説明

フラップ開放装置

【課題】箱を搬送しながらそのフラップを開けることができる開放装置を提供する。
【解決手段】開放装置は、外フラップに繋がった側面が搬送方向に沿うように箱を搬送する搬送機構22と、箱10の2つの外フラップを開く外フラップ開放機構と、後方側の内フラップ12bを開放する第1内フラップ開放機構40と、前方側の内フラップ12aを開放する第2内フラップ開放機構50とを備える。第1内フラップ開放機構40は、後方側の内フラップ12bに引っ掛けられる第1鉤部42aを有するアーム42を含む。アーム42は、搬送機構の上方において搬送方向に沿って回動するように配置され、後方側の内フラップ12bは、第1鉤部42aが引っ掛けられた状態で搬送機構22によって搬送されることによって後方側に開かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱のフラップを開ける開放装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料製品等が充填された容器は、箱で包装されて出荷されうる。このような製品を製造する工場への箱の納入形態には、展開された平面状態で納入する形態と、空の容器を包装して仮封止した状態で納入する形態とがある。
【0003】
後者の納入形態では、典型的には、工場に納入された箱を開封して、箱から空の容器を取り出して、これを検査、洗浄した後に飲料製品等を充填し、その後に再び箱内に詰めて出荷する。このような箱は、レシッパー箱と呼ばれうる。
【特許文献1】特開平9−124017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料製品等を容器に充填する工場では、レシッパー箱が納入されると、その箱から空の容器を取り出す必要があり、そのためには、箱のフラップを開放する必要がある。この開放作業を人手で行おうとすると、著しく工数がかかり、また、作業者は、箱の端部等で手を切るなど、負傷をする可能性がある。
【0005】
そこで、箱のフラップの開放作業を自動化したいとの要求があるが、省スペースの装置で開放作業のスループットを高めようとすると、多数の箱を連続的に搬送しながらフラップを開放するための構成が必要になる。箱を一時的に停止させてフラップを開放する装置では、スループットを高めようとすると、複数個の箱について開放作業を並列して行う必要があるためにフットプリントの大型化は避けられない。
【0006】
本発明は、上記の要求を契機としてなされたものであり、箱を搬送しながらそのフラップを開けることができる開放装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開放装置は、対向する2つの内フラップと、対向する2つの外フラップと、4つの側面と、底面とを有する箱の各フラップを開く開放装置に関するもので、外フラップに繋がった側面が搬送方向に沿うように箱を搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの外フラップを開く外フラップ開放機構と、前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの内フラップのうち後方側の内フラップを開く第1内フラップ開放機構と、前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの内フラップのうち前方側の内フラップを開く第2内フラップ開放機構とを備える。
【0008】
前記第1内フラップ開放機構は、前記搬送機構によって搬送されている箱の後方側の内フラップに引っ掛けられる第1鉤部を有するアームを含みうる。前記アームは、前記搬送機構の上方において搬送方向に沿って回動するように配置されうる。前記後方側の内フラップは、前記第1鉤部が引っ掛けられた状態で前記搬送機構によって搬送されることによって後方側に開かれうる。
【0009】
前記第2内フラップ開放機構は、前記搬送機構によって搬送されている箱の前方側の内フラップに引っ掛けられる第2鉤部を有する操作部材と、前記操作部材を駆動するアクチュエータとを含みうる。前記前方側のフラップは、前記アクチュエータによって前記操作部材が駆動されて前記第2鉤部が引っ掛けて引かれることによって前方側に開かれうる。
【0010】
前記開放装置は、前記搬送機構によって搬送されている箱を検知するセンサを更に備えることが好ましく、この場合、前記アクチュエータは、前記センサによる箱の検知に応じて前記操作部材を駆動するように構成されうる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の開放装置によれば、箱を搬送しながらそのフラップを開けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の好適な実施形態の開放装置の構成を模式的に示す平面図である。本発明の好適な実施形態の開放装置100は、箱10の4つのフラップを開くように構成されている。箱10は、典型的には、レシッパー箱である。箱10は、図2に例示的に示すように、対向する2つの内フラップ12a、12bと、対向する2つの外フラップ14a、14bと、フラップ12a、12b、14a、14bにそれぞれ繋がった4つの側面15a、15b、16a、16bと、底面17とを有する。開放装置100は、搬送機構20と、外フラップ開放機構30と、第1内フラップ開放機構40と、第2内フラップ開放機構50とを備える。
【0014】
搬送機構20は、外フラップ14a、14bに繋がった側面16a、16bが搬送方向に沿うように箱10を搬送する。搬送機構20は、例えば、箱10の下方を支持しながら搬送する第1コンベア(例えば、ローラーコンベア、ベルトコンベア等)22と、箱10を側方から挟んで搬送する第2コンベア(例えば、ローラーコンベア、ベルトコンベア等)24とを含みうる。ここで、第2コンベア24は、必ずしも必要ではない。しかしながら、外フラップ開放機構30、第1内フラップ開放機構40及び第2内フラップ開放機構50によるフラップの開放の際に箱10の移動に抵抗が生じるので、より確実に箱10を搬送するためには、搬送機構20は、第2コンベア24を含んで構成されることが好ましい。
【0015】
図2は、外フラップ開放機構30の構成を示す斜視図である。なお、図2において、搬送機構20は省略されている。外フラップ開放機構30は、箱10の外フラップ14a、14bを開くように構成されている。外フラップ14a、14bを開くための駆動力は、この実施形態では、搬送機構20によって箱10を搬送する力である。
【0016】
外フラップ開放機構30は、挿入部材32と、外フラップガイド34とを含んで構成されうる。挿入部材32は、搬送機構20によって箱10が搬送されることによって外フラップ14a、14bと内フラップ12aとの間に挿入されるように構成されうる。外フラップガイド34は、外フラップ14a、14bと内フラップ12aとの間に挿入部材32が挿入されることによって開いた外フラップ14a、14bをその状態に維持するように構成されうる。
【0017】
開放装置100は、箱10の仮封止のために外フラップ14a、14bを連結しているシール或いはテープを切断するカッター36を備えることが好ましい。カッター36は、例えば、挿入部材32に設けられうる。
【0018】
第1内フラップ開放機構40は、搬送機構20によって搬送されている箱10の2つの内フラップ12a、12bのうち後方側の内フラップ12bを開放するように構成されている。第2内フラップ開放機構50は、搬送機構20によって搬送されている箱10の2つの内フラップ12a、12bのうち前方側の内フラップ12aを開放するように構成されている。
【0019】
以下、図3〜図8を参照しながら内フラップ開放機構40、50の構成及び動作を説明する。なお、図3〜図8において、第2コンベア24及び箱10の外フラップ14a、14bは、省略されている。
【0020】
第1内フラップ開放機構40は、搬送機構20によって搬送されている箱の後方側の内フラップ12bに引っ掛けられる第1鉤部42aを有するアーム42を含む。アーム42は、搬送機構20或いは搬送路の上方において搬送方向に沿って回動するように配置されている。より具体的には、アーム42は、搬送機構20による搬送方向にほぼ直交するようにほぼ水平に配置された軸44の周りで回動するように構成されている。
【0021】
搬送機構20によって搬送されてくる箱10は、図3に例示的に示すように、進行方向における前方側の側面15aの上部が第1鉤部42aの先端に当ってこれを押す。すると、アーム42は、搬送方向側に回動し、次いで、図4に例示的に示すように、この段階で箱10の最上面を構成している前方側の内フラップ12a上に載る(この段階では、既に外フラップ開放機構30によって外フラップ14a、14bが開かれている)。
【0022】
搬送機構20による搬送にともなって箱10が更に移動すると、第1鉤部42aは、図5に例示的に示すように、前方側の内フラップ12aと後方側の内フラップ12bとの間に落ちるように搬送方向の逆方向に回動する。
【0023】
更に、搬送機構20による搬送にともなって箱10が移動すると、第1鉤部42aは、図6、図7に例示的に示すように、後方側の内フラップ12bに引っ掛かりながら、その内フラップ12bを外側に開かせる。
【0024】
搬送機構20による搬送にともなって箱10が更に移動すると、図8に例示的に示すように、後方側のフラップ12bへの第1鉤部42aの引っ掛かりが解除される。
【0025】
以上のような構成の第1フラップ開放機構40によれば、例えば、箱10の搬送以外には無動力で後方側の内フラップ12bを開くことができる。しかも、アーム42は、箱10の移動に伴って自動で第1鉤部42aを内フラップ12bに引っ掛かって内フラップ12bを開く。
【0026】
一方、第1内フラップ開放機構40による後方側の内フラップ12bの開放に並行して、又は、その前、又は、後に、第2フラップ開放機構50によって前方側の内フラップ12aが開放される。この実施形態では、第1内フラップ開放機構40による後方側の内フラップ12bの開放動作にやや遅れて前方側の内フラップ12aの開放動作が実行される。
【0027】
第2内フラップ開放機構50は、搬送機構20によって搬送されている箱10の前方側の内フラップ12aに引っ掛けられる第2鉤部52aを有する操作部材(操作ロッド)52と、操作部材52を駆動するアクチュエータ(例えば、エアーシリンダ)54とを含む。前方側のフラップ12aは、アクチュエータ54によって操作部材52が駆動されて第2鉤部52aが引っ掛けて引かれることによって前方側(搬送方向側)に開かれる。
【0028】
好ましくは、第1内フラップ開放機構40によって後方側の内フラップ12bが完全に又は部分的に開かれる位置に箱10が到達した時点で、アクチュエータ54は、図6に例示的に示すように、操作部材52を伸ばす。これによって、第2鉤部52aを箱10内に挿入するための開口部を十分に確保することができるほか、後方側の内フラップ12bの開放が第2鉤部52a或いは操作部材52によって邪魔されることを防止することができる。
【0029】
その後、所定時間が経過した時(箱10の前方側の内フラップ12aに第2鉤部52aを引っ掛けることができる位置関係である時)に、アクチュエータ54は、図7、図8に例示的に示すように、操作部材52を縮めて退避させる。これによって、第2鉤部52aが箱10の前方側の内フラップ12aに引っ掛けられた状態で操作部材52が前方側(搬送方向側)に引かれるので、これにともなって前方側の内フラップ12aが開かれる。
【0030】
アクチュエータ54の制御は、搬送機構20によって搬送されている箱を検知するセンサ60を備えて、センサ60による箱10の検知に応じてなされることが好ましい。
【0031】
このようにして外フラップ14a、14bが開かれ、更に内フラップ12a、12bが開かれた後に、箱10の中の容器16が不図示の容器取り出し装置によって取り出されうる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の好適な実施形態の開放装置の構成を例示的に示す平面図である。
【図2】外フラップ開放機構の構成を例示的に示す斜視図である。
【図3】内フラップ開放機構の構成及び動作を例示的に示す図である。
【図4】内フラップ開放機構の構成及び動作を例示的に示す図である。
【図5】内フラップ開放機構の構成及び動作を例示的に示す図である。
【図6】内フラップ開放機構の構成及び動作を例示的に示す図である。
【図7】内フラップ開放機構の構成及び動作を例示的に示す図である。
【図8】内フラップ開放機構の構成及び動作を例示的に示す図である。
【符号の説明】
【0033】
10 箱
12a 前方側の内フラップ
12b 後方側の内フラップ
14a、14b 外フラップ
15a、15b、16a、16b 側面
17 底面
20 搬送機構
22 第1コンベア
24 第2コンベア
30 外フラップ開放機構
32 挿入部材
34 外フラップガイド
36 カッター
40 第1内フラップ開放機構
42 アーム
42a 第1鉤部
44 軸
50 第2内フラップ開放機構
52 操作部材
52a 第2鉤部
60 センサ
100 開放装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2つの内フラップと、対向する2つの外フラップと、4つの側面と、底面とを有する箱の各フラップを開く開放装置であって、
外フラップに繋がった側面が搬送方向に沿うように箱を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの外フラップを開く外フラップ開放機構と、
前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの内フラップのうち後方側の内フラップを開く第1内フラップ開放機構と、
前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの内フラップのうち前方側の内フラップを開く第2内フラップ開放機構とを備え、
前記第1内フラップ開放機構は、前記搬送機構によって搬送されている箱の後方側の内フラップに引っ掛けられる第1鉤部を有するアームを含み、前記アームは、前記搬送機構の上方において搬送方向に沿って回動するように配置され、前記後方側の内フラップは、前記第1鉤部が引っ掛けられた状態で前記搬送機構によって搬送されることによって後方側に開かれる、
ことを特徴とする開放装置。
【請求項2】
前記第2内フラップ開放機構は、
前記搬送機構によって搬送されている箱の前方側の内フラップに引っ掛けられる第2鉤部を有する操作部材と、
前記操作部材を駆動するアクチュエータとを含み、
前記前方側のフラップは、前記アクチュエータによって前記操作部材が駆動されて前記第2鉤部が引っ掛けて引かれることによって前方側に開かれる、
ことを特徴とする特徴とする請求項1に記載の開放装置。
【請求項3】
前記搬送機構によって搬送されている箱を検知するセンサを更に備え、
前記アクチュエータは、前記センサによる箱の検知に応じて前記操作部材を駆動する、
ことを特徴とする請求項2に記載の開放装置。
【請求項4】
対向する2つの内フラップと、対向する2つの外フラップと、4つの側面と、底面とを有する箱を開く開放装置であって、
外フラップに繋がった側面が搬送方向に沿うように箱を搬送する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの外フラップを開く外フラップ開放機構と、
前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの内フラップのうち後方側の内フラップを開く第1内フラップ開放機構と、
前記搬送機構によって搬送されている箱の2つの内フラップのうち前方側の内フラップを開く第2内フラップ開放機構とを備え、
前記第2内フラップ開放機構は、
前記搬送機構によって搬送されている箱の前方側の内フラップに引っ掛けられる第2鉤部を有する操作部材と、
前記操作部材を駆動するアクチュエータとを含み、
前記前方側のフラップは、前記アクチュエータによって前記操作部材が駆動されて前記第2鉤部が引っ掛けて引かれることによって前方側に開かれる、
ことを特徴とする開放装置。
【請求項5】
前記搬送機構によって搬送されている箱を検知するセンサを更に備え、
前記アクチュエータは、前記センサによる箱の検知に応じて前記操作部材を駆動する、
ことを特徴とする請求項4に記載の開放装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−176493(P2007−176493A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373467(P2005−373467)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000110918)ニッカウヰスキー株式会社 (21)
【Fターム(参考)】