説明

フライングディスク

【課題】人体に接触した際の安全性が高く、かつ外形が破損しても正常に使用できるフライングディスクを提供する。
【解決手段】フライングディスクは、可撓性を有する樹脂シートで形成され、内部空間12を有する第1環状部10と、可撓性を有する樹脂シートで形成され、内部空間12に配置され、第1環状部10に沿って延在し、気体を注入した状態で密閉可能な第2環状部20と、可撓性を有する樹脂で形成され、内部空間12を規定する第1環状部の内壁面と第2環状部20との間に配置されたウェイト部30とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフライングディスクに関し、特に、空気等の気体を注入した状態で使用可能なフライングディスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的には、フライングディスクは硬質のプラスチック材料で形成されている。一般的なフライングディスクは硬質のプラスチック材料で形成されているため、フライングディスクが人体に接触するとフライングディスクが接触した者は痛みを感じ、また怪我する場合がある。
【0003】
そこで、人体に接触した際の安全性を高めるために、硬質のプラスチック材料で形成されるのではなく、内部空間に空気を注入可能なシート材で形成されたフライングディスクが提案されている。このような構成を有するフライングディスクとして、たとえば、実開平6−34667号公報(特許文献1)には、二層のプラスチックシート材の間に空気が満たされ得る縁辺部を有する円盤状飛行遊戯具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−34667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載された円板状飛行遊戯具では、プラスチックシート材が破損すると縁辺部から空気が漏れるため、フライングディスクは形状を保持することができない。そのため、円板状飛行遊戯具を正常に飛ばすことができない。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、人体に接触した際の安全性が高く、かつ外形が破損しても正常に使用できるフライングディスクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一のフライングディスクは、可撓性を有する樹脂シートで形成され、内部空間を有する第1環状部と、可撓性を有する樹脂シートで形成され、内部空間に配置され、第1環状部に沿って延在し、気体を注入した状態で密閉可能な第2環状部と、可撓性を有する樹脂で形成され、内部空間を規定する第1環状部の内壁面と第2環状部との間に配置されたウェイト部とを備えている。
【0008】
本発明の他のフライングディスクは、可撓性を有する樹脂シートで形成され、内部空間を有する第1環状部と、可撓性を有する樹脂で形成され、内部空間に配置され、第1環状部に沿って延在する第2環状部と、可撓性を有する樹脂で形成され、内部空間を規定する第1環状部の内壁面と第2環状部との間に配置されたウェイト部とを備えている。
【0009】
本発明のフライングディスクでは、該フライングディスクの外形を規定する第1環状部が可撓性を有する樹脂シートで構成され、かつ第1環状部の内部空間に配置される第2環状部やウェイト部も、可撓性を有する樹脂シートあるいは樹脂で構成されるので、フライングディスクが人体に接触した際に、フライングディスクを容易に変形させることができる。このため、フライングディスクから人体への衝撃力を緩和することができ、フライングディスクが接触した者が痛みを感じたり、怪我をすることを効果的に抑制することができる。これにより、人体に接触した際のフライングディスクの安全性を高めることができる。
【0010】
また、気体を注入した状態で密閉可能な第2環状部、または可撓性を有する樹脂で形成される第2環状部が第1環状部の内部空間に配置されるので、第1環状部によって第2環状部を保護することができる。そのため、第1環状部が破損したとしても、第2環状部内に気体を密封した状態を維持することができ、あるいは第2環状部を構成する樹脂の破損を抑制できるのでフライングディスクの形状を保持することができる。これにより、フライングディスクの外形を規定する第1環状部が破損してもフライングディスクを正常に使用することができる。
【0011】
また、第1環状部の内部空間にウェイト部が配置されているため、フライングディスクの慣性力を大きくすることができる。これにより、フライングディスクの飛距離を長くすることができる。
【0012】
上記のフライングディスクは、好ましくは、可撓性を有する樹脂シートで形成されたカバー部をさらに備えている。カバー部は、第1環状部の一方面側を覆うように設けられている。発明者等は、フライングディスクの両面側にカバー部が設けられている場合と比較して、フライングディスクの一方面側にカバー部が設けられている場合に飛行姿勢が安定することを見出した。本発明のフライングディスクでは、カバー部が第1環状部の一方面側を覆うように設けられているため、フライングディスクの飛行姿勢を安定させることができる。
【0013】
上記のフライングディスクでは、好ましくは、第1環状部の径方向の断面形状は概ね長円である。そのため、進行方向Fに向かって、第1環状部の厚みを薄くすることができる。これにより、フライングディスクの空気抵抗を低減することができる。このことも、フライングディスクの飛距離を長くすることに寄与し得る。また、長円の外形に沿って、第1環状部の外周端に向かって第1環状部の厚みを薄くすることができる。これにより、進行方向と反対側に長円の外形に沿って空気を流すことによってフライングディスクの空気抵抗を低減することができる。
【0014】
上記のフライングディスクでは、好ましくは、第2環状部の径方向の断面形状は概ね円形である。第2環状部の高さによって第1環状部の高さが保持される。また、第2環状部の径方向の断面形状が円形であるため、第2環状部が第1環状部の内部空間の径方向の中央に位置しやすい。これにより、第1環状部の形状を安定させることができる。
【0015】
上記のフライングディスクでは、好ましくは、ウェイト部が環状に配置されている。そのため、ウェイト部による慣性力をフライングディスクの周方向に均等に作用させることができる。したがって、フライングディスクの慣性力が安定する。このことも、フライングディスクの飛距離を長くすることに寄与し得る。また、フライングディスクの飛行姿勢を安定させることもできる。
【0016】
上記のフライングディスクでは、好ましくは、ウェイト部は、第1環状部および第2環状部に固着されることなく内部空間に配置されている。このため、ウェイト部を固着する作業が必要ない。これにより、生産性を向上することができる。
【0017】
上記のフライングディスクでは、好ましくは、ウェイト部は中空形状を有している。このため、ウェイト部を変形しやすくすることができる。これにより、フライングディスクが人体に接触した際にウェイト部を変形させることができ、さらに接触時の衝撃力を緩和することができる。
【0018】
上記のフライングディスクでは、好ましくは、樹脂シートおよび樹脂の少なくともいずれかは、ポリウレタンを含む。ポリウレタンは可撓性が高いため、フライングディスクが人体に接触した際にポリウレタンによって衝撃力を緩和することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のフライングディスクによれば、人体に接触した際の安全性を高くすることができ、かつ外形が破損しても正常に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの概略側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの概略底面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う概略断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの変形例1の概略上面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿う概略断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態におけるフライングディクスの変形例2の概略断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの変形例3の概略断面図である。
【図9】本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの変形例4の概略断面図である。
【図10】本発明例1を模式的に示す断面図である。
【図11】本発明例2および比較例1を模式的に示す断面図である。
【図12】比較例2〜比較例4を模式的に示す断面図である。
【図13】本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの変形例5の概略断面図である。
【図14】本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの変形例6の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
最初に本発明の一実施の形態のフライングディスクの構成について説明する。
【0022】
図1および図2を参照して、本発明の一実施の形態のフライングディスクは、全体として円盤形状を有している。フライングディクスの中央には、第1環状部10に囲まれた空間1が設けられている。使用者はこの空間1に指を挿入してフライングディスクを投げることができるため、フライングディスクの投げ易さを向上できる。また、この空間1に指を挿入してフライングディスクを捕ることができるため、フライングディスクの捕り易さを向上できる。フライングディスクの寸法としては、たとえば外径が250mm、内径が120mm、厚さが15mm以上35mm以下とされ得る。
【0023】
フライングディスクは第1環状部10の外周部で規定される縁部2を有している。なお、フライングディスクには空気等の気体を注入可能な弁3が設けられていてもよい。これにより、フライングディスクを使用する際に空気等の気体を注入し、使用しない際には空気等の気体を抜くことができる。このため、フライングディスクが収納しやすくなる。
【0024】
続いて、図3および図4を参照して、フライングディスクの構成についてさらに詳しく説明する。フライングディスクは、第1環状部10と、第2環状部20と、ウェイト部30とを主に有している。
【0025】
第1環状部10は、可撓性を有する樹脂シートで形成されている。第1環状部10はフライングディスクを底面側から見て環状に形成されている。第1環状部10は、可撓性を有する樹脂シートで囲まれた内部空間12を有している。内部空間12は第1環状部10の内壁面によって規定されている。内部空間12内に第2環状部20およびウェイト部30が配置されている。第1環状部10は、第2環状部20およびウェイト部30を保護するように構成されている。第1環状部10は、第2環状部20およびウェイト部30が直接人体などに接触しないように形成されている。第1環状部10の径方向Dの断面形状は、長円に形成されている。つまり、第1環状部10は扁平形状を有している。第1環状部10は、第1環状部10の外周端13に向かって厚みが薄くなるように形成されている。
【0026】
第2環状部20は、可撓性を有する樹脂シートで形成されている。第2環状部20は、内部空間12に配置されている。第2環状部20は、第1環状部10の径方向Dの中央付近に配置されていてもよい。なお、第2環状部20は、第1環状部10の径方向Dの真ん中に配置されていなくてもよい。第2環状部20は、第1環状部10に沿って延在している。第2環状部20は気体を注入した状態で密閉可能に構成されている。第2環状部20は内部領域21に空気等の気体を密閉した状態で保持可能に構成されている。第2環状部20は、第1環状部10の形状を保持することによってフライングディスクの形状を保持するように構成されている。第2環状部20の高さによって第1環状部10の高さが保持されている。第2環状部20は、空気等の気体が注入された状態で密閉されているため弾性変形でき、フライングディスクが人体などに接触した際の人体などへの衝撃力を緩和することができる。第2環状部20の内部には弁3から空気等の気体が注入されてもよい。第2環状部20の径方向Dの断面形状は円形に形成されている。なお、円形は真円の形状に限定されない。
【0027】
ウェイト部30は、可撓性を有する樹脂で形成されている。ウェイト部30は内部空間12を規定する第1環状部10の内壁面と第2環状部20との間に配置されている。ウェイト部30によってフライングディスクの慣性力が大きくなり得る。ウェイト部30は、径方向Dにおいて第2環状部20の外周側に配置されている。ウェイト部30が第2環状部20の外周側に配置されていることによって、フライングディスクが進行方向Fで人体に接触した際、ウェイト部によって衝撃力が緩和される。つまり、ウェイト部がバンパーとして機能する。このため、第2環状部20が損傷することを抑制できる。なお、ウェイト部30は、径方向Dにおいて第2環状部20の内周側に配置されていてもよい。ウェイト部30は環状に配置されている。
【0028】
なお、ウェイト部30は連続的に配置されていてもよく、断続的に配置されていてもよい。ウェイト部30はフライングディスクの図心を維持するように配置されていることが好ましい。これにより、フライングディスクの飛行姿勢が安定され得る。ウェイト部30は第1環状部10および第2環状部20に接着剤などによって固着されることなく内部空間12に配置されている。ウェイト部30は、飛行時に遠心力によって外周側に力を受けた状態で第1環状部10の内側に接することで位置が定まるため、第1環状部10および第2環状部20に固着されていなくてもよい。なお、ウェイト部30は第1環状部10および第2環状部20の少なくともいずれかに接着剤などによって固着されていてもよい。また、ウェイト部30は中空形状を有している。つまり、ウェイト部30は、中空領域31を有している。ウェイト部30は管状に形成されている。
【0029】
第1環状部10および第2環状部20を構成する可撓性を有する樹脂シートは、ポリウレタンを含んでいてもよい。ウェイト部30もポリウレタンを含んでいてもよい。つまり、樹脂シートおよび樹脂の少なくともいずれかは、ポリウレタンを含んでいてもよい。
【0030】
図5および図6を参照して、フライングディスクはカバー部40を有していてもよい。図5および図6に示すように本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの変形例1では、カバー部40は可撓性を有する樹脂シートで形成されている。カバー部40は第1環状部の一方面11側を覆うように設けられている。カバー部40はフライングディスクの上面側に設けられている。カバー部40は縁部2で第1環状部10と接着されていてもよい。カバー部40は円形に形成されている。カバー部40は滑空面を主に構成している。カバー部40は飛行時に飛行姿勢を安定させる機能を有している。カバー部40を構成する可撓性を有する樹脂シートは、ポリウレタンを含んでいてもよい。
【0031】
図7を参照して、ウェイト部30は中実に形成されていてもよい。図7に示すように本発明の一実施の形態におけるフライングディクスの変形例2では、ウェイト部30を中実に形成することによって、ウェイト部30が管状に形成されている場合と比べてウェイト部30の質量を大きくすることができる。
【0032】
図8を参照して、第1環状部10の径方向Dの断面形状は中央部が略直線で両端部が半円の形状(トラック形状)を有していてもよい。図8に示すように本発明の一実施の形態におけるフライングディクスの変形例3では、第1環状部10の厚みを薄くすることによって、フライングディスクの空気抵抗を低減することができる。
【0033】
図9を参照して、第1環状部10の径方向Dの外周端13は尖るように形成されていてもよい。図9に示すように本発明の一実施の形態におけるフライングディクスの変形例4では、第1環状部10の径方向Dの外周端13を尖るように形成することで、進行方向Fに対する外周端13の角度を小さくすることができる。このため、第1環状部10の外周端13から第1環状部10の外形に沿って空気を流れやすくすることができる。
【0034】
図13を参照して、第2環状部20は中実に形成されていてもよい。図13に示すように本発明の一実施の形態におけるフライングディスクの変形例5では、第2環状部20は樹脂で形成されている。樹脂にはたとえばポリウレタンを用いることができる。また、第2環状部20は中実に形成されていても良いし、フライングディスクが重くならないように軽量発泡樹脂を用いてもよい。第2環状部20は、第2環状部20の内部に密閉された空気等の気体の圧力により形状を維持していないため、第2環状部20の外表面が破損しても空気等が漏れることで第2環状部20の形状が崩れることはない。つまり、第2環状部20はその形状を保持することができる。
【0035】
図14を参照して、第2環状部20だけでなくウェイト部30も中実に形成されていてもよい。図14に示すように本発明の一実施の形態におけるフライングディクスの変形例6では、第2環状部20およびウェイト部30を中実に形成することによって、第2環状部20の形状を保持し易くするとともにウェイト部30の質量を大きくすることができる。
【0036】
次に、本発明の一実施の形態のフライングディスクの作用効果について説明する。
本発明のフライングディスクでは、該フライングディスクの外形を規定する第1環状部10が可撓性を有する樹脂シートで構成され、かつ第1環状部10の内部空間12に配置される第2環状部20やウェイト部30も、可撓性を有する樹脂シートあるいは樹脂で構成されるので、フライングディスクが人体に接触した際に、フライングディスクを容易に変形させることができる。このため、フライングディスクから人体への衝撃力を緩和することができ、フライングディスクが接触した者が痛みを感じたり、怪我をすることを効果的に抑制することができる。これにより、人体に接触した際のフライングディスクの安全性を高めることができる。
【0037】
また、気体を注入した状態で密閉可能な第2環状部20、または可撓性を有する樹脂で形成される第2環状部20が第1環状部10の内部空間12に配置されるので、第1環状部10によって第2環状部20を保護することができる。そのため、第1環状部10が破損したとしても、第2環状部20内に気体を密封した状態を維持することができ、あるいは第2環状部20を構成する樹脂の破損を抑制できるのでフライングディスクの形状を保持することができる。これにより、フライングディスクの外形を規定する第1環状部10が破損してもフライングディスクを正常に使用することができる。
【0038】
また、第1環状部10の内部空間12においてウェイト部30が配置されているため、フライングディスクの慣性力を大きくすることができる。これにより、フライングディスクの飛距離を長くすることができる。
【0039】
本発明の一実施の形態のフライングディスクによれば、可撓性を有する樹脂シートで形成されたカバー部40は、第1環状部10の一方面11側を覆うように設けられている。発明者等は、フライングディスクの両面側にカバー部40が設けられている場合と比較して、フライングディスクの一方面11側にカバー部40が設けられている場合に飛行姿勢が安定することを見出した。本発明の一実施の形態のフライングディスクでは、カバー部40が第1環状部10の一方面11側を覆うように設けられているため、フライングディスクの飛行姿勢を安定させることができる。
【0040】
本発明の一実施の形態のフライングディスクによれば、第1環状部10の径方向Dの断面形状は概ね長円であるため、進行方向Fに向かって、第1環状部10の厚みを薄くすることができる。これにより、フライングディスクの空気抵抗を低減することができる。このことも、フライングディスクの飛距離を長くすることに寄与し得る。また、長円の外形に沿って、第1環状部10の外周端13に向かって第1環状部10の厚みを薄くすることができる。これにより、進行方向Fと反対側に長円の外形に沿って空気を流すことによってフライングディスクの空気抵抗を低減することができる。
【0041】
本発明の一実施の形態のフライングディスクによれば、第2環状部20の径方向Dの断面形状は概ね円形である。第2環状部20の高さによって第1環状部10の高さが保持される。また、第2環状部20の径方向Dの断面形状が円形であるため、第2環状部20が第1環状部10の内部空間12の径方向Dの中央に位置しやすい。これにより、第1環状部10の形状を安定させることができる。
【0042】
本発明の一実施の形態のフライングディスクによれば、ウェイト部30が環状に配置されているため、ウェイト部30による慣性力をフライングディスクの周方向に均等に作用させることができる。したがって、フライングディスクの慣性力が安定する。このことも、フライングディスクの飛距離を長くすることに寄与し得る。また、フライングディスクの飛行姿勢を安定させることもできる。
【0043】
本発明の一実施の形態のフライングディスクによれば、ウェイト部30が第1環状部10および第2環状部20に固着されることなく内部空間12に配置されている。このため、ウェイト部30を固着する作業が必要ない。これにより、生産性を向上することができる。
【0044】
本発明の一実施の形態のフライングディスクによれば、ウェイト部30は中空形状を有しているため、ウェイト部30を変形しやすくすることができる。これにより、フライングディスクが人体に接触した際にウェイト部30を変形させることができ、さらに接触時の衝撃力を緩和することができる。
【0045】
本発明の一実施の形態のフライングディスクによれば、樹脂シートおよび樹脂の少なくともいずれかは、ポリウレタンを含む。ポリウレタンは可撓性が高いため、フライングディスクが人体に接触した際にポリウレタンによって衝撃力を緩和することができる。
【実施例】
【0046】
以下、本発明の実施例について説明する。
本発明の実施例および比較例のフライングディスクを作成した。そして、本発明の実施例および比較例のフライングディスクを試験者が投げて、飛距離および飛行姿勢を測定した。
【0047】
本発明の実施例として、本発明例1および本発明例2を作成した。試験者は、本発明例1および本発明例2をそれぞれ5回ずつ投げた。以下の本発明例1および本発明例2の飛距離は5回投げた計測値の平均値である。
【0048】
本発明例1として、図1〜図4に示す形状を有するフライングディスクを作成した。本発明例1では、第1環状部と、第2環状部と、ウェイト部とをポリウレタンで作成した。本発明例1では、外径は245mmであり、高さは25mmであり、重さは58gであった。本発明例1の飛距離は、29.5mであった。本発明例1の飛行姿勢は安定した。本発明例1の飛行姿勢はフライングディスクが横になる状態を保った。
【0049】
本発明例2として、図5および図6に示す形状を有するフライングディスクを作成した。本発明例2では、第1環状部と、第2環状部と、ウェイト部と、カバー部とをポリウレタンで作成した。本発明例2では、外径は245mmであり、高さは25mmであり、重さは70gであった。本発明例2の飛距離は、31.9mであった。本発明例2の飛行姿勢は最も安定した。本発明例2の飛行姿勢はフライングディスクが横になる状態を保った。
【0050】
比較例1として、第2環状部およびウェイト部を有さず、カバー部を有し、第1環状部の径方向の断面形状が丸型(円型)のフライングディスクを作成した。比較例1では、第1環状部と、カバー部とをポリウレタンで作成した。比較例1では、外径は230mmであり、高さは40mmであり、重さは30.5gであった。比較例1の飛距離は、2回計測した結果、13.5mと16.5mとであった。比較例1の飛行姿勢は安定した。比較例1の飛行姿勢はフライングディスクが横になる状態を保った。
【0051】
比較例2として、第2環状部およびウェイト部を有さず、第1環状部の径方向の断面形状が丸型であり、カバー部が一方面側および他方面側に設けられたフライングディスクを作成した。比較例2では、カバー部と第1環状部とをポリウレタンで作成した。比較例2では、外径は230mmであり、高さは40mmであり、重さは48.5gであった。比較例2の飛距離は、2回計測した結果、13.0mと20.0mとであった。比較例2の飛行姿勢は不安定であった。比較例2の飛行姿勢はフライングディスクが縦になり易かった。
【0052】
比較例3として、第2環状部およびウェイト部を有さず、第1環状部の径方向の断面形状が丸型であり、一方面側および他方面側に設けられたカバー部の中央部が溶着されたフライングディスクを作成した。比較例3では、カバー部と第1環状部とをポリウレタンで作成した。比較例3では、外径は230mmであり、高さは40mmであり、重さは40.5gであった。比較例3の飛距離は、2回計測した結果、13.5mと16.6mとであった。比較例3の飛行姿勢は不安定であった。比較例3の飛行姿勢はフライングディスクが縦になり易かった。
【0053】
比較例4として、第1環状部、第2環状部およびウェイト部を有し、カバー部が一方面側および他方面側に設けられたフライングディスクを作成した。比較例4では、第1環状部と、第2環状部と、ウェイト部と、カバー部とをポリウレタンで作成した。比較例4では、外径は245mmであり、高さは25mmであり、重さは82gであった。試験者が比較例4を5回投げた。飛距離の計測値の平均値は、28.8mであった。比較例4は飛行姿勢が不安定であった。比較例4は飛行姿勢が縦になり易かった。
【0054】
本発明例1および本発明例2と比較例1〜比較例3とを比較して、本発明例1および本発明例2の飛距離は比較例1〜比較例3の飛距離より大幅に長くなった。この理由は本発明例1および本発明例2ではウェイト部によって慣性力が大きくなったため飛距離が長くなったからと考えられる。別の理由は本発明例1および本発明例2では第1環状部の径方向の断面形状が長円であるためフライングディスクの空気抵抗を低減することができたからと考えられる。また、本発明例1および本発明例2の飛距離は比較例4の飛距離より長くなった。この理由は本発明例1および本発明例2では飛行姿勢が安定したため空気抵抗を低減することができたからと考えられる。
【0055】
また、本発明例1、本発明例2および比較例1の飛行姿勢は安定し、フライングディスクが横になる状態を保った。本発明例2の飛行姿勢は最も安定した。一方、比較例2〜比較例4の飛行姿勢は不安定であり、フライングディスクは縦になりやすかった。この理由は、図10〜図12を参照して、次のように考えられる。図10〜図12は、実施例および比較例のフライングディスクを模式的に示す断面図である。
【0056】
図10を参照して、本発明例1は第1環状部で風を受けるため、第1環状部に図中矢印で示すように上方向に風圧の作用点L1と風圧の作用点L2とが作用する。フライングディスクの重心(重力の作用点)gと風圧の作用点L1とはフライングディスクを右回転させるが、重心gと風圧の作用点L2とはフライングディスクを左回転させる。したがって、風圧の作用点L1と風圧の作用点L2とが相殺するためフライングディスクの姿勢は大きく乱れない。
【0057】
図11を参照して、本発明例2および比較例1は第1環状部およびカバー部で風を受けるため、第1環状部に図中矢印で示すように上方向に風圧の作用点L1と風圧の作用点L2とが作用するとともにカバー部に図中矢印で示すように上方向に風圧の作用点L3が作用する。さらに、カバー部には揚力Liも生じる。風圧の作用点L3の影響は大きいためフライングディスクは傾こうとする。しかし、揚力Liと重心gとによって復元力が生じる。このため、飛行姿勢が安定する。なお、揚力Liによって飛距離も伸びると考えられる。
【0058】
図12を参照して、比較例2〜比較例4はカバー部全体で風を受けるため、カバー部に図中矢印で示すように上方向に風圧の作用点L4が作用する。しかし、風圧は均一ではないため、フライングディスクの重心と風圧中心とはずれる。重心gと風圧の作用点L4とはフライングディスクを回転させようとする。上面側と下面側のカバー部の長さが略等しいため、カバー部に生じる揚力は非常に小さくなる。このため、復元力が働かず、フライングディスクは直立する。
【0059】
以上より、ウェイト部を設けることによってフライングディスクの飛距離が長くなることがわかった。第1環状部の径方向の断面形状を長円にすることでフライングディスクの飛距離が長くなることがわかった。
【0060】
カバー部が一方面側のみに設けられていることによってフライングディスクの飛行姿勢が安定することを見出した。これより、フライングディスクの径方向の断面視において中心線に対して非対称にフライングディスクが構成されているこによって、飛行姿勢が安定することを見出した。
【0061】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、空気等の気体を注入した状態で使用可能なフライングディスクに特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0063】
1 空間、2 縁部、3 弁、10 第1環状部、11 一方面、12 内部空間、13 外周端、20 第2環状部、21 内部領域、30 ウェイト部、31 中空領域、40 カバー部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する樹脂シートで形成され、内部空間を有する第1環状部と、
可撓性を有する樹脂シートで形成され、前記内部空間に配置され、前記第1環状部に沿って延在し、気体を注入した状態で密閉可能な第2環状部と、
可撓性を有する樹脂で形成され、前記内部空間を規定する前記第1環状部の内壁面と前記第2環状部との間に配置されたウェイト部とを備えた、フライングディスク。
【請求項2】
可撓性を有する樹脂シートで形成され、内部空間を有する第1環状部と、
可撓性を有する樹脂で形成され、前記内部空間に配置され、前記第1環状部に沿って延在する第2環状部と、
可撓性を有する樹脂で形成され、前記内部空間を規定する前記第1環状部の内壁面と前記第2環状部との間に配置されたウェイト部とを備えた、フライングディスク。
【請求項3】
可撓性を有する樹脂シートで形成されたカバー部をさらに備え、
前記カバー部は、前記第1環状部の一方面側を覆うように設けられている、請求項1または2に記載のフライングディスク。
【請求項4】
前記第1環状部の前記径方向の断面形状は長円である、請求項1〜3のいずれかに記載のフライングディスク。
【請求項5】
前記第2環状部の前記径方向の断面形状は円形である、請求項1〜4のいずれかに記載のフライングディスク。
【請求項6】
前記ウェイト部が環状に配置されている、請求項1〜5のいずれかに記載のフライングディスク。
【請求項7】
前記ウェイト部は、前記第1環状部および前記第2環状部に固着されることなく前記内部空間に配置されている、請求項6に記載のフライングディスク。
【請求項8】
前記ウェイト部は中空形状を有している、請求項1〜7のいずれかに記載のフライングディスク。
【請求項9】
前記樹脂シートおよび前記樹脂の少なくともいずれかは、ポリウレタンを含む、請求項1〜8のいずれかに記載のフライングディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−63260(P2013−63260A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−184294(P2012−184294)
【出願日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)