説明

ファンの散水装置

【課題】 従来、この種のファンの散水装置としては、適切なものがなく、昨今の牧草、麦藁生成地において、放射能による樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止が大きな問題となっている。この状況は、国内を戦慄させているが、有効な解決策がないのが現況である。また、その他の汚染、例えば、煤煙、粉塵等の有害物資においても同様である。
【解決手段】 本発明は、ファンの送風領域に水、水粒子、又は微粒子を噴射するために、ファン、又は建柱に設けた多機能の散水ノズルと、散水ノズルに水、薬液、液肥、防虫剤の流体を送るホースとで構成したファンの散水装置で、散水ノズルから噴射された流体に付与された噴射力が、送風領域内に到達し、かつ送風領域内で消失する構成を達成するために、散水ノズルの噴射方向を、送風領域の中心に向って行うファンの散水装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果樹園、茶園、その他の圃場、牧草圃場、稲藁・麦藁生成箇所において、樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止、例えば、放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭すること、又は加湿、養生、或いは防霜等を図ることを意図して、水、水粒子、又は微粒子を噴射するファン(空中、又は地上に設けたファンであり、最適な例は、防霜ファン)の散水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のファン(防霜ファン)の散水装置としては、適切なものがなく、昨今の牧草、稲藁・麦藁生成地において、放射能による樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止が大きな問題となっている。この状況は、国内を戦慄させているが、有効な解決策がないのが現況である。また、その他の汚染、例えば、煤煙、粉塵等の有害物資においても同様である。
【0003】
そして、先行技術、殊に、先行文献においても、防霜ファンと細霧冷房、例えば、本出願人が提案する、特開2010−68740号公報の「農作物の生育を制御する細霧冷却装置」の発明がある。又は散水、例えば、本出願人が提案する、特開2006−109804号公報の「多頭式(多頭方式:数基)の高所式ファンを利用した防霜装置と、その防霜方法」の発明がある。しかしながら、本発明が意図する、散水による放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭する内容の文献は、検索することができなかった。尚、散水に関する他の分野として、例えば、次のような文献が見当たる。文献1は、特開2002−357695号公報の「除染方法および装置」がある。しかし、この発明は、明細書の[0066]において、除染槽内にスプレイ装置を設置し、除染液又は洗浄水を除染対象物に散水できるようにしているとの記載はあるが、水を散水するものでない。また、文献2は、特開2004−243195号公報の「汚染土壌の浄化方法」がある。しかし、この発明は、明細書の[0010]において、舞い上がった粉塵を静めるのには散水が効果的であるが、本発明では加熱源に過熱蒸気を使用することによって散水効果を発揮させる。つまり過熱蒸気は冷却されて水に還ることを利用して、粉塵と混ざった蒸気が水に還って、粉塵を吸着して水滴となって落下して粉塵の飛散が防止され、粉塵は泥流となって回収されるとの記載はあるが、水を散水するものでない。
【0004】
【特許文献1】特開2002−357695号公報
【特許文献2】特開2004−243195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上で説明した文献1、文献2は、散水であっても、分野が異なることと、ファンの散水装置の構造を備えた、効率的な散水でなく、かつ散水に留まらず、水粒子、又は微粒子を噴射するファンの散水装置に関する発明でない。
【0006】
そこで、本発明は、請求項1において、多機能、即ち、水、水粒子、又は微粒子であって、かつ強弱でなる水流を噴射できる散水ノズルを、ファンに付設し(設け)、この噴射ノズルからの噴射する水、水粒子、又は微粒子を、ファンの送風領域内に到達させ、かつ送風領域内で消失する構成とすることで、この水、水粒子、又は微粒子を、果樹園、茶園、その他の圃場、牧草圃場、稲藁・麦藁生成箇所において、樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止、例えば、放射能、煤煙、粉塵等の有害物資を払拭すること、又は加湿、養生、或いは防霜等を図ること、等を意図する。そして、この請求項1の目的を達成するために、請求項2−9に示した、それぞれの特徴を発揮することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、多機能、即ち、水、水粒子、又は微粒子であって、かつ強弱でなる水流を噴射できる散水ノズルを、ファンに付設し(設け)、この噴射ノズルからの噴射する水、水粒子、又は微粒子を、ファンの送風領域内に到達させ、かつ送風領域内で消失する構成とすることで、この水、水粒子、又は微粒子を、果樹園、茶園、その他の圃場、牧草圃場、稲藁・麦藁生成箇所において、樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止、例えば、放射能、煤煙、粉塵等等の有害物資を払拭すること、又は加湿、養生、或いは防霜等を図ること、等を意図する。
【0008】
請求項1は、建柱に設けたファンと、このファンの送風領域に水、水粒子、又は微粒子を噴射するために、このファン、又は前記建柱に設けた多機能の散水ノズルと、この散水ノズルに水、薬液、液肥、防虫剤の流体を送るホースとで構成したファンの散水装置であって、
前記散水ノズルから噴射された流体に付与された噴射力が、前記送風領域内に到達し、かつこの送風領域内で消失する構成を達成するために、この散水ノズルの噴射方向を、前記送風領域の中心に向って行う構成としたファンの散水装置である。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成するには、この送風領域を、ファンの回転軸の軸芯とし、このファンと風との特性を最大限に発揮することを意図する。
【0010】
請求項2は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記送風領域の中心は、前記ファンの回転軸の軸芯とする構成としたファンの散水装置である。
【0011】
請求項3・4の発明は、請求項1の目的を達成するには、この散水ノズルの取付と、その保護、又は耐久性等に対して、ファンに設けたガードを活用することと、このガードが機能する特性、例えば、破損したファンの飛散と、その事故発生回避、又は人・飛来物の事故、散水ノズルの点検、又は調整という新しい作業に基づいて、この散水ノズルの点検、殊に散水ノズル、又はその装置に慣れていない農作業者等の際に、発生し易い人・飛来物の捲込み事故回避、これに纏わる余分の作業回避等に最大限に活用することを意図する。
【0012】
請求項3は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、ファンに設けたガードの開放端より延設し、かつこのファンの回転軸に至る支持杆に設ける構成としたファンの散水装置である。
【0013】
請求項4は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、ファンに設けたガードのガードの下側、又は下半分側に設けたブラケットと、このブラケットに可動自在に枢着した可動板に設ける構成としたファンの散水装置である。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成するには、この散水ノズルを、ファンの架台を活用し、かつこのファンの首振りと俯角に、ともに同期することを意図する。
【0015】
請求項5は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、ファンのモータベース、又は架台に、支持腕を垂下し、この支持腕の先端に設ける構成としたファンの散水装置である。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1の目的を達成するには、この散水ノズルの噴射方向を、送風領域の中心に向って行うことが最大限に有効であり、この有効性を確保することを意図する。
【0017】
請求項6は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルの噴射方向を、前記送風領域の中心で拡散する構成としたファンの散水装置である。
【0018】
請求項7の発明は、請求項2、又は請求項6の目的を達成するには、回転軸の軸芯と、散水ノズルの噴射方向の交差角度、θを、鋭角と必要性があり、この必要性を達成することを意図する。
【0019】
請求項7は、請求項2、又は請求項6に記載のファンの散水装置において、
前記ファンの回転軸の軸芯と、前記散水ノズルの噴射方向の交差角度、θを、鋭角とする構成としたファンの散水装置である。
【0020】
請求項8の発明は、請求項1の目的を、省エネで達成するには、この噴射ノズルの台数を、限定する必要性がある、これに適した構造の提案を意図する。
【0021】
請求項8は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、一基、又は数基とする構成としたファンの散水装置である。
【0022】
請求項9の発明は、請求項1の目的を達成するには、この散水ノズルの構造を特定することと、この散水ノズルの特性と送風とを効率的にドッキングすることであり、この特性を発揮することを意図する。
【0023】
請求項9は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルの水、水粒子、又は微粒子を噴射する操作を、遠隔操作とする構成としたファンの散水装置である。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明は、建柱に設けたファンと、ファンの送風領域に水、水粒子、又は微粒子を噴射するために、ファン、又は建柱に設けた多機能の散水ノズルと、散水ノズルに水、薬液、液肥、防虫剤の流体を送るホースとで構成したファンの散水装置であって、
散水ノズルから噴射された流体に付与された噴射力が、送風領域内に到達し、かつ送風領域内で消失する構成を達成するために、散水ノズルの噴射方向を、送風領域の中心に向って行う構成としたファンの散水装置である。
【0025】
これにより、請求項1は、多機能、即ち、水、水粒子、又は微粒子であって、かつ強弱でなる水流を噴射できる散水ノズルを、ファンに付設し(設け)、この噴射ノズルからの噴射する水、水粒子、又は微粒子を、ファンの送風領域内に到達させ、かつ送風領域内で消失する構成とすることで、この水、水粒子、又は微粒子を、果樹園、茶園、その他の圃場、牧草圃場、稲藁・麦藁生成箇所において、樹木、果実、葉、稲藁、麦藁等の汚染防止、例えば、放射能、煤煙、粉塵等等の有害物資を払拭できること、又は加湿、養生、或いは防霜等が図れること、等の特徴がある。
【0026】
請求項2の発明は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
送風領域の中心は、ファンの回転軸の軸芯とする構成としたファンの散水装置である。
【0027】
これにより、請求項2は、請求項1の目的を達成することを意図し、この送風領域を、ファンの回転軸の軸芯とし、このファンと風との特性を最大限に発揮する構造を提案する。
【0028】
請求項3の発明は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
散水ノズルを、ファンに設けたガードの開放端より延設し、かつファンの回転軸に至る支持杆に設ける構成としたファンの散水装置である。
【0029】
請求項4の発明は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
散水ノズルを、ファンに設けたガードのガードの下側、又は下半分側に設けたブラケットと、ブラケットに可動自在に枢着した可動板に設ける構成としたファンの散水装置である。
【0030】
これにより、請求項3・4は、請求項1の目的を達成することを意図し、この散水ノズルの取付と、その保護、又は耐久性等に対して、ファンに設けたガードを活用できる構造と、このガードが機能する特性、例えば、破損したファンの飛散と、その事故発生回避、又は人・飛来物の事故、散水ノズルの点検、又は調整という新しい作業に基づいて、この散水ノズルの点検、殊に散水ノズル、又はその装置に慣れていない農作業者等の際に、発生し易い人・飛来物の捲込み事故回避、これに纏わる余分の作業回避等を最大限に活用できる構造を提案する。
【0031】
請求項5の発明は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
散水ノズルを、ファンのモータベース、又は架台に、支持腕を垂下し、この支持腕の先端に設ける構成としたファンの散水装置である。
【0032】
これにより、請求項5は、請求項1の目的を達成することを意図し、この散水ノズルを、ファンの架台を活用し、かつこのファンの首振りと俯角に、ともに同期できる構造を提案する。
【0033】
請求項6の発明は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
散水ノズルの噴射方向を、送風領域の中心で拡散する構成としたファンの散水装置である。
【0034】
これにより、請求項6は、請求項1の目的を達成することを意図し、この散水ノズルの噴射方向を、送風領域の中心に向って行うことが最大限に有効であり、この有効性を確保できる構造を提案する。
【0035】
請求項7の発明は、請求項2、又は請求項6に記載のファンの散水装置において、
ファンの回転軸の軸芯と、散水ノズルの噴射方向の交差角度、θを、鋭角とする構成としたファンの散水装置である。
【0036】
、こ請求項7は、請求項2、又は請求項6の目的を達成することを意図して、回転軸の軸芯と、散水ノズルの噴射方向の交差角度、θを、鋭角と必要性があり、この必要性を達成できる構造を提案する。
【0037】
請求項8の発明は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
散水ノズルを、一基、又は数基とする構成としたファンの散水装置である。
【0038】
これにより、請求項8は、請求項1の目的を、省エネで達成することを意図し、この噴射ノズルの台数を、限定する必要性がある、これに適した構造を提案する。
【0039】
請求項9の発明は、請求項1に記載のファンの散水装置において、
散水ノズルの水、水粒子、又は微粒子を噴射する操作を、遠隔操作とする構成としたファンの散水装置である。
【0040】
これにより、請求項9は、請求項1の目的を達成することを意図し、この散水ノズルの構造を特定することと、この散水ノズルの特性と送風とを効率的にドッキングすることであり、この特性を発揮できる構造を提案する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第一実施例を示した正面図
【図2】第一実施例を示した側面図
【図3】第一実施例を示した平面図
【図4】第一実施例の側面図において、送風と散水との好ましい関係を示した模式図
【図5−1】第二実施例の一例であり散水ノズルを一基とした構造を示した正面図
【図5−2】第二実施例の他の例であり散水ノズルを数基とした構造を示した正面図
【図6−1】第二実施例を示した側面図
【図6−2】第二実施例の他の例の側面図
【図7】第二実施例を示した平面図
【図8−1】第二実施例の一例の側面図において、送風と散水との好ましい関係を示した模式図
【図8−2】第二実施例の他の例の側面図において、送風と散水との好ましい関係を示した模式図
【図9】第三実施例を示した正面図
【図10】第三実施例を示した側面図
【図11】第三実施例を示した平面図
【図12】第三実施例の側面図において、送風と散水との好ましい関係を示した模式図
【図13】第四実施例を示した正面図
【図14】第四実施例を示した側面図
【図15】散水ノズルの好ましい一例を示した拡大斜視図
【図16】散水ノズルの散水する水の状態を示した模式図
【図17】使用状態の模式図
【発明を実施するための形態】
【0042】
先ず、各実施例で共通するファンAの好ましい一例を説明すると、このファンA(通常の防霜ファンである)は、建柱B(支持材)に被嵌する天井を備えた筒状の取付け筒1と、この取付け筒1に設けた、この取付け筒1を建柱Bに緊締する締付け螺子2と、この取付け筒1の上面に設けた略船形を呈する取付け台3と、この取付け台3に内装した減速機構を備えたモータ5と、リンク機構6でなる首振り手段C(旋回)と、この首振り手段Cの可動軸600(一定の範囲で旋回する)に設けた旋回する架台7(回転台)と、この架台7に設けた俯角調整手段Dを介して、この架台7に俯角調整自在に設けたモータベース8と、このモータベース8に設けたファン用の羽根10を回転するモータ11とで構成する。従って、この羽根10は、モータ11の回転で回転するとともに、この架台7が、首振り手段Cと可動軸600とにより首振り(旋回)することで、この首振り範囲において、羽根10の回転を介して、送風領域E(送風流域)を形成する。また、送風領域Eの俯角は、俯角調整手段Dを介して調整する。前述の如く、従来の防霜ファンへの設置も可能であり、低コストと汎用性の向上、並びに経費の削減と、管理の簡便化と、従来の経験が活用できること、等の特徴がある。
【0043】
図中12はファン用のガードで、羽根10の後側に設置し、羽根10の後側から、羽根10を囲繞するが、羽根10の前側は開放1200されている。従って、このガード12は、破損した羽根10の後方への飛散(この後方への飛散が、略100%である)防止と、その事故発生回避、又は散水ノズルの点検、又は調整という新しい作業に基づいて、この散水ノズルの点検、殊に散水ノズル、又はその装置に慣れていない農作業者等の際に、発生し易い人・飛来物の捲込み事故回避、これに纏わる余分の作業(例えば、羽根10が自然風で回らないように固定する作業、監視作業等)回避等を計るのに有益である。本発明では、このガード12は、後述するように、他にも有用な役割を担っている。
【0044】
そして、図1〜図4に示した第一実施例では、環状で、吸込隙間を備えた網体形状のガード12に散水ノズル15を設ける。このガード12は、モータ11の出力側に取付けたこのモータ11の外周面より大径の円板状取付け板1100の円板方向に、間隔を置いて、この円板方向に順次、その基端を設け、かつその自由端を開放1200側に設けた多数本のガード平板1201と、この多数のガード平板1201に直交する、前記基端から開放1200側に向って設けた小径から大径に亙る複数本のリング形状のガード枠体1202とで構成する。そして、このガード12の開放端12aよりセンター12bに向って延設した複数本の支持杆13、13を介して、散水ノズル15を支持する構造である。この構造の如く、円板状取付け板1100を介して、ガード12をモータ11に取付けることで、このガード12を、モータ11に、簡易かつ強固に取付け得ることと、このガード12の役割を確実に達成できること、又はモータ11、及び/又は、出力軸を、羽根10の破損物から保護できること、等の特徴を有する。また、前記散水ノズル15にはホース16が取付けられている。従って、この散水ノズル15からは、送風領域EのセンターE1に向って、散水F(放水)される。この散水Fは、ファンAの動き(首振り)と同期し、又はファンAとともに俯角調整が可能である。また、この散水Fは、送風領域E内に留まり、この送風領域Eの外に到ることはない。尚、散水Fは、水、水粒子、又は微粒子を噴射するが、例えば、図16の如く、如雨露散水、シャワー散水、直射散水、又は拡散散水、或いは噴霧散水とする。そして、この中で、如雨露散水、直射散水では、樹木G、果実G1、葉G2、稲藁、麦藁等の汚染防止、例えば、放射能、煤煙、粉塵等等の有害物資を払拭できると考えられる。また、シャワー散水、噴霧散水では、樹木G、果実G1、葉G2等の加湿、養生、或いは防霜等が図れると考えられる。このように、多機能の散水ノズル15を使用することで、前述の効果と、樹木G、果実G1、葉G2、稲藁、麦藁等の汚染防止に役立つ特徴がある。また、ホース16は、ファンAが首振り動作と、俯角調整をすることで、建柱Bにフレキシブルに取付ける方法と、これらの動作に対応できるように、余裕と弾性を付与することが望まれる。また、複数基、設置箇所と高さ等を考慮し、この散水ノズル15に所定量の水を供給するために、図示しないが、ポンプを採用する。また、前記噴射ノズル15の操作を、遠隔操作することもできる。
【0045】
また、図5−1〜図8−2に示した第二実施例では、第一実施例のガード12の下側12cに設けたブラケット20と、ブラケット20に可動自在に枢着した可動板21とで構成した散水ノズル15の支持構造であり、調整手段22を介して、可動板21を可動し、散水ノズル15の向きを可変する。その他は、前述の第一実施例に準ずる。この散水ノズル15からは、送風領域EのセンターE1(羽根10の回転軸の軸芯方向)に向って、散水F(放水)され、このセンターE1とθの角度を持って噴射される。この散水Fは、送風領域E内に留まり、この送風領域Eの外に到ることはない。尚、散水Fは、水、水粒子、又は微粒子を噴射するが、例えば、図16の如く、如雨露散水、シャワー散水、直射散水、又は拡散散水、或いは噴霧散水とする。その他は、前述の第一実施例に準ずる。また、図6−2、図8−2の如く、散水ノズル15の散水F方向を下向きとして、θの角度を小さくすることも可能であり、樹木G、葉G2等に近接して散水等が可能となる。又、散水ノズルを送風領域Eの方向に移動することが出来る。
【0046】
さらに、図9〜図12に示した第三実施例では、モータベース8、又は架台7等に垂下した支持腕25と、この支持腕25に設けた可動板21を介して散水ノズル25を可動自在に設ける構造であり、この可動板21の構造と動きは、前述の第二実施例に準ずる。そして、この第三実施例の如く、ガード12を設けないことも可能である(ガード12の特徴は期待できないが、やや羽根10より離間しており、危険性は少ないと考えられる)。尚、図示しないが、支持腕25は、第一・第二実施例のガード12の裏側12dより垂下、かつ延設し、この支持腕25に散水ノズル15を設ける支持構造も可能である。また、この図示しない支持腕25を、フレキシブル構造とすることで、可変自在とし、散水ノズル15の向きを可変する。その他は、前述の第一実施例に準ずる。この散水ノズル15からは、送風領域EのセンターE1(羽根10の軸芯方向)に向って、散水F(放水)され、このセンターE1とθの角度を持って噴射される。この散水Fは、送風領域E内に留まり、この送風領域Eの外に到ることは原則としてないこととし、効率的な散水Fと、散水Fの水量の有効利用と、経済性等を確保する。尚、散水Fは、水、水粒子、又は微粒子を噴射するが、例えば、図16の如く、如雨露散水、シャワー散水、直射散水、又は拡散散水、或いは噴霧散水とする。その他は、前述の第一実施例に準ずる。
【0047】
そして、図13、図14に示した第四実施例では、第三実施例の別の例であり、支持腕25より下半分側に左右の腕片2500を延長し、この各腕片2500に散水ノズル15を設けた構造である。これにより、散水Fを、送風領域E内に留めることで、例えば、散水Fの量の確保と、散水Fの方向性を選択できる構造とする。これにより、例えば、建柱BとファンAの省略、果樹園、茶園、その他の圃場、牧草圃場、稲藁・麦藁生成箇所等の形態、地形等に有効に対応可能である。この第四実施例の如く、複数基の散水ノズル15を設ける例は、第一・第二実施例の支持杆13、又はガード12の下半分側に設ける構造も同様に考えられる。
【0048】
図17では、圃場のリンゴ畑において、本発明の散水ノズル15付きのファンAを採用した一例を示している。好ましい一例であり、限定されない。そして、遠隔操作と自動制御システム等を利用して、散水ノズル15、及び/又は、ファンAの操作をすれば、現地に限らず、各所から操作でき、簡便であり、かつより有効性が確保できる。
【0049】
また、図示しないが、水に代えて、薬液、液肥、防虫剤、その他の液体等の流体を使用する例もあり得る。この際には、この薬液、防虫剤等の流体を散布後に、水を散水Fすることも、衛生面と薬液、防虫剤等の払拭に有益である。
【符号の説明】
【0050】
1 取付け筒
2 螺子
3 取付け台
5 モータ
6 リンク機構
600 可動軸
7 架台
8 モータベース
10 羽根
11 モータ
1100 取付け板
12 ガード
12a 開放端
12b センター
12c 下側
12d 裏側
1200 開放
1201 ガード平板
1202 ガード枠体
13 支持杆
15 散水ノズル
16 ホース
20 ブラケット
21 可動板
22 調整手段
25 支持腕
2500 腕片
A ファン
B 建柱
C 首振り手段
D 俯角調整手段
E 送風領域
E1 センター
F 散水
G 樹木
G1 果実
G2 葉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建柱に設けたファンと、このファンの送風領域に水、水粒子、又は微粒子を噴射するために、このファン、又は前記建柱に設けた多機能の散水ノズルと、この散水ノズルに水、薬液、液肥、防虫剤の流体を送るホースとで構成したファンの散水装置であって、
前記散水ノズルから噴射された流体に付与された噴射力が、前記送風領域内に到達し、かつこの送風領域内で消失する構成を達成するために、この散水ノズルの噴射方向を、前記送風領域の中心に向って行う構成としたファンの散水装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記送風領域の中心は、前記ファンの回転軸の軸芯とする構成としたファンの散水装置。
【請求項3】
請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、ファンに設けたガードの開放端より延設し、かつこのファンの回転軸に至る支持杆に設ける構成としたファンの散水装置。
【請求項4】
請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、ファンに設けたガードの下側、又は下半分側に設けたブラケットと、このブラケットに可動自在に枢着した可動板に設ける構成としたファンの散水装置。
【請求項5】
請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、ファンのモータベース、又は架台に、支持腕を垂下し、この支持腕の先端に設ける構成としたファンの散水装置。
【請求項6】
請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルの噴射方向を、前記送風領域の中心で拡散する構成としたファンの散水装置。
【請求項7】
請求項2、又は請求項6に記載のファンの散水装置において、
前記ファンの回転軸の軸芯と、前記散水ノズルの噴射方向の交差角度、θを、鋭角とする構成としたファンの散水装置。
【請求項8】
請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルを、一基、又は数基とする構成としたファンの散水装置。
【請求項9】
請求項1に記載のファンの散水装置において、
前記散水ノズルの水、水粒子、又は微粒子を噴射する操作を、遠隔操作とする構成としたファンの散水装置。

【図17】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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