フィルタ装置、及び、これを用いた施設
【課題】目詰まりを防止し、ゴミを適切に捕捉し、維持管理コストを低減することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供する。
【解決手段】第1の部材10は管状であって貫通孔112を有しており、貫通孔112は、管状の側壁部分を厚み方向に貫通している。第2の部材20は、液体7に対する浮力を有し、管状であって、管軸方向Lの一端に開口部23を有し、外寸法D1より大きな内寸法D5を有し、第2の部材20は、第1の部材10の外面において、管軸方向Lに沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で貫通孔112を覆っている。本発明の施設を構成する貯留空間62は、深さ方向に伸び、液体7を貯留する。接続管63は、一端が貯留空間62に接続されている。フィルタ装置1は、他端102が接続管63に接続され、一端101が貯留空間62の深さ方向に沿って立ち上がっている。
【解決手段】第1の部材10は管状であって貫通孔112を有しており、貫通孔112は、管状の側壁部分を厚み方向に貫通している。第2の部材20は、液体7に対する浮力を有し、管状であって、管軸方向Lの一端に開口部23を有し、外寸法D1より大きな内寸法D5を有し、第2の部材20は、第1の部材10の外面において、管軸方向Lに沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で貫通孔112を覆っている。本発明の施設を構成する貯留空間62は、深さ方向に伸び、液体7を貯留する。接続管63は、一端が貯留空間62に接続されている。フィルタ装置1は、他端102が接続管63に接続され、一端101が貯留空間62の深さ方向に沿って立ち上がっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置、及び、これを用いた施設に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯留空間に一時貯留した液体を、管路を通じて外部に排出し又は別の貯留空間へ送る施設において、排出側の管路(接続管)の管口には、該液体からゴミを除去するためのフィルタが取り付けられる。例えば、特許文献1記載の管口フィルタは、網目状のメッシュ部を有し、雨水貯留浸透施設の前置ますにおいて、排出側の接続管の管口に取り付けられる。
【0003】
ところで、この種の管口フィルタには、信頼性確保の観点から、目詰まり対策が求められる。例えば上述した前置ますのように、様々なゴミが大量に流れ込む施設で用いられる管口フィルタには、目詰まりが生じやすい。この管口フィルタの目詰まりを放置すると、雨水等貯留浸透施設内への雨水の流入が阻害されるとともに、該施設内へ流入できなかった雨水が前置ますから溢れ出てしまう不具合が生じる。
【0004】
しかし、特許文献1記載の管口フィルタでは、上述した目詰まりの問題を充分に解決することができない。具体的にゴミの類型別に説明すると、第1に、前置ます等の桝内において、水面付近には、雨水とともに流入した塵埃や、比重の軽い小さなゴミ等が浮遊し、ゴミの層が形成されている。特許文献1の管口フィルタでは、直接、メッシュ部を通して雨水を流出させるから、ゴミの層が、そのままメッシュ部の表面へ面状に付着し、目詰まりが生じる。
【0005】
第2に、前置ます等の桝内には、雨水とともに枯れ枝のような小さな尖ったゴミが流入する。特許文献1の管口フィルタでは、直接、メッシュ部を通して雨水を流出させるから、尖ったゴミがメッシュ部の網目に突き刺さり、この突き刺さったゴミを足場にして次々と他のゴミが付着して、目詰まりが生じる。
【0006】
第3に、前置ます等の桝内には、落ち葉やビニール袋のように表面積の大きなゴミが流入する。特許文献1の管口フィルタでは、直接、メッシュ部を通して雨水を流出させるから、表面積の大きなゴミが、そのままメッシュ部の表面へ面状に付着し、目詰まりを生じさせる。
【0007】
特許文献1記載の管口フィルタにおいて、上述した第1乃至第3の類型に係る目詰まりの問題を回避するため、メッシュ部の表面積を大きくすることも考えられるが、その場合、メッシュ部の表面積を大きくした分だけ桝全体を大型化せざるを得ず、コスト高となる。
【0008】
さらに、通常、接続管は、前置ます等の底部から深さ方向に間隔を隔てて取り付けられており、底部から接続管の管口までの空間が泥溜め部を構成している。ここで、前置ます等には大量の土砂が流れ込むから、特許文献1のように、接続管の管口に、直接、管口フィルタが取り付けられている構成では、管口フィルタが堆積した土砂に埋没してしまう不具合が生じる。この不具合を解決するには頻繁に堆積物を除去する必要があり、コスト高を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−074288公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、目詰まりを防止することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供することである。
【0011】
本発明のもう1つの課題は、ゴミを適切に捕捉することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供することである。
【0012】
本発明の更にもう1つの課題は、維持管理コストを低減することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明は、液体内のゴミを除去するために用いられるフィルタ装置であって、第1の部材と、第2の部材とを含む。第1の部材は、管状であって、貫通孔を有しており、貫通孔は、管状の側壁部分を厚み方向に貫通している。
【0014】
第2の部材は、上述した液体に対する浮力を有している。また、第2の部材は、管状であって、管軸方向の一端に開口部を有し、第1の部材を構成する側壁部分の外寸法より大きな内寸法を有している。さらに、第2の部材は、第1の部材を構成する側壁部分の外面において、第1の部材の管軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で貫通孔を覆っている。
【0015】
本発明に係るフィルタ装置は、接続管に取り付けられて施設を構成する。本発明に係る施設は、貯留空間と、フィルタ装置と、接続管とを含む。貯留空間は、深さ方向に伸び、外部から送られてくる液体を貯留する。接続管は、一端が貯留空間に接続されている。フィルタ装置は、管軸方向の一端が接続管に接続され、管軸方向の他端が貯留空間の深さ方向に沿って立ち上がっている。
【0016】
上述のように、本発明に係る施設を構成するフィルタ装置において、第1の部材は、管状であって、貫通孔を有しており、貫通孔は、管状の側壁部分を厚み方向に貫通しているから、貯留空間に貯留された液体を貫通孔から第1の部材の内部に案内し、第1の部材を通じて接続管へ流下させることができる。
【0017】
フィルタ装置は、管軸方向の一端が接続管に接続され、管軸方向の他端が貯留空間の深さ方向に沿って立ち上がっている。この構造によると、フィルタ装置が、貯留空間の底部に溜まった堆積物に埋没する不具合は生じないから、頻繁に堆積物を除去する必要はなく、維持管理コストを低減することができる。
【0018】
また、フィルタ装置は、管軸方向の他端が貯留空間の深さ方向に沿って立ち上がっているから、目詰まりの有無を点検し、必要に応じて清掃する作業を容易に行うことができる。従って、維持管理コストが低減される。
【0019】
フィルタ装置を構成する第2の部材は、管状であって、管軸方向の一端に開口部を有し、第1の部材を構成する側壁部分の外寸法より大きな内寸法を有している。さらに、第2の部材は、第1の部材を構成する側壁部分の外面において、第1の部材の管軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で貫通孔を覆っている。この構成によると、第1の部材と、第2の部材との相対向面間には、その寸法差に応じて隙間が形成されている。隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、隙間の間隔を適宜調節することにより、貯留空間の液体内に含まれるゴミを隙間の開口部分で捕らえることができる。
【0020】
さらに、本発明に係るフィルタ装置の目詰まり防止効果についてゴミの類型別に説明すると、第1に、フィルタ装置の隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、ゴミの層が浮遊する液面付近(上層部)よりも深い位置に開口部を配置することにより、ゴミの層のない中層部以下の液体を吸い込むことができる。従って、貫通孔を上層部に浮遊するゴミの層から保護し、貫通孔に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0021】
しかも、フィルタ装置の隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、仮に、ゴミの層の一部が液体とともに隙間に吸い込まれそうになったとしても、同ゴミは第2の部材の開口部で捕らえられる。従って、貫通孔を上層部に浮遊するゴミの層から保護し、貫通孔に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0022】
第2に、フィルタ装置の隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、枯れ枝のような尖ったゴミも第2の部材の開口部で捕らえられる。従って、尖ったゴミによって目詰まりが生じる問題を回避することができる。
【0023】
第3に、フィルタ装置の隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、落ち葉やビニール袋のような表面積の大きなゴミも第2の部材の開口部で捕らえられる。従って、貫通孔を表面積の大きなゴミから保護し、貫通孔に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0024】
第2の部材は、液体に対する浮力を有しているから、例えば、貯留空間に流れ込む液体量が急激に増加し、液体の液面位置が高くなった場合に、その液面位置に応じて第2の部材が浮上し、貫通孔を露出させることができる。その結果、液体は隙間を介さずに直接貫通孔を通じて第1の部材に流れ込むこととなり、液体の排出効率が上昇する。上述したように、貯留空間における液体の液面位置に応じて液体の排出効率を調節できる構造によると、オーバーフロー等の不具合を回避することができる。
【0025】
また、貫通孔の孔形状及び孔径などを適宜調節することにより、貯留空間の液体内に含まれるゴミを貫通孔の開口端で捕らえることが可能である。従って、液体内のゴミが接続管内に流れ込む不具合を回避することができる。
【0026】
しかも、第2の部材が浮上することにより外部に露出する貫通孔の位置は、上層部より深い位置であるから、ゴミの層のない中層部以下の液体を吸い込むことができる。従って、貫通孔を上層部に浮遊するゴミの層から保護し、貫通孔に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)目詰まりを防止することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供することができる。
(2)ゴミを適切に捕捉することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設提供することができる。
(3)維持管理コストを低減することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設提供することである。
【0028】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルタ装置の斜視図である。
【図2】図1の2‐2線に沿った断面図である。
【図3】図1のフィルタ装置の一部を取り出して示す斜視図である。
【図4】図1のフィルタ装置の一部を取り出して示す分解構造図である。
【図5】図1のフィルタ装置の一部を取り出して示す正面断面図である。
【図6】図1のフィルタ装置の一部を取り出して示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。
【図8】図7の施設について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図9】図7の施設について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図10】図7の施設について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図11】本発明のもう一つの実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。
【図12】本発明の更にもう一つの実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。
【図13】本発明の更にもう一つの実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。
【図14】本発明のもう一つの実施形態に係るフィルタ装置の断面図である。
【図15】本発明の更にもう一つの実施形態に係るフィルタ装置の一部を取り出して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1乃至図15において同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。また、図1乃至図15の説明において、フィルタ装置の管軸方向と、貯留空間の深さ方向とは一致するから符号Lに統一して示す。
【0031】
図1及び図2のフィルタ装置は、第1の部材10と、第2の部材20(図4、図5参照)と、固定金具30(図6参照)とを有している。
【0032】
第1の部材10は、断面円形状のパイプ状、筒状、又は、管状であって、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の合成樹脂により構成されている。もっとも、第1の部材10は、断面角形状のものを用いることもできる。また、用いられる材料も合成樹脂に限られない。例えば、耐腐食性などの観点からアルミなどの金属材料を用いることができる。
【0033】
第1の部材10は、管軸方向Lを有し、管軸方向Lでみた一端101から他端102までの中間部に屈曲部を有している。図1及び図2の第1の部材10は、直管部11(図3参照)と、曲管部13とを連結した連結構造である。もっとも、直管部11と、曲管部13とは一体構造でもよい。
【0034】
図1乃至図3の直管部11は、基体部110と、中空部111と、複数の貫通孔112とを有している。基体部110は、直管部11の側壁部分を構成し、外面113でみた最大差し渡し外径寸法D1(外寸法D1)を有している。中空部111は、基体部110の内面によって画定される内部空間であって、基体部110の内部を管軸方向Lに沿って伸び、管軸方向Lの両端で開口している。
【0035】
複数の貫通孔112のそれぞれは、基体部110を管軸方向Lに交差する肉厚方向に貫通し、中空部111に通じている。貫通孔112の開口縁は、成形容易性の観点から、正面視、真円形状となっている。もっとも貫通孔112の開口縁は、真円形状に限られず、楕円形状、角形状、さらには線状(スリット状)であってもよい。
【0036】
複数の貫通孔112は、管軸方向Lでみた基体部110の中間部付近から一端101までの部分において、管軸方向Lに交差する周方向に沿って間隔を隔てて等配されており、管軸方向Lに沿って3段に形成されている。一点鎖線で示すsは、外面113において、複数の貫通孔112が設けられている領域(通水領域s)を示している。通水領域sは、各貫通孔112の開口面積を拡縮し、又は、管軸方向Lでみた貫通孔112の列数を増減することにより、外面113の所望の領域に適宜設定することができる。
【0037】
曲管部13は、基体部130と、中空部131と、2つの管継ぎ手部132、133を有している。基体部130は、曲管部13の周壁を構成している。中空部131は、基体部130の内面によって画定される内部空間であって、基体部130の内部を管軸方向に沿って伸び、管軸方向の両端で外部に開口している。
【0038】
2つの管継ぎ手部132、133は、基体部130の管軸方向の両側において互いに交差する位置に設けられ、内面に外寸法D1を拡大した凹段部分を有し、直管部11の他端がはめ込まれている。図2の曲管部13は、2つの管継ぎ手部132、133が互いに直交する90°曲管であって、一方の管継ぎ手部132に直管部11の他端が嵌合され、他方の管継ぎ手部133の内部に、排出側の接続管(図示しない)の端部が嵌合される。
【0039】
図1、図2、図4及び図5の第2の部材20は、中空部22と、開口部23と、収納空間(24)と、浮力体28と、天井フィルタ具29とを有している。より詳細に説明すると、第2の部材20は、基体部分が、外筒部25と、内筒部26とを一体的に結合した二重筒構造を有している。
【0040】
外筒部25は、断面円形状の有底筒状であって、側壁部250と、開口部252と、中空部(24)と、底部27を有している。側壁部250は、外筒部25の立ち上がり壁を構成し、内面251でみた最大差し渡し内径寸法D3(内寸法D3)を有している。中空部(24)は、内面251と、底部27とによって画定されている。開口部252は、側壁部250の管軸方向Lの一端において底部27の反対側に開口し、中空部(24)に連通している。
【0041】
内筒部26は、断面円形状の有底筒状であって、側壁部260と、開口部23と、底部27とを有している。側壁部260は、内筒部26の立ち上がり壁を構成し、外面261でみた最大差し渡し外径寸法D4(外寸法D4)と、内面262で見た最大差し渡し内径寸法D5(内寸法D5)とを有している。中空部22は、内面262と、底部27とによって画定されている。開口部23は、側壁部260の管軸方向Lの一端において底部27の反対側に開口し、中空部22に連通している。
【0042】
外筒部25の中空部(24)において、内面251と、外面261との相対向面間には、内寸法D3、D4の寸法差に応じた収納空間24が形成され、この収納空間24に浮力体28が収納される。
【0043】
浮力体28は、液体、具体的には水に対して浮力を有する低密度材料又は比重の小さい材料で構成されている。図2の浮力体28は、材料コスト、成形容易性などの観点から、発泡スチロール(EPS)で構成されている。浮力体28は、EPSを断面視、円筒状、又は、リング状に成型したものであって、収納空間24において内筒部26の外側に取り付けられている。もっとも、浮力体28は、浮力を得るために取り付けられるものであるから、EPS以外の発泡プラスチックの他、気体を密封したチューブ体や木材などを用いて構成することもできる。なお、本明細書において「発泡プラスチック」とは、基材となる合成樹脂中にガスを細かく分散させ、発泡状または多孔質形状に成形されたものを指す。
【0044】
図2のフィルタ装置において、第2の部材20は、外面113において、管軸方向Lに沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で通水領域sを構成する貫通孔112の全てを覆っている。さらに図2のフィルタ装置は、隙間gを有している。隙間gは、外面113と内面262との相対向面間において、基体部110の外寸法D1と内筒部26の内寸法D5との寸法差に応じて形成され、開口部23を通じて外部に連通している。隙間gは、好ましくは2〜5mm程度の差し渡し寸法であり、より好ましくは2〜3mm程度の差し渡し寸法である。隙間gが狭くなればフィルター装置のゴミ捕捉機能は向上する一方、過度に狭くしすぎると液体が隙間gへ流れ難くなる。
【0045】
さらに内筒部26は、底部27において、第1の部材10の一端101に相当する部分に貫通孔270を有している。貫通孔270は、一端101に設けられた開口端を通じて中空部111に連通している。違う言葉で表現すれば、第1の部材10の一端101は、底部27において貫通孔270が設けられていない部分の内面に突き当たり、突き当たった状態で中空部111と貫通孔270とが連通している。
【0046】
天井フィルタ具29は、メッシュ部290を有しており、貫通孔270にはめ込まれている。メッシュ部290は、金属細線を網目状に編んだもの、又は、金属材料をプレス打抜き加工したものでなる。さらに、天井フィルタ具29に替えて、底部27の天井部分に対応する面内に、直接、貫通孔を設けてもよい。
【0047】
図1、図2及び図6の固定金具30は、2つの保持部31、32と、2つの支持アーム33、34と、取付部35とを有している。2つの保持部31、32のそれぞれは、リング状、又は、箍状の分割片を構成し、組み合わされた状態で外面113に着脱可能に取り付けられる。2つの支持アーム33、34は、一端が保持部31、32に着脱可能に結合され、他端が取付部35に結合されている。取付部35は、貯留空間(図示しない)を構成する側壁に取り付けられる。
【0048】
図7は、本発明の一実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。図7の施設は、雨水貯留浸透施設に雨水を排出するための前置ますであって、フィルタ装置1と、流入側の接続管61と、貯留空間62と、排出側の接続管63とを有している。貯留空間62は、桝体の側壁部620と、底部621とによって画定されている。さらに、貯留空間62は、底部621の内面から、フィルタ装置1を構成する第2の部材20の下端までの空間が、泥溜め部622として機能している。接続管61は、桝体の側壁部620を貫通して貯留空間62に接続され、外部施設から矢印Fで示す方向に送られてくる雨水等を貯留空間62に供給する。貯留空間62は、深さ方向Lに伸び、雨水等を貯留する。接続管63は、一端が桝体の側壁部620を貫通して貯留空間62に接続されている。
【0049】
フィルタ装置1は、図1乃至図6を参照して説明したものでなり、固定金具30によって桝体の側壁部620に固定され、他端102が接続管63に接続され、接続された状態で一端101が貯留空間62の深さ方向Lに沿って立ち上がっている。
【0050】
図7の施設において、フィルタ装置1の一端101は、貯留空間62の深さ方向Lに沿って立ち上がっているから、底部621からのクリアランスが確保され、泥溜め部622に溜まる堆積物にフィルタ装置1が埋没する不具合を回避することができる。従って、接続管63の管口が堆積物に埋没しないよう頻繁に堆積物を除去する必要はなく、維持管理コストを低減することができる。
【0051】
図7のフィルタ装置1におけるゴミ除去効果について、更に図8乃至図10を参照して詳しく説明する。まず、図8は、貯留空間62における雨水等7の通常時の貯留量を示すものである。符号81は、雨水等7とともに流入した塵埃や、比重の軽い小さなゴミ等が水面付近(上層部)に浮遊することにより形成されるゴミ又はその層である。符号82は、枯れ枝のような小さな尖ったゴミであり、符号83は落ち葉やビニール袋のように表面積の大きなゴミである。
【0052】
図8の状態において、第2の部材20は、浮力体28の浮力により、雨水等7の水面位置に応じて、貫通孔112を覆っている。ここで、外面113と内面262との相対向面間には隙間gが形成されており、隙間gは開口部23を通じて外部に連通している。この構成によると、貯留空間62に貯留された雨水等7は、開口部23を通じて隙間gに案内された後、隙間gから貫通孔112を通じて中空部111に案内され、さらに中空部131を通じて接続管63へ送られる。従って、雨水等7を接続管63へ流下させることができる。
【0053】
雨水等7に含まれるゴミ(81〜83)において、隙間gより大きなゴミ(81〜83)は、隙間gの開口部23を通過することができず、開口部23で捕らえられる。さらに、フィルタ装置1の目詰まり防止効果についてゴミの類型別に説明すると、第1に、フィルタ装置1の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、ゴミ81が浮遊する水面付近(上層部)よりも深い位置に開口部23を配置することにより、ゴミ81のない中層部以下の雨水等7を吸い込むことができる。従って、貫通孔112をゴミ81から保護し、貫通孔112に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0054】
しかも、フィルタ装置1の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、仮にゴミ81が雨水等7とともに隙間gへ吸い込まれそうになったとしても、ゴミ81は、隙間gを通過する前に開口部23で捕らえられる。従って、貫通孔112をゴミ81から保護し、貫通孔112に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0055】
第2に、フィルタ装置1の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、ゴミ82が隙間gより大きな場合は開口部23で捕らえられる。従って、ゴミ82によって目詰まりが生じる問題を回避することができる。
【0056】
第3に、フィルタ装置1の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、ゴミ83は開口部23で捕らえられる。従って、貫通孔112をゴミ83から保護し、貫通孔112に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0057】
これに対し、従来技術のフィルタは、直接、網目状のメッシュ部を通して雨水を流出させるから、ゴミ81〜83がメッシュ部に付着し、目詰まりを生じさせる。この目詰まりを放置すると、前置ますがオーバーフローするから、早急に不具合を回避する必要がある場合には、フィルタを外して雨水等7を雨水貯留浸透施設内に送ることとなり、ゴミ81〜83の侵入を防止することができない。また、従来技術のフィルタは、メッシュ部の表面積が狭いから、ゴミ81〜83が付着することにより容易に目詰まりしてしまう。この不都合を回避するためフィルタ表面の面積を大きくしようとすると、桝自体が大きくなってしまうから、経済的ではない。
【0058】
次に、図9は、貯留空間62における雨水等7の貯留量が増加した状態を示すものであって、第2の部材20が水面位置に応じて浮上したことにより、通水領域s及び貫通孔112が外部に露出している。図9の状態では、雨水等7は隙間gを介さずに、直接、貫通孔112を通じて第1の部材10に流れ込むから、雨水等7の排出効率が向上する。このように、貯留空間62における水面位置に応じて排出効率を調節できる構造によると、オーバーフローを回避することができる。
【0059】
また、貫通孔112の孔形状及び孔径などを適宜調節することにより、貯留空間62の雨水等7に含まれるゴミ81〜83を貫通孔112の開口端で捕らえることが可能である。従って、ゴミ81〜83が接続管63内に流れ込む不具合を回避することができる。
【0060】
しかも、浮力体28が第2の基体部25を浮上させることにより外部に露出する貫通孔112の位置は、上層部より深い位置であるから、ゴミ81によって目詰まりが生じる問題は生じない。
【0061】
貫通孔112の開口端によって捕らえられたゴミ81〜83は、第2の部材20の上下動によって開口部23によりはがし落とされるから、貫通孔112の目詰まりが回避されるとともに、貫通孔112の周囲にゴミ81〜83が付着したまま放置されることはない。従って、維持管理コストを低減することができる。貫通孔112の目詰まり回避手段として、例えば、内面262にリング状のブラシを取り付けることにより、貫通孔112に付着したゴミ81〜83を、確実に掻き落とすことができる。
【0062】
図10は、貯留空間62に流れ込む雨水等7がゲリラ豪雨などにより急激に増加した状態を示すものであって、全ての貫通孔112が外部に露出している。第2の部材20の上げ止まりとしては、前置ますのグレーチング(図示しない)を利用することもできる。もっとも、前置ますの深さは一定ではないから、施工条件に応じて予め第1、第2の部材10、20を紐などで結ぶことが好ましい。
【0063】
図10の実施形態によると、天井フィルタ具29を通じて雨水等7が第1の部材10に流入することにより、図8及び図9の状態よりも排出効率が向上する。従って、集中豪雨などの緊急時に排出施設のオーバーフローを回避することが可能である。従って、優れた信頼性を有するフィルタ装置1、及び、これを用いた排出施設を提供することができる。
【0064】
また、天井フィルタ具29のメッシュ部290の網目形状及び網目間隔を適宜調節することにより、ゴミ81〜83をメッシュ部290で捕らえることができる。従って、ゴミ81〜83が接続管63に流れ込む不具合を回避することができる。
【0065】
さらに、フィルタ装置1は、一端101が貯留空間62の深さ方向Lに沿って立ち上がっていることにより、メッシュ部290の目詰まりを点検する作業、及び、メッシュ部290に目詰まりしたゴミ81〜83を除去する作業が容易である。従って維持管理コストを低減することができる。
【0066】
図11乃至図13は本発明の更にもう一つの実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。図11の施設は、雨水管渠66に雨水を排出するための街渠ますであって、桝体の上部にL型側溝64が載置されている。L型側溝64は主面に通水孔65が設けられている。接続管63は、一端が雨水管渠66に接続されている。
【0067】
図12の施設は、雨水管渠66に雨水を排出するための集水ますであって、桝体の上部にU型側溝67が載置されている。
【0068】
図13の施設は、集水ますであって、排出側の放流管68は一端が河川(又は湖沼)69に接続されている。図11乃至図13の実施形態においても、図1乃至図10を参照して説明したフィルタ装置1の利点、及び、これを用いた施設の利点を奏することができる。
【0069】
図1乃至図9を参照して説明したようにフィルタ装置1は、貯留空間62に流れ込む液体量の流量及びその水面位置に応じてゴミ81〜83を適切に捕らえ、且、流量の調節をすることができる点に特徴がある。従って、本発明の一実施形態に係るフィルタ装置1及びこれを用いた施設は、液面が変動する貯留空間を有するものであれば、図1乃至図13の実施形態のように地下構造物に限らない。例えば、地上に設置される各種液体の貯留槽のほか、湖沼の水門や、露天風呂などに用いることができる。
【0070】
図14は、本発明のもう一つの実施形態に係るフィルタ装置の断面図である。図14のフィルタ装置と、図2のフィルタ装置とは、第2の部材20の構造が異なる以外は、共通の基本的構成を有している。以下、相違点を中心に説明する。
【0071】
図14のフィルタ装置を構成する第2の部材20は、発泡スチロール(EPS)を用いて一体成形したものであって、全体が液体、具体的には水に対して浮力を有する低密度材料又は比重の小さい材料で構成されている。もっとも、第2の部材20は、液体に対する浮力を有するものであれば、必ずしも、EPSに限定されるものではない。例えば、EPS以外の発泡プラスチックの他、木材などを用いて構成することもできる。
【0072】
さらに、図14の第2の部材20は、側壁部21と、中空部22と、開口部23と、底部27を有している。側壁部21は有底筒状の側壁部分を構成し、底部27は有底筒状の底壁部分を構成している。図14の側壁部21は、浮力を確保する観点、及び、外部の物理的衝撃に対する耐衝撃性を確保する観点から、底部27の厚み寸法と比較して、2〜4倍程度の厚み寸法を有している。
【0073】
側壁部21は、内面210でみた最大差し渡し内径寸法D5(内寸法D5)を有している。中空部22は、側壁部21の内面210と、底部27の内面とによって画定されている。開口部23は、側壁部210の管軸方向Lの一端において底部27の反対側に開口し、中空部22に連通している。
【0074】
図14のフィルタ装置を構成する第2の部材20は、外面113において、管軸方向Lに沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で通水領域sを構成する貫通孔112の全てを露出可能に覆っている。さらに図14のフィルタ装置は、隙間gを有している。隙間gは、外面113と内面210との相対向面間において、基体部110の外寸法D1と、側壁部21の内寸法D5との寸法差に応じて形成され、開口部23を通じて外部に連通している。
【0075】
図14のフィルタ装置によっても、図1乃至図13を参照して説明したフィルタ装置1の利点、及び、これを用いた施設の利点を奏することができる。例えば、フィルタ装置の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、図8に示すように、仮にゴミ(81〜83)が雨水等7とともに隙間gへ吸い込まれそうになったとしても、ゴミ(81〜83)は開口部23で捕らえられる。従って、貫通孔112をゴミ(81〜83)から保護し、貫通孔112に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0076】
また、第2の部材20は、液体(7)に対して浮力を有する材料で構成されているから、貯留空間(62)における液体位置に応じて浮上することにより、図9又は図10に示すように、貫通孔112を外部に露出させ、排出効率を自動的に調節することができる。従って、ゲリラ豪雨などにより貯留空間(62)に流れ込む雨水等(7)が急激に増加した場合でも、オーバーフロー等の不具合は生じない。
【0077】
さらに、第2の部材20は、液体(7)に対して浮力を有する材料で構成されているから、例えば、図2の浮力体28を別途取り付ける必要がなくなる。従って、部品点数を削減し、製造コストを低減することができる。
【0078】
図15は、本発明の更にもう一つの実施形態に係るフィルタ装置の一部を取り出して示す斜視図である。図14の直管部11と、図3の直管部11とは、貫通孔112の開口縁の形状が異なる以外は、共通の基本的構成を有している。以下、相違点を中心に説明する。
【0079】
図15の直管部11において、複数の貫通孔112のそれぞれは、管軸方向Lに沿って延びる線状又はスリット状であって、管軸方向Lに沿った長軸と、周方向に沿った短軸とを有している。
【0080】
図15の直管部11を用いてフィルタ装置を構成したとしても、図1乃至図14を参照して説明したフィルタ装置1の利点、及び、これを用いた施設の利点を奏することができる。さらに、図15の直管部11を構成する貫通孔112は、周方向に短軸を有しているから、例えば図9又は図10に示すように、貫通孔112が露出した状態でも、雨水等(7)に含まれるゴミ(81〜83)を貫通孔112の開口端で適切に捕捉することができる。従って、ゴミ(81〜83)が接続管(63)内に流れ込む不具合は生じない。
【0081】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0082】
1 フィルタ装置
10 第1の部材
101、102 一端、他端
110 第1の基体部
112 貫通孔
113 外面
20 第2の部材
25 外筒部
28 浮力体
62 貯留空間
63 接続管
L 管軸方向
D1 第1の部材の外寸法
D5 第2の部材の内寸法
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置、及び、これを用いた施設に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯留空間に一時貯留した液体を、管路を通じて外部に排出し又は別の貯留空間へ送る施設において、排出側の管路(接続管)の管口には、該液体からゴミを除去するためのフィルタが取り付けられる。例えば、特許文献1記載の管口フィルタは、網目状のメッシュ部を有し、雨水貯留浸透施設の前置ますにおいて、排出側の接続管の管口に取り付けられる。
【0003】
ところで、この種の管口フィルタには、信頼性確保の観点から、目詰まり対策が求められる。例えば上述した前置ますのように、様々なゴミが大量に流れ込む施設で用いられる管口フィルタには、目詰まりが生じやすい。この管口フィルタの目詰まりを放置すると、雨水等貯留浸透施設内への雨水の流入が阻害されるとともに、該施設内へ流入できなかった雨水が前置ますから溢れ出てしまう不具合が生じる。
【0004】
しかし、特許文献1記載の管口フィルタでは、上述した目詰まりの問題を充分に解決することができない。具体的にゴミの類型別に説明すると、第1に、前置ます等の桝内において、水面付近には、雨水とともに流入した塵埃や、比重の軽い小さなゴミ等が浮遊し、ゴミの層が形成されている。特許文献1の管口フィルタでは、直接、メッシュ部を通して雨水を流出させるから、ゴミの層が、そのままメッシュ部の表面へ面状に付着し、目詰まりが生じる。
【0005】
第2に、前置ます等の桝内には、雨水とともに枯れ枝のような小さな尖ったゴミが流入する。特許文献1の管口フィルタでは、直接、メッシュ部を通して雨水を流出させるから、尖ったゴミがメッシュ部の網目に突き刺さり、この突き刺さったゴミを足場にして次々と他のゴミが付着して、目詰まりが生じる。
【0006】
第3に、前置ます等の桝内には、落ち葉やビニール袋のように表面積の大きなゴミが流入する。特許文献1の管口フィルタでは、直接、メッシュ部を通して雨水を流出させるから、表面積の大きなゴミが、そのままメッシュ部の表面へ面状に付着し、目詰まりを生じさせる。
【0007】
特許文献1記載の管口フィルタにおいて、上述した第1乃至第3の類型に係る目詰まりの問題を回避するため、メッシュ部の表面積を大きくすることも考えられるが、その場合、メッシュ部の表面積を大きくした分だけ桝全体を大型化せざるを得ず、コスト高となる。
【0008】
さらに、通常、接続管は、前置ます等の底部から深さ方向に間隔を隔てて取り付けられており、底部から接続管の管口までの空間が泥溜め部を構成している。ここで、前置ます等には大量の土砂が流れ込むから、特許文献1のように、接続管の管口に、直接、管口フィルタが取り付けられている構成では、管口フィルタが堆積した土砂に埋没してしまう不具合が生じる。この不具合を解決するには頻繁に堆積物を除去する必要があり、コスト高を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−074288公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、目詰まりを防止することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供することである。
【0011】
本発明のもう1つの課題は、ゴミを適切に捕捉することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供することである。
【0012】
本発明の更にもう1つの課題は、維持管理コストを低減することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明は、液体内のゴミを除去するために用いられるフィルタ装置であって、第1の部材と、第2の部材とを含む。第1の部材は、管状であって、貫通孔を有しており、貫通孔は、管状の側壁部分を厚み方向に貫通している。
【0014】
第2の部材は、上述した液体に対する浮力を有している。また、第2の部材は、管状であって、管軸方向の一端に開口部を有し、第1の部材を構成する側壁部分の外寸法より大きな内寸法を有している。さらに、第2の部材は、第1の部材を構成する側壁部分の外面において、第1の部材の管軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で貫通孔を覆っている。
【0015】
本発明に係るフィルタ装置は、接続管に取り付けられて施設を構成する。本発明に係る施設は、貯留空間と、フィルタ装置と、接続管とを含む。貯留空間は、深さ方向に伸び、外部から送られてくる液体を貯留する。接続管は、一端が貯留空間に接続されている。フィルタ装置は、管軸方向の一端が接続管に接続され、管軸方向の他端が貯留空間の深さ方向に沿って立ち上がっている。
【0016】
上述のように、本発明に係る施設を構成するフィルタ装置において、第1の部材は、管状であって、貫通孔を有しており、貫通孔は、管状の側壁部分を厚み方向に貫通しているから、貯留空間に貯留された液体を貫通孔から第1の部材の内部に案内し、第1の部材を通じて接続管へ流下させることができる。
【0017】
フィルタ装置は、管軸方向の一端が接続管に接続され、管軸方向の他端が貯留空間の深さ方向に沿って立ち上がっている。この構造によると、フィルタ装置が、貯留空間の底部に溜まった堆積物に埋没する不具合は生じないから、頻繁に堆積物を除去する必要はなく、維持管理コストを低減することができる。
【0018】
また、フィルタ装置は、管軸方向の他端が貯留空間の深さ方向に沿って立ち上がっているから、目詰まりの有無を点検し、必要に応じて清掃する作業を容易に行うことができる。従って、維持管理コストが低減される。
【0019】
フィルタ装置を構成する第2の部材は、管状であって、管軸方向の一端に開口部を有し、第1の部材を構成する側壁部分の外寸法より大きな内寸法を有している。さらに、第2の部材は、第1の部材を構成する側壁部分の外面において、第1の部材の管軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で貫通孔を覆っている。この構成によると、第1の部材と、第2の部材との相対向面間には、その寸法差に応じて隙間が形成されている。隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、隙間の間隔を適宜調節することにより、貯留空間の液体内に含まれるゴミを隙間の開口部分で捕らえることができる。
【0020】
さらに、本発明に係るフィルタ装置の目詰まり防止効果についてゴミの類型別に説明すると、第1に、フィルタ装置の隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、ゴミの層が浮遊する液面付近(上層部)よりも深い位置に開口部を配置することにより、ゴミの層のない中層部以下の液体を吸い込むことができる。従って、貫通孔を上層部に浮遊するゴミの層から保護し、貫通孔に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0021】
しかも、フィルタ装置の隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、仮に、ゴミの層の一部が液体とともに隙間に吸い込まれそうになったとしても、同ゴミは第2の部材の開口部で捕らえられる。従って、貫通孔を上層部に浮遊するゴミの層から保護し、貫通孔に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0022】
第2に、フィルタ装置の隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、枯れ枝のような尖ったゴミも第2の部材の開口部で捕らえられる。従って、尖ったゴミによって目詰まりが生じる問題を回避することができる。
【0023】
第3に、フィルタ装置の隙間は、第2の部材の開口部を通じて外部に連通しているから、落ち葉やビニール袋のような表面積の大きなゴミも第2の部材の開口部で捕らえられる。従って、貫通孔を表面積の大きなゴミから保護し、貫通孔に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0024】
第2の部材は、液体に対する浮力を有しているから、例えば、貯留空間に流れ込む液体量が急激に増加し、液体の液面位置が高くなった場合に、その液面位置に応じて第2の部材が浮上し、貫通孔を露出させることができる。その結果、液体は隙間を介さずに直接貫通孔を通じて第1の部材に流れ込むこととなり、液体の排出効率が上昇する。上述したように、貯留空間における液体の液面位置に応じて液体の排出効率を調節できる構造によると、オーバーフロー等の不具合を回避することができる。
【0025】
また、貫通孔の孔形状及び孔径などを適宜調節することにより、貯留空間の液体内に含まれるゴミを貫通孔の開口端で捕らえることが可能である。従って、液体内のゴミが接続管内に流れ込む不具合を回避することができる。
【0026】
しかも、第2の部材が浮上することにより外部に露出する貫通孔の位置は、上層部より深い位置であるから、ゴミの層のない中層部以下の液体を吸い込むことができる。従って、貫通孔を上層部に浮遊するゴミの層から保護し、貫通孔に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)目詰まりを防止することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設を提供することができる。
(2)ゴミを適切に捕捉することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設提供することができる。
(3)維持管理コストを低減することができるフィルタ装置、及び、これを用いた施設提供することである。
【0028】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るフィルタ装置の斜視図である。
【図2】図1の2‐2線に沿った断面図である。
【図3】図1のフィルタ装置の一部を取り出して示す斜視図である。
【図4】図1のフィルタ装置の一部を取り出して示す分解構造図である。
【図5】図1のフィルタ装置の一部を取り出して示す正面断面図である。
【図6】図1のフィルタ装置の一部を取り出して示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。
【図8】図7の施設について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図9】図7の施設について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図10】図7の施設について一部を拡大して示す部分断面図である。
【図11】本発明のもう一つの実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。
【図12】本発明の更にもう一つの実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。
【図13】本発明の更にもう一つの実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。
【図14】本発明のもう一つの実施形態に係るフィルタ装置の断面図である。
【図15】本発明の更にもう一つの実施形態に係るフィルタ装置の一部を取り出して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1乃至図15において同一符号は、同一又は対応部分を示すものとする。また、図1乃至図15の説明において、フィルタ装置の管軸方向と、貯留空間の深さ方向とは一致するから符号Lに統一して示す。
【0031】
図1及び図2のフィルタ装置は、第1の部材10と、第2の部材20(図4、図5参照)と、固定金具30(図6参照)とを有している。
【0032】
第1の部材10は、断面円形状のパイプ状、筒状、又は、管状であって、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の合成樹脂により構成されている。もっとも、第1の部材10は、断面角形状のものを用いることもできる。また、用いられる材料も合成樹脂に限られない。例えば、耐腐食性などの観点からアルミなどの金属材料を用いることができる。
【0033】
第1の部材10は、管軸方向Lを有し、管軸方向Lでみた一端101から他端102までの中間部に屈曲部を有している。図1及び図2の第1の部材10は、直管部11(図3参照)と、曲管部13とを連結した連結構造である。もっとも、直管部11と、曲管部13とは一体構造でもよい。
【0034】
図1乃至図3の直管部11は、基体部110と、中空部111と、複数の貫通孔112とを有している。基体部110は、直管部11の側壁部分を構成し、外面113でみた最大差し渡し外径寸法D1(外寸法D1)を有している。中空部111は、基体部110の内面によって画定される内部空間であって、基体部110の内部を管軸方向Lに沿って伸び、管軸方向Lの両端で開口している。
【0035】
複数の貫通孔112のそれぞれは、基体部110を管軸方向Lに交差する肉厚方向に貫通し、中空部111に通じている。貫通孔112の開口縁は、成形容易性の観点から、正面視、真円形状となっている。もっとも貫通孔112の開口縁は、真円形状に限られず、楕円形状、角形状、さらには線状(スリット状)であってもよい。
【0036】
複数の貫通孔112は、管軸方向Lでみた基体部110の中間部付近から一端101までの部分において、管軸方向Lに交差する周方向に沿って間隔を隔てて等配されており、管軸方向Lに沿って3段に形成されている。一点鎖線で示すsは、外面113において、複数の貫通孔112が設けられている領域(通水領域s)を示している。通水領域sは、各貫通孔112の開口面積を拡縮し、又は、管軸方向Lでみた貫通孔112の列数を増減することにより、外面113の所望の領域に適宜設定することができる。
【0037】
曲管部13は、基体部130と、中空部131と、2つの管継ぎ手部132、133を有している。基体部130は、曲管部13の周壁を構成している。中空部131は、基体部130の内面によって画定される内部空間であって、基体部130の内部を管軸方向に沿って伸び、管軸方向の両端で外部に開口している。
【0038】
2つの管継ぎ手部132、133は、基体部130の管軸方向の両側において互いに交差する位置に設けられ、内面に外寸法D1を拡大した凹段部分を有し、直管部11の他端がはめ込まれている。図2の曲管部13は、2つの管継ぎ手部132、133が互いに直交する90°曲管であって、一方の管継ぎ手部132に直管部11の他端が嵌合され、他方の管継ぎ手部133の内部に、排出側の接続管(図示しない)の端部が嵌合される。
【0039】
図1、図2、図4及び図5の第2の部材20は、中空部22と、開口部23と、収納空間(24)と、浮力体28と、天井フィルタ具29とを有している。より詳細に説明すると、第2の部材20は、基体部分が、外筒部25と、内筒部26とを一体的に結合した二重筒構造を有している。
【0040】
外筒部25は、断面円形状の有底筒状であって、側壁部250と、開口部252と、中空部(24)と、底部27を有している。側壁部250は、外筒部25の立ち上がり壁を構成し、内面251でみた最大差し渡し内径寸法D3(内寸法D3)を有している。中空部(24)は、内面251と、底部27とによって画定されている。開口部252は、側壁部250の管軸方向Lの一端において底部27の反対側に開口し、中空部(24)に連通している。
【0041】
内筒部26は、断面円形状の有底筒状であって、側壁部260と、開口部23と、底部27とを有している。側壁部260は、内筒部26の立ち上がり壁を構成し、外面261でみた最大差し渡し外径寸法D4(外寸法D4)と、内面262で見た最大差し渡し内径寸法D5(内寸法D5)とを有している。中空部22は、内面262と、底部27とによって画定されている。開口部23は、側壁部260の管軸方向Lの一端において底部27の反対側に開口し、中空部22に連通している。
【0042】
外筒部25の中空部(24)において、内面251と、外面261との相対向面間には、内寸法D3、D4の寸法差に応じた収納空間24が形成され、この収納空間24に浮力体28が収納される。
【0043】
浮力体28は、液体、具体的には水に対して浮力を有する低密度材料又は比重の小さい材料で構成されている。図2の浮力体28は、材料コスト、成形容易性などの観点から、発泡スチロール(EPS)で構成されている。浮力体28は、EPSを断面視、円筒状、又は、リング状に成型したものであって、収納空間24において内筒部26の外側に取り付けられている。もっとも、浮力体28は、浮力を得るために取り付けられるものであるから、EPS以外の発泡プラスチックの他、気体を密封したチューブ体や木材などを用いて構成することもできる。なお、本明細書において「発泡プラスチック」とは、基材となる合成樹脂中にガスを細かく分散させ、発泡状または多孔質形状に成形されたものを指す。
【0044】
図2のフィルタ装置において、第2の部材20は、外面113において、管軸方向Lに沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で通水領域sを構成する貫通孔112の全てを覆っている。さらに図2のフィルタ装置は、隙間gを有している。隙間gは、外面113と内面262との相対向面間において、基体部110の外寸法D1と内筒部26の内寸法D5との寸法差に応じて形成され、開口部23を通じて外部に連通している。隙間gは、好ましくは2〜5mm程度の差し渡し寸法であり、より好ましくは2〜3mm程度の差し渡し寸法である。隙間gが狭くなればフィルター装置のゴミ捕捉機能は向上する一方、過度に狭くしすぎると液体が隙間gへ流れ難くなる。
【0045】
さらに内筒部26は、底部27において、第1の部材10の一端101に相当する部分に貫通孔270を有している。貫通孔270は、一端101に設けられた開口端を通じて中空部111に連通している。違う言葉で表現すれば、第1の部材10の一端101は、底部27において貫通孔270が設けられていない部分の内面に突き当たり、突き当たった状態で中空部111と貫通孔270とが連通している。
【0046】
天井フィルタ具29は、メッシュ部290を有しており、貫通孔270にはめ込まれている。メッシュ部290は、金属細線を網目状に編んだもの、又は、金属材料をプレス打抜き加工したものでなる。さらに、天井フィルタ具29に替えて、底部27の天井部分に対応する面内に、直接、貫通孔を設けてもよい。
【0047】
図1、図2及び図6の固定金具30は、2つの保持部31、32と、2つの支持アーム33、34と、取付部35とを有している。2つの保持部31、32のそれぞれは、リング状、又は、箍状の分割片を構成し、組み合わされた状態で外面113に着脱可能に取り付けられる。2つの支持アーム33、34は、一端が保持部31、32に着脱可能に結合され、他端が取付部35に結合されている。取付部35は、貯留空間(図示しない)を構成する側壁に取り付けられる。
【0048】
図7は、本発明の一実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。図7の施設は、雨水貯留浸透施設に雨水を排出するための前置ますであって、フィルタ装置1と、流入側の接続管61と、貯留空間62と、排出側の接続管63とを有している。貯留空間62は、桝体の側壁部620と、底部621とによって画定されている。さらに、貯留空間62は、底部621の内面から、フィルタ装置1を構成する第2の部材20の下端までの空間が、泥溜め部622として機能している。接続管61は、桝体の側壁部620を貫通して貯留空間62に接続され、外部施設から矢印Fで示す方向に送られてくる雨水等を貯留空間62に供給する。貯留空間62は、深さ方向Lに伸び、雨水等を貯留する。接続管63は、一端が桝体の側壁部620を貫通して貯留空間62に接続されている。
【0049】
フィルタ装置1は、図1乃至図6を参照して説明したものでなり、固定金具30によって桝体の側壁部620に固定され、他端102が接続管63に接続され、接続された状態で一端101が貯留空間62の深さ方向Lに沿って立ち上がっている。
【0050】
図7の施設において、フィルタ装置1の一端101は、貯留空間62の深さ方向Lに沿って立ち上がっているから、底部621からのクリアランスが確保され、泥溜め部622に溜まる堆積物にフィルタ装置1が埋没する不具合を回避することができる。従って、接続管63の管口が堆積物に埋没しないよう頻繁に堆積物を除去する必要はなく、維持管理コストを低減することができる。
【0051】
図7のフィルタ装置1におけるゴミ除去効果について、更に図8乃至図10を参照して詳しく説明する。まず、図8は、貯留空間62における雨水等7の通常時の貯留量を示すものである。符号81は、雨水等7とともに流入した塵埃や、比重の軽い小さなゴミ等が水面付近(上層部)に浮遊することにより形成されるゴミ又はその層である。符号82は、枯れ枝のような小さな尖ったゴミであり、符号83は落ち葉やビニール袋のように表面積の大きなゴミである。
【0052】
図8の状態において、第2の部材20は、浮力体28の浮力により、雨水等7の水面位置に応じて、貫通孔112を覆っている。ここで、外面113と内面262との相対向面間には隙間gが形成されており、隙間gは開口部23を通じて外部に連通している。この構成によると、貯留空間62に貯留された雨水等7は、開口部23を通じて隙間gに案内された後、隙間gから貫通孔112を通じて中空部111に案内され、さらに中空部131を通じて接続管63へ送られる。従って、雨水等7を接続管63へ流下させることができる。
【0053】
雨水等7に含まれるゴミ(81〜83)において、隙間gより大きなゴミ(81〜83)は、隙間gの開口部23を通過することができず、開口部23で捕らえられる。さらに、フィルタ装置1の目詰まり防止効果についてゴミの類型別に説明すると、第1に、フィルタ装置1の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、ゴミ81が浮遊する水面付近(上層部)よりも深い位置に開口部23を配置することにより、ゴミ81のない中層部以下の雨水等7を吸い込むことができる。従って、貫通孔112をゴミ81から保護し、貫通孔112に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0054】
しかも、フィルタ装置1の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、仮にゴミ81が雨水等7とともに隙間gへ吸い込まれそうになったとしても、ゴミ81は、隙間gを通過する前に開口部23で捕らえられる。従って、貫通孔112をゴミ81から保護し、貫通孔112に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0055】
第2に、フィルタ装置1の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、ゴミ82が隙間gより大きな場合は開口部23で捕らえられる。従って、ゴミ82によって目詰まりが生じる問題を回避することができる。
【0056】
第3に、フィルタ装置1の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、ゴミ83は開口部23で捕らえられる。従って、貫通孔112をゴミ83から保護し、貫通孔112に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0057】
これに対し、従来技術のフィルタは、直接、網目状のメッシュ部を通して雨水を流出させるから、ゴミ81〜83がメッシュ部に付着し、目詰まりを生じさせる。この目詰まりを放置すると、前置ますがオーバーフローするから、早急に不具合を回避する必要がある場合には、フィルタを外して雨水等7を雨水貯留浸透施設内に送ることとなり、ゴミ81〜83の侵入を防止することができない。また、従来技術のフィルタは、メッシュ部の表面積が狭いから、ゴミ81〜83が付着することにより容易に目詰まりしてしまう。この不都合を回避するためフィルタ表面の面積を大きくしようとすると、桝自体が大きくなってしまうから、経済的ではない。
【0058】
次に、図9は、貯留空間62における雨水等7の貯留量が増加した状態を示すものであって、第2の部材20が水面位置に応じて浮上したことにより、通水領域s及び貫通孔112が外部に露出している。図9の状態では、雨水等7は隙間gを介さずに、直接、貫通孔112を通じて第1の部材10に流れ込むから、雨水等7の排出効率が向上する。このように、貯留空間62における水面位置に応じて排出効率を調節できる構造によると、オーバーフローを回避することができる。
【0059】
また、貫通孔112の孔形状及び孔径などを適宜調節することにより、貯留空間62の雨水等7に含まれるゴミ81〜83を貫通孔112の開口端で捕らえることが可能である。従って、ゴミ81〜83が接続管63内に流れ込む不具合を回避することができる。
【0060】
しかも、浮力体28が第2の基体部25を浮上させることにより外部に露出する貫通孔112の位置は、上層部より深い位置であるから、ゴミ81によって目詰まりが生じる問題は生じない。
【0061】
貫通孔112の開口端によって捕らえられたゴミ81〜83は、第2の部材20の上下動によって開口部23によりはがし落とされるから、貫通孔112の目詰まりが回避されるとともに、貫通孔112の周囲にゴミ81〜83が付着したまま放置されることはない。従って、維持管理コストを低減することができる。貫通孔112の目詰まり回避手段として、例えば、内面262にリング状のブラシを取り付けることにより、貫通孔112に付着したゴミ81〜83を、確実に掻き落とすことができる。
【0062】
図10は、貯留空間62に流れ込む雨水等7がゲリラ豪雨などにより急激に増加した状態を示すものであって、全ての貫通孔112が外部に露出している。第2の部材20の上げ止まりとしては、前置ますのグレーチング(図示しない)を利用することもできる。もっとも、前置ますの深さは一定ではないから、施工条件に応じて予め第1、第2の部材10、20を紐などで結ぶことが好ましい。
【0063】
図10の実施形態によると、天井フィルタ具29を通じて雨水等7が第1の部材10に流入することにより、図8及び図9の状態よりも排出効率が向上する。従って、集中豪雨などの緊急時に排出施設のオーバーフローを回避することが可能である。従って、優れた信頼性を有するフィルタ装置1、及び、これを用いた排出施設を提供することができる。
【0064】
また、天井フィルタ具29のメッシュ部290の網目形状及び網目間隔を適宜調節することにより、ゴミ81〜83をメッシュ部290で捕らえることができる。従って、ゴミ81〜83が接続管63に流れ込む不具合を回避することができる。
【0065】
さらに、フィルタ装置1は、一端101が貯留空間62の深さ方向Lに沿って立ち上がっていることにより、メッシュ部290の目詰まりを点検する作業、及び、メッシュ部290に目詰まりしたゴミ81〜83を除去する作業が容易である。従って維持管理コストを低減することができる。
【0066】
図11乃至図13は本発明の更にもう一つの実施形態に係る施設について一部を省略して示す部分断面図である。図11の施設は、雨水管渠66に雨水を排出するための街渠ますであって、桝体の上部にL型側溝64が載置されている。L型側溝64は主面に通水孔65が設けられている。接続管63は、一端が雨水管渠66に接続されている。
【0067】
図12の施設は、雨水管渠66に雨水を排出するための集水ますであって、桝体の上部にU型側溝67が載置されている。
【0068】
図13の施設は、集水ますであって、排出側の放流管68は一端が河川(又は湖沼)69に接続されている。図11乃至図13の実施形態においても、図1乃至図10を参照して説明したフィルタ装置1の利点、及び、これを用いた施設の利点を奏することができる。
【0069】
図1乃至図9を参照して説明したようにフィルタ装置1は、貯留空間62に流れ込む液体量の流量及びその水面位置に応じてゴミ81〜83を適切に捕らえ、且、流量の調節をすることができる点に特徴がある。従って、本発明の一実施形態に係るフィルタ装置1及びこれを用いた施設は、液面が変動する貯留空間を有するものであれば、図1乃至図13の実施形態のように地下構造物に限らない。例えば、地上に設置される各種液体の貯留槽のほか、湖沼の水門や、露天風呂などに用いることができる。
【0070】
図14は、本発明のもう一つの実施形態に係るフィルタ装置の断面図である。図14のフィルタ装置と、図2のフィルタ装置とは、第2の部材20の構造が異なる以外は、共通の基本的構成を有している。以下、相違点を中心に説明する。
【0071】
図14のフィルタ装置を構成する第2の部材20は、発泡スチロール(EPS)を用いて一体成形したものであって、全体が液体、具体的には水に対して浮力を有する低密度材料又は比重の小さい材料で構成されている。もっとも、第2の部材20は、液体に対する浮力を有するものであれば、必ずしも、EPSに限定されるものではない。例えば、EPS以外の発泡プラスチックの他、木材などを用いて構成することもできる。
【0072】
さらに、図14の第2の部材20は、側壁部21と、中空部22と、開口部23と、底部27を有している。側壁部21は有底筒状の側壁部分を構成し、底部27は有底筒状の底壁部分を構成している。図14の側壁部21は、浮力を確保する観点、及び、外部の物理的衝撃に対する耐衝撃性を確保する観点から、底部27の厚み寸法と比較して、2〜4倍程度の厚み寸法を有している。
【0073】
側壁部21は、内面210でみた最大差し渡し内径寸法D5(内寸法D5)を有している。中空部22は、側壁部21の内面210と、底部27の内面とによって画定されている。開口部23は、側壁部210の管軸方向Lの一端において底部27の反対側に開口し、中空部22に連通している。
【0074】
図14のフィルタ装置を構成する第2の部材20は、外面113において、管軸方向Lに沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で通水領域sを構成する貫通孔112の全てを露出可能に覆っている。さらに図14のフィルタ装置は、隙間gを有している。隙間gは、外面113と内面210との相対向面間において、基体部110の外寸法D1と、側壁部21の内寸法D5との寸法差に応じて形成され、開口部23を通じて外部に連通している。
【0075】
図14のフィルタ装置によっても、図1乃至図13を参照して説明したフィルタ装置1の利点、及び、これを用いた施設の利点を奏することができる。例えば、フィルタ装置の隙間gは、開口部23を通じて外部に連通しているから、図8に示すように、仮にゴミ(81〜83)が雨水等7とともに隙間gへ吸い込まれそうになったとしても、ゴミ(81〜83)は開口部23で捕らえられる。従って、貫通孔112をゴミ(81〜83)から保護し、貫通孔112に目詰まりが生じる不具合を回避することができる。
【0076】
また、第2の部材20は、液体(7)に対して浮力を有する材料で構成されているから、貯留空間(62)における液体位置に応じて浮上することにより、図9又は図10に示すように、貫通孔112を外部に露出させ、排出効率を自動的に調節することができる。従って、ゲリラ豪雨などにより貯留空間(62)に流れ込む雨水等(7)が急激に増加した場合でも、オーバーフロー等の不具合は生じない。
【0077】
さらに、第2の部材20は、液体(7)に対して浮力を有する材料で構成されているから、例えば、図2の浮力体28を別途取り付ける必要がなくなる。従って、部品点数を削減し、製造コストを低減することができる。
【0078】
図15は、本発明の更にもう一つの実施形態に係るフィルタ装置の一部を取り出して示す斜視図である。図14の直管部11と、図3の直管部11とは、貫通孔112の開口縁の形状が異なる以外は、共通の基本的構成を有している。以下、相違点を中心に説明する。
【0079】
図15の直管部11において、複数の貫通孔112のそれぞれは、管軸方向Lに沿って延びる線状又はスリット状であって、管軸方向Lに沿った長軸と、周方向に沿った短軸とを有している。
【0080】
図15の直管部11を用いてフィルタ装置を構成したとしても、図1乃至図14を参照して説明したフィルタ装置1の利点、及び、これを用いた施設の利点を奏することができる。さらに、図15の直管部11を構成する貫通孔112は、周方向に短軸を有しているから、例えば図9又は図10に示すように、貫通孔112が露出した状態でも、雨水等(7)に含まれるゴミ(81〜83)を貫通孔112の開口端で適切に捕捉することができる。従って、ゴミ(81〜83)が接続管(63)内に流れ込む不具合は生じない。
【0081】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【符号の説明】
【0082】
1 フィルタ装置
10 第1の部材
101、102 一端、他端
110 第1の基体部
112 貫通孔
113 外面
20 第2の部材
25 外筒部
28 浮力体
62 貯留空間
63 接続管
L 管軸方向
D1 第1の部材の外寸法
D5 第2の部材の内寸法
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体内のゴミを除去するために用いられるフィルタ装置であって、第1の部材と、第2の部材とを含み、
前記第1の部材は、管状であって、貫通孔を有しており、
前記貫通孔は、前記管状の側壁部分を厚み方向に貫通しており、
前記第2の部材は、前記液体に対する浮力を有し、且、管状であって、管軸方向の一端に開口部を有し、前記第1の部材を構成する側壁部分の外寸法より大きな内寸法を有し、前記側壁部分の外面において、前記第1の部材の管軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で前記貫通孔を覆っている、
フィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたフィルタ装置であって、さらに前記第2の部材は、第2の基体部と、浮力体とを含み、
前記第2の基体部は、管状であって、管軸方向の一端に開口部を有し、前記第1の部材を構成する側壁部分の外寸法より大きな内寸法を有し、前記側壁部分の外面において、管軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で前記貫通孔を覆っており、
前記浮力体は、前記液体に対する浮力を有し、前記第2の基体部に取り付けられている、
フィルタ装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたフィルタ装置であって、
前記第2の部材は、前記液体に対して浮力を有する材料で構成されている、
フィルタ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載されたフィルタ装置であって、さらに隙間を有し、
前記隙間は、前記第1の部材と、前記第2の部材との相対向面間において、前記外寸法と前記内寸法との寸法差に応じて形成され、前記第2の部材の前記開口部を通じて外部に連通している、
フィルタ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載されたフィルタ装置であって、
前記第1の部材は、管軸方向の一端から他端までの間に屈曲部を有している、
フィルタ装置。
【請求項6】
貯留空間と、フィルタ装置と、接続管とを含む施設であって、
前記貯留空間は、深さ方向に伸び、外部から送られてくる液体を貯留し、
前記接続管は、一端が前記貯留空間に接続されており、
前記フィルタ装置は、請求項1乃至5の何れかに記載されたものでなり、管軸方向の一端が前記接続管に接続され、管軸方向の他端が前記貯留空間の深さ方向に沿って立ち上がっている、
施設。
【請求項1】
液体内のゴミを除去するために用いられるフィルタ装置であって、第1の部材と、第2の部材とを含み、
前記第1の部材は、管状であって、貫通孔を有しており、
前記貫通孔は、前記管状の側壁部分を厚み方向に貫通しており、
前記第2の部材は、前記液体に対する浮力を有し、且、管状であって、管軸方向の一端に開口部を有し、前記第1の部材を構成する側壁部分の外寸法より大きな内寸法を有し、前記側壁部分の外面において、前記第1の部材の管軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で前記貫通孔を覆っている、
フィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたフィルタ装置であって、さらに前記第2の部材は、第2の基体部と、浮力体とを含み、
前記第2の基体部は、管状であって、管軸方向の一端に開口部を有し、前記第1の部材を構成する側壁部分の外寸法より大きな内寸法を有し、前記側壁部分の外面において、管軸方向に沿って移動可能に取り付けられ、取り付けられた状態で前記貫通孔を覆っており、
前記浮力体は、前記液体に対する浮力を有し、前記第2の基体部に取り付けられている、
フィルタ装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたフィルタ装置であって、
前記第2の部材は、前記液体に対して浮力を有する材料で構成されている、
フィルタ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載されたフィルタ装置であって、さらに隙間を有し、
前記隙間は、前記第1の部材と、前記第2の部材との相対向面間において、前記外寸法と前記内寸法との寸法差に応じて形成され、前記第2の部材の前記開口部を通じて外部に連通している、
フィルタ装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載されたフィルタ装置であって、
前記第1の部材は、管軸方向の一端から他端までの間に屈曲部を有している、
フィルタ装置。
【請求項6】
貯留空間と、フィルタ装置と、接続管とを含む施設であって、
前記貯留空間は、深さ方向に伸び、外部から送られてくる液体を貯留し、
前記接続管は、一端が前記貯留空間に接続されており、
前記フィルタ装置は、請求項1乃至5の何れかに記載されたものでなり、管軸方向の一端が前記接続管に接続され、管軸方向の他端が前記貯留空間の深さ方向に沿って立ち上がっている、
施設。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−202348(P2011−202348A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67566(P2010−67566)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(591084654)エバタ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(591084654)エバタ株式会社 (35)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]