説明

フレーム材の固定構造

【課題】大きな負圧にも耐え得るフレーム材の固定構造を提供する。
【解決手段】一方のフレーム材(垂木10)に形成されボルトBの頭部が収容される収容溝11と、この収容溝11の内部に収容されボルトBの軸部が貫通する第一補強部材50と、収容溝11の外部に位置してボルトBの軸部が貫通する第二補強部材60と、他方のフレーム材(横根太30)の係止プレート片(下フランジ部32a)に形成されボルトBの軸部が貫通するボルト貫通孔と、を備え、収容溝11には、両側の溝側壁から内側にそれぞれ延出する一対の係止部12,12が形成されており、第一補強部材50は、ボルトBの頭部と係止部12との間に挟まれ、第二補強部材60は、係止プレート片とナットNとの間に挟まれ、第一補強部材50と第二補強部材60で係止部12と係止プレート片を挟持することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネルを支持するための太陽光パネル架台などに用いられるレーム材同士をボルトおよびナットを用いて固定するフレーム材の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光パネル(太陽電池パネルや太陽熱温水器など)を固定する太陽光パネル架台は、フレーム材を格子状に組み付けたものが一般的である。フレーム材同士の固定構造としては、特許文献1に示すような構造があった。この固定構造は、フレーム材同士を固定する際に、一方のフレーム材に固定金具を固定し、この固定金具に他方のフレーム材を固定するというものである。一方のフレーム材には、両側の溝側壁から内側にそれぞれ延出する一対の係止部が形成された溝が形成されており、この溝内に固定金具が収容されて係止部の内側に当接して係止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−35016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記固定構造では、フレーム材の荷重に対しては接合強度を確保できていたが、上側のフレーム材が上方に引っ張られる方向(フレーム材同士が離反する方向)への応力に対する圧力(負圧)に対しては、十分な接合強度を有しているとは言えなかった。つまり、大きな負圧が発生すると、固定金具が外方に引っ張られて係止部が捲れ上り、フレーム材から離隔してしまう虞があった。特に、太陽光パネル架台においては、強風時などに風圧によって太陽光パネルを持ち上げようとする大きな応力が発生するため、負圧に耐え得る必要があった。
【0005】
このような観点から、本発明は、大きな負圧にも耐え得るフレーム材の固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するための請求項1に係る発明は、フレーム材同士を、ボルトおよびナットを用いて固定する構造であって、一方の前記フレーム材に形成され前記ボルトの頭部が収容される収容溝と、この収容溝の内部に収容され前記ボルトの軸部が貫通する第一補強部材と、前記収容溝の外部に位置して前記ボルトの軸部が貫通する第二補強部材と、他方の前記フレーム材の係止プレート片に形成され前記ボルトの軸部が貫通するボルト貫通孔と、を備え、前記収容溝には、両側の溝側壁から内側にそれぞれ延出する一対の係止部が形成されており、前記第一補強部材は、前記ボルトの頭部と前記係止部との間に挟まれ、前記第二補強部材は、前記係止プレート片と前記ナットとの間に挟まれ、前記第一補強部材と前記第二補強部材とで前記係止部および前記係止プレート片を挟持することを特徴とするフレーム材の固定構造である。
【0007】
負圧によってフレーム材同士が離反する方向に引っ張られると、ボルトに引張力が作用する。第一補強部材は、ボルトの頭部によって支圧されるが、第一補強部材の係止部への接触面積は大きくなっているので、係止部にかかる面圧を小さくでき、大きな負圧にも耐えることができる。さらに、係止部と係止プレート片を第一補強部材と第二補強部材で挟持することで、フレーム材(係止部)の変形を抑制できる。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記第一補強部材が、前記収容溝の幅と同等の幅寸法を備えていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、第一補強部材の係止部への接触面積を最大限に大きくすることができるので、より大きな負圧にも耐えることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記第一補強部材が、前記収容溝の底部に向かって開口する凹部を有しており、前記凹部内に前記ボルトの頭部が位置することを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、第一補強部材の軽量化を図りつつ断面剛性(断面二次モーメント)強度を効率的に大きくすることができる。さらに、凹部のスペースを有効利用できる。
【0012】
請求項4に係る発明は、前記第一補強部材が、前記収容溝の深さと同等の高さ寸法を備えていることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、第一補強部材の断面剛性を大きくできる。
【0014】
請求項5に係る発明は、前記第一補強部材が、前記収容溝内で溝長手方向に沿って隣り合う複数のボルトをそれぞれ貫通させるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
このような構成によれば、第一補強部材の収容溝内への接触面積をより一層大きくすることができ、第一補強部材と収容溝内面との摩擦力を大きくできるので、溝長手方向への第一補強部材およびボルト・ナットの滑りを抑制できる。さらに、一つの第一補強部材で隣り合う複数のボルトを固定できるので、施工手間が低減される。
【0016】
請求項6に係る発明は、前記第二補強部材が、前記ボルトの軸部の先端側に向かって開口する凹部を有しており、前記凹部内に前記ナットが位置することを特徴とする。
【0017】
このような構成によれば、第二補強部材の軽量化を図りつつ断面剛性を効率的に大きくすることができる。さらに、凹部のスペースを有効利用できる。
【0018】
請求項7に係る発明は、前記係止部には、前記第一補強部材の溝長手方向の端面に当接する位置決め用ビスが設けられていることを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、第一補強部材の位置決めを容易に行えるとともに、溝長手方向への第一補強部材の滑りを抑制できる。
【0020】
請求項8に係る発明は、フレーム材同士を、ボルトおよびナットを用いて固定する構造であって、一方の前記フレーム材に形成され前記ボルトの頭部が収容される収容溝と、この収容溝の内部に収容され前記ボルトの軸部が貫通する補強部材と、他方の前記フレーム材に形成され前記ボルトの軸部が貫通するボルト貫通孔と、を備えており、前記収容溝には、両側の溝側壁から内側にそれぞれ延出する一対の係止部が形成されており、前記補強部材は、前記ボルトの頭部と前記係止部との間に挟まれていることを特徴とするフレーム材の固定構造である。
【0021】
負圧によってフレーム材同士が離反する方向に引っ張られると、ボルトに引張力が作用する。補強部材は、ボルトの頭部によって支圧されるが、補強部材の係止部への接触面積は大きくなっているので、係止部にかかる面圧を小さくでき、大きな負圧にも耐えることができる。
【0022】
請求項9に係る発明は、前記フレーム材が、太陽光パネルを支持するための太陽光パネル架台を構成するものであることを特徴とする。
【0023】
このような構成によれば、太陽光パネルが持ち上げられる方向に風圧が作用して、フレーム材同士が離反する方向に応力が作用(負圧が作用)した場合であっても、大きな負圧に耐えることができる太陽光パネル架台を提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るフレーム材の固定構造によれば、大きな負圧に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】太陽光パネル架台を示した斜視図である。
【図2】太陽光パネル架台を示した側面図である。
【図3】太陽光パネル架台に太陽光パネルを設置した状態を示した図2のS線矢視図である。
【図4】本実施形態に係るフレーム材の固定構造を示した断面図である。
【図5】本実施形態に係るフレーム材の固定構造を示した一部破断側面図である。
【図6】第一補強部材を示した図であって、(a)は斜め上側から見た斜視図、(b)は斜め下側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示すように、太陽光パネル架台1は、縦方向に延在する一対の垂木10,10と、垂木10に対して直交する複数(本実施形態では5本)の横根太30,30…とを備えている。各垂木10は、2本の支柱40,40にそれぞれ支持されている。支柱40と垂木10は土台41に支持されている。なお、本実施形態では、太陽光パネル架台1を正面から見て、前後方向を縦方向とし、左右方向を横方向とする。一方の垂木10の上部を支持する支柱40と、他方の垂木10の上部を支持する支柱40との間には、ブレース45が設けられている。支柱40は垂木10と同等の断面形状を呈しており、アルミニウム合金製の押出形材からなる。ブレース45は、プレート材(フラットバー)にて構成されており、2枚のブレース45,45が、支柱40,40の間で交差するように配置されている。
【0027】
図2にも示すように、一対の垂木10,10は、間隔をあけて互いに平行に配置されている。また、一対の垂木10,10は、横根太30の長手方向中間部を中心とする左右対称位置にそれぞれ配置されている。各垂木10は、縦方向(水平方向)に対して傾斜して配置されており、正面から見て、前方が低く、後方が高くなっている。横根太30は、垂木10,10上に架け渡されている。横根太30の両端部は、一対の垂木10,10からそれぞれ外側に張り出している。垂木10は、太陽光パネル2(図3参照)の傾斜方向に沿って配置されており、垂木10の傾斜角度は、太陽光パネル2の傾斜角度と一致している。
【0028】
図3に示すように、太陽光パネル架台1上には、複数の太陽光パネル2が設置される。本実施形態では、太陽光パネル2は、縦方向に4枚、横方向に3枚がそれぞれ配列されて、合計12枚の太陽光パネル2が太陽光パネル架台1上に載置される。太陽光パネル2は、上端部と下端部が、太陽光パネル2の上辺部と下辺部に位置する横根太30,30に支持されている。なお、太陽光パネル2の枚数や、横根太30の本数は一例であって、本実施形態の構成に限定されるものではない。前記のような構成の太陽光パネル架台1では、太陽光パネル2の裏面からも風が当たるので、太陽光パネル2が持ち上げられる方向、つまり横根太30が垂木10から離反する方向に風圧が係る場合がある。
【0029】
図4および図5に示すように、本実施形態に係るフレーム材の固定構造は、太陽光パネル2(図3参照)を支持するための太陽光パネル架台1(図1乃至図3参照)のフレーム材同士を、ボルトBおよびナットNを用いて固定する構造である。フレーム材の固定構造は、垂木10と横根太30とを固定するのに採用されている。
【0030】
垂木10は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。図4に示すように、垂木10は、断面矩形形状を呈している。垂木10の上部には、垂木10と横根太30とを固定するためのボルトBの頭部が収容される収容溝11が形成されている。
【0031】
横根太30は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。図1および図2に示すように、横根太30は、垂木10の上端と下端に配置される端部横根太30a(図2参照)と、上下の端部横根太30a,30a間に配置される内側横根太30b(図2参照)の二種からなる。
【0032】
図5に示すように、内側横根太30bは、ウエブ部31と、ウエブ部31の上下からそれぞれ両側に延在するフランジ部32,32・・とを備えてなり、断面H字状を呈している。上側のフランジ部32,32(上フランジ部32b,32b)は、ウエブ部31の上端から両方向(ウエブ部31の厚さ方向両側)にそれぞれ延在して設けられている。下側のフランジ部32,32(下フランジ部32a,32a)は、ウエブ部31の下端から両方向(ウエブ部31の厚さ方向両側)にそれぞれ延在して設けられている。ウエブ部31は、断面矩形で中空に形成されている。下フランジ部32aには、ボルト貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0033】
端部横根太30aは、図2に示すように、ウエブ部31と、ウエブ部31の下から両側に延在するフランジ部32,32(下フランジ部32a,32a)と、ウエブ部31の上端から片側へ延在するフランジ部32(上フランジ部32b)とを備えてなる。つまり、端部横根太30aは、内側横根太30bから一方の上フランジ部32bを取り除いた形状となっている。下フランジ部32aには、内側横根太30bと同様のボルト貫通孔(図示せず)が形成されている。端部横根太30aは、上端のフランジ部32が隣り合う内側横根太30bに向かって延在するように配置される。なお、端部横根太30aを内側横根太30bと同様の形状のものとしてもよい。
【0034】
本実施形態では、フレーム材の固定構造によって、垂木10と内側横根太30bが固定されている。図4及び図5に示すように、フレーム材の固定構造は、一方のフレーム材(垂木10)に形成された収容溝11と、この収容溝11の内部に収容される第一補強部材50と、収容溝11の外部に位置する第二補強部材60と、他方のフレーム材の係止プレート片(横根太30の下フランジ部32a)に形成されたボルト貫通孔(図示せず)とを備えている。
【0035】
図4に示すように、収容溝11は、ボルトBの頭部が収容される溝である。収容溝11は、矩形断面形状を呈している。収容溝11の上部開口端には、両側の溝側壁から内側にそれぞれ延出する一対の係止部12,12が形成されている。係止部12は、収容溝11の底面と平行になっており、収容溝11の長手方向に沿って形成されている。係止部12は、第一補強部材50を係止して、収容溝11の内側に保持する。係止部12,12間の隙間は、ボルトBの胴部が挿通可能な幅寸法を有している。係止部12には、第一補強部材50の移動をガイドするための突条13(以下「ガイド用突条13」という場合がある)が形成されている。突条13は、収容溝11の長手方向に沿って形成されており、係止部12の下面から下方に突出して形成されている。突条13は、各係止部12,12にそれぞれ形成されている。
【0036】
収容溝11の底部には、ボルトBが回転するのを防止するための一対の突条14,14(以下「ボルト回転防止用突条14」という場合がある)が形成されている。各突条14は、収容溝11の長手方向に沿って形成されている。一対の突条14,14間の内法寸法は、ボルトBの頭部の二面幅の寸法より大きく、対角距離より小さくなっている。これによって、ボルトBは、突条14,14間を長手方向に移動可能でありながらも、回転が阻止された状態となる。突条14は、ボルトBの頭部の厚さ寸法より短い高さ寸法を有している。
【0037】
図5に示すように、係止部12には、第一補強部材50の位置決め用ビス15が設けられている。位置決め用ビス15は、垂木10に横根太30を固定する位置の近傍(第一補強部材50を所望位置に設置したときの長手方向両端に相当する位置)に設けられている。位置決め用ビス15は、係止部12を貫通して設けられており、軸部が係止部12の下面から収容溝11内に突出している。突出した位置決め用ビス15の軸部が第一補強部材50の溝長手方向の端面に当接する。位置決め用ビス15は、第一補強部材50を所望位置に設置したときの両端面に相当する位置にそれぞれ設けられているが、第一補強部材50の設置時の移動方向に応じて、一方は第一補強部材50の設置前に取り付けられ、他方は設置後に取り付けられる。これによって、最終的に第一補強部材50を両側から係止して固定することができる。
【0038】
図4および図6に示すように、第一補強部材50は、ボルトBの頭部と係止部12との間に挟まれる基板部51と、基板部51に直交する壁板部52とを備えており、断面コ字状(U字状)を呈している(基板部51と壁板部52,52で囲われた凹部を有している)。第一補強部材50は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。基板部51は、係止部12よりも厚く形成されている。基板部51は、収容溝11の幅(内法幅寸法)と同等の幅寸法を備えている。収容溝11の幅と同等の幅寸法とは、収容溝11の内法幅寸法よりも僅かに小さく、第一補強部材50が、収容溝11の内側両壁面に引っ掛からずに、収容溝11を移動できる寸法である。また、固定された状態では、基板部51の上面が係止部12の下面に当たって摩擦力を発生する。基板部51の上面(壁板部52と反対側面)には、ガイド溝53が形成されている。ガイド溝53は、ガイド用突条13に対応する位置にそれぞれ設けられ、互いに平行になっている。ガイド溝53には、ガイド用突条13が入り込んでいる。
【0039】
壁板部52は、基板部51の幅方向両端にそれぞれ設けられている。一対の壁板部52,52は、基板部51に対してそれぞれ直角に延在しており、互いに平行になっている。壁板部52の外側面は、基板部51の外側面と面一になっている。壁板部52の先端は、幅方向内側へ直角に屈曲されており、補強リブ52aが形成されている。第一補強部材50は、収容溝11の底部に向かってコ字断面の開口部が開口するように配置されている(凹部が収容溝11の底部に向かって開口している)。そして、第一補強部材50の内側の凹部には、ボルトBの頭部とボルト回転防止用突条14とが位置している。つまり、ボルトBの頭部とボルト回転防止用突条14が、収容溝11の幅方向両側から一対の壁板部52,52で囲われるようになっている。第一補強部材50の高さ寸法(基板部51の厚さ寸法と壁板部52の立上り寸法を合わせた寸法)は、収容溝11の深さ(内法高さ寸法)と同等の高さ寸法を備えている。同等の幅寸法とは、収容溝11の内法高さ寸法よりも僅かに小さく、第一補強部材50が、収容溝11の底面あるいは係止部12の下面に引っ掛からずに、収容溝11を移動できる寸法である。
【0040】
図5に示すように、第一補強部材50は、その押出方向が収容溝11の長手方向と同じになるように配置されている。第一補強部材50は、収容溝11内で溝長手方向に沿って隣り合う複数のボルトB,Bをそれぞれ貫通させるように、収容溝11の長手方向に沿って長尺に形成されている。具体的には、内側横根太30bの幅(下フランジ部32a,32aの両端間の長さ)と略同等の長さとなっている。そして、各下フランジ部32a,32aのボルト貫通孔に対応する位置(同一軸線上)の基板部51には、ボルト貫通孔54,54が形成されている。ボルト貫通孔54,54同士の距離は、下フランジ部32a,32aのボルト貫通孔同士の距離と同じである。これによって、第一補強部材50は、収容溝11内で溝長手方向に沿って隣り合う一対のボルトB,B(内側横根太30bの下フランジ部32a,32aに挿通されるボルトB,B)をそれぞれ貫通させる。
【0041】
図4に示すように、第二補強部材60は、基板部61と壁板部62とを備えており、断面コ字状を呈している(基板部61と壁板部62,62で囲われた凹部を有している)。基板部61は、係止部12とナットNとの間に挟まれる。第二補強部材60は、両側の下フランジ部32aごとにそれぞれ設けられている。
【0042】
第二補強部材60は、アルミニウム合金製の押出形材からなる。第二補強部材60は、第一補強部材50と同等の断面形状を有している。基板部61は基板部51と同一断面である。壁板部62は壁板部52と同一断面であり、先端に補強リブ62aが形成されている。第二補強部材60は、上方(横根太30側)に向かってコ字断面の開口部が開口するように配置されている(凹部がボルトBの軸部の先端側に向かって開口している)。第二補強部材60の内側の凹部に、ボルトBの軸部とナットNとが位置する。つまり、ボルトBの軸部とナットNが、第二補強部材60の幅方向両側から一対の壁板部62,62で囲われるようになっている。なお、第二補強部材60は、製作の都合上、第一補強部材50と同一の断面形状となっているが、所定の強度を有していれば、寸法や形状を問わない。
【0043】
図5に示すように、第二補強部材60は、収容溝11の長手方向と押出方向が同じになるように配置されている。第二補強部材60は、下フランジ部32aの張出し長さと略同等の長さに形成されており、ナットNを下側から覆うようになっている。そして、基板部61には、ボルト貫通孔64が形成されている。
【0044】
以上のような構成の第一補強部材50と第二補強部材60は、ボルトBとナットNにて締め付けられている。これによって、第一補強部材50と第二補強部材60が、垂木10の係止部12を挟持している。第一補強部材50と第二補強部材60との間には、係止部12とともに下フランジ部32aも位置して、ともに挟持されている。
【0045】
以下に、本実施形態に係るフレーム材の固定構造を構築する手順を説明する。なお、以下に説明する構築手順は、内側横根太30bと垂木10とを固定する場合と、端部横根太30aと垂木10とを固定する場合の両方に適用される共通の構築手順となる。まず、第一補強部材50の壁板部52側からボルト貫通孔54,54に一対のボルトB,Bの軸部を挿通させておく。係止部12に、一方の位置決め用ビス15を取り付けておく。そして、第一補強部材50とボルトB,Bを収容溝11の端部から挿入し、ボルトBの軸部が係止部12,12間の隙間から突出した状態で、所望の位置(横根太30を固定する位置)まで溝長手方向に沿って移動させる。このとき、第一補強部材50は、収容溝11の内法寸法より若干小さいので、収容溝11の内面に引っ掛からない。また、基板部51の上面のガイド溝53に、係止部12の下面のガイド用突条13が入り込んでいるので、第一補強部材50が収容溝11に沿って円滑に移動する。第一補強部材50とボルトB,Bは、係止部12に設けられた位置決め用ビス15によって、所定位置に正確かつ容易に止められる。
【0046】
その後、垂木10から突出しているボルトB,Bの軸部に、横根太30を被せて設置するとともに、第二補強部材60,60をそれぞれ設置する。第二補強部材60は、壁板部62を上側にしてボルトBの上方から下ろして、ボルトBの軸部をボルト貫通孔64に挿通させる。そして、第二補強部材60の基板部61から突出するボルトBの軸部にナットNを装着して締め付ける。このとき、ボルトBの頭部は、突条14,14によって回転が阻止された状態であるので、ナットNの締付けを行い易い。その後、第一補強部材50の反対側の端部にも位置決め用ビス15を取り付け、第一補強部材50を位置決め用ビス15で挟み込む。
【0047】
以上のように、ボルトBとナットNで第一補強部材50と第二補強部材60を締め付けると、第一補強部材50と第二補強部材60が、垂木10の係止部12と横根太30の下フランジ部32aを挟持することとなる。
【0048】
このような構成のフレーム材の固定構造によれば、第一補強部材50によって、係止部12への接触面積を大きくできる。よって、負圧によってフレーム材同士が離反する方向に引っ張られた(横根太30が持ち上げられる方向に引っ張られた)としても、第一補強部材50が上方に移動しようとする押圧力(ボルトBの頭部からの支圧力)が、広い面積に分散されて係止部12に作用することとなる。これによって係止部12にかかる面圧を小さくでき、係止部12の変形(捲れ上がり)を抑制できるので、大きな負圧に耐えることができる。本実施形態では、第一補強部材50が、収容溝11の幅と略同等の幅寸法を備えているので、第一補強部材50の幅寸法を最大限に大きくすることができる。これによって、第一補強部材50の係止部12への接触面積を大きくでき、より大きな負圧に耐えることができる。さらに、第一補強部材50の基板部51は、係止部12より厚く形成されているので、ボルトBの頭部から集中的に作用する支圧力を広い範囲に分散させて伝達することができる。また、第一補強部材50をボルトBの設置位置ごとに設けたことで、効率的な補強が行える。つまり、ボルトBの設置位置ごとに断面剛性を集中的に高めているので、係止部12全体を厚くする必要はなく、垂木10の重量化を防いでいる。
【0049】
また、第一補強部材50が、横根太30(端部横根太30aおよび内側横根太30b)の幅(下フランジ部32a,32aの両端間の長さ)と略同等の長尺に形成されているので、第一補強部材50の係止部12への接触面積をさらに大きくできる。したがって、係止部12にかかる面圧をより一層小さくできる。また、第一補強部材50の係止部12への接触面積が大きくなることで第一補強部材50と係止部12との摩擦力を大きくでき、第一補強部材50の溝長手方向への滑りを抑制できる。さらに、一つの第一補強部材50で、二つのボルトB,Bを固定しているので、ボルトB,Bごとに第一補強部材を設けた場合と比較して、第一補強部材50の設置手間を低減できる。
【0050】
さらに、係止部12に位置決め用ビス15が設けられているので、位置決め用ビス15が第一補強部材50の溝長手方向の端面に当接して、溝長手方向への第一補強部材50の滑り・ずれを確実に防止できる。
【0051】
また、第一補強部材50は、断面コ字状を呈して、内側の凹部にボルトBの頭部が位置するように配置しているので、第一補強部材50の軽量化を図りつつ効率的に第一補強部材の断面剛性を大きくすることができる。つまり、壁板部52は補強リブの機能を果たすとともに、壁板部52の先端にも補強リブ52aが形成されているので、第一補強部材50の断面剛性は大きくなっている。第二補強部材60も、断面コ字状に形成されているので、第二補強部材の軽量化を図りつつ効率的に断面剛性を大きくすることができる。また、第一補強部材50および第二補強部材は、両者とも内側が中空になっていることで、軽量化が達成されている。さらには、第一補強部材50および第二補強部材は、両者とも内側の凹部のスペースを有効利用している。
【0052】
また、第一補強部材50が、収容溝11の深さと同等の高さ寸法を備えていることによって、第一補強部材50の高さを最大限大きくでき、断面剛性を大きくすることができる。
【0053】
さらに、係止部12と下フランジ部32aを第一補強部材50と第二補強部材60で挟持することで、係止部12が表裏両面から押さえられ、係止部12と下フランジ部32aの変形をより一層抑制することができる。
【0054】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、本実施形態では、フレーム材の固定構造を、垂木10と横根太30の固定に採用しているが、他のフレーム材に収容溝を形成すれば他のフレーム材同士の固定にも採用可能である。さらには、太陽光パネル架台以外のフレーム材同士の固定構造としても採用可能である。
【0055】
さらに、前記実施形態では、第一補強部材50と第二補強部材60で係止部12を挟持しているが、第二補強部材を設けずに、第一補強部材のみとしてもよい。このような構成によっても、第一補強部材を設けることで係止部への接触面積を大きくできるので、第一補強部材が上方に移動しようとする押圧力は広い面積に分散されて係止部にかかることとなる。これによって、係止部にかかる面圧を小さくでき、係止部の変形(捲れ上がり)を抑制でき、その結果、大きい負圧に耐えることができる。
【0056】
このように第二補強部材を除いた固定構造は、作用する負圧が比較的小さいフレーム材同士、例えば、支柱40とブレース45を固定する場合に適用するのが好ましい。なお、第一補強部材をさらに長尺にして、係止部との接触面積をより一層大きくすれば、作用する負圧が比較的大きいフレーム材同士の固定構造としても適用することができる。
【0057】
また、前記実施形態では、第一補強部材50や第二補強部材60がアルミニウム合金製の押出形材にて構成されているが、これに限定されるものではない。例えば、ステンレス合金、鋼製材料や樹脂材料など他の材料にて形成してもよい。また、押出形材ではなく、板材を屈曲加工して形成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 太陽光パネル架台
2 太陽光パネル
10 垂木(一方のフレーム材)
11 収容溝
12 係止部
30 横根太(他方のフレーム材)
32a 下フランジ部(係止プレート片)
50 第一補強部材
60 第二補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム材同士を、ボルトおよびナットを用いて固定する構造であって、
一方の前記フレーム材に形成され前記ボルトの頭部が収容される収容溝と、
この収容溝の内部に収容され前記ボルトの軸部が貫通する第一補強部材と、
前記収容溝の外部に位置して前記ボルトの軸部が貫通する第二補強部材と、
他方の前記フレーム材の係止プレート片に形成され前記ボルトの軸部が貫通するボルト貫通孔と、を備え、
前記収容溝には、両側の溝側壁から内側にそれぞれ延出する一対の係止部が形成されており、
前記第一補強部材は、前記ボルトの頭部と前記係止部との間に挟まれ、
前記第二補強部材は、前記係止プレート片と前記ナットとの間に挟まれ、
前記第一補強部材と前記第二補強部材とで前記係止部および前記係止プレート片を挟持する
ことを特徴とするフレーム材の固定構造。
【請求項2】
前記第一補強部材は、前記収容溝の幅と同等の幅寸法を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載のフレーム材の固定構造。
【請求項3】
前記第一補強部材は、前記収容溝の底部に向かって開口する凹部を有しており、前記凹部内に前記ボルトの頭部が位置する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレーム材の固定構造。
【請求項4】
前記第一補強部材は、前記収容溝の深さと同等の高さ寸法を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のフレーム材の固定構造。
【請求項5】
前記第一補強部材は、前記収容溝内で溝長手方向に沿って隣り合う複数のボルトをそれぞれ貫通させるように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のフレーム材の固定構造。
【請求項6】
前記第二補強部材は、前記ボルトの軸部の先端側に向かって開口する凹部を有しており、前記凹部内に前記ナットが位置する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のフレーム材の固定構造。
【請求項7】
前記係止部には、前記第一補強部材の溝長手方向の端面に当接する位置決め用ビスが設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のフレーム材の固定構造。
【請求項8】
フレーム材同士を、ボルトおよびナットを用いて固定する構造であって、
一方の前記フレーム材に形成され前記ボルトの頭部が収容される収容溝と、
この収容溝の内部に収容され前記ボルトの軸部が貫通する補強部材と、
他方の前記フレーム材に形成され前記ボルトの軸部が貫通するボルト貫通孔と、を備えており、
前記収容溝には、両側の溝側壁から内側にそれぞれ延出する一対の係止部が形成されており、
前記補強部材は、前記ボルトの頭部と前記係止部との間に挟まれている
ことを特徴とするフレーム材の固定構造。
【請求項9】
前記フレーム材は、太陽光パネルを支持するための太陽光パネル架台を構成するものである
ことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のフレーム材の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96059(P2013−96059A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236532(P2011−236532)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(502444733)日軽金アクト株式会社 (107)
【出願人】(000250432)理研軽金属工業株式会社 (89)
【出願人】(500538715)株式会社住軽日軽エンジニアリング (58)
【出願人】(502310874)株式会社エヌ・エル・エム・エカル (12)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【出願人】(592186803)日軽形材株式会社 (9)
【出願人】(597128716)日軽産業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】