説明

ブラジャー

【課題】 ワイヤー入りの補整機能を高めたブラジャーにおいて、長時間にわたりバストに着用しても肌に痛みを覚えることなく、かつ、バストとのフィッティング性に優れたブラジャーを提供する。
【解決手段】 ブラジャー1に内蔵した乳房形状を模した軟質ウレタンフォーム3aからなるカップ2において、軟質ウレタンフォーム3aを複数層からなる軟質ウレタンフォーム層3bとし、乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に対面するカップ2の下端部2dの複数層からなる軟質ウレタンフォーム層3bの層間3fに乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に倣って湾曲状としたワイヤー5を内蔵した鞘状紐帯6からなる紐帯ループ4を挿着して有するワイヤー入りの軟質ウレタンフォーム3aからなるカップ2を有するブラジャー1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は女性がバストに着用するブラジャーに関し、特に乳房を保持してその形状を維持し、さらに乳房形状を補整する機能を有するワイヤー入りのブラジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラジャーは、女性がバストに着用して立ち居振る舞い時に乳房が揺れ動くことを抑止する役割をし、さらには着用した女性のバストの輪郭あるいは形状を美しく見せるために乳房形状を補整する働きをし、バストの形状を美しく見せる効果を有するものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そこで現在使用されているブラジャーは、乳房のカップ状凸部の立ち上がり部とその周縁のアンダーバスト形状に沿うように、平面状の布地を立体的に裁断し、立体に縫製してカップ形状を有するブラジャーにしたり、あるいは、ブラジャーの表裏の生地をシームレスの編み地から形成し、このシームレス編み地からなる生地の中にカップ形状に成形した軟質ウレタンフォーム製のカップを内蔵させて、カップ入りのブラジャーとしている。ところで、このブラジャーは、内蔵している軟質ウレタンフォーム製のカップの周縁の乳房の立ち上がり部の下縁外周部のアンダーバスト部分の形状に倣って湾曲状に形状化したワイヤーをブラジャーの当該位置の裏面側に装着することで、乳房のカップ形状部をアンダーバスト周縁から支えて保持することでバスト形状を維持するようにしている。
【0004】
ところで、一般に販売されている全てのブラジャーの約2割のブラジャーは、上記のシームレスタイプのブラジャーであり、さらにこのシームレスブラジャーの約8割が上記のワイヤー入りのブラジャーである。
【0005】
さて、このワイヤー入りのブラジャーにおいてカップ部周縁に上記の湾曲状に形状化されたワイヤーを装着する方法は、ループと称する鞘状に形成した紐帯の鞘内に上記の湾曲状に形状化したワイヤーを挿通し、このワイヤーを鞘内に挿通して有する紐帯ループをカップの立ち上がり部の外周部の下部周縁のアンダーバストと接するブラジャーの裏面側に外部から縫製して装着している。このため、ブラジャーを身体に直接に装着するとき、ワイヤーを有する紐帯ループは直接にアンダーバストの肌と擦れることとなる。そこでこのようにブラジャーを身体に長時間にわたって装着していると、硬いワイヤーの凸部が紐帯ループの生地を通して直接に肌に当たりが感じられるようになり、終には肌に痛みを覚えるようになる問題を有していた。
【0006】
さらに、従来のカップ入りの補整機能を有するブラジャーは、それぞれ左右の乳房用として左右別々のカップをブラジャーの左右のカップ部の生地内に挿入して形成されている。このため、ブラジャーには縫製箇所による継目が僅か突出して存在し、この縫製箇所の僅かな突出部が肌に長時間触れていると、その箇所に痛みを覚える問題も有していた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−314008号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、ワイヤーを入れて補整機能を高めたブラジャーにおいて、長時間にわたりバストに着用しても肌に対して痛みを感じさせることなく、かつ、バストとのフィッティング性に優れたブラジャーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、ブラジャーに内蔵した乳房形状を模した柔軟な保形性の素材からなるカップにおいて、この柔軟な保形性の素材を複数層からなる素材層とし、乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に対面するカップの下端部の複数層からなる素材層の層間にこの乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に倣って湾曲状としたワイヤーを内蔵した鞘状紐帯からなる紐帯ループを挿着して有することを特徴とするワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャーである。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1の手段のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャーにおいて、このカップの乳房脇側部分の柔軟な保形性の素材の表面に非ストレッチ性のパネルを積層して乳房をバスト中央かつ上方に寄せる補整機能を付与したことを特徴とするワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャーである。
【0011】
請求項3の発明では、柔軟な保形性の素材からなるカップはブラジャーの左右のカップ部がそれぞれ独立に形成されていることを特徴とする請求項1又は2の手段のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャーである。
【0012】
請求項4の発明では、柔軟な保形性の素材からなるカップはブラジャーの左右のカップの中間部がカップと一体の平面部からなる柔軟な保形性の素材で連続状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2の手段のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャーである。
【0013】
請求項5の発明では、柔軟な保形性の素材は軟質ウレタンフォームからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項の手段のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャーである。
【0014】
請求項6の発明では、柔軟な保形性の素材は不織布繊維層からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項の手段のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャーである。
【発明の効果】
【0015】
上記の手段における本発明の効果を説明すると、従来のブラジャーでは軟質ウレタンフォーム製や布地製のカップの立ち上がり部の外縁のアンダーバスト部分の胸に沿う側のブラジャーの裏面にワイヤー入り紐帯ループが直接に縫製して取り付けられている。したがって、このワイヤー入り紐帯ループの硬いワイヤーの凸状の当たりがブラジャー装着時に装着者の胸面に感じられる。しかし、本願の請求項1の発明では、ブラジャーに内蔵した乳房形状を模した複数層の柔軟な保形性の素材からなるカップは、乳房下部周辺立ち上がり部に対面する複数層の柔軟な保形性の素材層の層間に、乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に倣った湾曲状のワイヤーを内蔵した鞘状の紐帯ループを挿着して有することで、この紐帯ループがカップの柔軟な保形性の素材層で被覆された状態となっているので、本発明のブラジャーを身体に装着してもワイヤー入り紐帯ループの硬い凸状の当たりを身体に感じることがなく、長時間にわたる着用でも痛みや違和感が無い。
【0016】
さらに、従来のブラジャーでは、軟質ウレタンフォームのみからなるカップを有する場合では、軟質ウレタンフォームのストレッチ性により乳房の膨らみが身体の脇から外側に逃げ、バストの形状をだらしなくするが、本発明の請求項2の発明では、カップの乳房脇側部分の柔軟な保形性の素材の表面に非ストレッチ性のパネルを積層して一体化したことにより、柔軟な保形性の素材からなるカップの脇側の部分のストレッチ性が抑えられる結果、乳房の膨らみが脇側から逃げることがなくなり、その結果、本発明のブラジャーは乳房をバスト中央かつ上方に寄せる補整機能が一層に高められている。
【0017】
さらに、請求項3の発明では、上記の請求項1または2のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材のカップを有するブラジャーおいて、柔軟な保形性の素材からなるカップは、ブラジャーの左右のカップ部分がそれぞれ独立に形成されているので、左右の乳房間のバスト間隔に合わせたカップ間隔を有するブラジャーを容易に形成することができる。
【0018】
さらに、請求項4の発明では、上記の請求項1または2のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材のカップを有するブラジャーおいて、請求項3の発明と異なり、柔軟な保形性の素材からなるカップはブラジャーの左右のカップ部分がその中間部でカップと一体に平面部からなる柔軟な保形性の素材で形成されるので、この一体ものからなるカップを装入したブラジャーは、ブラジャーの左右のカップ部分とそれらの中間部に継目を必要としない。このため本発明のブラジャーは身体の脇側のサイドボーンは有するものの、左右のバスト間には縫い目により硬くなった継目はないので、着用者のバスト間の胸の肌への縫い目からなる硬い継目による当たりがなく、このため本発明のブラジャーを長時間にわたり着用しても違和感や痛みを覚えることもない。
【0019】
さらに請求項5の発明では、上記の柔軟な保形性の素材として軟質ウレタンフォームを用いて成形した素材であるので適宜のストレッチ性があり、本発明のブラジャーは装着感に優れている。
【0020】
さらに請求項6の発明では、上記の柔軟な保形性の素材として不織布繊維層を用いて成形した素材であるので、適宜のストレッチ性のある素材とするとき、本発明のブラジャーは装着感に優れている。以上二記載したように本願の発明は、従来にない優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を、順次に図面を参照して説明する。先ず、請求項1の発明について、図1を参照して説明する。この場合、ブラジャー1に内蔵した乳房形状を模した柔軟な保形性の素材として軟質ウレタンフォーム3を使用する例とする。この軟質ウレタンフォーム3からなるカップ2において、本発明のブラジャー1は、このカップ2の軟質ウレタンフォーム3を複数層からなる軟質ウレタンフォーム層3bとして形成している。この複数層からなる軟質ウレタンフォーム層3bのカップ2において、乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に対面するカップ2の凹部2cの下端部2dの軟質ウレタンフォーム層3bの層間3fに、図3に示す、乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に倣って湾曲状としたワイヤー5を内蔵した鞘状紐帯6からなる紐帯ループ4を挿着している。ところで、この複数層の軟質ウレタンフォーム層3bからなるカップ2では、乳房を受け入れるカップ2の下端部2dの周囲に凹部2cから外側に曲折し、乳房の立ち上がり部の周縁外周の胸部面いわゆるアンダーバストと称される部分に沿う平面状の受け面2eを形成して有する。
【0022】
ところで、従来のブラジャー1では、図2の(a)に示すように、カップ2の下端部2dの周囲から外側に曲折して形成されている平面状の受け面2eのアンダーバストの箇所をブラジャー1の生地で被覆して縫製する。次いで、その縫製したブラジャー1の肌側の生地であるブラジャー1の裏生地1aの外面上に、上記の湾曲状に形状化したワイヤー5を内蔵した紐帯ループ4が縫製により直接に取り付けられている。なお、1bはブラジャー1の表生地である。このように、平面状の受け面2eの箇所のブラジャー1の裏生地1aの外面上へ直接に紐帯ループ4を取り付けたことにより、乳房周辺のアンダーバスト部分の形状が維持され、さらにこの維持により乳房形状を保持され、かつ、乳房形状を補整する。しかし、この場合、取付け縫製部分がブラジャー1の肌側面に突出した状態となっている。このため、このような従来のブラジャー1を長時間にわたり身体に装着していると、ワイヤー5の突出部分、特にワイヤー5の先端部、が直接に身体の肌に感じられ、違和感や痛みを覚えることがあった。
【0023】
さらに、図2の(b)に示すように、ワイヤー5を内蔵した紐帯ループ4は、カップ2の下端部2dの周囲から外側に曲折して形成されている平面状の受け面2eの箇所に挿入されている。このカップ2のアンダーバストの部分の平面状の受け面2eの箇所に紐帯ループ4が挿入されているものでは、肌にワイヤー5が当接することが上記に比して抑えられ、違和感や痛みは上記よりも多少和らげられるが、なお当たりをアンダーバストの肌に感じる。さらに、この図2の(b)の左右独立した左のカップ2aおよび右のカップ2bからなるものであるとき、図4に示す一体タイプのカップ2gのように、平面状受け面2eが下方まで大きく延びていないので、左のカップ2aおよび右のカップ2bをブラジャー1に挿着し、それらの左右のカップ2a、2bの周囲をブラジャー1の生地上から縫製して係止する。しかし、その際にアンダーバスト部分の平面状の受け面2eの部分はワイヤー5を内在しているので、その部分の縫製が困難となる問題がある。
【0024】
ところで、上記の請求項1の本発明の実施の形態では、ワイヤー5を内蔵する紐帯ループ4の取り付け箇所を、図2に示す従来のブラジャーのアンダーバストの胸部面に沿う平面状の受け面2eの部分ではなく、図1に示すカップ2の下端部2dである立ち上がり部自体の凹部2cの部分の軟質ウレタンフォーム層3bを形成する軟質ウレタンフォーム内層3cと軟質ウレタンフォーム外層3dの層間3fに曲状化したワイヤー5を内蔵した紐帯ループ4を挿着して取り付けるものである。この場合、紐帯ループ4にはその鞘状紐帯6の鞘の中心部にワイヤー5が存在することとなるので、紐帯ループ4の下端部にはワイヤー5は存在しない鞘状紐帯6のみからなる部分が存在する。ところで、図1に示すように、このワイヤー5の存在しない紐帯ループ4の下端の部分はワイヤー5の分だけ厚みが薄いので、この部分がカップ2の下端部2dの外周のアンダーバストの胸部面に沿った平面状の受け面2eの部分に曲折してはみ出して存在しても、その部分の厚みを増すことがないのでかまわない。
【0025】
このようにカップ2の下端部2dの外周のアンダーバストの胸部面に沿った平面状の受け面2eには、従来のブラジャーのような、形状を規制するワイヤー類は何も取り付けていないにもかかわらず、本発明のブラジャー1では、曲状化したワイヤー5を内蔵した紐帯ループ4はその形状維持力は十分に高く、したがって、図1に示すように、カップ2の下端部2dに紐帯ループ4が存在すれば、カップ2自体の形状は乳房の重みで崩れることなく維持できる。この結果、乳房形状は保持され、さらに乳房形状が補整され、かつ、紐帯ループ4は軟質ウレタンフォーム層3aの層間3fに挿着されているので乳房に違和感や痛みを覚えることがない。さらに、カップ2の紐帯ループ4を有する部分のウレタン層3aの内側面に適宜に軟質ウレタンフォーム内層3bを二重にすることで、さらに乳房に違和感や痛みを与えなくすることができる。
【0026】
請求項2の発明の実施の形態について説明する。この場合も柔軟な保形性の素材3として軟質ウレタンフォーム3aを使用する例とする。上記の請求項1の発明の実施の形態のワイヤー5入りの軟質ウレタンフォーム3aからなるカップ2を有するブラジャー1において、さらに、図4に示すように、カップ2の乳房の脇側部分に対応する軟質ウレタンフォーム3aの脇側3gの表面上に非ストレッチ性のパネル7を積層して一体化している。もちろん、このパネル7は軟質ウレタンフォーム3aと同様の柔軟な材料からなるものであるが、このパネル7は非伸縮性のものとし、その厚さは可能な限り薄いものとし、カップ2の脇側3gの厚みを厚くすることのないものとする。例えば、このパネル7の素材としては、木綿や麻など天然繊維と非伸縮性の合成繊維等から形成した非伸縮性の繊維の糸から織られた布地とする。
【0027】
もちろん、パネル7は軟質ウレタンフォーム3aからなるカップ2の柔軟性を妨げないものであれば、上記のような布地でなくとも薄い一体のシートからなるものであってもよい。カップ2のストレッチ性の軟質ウレタンフォーム3aの乳房の脇側3gの部分にこの非伸縮性の布地又はシートを糊づけすることで、軟質ウレタンフォーム3aの乳房の脇側3gの部分のストレッチ性を非ストレッチ性すなわち非伸縮性の布地又はシートで抑制することで伸びをなくしたものである。このようにパネル7で部分的に伸びなくしたカップ2を内蔵したブラジャー1とすることで、カップ2の乳房の脇側は非ストレッチ性となり、乳房が脇側にずれ動くことが抑えられる。この結果、乳房をバスト中央の上方に寄せる補整機能がブラジャー1に一層に高まることとなる。
【0028】
請求項3の発明の実施の形態について説明する。この場合も柔軟な保形性の素材3として軟質ウレタンフォーム3aを使用する例とする。上記の請求項1又は2におけるブラジャー1において、ブラジャー1に挿入されている軟質ウレタンフォーム3aからなるカップ2は、ブラジャー1の左のカップ2aと右のカップ2bがそれぞれ独立に形成されているものである。このように左のカップ2aと右のカップ2bがそれぞれ独立しているので、カップ2を内蔵するブラジャー1の生地は、これらの左のカップ2aと右のカップ2bがブラジャー内部で移動しないようにするため、これらの左のカップ2aと右のカップ2bの周囲を縫製することで固定している。
【0029】
このように、それぞれ独立した左のカップ2aと右のカップ2bを有するブラジャー1とすることで、左右の乳房間の間隔に合わせた種々の大きさのブラジャー1を製造することが容易にできる。さらに、この左右独立の左のカップ2aと右のカップ2bを請求項2の発明におけるブラジャー1に適用した場合では、上記の構成のうえに、さらに左のカップ2aと右のカップ2bの乳房の脇側部分に対応する軟質ウレタンフォーム3aの脇側3gの表面上に非ストレッチ性のパネル7をそれぞれ積層し、これらの左のカップ2aと右のカップ2bとパネル7をそれぞれ一体化することで、カップ2の乳房の脇側は非ストレッチ性となり、乳房が脇側にずれ動くことが抑えられている。この結果、乳房をバスト中央の上方に寄せる補整機能がブラジャー1に一層に高まったものとなっている。
【0030】
請求項4の発明の実施の形態について説明する。この場合も柔軟な保形性の素材3として軟質ウレタンフォーム3aを使用する例とする。上記の請求項1又は2におけるブラジャー1において、この形態のブラジャー1は、上記の請求項3の発明のブラジャー1と異なり、軟質ウレタンフォーム3aからなるカップ2はブラジャー1の左右のカップ2a、2bがそれぞれ独立しているものでなく、左のカップ2aと右のカップ2bの中間部を左のカップ2aと右のカップ2bとそれぞれ一体になっている平面部からなる軟質ウレタンフォーム3eで連続して形成されており、図4に示す一体タイプのカップ2gである。また、図4に示すように、アンダーバストの部分である平面状の受け面2eを幅広とし、図5に示すブラジャー1の下端縁部11まで延在しているものとなっている。
【0031】
したがって、この形態からなるブラジャー1では、上記の請求項3の実施の形態のものと異なり、左のカップ2aと右のカップ2bの間隔が一定で不変であるので、左のカップ2aと右のカップ2bが左右に動くことなく、さらに左のカップ2aと右のカップ2bが上下に移動することもない。そこで、上記の実施の形態のように左のカップ2aと右のカップ2bがブラジャー内部で左右にあるいは上下に移動しないようにするために、この形態のブラジャー1では左のカップ2aと右のカップ2bの周囲を縫製などにより固定する必要はない。
【0032】
このためこの請求項4の実施の形態の一体タイプのカップ2gを内蔵するブラジャー1は、図5に示すように、縫製のミシン掛けにより硬くなった継目が左のカップ2aと右のカップ2bの間に設けられることがなくノンシームで連続しているので、着用者の乳房間の胸の肌への硬い当たりが全くない。このため、本発明のブラジャー1を長時間にわたり着用しても肌に違和感や痛みを覚えることもなく、さらにブラジャー1としての外観のファッション性に優れたデザインとすることができる利点を有する。なお、図5において、ブラジャー1の脇側の縦の縫い目はサイドボーン8、ブラジャー1を肩から吊るす紐はストラップ9、ブラジャー1を背面で係止する器具は係止具10である。
【0033】
さらに上記の請求項3の実施の形態と同様に、請求項2の発明におけるブラジャー1に適用した場合では、上記の構成のうえに、さらに左のカップ2aと右のカップ2bの乳房の脇側の部分に対応する軟質ウレタンフォーム3aの脇側3gの表面上に非ストレッチ性のパネル7をそれぞれ積層してこれらの左のカップ2aと右のカップ2bとそれぞれ一体化することで、カップ2の乳房の脇側は非ストレッチ性となり、乳房が脇側にずれ動くことが抑えられている。この結果、乳房をバスト中央の上方に寄せる補整機能がブラジャー1に一層に高まったものとなっている。
【0034】
この発明は、カップ2の素材をストレッチ性のある軟質ウレタンフォーム3aとして説明いるものであるが、この軟質ウレタンフォーム3aのカップ2に代えて不織布繊維層3hから成形したカップ2とすることも可能である。この不織布繊維層3hからカップ2を形成するときは、軟質ウレタンフォーム層3bのように格別に複数層とするまでもなく、容易に複数層に分割できる。したがって、この不織布繊維層3hがストレッチ性を有するものであるときは、不織布繊維層3hからなるカップ2にも軟質ウレタンフォーム3aと同様に本発明が適用でき、軟質ウレタンフォーム3aにおけるものと同様の作用効果を有するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明のブラジャーのカップの一部断面図である。
【図2】従来のブラジャーおよびカップの一部断面図で、(a)はカップの平面状の受け面の部分のブラジャーの生地の上に紐帯ループを縫製した一部断面図で、(b)はカップの平面状の受け面内に紐帯ループを挿入した一部断面図である。
【図3】紐帯ループの説明図である。
【図4】一体タイプのカップの平面図である。
【図5】一体タイプのカップを内蔵する本発明のブラジャーである。
【符号の説明】
【0036】
1 ブラジャー
1a ブラジャーの裏生地
1b ブラジャーの表生地
2 カップ
2a 左のカップ
2b 右のカップ
2c 凹所
2d 下端部
2e 平面状の受け面
2f 平面部
2g 一体タイプのカップ
3 柔軟な保形性の素材
3a 軟質ウレタンフォーム
3b 軟質ウレタンフォーム層
3c 軟質ウレタンフォーム内層
3d 軟質ウレタンフォーム外層
3e 平面部からなる軟質ウレタンフォーム
3f 層間
3g 脇側
3h 不織布繊維層
4 紐帯ループ
5 ワイヤー
6 鞘状紐帯
7 パネル
8 サイドボーン
9 ストラップ
10 係止具
11 下端縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラジャーに内蔵した乳房形状を模した柔軟な保形性の素材からなるカップにおいて、該柔軟な保形性の素材を複数層からなる素材層とし、乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に対面するカップの下端部の複数層からなる素材層の層間に該乳房下部周辺の立ち上がり湾曲面に倣って湾曲状としたワイヤーを内蔵した鞘状紐帯からなる紐帯ループを挿着して有することを特徴とするワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャー。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャーにおいて、該カップの乳房脇側部分の柔軟な保形性の素材の表面に非ストレッチ性のパネルを積層して乳房をバスト中央かつ上方に寄せる補整機能を付与したことを特徴とするワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャー。
【請求項3】
柔軟な保形性の素材からなるカップはブラジャーの左右のカップがそれぞれ独立に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャー。
【請求項4】
柔軟な保形性の素材からなるカップはブラジャーの左右のカップの中間部がカップと一体の平面部からなる柔軟な保形性の素材で連続状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャー。
【請求項5】
柔軟な保形性の素材は軟質ウレタンフォームからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャー。
【請求項6】
柔軟な保形性の素材は不織布繊維層からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のワイヤー入りの柔軟な保形性の素材からなるカップを有するブラジャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−124893(P2006−124893A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−318484(P2004−318484)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【出願人】(000253101)リバー・ストーン株式会社 (2)