説明

フルオレン骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートおよびその硬化物

【課題】硬度、耐熱性などに優れたフルオレン骨格を有する新規なウレタン(メタ)アクリレートを提供する。
【解決手段】3以上のヒドロキシル基を有する特定のフルオレン骨格を有する化合物{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなど}と、ポリイソシアネート化合物(例えば、ジイソシアネート、ポリマージオール化合物とジイソシアネートとが反応した両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーなど)と、イソシアネート基に対する反応性基を有する(メタ)アクリル系化合物(例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなど)とを反応成分としてウレタン(メタ)アクリレートを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオレン骨格を有する新規なウレタン(メタ)アクリレート、その製造方法および前記ウレタン(メタ)アクリレートが硬化した硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格)を有する化合物は、屈折率、耐熱性などにおいて優れた機能を有することが知られている。このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現する方法としては、反応性基(ヒドロキシル基、アミノ基など)を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスアミノフェニルフルオレン(BAFL)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などを樹脂の構成成分として利用し、樹脂の骨格構造の一部にフルオレン骨格を導入する方法が一般的である。例えば、このようなフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂として、特開2002−284864号公報(特許文献1)には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂で構成された成形材料が開示されている。また、特開2004−339499号公報(特許文献2)には、ビスフェノールフルオレン、ビスアミノフェニルフルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンなどを重合成分とする樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール系樹脂、アニリン系樹脂など)と、添加剤とを含有する組成物が開示されている。
【0003】
このようなフルオレン骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートも知られている。特開2000−53628号公報(特許文献3)には、下記式で表されるジオール、ジイソシアネート及びエステル残基に水酸基を有する(メタ)アクリレートを反応させることにより得られる二官能性のウレタン(メタ)アクリレートが開示されている。
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、aは1〜5の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示す)
この文献には、前記式で表されるジオールの例としては、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシ)フェニル)フルオレン1モルにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを平均2〜10モル付加させた化合物を挙げることができ、市販品として9,9−ビス(4−(ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンが入手できることが記載されている。
【0006】
しかし、この文献に記載のウレタン(メタ)アクリレートは、二官能性であるため、硬化物において、架橋密度を十分に高めることができず、硬度、耐熱性などの向上には限界があった。
【0007】
特開2000−7741号公報(特許文献4)には、フルオレン骨格を有する特定の(メタ)アクリレート化合物、特定のウレタン(メタ)アクリレート化合物、および重合開始剤を含有する樹脂組成物が開示されている。この文献には、前記ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a)と,ポリイソシアネート化合物(b)と、ポリオール化合物(c)を反応させた分子内に少なくとも4個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートが含まれることが記載されている。また、この文献には、前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a)の具体例として、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられることが記載されている。そして、この文献には、前記ポリオール化合物(c)の具体例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、カルボン酸含有ポリオール等の脂肪族多価アルコール、各種ビスフェノールのエチレンオキサイド反応物、ビスフェノールフルオレンのエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド反応物等の芳香族多価アルコール等が挙げられ、特に好ましいポリオール化合物(c)としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ビスフェノキシエタノールフルオレン等が挙げられることが記載されている。
【0008】
しかし、この文献のウレタン(メタ)アクリレートは、4つ以上の(メタ)アクリロイル基を有しているものの、速硬化性があり、所望のアクリル化の前にアクリレートのみの重合が生じるため、高純度の生成品を得ることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−284864号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落番号[0032])
【特許文献3】特開2000−53628号公報(特許請求の範囲、段落番号[0018])
【特許文献4】特開2000−7741号公報(特許請求の範囲、段落番号[0007][0008][0010])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、硬度や耐熱性に優れるフルオレン骨格を有する新規なウレタン(メタ)アクリレート、その製造方法および前記ウレタン(メタ)アクリレートが硬化した硬化物を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、架橋密度を効率よく向上できるとともに、高純度で生成可能なフルオレン骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート、その製造方法および前記ウレタン(メタ)アクリレートが硬化した硬化物を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、フルオレン骨格を有するにもかかわらず、柔軟性やハンドリング性に優れるウレタン(メタ)アクリレート、その製造方法および前記ウレタン(メタ)アクリレートが硬化した硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、3つ以上のヒドロキシル基を有する特定のフルオレン骨格を有する化合物と、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基に対する反応性基(例えば、ヒドロキシル基)を有する(メタ)アクリル系化合物とを反応させると、新規なウレタン(メタ)アクリレート(特に、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート)が得られること、このような新規なウレタン(メタ)アクリレートは、架橋密度を効率よく向上でき、硬化物に優れた硬度や耐熱性を付与できることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
すなわち、本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物と、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基に対して反応性の活性水素原子を有する(メタ)アクリル系化合物とが反応したウレタン(メタ)アクリレートである。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、環Zおよび環Zは芳香族炭化水素環を示し、RおよびRは同一又は異なって置換基を示し、Rはアルキレン基を示す。kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数、nは0又は1以上の整数であり、r1およびr2はそれぞれ1以上の整数であり、(r1+r2)≧3を充足する。)
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、通常、3以上の(メタ)アクリロイル基を有する(又は3官能以上の)ウレタン(メタ)アクリレートであり、特に、4以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート(4以上の(メタ)アクリロイル基を末端に有するウレタン(メタ)アクリレート)であってもよい。
【0017】
前記式(1)で表される化合物は、例えば、式(1)において、環Zおよび環Zがベンゼン環又はナフタレン環であり、Rがアルキル基(メチル基などのC1−4アルキル基など)又はアリール基(フェニル基などのC6−10アリール基など)であり、mが0〜2であり、RがC2−4アルキレン基(特にエチレン基)であり、nが1〜10(好ましくは1〜4、特に1)であり、r1およびr2がそれぞれ2又は3である化合物であってもよい。
【0018】
特に、前記式(1)で表される化合物は、9,9−ビス[ジ(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン、および9,9−ビス[トリ(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)フェニル]フルオレンから選択された化合物であってもよい。
【0019】
前記ポリイソシアネート化合物は、ジイソシアネート化合物であってもよい。また、前記(メタ)アクリル系化合物は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系化合物[特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシC2−6アルキル(メタ)アクリレートなど)などのヒドロキシル基含有モノ(メタ)アクリレートなど]であってもよい。
【0020】
前記ポリイソシアネート化合物は、代表的には、ポリイソシアネート化合物全体に対してイソシアネート基(−NCO)の含有割合が20〜60重量%であり、かつ脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物であってもよい。
【0021】
また、前記ポリイソシアネート化合物は、ポリオール骨格を有するポリイソシアネート化合物(ポリイソシアネート化合物(A)ということがある)であってもよい。このようなポリイソシアネート化合物を使用すると、フルオレン骨格を有しているにもかかわらず、柔軟性やハンドリング性に優れたウレタン(メタ)アクリレートを得ることができる。このようなポリオール骨格を有するポリイソシアネート化合物(A)は、例えば、ジオール化合物とジイソシアネート化合物(a)とが反応した両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであってもよい。このようなウレタンプレポリマーにおいて、前記ジオール化合物は、例えば、低分子量ジオール(アルカンジオールなど)、および高分子量ジオール(ポリマージオール化合物)から選択されたジオール化合物(特に、ポリオキシC2−6アルキレングリコールなどのポリエーテル系ジオール)であってもよい。また、前記ジイソシアネート化合物(a)は、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、および芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物であってもよい。
【0022】
前記ジオール化合物は、代表的には、アルカンジオール(例えば、C2−10アルカンジオール)、又は数平均分子量200〜5000のポリエーテル系ジオール化合物(例えば、数平均分子量250〜2000のポリオキシC2−6アルキレングリコール)であってもよい。
【0023】
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、代表的には、下記式(2)で表される化合物であってもよい。
【0024】
【化3】

【0025】
[式中、Jは、水素原子又は下記式(3)
【0026】
【化4】

【0027】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Aはポリイソシアネート化合物の残基を示し、XおよびYはエーテル基を示し、Eは連結基を示す。pは0又は1、qは1以上の整数である)で表される基を示す。ただし、(r1+r2)個の基Jは、基[CH=CR−CO−X]−を少なくとも2つ有する。環Z、環Z、R、R、R、k、m、n、r1およびr2は前記と同じ。]
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは、前記式(2)において、ZおよびZがベンゼン環又はナフタレン環(特に、ベンゼン環)、Rがアルキル基(メチル基などのC1−4アルキル基など)又はアリール基(フェニル基などのC6−10アリール基など)、mが0〜2、RがC2−4アルキレン基、nが1〜4(好ましくは1〜2、特に1)、r1およびr2がそれぞれ2又は3であり、(r1+r2)個のJがいずれも式(3)で表される基であり、pが1、Aがジイソシアネート化合物の残基、qが1〜2であるウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。特に、式(2)において、前記ジイソシアネート化合物が、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、および芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物であり、EがC2−10アルキレン基であってもよい。
【0028】
また、式(2)において、前記ジイソシアネート化合物が、ジオール化合物とジイソシアネート化合物(a)とが反応した両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであって、(1)ジオール化合物が、C2−10アルカンジオール、又は数平均分子量200〜5000ポリエーテル系ジオールであり、(2)ジイソシアネート化合物(a)が、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物であり、(3)ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(−NCO)の含有割合が、ウレタンプレポリマー全体に対して1〜20重量%であるジイソシアネート化合物であり、かつEがC2−10アルキレン基であってもよい。
【0029】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物と、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基に対して反応性の活性水素原子を有する(メタ)アクリル系化合物とを反応させることにより製造できる。
【0030】
【化5】

【0031】
(式中、環Z、環Z、R、R、R、k、m、n、r1およびr2は前記と同じ。)
前記製造方法において、反応は多段階で行ってもよく、例えば、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリル系化合物との反応物に、式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物を反応させてもよい。
【0032】
本発明には、前記ウレタン(メタ)アクリレートの硬化物(又は前記ウレタン(メタ)アクリレートが硬化した硬化物)も含まれる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の新規なウレタン(メタ)アクリレートは、フルオレン骨格を有するとともに3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有しているため、硬度や耐熱性において優れている。また、本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、架橋密度を効率よく向上できるとともに、高純度で生成可能である。さらに、本発明では、ポリオール骨格を有する特定のポリイソシアネート化合物を使用することにより、フルオレン骨格を有するにもかかわらず、柔軟性やハンドリング性に優れるウレタン(メタ)アクリレートを得ることもできる。このような本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、顔料などの添加剤を分散させる能力にも優れており、種々の用途において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、実施例1で得られた生成物のH−NMRスペクトルチャートである。
【図2】図2は、実施例2で得られた生成物のH−NMRスペクトルチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、3以上のヒドロキシル基を有する特定のフルオレン骨格を有する化合物と、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基に対する反応性基を有する(メタ)アクリル系化合物(単に、(メタ)アクリル系化合物ということがある)とが反応したウレタン(メタ)アクリレートである。このような本発明のウレタン(メタ)アクリレートでは、通常、前記フルオレン骨格を有する化合物とポリイソシアネート化合物とがウレタン結合を介して結合しているとともに、前記ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリル系化合物とが結合(例えば、ウレタン結合を介して結合)している。すなわち、前記ポリイソシアネート化合物(又はポリイソシアネート化合物のイソシアネート基)を介して、フルオレン骨格を有する化合物と(メタ)アクリル系化合物とが結合している。
【0036】
[フルオレン骨格を有する化合物]
前記フルオレン骨格を有する化合物は、通常、下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物であってもよい。
【0037】
【化6】

【0038】
(式中、環Zおよび環Zは芳香族炭化水素環を示し、RおよびRは同一又は異なって置換基を示し、Rはアルキレン基を示す。kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数、nは0又は1以上の整数であり、r1およびr2はそれぞれ1以上の整数であり、(r1+r2)≧3を充足する。)
上記式(1)において、環Zおよび環Zで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、縮合多環式炭化水素環(詳細には、少なくともベンゼン環を含む縮合多環式炭化水素環)などが挙げられる。縮合多環式炭化水素環に対応する縮合多環式炭化水素としては、縮合二環式炭化水素(例えば、インデン、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式炭化水素)、縮合三環式炭化水素(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)などの縮合二乃至四環式炭化水素などが挙げられる。好ましい縮合多環式炭化水素としては、縮合多環式芳香族炭化水素(ナフタレン、アントラセンなど)が挙げられ、特にナフタレンが好ましい。なお、環Zおよび環Zはそれぞれ同一の又は異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
【0039】
好ましい環Zおよび環Zには、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれ、特にベンゼン環が好ましい。なお、環Zおよび環Zが、縮合多環式炭化水素環である場合、フルオレンの9位に置換する環Zおよび環Zの置換位置は、特に限定されず、例えば、環Zおよび環Zに置換するナフチル基は、1−ナフチル基、2−ナフチル基などであってもよい。
【0040】
また、基Rで表される置換基としては、特に限定されず、例えば、シアノ基、炭化水素基(例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など)などであってもよく、特に、アルキル基である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。同一のベンゼン環において、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。なお、異なるベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。なお、フルオレン骨格を構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0又は1、特に0である。なお、異なるベンゼン環において、置換数kは、異なっていてもよいが、通常、同一である。
【0041】
環Z及び環Zに置換する基−[(OR−OH]の数r1およびr2は、(r1+r2)≧3を充足していればよく、それぞれ、1〜8、好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜4、特に2〜3であってもよい。特に、環Zおよび環Zがベンゼン環である場合、r1およびr2のそれぞれが2〜4、好ましくは2〜3、さらに好ましくは2であってもよい。環Z及び環Zに置換する基−[(OR−OH]の置換位置は、特に限定されず、r1又はr2の数に応じて選択できる。例えば、(1)環Z及び環Zがベンゼン環であり、r1およびr2がいずれも2であるとき、フルオレンの9位に置換するフェニル基の2〜6位のうちの2つの置換位置(例えば、3位および4位;2位および4位;2位および5位など)であってもよく、(2)環Z及び環Zがベンゼン環であり、r1およびr2がいずれも3であるとき、フルオレンの9位に置換するフェニル基の2〜6位のうちの3つの置換位置(例えば、2位、3位および4位;2位、4位および5位;3位、4位および5位;2位、4位および6位など)であってもよい。
【0042】
環Z及び環Z(以下、これらをまとめて環Zということがある)に置換する置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−4アルコキシ基など);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
【0043】
好ましい置換基Rは、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)などの炭化水素基、C1−4アルコキシ基、C6−8アリール基などであり、特に、C1−4アルキル基(特にメチル基)、C6−10アリール基(特にフェニル基)が好ましい。置換基Rは、同一の環(環Z又は環Z)において、単独で又は2種以上組み合わせて置換していてもよい。また、異なる環ZおよびZに置換する置換基Rは互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。
【0044】
置換基Rの置換数mは、環Zおよび環Zの種類などに応じて適宜選択でき、特に限定されず、例えば、0又は1〜8、好ましくは0又は1〜6(例えば、1〜5)、さらに好ましくは0又は1〜4程度であってもよい。特に、環Zおよび環Zが、ベンゼン環である場合には、置換数mは、例えば、0又は1〜3、好ましくは0又は1〜2、さらに好ましくは0又は1(特に0)である。また、環Zおよび環Zが、ナフタレン環などの縮合炭化水素環である場合、好ましい置換数mは、0又は1〜8、好ましくは0又は1〜4、さらに好ましくは0又は1、特に0であってもよい。なお、置換数mは、それぞれの環Zおよび環Zにおいて、同一又は異なっていてもよく、通常、同一である場合が多い。なお、置換基Rの置換位置は、特に限定されず、例えば、環Zがフェニル基(又はベンゼン環)である場合、フェニル基の2〜6位(例えば、3位、3,5−位など)の適当な位置に置換できる。
【0045】
で表されるアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、C2−10アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基、ヘキシレン基などのC2−6アルキレン基)などが例示でき、特に、C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基などのC2−3アルキレン基)が好ましい。なお、Rは、環Zおよび環Zに応じて、互いに同一の又は異なるアルキレン基であってもよいが、通常、同一のアルキレン基であってもよい。
【0046】
オキシアルキレン基(OR)の数(付加モル数)nは、0〜15程度の範囲から選択でき、例えば、0〜12(例えば、1〜12)、好ましくは0〜8(例えば、1〜8)、さらに好ましくは0〜6(例えば、1〜6)、特に1以上(例えば、1〜4程度)であってもよい。なお、置換数nは、環Z及び環Zに応じて同一であっても、異なっていてもよい。なお、nが2以上の場合、ポリアルコキシ(ポリオキシアルキレン)基は、同一のオキシアルキレン基で構成されていてもよく、異種のオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基など)が混在して構成されていてもよいが、通常、同一のオキシアルキレン基で構成されている場合が多い。
【0047】
代表的なフルオレン骨格を有する化合物としては、9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス[ポリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類、9,9−ビス(ポリヒドロキシナフチル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(ジ又はトリヒドロキシナフチル)フルオレンなど[、9,9−ビス[ポリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)ナフチル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[ジ又はトリ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)ナフチル]フルオレン類}などが含まれる。
【0048】
9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類などが含まれる。9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン)、9,9−ビス(3,5−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、置換基を有する9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−8アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルコキシ−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルコキシ−ジヒドロキシフェニル)フルオレン]など}などが例示できる。
【0049】
9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなど]が含まれる。
【0050】
9,9−ビス[ポリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類としては、9,9−ビス[ジ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類、9,9−ビス[トリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類などが含まれる。
【0051】
9,9−ビス[ジ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類としては、9,9−ビス[ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン[又は2,2’−ビスヒドロキシエトキシ−4,4’−(9−フルオレニリデン)−ビスフェノキシエタノール]、9,9−ビス[3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン[又は3,3’−ビスヒドロキシエトキシ−5,5’−(9−フルオレニリデン)−ビスフェノキシエタノール]、9,9−ビス[3,4−ジ(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,5−ジ(3−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,5−ジ(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,5−ジ(4−ヒドロキシブトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン}、置換基を有する9,9−ビス[ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[アルキル−ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン[例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−6−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−3,6−ジメチルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[モノ又はジC1−4アルキル−ジ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレンなど]、9,9−ビス[アリール−ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン[例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−5−アリールフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[モノ又はジC6−8アリール−ジ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレンなど]、9,9−ビス[アルコキシ−ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン[例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メトキシフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[モノ又はジC1−4アルコキシ−ジ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレンなど]など}などの9,9−ビス[ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類;これらの9,9−ビス[ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類に対応し、前記式(1)においてnが2以上である9,9−ビス[ジ(ヒドロキシポリアルコキシ)フェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス{3,4−ジ[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{3,5−ジ[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(ヒドロキシC2−4アルコキシC2−4アルコキシ]フェニル]フルオレン(n=2の化合物)など}などが挙げられる。
【0052】
9,9−ビス[トリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類としては、前記9,9−ビス[ジ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類に対応する化合物、例えば、9,9−ビス[トリ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[2,3,4−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン[又は2,2’,6,6’−テトラヒドロキシエトキシ−5,5’−(9−フルオレニリデン)−ビスフェノキシエタノール]、9,9−ビス[2,4,6−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2,4,5−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[トリ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン}、これらの9,9−ビス[トリ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類に対応し、前記式(1)においてnが2以上である9,9−ビス[トリ(ヒドロキシポリアルコキシ)フェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス{2,4,6−トリ[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{2,4,5−トリ[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレン、9,9−ビス{3,4,5−トリ[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[トリ(ヒドロキシC2−4アルコキシC2−4アルコキシ]フェニル]フルオレン(n=2の化合物)など}などが挙げられる。
【0053】
なお、9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類及び9,9−ビス(ポリヒドロキシナフチル)フルオレン類は、慣用の9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類の製造方法[(a)塩化水素ガス及びメルカプトカルボン酸の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報)、(b)酸触媒(及びアルキルメルカプタン)の存在下、9−フルオレノンとアルキルフェノール類とを反応させる方法(特開2000−26349号公報)、(c)塩酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法(特開2002−47227号公報)、(d)硫酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させ、炭化水素類と極性溶媒とで構成された晶析溶媒で晶析させてビスフェノールフルオレンを製造する方法(特開2003−221352号公報)など]において、フェノール類に代えて、対応するポリヒドロキシ化合物[例えば、ポリヒドロキシベンゼン類(例えば、カテコール、レゾルシノール、ジヒドロキシトルエンなどのジヒドロキシベンゼン類、ピロガロールなどのトリヒドロキシベンゼン類など)、ポリヒドロキシナフタレン類(例えば、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシベンゼン類など)]を使用することにより製造できる。
【0054】
また、9,9−ビス[ポリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類又は9,9−ビス[ポリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)ナフチル]フルオレン類は、9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類又は9,9−ビス(ポリヒドロキシナフチル)フルオレン類と、基ORに対応する化合物[例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシドなど)、ハロアルカノール(3−クロロプロパノールなど)など]とを反応させることにより得られる。
【0055】
なお、9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類および9,9−ビス[ポリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類の製法の詳細については、特開2005−104935号公報を参照することもできる。
【0056】
これらのフルオレン骨格を有する化合物は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
【0057】
好ましいフルオレン骨格を有する化合物には、9,9−ビス[ジ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン}などの9,9−ビス[ジ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類(特に、9,9−ビス[ジ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類);9,9−ビス[トリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[トリ(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン}などの9,9−ビス[トリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類(特に、9,9−ビス[トリ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類)などが含まれる。
【0058】
[ポリイソシアネート化合物]
ポリイソシアネート化合物は、前記フルオレン骨格を有する化合物のヒドロキシル基と反応して結合(特にウレタン結合)を形成可能な化合物である限り、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネート(脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなど)、ポリイソシアネートの変性体などが挙げられる。なお、これらのポリイソシアネート化合物は、分子内に及び/又は置換基として、ヘテロ原子を含有する基(例えば、エステル基、ハロゲン原子など)を有していてもよい。
【0059】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート{例えば、アルカンジイソシアネート[例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(1,6−ヘキサンジイソシアネートなど)、2,2,4又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどのC2−20アルカン−ジイソシアネート、好ましくはC4−12アルカン−ジイソシアネートなど)など]など}、3以上のイソシアネート基を有する脂肪族ポリイソシアネート(例えば、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタンなどのトリイソシアネートなど)などが挙げられる。
【0060】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、脂環族ジイソシアネート{シクロアルカンジイソシアネート(例えば、メチル−2,4−又は2,6−シクロヘキサンジイソシアネートなどのC5−8シクロアルカン−ジイソシアネートなど)、イソシアナトアルキルシクロアルカンイソシアネート[例えば、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)などのイソシアナトC1−6アルキル−C5−10シクロアルカン−イソシアネート、好ましくはイソシアナトC1−4アルキル−C5−8シクロアルカン−イソシアネート]、ジ(イソシアナトアルキル)シクロアルカン[例えば、水添キシリレンジイソシアネートなどのジ(イソシアナトC1−6アルキル)C5−10シクロアルカン]、ジ(イソシアナトシクロアルキル)アルカン[例えば、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(4,4’−メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート)などのビス(イソシアナトC5−10シクロアルキル)C1−10アルカンなど]、ポリシクロアルカンジイソシアネート(ノルボルナンジイソシアネートなど)など}、3以上のイソシアネート基を有する脂環族ポリイソシアネート(例えば、1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサンなどのトリイソシアネートなど)などが挙げられる。
【0061】
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジ(イソシアナトアルキル)アレーン[例えば、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)(1,3−又は1,4−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン)などのビス(イソシアナトC1−6アルキル)C6−12アレーン、好ましくはビス(イソシアナトC1−4アルキル)C6−10アレーンなど]などの芳香脂肪族ジイソシアネートが挙げられる。
【0062】
芳香族ポリイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート{例えば、アレーンジイソシアネート[例えば、o−,m−又はp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート(NDI)などのC6−12アレーン−ジイソシアネートなど]、ジ(イソシアナトアリール)アルカン[例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなど)、トリジンジイソシアネートなどのビス(イソシアナトC6−10アリール)C1−10アルカン、好ましくはビス(イソシアナトC6−8アリール)C1−6アルカンなど]、ヘテロ原子(酸素原子、イオウ原子など)を有する芳香族ジイソシアネート[例えば、ジ(イソシアナトフェニル)エーテル、ジ(イソシアナトフェニル)スルホンなど]など}、3以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネート(例えば、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどのトリ又はテトライソシアネートなど)などが挙げられる。
【0063】
ポリイソシアネート化合物(又はポリイソシアネート、特にジイソシアネート)において、イソシアネート基(−NCO)の含有割合は、例えば、ポリイソシアネート化合物全体に対して、10〜65重量%(例えば、15〜62重量%)、好ましくは20〜60重量%(例えば、22〜58重量%)、さらに好ましくは25〜57重量%(例えば、27〜56重量%)、特に30〜55重量%程度であってもよい。
【0064】
なお、ポリイソシアネートの変性体(又は誘導体)としては、例えば、多量体(二量体、三量体など)、カルボジイミド体、ビウレット体、アロファネート体、ウレットジオン体、ポリオール変性体、ポリアミン変性体などが挙げられる。
【0065】
ポリイソシアネート化合物(又はポリイソシアネート)は、通常、ジイソシアネート化合物[脂肪族ジイソシアネート(例えば、HDI)、脂環族ジイソシアネート(例えば、IPDI)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、XDI、TMXDI)、芳香族ジイソシアネート(例えば、MDI、TDI、NDI)など]で構成する場合が多い。なお、IPDIなどのジイソシアネートは、無黄変かつ低毒性であるため、好適に使用できる。
【0066】
また、本発明では、特に、ポリオール変性体(詳細には、ポリイソシアネートのポリオール変性体)を好適に使用することもできる。このようなポリオール変性体は、ウレタン(メタ)アクリレートに、柔軟性やハンドリング性を付与するのに有用である。また、ポリオール変性体を用いることにより、ウレタン(メタ)アクリレート全体に対するウレタン結合の割合を小さくできるため、耐熱性の向上にも有利である。
【0067】
(ポリオール変性体)
ポリオール変性体は、通常、分子内にポリオール骨格を有している。このようなポリオール骨格を有するポリイソシアネート化合物(ポリイソシアネート化合物(A)ということがある)は、分子内にポリオール骨格(又はポリオール化合物由来の骨格)を有し、かつ複数のイソシアネート基を有する化合物である限り、その構造は特に限定されないが、通常、ポリオール骨格及び末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物[又はポリオール化合物(特にジオール化合物)とポリイソシアネート化合物(a)(特に、ジイソシアネート化合物)とが反応した反応物(又はウレタンプレポリマー)]である。すなわち、ポリイソシアネート化合物(A)は、通常、ジオール化合物とジイソシアネート化合物とが反応した反応物であって、両末端にイソシアネート基を有する化合物(又はウレタンプレポリマー)であってもよい。
【0068】
ポリオール化合物(又はポリオール骨格に対応する化合物)としては、低分子量ポリオール(ポリオール)、高分子量ポリオール(又はポリマーポリオール)などが含まれる。
【0069】
低分子量ポリオール(低分子ポリオール骨格)としては、例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールなどのC2−20アルカンジオール、好ましくはC2−12アルカンジオール、さらに好ましくはC2−10アルカンジオール、特にC2−6アルカンジオール)、ジ乃至テトラアルキレングリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのジ乃至テトラC2−4アルキレングリコールなど)などが含まれる。
【0070】
高分子量ポリオール(高分子ポリオール骨格、ポリマーポリオール骨格)としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールなどが挙げられる。ポリエーテル系ポリオール(特に、ポリエーテル系ジオール)としては、例えば、ポリアルキレンオキシド[又はポリアルキレングリコール、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどのアルキレンオキシドの単独又は共重合体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロック共重合体などのポリオキシC2−6アルキレングリコール(又はポリ(オキシC2−6アルキレン))、好ましくはポリオキシC2−4アルキレングリコール(又はポリ(オキシC2−4アルキレン))など)など]、ビスフェノールA又は水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加体(例えば、ヒドロキシル基に対してC2−4アルキレンオキシド1〜5モルが付加した付加体)などが例示できる。
【0071】
ポリエステル系ポリオール(特に、ポリエステル系ジオール)としては、ジカルボン酸成分[ジカルボン酸又はその誘導体(例えば、ジカルボン酸低級アルキルエステル(メチルエステルなどのC1−2アルキルエステルなど)、ジカルボン酸ハライドなど]とジオール成分との反応物、ラクトン類(ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどのC3−10ラクトン)の単独重合体又は共重合体(ポリ−ε−カプロラクトンなど)などが含まれる。ジカルボン酸成分において、ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸などのジカルボン酸)、脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバシン酸などの直鎖状C4−10ジカルボン酸など)などが挙げられる。また、ジオール成分としては、アルカンジオール(前記例示のアルカンジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2−10アルカンジオール、好ましくはC2−6アルカンジオールなど)、ポリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコールなどの前記例示のポリアルカンジオール)などのポリエーテル系ジオールなどが挙げられる。これらのジカルボン酸成分およびジオール成分は、それぞれ、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0072】
代表的なジカルボン酸成分とジオール成分との反応物(ポリエステル系ポリオール)には、例えば、ポリエチレンアジぺート、ポリジエチレンアジぺート、ポリプロピレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、及びこれらの成分を組み合わせた共重合体などが含まれる。
【0073】
ポリオレフィン系ポリオール(特に、ポリオレフィン系ジオール)としては、例えば、両末端にヒドロキシル基を有するポリアルカジエン(例えば、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエンなどのポリブタジエン、ポリイソプレン)又はその水素添加物、両末端にヒドロキシル基を有するポリイソブチレンなどが挙げられる。このようなポリオレフィン系ジオールは、過酸化水素などのヒドロキシル基含有開始剤を用いて、共役ジエン系モノマー(ブタジエン、イソプレンなど)をラジカル重合(および水素添加)する方法、共役ジエン系モノマーをアニオンリビング重合する方法などにより製造することができる。
【0074】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、ポリオール(前記例示のアルカンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールなど)と、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネートなどのアルキルカーボネート)との反応により得られるポリカーボネートジオール(例えば、ポリヘキサメチレンカーボネート)などが含まれる。
【0075】
代表的なポリオール化合物には、ジオール化合物が含まれる。好ましいポリオール化合物には、アルカンジオール、ポリエーテル系ジオール、ポリエステル系ジオールなどが含まれ、特に、アルカンジオール(C2−10アルカンジオールなど)、ポリエーテル系ジオール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリオキシC2−4アルキレングリコール)が好ましい。
【0076】
高分子量ポリオール(ポリマーポリオール)の分子量は、数平均分子量で、例えば、180以上(例えば、190〜6000程度)、好ましくは200以上(例えば、200〜5000程度)、さらに好ましくは250〜2000、特に300〜1500(例えば、400〜1300)、特に好ましくは500〜1200程度であってもよい。
【0077】
前記反応物(ウレタンプレポリマー)において、ポリイソシアネート化合物(a)は、前記ポリオール化合物(特に、ジオール化合物)との反応(ウレタン結合の形成)により、ウレタンプレポリマーを生成可能な化合物である限り、特に限定されず、前記例示のポリイソシアネート(例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなど)、ポリイソシアネートの変性体[又は誘導体、例えば、多量体(二量体、三量体など)、アロハネートなど]などが挙げられる。
【0078】
ポリイソシアネート化合物(a)は、通常、ジイソシアネート化合物[脂肪族ジイソシアネート(例えば、HDI)、脂環族ジイソシアネート(例えば、IPDI)、芳香脂肪族ジイソシアネート(例えば、XDI、TMXDI)、芳香族ジイソシアネート(例えば、MDI、TDI、NDI)など]で構成する場合が多い。
【0079】
なお、ポリイソシアネート化合物(a)において、イソシアネート基(−NCO)の含有割合は、例えば、ポリイソシアネート化合物全体に対して、10〜65重量%(例えば、15〜62重量%)、好ましくは20〜60重量%(例えば、22〜58重量%)、さらに好ましくは25〜57重量%(例えば、27〜56重量%)、特に30〜55重量%程度であってもよい。
【0080】
ポリオール骨格を有するポリイソシアネート化合物(A)は、複数のイソシアネート基を有する化合物(ウレタンプレポリマー)であればよく、好ましくはジイソシアネート化合物[又はウレタンジイソシアネート、特に、両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物(ウレタンプレポリマー)]であってもよい。このようなポリオール骨格を有するジイソシアネート化合物は、通常、(i)ジオール化合物を介してジイソシアネート化合物がウレタン結合により結合し、両末端にイソシアネート基を有する化合物(分子内に2つのウレタン結合を有する化合物)、(ii)ジオール化合物とジイソシアネート化合物とが反応し、両末端にイソシアネート基を有する化合物(分子内に4以上のウレタン結合を有する化合物)であってもよい。
【0081】
具体的なポリオール骨格を有するポリイソシアネート化合物(A)としては、下記式(A1)で表される化合物(ジイソシアネート化合物)が含まれる。
【0082】
OCN−A−(NH−COO−A−OCO−NH−A−NCO (A1)
(式中、Aはポリイソシアネート化合物(a)の残基、Aはポリオール化合物の残基を示し、rは1以上の整数を示す)
上記式において、Aは前記ポリイソシアネート化合物(a)、Aはポリオール化合物にそれぞれ対応し、各化合物(ポリイソシアネート化合物(a)、ポリオール化合物)の例示などは前記と同様である。なお、複数のAは同一又は異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。また、rは1以上であればよく、例えば、1〜20、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10程度であってもよい。特に、nが2以上であるとき、nは2〜8、好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4程度であってもよい。
【0083】
好ましいA、Aおよびrの組み合わせには、(i)Aがジイソシアネート化合物(例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、および芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物)の残基であり、Aが低分子量ジオール(例えば、C2−10アルカンジオールなどのアルカンジオール)の残基であり、rが2以上(例えば、2〜10、好ましくは2〜5)である組み合わせ、(ii)Aがジイソシアネート化合物(例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、および芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物)の残基であり、Aがポリエーテル系ジオール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリオキシC2−4アルキレングリコール)の残基であり、rが1である組み合わせなどが含まれる。
【0084】
なお、ポリイソシアネート化合物(A)は、市販品を使用してもよく、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物(a)とを反応させる慣用の方法により調製することもできる。
【0085】
ポリオール骨格を有するポリイソシアネート化合物(A)において、イソシアネート基(−NCO)の含有割合は、例えば、ポリイソシアネート化合物全体に対して、0.5〜30重量%(例えば、1〜27重量%)、好ましくは1.5〜25重量%(例えば、2〜22重量%)、さらに好ましくは3〜20重量%(例えば、4〜18重量%)、特に5〜15重量%(例えば、6〜12重量%)であってもよく、通常1〜20重量%程度であってもよい。
【0086】
これらのポリイソシアネート化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0087】
[(メタ)アクリル系化合物]
(メタ)アクリル系化合物は、イソシアネート基に対する反応性基(又はイソシアネート基に対して反応性の活性水素原子)を有している。すなわち、本発明のウレタン(メタ)アクリレートでは、ポリイソシアネート化合物(特にジイソシアネート化合物)の複数(特に2つ)のイソシアネート基のうち、少なくとも1つ(特に1つ又は一方)のイソシアネート基が(メタ)アクリル系化合物((メタ)アクリル系化合物の反応性基)と反応して結合を形成している。
【0088】
前記反応性基(又は官能基)としては、例えば、ヒドロキシル基、アミノ基などが挙げられる。好ましい反応性基は、ヒドロキシル基である。(メタ)アクリル系化合物は、これらの反応性基を単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよく、同じ反応性基(例えば、ヒドロキシル基)を複数有していてもよい。なお、(メタ)アクリル系化合物とポリイソシアネート化合物との反応により対応する結合が形成される。例えば、反応性基としてのヒドロキシル基とイソシアネート基との反応ではウレタン結合が、反応性基としてのアミノ基とイソシアネート基との反応では尿素結合が、それぞれ形成される。
【0089】
代表的な(メタ)アクリル系化合物には、下記式(B)で表される化合物が含まれる。
【0090】
[CH=CR−CO−X]−(E)−Y−H (B)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、XおよびYは同一又は異なって直接結合、エーテル基又はイミノ基を示し、Eは連結基を示す。pは0又は1、qは1以上の整数である。)
上記式(B)において、好ましいXおよびYにはエーテル基が含まれる。なお、XおよびYは、通常、同時に直接結合ではない。式(B)において、代表的なX、pおよびYの組み合わせとしては、(i)Xがエーテル基又はイミノ基であり、pが1であり、Yがエーテル基である組み合わせ、(ii)Xがエーテル基又はイミノ基であり、pが0であり、Yが直接結合である組み合わせなどが含まれる。
【0091】
式(B)において、連結基Eに対応する化合物としては、アルカン(メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソペンタン、2,2−ジメチルプロパン、2,2−ジメチルブタンなどのC1−20アルカン)、架橋環式炭化水素(ノルボルナンなど)などの炭化水素化合物;ジアルキルエーテル(ジエチルエーテルなどのジC2−4アルキルエーテルなど)、ポリオキシアルキレン(ポリオキシC2−4アルキレンなど)などのエーテル結合を有する化合物;(ポリ)ヒドロキシカルボン酸(6−ヒドロキシヘキサン酸、ポリε−カプロラクトンなど)などのエステル基を有する化合物などが挙げられる。
【0092】
これらの化合物(又は連結基E)は、置換基[ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1−6アルコキシ基)、アリールオキシ基(フェノキシ基など)など]を有していてもよい。置換基は、単独で又は2種以上組み合わせて前記化合物に置換していてもよい。
【0093】
なお、連結基Eは、qの数により決定される多価基(二価基、三価基、四価基など)である。例えば、前記式(B)において、qが1である場合、連結基Eは、後述の例示の化合物に対応する二価基である 代表的な連結基Eには、下記式(E1)で表される基などが含まれる。
【0094】
−[R−(OR−(OCOR]− (E1)
(式中、R,R,Rは、置換基を有していてもよい炭化水素基、tおよびuはそれぞれ0又は1以上の整数を示す)
基R,R,Rにおいて、炭化水素基としては、前記例示の炭化水素化合物に対応する炭化水素基[例えば、アルキレン基(又はアルキリデン基、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチル−2−エチルプロパン−1,3−ジイル基、ヘキサメチレン基などのC1−20アルキレン基、好ましくはC2−10アルキレン基、さらに好ましくはC2−6アルキレン基など)など]が挙げられる。
【0095】
好ましい基Rには、C2−10アルキレン基(特に、エチレン基などのC2−6アルキレン基)が含まれる。また、好ましい基Rには、アルキレン基(例えば、エチレン基などのC2−4アルキレン基)が含まれ、好ましい基Rには、アルキレン基(例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などのC2−6アルキレン基など)が含まれる。また、tおよびuは、それぞれ、0〜20(例えば、0〜10)、好ましくは0〜6、さらに好ましくは0〜4(例えば、0〜2)程度であってもよい。特にuは0又は1、好ましくは0であってもよい。また、炭化水素基に置換する置換基としては前記例示の置換基(ハロゲン原子、ヒドロキシル基など)が挙げられる。また、前記式(B)において、qは1〜6、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3(例えば、1〜2)、特に1であってもよい。
【0096】
代表的な(メタ)アクリル系化合物としては、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系化合物、アミノ基含有(メタ)アクリル系化合物[例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−モノ置換(メタ)アクリルアミドなど]、エポキシ基含有(メタ)アクリル系化合物(グリシジル(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。
【0097】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系化合物としては、ヒドロキシル基を有する単官能性(メタ)アクリル系化合物、ヒドロキシル基を有する多官能性(メタ)アクリル系化合物が挙げられる。
【0098】
ヒドロキシル基を有する単官能性(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、ヒドロキシル基含有モノ(メタ)アクリレート{例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−20アルキル−(メタ)アクリレート、好ましくはヒドロキシC2−12アルキル−(メタ)アクリレート、さらに好ましくはヒドロキシC2−6アルキル−(メタ)アクリレート]、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート[例えば、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのポリC2−4アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート]、3以上のヒドロキシル基を有するポリオールのモノ(メタ)アクリレート[例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールモノ(メタ)アクリレート、ジグリセリンモノ(メタ)アクリレートなどのアルカンポリオールの多量体のモノ(メタ)アクリレートなど]など}、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシC1−4アルキル(メタ)アクリルアミドなど)、これらの化合物(例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)のヒドロキシル基にラクトン(例えば、ε−カプロラクトンなどのC4−10ラクトン)が付加した付加体(例えば、ラクトンが1〜5モル程度付加した付加体)などが挙げられる。
【0099】
ヒドロキシル基を有する多官能性(メタ)アクリル系化合物としては、ヒドロキシル基を有するアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート[例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどのC3−20アルカンポリオール−ジ乃至ヘキサ(メタ)アクリレート、好ましくはC3−10アルカンポリオール−ジ乃至テトラ(メタ)アクリレート]、ヒドロキシル基を有するポリ(アルカンポリオール)ポリ(メタ)アクリレート[例えば、ジグリセリンジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ乃至ペンタ(メタ)アクリレートなどのC3−20アルカンポリオールのダイマー又はトリマーのジ乃至ヘキサ(メタ)アクリレート、好ましくはC3−10アルカンポリオールのダイマー又はトリマーのジ乃至テトラ(メタ)アクリレート]などが挙げられる。
【0100】
これらの(メタ)アクリル系化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0101】
好ましい(メタ)アクリル系化合物には、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系化合物[例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基を有する単官能性(メタ)アクリル系化合物(特に、ヒドロキシル基含有モノ(メタ)アクリレート)]が含まれる。
【0102】
[ウレタン(メタ)アクリレート]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する(又は2官能以上の)のウレタン(メタ)アクリレートであればよく、通常、3以上(例えば、3〜12、好ましくは3〜8、さらに好ましくは4〜6)の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。また、本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、異なる(メタ)アクリロイル基の数のウレタン(メタ)アクリレートの混合物であってもよい。このようなウレタン(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基の数は、前記フルオレン骨格を有する化合物と、前記ポリイソシアネート化合物と、前記(メタ)アクリル系化合物との反応割合や、前記(メタ)アクリル系化合物の種類を選択することにより選択できる。
【0103】
代表的な本発明のウレタン(メタ)アクリレートには、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
【0104】
【化7】

【0105】
[式中、Jは、水素原子又は下記式(3)
【0106】
【化8】

【0107】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Aはポリイソシアネート化合物の残基を示し、XおよびYは同一又は異なって直接結合、エーテル基又はイミノ基を示し、Eは連結基を示す。pは0又は1、qは1以上の整数である)で表される基を示す。ただし、(r1+r2)個の基Jは、基[CH=CR−CO−X]−を少なくとも2つ有する。環Z、環Z、R、R、R、k、m、n、r1およびr2は前記と同じ。]
上記式(3)において、残基Aは、前記例示のポリイソシアネート化合物に対応している。すなわち、残基Aは、通常、前記ポリイソシアネート化合物に対応する二価基である。また、上記式(3)は、前記式(B)で表される化合物に対応している。式(3)において、X,Y,E、pおよびqもまた前記と同様である。好ましいXおよびYはエーテル基である。なお、R、X、E、Y、p、qなどの基又は係数は、Jに応じて同一であっても、異なっていてもよく、通常、同一であってもよい。
【0108】
式(2)において、基Jは、水素原子又は式(3)で表される基であればよく、r1又はr2の個数に応じて異なっていてもよい。例えば、(i)r1(又はr2)が2であるとき、一方のJが水素原子であり、他方のJが式(3)で表される基であってもよい。好ましくは(r1+r2)個の基Jがいずれも式(3)で表される基であってもよく、(ii)環Z及び環ZにおけるJのうち、一方のJが式(3)で表される基、他方のJが水素原子であってもよく、(iii)これらを組み合わせた態様でJが構成されていてもよい。なお、(r1+r2)個の基J(又は式(2)で表される化合物)は、基[CH=CR−CO−X]−((メタ)アクリロイル基)を少なくとも2つ有する、すなわち、少なくとも2以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートである。
【0109】
前記式(2)で表される化合物において、代表的な組み合わせとしては、以下の組み合わせが挙げられる。
【0110】
およびZがベンゼン環又はナフタレン環(特にベンゼン環)、Rがアルキル基(特に、メチル基などのC1−4アルキル基)又はアリール基(特に、フェニル基などのC6−8アリール基)、mが0〜2(例えば、0)、RがC2−4アルキレン基(特にエチレン基)、nが1以上(例えば、1〜4、好ましくは1〜2、さらに好ましくは1)、r1およびr2がそれぞれ2又は3であり、(r1+r2)個のJがいずれも式(3)で表される基であり、XおよびYがエーテル基(すなわち、(メタ)アクリロイルオキシ基)、pが1、Aがジイソシアネート化合物の残基、qが1〜2(特に1)である組み合わせ。
【0111】
上記組み合わせにおいて、好ましいジイソシアネート化合物には、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、および芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物が含まれる。
【0112】
また、上記組み合わせにおいて、好ましいジイソシアネート化合物には、ジオール化合物とジイソシアネート化合物(a)とが反応した両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーも含まれる。このようなウレタンプレポリマーにおいて、ジオール化合物は、前記例示のジオール化合物、例えば、アルカンジオール(例えば、C2−10アルカンジオールなど)およびポリマージオール化合物[例えば、ポリエーテル系ジオール(例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのポリオキシC2−4アルキレングリコール)など]から選択されたジオール化合物であってもよい。このようなジオール化合物において、ポリマージオール化合物の数平均分子量は前記例示の範囲(例えば、数平均分子量200〜5000程度)であってもよい。また、ジイソシアネート化合物(a)としては、前記例示の化合物、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物などが挙げられる。また、ウレタンプレポリマー(又はポリイソシアネート化合物(A))のイソシアネート基(−NCO)の含有割合は、前記例示の範囲(例えば、ウレタンプレポリマー全体に対して1〜20重量%程度)であってもよい。
【0113】
さらに、上記組み合わせにおいて、Eは、前記式(E1)で表される基[例えば、アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC2−10アルキレン基、好ましくはC2−6アルキレン基など)など]であってもよい。
【0114】
[製造方法]
本発明のウレタン(メタ)アクリレート(前記式(2)で表される化合物など)は、前記フルオレン骨格を有する化合物(特に、前記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物)と、前記ポリイソシアネート化合物と、前記(メタ)アクリル系化合物とを反応させることにより製造できる。
【0115】
反応は、これらの成分を同一の反応系で反応させて行ってもよいが、効率よくウレタン(メタ)アクリレートを得るためには、通常、ポリイソシアネート化合物と、前記フルオレン骨格を有する化合物および前記(メタ)アクリル系化合物のうち一方の成分とを反応させたのち、得られた反応生成物(前駆体)と他方の成分とを反応させる[すなわち、多段階(例えば、二段階)で反応させる]場合が多い。特に、前記(メタ)アクリル系化合物とポリイソシアネート化合物との反応物(ウレタン(メタ)アクリレートの前駆体)に、フルオレン骨格を有する化合物(特に、式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物)を反応させてもよい。前記フルオレン骨格を有する化合物は、イソシアネート基に対して反応性のヒドロキシル基を3以上有しているため、ポリイソシアネート化合物と反応させるとゲル化する虞があるが、予めポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリル系化合物とを反応させることにより、このようなゲル化を抑えつつ効率よくウレタン(メタ)アクリレートを製造できる。
【0116】
すなわち、このような多段階の反応では、ポリイソシアネート化合物と前記一方の成分(特に(メタ)アクリル系化合物)とを反応させて、末端にイソシアネート基を有する化合物(ウレタン(メタ)アクリレートの前駆体)を調製し、このような前駆体と他方の成分とを反応させてウレタン(メタ)アクリレートを調製する。
【0117】
ポリイソシアネート化合物と、一方の成分(例えば、(メタ)アクリル系化合物)との反応(前駆体の調製)において、両成分の使用割合は一方の成分の種類などに応じて適宜選択できる。例えば、一方の成分として(メタ)アクリル系化合物を使用する場合には、ポリイソシアネート化合物(特にジイソシアネート化合物)の割合(仕込み割合)は、(メタ)アクリル系化合物1モルに対して、0.5〜1.5モル、好ましくは0.7〜1.2モル(例えば、0.8〜1.1モル)、さらに好ましくは0.9〜1.05モル(例えば、0.95〜1.04モル)程度であってもよい。
【0118】
ポリイソシアネート化合物と一方の成分(例えば、(メタ)アクリル系化合物)との反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、前記ポリイソシアネート化合物(および一方の成分)に対して不活性な又は非反応性の溶媒であれば特に限定されず、例えば、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどのジアルキルエーテル、1,4−ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、イソブチルメチルケトンなどのジアルキルケトン)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など)、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類)、ニトリル類(アセトニトリルなど)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0119】
また、ポリイソシアネート化合物と一方の成分との反応は、触媒の存在下で行ってもよい。触媒としては、例えば、有機スズ系化合物(例えば、オクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジラウレートなどのスズカルボキシレート類)、ナフテン酸金属塩(ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルトなど)などの有機金属触媒;第3級アミン類[例えば、トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの鎖状第3級アミン;ピリジン、メチルピリジン、N,N−ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミンなどの環状第3級アミンなど]などが挙げられる。これらの触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0120】
触媒の使用量は、例えば、ポリイソシアネート化合物および一方の成分の総量100重量部に対して、例えば、0.001〜3重量部、好ましくは0.005〜2重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部(例えば、0.02〜0.5重量部)程度であってもよい。特に、一方の成分が前記ジオールである場合、触媒の使用量は、ジオール100重量部に対して0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部程度であってもよい。
【0121】
なお、一方の成分が、(メタ)アクリル系化合物である場合、重合禁止剤(熱重合禁止剤又は抑制剤)の存在下で反応を行ってもよい。重合禁止剤としては、フェノール系重合禁止剤(ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、メトキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなど)、フェノチアジン、重金属化合物(例えば、塩化銅などの重金属ハロゲン化物、ナフトエ酸銅、ナフトエ酸コバルトなどの重金属酸塩)などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。重合禁止剤は、予め反応系に添加してもよく、反応後に添加してもよい。
【0122】
ポリイソシアネート化合物と一方の成分との反応は、常温下で行ってもよく、加温下(例えば、40〜150℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃程度)で行ってもよい。一方の成分が前記ジオールである場合、特に、加温下で反応させてもよい。なお、反応は、不活性雰囲気(窒素、ヘリウム、アルゴンなどの雰囲気)下で行ってもよい。
【0123】
そして、得られたウレタン(メタ)アクリレートの前駆体(ウレタンプレポリマー)と、他方の成分(例えば、フルオレン骨格を有する化合物)とを反応させる。前記前駆体は、他方の成分との反応に先立って分離してもよいが、通常、前記ポリイソシアネート化合物と一方の成分との反応系に、そのまま、他方の成分を混合して反応を行ってもよい。
【0124】
前記前駆体と他方の成分(例えば、前記フルオレン骨格を有する化合物)との反応において、他方の成分の割合(仕込み割合)もまた、他方の成分の種類などに応じて選択できる。例えば、他方の成分が前記フルオレン骨格を有する化合物である場合、前記前駆体(又は前記ポリイソシアネート化合物)の割合は、フルオレン骨格を有する化合物1モルに対して、1モル以上(例えば、1.5〜6モル程度)であり、通常2モル以上(例えば、2〜5モル、好ましくは2.5〜4.5モル、さらに好ましくは3〜4.2モル程度)であってもよい。
【0125】
前駆体と他方の成分との反応において、溶媒や触媒を新たに添加してもよく、その種類や割合は前記と同様である。また、反応条件も前記と同様である。さらに、他方の成分が、(メタ)アクリル系化合物である場合は、前記と同様に、重合禁止剤の存在下で反応させてもよく、反応後に重合禁止剤を添加してもよい。
【0126】
なお、反応終了後、生成物であるウレタン(メタ)アクリレートは、慣用の分離方法、例えば、蒸留、濃縮、抽出、濾過などの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。通常、反応終了後の生成物から、減圧蒸留などを利用して、溶媒成分を分離してもよい。
【0127】
[重合性組成物および硬化物]
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、重合(光重合)可能な化合物としてそのまま使用してもよく、重合性組成物(熱重合性組成物又は光重合性組成物)を構成することもできる。重合性組成物(熱又は光重合性組成物)は、例えば、前記ウレタン(メタ)アクリレートと重合開始剤とで構成してもよい。重合性組成物において、ウレタン(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
【0128】
重合開始剤としては、用途に応じて選択でき、例えば、光重合性組成物を構成する場合には、光重合開始剤、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など)、フェニルケトン類[例えば、アセトフェノン類(例えば、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなど)、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノンなどのアルキルフェニルケトン類;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのシクロアルキルフェニルケトン類]、アミノアセトフェノン類{2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1など}、アントラキノン類(アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなど)、チオキサントン類(2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなど)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノンなど)、キサントン類、ホスフィンオキサイド類(例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなど)などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0129】
また、熱重合開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルトルイルパーオキサイド、トルイルパーオキサイドなど)など]、過酸エステル類[過酢酸t−ブチル、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどの過カルボン酸アルキルエステルなど]、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など]、アゾアミド化合物{2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}など}、アゾアミジン化合物{2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩など}、アゾアルカン化合物[2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)など]、オキシム骨格を有するアゾ化合物[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)など]などのアゾ化合物などが含まれる。熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0130】
なお、重合開始剤は、熱重合開始剤及び光重合開始剤で構成してもよい。
【0131】
重合開始剤の使用量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して0.1〜30重量部(例えば、0.5〜30重量部)、好ましくは1〜20重量部(例えば、1.5〜15重量部)、さらに好ましくは2〜10重量部程度であってもよく、通常1〜10重量部程度であってもよい。
【0132】
また、光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、第3級アミン類{例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルなど]、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど]などのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)などのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのジアルキルアミノベンゾフェノンなど}、ポリチオール類[例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチルオキシ)ブタン(昭和電工(株)製、「カレンズMT」など)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)など]などの慣用の光増感剤などが挙げられる。光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
【0133】
光増感剤の使用量は、重合開始剤(光重合開始剤)100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは20〜100重量部程度であってもよい。
【0134】
さらに、重合性組成物は、必要に応じて、希釈剤や、慣用の添加剤、例えば、着色剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、レベリング剤、熱重合禁止剤などを含んでいてもよい。希釈剤や添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0135】
希釈剤には、反応性希釈剤、非反応性希釈剤などが含まれる。反応性希釈剤(重合性希釈剤)としては、単官能性モノマー[例えば、(メタ)アクリル系化合物(例えば、前記例示の(メタ)アクリル系化合物の他、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステルなど)、芳香族ビニル系単量体(スチレンなど)など]、多官能性モノマー{例えば、多官能性(メタ)アクリル系化合物[例えば、前記例示の多官能性(メタ)アクリル系化合物の他、(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど)などの二官能性(メタ)アクリル系化合物;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの三官能以上の(メタ)アクリル系化合物など]、トリアリル(イソ)シアヌレートなど}などが挙げられる。反応性希釈剤は、単独で又は2種以上を組み合わせてもよい。
【0136】
反応性希釈剤の使用量は、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、例えば、1〜100重量部、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは1〜30重量部程度であってもよい。
【0137】
希釈剤には、非反応性希釈剤が含まれる。非反応性希釈剤を使用すると、重合性組成物の塗布性などを改善できる。非反応性希釈剤(又は溶剤)としては、有機溶剤、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;カルボン酸エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル、乳酸ブチルなど)、炭酸エステル(炭酸プロピレンなど)などのエステル類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤などが例示できる。非反応性希釈剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0138】
非反応性希釈剤の使用量(添加量)は、塗布方法などにより異なるが、ウレタン(メタ)アクリレート100重量部に対して、例えば、10〜400重量部、好ましくは20〜300重量部、さらに好ましくは30〜200重量部程度であってもよい。
【0139】
本発明のウレタン(メタ)アクリレート又は重合性組成物(特に、光重合性組成物)は、重合又は硬化(又は架橋)した硬化物(成形体)を得るのに有用である。このような前記ウレタン(メタ)アクリレート(又は重合性組成物)が硬化した硬化物は、成形体の形態に応じて、成形過程や成形後において、重合性組成物に硬化処理(加熱処理や光照射処理)を施すことにより得ることができる。例えば、フィルム状の硬化物は、基材に対して、重合性組成物(又はウレタン(メタ)アクリレート、以下同じ)を塗布して塗膜(又は薄膜)を形成した後、硬化処理を施すことにより得てもよい。このような塗膜(又は薄膜)の形成には、慣用の方法、例えば、フローコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法、バーコート法、カーテンコート法、ロールコート法、ディップ法などを用いることができる。また、重合性組成物の適用後(塗布後)、慣用の方法により乾燥処理を行ってもよく、必要に応じて加熱により乾燥させてもよい。乾燥における加熱温度は、重合開始剤や希釈剤(非反応性希釈剤)の種類などに応じて、適宜選択でき、通常、40〜250℃程度である。
【0140】
なお、塗膜(又は薄膜)の厚みは、用途に応じて例えば、0.01〜100μm、好ましくは0.05〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μm程度であってもよい。
【0141】
重合性組成物に対する硬化処理は、重合開始剤(熱重合開始剤及び/又は光重合開始剤)の種類に応じて選択でき、加熱処理及び/又は光照射処理により行うことができる。
【0142】
加熱処理において、加熱温度は、重合開始剤の種類にもよるが、例えば、50〜250℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは70〜120℃程度である。
【0143】
また、光照射処理において、光照射源としては、例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、UVランプ、水素ランプ、重水素ランプ、蛍光灯、ハロゲンランプ、エキシマレーザー、窒素レーザー、色素レーザー、ヘリウム−カドミウムレーザーなどが例示できる。また、光照射エネルギー量は、用途、塗膜の膜厚などによって異なるが、通常、0.1〜10000mJ/cm程度、好ましくは0.5〜2000mJ/cm程度である。露光時間は、例えば、1秒間〜3時間、好ましくは5秒間〜2時間、さらに好ましくは10秒間〜1時間程度である。
【0144】
なお、加熱処理と光照射処理とを組み合わせてもよい。例えば、光重合開始剤を含む重合性組成物では、光照射したのち(又は光照射しながら)、硬化又は架橋を促進するため、さらに加熱してもよい。
【0145】
前記硬化物(成形体)の形状は、特に限定されないが、例えば、二次元的構造(フィルム状、シート状、板状など)、三次元的構造(管状、棒状、チューブ状、中空状など)などが挙げられる。
【実施例】
【0146】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0147】
[実施例1]
1.プレポリマー合成工程
アルミ箔で遮光した冷却管及び攪拌機を備えた茶色の100mLのフラスコに、イソホロンジイソシアネート(IPDI、ヒュルスジャパン(株)製、「VESTANAT IPDI」NCO%=38%)9.05g(0.041モル)および1,4−ジオキサン37.17gを添加して、IPDIを1,4−ジオキサンに溶解させ、さらにアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA、ナカライテスク(株)製、Lot No.「M4P3126」)4.88g(0.042モル)を添加して溶解させたのち、1,4−ジオキサンにて1重量%に希釈したジ−n−ブチルスズジラウレート(DTD、キシダ化学(株)製、Lot No.「G00333T」)を1.69g添加し、アルゴンでフラスコ内を置換し、攪拌しながら室温で53時間反応させ、プレポリマーを含む反応液を得た。この反応液において、プレポリマーのNCO%は12.4%であった。
【0148】
2.ウレタン(メタ)アクリレート合成工程
アルミ箔で遮光した冷却管及び攪拌機を備えた200mLのフラスコに、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、「BCAF−EO」)5.56g(0.010モル)を添加して、さらに、1,4−ジオキサン50.68gを添加して80℃に加温し、BCAF−EOを溶解させた。この溶液に、前記プレポリマー合成工程で得られた反応液を添加して溶解させたのち、1,4−ジオキサンにて1重量%に希釈したジ−n−ブチルスズジラウレート(DTD、キシダ化学(株)製、Lot No.「G00333T」)1.54gを添加し、アルゴンでフラスコ内を置換し、攪拌しながら室温で120時間反応させた。反応終了後、ヒドロキノン(ナカライテスク(株)製)10.6mgを加えた。反応が完結したことの確認は、反応液のFT−IR測定により、NCO基が消失していることを確認することにより行った。
【0149】
3.脱溶媒工程
前記フラスコにキャピラリーを取り付け、空気存在下でエバポレーターにて減圧下、65〜70℃で1時間、脱溶媒した。なお、溶媒の残留量は、ガスクロマトグラフィーの分析結果から算出した。脱溶媒後の生成物は、粘度の高い液体であり、溶媒の残留率は15.7%であった。
【0150】
得られた生成物のH−NMR測定を、FT−NMR JNM−GSX270(日本電子データム(株)製)を用いて行った。図1に、NMRチャートを、以下にNMRスペクトルデータを示す。
【0151】
H−NMR(ppm):7.75(d),7.35(brs),6.9−6.6(m),6.5−6.4(m,アクリレート),6.2−6.1(m,アクリレート),5.9−5.8(m,アクリレート),4.9−4.8(m),4.33(m),4.2−3.9(m),2.9(m),1.69(s),1.05(s),0.9−0.8(m)。
【0152】
[実施例2]
1.プレポリマー合成工程
アルミ箔で遮光した冷却管及び攪拌機を備えた茶色の100mLのフラスコに、ポリオール骨格を有するジイソシアネート(旭化成ケミカルズ(株)製、「デュラネートD−201」、アルカンジオールとヘキサメチレンジイソシアネートとが反応した両末端にイソシアネート基を有するプレポリマー、NCO%=15.8%)21.70g(0.041モル)および1,4−ジオキサン35.04gを添加して、ジイソシアネートを1,4−ジオキサンに溶解させ、さらにアクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA、ナカライテスク(株)製、Lot No.「M4P3126」)4.85g(0.042モル)を添加して溶解させたのち、1,4−ジオキサンにて1重量%に希釈したジ−n−ブチルスズジラウレート(DTD、キシダ化学(株)製、Lot No.「G00333T」)を1.56g添加し、アルゴンでフラスコ内を置換し、攪拌しながら室温で42時間反応させ、プレポリマーを含む反応液を得た。この反応液において、プレポリマーのNCO%は6.5%であった。
【0153】
2.ウレタン(メタ)アクリレート合成工程
アルミ箔で遮光した冷却管及び攪拌機を備えた200mLのフラスコに、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、「BCAF−EO」)5.57g(0.010モル)を添加して、さらに、1,4−ジオキサン50.69gを添加して80℃に加温し、BCAF−EOを溶解させた。この溶液に、前記プレポリマー合成工程で得られた反応液を添加して溶解させたのち、1,4−ジオキサンにて1重量%に希釈したジ−n−ブチルスズジラウレート(DTD、キシダ化学(株)製、Lot No.「G00333T」)1.40gを添加し、アルゴンでフラスコ内を置換し、攪拌しながら室温で118時間反応させた。反応終了後、ヒドロキノン(ナカライテスク(株)製)16.0mgを加えた。反応が完結したことの確認は、反応液のFT−IR測定により、NCO基が消失していることを確認することにより行った。
【0154】
3.脱溶媒工程
前記フラスコにキャピラリーを取り付け、空気存在下でエバポレーターにて減圧下、65〜70℃で1時間、脱溶媒した。なお、溶媒の残留量は、ガスクロマトグラフィーの分析結果から算出した。脱溶媒後の生成物は、粘度の高い液体であり、溶媒の残留率は17.8%であった。
【0155】
得られた生成物のH−NMR測定を、FT−NMR JNM−GSX270(日本電子データム(株)製)を用いて行った。図2に、NMRチャートを、以下にNMRスペクトルデータを示す。
【0156】
H−NMR(ppm):7.75(d),7.3(m),7.27(d),6.9−6.7(m),6.44(dd,アクリレート),6.14(dd,アクリレート),5.86(dd, アクリレート),5.1−4.7(brs),4.32(d),4.20(brs),4.11(brs),3.85(s),3.65(s),3.14(brs),1.48(brs),1.33(brs),0.93(brs)。
【0157】
[実施例3]
9.05g(0.041モル)のIPDIを10.26g(0.041モル)のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、BASF INOACポリウレタン(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様に工程1、工程2、および工程3を行った。反応の完結は、同様にFT−IR測定によりNCO基の消失を確認して行った。脱溶媒後の生成物(ウレタンアクリレート)は、無色透明で粘度の高い液体であり、溶媒の残存率は10.3%であった。
【0158】
[実施例4]
9.05g(0.041モル)のIPDIを7.15g(0.041モル)のトリレンジイソシアネート(TDI、日本ポリウレタン工業(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様に工程1、工程2、および工程3を行った。反応の完結は、同様にFT−IR測定によりNCO基の消失を確認して行った。脱溶媒後の生成物(ウレタンアクリレート)は、無色透明で粘度の高い液体であり、溶媒の残存率は13.8%であった。
【0159】
[実施例5]
9.05g(0.041モル)のIPDIを8.62g(0.041モル)のナフタレンジイソシアネート(NDI、三井化学ポリウレタン(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様に工程1、工程2、および工程3を行った。反応の完結は、同様にFT−IR測定によりNCO基の消失を確認して行った。脱溶媒後の生成物(ウレタンアクリレート)は、無色透明で粘度の高い液体であり、溶媒の残存率は14.2%であった。
【0160】
[実施例6]
21.7g(0.041モル)のP−201を44.9g(0.041モル)のポリオール骨格を有するジイソシアネート(三洋化成工業(株)製、「サンプレンP−6090」、ポリテトラメチレンエーテルグリコールとジフェニルメタンジイソシアネートとが反応した両末端にイソシアネート基を有するプレポリマー、NCO%=7.6%)に代えた以外は、実施例1と同様に工程1、工程2、および工程3を行った。反応の完結は、同様にFT−IR測定によりNCO基の消失を確認して行った。脱溶媒後の生成物(ウレタンアクリレート)は、無色透明で粘度の高い液体であり、溶媒の残存率は15.7%であった。
【0161】
[比較例1]
1.プレポリマー化反応工程
アルミ箔で遮光した冷却管及び攪拌機を備えた茶色の100mLのフラスコに、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン4.3g(BPEF、大阪ガスケミカル(株)製)4.3g(0.0098モル)および1,4−ジオキサン17.2gを添加して、BPEFを1,4−ジオキサンに溶解させ、さらにイソホロンジイソシアネート(IPDI、ヒュルスジャパン(株)製、「VESTANAT IPDI」NCO%=38%)4.5g(0.020モル)を添加して溶解させたのち、1,4−ジオキサンにて1重量%に希釈したジ−n−ブチルスズジラウレート(DTD、キシダ化学(株)製、Lot No.「G00333T」)を0.43g添加し、アルゴンでフラスコ内を置換し、攪拌しながら80℃で24時間反応した。反応液において、得られたプレポリマーのNCO%は9.5%であった。
【0162】
2.アクリル化反応工程
得られた反応液に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA、ナカライテスク(株)製、Lot No.「M4P3126」)2.45g(0.021モル),および1,4−ジオキサンにて1重量%に希釈したジ−n−ブチルスズジラウレート(DTD、キシダ化学(株)製、Lot No.「G00333T」)0.86gを添加し、室温で69時間、反応させた。反応終了後、ヒドロキノン(ナカライテスク(株)製)1mgを加えた。反応が完結したことの確認は、反応液のFT−IR測定により、NCO基が消失していることを確認することにより行った。
【0163】
3.脱溶媒工程
前記フラスコにキャピラリーを取り付け、空気存在下でエバポレーターにて減圧下、65〜70℃で1時間、脱溶媒した。なお、溶媒の残留量は、ガスクロマトグラフィーの分析結果から算出した。脱溶媒後の生成物は、無色透明で粘度の高い液体であり、溶媒の回収率は90.6%であった。
【0164】
[比較例2]
1.プレポリマー化反応工程
アルミ箔で遮光した冷却管及び攪拌機を備えた茶色の100mLのフラスコに、ビスフェノールA(BPA,キシダ化学製)5.25g(0.023モル)および1,4−ジオキサン17.2gを添加して、BPAを1,4−ジオキサンに溶解させ、さらにイソホロンジイソシアネート(IPDI、ヒュルスジャパン(株)製、「VESTANAT IPDI」NCO%=38%)10.28g(0.046モル)を添加して溶解させたのち、1,4−ジオキサンにて1重量%に希釈したジ−n−ブチルスズジラウレート(DTD、キシダ化学(株)製、Lot No.「G00333T」)を0.43g添加し、アルゴンでフラスコ内を置換し、攪拌しながら80℃で24時間反応した。反応液において、得られたプレポリマーのNCO%は9.5%であった。
【0165】
2.アクリル化反応工程
得られた反応液に、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA、ナカライテスク(株)製、Lot No.「M4P3126」)5.59g(0.048モル)および1,4−ジオキサンにて1重量%に希釈したジ−n−ブチルスズジラウレート(DTD、キシダ化学(株)製、Lot No.「G00333T」)0.86gを添加し、室温で69時間、反応させた。反応終了後、ヒドロキノン(ナカライテスク(株)製)1mgを加えた。反応が完結したことの確認は、反応液のFT−IR測定により、NCO基が消失していることを確認することにより行った。
【0166】
3.脱溶媒工程
前記フラスコにキャピラリーを取り付け、空気存在下でエバポレーターにて減圧下、65〜70℃で1時間、脱溶媒した。なお、溶媒の残留量は、ガスクロマトグラフィーの分析結果から算出した。脱溶媒後の生成物は、無色透明で粘度の高い液体であり、溶媒の回収率は93.2%であった。
【0167】
[実施例7]
実施例1で得られた脱溶媒工程後の生成物5gに、光重合開始剤(チバスぺシャルティケミカルズ(株)製、「イルガキュア184」)0.15gを添加し、アプリケーター(太佑樹材(株)製)にて厚み250μmでポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布(キャスト)した後に、コンベア型UVランプ(アイグラフィックス(株)製、「ECS−151U」)にてメタルハライドランプを用いて波長354nmの紫外線(UV)を30秒照射して硬化させた。
【0168】
このようにして得られた硬化膜の屈折率(589nm)をアッベ屈折率計(ATAGO(株)製、DR−M2)を用いて測定したところ、屈折率は1.527であった。
【0169】
得られた硬化膜の鉛筆硬度を表面性測定器HEIDON−14(HEIDON製、Peeling/Slipping/Scratching TESTER)にて測定したところ、鉛筆硬度は5Hであった。
【0170】
また、得られた硬化膜のガラス転移温度(Tg)を動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000(ユービーエム社製)にて周波数10Hz、昇温速度5℃/minにて測定したところ、ガラス転移温度は、100℃であった。
【0171】
なお、これらの特性を表1に示す。
【0172】
[実施例8]
実施例1で得られた脱溶媒後の生成物5gに代えて、実施例2で得られた脱溶媒後の生成物5gを使用したこと以外は、実施例7と同様にして、硬化膜を得た。そして、実施例7と同様の方法により、各種特性を測定した。
【0173】
また、引張強度と弾性率についてテンシロン万能試験機RTC-1250A(エー・アンド・ディ社製)にて測定した結果、引張強度は11.2MPaであり、弾性率は11MPaであった。
【0174】
結果を表1に示す。
【0175】
[実施例9]
実施例1で得られた脱溶媒後の生成物5gに代えて、実施例3で得られた脱溶媒後の生成物5gを使用したこと以外は、実施例7と同様にして、硬化膜を得た。そして、実施例7と同様の方法により、各種特性を測定した。結果を表1に示す。
【0176】
[実施例10]
実施例1で得られた脱溶媒後の生成物5gに代えて、実施例4で得られた脱溶媒後の生成物5gを使用したこと以外は、実施例7と同様にして、硬化膜を得た。そして、実施例7と同様の方法により、各種特性を測定した。結果を表1に示す。
【0177】
[実施例11]
実施例1で得られた脱溶媒後の生成物5gに代えて、実施例5で得られた脱溶媒後の生成物5gを使用したこと以外は、実施例7と同様にして、硬化膜を得た。そして、実施例7と同様の方法により、各種特性を測定した。結果を表1に示す。
【0178】
[実施例12]
実施例1で得られた脱溶媒後の生成物5gに代えて、実施例6で得られた脱溶媒後の生成物5gを使用したこと以外は、実施例7と同様にして、硬化膜を得た。そして、実施例7と同様の方法により、各種特性を測定した。
【0179】
また、引張強度と弾性率について実施例8と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0180】
[比較例3]
実施例1で得られた脱溶媒後の生成物5gに代えて、比較例1で得られた脱溶媒後の生成物5gを使用したこと以外は、実施例7と同様にして、硬化膜を得た。そして、実施例7と同様の方法により、各種特性を測定した。
【0181】
また、引張強度と弾性率について実施例8と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0182】
[比較例4]
実施例1で得られた脱溶媒後の生成物5gに代えて、比較例2で得られた脱溶媒後の生成物5gを使用したこと以外は、実施例7と同様にして、硬化膜を得た。そして、実施例7と同様の方法により、各種特性を測定した。
【0183】
また、引張強度と弾性率について実施例8と同様にして測定した。結果を表1に示す。
【0184】
【表1】

【0185】
表1から明らかなように、実施例7で得られた硬化膜は、高い屈折率を有しつつ、高硬度であった。特に、実施例7、9〜11で得られた硬化膜は、高い屈折率を有するとともに、比較例で得られた硬化物に比べて、高い耐熱性を有していた。また、実施例8および12で得られた硬化膜は、高い屈折率を有しつつ、比較例で得られた膜に比べて、柔軟性に優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明の新規なウレタン(メタ)アクリレート(及びその重合性組成物)は、高屈折率を有しており、耐熱性、光透過性、硬度、耐候性、可撓性、機械強度、寸法安定性や加工性などにおいて優れており、種々の要求性能を満たすプラスチック原料(接着剤、塗料など)として有用である。本発明の硬化物は、耐熱性において優れており、高屈折率、高硬度であるため、特に、光学材料として好適に利用でき、このような光学材料の形状としては、例えば、フィルム又はシート状、板状、レンズ状、管状などが挙げられる。
【0187】
代表的には、本発明のウレタン(メタ)アクリレート(又はその硬化物)は、インク材料、発光材料(例えば、有機EL用発光材料など)、有機半導体、黒鉛化前駆体、ガス分離膜(例えば、COガス分離膜など)、コート剤(例えば、LED(発光ダイオード)用素子のコート剤などの光学用オーバーコート剤又はハードコート剤など)、レンズ[ピックアップレンズ(例えば、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)用ピックアップレンズなど)、マイクロレンズ(例えば、液晶プロジェクター用マイクロレンズなど)、眼鏡レンズなど]、偏光膜(例えば、液晶ディスプレイ用偏光膜など)、反射防止フィルム(又は反射防止膜、例えば、表示デバイス用反射防止フィルムなど)、タッチパネル用フィルム、フレキシブル基板用フィルム、ディスプレイ用フィルム[例えば、PDP(プラズマディスプレイ)、LCD(液晶ディスプレイ)、VFD(真空蛍光ディスプレイ)、SED(表面伝導型電子放出素子ディスプレイ)、FED(電界放出ディスプレイ)、NED(ナノ・エミッシブ・ディスプレイ)、ブラウン管、電子ペーパーなどのディスプレイ(特に薄型ディスプレイ)用フィルム(フィルタ、保護フィルムなど)など]、燃料電池用膜、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどに好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物と、ポリオール骨格を有するポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基に対して反応性の活性水素原子を有する(メタ)アクリル系化合物とが反応したウレタン(メタ)アクリレート。
【化1】

(式中、環Zおよび環Zは芳香族炭化水素環を示し、RおよびRは同一又は異なって置換基を示し、Rはアルキレン基を示す。kは0〜4の整数、mは0又は1以上の整数、nは0又は1以上の整数であり、r1およびr2はそれぞれ1以上の整数であり、(r1+r2)≧3を充足する。)
【請求項2】
3以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレートである請求項1記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項3】
式(1)で表される化合物が、式(1)において、環Zおよび環Zがベンゼン環又はナフタレン環であり、Rがアルキル基又はアリール基であり、mが0〜2であり、RがC2−4アルキレン基であり、nが1〜10であり、r1およびr2がそれぞれ2又は3である化合物である請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項4】
式(1)で表される化合物が、9,9−ビス[ジ(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン、および9,9−ビス[トリ(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)フェニル]フルオレンから選択された化合物である請求項1〜3のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項5】
ポリイソシアネート化合物がジイソシアネート化合物であり、(メタ)アクリル系化合物がヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項6】
ポリイソシアネート化合物が、ジオール化合物とジイソシアネート化合物(a)とが反応した両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであって、前記ジオール化合物が、アルカンジオール、およびポリマージオール化合物から選択されたジオール化合物であり、かつ前記ジイソシアネート化合物(a)が、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、および芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項7】
ジオール化合物が、アルカンジオール、又は数平均分子量200〜5000のポリエーテル系ジオール化合物であり、ポリイソシアネート化合物(A)が、ポリイソシアネート化合物(A)全体に対してイソシアネート基(−NCO)の含有割合が1〜20重量%のポリイソシアネート化合物である請求項6記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項8】
ジオール化合物が、C2−10アルカンジオール、又は数平均分子量250〜2000のポリオキシC2−6アルキレングリコールである請求項6又は7に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項9】
(メタ)アクリル系化合物が、ヒドロキシル基含有モノ(メタ)アクリレートである請求項1〜8のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項10】
下記式(2)で表される化合物である請求項1〜9のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【化2】

[式中、Jは、水素原子又は下記式(3)
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Aはポリイソシアネート化合物の残基を示し、XおよびYはエーテル基を示し、Eは連結基を示す。pは0又は1、qは1以上の整数である)で表される基を示す。ただし、(r1+r2)個の基Jは、基[CH=CR−CO−X]−を少なくとも2つ有する。環Z、環Z、R、R、R、k、m、n、r1およびr2は前記と同じ。]
【請求項11】
式(2)において、ZおよびZがベンゼン環又はナフタレン環、Rがアルキル基又はアリール基、mが0〜2、RがC2−4アルキレン基、nが1〜4、r1およびr2がそれぞれ2又は3であり、(r1+r2)個のJがいずれも式(3)で表される基であり、pが1、Aがジイソシアネート化合物の残基、qが1〜2である請求項10記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項12】
ジイソシアネート化合物が、ジオール化合物とジイソシアネート化合物(a)とが反応した両末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーであって、(1)ジオール化合物が、C2−10アルカンジオール、又は数平均分子量200〜5000ポリエーテル系ジオールであり、(2)ジイソシアネート化合物(a)が、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネートおよび芳香族ジイソシアネートから選択されたジイソシアネート化合物であり、(3)ウレタンプレポリマーのイソシアネート基(−NCO)の含有割合が、ウレタンプレポリマー全体に対して1〜20重量%であるジイソシアネート化合物であり、かつEがC2−10アルキレン基である請求項10又は11に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項13】
下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物と、ポリイソシアネート化合物と、イソシアネート基に対して反応性の活性水素原子を有する(メタ)アクリル系化合物とを反応させて、請求項1〜12のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートを製造する方法。
【化4】

(式中、環Z、環Z、R、R、R、k、m、n、r1およびr2は前記と同じ。)
【請求項14】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリル系化合物との反応物に、式(1)で表されるフルオレン骨格を有する化合物を反応させる請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれかに記載のウレタン(メタ)アクリレートの硬化物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−100546(P2013−100546A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−29657(P2013−29657)
【出願日】平成25年2月19日(2013.2.19)
【分割の表示】特願2007−321005(P2007−321005)の分割
【原出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】