説明

フィルタープレス装置

【課題】フィルタープレス装置において、締付装置を小型化するとともに、製作コストを低減する。
【解決手段】濾板群5を挟んで互いに向かい合って配設されたリヤーヘッド1およびファーストヘッド3と、リヤーヘッド1と濾板群5との間に配置され、ファーストヘッド3に向かって進退自在に設けられたルーズヘッド2と、ルーズヘッド2を濾板群5に向けて前進させて濾板群5を締め付ける締付機構6と、リヤーヘッド1およびルーズヘッド2のそれぞれから互いに向かい合って伸びた耐力柱71および耐力柱72と、それらの耐力柱の間に挿入されるコッタ73とを有し、そのいずれか一方または両方の耐力柱の先端面が、それらの耐力柱の間の間隔がコッタ73が挿入される方向に向かって狭まるように傾斜し、コッタ73の前記傾斜した先端面に対向する面がその傾斜した先端面の傾斜角と同一の傾斜角で傾斜するように設けられている荷重盛替機構7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理液を加圧濾過するフィルタープレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、汚泥などを含む被処理液を固液分離する装置としてフィルタープレス装置が知られている。このようなフィルタープレス装置には、複数の濾板が並設されてなる濾板群と、濾板群を挟んで互いに向かい合って配設された一対の固定ヘッドと、一方の固定ヘッドと濾板群との間に配置され、他方の固定ヘッドに向かって進退自在に設けられた移動ヘッドと、移動ヘッドを濾板群に向けて前進させて濾板群を締め付ける締付機構とを備えたものがある。ここで、締付機構としては、一方の固定ヘッドにネジ棒を螺着させ、該ネジ棒をモータ等で回転させて濾板群に向けて伸長させることによりネジ棒で移動ヘッドを濾板に押付けて濾板群を締め付けるものがある。また、締付機構として、一方の固定ヘッドと移動ヘッドとの間にパンダグラフ式ジャッキを取り付け、そのパンダグラフ式ジャッキをモータ等で差動させて移動ヘッド側に拡張させることにより、パンダグラフ式ジャッキで移動ヘッドを濾板に押付けて濾板群を締め付けるものもある(特許文献1参照)。
【0003】
このようなフィルタープレス装置では、締付機構により濾板群を締め付けた状態で、濾板間に形成された濾室内に被処理液を圧入して濾過し、その後、濾室の一方側に設けられたダイヤフラムにさらに高圧の圧搾圧力をかけることにより濾室内の被処理液を圧搾する。このとき、濾板群を締め付けている締付装置には、その締付方向とは反対の方向に、濾過および圧搾の各工程において濾板にかけられた圧力に相当する反力が作用する。以下、この反力を締付反力という。その後、濾板を互いに離隔させて脱水ケーキを排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4135850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のフィルタープレス装置では、締付反力は締付機構を介して一方の固定ヘッドにより受け持つこととなり、締付反力は締付機構に作用し続けることとなるため、締付機構には、濾過時の比較的小さな締付反力(圧力約0.4MPa程度)だけでなく圧搾時の大きな締付反力(圧力約1.5MPa程度)にも耐えられることが要求される。このため、その各構成部材が大型化し、製作コストが高くなってしまうという問題がある。
【0006】
また、締付装置が上述のような固定ヘッドにネジ棒を螺着してなるものである場合、圧搾時の負荷によってネジ表面が固定ヘッドに焼付いて動かなくなってしまう場合があり、問題となる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、締付装置を小型化するとともに、濾板の締付反力に充分に耐え得る構造を確保しつつ装置全体の製作コストを低減することができるフィルタープレス装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフィルタープレス装置は、複数の濾板が並設されてなる濾板群と、濾板群を挟んで互いに向かい合って配設された第1の固定ヘッドおよび第2の固定ヘッドと、第1の固定ヘッドと濾板群との間に配置され、第2の固定ヘッドに向かって進退自在に設けられた移動ヘッドと、移動ヘッドを濾板群に向けて前進させて濾板群を締め付ける締付機構と、第1の固定ヘッドおよび移動ヘッドのそれぞれから互いに向かい合って伸びた第1の耐力柱および第2の耐力柱と、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間に挿入される耐力ブロックとを有し、第1の耐力柱および第2の耐力柱のいずれか一方または両方の先端面が、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間の間隔が耐力ブロックが挿入される方向に向かって狭まるように傾斜し、耐力ブロックの前記挿入されたときに前記傾斜した先端面に対向することとなる面がその傾斜した先端面の傾斜角と同一の傾斜角で傾斜するように設けられている荷重盛替機構とを備えたことを特徴とするものである(第1のフィルタープレス装置)。
【0009】
このフィルタープレス装置は、第1の耐力柱および第2の耐力柱のいずれか一方と耐力ブロックとの間に、ピンヒンジで固定されたイコライザと、そのイコライザを介して耐力ブロックに接続するロードセルとを有する圧力検出機構を備えたものであってもよい。ここで、イコライザは、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間に耐力ブロックを挿入したり抜き出したりする時にロードセルに面外力が作用することを防止する機能を有するものである。
【0010】
また、本発明のフィルタープレス装置は、複数の濾板が並設されてなる濾板群と、濾板群を挟んで互いに向かい合って配設された第1の固定ヘッドおよび第2の固定ヘッドと、第1の固定ヘッドと濾板群との間に配置され、第2の固定ヘッドに向かって進退自在に設けられた移動ヘッドと、移動ヘッドを濾板群に向けて前進させて濾板群を締め付ける締付機構と、第1の固定ヘッドおよび移動ヘッドのいずれか一方のヘッドから他方のヘッドに向かって伸びた耐力柱と、耐力柱と前記他方のヘッドの間に挿入される耐力ブロックとを有し、耐力柱の先端面が、その耐力柱と前記他方のヘッドの間の間隔が耐力ブロックが挿入される方向に向かって狭まるように傾斜し、耐力ブロックの前記挿入されたときに前記傾斜した先端面に対向することとなる面の傾斜角がその傾斜した先端面の傾斜角と一致するように設けられている荷重盛替機構とを備えたことを特徴とするものである(第2のフィルタープレス装置)。
【0011】
このフィルタープレス装置は、耐力ブロックと前記他方のヘッドとの間に、ピンヒンジで固定されたイコライザと、そのイコライザを介して耐力ブロックに接続するロードセルとを有する圧力検出機構を備えたものであってもよい。
【0012】
また、上記第1および第2のフィルタープレス装置において、耐力ブロックは、移動ヘッドの進退方向と同一方向である厚さ方向の幅を調整する幅調整機構を有するものであってもよい。この幅調整機構として、たとえば、前記厚さ方向に相対的に近接、離間可能に設けられた第1の部分ブロックおよび第2の部分ブロックと、その第1の部分ブロックと第2の部分ブロックとの間に配置され、厚さ方向と直交する方向に相対的に離間、近接可能に設けられた第1の調整ブロックおよび第2の調整ブロックとを有し、第1の部分ブロックと第2の部分ブロックの互いに対向する面が、第1の部分ブロックおよび第2の部分ブロックの間に第1の調整ブロックおよび第2の調整ブロックに対応する一対のくさび状の空間を形成するように傾斜し、第1の調整ブロックおよび第2の調整ブロックがそれぞれ対応するくさび状の空間の内側面に対向する傾斜面を有するものであり、第1の調整ブロック及び第2の調整ブロックを離間、近接させることにより、第1の部分ブロックと第2の部分ブロックを近接、離間可能に構成されたものであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1および第2のフィルタープレス装置によれば、複数の濾板が並設されてなる濾板群と、濾板群を挟んで互いに向かい合って配設された第1の固定ヘッドおよび第2の固定ヘッドと、第1の固定ヘッドと濾板群との間に配置され、第2の固定ヘッドに向かって進退自在に設けられた移動ヘッドと、移動ヘッドを濾板群に向けて前進させて濾板群を締め付ける締付機構に加え、圧搾時などに濾板の締付方向とは反対の方向に作用する反力(締付反力)の一部または全部を締付機構から盛替えて受け持つ荷重盛替機構をさらに備えているので、従来のフィルタープレス装置に比べて締付機構に要求される耐圧能を小さくでき、これにより、締付装置を小型化し、その製作コストを低減することができる。
【0014】
第1のフィルタープレス装置において、荷重盛替機構は、第1の固定ヘッドおよび移動ヘッドのそれぞれから互いに向かい合って伸びた第1の耐力柱および第2の耐力柱と、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間に挿入される耐力ブロックとを備えているので、この第1の耐力柱と第2の耐力柱の間に耐力ブロックを挿入することによって、耐力ブロックが第1の耐力柱および第2の耐力柱と一体的に連結されてなる、第1の固定ヘッドと移動ヘッドの間を支える柱構造を形成することができる。
【0015】
このとき、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間の間隔は、第1の固定ヘッドと移動ヘッドの間の間隔に応じて多少変動するが、第1の耐力柱および第2の耐力柱のいずれか一方または両方の先端面が、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間の間隔が耐力ブロックが挿入される方向に向かって狭まるように傾斜し、耐力ブロックの前記挿入されたときに前記傾斜した先端面に対向することとなる面がその傾斜した先端面の傾斜角と同一の傾斜角で傾斜するように設けられていることから、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間の間隔が小さい場合には耐力ブロックを浅く挿入し、間隔が大きい場合には耐力ブロックを深く挿入することにより、その変動に対応することができる。さらに、この荷重盛替機構は、構造が単純であるため、製造コストをも低く抑えることができる。
【0016】
また、第1のフィルタープレス装置において、第1の耐力柱および第2の耐力柱のいずれか一方と耐力ブロックとの間に設置されたロードセルにより荷重盛替機構にかかる荷重を検出する際に、ロードセルが、ピンヒンジで固定されたイコライザを介して耐力ブロックに接続するようにした場合には、耐力ブロックの嵌脱時にロードセルに面外力が作用することを防止することができる。
【0017】
また、第2のフィルタープレス装置において、荷重盛替機構は、第1の固定ヘッドおよび移動ヘッドのいずれか一方のヘッドから他方のヘッドに向かって伸びた耐力柱と、耐力柱と前記他方のヘッドの間に挿入される耐力ブロックとを備えているので、この耐力柱と前記他方のヘッドの間に耐力ブロックを挿入することによって、耐力ブロックが耐力柱と一体的に連結されてなる、第1の固定ヘッドと移動ヘッドの間を支える柱構造を形成することができる。
【0018】
このとき、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間の間隔は、第1の固定ヘッドと移動ヘッドの間の間隔に応じて多少変動するが、耐力柱の先端面が、その耐力柱と前記他方のヘッドの間の間隔が耐力ブロックが挿入される方向に向かって狭まるように傾斜し、耐力ブロックの前記挿入されたときに前記傾斜した先端面に対向することとなる面の傾斜角がその傾斜した先端面の傾斜角と一致するように設けられていることから、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間の間隔が小さい場合には耐力ブロックを浅く挿入し、間隔が大きい場合には耐力ブロックを深く挿入することにより、その変動に対応することができる。さらに、この荷重盛替機構は、構造が単純であるため、製造コストをも低く抑えることができる。
【0019】
また、第2のフィルタープレス装置において、耐力ブロックと前記他方のヘッドとの間に設置されたロードセルにより荷重盛替機構にかかる荷重を検出する際に、ロードセルが、ピンヒンジで固定されたイコライザを介して耐力ブロックに接続するようにした場合には、耐力ブロックの嵌脱時にロードセルに面外力が作用することを防止することができる。
【0020】
また、上記第1および第2のフィルタープレス装置において、耐力ブロックが、移動ヘッドの進退方向と同一方向である厚さ方向の幅を調整する幅調整機構を有するものである場合には、第1の耐力柱と第2の耐力柱の間の間隔の変動により広い幅で対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のフィルタープレス装置の概略構成を示す平面図
【図2】図1のフィルタープレス装置のA‐A断面図(コッタ挿入前の状態)
【図3】図1のフィルタープレス装置のA‐A断面図(コッタ挿入後の状態)
【図4】第2の実施の形態にかかるフィルタープレス装置の概略構成を示す断面図
【図5】第3の実施の形態にかかるフィルタープレス装置の概略構成を示す断面図
【図6】図5のフィルタープレス装置のB‐B断面図
【図7】コッタの構造を示す正面図
【図8】図7のコッタの平面図
【図9】図8のC‐C断面図
【図10】図7のコッタを矢印A方向から見た図
【図11】幅調整機構による厚さ方向の幅の調整を説明するための図(最小長さ状態)
【図12】幅調整機構による厚さ方向の幅の調整を説明するための図(最小長さ状態)
【図13】コッタに補助ライナを取り付けた状態を示す図
【図14】図13の補助ライナを矢印B方向から見た図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明のフィルタープレス装置の第1の実施の形態について説明する。図1は本発明のフィルタープレス装置100の平面図であり、図2は図1のフィルタープレス装置100のA−A断面図である。図1に示すように、フィルタープレス装置100は、互いに離間した位置に向かい合って設置されたリヤーヘッド1(第1の固定ヘッド)およびファーストヘッド3(第2の固定ヘッド)と、リヤーヘッド1とファーストヘッド3に両端部を支持されリヤーヘッド1とファーストヘッド3に渡って延設された一対のサイドバー4、4と、複数の濾板がサイドバー4、4に沿って移動可能に並設されてなる濾板群5と、リヤーヘッド1と濾板群5との間にサイドバー4、4に沿って移動可能に(すなわちファーストヘッド3に向かって進退自在に)設けられたルーズヘッド2(移動ヘッド)と、ルーズヘッド2を濾板群5に向けて前進させて濾板群5を締め付ける締付機構6と、濾板の締付反力の一部または全部を締付機構6から盛替えて受け持つ荷重盛替機構7とを備えている。
【0023】
締付機構6は、リヤーヘッド1の背面に設けられた電動の駆動モータ62と、リヤーヘッド1の中央部に螺着され、駆動モータ62に駆動されてルーズヘッド4に対して前後進するように構成されたネジ棒61とを備えている。これにより、駆動モータ62を駆動してネジ棒61をルーズヘッド4側に伸張させることによりルーズヘッド2を濾板群5に向けて押圧し締め付ける。
【0024】
荷重盛替機構7は、締付機構6の両側にそれぞれ1セットずつ合計2セットが設けられており、各セットは、図2に示すように、リヤーヘッド1のルーズヘッド2に向かって伸びた耐力柱71(第1の耐力柱)と、ルーズヘッド2から耐力柱71に向かい合って伸びた耐力柱72(第2の耐力柱)と、耐力柱71と耐力柱72の間に上方より挿入されるコッタ73(耐力ブロック)と、コッタ73を耐力柱71と耐力柱72の間に挿入したり抜き出したりするためのコッタ開閉機構から構成されている。
【0025】
耐力柱71と耐力柱72の先端面は、耐力柱71と耐力柱72の間の間隔が上方から下方に向かって(すなわちコッタ73が挿入される方向に向かって)狭まるように傾斜しており、コッタ73の耐力柱71と72の各先端面に対向する面はそれぞれ、その各対向する先端面の傾斜角と同一の傾斜角で傾斜するように設けられているこのとき、耐力柱71と72の先端面の傾斜角は、たとえば約1/10(垂直方向の長さ/水平方向長さ)とすることができる。この傾斜角は、耐力柱71、72およびコッタ73の材料の摩擦係数やコッタ開閉力に基づいて適宜設定、変更することができる。
【0026】
また、耐力柱71、72およびコッタ73は、圧搾時などに作用する濾板の締付反力の一部または全部を受け持つことができる程度の耐圧能を備えた鋼材等により製作されている。
【0027】
コッタ開閉機構は、図2に示すように、電動シリンダ74、L型レバー76、バランサ77、平行四辺形リンク78から構成されている。L型レバー76は、リヤーヘッド1に固設されたベース部材の先端で回転自在に支持され、その一端が電動シリンダ74の伸縮ロッド74aの先端に取り付けられ、他端にはバランサ77および平行四辺形リンク78を介してコッタ73が吊下げられている。このL型レバー76によって伸縮ロッド74aの直線運動が円弧運動に変換され、コッタ10を上下させる直線状の動きが作り出される。このようにコッタ73を上下させることによって、コッタ73を耐力柱71と耐力柱72の間に挿入したり抜き出したりする。図2はコッタ73が耐力柱71と耐力柱72の間に挿入される前の状態を、図3はコッタ73が耐力柱71と耐力柱72の間に挿入された後の状態を示す。
【0028】
ここで、バランサ77は、吊り下げられている部材の釣合を取るためのものであり、平行四辺形リンク78は、コッタ73の水平方向の位置を調整するためのものである。耐力柱71、72の位置やコッタ73の位置は動作途中で幾何学的にまたはたわみ等によって多少変動する場合があるが、このとき平行四辺形リンク78によってコッタ73を水平方向に移動させることによって耐力柱71と耐力柱72の間の空間に対するコッタ73の挿入位置を調整することができる。
【0029】
上記の構成により、加圧濾過の際には、まず、駆動モータ62を正転駆動してネジ棒61をルーズヘッド4側に伸張させることによりルーズヘッド2を濾板群5に向けて押圧し、ルーズヘッド4および濾板群5を締め付けた状態で、濾板間に形成された濾室内に被処理液を圧入し、濾過を行う。その後、コッタ開閉機構により、コッタ73を耐力柱71と耐力柱72の間に挿入する。このとき、耐力柱71とコッタ73、および耐力柱72とコッタ73の対向する面同士が隙間なく当接され、コッタ73はその自重および当接された面間の摩擦によって耐力柱71、72と一体的に連結されてリヤーヘッド1とルーズヘッド4の間を支える柱構造(両者の間隔に一致する長さ寸法を有する柱構造)を形成する。
【0030】
その後、駆動モータ62を逆転駆動してネジ棒61を徐々に収縮させることにより、濾板の締付反力を締付機構6から前記形成された柱構造に徐々に盛替る。そして、ネジ棒61がルーズヘッド4から完全に切り離され、濾板の締付反力を全て前記柱構造で受け持つようになった状態で、濾室の一方側に設けられたダイヤフラムにさらに高圧の圧搾圧力をかけることにより濾室内の被処理液を圧搾する。圧搾が完了すると、濾板を互いに離隔させて脱水ケーキを排出し、処理を終了する。
【0031】
次に、図4を参照して、本発明のフィルタープレス装置の第2の実施形態について説明する。図4は第2の実施形態に係るフィルタープレス装置200の断面図である。なお、この図4の断面図は、フィルタープレス装置200に対して、図1のフィルタープレス装置100に対する図3の断面図に相当するものである。
【0032】
フィルタープレス装置200は、上記第1の実施の形態に係るフィルタープレス100とは、荷重盛替機構7´が、リヤーヘッド1からルーズヘッド2に向かって伸びた1本の耐力柱71と、その耐力柱71とルーズヘッド2の間に挿入されるコッタ73´によりリヤーヘッド1とルーズヘッド2の間を支える柱構造を形成するものである点と、コッタ73´とルーズヘッド2との間に圧力検出機構8を備えている点で異なる。なお、フィルタープレス装置200においてフィルタープレス装置100と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0033】
図4に示すように、荷重盛替機構7´のセットは、リヤーヘッド1からルーズヘッド2に向かって伸びた耐力柱71と、耐力柱71とルーズヘッド2の間に挿入されるコッタ73´(耐力ブロック)と、コッタ73´を耐力柱71と圧力検出機構8の間に挿入したり抜き出したりするためのコッタ開閉機構から構成されている。
【0034】
耐力柱71は、その耐力柱71とルーズヘッド2の間の間隔が上方から下方に向かって(すなわちコッタ73´が挿入される方向に向かって)狭まるように傾斜した先端面を有し、コッタ73´は、耐力柱71の先端面に対向する面としてその先端面の傾斜角と同一の傾斜角で傾斜した傾斜面を有し、圧力検出機構8に当接することとなる面として濾板の締付方向と直交する平面を有する。このとき、耐力柱71の先端面の傾斜角は、たとえば約1/10(垂直方向の長さ/水平方向長さ)とすることができる。この傾斜角は、耐力柱71とコッタ73´の材料の摩擦係数やコッタ開閉力に基づいて適宜設定、変更することができる。
【0035】
そして、コッタ開閉機構によってコッタ73´が耐力柱71と圧力検出機構8の間に挿入されると、耐力柱71とコッタ73´、および圧力検出機構8とコッタ73´の対向する面同士が隙間なく当接され、コッタ73´は耐力柱71と圧力検出機構8と一体的に連結されてリヤーヘッド1とルーズヘッド4の間を支える柱構造(両者の間隔に一致する長さ寸法を有する柱構造)を形成する。
【0036】
圧力検出機構8は、図4に示すように、ピンヒンジ81で固定されたイコライザ82と、そのイコライザ82を介してコッタ73´に接続するロードセル83から構成され、前記柱構造にかかる圧力を検出し、出力する。なお、この圧力検出機構8からの出力を用いてコッタ開閉機構の動作、圧搾圧力の大きさ等を制御する構成をさらに備えてもよい。
【0037】
次に、図5から図12を参照して、本発明のフィルタープレス装置の第3の実施形態について説明する。図5は第3の実施形態に係るフィルタープレス装置300の断面図であり、図6は、図5のフィルタープレス装置300のB−B断面図である。また、図7から図12までは、フィルタープレス装置300に使用されているコッタ73´のより詳細な構成を表す図である。なお、上記図5の断面図は、フィルタープレス装置300に対して、図1のフィルタープレス装置100に対する図3の断面図に相当するものである。
【0038】
フィルタープレス装置300が上記第2の実施の形態に係るフィルタープレス200と異なる点は、コッタ開閉機構の構造である。なお、フィルタープレス装置300においてフィルタープレス装置200と同一の構成を有する部位には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0039】
コッタ開閉機構は、図5に示すように、開閉機構支持台703、電動シリンダ704、ガイド支持台706、コッタガイド707から構成されている。開閉機構支持台703は耐力柱71の上面先端側に立設され、その開閉機構支持台703の上端部に固設された電動シリンダ704を駆動することによって伸縮ロッド704aを伸縮させ、伸縮ロッド704aの先端に連結されたコッタ73´をコッタガイド707に沿って耐力柱71と圧力検出機構8の間の空間に挿入したり抜き出したりできるように形成されている。ここで、コッタガイド707は、耐力柱71の先端面に連続して上方に伸びる同一傾斜面を形成する。
【0040】
このようにコッタガイド707に沿ってコッタ73´を挿入したり抜き出したりする本実施の形態によれば、上記第1および第2の実施の形態の場合に比べてコッタを挿入したり抜き出したりする操作をより円滑なものにすることができる。
【0041】
また、本実施の形態に係るコッタ開閉機構では、コッタ73´を挿入する際に、ロッド74aの伸張力によってコッタ73´を耐力柱71と圧力検出機構8の間に押し込むことができ、耐力柱71とコッタ73´、および圧力検出機構8とコッタ73´の対向する面同士をより確実に密着させ、より頑丈な柱構造が形成されるようにすることができる。このとき、コッタ開閉装置に内蔵されたトルクリミッタによってコッタ73´を押し込む押込力を制御するようにしてもよい。なお、トルクリミッタとしては、たとえば皿バネとリミットスイッチを組み合わせたもの等が知られている。
【0042】
また、本実施の形態におけるコッタ73´は、図7の正面図に示すように、上面にコッタ開閉装置への連結部731aが設けられているコッタ本体731と、コッタ本体731に取り付けられてコッタ73´の厚さ方向(ルーズヘッド2の進退方向と同一方向)の幅を調整する幅調整機構から構成されている。幅調整機構は、厚さ方向に相対的に近接、離間可能に設けられた部分ブロック732a(第1の部分ブロック)および部分ブロック732b(第2の部分ブロック)と、それらの部分ブロック732aと部分ブロック732bの間に配置され、厚さ方向と直交する方向に相対的に離間、近接可能に設けられた調整ブロック733a(第1の調整ブロック)および調整ブロック733b(第2の調整ブロック)とを有する。
【0043】
また、図8の平面図およびそのC−C断面図である図9、および図7のコッタ73´を矢印A方向から見た図である図10に示すように、部分ブロック732aと部分ブロック732bの側面中央部の2箇所に設けられている各貫通孔742a、742bを貫通させた位置決めバー735の先端部(左端部)が、コッタ本体731の右側面にそれらの貫通孔742a、742bと対応する箇所に設けられている挿入穴731bにそれぞれ挿入され、位置決めされた状態で、コッタ本体731、部分ブロック732aおよび部分ブロック732bは、1対のスプリング736により部分ブロック732bとコッタ本体731の間隔を狭める方向に付勢されている。なお、部分ブロック732bについては、位置決めバー25に対してスライド可能にするため、その貫通孔742bの直径を位置決めバー25の直径よりも大きく形成している。
【0044】
また、部分ブロック732aと部分ブロック732bの互いに対向する面は、部分ブロック732aおよび部分ブロック732bの間に調整ブロック733aおよび調整ブロック733bに対応する一対のくさび状の空間を形成するように傾斜し、調整ブロック733aおよび調整ブロック733bはそれぞれ対応するくさび状の空間の内側面に対向する傾斜面を有する。また、この調整ブロック733aおよび調整ブロック733bの各傾斜面はその対向する面の傾斜角と同一の傾斜角で傾斜している。このとき、部分ブロック732a、732bの各対向面の傾斜角は、たとえば約1/5(垂直方向の長さ/水平方向長さ)とすることができる。この傾斜角は、部分ブロック732aと732bおよび調整ブロック733aと733bの材料の摩擦係数やコッタ開閉力に基づいて適宜設定、変更することができる。
【0045】
また、図11および図12に示すように、調整ブロック733aおよび調整ブロック733bには、一本の両ネジボルト734が螺入されている。調整ブロック733aおよび調整ブロック733bにはそれぞれ左右逆ネジのネジ孔743a、743bが設けられており、両ネジボルト734にも、調整ブロック733aと調整ブロック733bのネジ孔743a、743bに対応して上部と下部とで互いに逆ネジが形成されている。両ネジボルト734は、上部ネジ5aが調整ブロック733aに螺入され、下部ネジ5bが調整ブロック733bに螺入され、両ネジボルト30を回動することによって調整ブロック733aと調整ブロック733bとの相対間隔を調整可能になっている。例えば、調整ブロック733aには左ネジ、調整ブロック733bには右ネジのネジ孔が形成されている場合、両ネジボルト734を右回転すると調整ブロック733aと調整ブロック733b互いに近づき、両ネジボルト734を左回転すると調整ブロック733aと調整ブロック733bは互いに遠ざかる。
【0046】
このとき、部分ブロック732bとコッタ本体731はスプリング736により常に引っ張られているので、調整ブロック733aと調整ブロック733bが互いに遠ざかると、図11に示すように、部分ブロック732bとコッタ本体731はスプリング736の引っ張り力により互いに近づき、コッタ73´の厚さ方向の幅が小さくなる。調整ブロック733aと調整ブロック733bが互いに近づくと、図12に示すように、部分ブロック732bとコッタ本体731は互いに遠ざかり、コッタ73´の厚さ方向の幅が大きくなる。
【0047】
なお、コッタ73´は、図13に示すように、補助ライナ738(第3の調整ブロック)をさらに取り付けることにより、その厚さ方向の幅をさらに大きくすることができる。図13はコッタ73´に補助ライナ738を取り付けた状態を示す正面図であり、図14は図13の補助ライナ738を矢印B方向から見た図である。図13および図14に示すように、補助ライナ738の側面の端部4箇所にネジ孔738aを設けるとともに、部分ブロック732bの補助ライナ738の側の面にも補助ライナ738の各ネジ孔に対応する箇所にネジ孔752bを設けて、各ネジ孔738aを挿通させたセットボルト739の先端部を部分ブロック732bのネジ孔752bに螺着させることにより、補助ライナ738を取り付けることができる。
【0048】
上記各実施の形態にかかるフィルタープレス装置100;200;300によれば、複数の濾板が並設されてなる濾板群5と、濾板群を挟んで互いに向かい合って配設されたリヤーヘッド1およびファーストヘッド3と、リヤーヘッド1と濾板群5との間に配置され、ファーストヘッド3に向かって進退自在に設けられたルーズヘッド2と、ルーズヘッド2を濾板群5に向けて前進させて濾板群5を締め付ける締付機構6に加え、圧搾時などに濾板の締付方向とは反対の方向に作用する反力(締付反力)の一部または全部を締付機構6から盛替えて受け持つ荷重盛替機構7;70;700をさらに備えているので、従来のフィルタープレス装置に比べて締付機構に要求される耐圧能を小さくでき、これにより、締付装置を小型化し、その製作コストを低減することができる。
【0049】
なお、上記実施の形態では、濾過終了後圧搾開始前に、濾板の締付反力を締付機構6から荷重盛替機構7へ全て盛替え、圧搾時の締付反力を全て荷重盛替機構7が受け持つようにした場合について例示しているが、締付機構6と荷重盛替機構7とで一部ずつ分けて受け持つように構成してもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、荷重盛替機構7が圧搾時の締付反力のみを受け持つようにした場合について例示しているが、濾過時の反力も荷重盛替機構7がその一部または全部を受け持つように構成してもよい。
【0051】
また、第1の実施の形態では、2本の耐力柱71および耐力柱72の両方の先端面が傾斜したものである場合について例示しているが、そのいずれか一方の先端面のみが傾斜し、他方の先端面はその耐力柱の長手方向に直交する断面にしてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、コッタを挿入してリヤーヘッド1とルーズヘッド4の間を支える柱構造を形成する際に、コッタを上方から下方に向かって挿入するようにした場合について例示しているが、この方向に限らず、下方から上方に向かって、側方から柱構造の中央に向かって等いずれの方向から挿入するように構成してもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、コッタが自重により挿入された位置で固定されるようにした場合について例示しているが、コッタが挿入された位置で確実に固定するため、ロック機構をさらに設けてもよい。
【0054】
また、第3の実施の形態では、コッタ73´が幅調整機構や補助ライナ738を備えたものである場合について例示しているが、これらの構成は必ずしも必要ではなく、必要に応じて設置すればよい。また、ここでは、補助ライナ738を幅調整機構に取り付けた場合について説明したが、コッタ本体に直接取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 リヤーヘッド(第1の固定ヘッド)
3 ファーストヘッド(第2の固定ヘッド)
4 サイドバー
5 濾板群
2 ルーズヘッド(移動ヘッド)
6 締付機構
61 ネジ棒
62 駆動モータ
7、70、700 荷重盛替機構
71 耐力柱(第1の耐力柱)
72 耐力柱(第2の耐力柱)
73、73´ コッタ
74 電動シリンダ
76 L型レバー
78 平行四辺形リンク
8 圧力検出機構
81 ピンヒンジ
82 イコライザ
83 ロードセル
100、200、300 フィルタープレス装置
704 電動シリンダ
707 コッタガイド
732a、732b 部分ブロック
733a、733b 調整ブロック
734 両ネジボルト
735 位置決めバー
736 スプリング
738 補助ライナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の濾板が並設されてなる濾板群と、
該濾板群を挟んで互いに向かい合って配設された第1の固定ヘッドおよび第2の固定ヘッドと、
前記第1の固定ヘッドと前記濾板群との間に配置され、前記第2の固定ヘッドに向かって進退自在に設けられた移動ヘッドと、
前記移動ヘッドを前記濾板群に向けて前進させて前記濾板群を締め付ける締付機構と、
前記第1の固定ヘッドおよび前記移動ヘッドのそれぞれから互いに向かい合って伸びた第1の耐力柱および第2の耐力柱と、該第1の耐力柱と第2の耐力柱の間に挿入される耐力ブロックとを有し、前記第1の耐力柱および第2の耐力柱のいずれか一方または両方の先端面が、該第1の耐力柱と第2の耐力柱の間の間隔が前記耐力ブロックが挿入される方向に向かって狭まるように傾斜し、前記耐力ブロックの前記挿入されたときに前記傾斜した先端面に対向することとなる面が該傾斜した先端面の傾斜角と同一の傾斜角で傾斜するように設けられている荷重盛替機構と
を備えたことを特徴とするフィルタープレス装置。
【請求項2】
複数の濾板が並設されてなる濾板群と、
該濾板群を挟んで互いに向かい合って配設された第1の固定ヘッドおよび第2の固定ヘッドと、
前記第1の固定ヘッドと前記濾板群との間に配置され、前記第2の固定ヘッドに向かって進退自在に設けられた移動ヘッドと、
前記移動ヘッドを前記濾板群に向けて前進させて前記濾板群を締め付ける締付機構と、
前記第1の固定ヘッドおよび前記移動ヘッドのいずれか一方のヘッドから他方のヘッドに向かって伸びた耐力柱と、該耐力柱と前記他方のヘッドの間に挿入される耐力ブロックとを有し、前記耐力柱の先端面が、該耐力柱と前記他方のヘッドの間の間隔が前記耐力ブロックが挿入される方向に向かって狭まるように傾斜し、前記耐力ブロックの前記挿入されたときに前記傾斜した先端面に対向することとなる面の傾斜角が該傾斜した先端面の傾斜角と一致するように設けられている荷重盛替機構と
を備えたことを特徴とするフィルタープレス装置。
【請求項3】
前記耐力ブロックが、前記移動ヘッドの前記進退方向と同一方向である厚さ方向の幅を調整する幅調整機構を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載のフィルタープレス装置。
【請求項4】
前記耐力ブロックが、前記厚さ方向に相対的に近接、離間可能に設けられた第1の部分ブロックおよび第2の部分ブロックと、該第1の部分ブロックと前記第2の部分ブロックとの間に配置され、前記厚さ方向と直交する方向に相対的に離間、近接可能に設けられた第1の調整ブロックおよび第2の調整ブロックとを有し、
前記第1の部分ブロックと第2の部分ブロックの互いに対向する面が、該第1の部分ブロックおよび第2の部分ブロックの間に前記第1の調整ブロックおよび第2の調整ブロックに対応する一対のくさび状の空間を形成するように傾斜し、前記第1の調整ブロックおよび第2の調整ブロックがそれぞれ対応するくさび状の空間の内側面に対向する傾斜面を有するものであり、前記第1の調整ブロック及び第2の調整ブロックを離間、近接させることにより、前記第1の部分ブロックと第2の部分ブロックを近接、離間可能に構成されていることを特徴とする請求項3記載のフィルタープレス装置。
【請求項5】
前記第1の耐力柱および第2の耐力柱のいずれか一方と前記耐力ブロックとの間に圧力検出機構を備え、
該圧力検出機構が、ピンヒンジで固定されたイコライザと、該イコライザを介して前記耐力ブロックに接続するロードセルとを有することを特徴とする請求項1、3および4のいずれか1項記載のフィルタープレス装置。
【請求項6】
前記耐力ブロックと前記他方のヘッドとの間に圧力検出機構を備え、
該圧力検出機構が、ピンヒンジで固定されたイコライザと、該イコライザを介して前記耐力ブロックに接続するロードセルとを有することを特徴とする請求項2、3および4のいずれか1項記載のフィルタープレス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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