説明

フックロック

フックロック(10)は、スリーブユニット(11)とフックユニット(12)とを備えており、フックユニットは、把持体(20)と、挿入方向にスリーブユニット(11)内に挿入されることが可能な指状フック(22)と、を備えており、指状フックは、フックユニット内でフックユニットが挿入された位置に指状フックをロックするためにスリーブユニット(11)内の凹部に係合する状態になることが意図された手動で操作可能なロック手段を備えており、当該ロック手段はロック位置に向かって付勢されている。把持体(20)の変位可能な部品として解除キー(21)が形成されており、解除キー(21)は、当該解除キー(21)がロック手段と係合する状態になるように第1方向に変位し、その後、第1方向と異なる第2方向に変位するようにされており、第2方向の変位によってロック手段は凹部との係合から解放され、指状フックがスリーブユニット(11)から解放されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載された種類のフックロックに関する。
【背景技術】
【0002】
このように、本発明は、スウェーデン国特許第516108号明細書に開示されている一般的な種類のフックロックに関する。
【0003】
こうした以前から知られたフックロックは、例えばスウェーデン国特許第530395号明細書で知られている種類の例えば子供運搬装置などのような運搬装置に特に適している。
【0004】
上述の特許で説明されている子供運搬装置は、使用者の上半身に着用される固定ベルトを備えており、前記固定ベルトは子供運搬ポケットを有しており、前記子供運搬ポケットの下側中央部は硬いプレートに接続されている。子供運搬ポケットは、プレートの各側縁付近に配置される側縁部分を有しており、当該側縁部分は、取付部品によって、好適にはフックロックによってプレートに取り外し可能に取り付けられている。子供運搬ポケットは、プレートに対して上向きに折り返された下側中央帯状部を有しており、当該下側中央帯状部は、取付部品によって横方向の中央位置でプレートに取り付けられており、前側片の折り曲げられた底部をそれぞれ上げたり下げたりするために、鉛直方向に空間を隔てた多数の選択式の取付具をプレート上に有している。
【0005】
上述のタイプの運搬装置は、子供運搬ポケット内に配置された子供が何をしているかについて、すなわち、硬いプレートに子供運搬ポケットを取り付けている取付部品を子供が解除しようと試みるかどうかについて、全く管理することができないとの理由から、主に使用者の背中で運搬されるようにされている。こうして、解除が困難であり又は子供用いたずら防止装置が付いたロック及び取り付け台の形態の取付部品を達成すること、特に、解除が困難であり又は子供用いたずら防止装置が付いたフックロックを達成することが目的である。
【0006】
さらに、子供運搬ポケットの1以上の部品を、プレート又は他の運搬装置に取り付けたり、プレート又は他の運搬装置から取り外したりしたい場合、取付部品又はフックロックの解除及びロックは簡単であるべきである。
【0007】
さらに、スリーブユニット内への指状フックの引っ掛け又はスリーブユニットからの指状フックの取り外しは簡単であるべきであり、すなわち、指状フックの長さは短くあるべきである。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つの目的は、子供には解除が困難なフックロック又は子供用いたずら防止装置付きのフックロックを上述のタイプの運搬装置で達成することである。
【0009】
さらなる目的は、スリーブユニットに対するフックユニットの改良されたロック機能を有するそうしたフックロックを達成することである。
【0010】
さらなる目的は、スリーブユニット以外で運搬装置のある部分に対するフックユニットの意図しない引っ掛かり又は固定を防止するためのそらせ板を備えるそうしたフックロックを達成することである。
【0011】
上記目的は、添付の独立請求項で規定されるような本発明によって全体的に又は部分的に達成される。
【0012】
本発明の実施形態は添付の従属請求項に規定されている。
【0013】
本発明は添付の図面をさらに詳しく参照しつつ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】概略的に示された運搬装置に取り付けられた本発明に係るフックロックの正面図である。
【図2】図1のフックロックの背面斜視図である。
【図3】フックロックのフックユニットの背面斜視図である。
【図4】スリーブユニットに取り付けられているものの、ある部分が取り除かれたフックユニットの正面斜視図である。
【図5】フックロックのスリーブユニットの正面図である。
【図6】図1のフックロックの平面図である。
【図7】図1のフックロックの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係るフックロックの以下の説明では、フックロックは、上述のスウェーデン国特許第530395号明細書で説明されているタイプの子供運搬装置に子供運搬ポケットを固定するために説明される。本発明に係るフックロックは、硬いプレートを備えていない他のタイプの子供運搬固定ベルト又は子供運搬装置に使用されることが可能であり、それによって、フックロックがストラップや同種の手段に取り付けられることが可能であることは当業者には明らかである。さらに、子供運搬ポケットは運搬ポーチで代用されることが可能であり、代用にあたって、例えば、プレート又は対応の運搬装置に運搬ポーチを固定するために同一のフックロック及び他の取付部品が好適に用いられる。最後に説明した例では、取り外し可能な運搬ポーチを有するリュックサックタイプが獲得される。
【0016】
図1は、図示しない子供運搬装置の概略的に図示された硬いプレート1に取り付けられたフックロック10を示す正面図である。さらに特に、フックロック10のスリーブユニット11が背プレート1の一方の側に取り付けられており、図示しない運搬固定ベルトがその反対側に取り付けられている。図示しない子供運搬装置の一実施形態では、スリーブユニット11は運搬固定ベルトの運搬ストラップに取り付けられてもよい。
【0017】
図2から理解することが可能なように、フックロック10はフックユニット12も備える。スリーブユニット11の反対側でフックユニット12の側面には取り付け耳13が設けられており、前記取り付け耳13には、図示しない子供運搬ポケットの側縁部が取り付けられることが意図される。
【0018】
フックユニット12は把持体20を備えており、前記把持体20は、スリーブユニット11に向けられている側面に、2つの異なる方向に変位可能であって解除機能を有する解除キー21又は同種の手段を有する。以下の説明に記載されて図面に示された方向はほぼ線形の直線であり、解除キー21の変位が少なくとも1つの非線形方向に例えば円弧の形態をとり得ることは当業者には明らかである。
【0019】
図3に示されたフックユニット12は、スリーブユニット11の対応の開口に挿入されることが意図された指状フック22を備える。指状フック22は、図3に規定されるように、以下の説明では挿入方向と称されるマイナスz方向に主として延びる。さらに、この図ではx方向及びy方向が規定されている。指状フック22は、上側部分23によって把持体20に取り付けられている。指状フック22は、手動で操作可能であり好適には面取りされたロック手段24を備えており、挿入方向に反対方向の力がフックユニット12に作用した際にスリーブユニット11から指状フック22がはずれることを防ぐために、ロック手段24が、スリーブユニット11に設けられた凹部27(図5)に係合するようにされている。ロック手段24は、ばね25(図4)又は他の適切な手段によってロック位置に付勢されている。
【0020】
指状フック22は比較的に短く、そのことは、スリーブユニットに指状フックを引っ掛けるため、又は、スリーブユニットから指状フックをはずすため、指状フックがそれほど高く持ち上げられる必要がないことを意味している。こうしたことは、約6ヶ月から最大約18キロの重さの子供達を運ぶために上述の子供運搬装置を使用する際に大きな利点である。子供が重ければ、取り付けられた子供運搬ポケットとともに指状フック22をスリーブユニット11から外側に持ち上げることは困難であろう。指状フックの長さは他の様相ではさらに重要であり、すなわち、指状フックがはずされる際にプレートと子供運搬ポケットとの間に形成される開口が、子供が子供運搬装置から外側に落ちるかもしれないという危険性が存在する可能性がある程度まで大きいものであってはならない。
【0021】
解除キーが、把持体20の変位可能な部品として、より正確には把持体の背側片の変位可能な部品として形成されることから、また、第1方向すなわちスリーブユニット11内への指状フックの挿入方向と異なるx方向に変位するようにされていることから、解除キー21によってロック手段24は解除されることが可能である。この方向では、解除キー21に関連して配置されたピン28が例えばロック手段24の開口内に挿入されるようにされている。その後、解除キー21は、把持体の背側片が弾性的に撓みやすいように配置されているという事実によって好適に、もう一方の方向すなわち例えば第1方向と異なるy方向に変位する。この位置で、ロック手段24は、スリーブユニット11内で凹部27との係合から解放されることが可能であり、また、指状フック22はスリーブユニット11から外側に取り外されることが可能である。
【0022】
図4から、凹部27との係合からロック手段24を解放する上述の方向とは反対方向すなわちマイナスy方向にばね30又は他の適切な手段によって解除キー21が付勢されていることが導き出されることが可能である。解除キーは突起31も備えており、前記突起31は、解除キー21に関して把持体の反対側に位置した把持体30の開口すなわち凹部32と一致するまでy方向に解除キー21が変位することを防止している。解除キー21が、把持体の開口すなわち凹部32と協働するために突起31を備えていることが上述されてきたものの、把持体20が、突起31と、開口すなわち凹部32を有する解除キー21と、を備え得ることは明らかである。
【0023】
解除キー21が、最初に第1方向に、その後に第1方向と異なる第2方向に、すなわち、相互に独立した2つの方向に移動するという事実によって、フックロックを解放することは大人には簡単であるべきではあるものの、子供にはフックロック10を解放することは困難になることが達成される。こうしたことは、人の背中に着用されることが意図される子供運搬固定ベルトに子供運搬ポケットを取り付けることがフックロックに意図される場合に特に重要である。
【0024】
図5から、スリーブユニット11は、スリットとして形成された開口38を有していることを理解することが可能であり、前記開口38の長さは把持体20への指状フックの取付長さに本質的に対応している。スリット状開口38は、指状フックの上側部分23の形状に本質的に一致した形状を有しており、それによって、指状フックは、スリット状開口によって効果的に案内され、ねじり抵抗接続が指状フック及びスリットの間で達成される。
【0025】
図6及び図7は、スリーブユニット11にフックユニット12が挿入されたフックロックの平面図及び下面図をそれぞれ示している。
【0026】
図3及び図6から理解することが可能なように、くさび状フック手段33は、指状フック22の上側部分23の上部に配置されている。スリーブユニット11の図示しない開口内に挿入方向に指状フック22が挿入される際に、このフック手段33はスリーブユニット11内で相補的な形状の座部34(図4及び図5参照)と係合することが意図される。指状フック22の上側部分23のかなりの部分はフックユニット12の把持体20に固定的に接続されていることから、また、指状フックの反対側の把持体20の側面の取り付け耳13が把持体の長さの大部分と同じ長さで延びていることから、こうしたことは、フックユニット12に指状フック22を固定するために上側部分23で相当なモーメントが生じ得ることにつながることになる。くさび状フック手段33は、フックユニット12の指状フック20とスリーブユニット11の開口との間に形成される結合強度を向上させる目的を有している。
【0027】
くさび状フック手段33が座部34と確実に係合することを保証するために、傾斜棚35(図5)がスリーブユニット11の下側部分に形成されている。この傾斜棚35は、図3に見られるように、把持体20の下側部分の傾斜面36と協働することが意図される。指状フック22がスリーブユニット11の開口内に挿入方向に挿入された際、傾斜面35はこの挿入の最後に傾斜棚34に接触することになる。指状フックが開口内にさらに進入すると、くさび状フック手段33は、従って、スリーブユニット11に対してうまくさらに強く押し付けられることになり、開口内への指状フックの挿入の最後の時点で、図6から明確に分かるように座部34と確実に係合することになる。図7から、傾斜面36が傾斜棚35に接触することを理解することが可能である。
【0028】
把持体20の下側端には、図2に見られるように、いわゆるそらせ板が配置されている。このそらせ板40の目的は、スリーブユニット11以外のある突出部分にフックユニット12が誤って引っ掛けられることを防ぐことである。そらせ板40は、その最外端が指状フック22に一致して指状フックの最外端37に位置決めされる程度まで、把持体20から好適に突き出している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリーブユニット(11)とフックユニット(12)とを備えるフックロック(10)であって、前記フックユニットは、把持体(20)と、挿入方向に前記スリーブユニット(11)内に挿入されることが可能な指状フック(22)と、を備えており、前記指状フック(22)が、前記フックユニットが挿入された位置で前記スリーブユニット内に前記指状フック(22)をロックするために前記スリーブユニット(11)内の凹部(27)に係合する状態になることが意図された手動で操作可能なロック手段(24)を備えており、前記ロック手段(24)がロック位置に向かって付勢されるフックロック(10)であって、前記把持体(20)の変位可能な部品として解除キー(21)が形成され、前記解除キー(21)は、当該解除キー(21)が前記ロック手段(24)と係合する状態になるように第1方向に変位し、その後、第1方向と異なる第2方向に変位するようにされており、前記第2方向の変位によって、前記ロック手段(24)は前記凹部(27)との係合から解放され、前記指状フック(22)が前記スリーブユニット(11)から解放されることが可能であることを特徴とするフックロック(10)。
【請求項2】
前記第1方向又は前記第2方向のいずれかは、前記スリーブユニット(11)内において前記指状フック(22)の前記挿入方向と異なることを特徴とする請求項1に記載のフックロック。
【請求項3】
前記方向の少なくとも一方が線形又は非線形であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフックロック。
【請求項4】
前記解除キー(21)は突起(31)を備えており、当該突起(31)は、主に前記第2方向に延びており、前記第2方向に前記解除キー(21)の変位を可能にするために前記把持体(20)の対応の開口(32)内に嵌め込まれるようにされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフックロック。
【請求項5】
前記把持体(20)は突起を備えており、当該突起は、主に前記第2方向に延び、前記第2方向に前記解除キー(21)の変位を可能にするように前記解除キー(21)の対応の開口内に嵌め込まれるようにされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフックロック。
【請求項6】
前記解除キー(21)は、当該解除キーが前記第1方向に変位した際に前記ロック手段(28)の凹部(29)に係合するようにされているピン(28)を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフックロック。
【請求項7】
前記スリーブユニット(11)の凹部(27)と係合することが意図された前記ロック手段(24)の端部は、面取りされた切り口を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフックロック。
【請求項8】
前記指状フック(22)は、その挿入方向において前記指状フックの実質的な部分に沿って前記把持体(20)に取り付けられており、前記フックユニットはスリット状開口(38)を有しており、当該開口(38)の長さは、前記把持体(20)に対する前記指状フックの取付長さに本質的に対応していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフックロック。
【請求項9】
前記指状フック(22)は、前記スリーブユニット(11)内に挿入されることが意図された端部の反対側の端部にくさび状フック手段(33)を有しており、前記スリーブユニット(11)は対応の前記くさび状フック手段(33)に相補的な形状の座部(34)を有しており、前記くさび状フック手段(33)は、前記スリーブユニット(11)に対する前記フックユニット(12)の結合強度を改善するために、前記スリーブユニット内の前記指状フックのロック位置において前記座部(34)と協働するようにされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフックロック。
【請求項10】
前記スリーブユニット(11)は、前記スリット状開口(38)の反対側の前記スリーブユニットの下側部分に傾斜面を有する棚(35)を備えており、当該棚(35)は、前記フックユニット(12)に向けられており、前記フックユニット(12)の対応の傾斜面(34)と協働するようにされており、前記指状フック(22)が前記フックユニット(11)に連続的に誘導される際、前記座部(34)内に前記くさび状フック手段(33)の挿入を促進することが可能なように前記傾斜面の両方が相互に連続的にさらに力強く押し付け合うことを特徴とする請求項9に記載のフックロック。
【請求項11】
前記把持体(20)は、前記スリーブユニット(11)以外の突出部分に前記フックユニット(12)が誤って引っ掛けられることを防ぐためのそらせ板(40)を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のフックユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−509140(P2011−509140A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542196(P2010−542196)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000005
【国際公開番号】WO2009/088352
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(596096847)ベビービヨルン アクティエボラーグ (19)
【Fターム(参考)】