ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置、調整方法、調整プログラム、及びブラシレスDCモータの制御回路
【課題】ブラシレスDCモータの回転数のばらつきを抑制するブラシレスDCモータの制御回路の調整装置、調整方法、調整プログラム、及びブラシレスDCモータの制御回路を提供することを課題とする。
【解決手段】ブラシレスDCモータ5の制御回路16の調整装置22であって、前記ブラシレスDCモータ5のロータ19を所定の電気角にした際の回転角センサ20の出力値をブラシレスDCモータ5の極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、制御回路16が前記回転角センサ20の信号に基づいてブラシレスDCモータ5に給電する電流の位相を調整するオフセット値として制御回路16に設定する処理部23を備える。
【解決手段】ブラシレスDCモータ5の制御回路16の調整装置22であって、前記ブラシレスDCモータ5のロータ19を所定の電気角にした際の回転角センサ20の出力値をブラシレスDCモータ5の極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、制御回路16が前記回転角センサ20の信号に基づいてブラシレスDCモータ5に給電する電流の位相を調整するオフセット値として制御回路16に設定する処理部23を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置、調整方法、調整プログラム、及びブラシレスDCモータの制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子制御技術の発達に伴い、制御性や耐久性に優れるブラシレスDC(Direct Current)モータが普及している。ブラシレスDCモータは、ステータのコイルの電流の向きを逐次切り替えることで、永久磁石を設けたロータを回転させており、ロータの回転位置を検知するレゾルバやホール素子等のセンサによってスイッチング回路の動作タイミングを決定している。よって、ロータの位置を検知するセンサの取り付け位置の精度は、モータの単位時間あたりの回転数(以下、単に回転数という)やトルクに影響を与える。
【0003】
センサの取り付け位置の精度を補う技術として、例えば、特許文献1に開示されているような、コイルに直流電流を流してロータを特定の位置に停止させ、その際のセンサの出力に基づいて特定した補正値を使ってモータを制御するものがある。その他、センサの取り付け位置の誤差を特定する技術としては、例えば、特許文献2に開示されているようなモータの回転数から特定するものや、特許文献3に開示されているような電流指令値と実電流値との相関から特定するものや、特許文献4に開示されているような一定時間経過後の推定角度と実角度との相関から特定するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−128484号公報
【特許文献2】特開2007−228700号公報
【特許文献3】特開2008−278575号公報
【特許文献4】特開2010−283925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
制御性や耐久性に優れるブラシレスDCモータは、ロータの回転位置を検知するセンサの位置の精度が、モータの回転数やトルクに影響する。このため、例えば車両を各輪の電動ブレーキで制動する場合のように、左右の車輪をそれぞれ別のブラシレスDCモータで制御しようとする場合、各モータで特性にばらつきがあると、制御しようとする対象物の挙動が不安定になる虞がある。
【0006】
本願は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ブラシレスDCモータの回転数のばらつきを抑制するブラシレスDCモータの制御回路の調整装置、調整方法、調整プログラム、及びブラシレスDCモータの制御回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力の平均から、ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値を得ることにした。
【0008】
詳細には、ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置であって、前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレ
スDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定する処理部を備える。
【0009】
各モータ間で回転角センサの取り付け位置に誤差がある場合、それが進み角の誤差となるため、各モータの回転数に誤差が生じる。
【0010】
そこで、上記調整装置は、ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を極対数分取得し、取得した出力値の平均値をオフセット値として制御回路に設定することにより、各モータ間の回転数の誤差を小さくする。これにより、モータの回転数のばらつきを抑制できる。
【0011】
また、前記処理部は、前記ロータが電気角で1周する際の回路動作を前記制御回路に極対数分だけ実行させることにより、前記ロータを前記所定の電気角にした際の前記回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記オフセット値として前記制御回路に設定するものであってもよい。
【0012】
ロータが電気角で1周する際の回路動作を制御回路に極対数分だけ実行させれば、回転角センサの出力に関わらず、ロータが機械角で1周して元の位置に戻ることになる。よって、ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を極対数分取得し、取得した出力値の平均値をオフセット値として制御回路に設定することにより、モータの回転数のばらつきを抑制できる。
【0013】
また、前記処理部は、前記ブラシレスDCモータを駆動して前記ロータを何れか一の方向へ回して取得した前記平均値を、前記ロータを前記何れか一の方向へ回転させる際の前記オフセット値として前記制御回路に設定し、前記ブラシレスDCモータを駆動して前記ロータを何れか他の方向へ回して取得した前記平均値を、前記ロータを前記何れか他の方向へ回転させる際の前記オフセット値として前記制御回路に設定するものであってもよい。これによれば、ブラシレスDCモータを何れの方向に回転させても、回転数のばらつきを抑制できる。
【0014】
また、前記回転角センサは、前記ロータの回転角を検知するレゾルバであってもよい。レゾルバの場合、ロータの回転角を高分解能で得ることができるため、上記平均値をオフセット値として上記制御回路に設定し、モータの回転数のばらつきを抑制するのに好適である。
【0015】
また、前記ブラシレスDCモータは、車両を制動する電動ブレーキ用のモータであれば、モータの回転数のばらつきの抑制により、制動時の車両の挙動を十分に安定させることができる。
【0016】
なお、本発明は、方法やプログラム、ブラシレスDCモータの制御回路の側面から捉えることもできる。本発明は、例えば、ブラシレスDCモータの制御回路の調整方法であって、前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定するものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
ブラシレスDCモータの回転数のばらつきを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電動ブレーキの構造図である。
【図2A】機械保持機構を備えた電動ブレーキの構造図である。
【図2B】自己倍力機構を備えた電動ブレーキの構造図である。
【図3】電動ブレーキの適用例を示した図である。
【図4】モータドライバの構成図である。
【図5】2ポール(1極対)で三相式のモータの回路図である。
【図6】ロータの磁極とステータのコイルの磁性との関係を示した第一の図である。
【図7】ロータの磁極とステータのコイルの磁性との関係を示した第二の図である。
【図8】モータの回転数の相違を示したグラフである(調整前)。
【図9】制動力の相違を示したグラフである(調整前)。
【図10】調整装置の構成図である。
【図11】調整装置のプロセッサが実行する処理フロー図である。
【図12】データのサンプリング点を示した図である。
【図13】モータの回転数の相違を示したグラフである(調整後)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明の実施形態について説明する。電動ブレーキ1の構造を図1に示す。電動ブレーキ1は、ディスクブレーキであり、車軸に取り付けられているディスク28を挟持して摩擦力を発生させるブレーキパッド2、ブレーキパッド2のプレッシャプレートを押圧するボールスクリュ3、減速機4を介してボールスクリュ3を回転駆動させるブラシレスDCモータ5、ボールスクリュ3に加わる軸力を検出するための軸力センサ6を備える。
【0020】
なお、電動ブレーキ1は、図2Aに示すように、駐車ブレーキとして用いるための機械保持機構(保持機)7や、図2Bに示すように、制動力を高めるための自己倍力機構8を備えるものであってもよい。機械保持機構7は、ソレノイド9やラッチ10、ケース11を有しており、ソレノイド9の励磁状態に応じてスライドするラッチ10がブラシレスDCモータ5のロータ軸上に取り付けられたラッチ用のギアに噛み合ってブラシレスDCモータ5のロータの遊転を規制する。また、自己倍力機構8は、ブレーキパッド2がディスク28に押圧された際の摩擦力によって生じる、ブレーキパッド2をディスク28の回転方向へ移動させるラジアル方向の力を傾斜面で受けることにより、ラジアル方向に作用する力をスラスト方向に転換してブレーキパッド2の押圧力を高める機構である。
【0021】
電動ブレーキ1の適用例を図3に示す。電動ブレーキ1は、例えば、図3に示すように、車両12の各輪に取り付けて車両を制動する。ここで、電動ブレーキ1のブラシレスDCモータ5は、制御性や耐久性に優れる直流のブラシレスモータであり、車両12には、ブラシレスDCモータ5を正弦波駆動方式によって制御するモータドライバ13が各輪に対応して設けられている。なお、モータドライバ13は、ブラシレスDCモータ5を正弦波の電流で駆動するもののみならず、例えば、矩形波の電流で制御するものであってもよい。
【0022】
車両12は4輪自動車であり、電動ブレーキ1やモータドライバ13も各輪に取り付けられているため、以下、特定の車輪について説明する場合は、左側の車輪に対応するものに符号LH(Left Hand)、右側の車輪に対応するものに符号RH(Right Hand)を付す
。また、左側の車輪のうち、特に前輪側を示す場合は符号FL、後輪側を示す場合は符号RL、右側の車輪のうち、特に前輪側を示す場合は符号FR、後輪側を示す場合は符号RRを付す。もっとも、電動ブレーキ1が適用される車両12は、このような4輪自動車に限定されるものでなく、2〜3輪自動車、あるいは5輪以上の自動車であってもよい。
【0023】
各モータドライバ13には、ブレーキペダル27の踏み込み量と踏力を検知するストロークシミュレータ14の計測値に基づいてECU15が算出した制動力要求値が入力される。モータドライバ13の構成を図4に示す。モータドライバ13は、入力された数値データに基づいて各種の演算処理を行うマイクロコンピュータ(microcomputer:以下、マ
イコンという)16と、マイコン16の指令に応じた電力を供給する電源回路およびインバータからなるインバータ装置17とを備える。
【0024】
マイコン16には、演算回路や記憶回路、入出力回路等が備わっており、ECU15から送られる制動力要求値や軸力センサ6から送られる軸力値、ブラシレスDCモータ5に設けられている回転角センサ(レゾルバ)によって得たブラシレスDCモータ5のロータの回転角情報が入力されると、適当なデューティ比にパルス幅を調整した正弦波電流を電源回路17Aに生成させ、インバータ17Bのスイッチング素子をロータの位置に合わせて適当に動作させる。
【0025】
なお、本実施形態では、車両のブレーキに適用する関係上、回転角センサとして耐久性に優れるレゾルバを例示しているが、回転角センサはレゾルバに限定されるものでなく、角度分解能の高いエンコーダを用いてもよいし、あるいは安価なホール素子を用いてもよい。ホール素子は、レゾルバやエンコーダに比べて角度分解能が劣るため、正弦波駆動方式に用いる場合にはホール素子の信号の変化や算出した回転速度から回転角を推定する処理回路等を併用する。
【0026】
インバータ装置17を構成する電源回路17A及びインバータ17Bは、車両12の電源から供給される直流電力を、マイコン16が回転角センサの出力に基づいて決定した、ロータの回転角に見合ったデューティ比やスイッチング動作のパターンに従って回路動作し、同期電動機であるブラシレスDCモータ5に駆動用の正弦波電流を供給する。すなわち、電源回路17A及びインバータ17Bは、図5に示されるように、6つのスイッチング素子21で構成したブリッジ回路によって電流のオンとオフを繰り返し、電源回路17Aと協調して疑似的に三相の正弦波交流電流を作り出す。電源回路17A及びインバータ17Bによって生成された正弦波交流電流は、ブラシレスDCモータ5の各ステータコイル18(U相、V相、W相)を流れる。ブラシレスDCモータ5の各ステータコイル18に正弦波交流電流が流れて磁界が発生し、永久磁石を擁するロータ19が回転する。なお、ブラシレスDCモータ5は、図5では2ポールの三相式で示されているが、このような態様に限定されるものでなく、例えば、4ポール(2極対)以上でもよい。
【0027】
ロータ19の角度は、回転角センサであるレゾルバ20によって検出する。レゾルバ20は、ブラシレスDCモータ5のロータに直結された励磁コイル(回転子)が回転した際に生ずる、2つの検出コイル(固定子)が出力する正弦波電流を測定することにより、ブラシレスDCモータ5のロータの回転角を検出する。マイコン16は、レゾルバ20の出力に基づいて電源回路17Aとインバータ17Bを制御し、ブラシレスDCモータ5を駆動する正弦波交流電流を作り出す。
【0028】
例えば、ブラシレスDCモータ5が2ポール(1極対)の三相式モータの場合、マイコン16は、基本的に、特定のステータコイル18の磁極が、当該ステータコイル18に接近するロータ19の磁極と異極になり、当該ステータコイル18から離れるロータ19の磁極と同極になるように各スイッチング素子21を動作させ、各ステータコイル18を流れる電流を制御することになる。
【0029】
ところで、DCブラシレスモータの回転数を変動させる要因は、モータに印加する電圧が支配的であるが、回転角センサの取り付け位置(取り付け角)によっても変動する。例えば、レゾルバ20が正しい位置に取り付けられて場合、ステータコイル18の磁性は次
のようなタイミングで切り替わる。例えば、ロータ19が右に回転している図6の例であれば、ロータ19の永久磁石のN極がステータコイル18に接近するタイミングでステータコイル18がS極になり、ロータ19の永久磁石のN極がステータコイル18から離れるタイミングでステータコイル18がN極になるように、ステータコイル18の磁性が切り替わる。これにより、互いに異極のロータ19の磁極とステータコイル18の磁極との間で吸引する磁力が生じ、互いに同極のロータ19の磁極とステータコイル18の磁極との間で反発する磁力が生じて、ロータ19が回転する。
【0030】
ところが、レゾルバ20の取り付け位置に誤差があり、例えば、ステータコイル18の磁性の切り替わるタイミングが規定よりも早いと、図7に示すように、ロータ19の永久磁石のN極がステータコイル18を通過し切る前にステータコイル18がN極になり、ロータ19の回転数が上がってしまう。
【0031】
ブレーキペダル27が踏み込まれると、ECU15から各輪のモータドライバ13へ同じ値のブレーキ要求値が送られるが、レゾルバ20の取り付け位置は各輪のブラシレスDCモータ5間で誤差があるため、例えば図8に示すように、左側の車輪を制動するLH用のブラシレスDCモータ5と、右側の車輪を制動するRH用のブラシレスDCモータ5との間でロータ19の回転数に誤差が生じる。なお、レゾルバ20の取り付け位置の誤差によって生じる回転数の誤差は、図8(A)と図8(B)とを比較すると明らかなように、CW(Clock Wise)方向に回転する場合とCCW(Counter Clock Wise)方向に回転する場合とで互いに逆転する。これは、取り付け誤差をα(deg)とし、進み角をβ(deg)とすると、例えば、CW(Clock Wise)方向に回転する場合の回転角はα(deg)+β(deg)となるのに対し、CCW(Counter Clock Wise)方向に回転する場合の回転角はα(deg)−β(deg)となり、真の進み角が回転方向によって異なるためである。
【0032】
このような回転数の誤差は、車両12を制動する際の電動ブレーキ1の応答性に影響する。例えば、ブレーキペダル27が踏み込まれてストロークシミュレータ14が計測値をECU15へ送り、制動力要求値を出力するまでの制御ゲインをLH側の電動ブレーキ1で調整した場合、LH側の電動ブレーキ1では、図9に示すようにオーバーシュートの無い良好なカーブを描いた軸力が軸力センサ6によって検出される。しかし、RH側の電動ブレーキ1のブラシレスDCモータ5の回転数が、例えば、LH側の電動ブレーキ1のブラシレスDCモータ5の回転数よりも高い特性の場合、LH側よりもRH側の方がブレーキパッド2を押圧するタイミングが早くなるため、軸力がオーバーシュートしたのちに収束する。これにより、ブレーキペダル27を踏み込んだ際、LH側とRH側との間で制動力に誤差が生じて車両12の安定性に影響し、乗員に違和感を与えることになる。
【0033】
そこで、本実施形態では、センサの取り付け位置の誤差に起因する、各電動ブレーキ1のブラシレスDCモータ5間の回転数のばらつきを抑制するため、モータドライバ13を次のように調整する。下記に示す調整処理は、車両12への組み付け時やブレーキパッド2等の部品交換時などに行う。
【0034】
モータドライバ13を調整する調整装置の構成を図10に示す。調整装置22は、図10に示すように、プロセッサ23やメモリ24、入出力インターフェース25を備えている。調整装置22は、入出力インターフェース25を介して、調整対象のモータドライバ13、電動ブレーキ1に用いる際にモータドライバ13に接続されるブラシレスDCモータ5に接続されている。なお、下記に示す調整処理は、調整装置22が主体的に実行する態様に限定されるものではなく、例えば、モータドライバ13のマイコン16が実行してもよい。ただし、調整処理は、ブラシレスDCモータ5に負荷がかからない状態で実現される必要があるため、例えば、ブラシレスDCモータ5が電動ブレーキ1に組みつけられた状態で上記調整処理を実行するには、ブラシレスDCモータ5を電動ブレーキ1に組み
付けない状態で行なうか、或いは、電動ブレーキ1を減速機4と切り離すクラッチ等を設け、調整処理の際にブラシレスDCモータ5に負荷がかからないようにする必要がある。
【0035】
プロセッサ23は、メモリ24にロードされたコンピュータプログラムを実行して後述の調整処理を実行する。メモリ24にロードされるコンピュータプログラムは、ハードディスク装置や外部記憶装置等の不揮発性記憶媒体に格納されており、プロセッサ23がこれらの記憶媒体にアクセスしてメモリ24上に展開する。プロセッサ23は、モータドライバ13の電源回路17Aやインバータ17Bを、変数の大きさに応じた既定のパターンに従って回路動作させることが可能であり、この変数をインクリメントあるいはデクリメントさせることにより、ブラシレスDCモータ5のロータを任意の電気角にすることができる。以下、プロセッサ23が実行する処理の内容を、図11の処理フロー図に沿って説明する。
【0036】
(ステップS101)プロセッサ23は、コンピュータプログラムの実行を開始すると、変数を初期化する。本処理フローでは、ブラシレスDCモータ5のロータを、極対数分だけ取得される、電気角が所定の電気角(以下、360°を例に説明する)となる位置にいる際に回転角センサが出力する出力値を、機械角が360°に達するまで集計し、その平均値を算出する。平均値の算出は、CW方向とCCW方向にそれぞれ行なうため、本処理フローでは、CW方向の平均値を得るための変数を「ave_angle_cw」とし、CCW方向の平均値を得るための変数を「ave_angle_ccw」とする。そこで、プロセッサ23は、コ
ンピュータプログラムの実行を開始すると、変数「ave_angle_cw」と変数「ave_angle_ccw」の初期値を0にする。
【0037】
(ステップS102)プロセッサ23は、モータドライバ13を作動させて、ブラシレスDCモータ5のロータをCW方向に回し、電源回路17Aおよびインバータ17Bが出力する正弦波交流電流において電気角で360°となる位置にする。
【0038】
(ステップS103)プロセッサ23は、レゾルバ20の出力値を計測する。レゾルバ20が、例えば10ビットの信号を出力するものであれば、レゾルバ20の分解能は、2の10乗の1024となる。この場合、レゾルバ20の取り付け位置が高精度で誤差の無いようなものであれば、ブラシレスDCモータ5のロータを機械角で90°だけ回転させると、回転角センサの出力値が1024だけインクリメントすることになる。
【0039】
(ステップS104)プロセッサ23は、計測したレゾルバ20の出力値を極対数で除算する。ブラシレスDCモータ5が、例えば8ポール(極対数4)であれば、計測したレゾルバ20の出力値を4で除算する。極対数は、ブラシレスDCモータ5の仕様に基づいて調整装置22に予め設定しておく。
【0040】
(ステップS105)プロセッサ23は、レゾルバ20の出力値を極対数で除算した算出値を変数「ave_angle_cw」に加算する。
【0041】
(ステップS106)プロセッサ23は、上記ステップS102からステップS105までの処理を、極対数分だけ繰り返したか否かを判定する。判定は、例えば、上記ステップS102からステップS105を実行した際にインクリメントした変数の値が極対数を超えたか否かに基づいて判定する。電気角が360°となる位置にブラシレスDCモータ5のロータを回す処理を極対数分繰り返すと、ブラシレスDCモータ5のロータが一周することになる。
【0042】
(ステップS107)プロセッサ23は、上記ステップS106の判定結果が肯定判定だった場合、ブラシレスDCモータ5のロータを、電気角が360°となる位置までCW
方向に回す。
【0043】
なお、上記ステップS102からステップS106までの処理を極対数分だけ繰り返したことにより、変数「ave_angle_cw」の最終的な値が確定したことになる。そこで、プロセッサ23は、次に、ブラシレスDCモータ5のロータをCCW方向に回しながら上記ステップS102からステップS106までと同様の処理を実行し、変数「ave_angle_ccw
」の最終的な値を確定させる。
【0044】
すなわち、プロセッサ23は、モータドライバ13を作動させて、ブラシレスDCモータ5のロータをCCW方向に回し、電気角で360°となる位置にする(ステップS108)。次に、プロセッサ23は、レゾルバ20の出力値を計測する(ステップS109)。次に、プロセッサ23は、計測したレゾルバ20の出力値を極対数で除算する(ステップS110)。次に、プロセッサ23は、レゾルバ20の出力値を極対数で除算した算出値を変数「ave_angle_ccw」に加算する(ステップS111)。次に、プロセッサ23は
、上記ステップS108からステップS111までの処理を、極対数分だけ繰り返したか否かを判定する(ステップS112)。
【0045】
(ステップS113)上記ステップS112の判定結果が肯定判定だった場合、上記ステップS108からステップS111までの処理を極対数分だけ繰り返したことにより、変数「ave_angle_ccw」の最終的な値が確定したことになる。そこで、プロセッサ23は
、上記ステップS112の判定結果が肯定判定だった場合、変数「ave_angle_cw」の値をCW方向に回転させる際のオフセット値、変数「ave_angle_ccw」の値をCCW方向に回
転させる際のオフセット値として、モータドライバ13の不揮発性記憶領域(例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等)に格納する
。
【0046】
プロセッサ23が上記一連の処理を実行することにより、図12に示すように、ブラシレスDCモータ5のロータをCW方向に回した際に4つ、CCW方向に回した際に4つの、計8つのデータがサンプリングされることになる。また、モータドライバ13の記憶領域に格納された変数「ave_angle_cw」の値が、ブラシレスDCモータ5をCW方向に回転させる際に電源回路17Aおよびインバータ17Bが生成する正弦波交流電流の位相のオフセット値として参照され、記憶領域に格納された変数「ave_angle_ccw」の値が、ブラ
シレスDCモータ5をCCW方向に回転させる際に電源回路17Aおよびインバータ17Bが生成する正弦波交流電流の位相のオフセット値として参照されることにより、センサの取り付け位置の精度のばらつきに起因するブラシレスDCモータ5間の回転数のばらつきを抑制できる。
【0047】
オフセット値をこのように設定したモータドライバ13を電動ブレーキ1に用いれば、例えば、図13に示すように回転数の誤差が小さくなり、結果として図9に見られる応答性の差異、オーバーシュートが無くなり、ブレーキペダル27を踏み込んだ際に生じるLH側とRH側との間の制動力の誤差が小さくなる。すなわち、ブレーキペダル27が踏み込まれると、ECU15から各輪のモータドライバ13へ同じ値のブレーキ要求値が送られるが、レゾルバ20の取り付け位置の誤差に起因するブラシレスDCモータ5の回転数の誤差が生じないよう、上記調整装置22によって各モータドライバ13にオフセット値が設定されているため、レゾルバ20の取り付け位置の誤差に伴う各ブラシレスDCモータ5の真の進み角の齟齬が解消される。よって、例えば図13に示すように、左側の車輪を制動するLH用のブラシレスDCモータ5と、右側の車輪を制動するRH用のブラシレスDCモータ5との間で生じるロータ19の回転数の誤差が小さく、結果として図9に見られる応答性の差異、オーバーシュートが無くなり、ブレーキペダル27を踏み込んだ際、LH側とRH側との間で制動力に誤差が生じることもなく、車両12を安定的に制動す
ることができる。
【0048】
なお、ブラシレスDCモータ5は、上記電動ブレーキ1への適用に限定されるものではない。上記電動ブレーキ1のように、複数のモータ間で回転数の誤差が小さいことが望まれる環境で使用される場合に好適であるが、単体で使用されるブラシレスDCモータ5の進角調整に用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・電動ブレーキ,2・・ブレーキパッド,3・・ボールスクリュ,4・・減速機,5・・ブラシレスDCモータ,6・・軸力センサ,7・・機械保持機構,8・・自己倍力機構,9・・ソレノイド,10・・ラッチ,11・・ケース,12・・車両,13・・モータドライバ,14・・ストロークシミュレータ,15・・ECU,16・・マイコン,17・・インバータ装置,17A・・電源回路,17B・・インバータ,18・・ステータコイル,19・・ロータ,20・・レゾルバ,21・・スイッチング素子,22・・調整装置,23・・プロセッサ,24・・メモリ,25・・入出力インターフェース,27・・ブレーキペダル,28・・ディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置、調整方法、調整プログラム、及びブラシレスDCモータの制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子制御技術の発達に伴い、制御性や耐久性に優れるブラシレスDC(Direct Current)モータが普及している。ブラシレスDCモータは、ステータのコイルの電流の向きを逐次切り替えることで、永久磁石を設けたロータを回転させており、ロータの回転位置を検知するレゾルバやホール素子等のセンサによってスイッチング回路の動作タイミングを決定している。よって、ロータの位置を検知するセンサの取り付け位置の精度は、モータの単位時間あたりの回転数(以下、単に回転数という)やトルクに影響を与える。
【0003】
センサの取り付け位置の精度を補う技術として、例えば、特許文献1に開示されているような、コイルに直流電流を流してロータを特定の位置に停止させ、その際のセンサの出力に基づいて特定した補正値を使ってモータを制御するものがある。その他、センサの取り付け位置の誤差を特定する技術としては、例えば、特許文献2に開示されているようなモータの回転数から特定するものや、特許文献3に開示されているような電流指令値と実電流値との相関から特定するものや、特許文献4に開示されているような一定時間経過後の推定角度と実角度との相関から特定するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−128484号公報
【特許文献2】特開2007−228700号公報
【特許文献3】特開2008−278575号公報
【特許文献4】特開2010−283925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
制御性や耐久性に優れるブラシレスDCモータは、ロータの回転位置を検知するセンサの位置の精度が、モータの回転数やトルクに影響する。このため、例えば車両を各輪の電動ブレーキで制動する場合のように、左右の車輪をそれぞれ別のブラシレスDCモータで制御しようとする場合、各モータで特性にばらつきがあると、制御しようとする対象物の挙動が不安定になる虞がある。
【0006】
本願は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ブラシレスDCモータの回転数のばらつきを抑制するブラシレスDCモータの制御回路の調整装置、調整方法、調整プログラム、及びブラシレスDCモータの制御回路を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力の平均から、ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値を得ることにした。
【0008】
詳細には、ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置であって、前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレ
スDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定する処理部を備える。
【0009】
各モータ間で回転角センサの取り付け位置に誤差がある場合、それが進み角の誤差となるため、各モータの回転数に誤差が生じる。
【0010】
そこで、上記調整装置は、ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を極対数分取得し、取得した出力値の平均値をオフセット値として制御回路に設定することにより、各モータ間の回転数の誤差を小さくする。これにより、モータの回転数のばらつきを抑制できる。
【0011】
また、前記処理部は、前記ロータが電気角で1周する際の回路動作を前記制御回路に極対数分だけ実行させることにより、前記ロータを前記所定の電気角にした際の前記回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記オフセット値として前記制御回路に設定するものであってもよい。
【0012】
ロータが電気角で1周する際の回路動作を制御回路に極対数分だけ実行させれば、回転角センサの出力に関わらず、ロータが機械角で1周して元の位置に戻ることになる。よって、ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を極対数分取得し、取得した出力値の平均値をオフセット値として制御回路に設定することにより、モータの回転数のばらつきを抑制できる。
【0013】
また、前記処理部は、前記ブラシレスDCモータを駆動して前記ロータを何れか一の方向へ回して取得した前記平均値を、前記ロータを前記何れか一の方向へ回転させる際の前記オフセット値として前記制御回路に設定し、前記ブラシレスDCモータを駆動して前記ロータを何れか他の方向へ回して取得した前記平均値を、前記ロータを前記何れか他の方向へ回転させる際の前記オフセット値として前記制御回路に設定するものであってもよい。これによれば、ブラシレスDCモータを何れの方向に回転させても、回転数のばらつきを抑制できる。
【0014】
また、前記回転角センサは、前記ロータの回転角を検知するレゾルバであってもよい。レゾルバの場合、ロータの回転角を高分解能で得ることができるため、上記平均値をオフセット値として上記制御回路に設定し、モータの回転数のばらつきを抑制するのに好適である。
【0015】
また、前記ブラシレスDCモータは、車両を制動する電動ブレーキ用のモータであれば、モータの回転数のばらつきの抑制により、制動時の車両の挙動を十分に安定させることができる。
【0016】
なお、本発明は、方法やプログラム、ブラシレスDCモータの制御回路の側面から捉えることもできる。本発明は、例えば、ブラシレスDCモータの制御回路の調整方法であって、前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定するものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
ブラシレスDCモータの回転数のばらつきを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電動ブレーキの構造図である。
【図2A】機械保持機構を備えた電動ブレーキの構造図である。
【図2B】自己倍力機構を備えた電動ブレーキの構造図である。
【図3】電動ブレーキの適用例を示した図である。
【図4】モータドライバの構成図である。
【図5】2ポール(1極対)で三相式のモータの回路図である。
【図6】ロータの磁極とステータのコイルの磁性との関係を示した第一の図である。
【図7】ロータの磁極とステータのコイルの磁性との関係を示した第二の図である。
【図8】モータの回転数の相違を示したグラフである(調整前)。
【図9】制動力の相違を示したグラフである(調整前)。
【図10】調整装置の構成図である。
【図11】調整装置のプロセッサが実行する処理フロー図である。
【図12】データのサンプリング点を示した図である。
【図13】モータの回転数の相違を示したグラフである(調整後)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明の実施形態について説明する。電動ブレーキ1の構造を図1に示す。電動ブレーキ1は、ディスクブレーキであり、車軸に取り付けられているディスク28を挟持して摩擦力を発生させるブレーキパッド2、ブレーキパッド2のプレッシャプレートを押圧するボールスクリュ3、減速機4を介してボールスクリュ3を回転駆動させるブラシレスDCモータ5、ボールスクリュ3に加わる軸力を検出するための軸力センサ6を備える。
【0020】
なお、電動ブレーキ1は、図2Aに示すように、駐車ブレーキとして用いるための機械保持機構(保持機)7や、図2Bに示すように、制動力を高めるための自己倍力機構8を備えるものであってもよい。機械保持機構7は、ソレノイド9やラッチ10、ケース11を有しており、ソレノイド9の励磁状態に応じてスライドするラッチ10がブラシレスDCモータ5のロータ軸上に取り付けられたラッチ用のギアに噛み合ってブラシレスDCモータ5のロータの遊転を規制する。また、自己倍力機構8は、ブレーキパッド2がディスク28に押圧された際の摩擦力によって生じる、ブレーキパッド2をディスク28の回転方向へ移動させるラジアル方向の力を傾斜面で受けることにより、ラジアル方向に作用する力をスラスト方向に転換してブレーキパッド2の押圧力を高める機構である。
【0021】
電動ブレーキ1の適用例を図3に示す。電動ブレーキ1は、例えば、図3に示すように、車両12の各輪に取り付けて車両を制動する。ここで、電動ブレーキ1のブラシレスDCモータ5は、制御性や耐久性に優れる直流のブラシレスモータであり、車両12には、ブラシレスDCモータ5を正弦波駆動方式によって制御するモータドライバ13が各輪に対応して設けられている。なお、モータドライバ13は、ブラシレスDCモータ5を正弦波の電流で駆動するもののみならず、例えば、矩形波の電流で制御するものであってもよい。
【0022】
車両12は4輪自動車であり、電動ブレーキ1やモータドライバ13も各輪に取り付けられているため、以下、特定の車輪について説明する場合は、左側の車輪に対応するものに符号LH(Left Hand)、右側の車輪に対応するものに符号RH(Right Hand)を付す
。また、左側の車輪のうち、特に前輪側を示す場合は符号FL、後輪側を示す場合は符号RL、右側の車輪のうち、特に前輪側を示す場合は符号FR、後輪側を示す場合は符号RRを付す。もっとも、電動ブレーキ1が適用される車両12は、このような4輪自動車に限定されるものでなく、2〜3輪自動車、あるいは5輪以上の自動車であってもよい。
【0023】
各モータドライバ13には、ブレーキペダル27の踏み込み量と踏力を検知するストロークシミュレータ14の計測値に基づいてECU15が算出した制動力要求値が入力される。モータドライバ13の構成を図4に示す。モータドライバ13は、入力された数値データに基づいて各種の演算処理を行うマイクロコンピュータ(microcomputer:以下、マ
イコンという)16と、マイコン16の指令に応じた電力を供給する電源回路およびインバータからなるインバータ装置17とを備える。
【0024】
マイコン16には、演算回路や記憶回路、入出力回路等が備わっており、ECU15から送られる制動力要求値や軸力センサ6から送られる軸力値、ブラシレスDCモータ5に設けられている回転角センサ(レゾルバ)によって得たブラシレスDCモータ5のロータの回転角情報が入力されると、適当なデューティ比にパルス幅を調整した正弦波電流を電源回路17Aに生成させ、インバータ17Bのスイッチング素子をロータの位置に合わせて適当に動作させる。
【0025】
なお、本実施形態では、車両のブレーキに適用する関係上、回転角センサとして耐久性に優れるレゾルバを例示しているが、回転角センサはレゾルバに限定されるものでなく、角度分解能の高いエンコーダを用いてもよいし、あるいは安価なホール素子を用いてもよい。ホール素子は、レゾルバやエンコーダに比べて角度分解能が劣るため、正弦波駆動方式に用いる場合にはホール素子の信号の変化や算出した回転速度から回転角を推定する処理回路等を併用する。
【0026】
インバータ装置17を構成する電源回路17A及びインバータ17Bは、車両12の電源から供給される直流電力を、マイコン16が回転角センサの出力に基づいて決定した、ロータの回転角に見合ったデューティ比やスイッチング動作のパターンに従って回路動作し、同期電動機であるブラシレスDCモータ5に駆動用の正弦波電流を供給する。すなわち、電源回路17A及びインバータ17Bは、図5に示されるように、6つのスイッチング素子21で構成したブリッジ回路によって電流のオンとオフを繰り返し、電源回路17Aと協調して疑似的に三相の正弦波交流電流を作り出す。電源回路17A及びインバータ17Bによって生成された正弦波交流電流は、ブラシレスDCモータ5の各ステータコイル18(U相、V相、W相)を流れる。ブラシレスDCモータ5の各ステータコイル18に正弦波交流電流が流れて磁界が発生し、永久磁石を擁するロータ19が回転する。なお、ブラシレスDCモータ5は、図5では2ポールの三相式で示されているが、このような態様に限定されるものでなく、例えば、4ポール(2極対)以上でもよい。
【0027】
ロータ19の角度は、回転角センサであるレゾルバ20によって検出する。レゾルバ20は、ブラシレスDCモータ5のロータに直結された励磁コイル(回転子)が回転した際に生ずる、2つの検出コイル(固定子)が出力する正弦波電流を測定することにより、ブラシレスDCモータ5のロータの回転角を検出する。マイコン16は、レゾルバ20の出力に基づいて電源回路17Aとインバータ17Bを制御し、ブラシレスDCモータ5を駆動する正弦波交流電流を作り出す。
【0028】
例えば、ブラシレスDCモータ5が2ポール(1極対)の三相式モータの場合、マイコン16は、基本的に、特定のステータコイル18の磁極が、当該ステータコイル18に接近するロータ19の磁極と異極になり、当該ステータコイル18から離れるロータ19の磁極と同極になるように各スイッチング素子21を動作させ、各ステータコイル18を流れる電流を制御することになる。
【0029】
ところで、DCブラシレスモータの回転数を変動させる要因は、モータに印加する電圧が支配的であるが、回転角センサの取り付け位置(取り付け角)によっても変動する。例えば、レゾルバ20が正しい位置に取り付けられて場合、ステータコイル18の磁性は次
のようなタイミングで切り替わる。例えば、ロータ19が右に回転している図6の例であれば、ロータ19の永久磁石のN極がステータコイル18に接近するタイミングでステータコイル18がS極になり、ロータ19の永久磁石のN極がステータコイル18から離れるタイミングでステータコイル18がN極になるように、ステータコイル18の磁性が切り替わる。これにより、互いに異極のロータ19の磁極とステータコイル18の磁極との間で吸引する磁力が生じ、互いに同極のロータ19の磁極とステータコイル18の磁極との間で反発する磁力が生じて、ロータ19が回転する。
【0030】
ところが、レゾルバ20の取り付け位置に誤差があり、例えば、ステータコイル18の磁性の切り替わるタイミングが規定よりも早いと、図7に示すように、ロータ19の永久磁石のN極がステータコイル18を通過し切る前にステータコイル18がN極になり、ロータ19の回転数が上がってしまう。
【0031】
ブレーキペダル27が踏み込まれると、ECU15から各輪のモータドライバ13へ同じ値のブレーキ要求値が送られるが、レゾルバ20の取り付け位置は各輪のブラシレスDCモータ5間で誤差があるため、例えば図8に示すように、左側の車輪を制動するLH用のブラシレスDCモータ5と、右側の車輪を制動するRH用のブラシレスDCモータ5との間でロータ19の回転数に誤差が生じる。なお、レゾルバ20の取り付け位置の誤差によって生じる回転数の誤差は、図8(A)と図8(B)とを比較すると明らかなように、CW(Clock Wise)方向に回転する場合とCCW(Counter Clock Wise)方向に回転する場合とで互いに逆転する。これは、取り付け誤差をα(deg)とし、進み角をβ(deg)とすると、例えば、CW(Clock Wise)方向に回転する場合の回転角はα(deg)+β(deg)となるのに対し、CCW(Counter Clock Wise)方向に回転する場合の回転角はα(deg)−β(deg)となり、真の進み角が回転方向によって異なるためである。
【0032】
このような回転数の誤差は、車両12を制動する際の電動ブレーキ1の応答性に影響する。例えば、ブレーキペダル27が踏み込まれてストロークシミュレータ14が計測値をECU15へ送り、制動力要求値を出力するまでの制御ゲインをLH側の電動ブレーキ1で調整した場合、LH側の電動ブレーキ1では、図9に示すようにオーバーシュートの無い良好なカーブを描いた軸力が軸力センサ6によって検出される。しかし、RH側の電動ブレーキ1のブラシレスDCモータ5の回転数が、例えば、LH側の電動ブレーキ1のブラシレスDCモータ5の回転数よりも高い特性の場合、LH側よりもRH側の方がブレーキパッド2を押圧するタイミングが早くなるため、軸力がオーバーシュートしたのちに収束する。これにより、ブレーキペダル27を踏み込んだ際、LH側とRH側との間で制動力に誤差が生じて車両12の安定性に影響し、乗員に違和感を与えることになる。
【0033】
そこで、本実施形態では、センサの取り付け位置の誤差に起因する、各電動ブレーキ1のブラシレスDCモータ5間の回転数のばらつきを抑制するため、モータドライバ13を次のように調整する。下記に示す調整処理は、車両12への組み付け時やブレーキパッド2等の部品交換時などに行う。
【0034】
モータドライバ13を調整する調整装置の構成を図10に示す。調整装置22は、図10に示すように、プロセッサ23やメモリ24、入出力インターフェース25を備えている。調整装置22は、入出力インターフェース25を介して、調整対象のモータドライバ13、電動ブレーキ1に用いる際にモータドライバ13に接続されるブラシレスDCモータ5に接続されている。なお、下記に示す調整処理は、調整装置22が主体的に実行する態様に限定されるものではなく、例えば、モータドライバ13のマイコン16が実行してもよい。ただし、調整処理は、ブラシレスDCモータ5に負荷がかからない状態で実現される必要があるため、例えば、ブラシレスDCモータ5が電動ブレーキ1に組みつけられた状態で上記調整処理を実行するには、ブラシレスDCモータ5を電動ブレーキ1に組み
付けない状態で行なうか、或いは、電動ブレーキ1を減速機4と切り離すクラッチ等を設け、調整処理の際にブラシレスDCモータ5に負荷がかからないようにする必要がある。
【0035】
プロセッサ23は、メモリ24にロードされたコンピュータプログラムを実行して後述の調整処理を実行する。メモリ24にロードされるコンピュータプログラムは、ハードディスク装置や外部記憶装置等の不揮発性記憶媒体に格納されており、プロセッサ23がこれらの記憶媒体にアクセスしてメモリ24上に展開する。プロセッサ23は、モータドライバ13の電源回路17Aやインバータ17Bを、変数の大きさに応じた既定のパターンに従って回路動作させることが可能であり、この変数をインクリメントあるいはデクリメントさせることにより、ブラシレスDCモータ5のロータを任意の電気角にすることができる。以下、プロセッサ23が実行する処理の内容を、図11の処理フロー図に沿って説明する。
【0036】
(ステップS101)プロセッサ23は、コンピュータプログラムの実行を開始すると、変数を初期化する。本処理フローでは、ブラシレスDCモータ5のロータを、極対数分だけ取得される、電気角が所定の電気角(以下、360°を例に説明する)となる位置にいる際に回転角センサが出力する出力値を、機械角が360°に達するまで集計し、その平均値を算出する。平均値の算出は、CW方向とCCW方向にそれぞれ行なうため、本処理フローでは、CW方向の平均値を得るための変数を「ave_angle_cw」とし、CCW方向の平均値を得るための変数を「ave_angle_ccw」とする。そこで、プロセッサ23は、コ
ンピュータプログラムの実行を開始すると、変数「ave_angle_cw」と変数「ave_angle_ccw」の初期値を0にする。
【0037】
(ステップS102)プロセッサ23は、モータドライバ13を作動させて、ブラシレスDCモータ5のロータをCW方向に回し、電源回路17Aおよびインバータ17Bが出力する正弦波交流電流において電気角で360°となる位置にする。
【0038】
(ステップS103)プロセッサ23は、レゾルバ20の出力値を計測する。レゾルバ20が、例えば10ビットの信号を出力するものであれば、レゾルバ20の分解能は、2の10乗の1024となる。この場合、レゾルバ20の取り付け位置が高精度で誤差の無いようなものであれば、ブラシレスDCモータ5のロータを機械角で90°だけ回転させると、回転角センサの出力値が1024だけインクリメントすることになる。
【0039】
(ステップS104)プロセッサ23は、計測したレゾルバ20の出力値を極対数で除算する。ブラシレスDCモータ5が、例えば8ポール(極対数4)であれば、計測したレゾルバ20の出力値を4で除算する。極対数は、ブラシレスDCモータ5の仕様に基づいて調整装置22に予め設定しておく。
【0040】
(ステップS105)プロセッサ23は、レゾルバ20の出力値を極対数で除算した算出値を変数「ave_angle_cw」に加算する。
【0041】
(ステップS106)プロセッサ23は、上記ステップS102からステップS105までの処理を、極対数分だけ繰り返したか否かを判定する。判定は、例えば、上記ステップS102からステップS105を実行した際にインクリメントした変数の値が極対数を超えたか否かに基づいて判定する。電気角が360°となる位置にブラシレスDCモータ5のロータを回す処理を極対数分繰り返すと、ブラシレスDCモータ5のロータが一周することになる。
【0042】
(ステップS107)プロセッサ23は、上記ステップS106の判定結果が肯定判定だった場合、ブラシレスDCモータ5のロータを、電気角が360°となる位置までCW
方向に回す。
【0043】
なお、上記ステップS102からステップS106までの処理を極対数分だけ繰り返したことにより、変数「ave_angle_cw」の最終的な値が確定したことになる。そこで、プロセッサ23は、次に、ブラシレスDCモータ5のロータをCCW方向に回しながら上記ステップS102からステップS106までと同様の処理を実行し、変数「ave_angle_ccw
」の最終的な値を確定させる。
【0044】
すなわち、プロセッサ23は、モータドライバ13を作動させて、ブラシレスDCモータ5のロータをCCW方向に回し、電気角で360°となる位置にする(ステップS108)。次に、プロセッサ23は、レゾルバ20の出力値を計測する(ステップS109)。次に、プロセッサ23は、計測したレゾルバ20の出力値を極対数で除算する(ステップS110)。次に、プロセッサ23は、レゾルバ20の出力値を極対数で除算した算出値を変数「ave_angle_ccw」に加算する(ステップS111)。次に、プロセッサ23は
、上記ステップS108からステップS111までの処理を、極対数分だけ繰り返したか否かを判定する(ステップS112)。
【0045】
(ステップS113)上記ステップS112の判定結果が肯定判定だった場合、上記ステップS108からステップS111までの処理を極対数分だけ繰り返したことにより、変数「ave_angle_ccw」の最終的な値が確定したことになる。そこで、プロセッサ23は
、上記ステップS112の判定結果が肯定判定だった場合、変数「ave_angle_cw」の値をCW方向に回転させる際のオフセット値、変数「ave_angle_ccw」の値をCCW方向に回
転させる際のオフセット値として、モータドライバ13の不揮発性記憶領域(例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等)に格納する
。
【0046】
プロセッサ23が上記一連の処理を実行することにより、図12に示すように、ブラシレスDCモータ5のロータをCW方向に回した際に4つ、CCW方向に回した際に4つの、計8つのデータがサンプリングされることになる。また、モータドライバ13の記憶領域に格納された変数「ave_angle_cw」の値が、ブラシレスDCモータ5をCW方向に回転させる際に電源回路17Aおよびインバータ17Bが生成する正弦波交流電流の位相のオフセット値として参照され、記憶領域に格納された変数「ave_angle_ccw」の値が、ブラ
シレスDCモータ5をCCW方向に回転させる際に電源回路17Aおよびインバータ17Bが生成する正弦波交流電流の位相のオフセット値として参照されることにより、センサの取り付け位置の精度のばらつきに起因するブラシレスDCモータ5間の回転数のばらつきを抑制できる。
【0047】
オフセット値をこのように設定したモータドライバ13を電動ブレーキ1に用いれば、例えば、図13に示すように回転数の誤差が小さくなり、結果として図9に見られる応答性の差異、オーバーシュートが無くなり、ブレーキペダル27を踏み込んだ際に生じるLH側とRH側との間の制動力の誤差が小さくなる。すなわち、ブレーキペダル27が踏み込まれると、ECU15から各輪のモータドライバ13へ同じ値のブレーキ要求値が送られるが、レゾルバ20の取り付け位置の誤差に起因するブラシレスDCモータ5の回転数の誤差が生じないよう、上記調整装置22によって各モータドライバ13にオフセット値が設定されているため、レゾルバ20の取り付け位置の誤差に伴う各ブラシレスDCモータ5の真の進み角の齟齬が解消される。よって、例えば図13に示すように、左側の車輪を制動するLH用のブラシレスDCモータ5と、右側の車輪を制動するRH用のブラシレスDCモータ5との間で生じるロータ19の回転数の誤差が小さく、結果として図9に見られる応答性の差異、オーバーシュートが無くなり、ブレーキペダル27を踏み込んだ際、LH側とRH側との間で制動力に誤差が生じることもなく、車両12を安定的に制動す
ることができる。
【0048】
なお、ブラシレスDCモータ5は、上記電動ブレーキ1への適用に限定されるものではない。上記電動ブレーキ1のように、複数のモータ間で回転数の誤差が小さいことが望まれる環境で使用される場合に好適であるが、単体で使用されるブラシレスDCモータ5の進角調整に用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・電動ブレーキ,2・・ブレーキパッド,3・・ボールスクリュ,4・・減速機,5・・ブラシレスDCモータ,6・・軸力センサ,7・・機械保持機構,8・・自己倍力機構,9・・ソレノイド,10・・ラッチ,11・・ケース,12・・車両,13・・モータドライバ,14・・ストロークシミュレータ,15・・ECU,16・・マイコン,17・・インバータ装置,17A・・電源回路,17B・・インバータ,18・・ステータコイル,19・・ロータ,20・・レゾルバ,21・・スイッチング素子,22・・調整装置,23・・プロセッサ,24・・メモリ,25・・入出力インターフェース,27・・ブレーキペダル,28・・ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置であって、
前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定する処理部を備える、
ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記ロータが電気角で1周する際の回路動作を前記制御回路に極対数分だけ実行させることにより、前記ロータを前記所定の電気角にした際の前記回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記オフセット値として前記制御回路に設定する、
請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記ブラシレスDCモータを駆動して前記ロータを何れか一の方向へ回して取得した前記平均値を、前記ロータを前記何れか一の方向へ回転させる際の前記オフセット値として前記制御回路に設定し、
前記ブラシレスDCモータを駆動して前記ロータを何れか他の方向へ回して取得した前記平均値を、前記ロータを前記何れか他の方向へ回転させる際の前記オフセット値として前記制御回路に設定する、
請求項1または2に記載のブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項4】
前記回転角センサは、前記ロータの回転角を検知するレゾルバである、
請求項1から3の何れか一項に記載のブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項5】
前記ブラシレスDCモータは、車両を制動する電動ブレーキ用のモータである、
請求項1から4の何れか一項に記載のブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項6】
ブラシレスDCモータの制御回路の調整方法であって、
前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定する、
ブラシレスDCモータの制御回路の調整方法。
【請求項7】
ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置が実行する調整プログラムであって、
前記調整装置に、前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定する処理を実行させる、
ブラシレスDCモータの制御回路の調整プログラム。
【請求項8】
ブラシレスDCモータの制御回路であって、
前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定した、
ブラシレスDCモータの制御回路。
【請求項1】
ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置であって、
前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定する処理部を備える、
ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記ロータが電気角で1周する際の回路動作を前記制御回路に極対数分だけ実行させることにより、前記ロータを前記所定の電気角にした際の前記回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記オフセット値として前記制御回路に設定する、
請求項1に記載のブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記ブラシレスDCモータを駆動して前記ロータを何れか一の方向へ回して取得した前記平均値を、前記ロータを前記何れか一の方向へ回転させる際の前記オフセット値として前記制御回路に設定し、
前記ブラシレスDCモータを駆動して前記ロータを何れか他の方向へ回して取得した前記平均値を、前記ロータを前記何れか他の方向へ回転させる際の前記オフセット値として前記制御回路に設定する、
請求項1または2に記載のブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項4】
前記回転角センサは、前記ロータの回転角を検知するレゾルバである、
請求項1から3の何れか一項に記載のブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項5】
前記ブラシレスDCモータは、車両を制動する電動ブレーキ用のモータである、
請求項1から4の何れか一項に記載のブラシレスDCモータの制御回路の調整装置。
【請求項6】
ブラシレスDCモータの制御回路の調整方法であって、
前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定する、
ブラシレスDCモータの制御回路の調整方法。
【請求項7】
ブラシレスDCモータの制御回路の調整装置が実行する調整プログラムであって、
前記調整装置に、前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定する処理を実行させる、
ブラシレスDCモータの制御回路の調整プログラム。
【請求項8】
ブラシレスDCモータの制御回路であって、
前記ブラシレスDCモータを駆動してロータを所定の電気角にした際の回転角センサの出力値を前記ブラシレスDCモータの極対数分取得し、取得した出力値の平均値を、前記制御回路が前記回転角センサの信号に基づいて前記ブラシレスDCモータに給電する電流の位相を調整するオフセット値として前記制御回路に設定した、
ブラシレスDCモータの制御回路。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−17349(P2013−17349A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149840(P2011−149840)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】
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