説明

フライング・ディスク

【課題】乳幼児の発育補助、高齢者の機能回復に適した道具を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂又は熱可塑性弾性樹脂を原料又は主原料とする三次元網状構造体であり、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱溶着する複数の中実連続線条から構成される三次元網状構造を備えるスプリング構造体であり、三次元網状構造体は、嵩密度0.03〜0.4g/cm3、半径mm〜m、半径8cm〜20cm、厚み15mm〜150mm、連続線条の線径0.1〜4mmに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乳幼児の発育補助、高齢者の機能回復に適したフライング・ディスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、子供の体力、運動能力が低下傾向にあるとの報告がされている。その原因としては、外遊びやスポーツをする時間の減少や、交通手段の発達による歩く機会が減ったことが挙げられる。幼児期は、歩く、跳ぶ、投げる、つかまるといった基本動作の発達が著しく、運動能力が大きく向上する。幼児期の運動能力を向上させることは、青少年の運動能力を向上させることにもつながる。また、高齢者においても、運動不足によって心身機能や生活機能が低下するといった問題が挙げられる。老化に伴う心身機能や生活機能の低下が進行すれば、いずれは介護が必要となる。そうならないためにも、身体活動を増やすことで健康を改善し、自立性を高めていくことが必要である。
【0003】
運動能力の低下や運動不足を解決するための運動の一つにフライング・ディスクがある。このフライング・ディスクは、フリスビー(登録商標)の名で知られており、それを投げて遊んだり、投げるテクニックや飛距離を競う競技も行われている。
【0004】
特許文献1のように外側リムと内側に設けた円形エーロフォイルが設けられたもの、特許文献2に示すように円盤形状で硬質プラスチックであるものが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特表2004−538111号公報
【特許文献2】特開平9−201439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のフライング・ディスクでは運動に適していても、従来の製品は硬さがある、飛距離が出すぎる、方向が定めにくく相手に向けて投げづらい、人に当たると痛いといった種々の問題がある。また、フライング・ディスクを投げる運動は幼児や高齢者には向かなかった。そのような製品では、運動を持続することが難しく、継続的な運動が達成できないことから、幼児の発育補助や高齢者の機能回復等に貢献できない。
上記に鑑み、本発明は、適度な硬さと飛距離を持ち、方向が定めやすいフライング・ディスクを提供することで、幼児や高齢者等の継続的な運動を促進し、発育補助や機能回復等に貢献することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、適度な硬さと飛距離で、方向が定めやすいなどの特徴があるものであり、ループ状にランダムに絡まり合い部分的に熱溶着する連続線条から構成されるスプリング構造を備える三次元網状構造体でなり、該三次元網状構造体の嵩密度0.03〜0.4g/cm3、連続線条の線径0.1〜4mmに設定したフライング・ディスクである。また、本発明は、スプリング構造部に穴を空けドーナツ状にすることで、輪投げのような特典獲得によるゲーム性を持たせることで、腕だけでなく頭も使うことができ、より継続力の上がることにより、一層、発育補助や機能回復等に適していると言える。
【0008】
フライング・ディスクの形状は円形が好ましいが、長円形等の他の形状でもよい。原料は主がバージンの熱可塑性樹脂、リサイクル原料も使用可能であり、顔料、抗菌剤などを混合してもよい。
【0009】
フライング・ディスクの構造は、主に、円形にして、連続線条の端部を解けないようにするため3種類がある。1.端部を融着させる 2.三次元網状構造体の全表面又は一部表面(たとえば側面部の周囲)にカバーをかける 3、樹脂などで三次元網状構造体にコーティングする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、一般人、幼児、高齢者等の発育・発達、運動能力の向上に不可欠な投げる運動を促進することができる。高齢者においては、フライング・ディスクをなげるという適度な運動を継続することで、骨密度の低下を防ぎ、けがの可能性を低減でき、高齢者の機能回復にも役立つと考えられる。フライング・ディスクが人に当たった時の衝撃が少なく安全性が高くなる。さらに短い距離でも遊ぶことができる。また、スプリング構造部に穴を空けドーナツ状にすることで、輪投げのような使い方をして得点を計算することで、脳の発達や機能回復を促すこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】フライング・ディスク1の斜視図である。
【図2】フライング・ディスク1の断面図である。
【図3】フライング・ディスク1の変形例の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明実施形態のフライング・ディスク1について図面を参照して説明する。このフライング・ディスク1は、図1、図2に示す通り、熱可塑性樹脂又は熱可塑性弾性樹脂を原料又は主原料とする三次元網状構造体であり、押し出し成形によってループ状に無秩序に絡まり合い部分的に熱融着する複数の中実連続線条から構成されるスプリング構造を備える三次元網状構造体2と、この三次元網状構造体2の側面外周部を覆うカバー3と、を備えたものである。カバー3は布製、樹脂製等の柔軟性のある材質が好ましい。中実連続線条に代えて中空連続線条としてもよい。中空連続線条の場合、連続線条の端部は開端されていてもよいし、或いは、端部がそれぞれ閉塞され、大気圧を超える圧力の空気が中空連続線条の中空部に封入されてもよい。中空部には空気に代えて、液体(例えば、ゲル等)を封入してもよい。
【0013】
熱可塑性樹脂である原料又は主原料は、PETボトル等のフレーク状又はチップ状を使用する。PETボトルをそのまま粉砕しそれを溶融させてフレーク形状にしたものである。再生以外の熱可塑性樹脂等においても適用可能である。例えば、熱可塑性樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロン66などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、上記樹脂をベースとし共重合したコポリマーやエラストマー、上記樹脂をブレンドしたもの等が挙げられる。酢酸ビニール樹脂、ゴムを混合したポリエチレン樹脂が好適である。また、原料を熱可塑性ウレタンとすれば、低反発で弾力性を保持できる。
【0014】
三次元網状構造体2は、嵩密度0.03〜0.4g/cm3、連続線条の線径(直径)0.1〜4mmに設定してある。連続線条の線径(直径)0.5〜1mmが特に好ましい。三次元網状構造体2の半径8cm〜20cm、特に、半径8cm〜14cmが好ましく、厚み10mm〜150mm、特に、15mm〜40mmが好ましい。
【0015】
三次元網状構造体2の形状は、円盤形状である。上面と底面は概ね平行であり、側面は概ね円形である。形状は用途に合わせて適宜変更できる。
【0016】
図3に示す通り、三次元網状構造体2に穴4を空けドーナツ状にしたものがある。ここでは穴4は円形である。
【0017】
中空連続線条の端部が開端する場合には、内部は大気圧である。フライング・ディスク1の三次元網状構造体が中空線条の場合、中空率は30〜95%が好ましい。また、中空連続線条に空気が封入されるように中空線条の端部を閉じてもよい。
【0018】
三次元網状構造体2を繰り返し上下方向から圧縮した場合の反発力の範囲は、5g/cm2〜300g/cm2、好ましくは、30g/cm2〜100g/cm2である。
【0019】
前記反発力の測定には、株式会社イマダの繰り返し圧縮試験機である縦型電動スタンドMX2-1000Nを用いた。最大荷重値:1000N(約100kgf)、ストローク:380mm、動作速度:10〜300mm/min、電源:AC100〜240V、機能:非常停止スイッチ、上下限ストロークリミット(EMXは上中下限)、速度デジタル設定、カウンター、タイマーを備え、本体重量:約19Kgである。圧縮機で網状構造体を繰り返し圧縮して反発力を圧力センサで測定した。圧縮は、三次元網状構造体2の表面より10mm押した位置とした。
【0020】
本実施形態のフライング・ディスク1によれば、幼児の発育・発達、運動能力の向上に不可欠な投げる運動を促進することができる。高齢者においては、フライング・ディスク1をなげるという適度な運動を継続することで、骨密度の低下を防ぎ、けがの可能性を低減でき、高齢者の機能回復にも役立つと考えられる。フライング・ディスク1が人に当たった時の衝撃が少なく安全性が高くなる。さらに短い距離でも遊ぶことができる。また、スプリング構造部2に穴4を空けドーナツ状にすることで、輪投げのような使い方をして得点を計算することで、脳の発達や機能回復を促すこともできる。
【0021】
本実施形態のフライング・ディスク1の製造方法を説明する。本実施形態のフライング・ディスク1の製造方法は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性弾性樹脂を原料又は主原料とし、熱可塑性樹脂を中実連続線条2の多数を下向きノズルより、紡出させ、垂下させて水没させ、水没の際、それぞれの中実連続線条2同士をループ状にランダムに熱融着させ、冷却固化させ、円形に切断して三次元網状構造体2を製造する。三次元網状構造体2の側面外周部をカバー3で覆い、フライング・ディスク1を製造する。製造方法は、特公昭50−39185号公報、特開昭55−17527号公報、特開昭58−149362号公報、特開平1−207463号公報、特開平1−314771号公報等に記載されているので、説明は援用する。
【0022】
また、連続線状が中空線状(管)の場合、その端部が開端された中空連続線状を製造することが好ましい。
【0023】
連続線条2の端部を解けないようにするため、カバー3に代えて、又は、カバーとともに、三次元網状構造体2の切断された端部を融着させてもよい。また、樹脂などで三次元網状構造体2の切断端部にコーティングをしてもよい。
【0024】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改良、変更、追加等を加えることができる。それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のフライング・ディスクによれば、幼児の発育・発達、運動能力の向上に不可欠な投げる運動を促進することができる。
できる。
【符号の説明】
【0026】
1・・・フライング・ディスク 2・・・三次元網状構造体 3・・・カバー
4・・・穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状にランダムに絡まり合い部分的に熱溶着する連続線条から構成されるスプリング構造を備える三次元網状構造体を備え、該三次元網状構造体の嵩密度0.03〜0.4g/cm3、線径0.1〜4mmに設定したフライング・ディスク。
【請求項2】
前記三次元網状構造体に穴を空けドーナツ状にした請求項1のフライング・ディスク。
【請求項3】
前記三次元網状構造体に繰り返し荷重を加えた場合の反発力は、5g/cm2〜300g/cm2、好ましくは、30g/cm2〜100g/cm2である請求項1又は2のフライング・ディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−56172(P2011−56172A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211929(P2009−211929)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(300054206)株式会社シーエンジ (15)
【出願人】(509257916)
【出願人】(509257927)
【出願人】(509257938)
【復代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘