説明

フォトニック導波路

システム(200)は、基板(220)上に形成されたフォトニック導波路(210)と、該フォトニック導波路内における複数のステアリングミラー(230)とを提供する。該ステアリングミラーは、2つか又は3つ以上のコンピューティング構成要素(260)間において光ビーム(240)を導くよう構成され得る。複数のステアリングミラー支持(250)が、プリセット位置を有して該導波路内において配置される。該ステアリングミラー支持は、様々なコンフィギュレーションを作り出すために、該ステアリングミラーに、該フォトニック導波路内における該プリセットステアリングミラー支持において選択的に再配置されることを可能にさせるよう構成される。該様々なコンフィギュレーションにおける該ステアリングミラーが、前記フォトニック導波路内においてコンピューティング構成要素間における複数の接続性チャンネルを形成するために1つか又は複数の光学ビームを導く。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
回路基板上におけるコンピュータチップ速度が増加するにつれ、相互チップ通信における通信ボトルネックが、より大きな問題になってきている。1つの実現可能な解決法は、高速コンピュータチップを相互接続ために、光ファイバーを用いることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
しかしながら、大抵の回路基板は、多くの材料層を含んでおり、それらの製品に適用される許容誤差(トレランス)が、光学インターフェースのニーズに一致しない。インターフェースを相互接続させるファイバーのアライメント許容誤差は、一般には、ミクロンの範囲内である。物理的に光ファイバーを配置して、該ファイバーをチップに接続することは、回路基板製造プロセス内において、不正確となる可能性があり、及び時間がかかる可能性がある。回路基板の周囲において及び回路基板間において光学信号をルーティングすることは、かなりの追加的な複雑性を加える可能性がある。ブロードバンドデータ転送の必要性にもかかわらず、コンピューティング構成要素間における、市場性のある光学相互接続は、実現しづらいことが証明されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】本発明の一実施形態による、再構成可能なフォトニック導波路の断面側面図である。
【図2】本発明の一実施形態による、フォトニック導波路の断面側面図である。
【図3】本発明の一実施形態による、フォトニック導波路の断面側面図である。
【図4】本発明の一実施形態による、フォトニック導波路の断面側面図である。
【図5】本発明の一実施形態によるフォトニック導波路の本発明の断面側面図の一実施形態による、フォトニック導波路をマッピングするトポロジを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による、フォトニック導波路の断面側面図である。
【実施例】
【0004】
例示的な(単一又は複数の)実施形態の詳細な説明
本発明の追加的な特徴及び利点は、添付図面と組み合わせて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。添付図面は共に、例示を目的として、本発明の特徴を図示している。図示された例示的な実施形態に対して次に参照がなされることとなり、及び、同じものを説明するために、本明細書内において特定の言葉が使用されることとなる。しかしながら、それにより本発明の範囲を制限することは意図されていないということが理解されよう。
【0005】
回路基板上のコンピュータチップ間において光学相互接続を形成するための一構成は、製造中には該回路基板上には形成されないが、該回路基板が製造された後に、該回路基板上に接続されるというような光学導波路を使用することである。光学導波路は、そのようなアセンブリにおいて、電子機器を相互接続するための光ファイバー通信に優れたものとすることができる。その理由は、リソグラフィーのか、射出成形のか、或いは類似の精密なプロセスを用いて導波路を形成する能力のせいである。導波路の一実施形態は、典型的には、ポリマー及び/又はガラス誘電体などのほぼ光学的に透過な材料によって形成される。
【0006】
ポリマーか又はガラス誘電体材料を用いて形成される従来の光学導波路の一代替は、図1内に示されているような、コヒーレント光140を導くよう構成された大きなコア中空導波路110を使用することである。該大きなコア中空導波路内の空気もまた誘電体であるということに留意されたい。該大きなコア中空導波路は、導くように導波路が構成されるコヒーレント光の波長の50〜150倍以上のオーダーの直径(又は幅及び/又は高さ)を有することができる。該大きなコア中空導波路は、正方形のか、長方形のか、円形のか、楕円形のか、或いは光学信号を導くよう構成されたある他の形状であるような断面形状を有することができる。更に、導波路が中空であるため、その光は、空気中か又は真空中において光の速度で本質的には伝搬する。
【0007】
レーザーは、光学ビーム又は信号140を、導波路セクション110内へと放射することができる。該光学ビーム又は信号は、導波路の壁間において反射する(又は跳ね返る)場合がある。各々の反射において、ビームの実質的な損失(ロス)が生じる場合がある。導波路内における損失を低減するために、反射コーティングを付加して、導波路の内面を覆うことができる。理解され得るように、反射コーティングを、めっきか、スパッタリングか、又は類似のプロセスを用いて形成することができる。ポリマーか又は低い融点を有した他の材料を中空導波路が含む場合には、反射コーティングは、スパッタリングか、電気めっきか、又は熱蒸着などの低温プロセスを用いて提供され得る。
【0008】
反射コーティングは、金属か、誘電体か、或いはコヒーレント光の波長においてほぼ反射性の他の材料の、1つか又は複数の層で構成され得る。該金属は、それらの反射率に基づいて選択され得る。チャンネルを覆う極めて反射性が高い層が望まれる。例えば、反射層は、銀か、金か、アルミニウムか、或いは、極めて反射性が高い層を形成することが可能なある他の金属か又は合金を用いて形成され得る。代替的には、反射層は、選択された波長においてほぼ反射性の誘電体材料における1つか又は複数の層から形成され得る誘電体スタックとすることができる。反射層が蒸着(又は堆積)される前に、コーティングされていない中空チャンネルは、任意の表面の粗さを取り除くために熱リフローにさらされ得る。蒸着プロセス中において生じる場合がある、反射層内の表面の粗さを、滑らかにするために、熱リフローか又は電解研磨を含む(但しこれらに限定されない)多くの製造技法が使用され得る。
【0009】
中空金属化導波路が密封シールされない場合には、反射コーティングは、時間が経つにつれて酸化する場合がある。反射コーティングの酸化は、その反射性(又は反射率)を実質的に低減させる可能性がある。金属コーティングの反射性(又は反射率)の劣化を低減するためにか又は排除するために、反射コーティング上に保護層が形成され得る。該保護層には、コヒーレント光の波長においてほぼ透過であるような材料を含めることができる。例えば、該保護層は、二酸化ケイ素か、或いは、反射コーティング上に実質的に気密ボンドを形成することが可能なある他の材料で形成され得る。この保護層はまた、損失の多い反射層から伝搬光を更に離すことによって、伝搬損失を低減させることとなる。
【0010】
反射性の表面を有した中空導波路は、ソリッド導波路とは異なるように作用する。中空導波路は、反射層(複数可)からの反射により光を導くための減衰された全内面反射の原理を用いて働き、及び、光ファイバーのようなソリッド導波路内において典型的には生じるような、より高い屈折率のコア領域と、より低い屈折率のクラッド領域との間の全内面反射を通じてではない。中空導波路内における光は、理解され得るように、全内面反射にとって必要な入射角よりも少ない入射角で反射され得る。
【0011】
幾つかの従来の導波路構造は、アクティブに操作されるアーキテクチャを用いてきた。これらのアーキテクチャにとっての幾つかの欠点は、高コストと、そのような構造のサイズである。更に、従来の導波路構造は、ミッドプレーンか又はバックプレーンと共にその構造を使用するために、ベースミッドプレーンか又はバックプレーンに対する変更を必要とした。バックプレーンは、通常、幾つかのコンピューティング構成要素か又はブレードを互いに接続する回路基板であり、バスか又は複数のポイント・ツー・ポイント接続を形成して、各コンピューティング構成要素が、他のコンピューティング構成要素の全てにリンクされるようにする。バックプレーンは、幾つかのプリント回路基板を共に接続して完全なコンピュータシステムを作り上げるためのバックボーンとして使用され得る。ミッドプレーンは、バックプレーンに類似した回路基板である。しかしながら、カード及びデバイスがバックプレーンの一方側にのみ接続されるのに対して、ミッドプレーンは、両側に接続されたカード及びデバイスを有する。ミッドプレーンのいずれかの側の中へとカードをプラグ接続するこの能力(機能)は、ミッドプレーンに取り付けられるモジュールで主に構成されたより大きなシステム内において頻繁に有用である。ミッドプレーンは、コンピュータ内において使用され、大抵は、ブレードサーバ内において使用される。ここで、サーバブレードは、一方側に存在し、周辺装置(ペリフェラル)(電力、ネットワーキング、及び他のI/O)及びサービスモジュールは、他方側に存在する。筐体の一方側がシステム処理カードを受容し、及び、筐体の他方側がネットワークインターフェースカードを受容するネットワーキング及び電気通信装置内において、ミッドプレーンはまた一般的である。
【0012】
従来の解決法では、構成要素間の接続性を変更することは、バックプレーンか又はミッドプレーンを変更することを意味した。バックプレーンか又はミッドプレーンは、置き換えることか又は交換することが困難な可能性がある。工業界は、実現可能な、経済的な、及び製造可能な光学バックプレーンを長い間探し求めてきた。工業界が取り組んできた幾つかの問題は、組み込まれたファイバーに対する実効性と製造可能性とが欠如した90度回転させる解決法と、ポリマーか又はプラスターファイバー導波路内における過度の損失と、最終的な解決法の構成(設定)可能性を制限するバックプレーン当りの単一セット接続性と、を含む。電気的相互接続性であろうと、或いは、光学的相互接続性であろうと、ブレード間のか又はブレード間のコンピューティング通信が、速度、密度、電力、距離、及び信号品質において、制限されてきた。ブレード間の接続をプログラムするために、一般的には、追加的なファームウェアか又はソフトウェアもまた必要とされる。
【0013】
本システムは、低コストで、受動固定ステアリングミラーを利用し、及び、複数の実現可能なシステム相互接続コンフィギュレーションを有した中空コア金属導波路を含むフォトニック導波路モジュールを提供することができる。導波路モジュールの導入には、ミッドプレーンか又はバックプレーンに対する変更が必要とされない。この解決法は、ポイント・ツー・ポイントのモジュラーコンフィギュレーションにおける中空金属導波路構造を利用して、コンピューティング構成要素間において決定論的な接続性か又は通信チャンネルを提供する。これらのコンピューティング構成要素は、バックプレーンか又はミッドプレーン内へとプラグイン接続されるブレードか又は基板上に配置され得る。前記モジュールは、様々な接続性オプションと共に構成(又は設定)され得り、従って、それにより、単一バックプレーン及び機械的エンクロージャは、多くの実現可能なモジュールコンフィギュレーションを果たすことが可能となる。前記モジュールは、接続をプログラミングするための追加的なファームウェアか又はソフトウェアを必要としないことが可能であり、及び、速度か、距離か、密度か、電力か、又は信号品質における制限のような、従来の電子デバイスの多くの他の制限を、克服することができる。幾つかの実施形態において、本出願において開示した光学導波路が、リソグラフ処理か又は類似の処理を用いて、基板上に形成される。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態による、フォトニック導波路モジュール100を示す。中空コア金属フォトニック導波路110が提供されており、該中空コア金属フォトニック導波路110は、上述のように、基板120上に形成され得る。フォトニック導波路内には、光学ビームか又は光学信号140を導く(ステアする)ための複数のステアリングミラー130が存在する。光学信号は、光源モジュール170においてか、又はコンピューティング構成要素160上の光学送信器において生成され得り、それらは、シート金属で作られたようなブレードエンクロージャ180内に入れられ得る(本明細書内において用いられる場合には、光源モジュールは、光学信号か又は光学ビームを、送信することか、又は受信することか、又は送信することと受信することとの両方が可能であるようなモジュールである)。光学信号は、導波路内のステアリングミラーのうちの1つに向って導かれ、そこで、該光学信号は、ミラーに反射されて、導波路に沿ってある距離を長手方向に伝搬する。導波路内に配置されているのは、少なくとも1つの他のステアリングミラーであり、該他のステアリングミラーは、導波路からの光学信号を受け取って、光学受信器モジュールにか或いは様々なコンピューティング構成要素上の光学受信器に反射させるよう構成されている。このようにして、コンピューティング構成要素間において高速で且つ効率的な光通信を提供するために、光学信号が、一方のコンピューティング構成要素から他方のコンピューティング構成要素へと導波路を通じて伝搬することが可能である。
【0015】
一実施形態において、複数のステアリングミラー130には、1つか又は複数の部分的に反射性のステアリングミラー150を含めることができる。該部分的に反射性のステアリングミラーは、光学信号140の一部に、該部分的に反射性のステアリングミラーを透過させることを可能する一方で、該光学信号の別の部分を、光学受信器モジュール170にか又はコンピューティング構成要素上の光学受信ユニットに反射させることを可能にするよう構成され得る。光学信号は、当該技術分野において既知であるような様々な方法によって部分的に反射され得る。幾つかの例は、偏光ミラーか、部分的に透過なミラーか、周波数依存性ミラーか、或いはエリアベースの光学スプリッタを用いることを含む。
【0016】
部分的に反射性のミラー150は、光学信号140が分光された後にその光学信号140が導かれるコンピューティング構成要素の各々に対して所望な量の電力を提供するよう構成され得る。例えば、第1の分光ビームが、元の光学信号の電力の約25%を含むこととなり、及び、第2の分光ビームが、元の光学信号の電力の約75%を含むこととなるように、ミラーがビームを分光させることができる。
【0017】
フォトニック導波路モジュール100には、ミラー130とミラー150との間に延在する光路、及びコンピューティング構成要素160、又は該構成要素上の光源モジュール170を含めることができる。光学信号140が分光される場合には、光路の幅もまた、各光路内へと導かれる電力の比率に基づいて低減され得る。光路の幅を低減させることは、回路内において使用される面積(リアルエステート)の量を低減させることができる。幅に対する出力電力の比率をほぼ等価に維持し、及び、光路の中心近くにビーム導くことによって、最低オーダモードを励起させることでビーム損失が制限され得る。該最低オーダモードは、最低損失の状態のモードである。該最低オーダモードは、ミラーから反射する光学信号における光線を、光路の各々における導波路の該最低オーダモードに対応する光線に、一致させることによって励起され得る。
【0018】
図2を参照すると、基板220上に形成された中空コアフォトニック導波路210を有したフォトニック導波路モジュール200が提供されている。フォトニック導波路内において、プリセット位置を有した複数のステアリングミラー支持250を存在させることができる。これらのステアリングミラー支持により、ステアリングミラー230は、該ステアリングミラー支持に、フォトニック導波路内において選択的に再配置されることが可能となる。該ステアリングミラーは、様々なアタッチメントによってか、又は当該技術分野において既知であるような付加手段によって、導波路内における場所にリムーバブルに固定され得る。幾つかの予期されるアタッチメント手段は、ネジ(スクリュー)か、接着剤(又は接着用テープ)か、磁石か、クランプか、スナップ式の(パチンと留める)構造か、又は受信ユニット内にプレスされる構造を含む。従って、ステアリングミラーは、ステアリングミラー支持位置に恒久的でないように(取りはずせるように)固定され得り、後に排除され得る。導波路内のステアリングミラーの数を変更するために、及び、コンピューティング構成要素間の接続性か又は通信チャンネルを変更するために、ステアリングミラーは、導波路モジュールに対して脱着され得る。ステアリングミラーは、異なるステアリングミラーにそれを置き換えるために、排除され得る。ステアリングミラーはまた、異なるステアリングミラー支持にそれを再配置するために、排除され得る。
【0019】
導波路内においてステアリングミラーを再配置することは、コンピューティング構成要素260の光源モジュール270間において光学信号240を導くための、様々な(変動する)コンフィギュレーションか又は異なる特徴(パーソナリティ)を作り出すことができる。同様のコンピュータ構成要素間においてのみ、光学信号が伝達されるということが必ずしも必要であるというわけではない。光学信号はまた、異なるタイプのコンピューティング構成要素間において伝達され得る。図2内に示されるように、光学信号は、2つのメモリ構成要素(MEM)間において、2つの処理(プロセッシング)構成要素(CPU)間において、及び該メモリ構成要素(MEM)と該処理構成要素(MEM)間において、送られ得る。ある特定の環境内のコンピューティングニーズに最も適合させるために、様々なコンフィギュレーションにおいて、任意の数及びタイプの様々なコンピューティング構成要素が使用され得る、ということが理解されよう。異なるタイプのコンピューティング構成要素は、異なるタイプの通信を有することができる。これらの異なるタイプの通信は、単一導波路チャンネルを通じて共に送られ得るが、クロストーク及び伝達ミス(又は伝達不良)のリスクがある可能性がある。クロストークの不安を軽減するための幾つかの解決法は、時分割多重化か又は波長分割多重化を使用することを含む。しかしながら、モジュールを簡略化してコストを削減するために、導波路内における任意の所与の位置において導波路モジュールを通過する1タイプのみの通信を有した該導波路モジュールが、好まれる可能性があるということが認識される。
【0020】
図1を再び参照すると、選択的に再配置可能なステアリングミラー130を有したフォトニック導波路モジュール100が示されている。ステアリングミラーは、初期には位置Aにあるものとすることができるが、第1のコンフィギュレーションとは異なるコンピューティング構成要素グループ間において光通信を提供する異なるコンフィギュレーションを作り出すために、位置Bか又は位置Cに選択的に再配置され得る。ステアリングミラーは、低コストの受動光学モジュールを作り出すために、導波路内におけるステアリングミラー支持において手動で再配置可能とすることができる。
【0021】
図3は、図1内に示されたフォトニック導波路モジュール100に関して多くの点で類似したフォトニック導波路モジュール300を示す。該導波路モジュールは、基板320上に形成された中空の、金属の、フォトニック導波路310を含む。導波路内には、光源モジュール370とコンピューティング構成要素360との間において光学信号340を導く複数のステアリングミラー330が存在する。この実施形態において、導波路内における固定プリセット位置にステアリングミラーは配置されている。一態様において、回路基板上にコンピューティング構成要素を有する該回路基板にフォトニック導波路をリムーバブルに取り付けるためのアタッチメントセクションを、導波路構造に含めることができる。導波路モジュールは、当該技術分野において既知なような様々なアタッチメント手段によりバックプレーンか又はミッドプレーンに取り付けられ得る。幾つかの予期されるアタッチメント手段は、ネジ(スクリュー)か、接着剤(又は接着用テープ)か、磁石か、クランプか、スナップ式の構造か、又は受信ユニット内にプレスされる構造を含む。
【0022】
フォトニック導波路モジュールは、回路基板にリムーバブルに取り付けられ得り、及び、第1のステアリングミラーのプリセット固定位置とは異なるプリセット固定位置にステアリングミラーを有した第2の光学モジュールに置き換えられ得り、及び、コンピューティング構成要素間において複数の接続性チャンネルを形成するために光学ビームを導くよう構成され得る。導波路モジュールを相互置換することは、同一のコンピューティング構成要素によって異なる特性(パーソナリティ)(又は接続性コンフィギュレーション)及び機能性(又は機能)を作り出す、シンプルな、低コストの方法とすることができる。例えば、2つのメモリ構成要素、2つの中央処理ユニット(CPUs)、及び2つのグラフィック処理ユニット(GPUs)を有したシステムがあり得る。導波路モジュールは、メモリからメモリへと、CPUからCPUへと、及びGPUからGPUへと、接続性を提供するよう構成され得る。システム管理者(アドミニストレータ)は、様々な機能性を望むことができ、メモリからCPUへと、メモリからGPUへと、及びGPUからCPUへと接続性を提供するよう構成された別の導波路モジュールに、導波路モジュールを置き換えることができる。そのような手法において、導波路モジュールを置き換えることによって、同一のコンピューティング構成要素を、異なるように相互接続して、簡単に異なる機能性か又は接続性を作り出すことができる。
【0023】
本明細書内において記載された様々な実施形態の組み合わせもまた予期されるということが理解されよう。例えば、選択的に再配置可能なステアリングミラーは、リムーバブルに取り付け可能な導波路構造内において使用され得るか、或いは、回路基板に恒久的に固定されている導波路構造内において使用され得る。更にまた、ある特定の導波路内において、幾つかのミラーは、選択的に再配置可能とすることができる一方で、他のミラーは位置が固定されている。同一のコンピューティングシステム内において複数の導波路モジュールが使用される場合には、該導波路モジュールが、異なるサイズ、形状、ミラー位置、リムーバブルな取り付け可能性、再配置可能ミラー、などを有するように、異なるように形成され得る。
【0024】
追加的には、異なるタイプの通信に対して、複数の通信経路を提供するために、同じ光学モジュール内において複数の導波路が形成され得る。
【0025】
次に図4を参照すると、以前に説明したモジュールに関して多くの点で類似したフォトニック導波路モジュール400が示されている。モジュール400には、基板420上に形成されたフォトニック導波路410を含めることができる。導波路410内には、光源モジュール470間においてか又はコンピューティング構成要素460間において光学信号440を導く複数のステアリングミラー430が存在する。コンピューティング構成要素460間において追加的な接続性を提供するために、信号を送受信するよう構成された光学信号源モジュール480及び490などの光学相互接続もまた、図4内に示されている。本発明の光学導波路構成410を用いるシステムは、様々な他のコンピューティング接続性デバイス及び方法と依然として互換性があるということが示されている。
【0026】
上述のように、フォトニック導波路モジュールは、システム内に用いられているコンピューティング構成要素間において所望の接続性を提供するために、任意の数のやり方で構成され得る。図5は、520、530、540、及び550に示された様々なコンピューティング構成要素を有したコンピューティングシステム500のトポロジを図示している。光学ファブリック510が、様々なコンピューティング構成要素間において光学相互接続性を提供する。矢印は、それら矢印が指し示す構成要素間の通信を示す。上述のように、任意の様々なコンピューティング構成要素が共に接続されて、所望の機能性(又は機能)が提供され得る。図5は、CPU、GPU、IOH、I/F、MC、及びメモリ構成要素などの構成要素を図示している。インターフェース構成要素(I/F)は、必要な光/電気変換と電気/光変換とを提供することができる。メモリコントローラ(MC)は、低いビンCPUか又はASICとすることができ、メモリに対して行き来するデータの流れを管理する。入力/出力(I/O)ハブ構成要素(IOH)は、光学ファブリックから中央処理ユニット(CPUs)へか又はグラフィック処理ユニット(GPUs)へのブリッジを直接的に形成することができる。幾つかの用途では、それらは同じ導波路構造を共有するが、別々の特定の通信タイプを有することに利点がある場合がある。例えば、CPUの間においてのみCPU通信を送ること、メモリチップ間においてのみメモリ情報を送ること、などが望ましい場合がある。異なるタイプの通信は、導波路チャンネルを通じて共に送られ得るが、クロストーク及び伝達ミスのリスクがある。幾つかのクロストーク不安を軽減するための幾つかの解決法は、時分割多重化か又は波長分割多重化を使用することを含む。
【0027】
図6は、本発明の一実施形態による、フォトニック導波路モジュール600を示す。導波路620が、ミッドプレーン610を通すアパーチャ650を有したミッドプレーン610に取り付けられている。上述のように、ミッドプレーンは、複数の側に取り付けられたコンピューティング構成要素を有することができる。導波路モジュールは、ステアリングミラー630の適正な位置付けを通じて、ミッドプレーンの同じ側か又はミッドプレーンの異なる側かのいずれかにおいてコンピューティング構成要素間において光ビーム640を導くよう構成され得る。光学ビーム又は信号640は、ミッドプレーンの第1の側上の第1のコンピューティング構成要素において生成され得り、第1のステアリングミラーから反射され得り、導波路を通過して、第2のステアリングミラーから反射され得り、ミッドプレーン内のアパーチャを通って、ミッドプレーンの第2の側上の第2のコンピューティング構成要素に到達され得る。
【0028】
本発明の利点は、ベースミッドプレーンか又はバックプレーンに対する変更を必要とせずに、システム内においてそれを使用することができるということである。モジュールは、当該技術分野において既知であるような(ネジ(スクリュー)、接着剤(又は接着用テープ)、磁石、スナップ式の構造、プレスインされる構造、などのような)様々な手段によって、既存の構造に取り付けられ得る。本発明の利点はまた、回路基板の任意の側(サイド)にそれを取り付けることができるということである。例えば、それは、回路基板における任意の4つのエッジにか、或いは2平面側のうちのいずれかに対して取り付けるよう構成され得る。6つの側(サイド)のうちの1つか又は複数の上における単一回路基板上において複数のモジュールが使用され得る。複数の回路基板を有するシステム内において、単一モジュールが、該回路基板を相互接続させることができる。異なる回路基板はまた、そこに取り付けられる異なるモジュールを有することもできる。
【0029】
本発明によって、コンピューティング通信のためのフォームファクターを縮小させることができ、及び、接続性を簡略化することができる。本発明は、より小型のブレード及びミッドプレーンを可能にする。更に、利用可能なフォトニック及び電気インフラに基づき、電気に対するフォトニック密度の比率は、概して1:26である。本発明により提供される光通信は、現在の既存の構造と併せて働かせることができ、及び、電気通信を増大させることができる。例えば、ブレード間通信は、利用不可能であり且つ電気的インフラ内にフィットさせることができなくても、本発明により可能にさせられる。
【0030】
上述の例は、1つか又は複数の特定用途において、本発明の原理を例示するものであるが、発明能力を行使せずに、及び、本発明の原理及びコンセプトを逸脱せずに、実現形態の形態、使用法、及び細部における多くの改変が、なされ得るということが当業者にとっては明らかであろう。従って、以下に記載される特許請求の範囲による場合を除いて、本発明が制限されることは意図されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュール(300)であって、
基板(320)上に形成されたフォトニック導波路(310)であって、該フォトニック導波路を複数のコンピューティング構成要素(360)にリムーバブルに取り付けるためのアタッチメントセクションを有する、フォトニック導波路と、
前記フォトニック導波路内のプリセット固定位置における第1の複数のステアリングミラー(330)であって、前記複数のコンピューティング構成要素間において光学ビーム(340)を導くよう構成されている、第1の複数のステアリングミラー
とを備え、
前記光学モジュールは、前記第1の複数のステアリングミラーの前記プリセット固定位置とは異なるプリセット固定位置における第2の複数のステアリングミラーを有した第2の光学モジュールに置き換え可能であり、及び、前記コンピューティング構成要素間において少なくとも1つの通信チャンネルを形成するために前記光学ビームを導くよう構成されることからなる、光学モジュール。
【請求項2】
前記複数のコンピューティング構成要素は、回路基板上に配置されており、及び、前記光学モジュール及び前記第2の光学モジュールは、前記回路基板の異なる位置に同時に取り付け可能であることからなる、請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
第2の複数のコンピューティング構成要素を更に備え、及び、
前記第1の複数のコンピューティング構成要素に前記光学モジュールが取り付けられる時に、前記第2の光学モジュールは、前記第2の複数のコンピューティング構成要素に取り付けられることからなる、請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項4】
前記複数のステアリングミラーのうちの1つか又は複数が、前記フォトニック導波路内において恒久的に固定された位置を有する、請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項5】
前記複数のステアリングミラーのうちの1つか又は複数は、異なるコンフィギュレーションへと、前記フォトニック導波路内において選択的に再配置可能である、請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項6】
光学モジュール(200)であって、
基板(220)上に形成されたフォトニック導波路(210)と、
前記フォトニック導波路内における複数のステアリングミラー(230)であって、2つか又は3つ以上のコンピューティング構成要素間において光学ビーム(240)を導くよう構成されている、複数のステアリングミラーと、
複数のステアリングミラー支持(250)
とを備え、
前記フォトニック導波路内においてコンピューティング構成要素(260)間における少なくとも1つの通信チャンネルを形成するため、様々な通信コンフィギュレーションにおいて前記ステアリングミラーが前記光学ビームを導くことからなる、光学モジュール。
【請求項7】
前記ステアリングミラーは、該ステアリングミラーにおいて手動で再配置可能である、請求項6に記載の光学モジュール。
【請求項8】
コンピューティング構成要素間における前記光学ビームの通信接続性を変更するために、1つか又は複数の前記ステアリングミラーが、前記フォトニック導波路に対して排除され得るか又は付加され得る、請求項6に記載の光学モジュール。
【請求項9】
前記フォトニック導波路が、コンピューティング構成要素に対してリムーバブルに取り付け可能である、請求項6に記載の光学モジュール。
【請求項10】
第1のフォトニック導波路内におけるステアリングミラーとは異なるコンフィギュレーションにおいて第2のフォトニック導波路内において配置された複数のステアリングミラーを有したリムーバブルに取り付け可能な該第2のフォトニック導波路に置き換え可能な該第1のフォトニック導波路を、前記フォトニック導波路が更に含むことからなる、請求項9に記載の光学モジュール。
【請求項11】
前記フォトニック導波路は、回路基板の任意の側に対して取り付け可能であり、及び、該回路基板の表面に対して任意の方向において配向されることからなる、請求項6に記載の光学モジュール。
【請求項12】
光学信号ビーム(340)と、
少なくとも1つの回路基板に結合された複数のコンピューティング構成要素(360)と、
導波路内において第1のプリセットコンフィギュレーションにおける複数のステアリングミラー(330)を有した第1のフォトニック導波路(310)であって、2つか又は3つ以上の前記コンピューティング構成要素間において前記光学信号ビームを導くよう構成された、第1のフォトニック導波路と、
前記第1のプリセットコンフィギュレーションとは異なる第2のプリセットコンフィギュレーションにおける複数のステアリングミラーを導波路内において有した第2のフォトニック導波路であって、前記第1及び第2のフォトニック導波路のそれぞれの中において2つか又は3つ以上のコンピューティング構成要素間における複数の接続性チャンネルを形成するために第2の光学信号ビームを導くよう構成された、第2のフォトニック導波路
とを備える、コンピューティングシステム。
【請求項13】
異なるコンピューティング構成要素間における導波路機能性を、前記第1及び第2のフォトニック導波路がそれぞれ、ほぼ同時に提供する、請求項12に記載のコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの回路基板に対するリムーバブルなアタッチメントのためのアタッチメントセクションを、前記第1及び第2のフォトニック導波路が更に含む、請求項12に記載のコンピューティングシステム。
【請求項15】
異なるコンピューティング機能性を提供するために、前記第1及び第2のフォトニック導波路が互いに相互置換可能である、請求項14に記載のコンピューティングシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−514767(P2012−514767A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545334(P2011−545334)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/030348
【国際公開番号】WO2010/080148
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】