータス情報を、前記ファックス送信識別情報に対応付けて前記ステータス情報格納手段に格納する
ことを特徴とする請求項1に記載のファックス送信システム。
【請求項3】
複合機と、ファックス送信制御装置と、ファックス送信承認装置とが通信ネットワークに接続されて構成されたファックス送信システムにおいて使用される前記ファックス送信制御装置であって、
送信先識別情報及び送信先電話番号を含む送信先情報を格納した送信先情報格納手段と、
前記複合機における処理内容を記述した制御情報を、前記複合機に送信する複合機処理制御手段と、
前記通信ネットワーク上でメール送受信を行うためのメール通信機能手段と、を備え、
前記複合機処理制御手段は、前記複合機からの要求に基づき、前記送信先情報格納手段から送信先情報を読み出し、当該送信先情報を含む制御情報を前記複合機に送信し、当該制御情報を受信した前記複合機は、当該制御情報に基づき、ユーザが特定の送信先を選択できるように、前記送信先情報を表示手段に表示し、
前記複合機から、送信先の選択がなされたことを示す情報の通知を受けた後に、前記複合機処理制御手段は、文書確認画面情報を含む制御情報を前記複合機に送信し、当該複合機は、受信した制御情報に基づき、スキャンにより得られたファックス送信対象の文書画像を含む文書確認画面を前記表示手段に表示し、文書確認が取れたことを示す情報の入力を受けた後に、前記文書画像と、選択された送信先電話番号とを含むファックス送信処理要求を前記ファックス送信制御装置に送信し、
前記ファックス送信処理要求を受信した前記ファックス送信制御装置における前記メール通信機能手段は、前記文書画像及び前記送信先電話番号を含むファックス送信承認要求を前記ファックス送信承認装置にメールで送信する
ことを特徴とするファックス送信制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−211600(P2011−211600A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78766(P2010−78766)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000102717)エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア株式会社 (43)
【Fターム(参考)】