説明

ブームスプレーヤ及びブーム制振装置

【課題】ブームの振動を低減することができるブームスプレーヤを提供すること。
【解決手段】車体1に取り付けられたリンクアーム2と、車体1とリンクアーム2との間に介装されリンクアーム2を昇降する昇降シリンダ3と、一端がリンクアーム2に支持され他端が自由端として設けられ防除液を散布するブーム4と、を備えるブームスプレーヤ100のブーム4の振動を制振するブーム制振装置であって、ブーム4の自由端側に設けられたマスダンパ30を備え、マスダンパ30は、ブーム4の振動に伴って振動する錘32と、錘32の全部又は一部を収容し作動流体が封入された筐体31と、筺体31内に収装され錘32の振動に伴って伸縮するバネ36,37と、錘32の振動に伴って流れる筐体31内の作動流体に抵抗を付与する減衰弁39とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防除液を散布するブームスプレーヤ、及びブームスプレーヤのブームの振動を制振するブーム制振装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブームスプレーヤとして、特許文献1には、リフトシリンダ3を駆動してリフトリンク2を動作させることによってリフトフレーム1に装着された散布ブーム6を昇降させるものが開示されている。また、リフトリンク2に設けられたダンパー4が、車体40の走行揺動時に、リフトリンク2の拡縮作用を緩和してリフトフレーム1の上下動や左右傾斜を少なくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−269106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、ブームスプレーヤのブームは片持ち支持構造である。したがって、ブームスプレーヤの作業時に圃場の凹凸によって車体が振動した場合には、車体に入力された振動がブームに伝達されてブームが激しく振動してしまう。
【0005】
特許文献1に記載のダンパー4は、リフトリンク2に設けられるものであるため、ブームの振動を効果的に低減することはできない。
【0006】
ブームが激しく振動した場合には、防除液の散布にムラが生じるため、作業スピードが遅くなり、防除液散布の効率が低下する。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ブームの振動を低減することができるブーム制振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車体に取り付けられたリンクアームと、一端が前記リンクアームに支持され他端が自由端として設けられ防除液を散布するブームと、を備えるブームスプレーヤの前記ブームの振動を制振するブーム制振装置であって、前記ブームの自由端側に設けられたマスダンパを備え、前記マスダンパは、前記ブームの振動に伴って振動する錘と、前記錘の全部又は一部を収容し、作動流体が封入された筐体と、前記筺体内に収装され、前記錘の振動に伴って伸縮するバネと、前記錘の振動に伴って流れる前記筐体内の作動流体に抵抗を付与する減衰弁と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ブームの自由端側にマスダンパが設けられるため、ブームの振動に伴ってマスダンパが減衰機能を発揮し、ブームの振動を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係るブームスプレーヤの左側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るブームスプレーヤにおけるリンクアーム及びブームの正面図である。
【図3】マスダンパの断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るブームスプレーヤの左側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るブームスプレーヤにおけるリンクアーム及びブームの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施形態に係るブームスプレーヤ100について説明する。
【0013】
ブームスプレーヤ100は、圃場を走行しながら防除液を散布する農業用の作業機である。
【0014】
ブームスプレーヤ100は、車体1の前方側に取り付けられたリンクアーム2と、車体1とリンクアーム2との間に介装されリンクアーム2を昇降する昇降シリンダ3と、一端がリンクアーム2に支持され他端が自由端として設けられ防除液を散布するブーム4とを備える。
【0015】
リンクアーム2は、車体1の左右両側部に取り付けられた一対のベース10のそれぞれに固定された一対のベースリンク2aと、ブーム4の一端が支持され正面視が四角形状(図2参照)のフロントリンク2bと、一対のベースリンク2aとフロントリンク2bとの上部間にピン11及びピン12を介して回動自在に連結された一対の上部リンク2cと、一対のベースリンク2aとフロントリンク2bとの下部間にピン13及びピン14を介して回動自在に連結された一対の下部リンク2dとを備える。上部リンク2cと下部リンク2dは互いに平行に設けられる。図1に示すように、ベースリンク2a、フロントリンク2b、上部リンク2c、及び下部リンク2dによって、側面視が平行四辺形状のリンク機構が構成される。なお、図1では、車体1の左側部に設けられたベース10、ベースリンク2a、上部リンク2c、及び下部リンク2dを示したが、車体1の右側部にもベース10、ベースリンク2a、上部リンク2c、及び下部リンク2dが設けられる。
【0016】
昇降シリンダ3は、作動油が封入されたシリンダチューブ3aと、シリンダチューブ3aに摺動自在に挿入されたピストンロッド3bとを備える。シリンダチューブ3aの内部は、ピストンロッド3bによってピストン側室3cとロッド側室3dとに区画される。ピストンロッド3bのピストンには、ピストン側室3cとロッド側室3dとの間で作動油の行き来を許容する流路3eが形成される。リンクアーム2を支持するピストン側室3cに対しては作動油給排装置(図示せず)によって作動油が給排され、その作動油の給排に応じてピストン側室3cが拡縮して昇降シリンダ3が伸縮する。このように、本実施の形態では、昇降シリンダ3は単動形油圧シリンダである。なお、これに代えて、昇降シリンダ3を複動形油圧シリンダにて構成するようにしてもよい。
【0017】
昇降シリンダ3は、シリンダチューブ3aの基端部がピン15を介してベース10に回動自在に連結され、ピストンロッド3bの先端部がピン16を介して上部リンク2cに回動自在に連結される。このように、昇降シリンダ3は、ベース10と上部リンク2cとの間に介装され、車体1の左右両側に一対設けられる。
【0018】
一対の昇降シリンダ3は同期して伸縮する。昇降シリンダ3の伸縮に伴ってリンクアーム2は車体1に対して昇降し、それに伴ってフロントリンク2bに支持されたブーム4も昇降する。具体的には、昇降シリンダ3が伸長すれば、リンクアーム2が上昇してブーム4も上昇する。一方、昇降シリンダ3が収縮すれば、リンクアーム2が下降してブーム4も下降する。このように、昇降シリンダ3を伸縮させることによって、圃場の作物に対するブーム4の高さを調節することができる。
【0019】
ブーム4は、一対のブーム4a,4bからなる。ブーム4aは一端がフロントリンク2bの左端部に支持され他端が自由端として設けられ、ブーム4bは一端がフロントリンク2bの右端部に支持され他端が自由端として設けられる。ブーム4a,4bは、基端部がフロントリンク2bに対して水平方向に回動自在に取り付けられる。図1及び図2に示す状態は、ブーム4a,4bが車体1の左右水平方向に延在した展開状態であり、この状態で防除液の散布が行われる。図1及び図2に示す状態からブーム4a,4bが車体1の後方に向かって略90度回動することによって、ブーム4a,4bはそれぞれ車体1の左右両側部に沿って折り畳まれた折畳状態となる。このように、ブーム4a,4bは、防除液散布時の展開状態と非散布時の折畳状態とに切り替えられる。この切り替え動作は、図示しない油圧シリンダによって行われる。
【0020】
ブーム4aとブーム4bは同じ構成であるため、以下では、車体1の左側に設けられるブーム4aについて説明し、ブーム4bについてはブーム4aと同じ構成には同一の符号を付し説明を省略する。
【0021】
ブーム4aは、一端がフロントリンク2bに支持された第1ブーム21と、第1ブーム21の先端部に設けられたスライドブラケット23に支持された第2ブーム22とを備える。スライドブラケット23には、第2ブーム22に沿って延設されたレール(図示せず)を支持する滑車(図示せず)が設けられる。第2ブーム22は、スライドブラケット23の滑車にレールが案内されることによって、第1ブーム21に沿って移動可能である。図1及び図2に示す状態は、第2ブーム22が第1ブーム21に対して前進して第1ブーム21と第2ブーム22がスライドブラケット23を介して直列に連結された直列状態であり、この状態で防除液の散布が行われる。なお、第1ブーム21に対する第2ブーム22の前進量は圃場の大きさに応じて調節され、防除液の散布が行われる。図1及び図2に示す状態から第2ブーム22が第1ブームに対して後退することによって第1ブーム21と第2ブーム22が平行に配設された収納状態となる。このように、ブーム4aは、防除液散布時の直列状態と非散布時の収納状態とに切り替えられる。この切り替え動作は、図示しない油圧シリンダ、電動モータ、滑車、チェーン、ワイヤ等によって行われる。
【0022】
第1ブーム21と第2ブーム22が直列状態である場合には、ブーム4aは、第1ブーム21の基端部がフロントリンク2bに支持され、第2ブーム22の先端部が自由端となる片持ち支持構造となる。したがって、ブーム4aの自重によって第2ブーム22の先端部側が下方に撓んだ状態となる。そこで、フロントリンク2bとスライドブラケット23との間には、第1ブーム21を支持するスプリング24が介装される。スプリング24によって第1ブーム21が上方に引っ張られるため、第2ブーム22の先端部側の下方への撓みが低減される。なお、スプリング24に変わり、ワイヤを用いてもよい。
【0023】
第1ブーム21及び第2ブーム22のそれぞれには、車体1に搭載された防除液タンク(図示せず)から防除液が導かれる。第1ブーム21及び第2ブーム22の下面には、防除液を散布するためのノズル25が第1ブーム21及び第2ブーム22の長手方向に沿って複数設けられる。防除液タンクから第1ブーム21及び第2ブーム22に導かれた防除液は、複数のノズル25を通じて圃場に散布される。
【0024】
防除液を散布する際には、ブーム4a,4bは、車体1の左右水平方向に延在した展開状態に設定されると共に、第1ブーム21と第2ブーム22が直列に連結された直列状態に設定される(図2に示す状態)。この状態では、ブーム4a,4bは片持ち支持構造となる。ブームスプレーヤ100は、ブーム4a,4bを片持ち支持した状態で走行し、走行しながらブーム4a,4bのノズル25から防除液を散布する。
【0025】
ブームスプレーヤ100が圃場を走行する際には、圃場の凹凸部によって車体1が振動する。車体1が振動すると、車体1に連結されたリンクアーム2及び昇降シリンダ3も車体1と共に振動し、リンクアーム2に支持されたブーム4a,4bに伝達される。ブーム4a,4bは、片持ち支持構造であるため、基端部側がリンクアーム2と共に振動するのに対して、自由端側は撓んで振動する。この自由端側が撓んで振動する事象を、以下では「撓み振動」と称する。
【0026】
ブーム4a,4bの自由端側は、ブームスプレーヤ100が圃場の凹凸部を走行することによって車体1の上下方向に撓み振動(以下「上下振動」と称する。)すると共に、車体1が凸部に乗り上げる際には車体1の前後方向(走行方向)に撓み振動(以下「前後振動」と称する。)する。ブーム4a,4bが上下振動した場合には、ブーム4a,4bが作物に接触するおそれがあり、上下振動が大きい場合には圃場に接触してブーム4a,4bやノズル25が破損するおそれがある。また、ブーム4a,4bが前後振動した場合には、ブームスプレーヤ100の走行方向に防除液が均一に散布されずムラが生じ、作業スピードが遅くなる。作業スピードが遅くなると、防除液散布の効率が低下する。
【0027】
ブーム4a,4bの撓み振動を低減するため、ブームスプレーヤ100にはブーム制振装置が設けられる。以下では、ブーム制振装置について説明する。
【0028】
ブーム制振装置として、ブーム4a,4bのそれぞれの自由端側にはマスダンパ30が設けられる。ブーム4a,4bに設けられるマスダンパ30は同じ構成であるため、ブーム4aに設けられるマスダンパ30について説明する。
【0029】
マスダンパ30は、ブーム4aの上下振動を低減する上下振動用マスダンパ30aと、ブーム4aの前後振動を低減する前後振動用マスダンパ30bとを備える。
【0030】
図3に示すように、上下振動用マスダンパ30aは、ブーム4aの先端部に固定され内部に作動油(作動流体)が封入された筐体31と、筐体31内に筐体31の内周壁に沿って移動自在に配置された錘32と、錘32の移動を案内するガイド33とを備える。
【0031】
筐体31の内部は、錘32によって第1油室34と第2油室35の2つの油室(液圧室)に区画される。第1油室34内には錘32の移動に伴って伸縮する第1バネ36がガイド33に沿って収装され、第2油室35内には錘32の移動に伴って伸縮する第2バネ37がガイド33に沿って収装される。
【0032】
錘32には、第1油室34と第2油室35を連通する流路38が形成される。流路38には、通過する作動油に抵抗を付与する減衰弁39が設けられる。減衰弁39は、流路38にオリフィスを設けることによって構成される。これに代わり、錘32に環状の流路を設け、その流路によって作動油に抵抗を付与するようにしてもよい。
【0033】
上下振動用マスダンパ30aの固有振動数は、ブーム4aの上下方向の固有振動数と略同値に設定するのが望ましい。上下振動用マスダンパ30aの固有振動数は、錘32の質量と第1バネ36及び第2バネ37のバネ定数とを調整することによって設定される。上下振動用マスダンパ30aは、錘32が車体1の上下方向に移動する向きに、つまり、ガイド33が車体1の上下方向に延在する向きに配置される。したがって、ブームスプレーヤ100の走行に伴ってブーム4aが上下振動した場合には、それに伴って錘32がブーム4aの固有振動数に同調して共振すると共に、錘32の振動に伴って流路38を通過する作動油に対して減衰弁39によって抵抗が付与され減衰力が発生する。これにより、ブーム4aの上下振動が低減される。
【0034】
前後振動用マスダンパ30bは、その筐体31が上下振動用マスダンパ30aの筐体31に結合されて配置される。前後振動用マスダンパ30bの構成は、上記にて説明した上下振動用マスダンパ30aの構成と同じであり、ブーム4aの前後方向の固有振動数と略同値に設定されると共に、配置の向きが上下振動用マスダンパ30aと異なる。前後振動用マスダンパ30bは、錘32が車体1の前後方向(走行方向)に移動する向きに、つまり、ガイド33が車体1の前後方向に延在する向きに配置される。したがって、ブームスプレーヤ100の走行に伴ってブーム4aが前後振動した場合には、それに伴って錘32がブーム4aの固有振動数に同調して共振すると共に、錘32の振動に伴って流路38を通過する作動油に対して減衰弁39によって抵抗が付与され減衰力が発生する。これにより、ブーム4aの前後振動が低減される。
【0035】
以上のように、上下振動用マスダンパ30a及び前後振動用マスダンパ30bをブーム4aに設けることによって、ブーム4aの上下振動及び前後振動の双方を低減することができる。このように、ブーム4aの振動方向に錘32の移動方向を一致させてマスダンパ30を配置することによって、ブーム4aの撓み振動を低減することができる。
【0036】
なお、ブーム4aの上下振動及び前後振動のいずれか一方の振動のみを低減させれば十分である場合には、それに合わせて上下振動用マスダンパ30a及び前後振動用マスダンパ30bの一方を設ければよい。
【0037】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0038】
ブーム4の自由端側に固有振動数をブーム4の固有振動数と略同値に設定したマスダンパ30が設けられるため、ブーム4の振動に伴ってマスダンパが減衰機能を発揮し、ブーム4の振動を低減することができる。したがって、ブーム4やノズル25の破損を防止することができる共に、走行方向に防除液を均一に散布することができるため、防除液散布の効率が向上する。
【0039】
<第2実施形態>
図4及び図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るブームスプレーヤ200について説明する。以下では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態のブームスプレーヤ100と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
ブームスプレーヤ200においても、ブーム制振装置として、ブーム4a,4bのそれぞれの自由端側にはマスダンパ40が設けられる。マスダンパ40は、ロータリーダンパ41を備えるものであり、第1実施形態のブームスプレーヤ100のマスダンパ30の構成と相違する。ブーム4a,4bに設けられるマスダンパ40は同じ構成であるため、ブーム4aに設けられるマスダンパ40について説明する。
【0041】
マスダンパ40のロータリーダンパ41は、ブーム4aに固定され作動油が封入された筐体42と、筐体42内を挿通しブーム4aに揺動自在に連結された揺動軸43とを備える。
【0042】
揺動軸43の自由端には振り子44が結合される。揺動軸43と振り子44とによって、マスダンパ40の錘が構成される。上記第1実施形態では、錘32の全部が筐体31内に収容されるものであったのに対して、本第2実施形態では、揺動軸43の一部、つまり錘の一部が筐体42内に収容される。
【0043】
筐体42の内部は、揺動軸43によって第1油室45と第2油室46の2つの油室(液圧室)に区画される。第1油室45及び第2油室46には、揺動軸43の揺動に伴って伸縮するバネ(図示せず)が収装される。
【0044】
揺動軸43には、第1油室45と第2油室46を連通する流路(図示せず)が形成される。その流路には、通過する作動油に抵抗を付与する減衰弁(図示せず)が設けられる。
【0045】
マスダンパ40の固有振動数は、ブーム4aの固有振動数と略同値に設定するのが望ましい。マスダンパ40の固有振動数は、揺動軸43及び振り子44の質量と、第1油室45及び第2油室46に収装されるバネのバネ定数とを調整することによって設定される。マスダンパ40は、振り子44が車体1の前後方向(走行方向)に揺動可能な向きに配置される。したがって、ブームスプレーヤ200の走行に伴ってブーム4aが前後振動した場合には、それに伴って振り子44がブーム4aの固有振動数に同調して共振すると共に、振り子44の揺動に伴って流れる作動油に対して減衰弁によって抵抗が付与され減衰力が発生する。これにより、ブーム4aの前後振動が低減される。
【0046】
なお、本第2実施形態において、ブーム4aの上下振動も低減したい場合には、上記第1実施形態にて説明した上下振動用マスダンパ30aを適用すればよい。
【0047】
以上の第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様に、ブーム4の振動を低減することができる。したがって、ブーム4やノズル25の破損を防止することができる共に、走行方向に防除液を均一に散布することができるため、防除液散布の効率が向上する。
【0048】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0049】
例えば、ブーム4a,4bのうち片方のみを設ける構成にしてもよい。
【0050】
また、ブームスプレーヤ100は、エンジンやモータ等を備える自走式、エンジンやモータ等を備える走行体に牽引される牽引式のいずれでもあってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明に係るブーム制振装置は、圃場を走行しながら防除液を散布するブームスプレーヤのブームの振動を制振する装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
100,200 ブームスプレーヤ
1 車体
2 リンクアーム
3 昇降シリンダ
4 ブーム
21 第1ブーム
22 第2ブーム
25 ノズル
30 マスダンパ
30a 上下振動用マスダンパ
30b 前後振動用マスダンパ
32 錘
36 第1バネ
37 第2バネ
38 流路
39 減衰弁
40 マスダンパ
41 ロータリーダンパ
43 揺動軸
44 振り子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に取り付けられたリンクアームと、
一端が前記リンクアームに支持され他端が自由端として設けられ防除液を散布するブームと、
を備えるブームスプレーヤの前記ブームの振動を制振するブーム制振装置であって、
前記ブームの自由端側に設けられたマスダンパを備え、
前記マスダンパは、
前記ブームの振動に伴って振動する錘と、
前記錘の全部又は一部を収容し、作動流体が封入された筐体と、
前記筺体内に収装され、前記錘の振動に伴って伸縮するバネと、
前記錘の振動に伴って流れる前記筐体内の作動流体に抵抗を付与する減衰弁と、
を備えることを特徴とするブーム制振装置。
【請求項2】
前記マスダンパの固有振動数は、前記ブームの固有振動数と略同値に設定されることを特徴とする請求項1に記載のブーム制振装置。
【請求項3】
前記錘は、前記筐体内に当該筐体の内周壁に沿って移動自在に配置され、
前記バネは、前記錘によって区画された前記筐体内の2つの液圧室に収装され、
前記減衰弁は、前記錘に形成され前記2つの液圧室を連通する流路に設けられ、
前記マスダンパは、前記ブームの振動方向に前記錘の移動方向を一致させて配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブーム制振装置。
【請求項4】
前記マスダンパは、
前記ブームにおける前記車体の上下方向の振動を低減する上下振動用マスダンパと、
前記ブームにおける前記車体の走行方向の振動を低減する前後振動用マスダンパと、を備え、
前記上下振動用マスダンパは、前記錘の移動方向が前記車体の上下方向となるように配置され、
前記前後振動用マスダンパは、前記錘の移動方向が前記車体の走行方向となるように配置される
ことを特徴とする請求項3に記載のブーム制振装置。
【請求項5】
前記錘は、前記筐体内を挿通し前記ブームに揺動自在に連結された揺動軸と、当該揺動軸の自由端に結合され前記車体の走行方向に揺動可能な振り子とからなり、
前記バネは、前記揺動軸によって区画された前記筐体内の2つの液圧室に収装され、
前記減衰弁は、前記揺動軸に形成され前記2つの液圧室を連通する流路に設けられる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブーム制振装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のブーム制振装置を備えるブームスプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−103(P2013−103A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137523(P2011−137523)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】