説明

プッシュスイッチ

【課題】小型化の要請に応えつつも、操作部材の押圧力に対する耐久性の向上を可能とするプッシュスイッチを提供する。
【解決手段】プッシュスイッチ1は、回路基板50上に実装される。絶縁性のケース2は凹部2aを区画形成する壁部を有する。導電性部材11、12は、壁部に埋設された第1の部分11c、12cと、固定電極3a、3bとして凹部2a内に配置された第2の部分11b、12bとを有する。可動電極5は、凹部2a内に配置され、固定電極3bと接触する第1の位置と、離間する第2の位置との間で変位可能とされている。操作部材7は、外部からの押圧力によって回路基板50と平行な向きに移動し、可動電極5を第2の位置から前記第1の位置へ変位させる。アンカー部材13、14は、導電性部材11、12より操作部材7の移動方向Aと非平行な向きに突出し、壁部に埋設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種小型電子機器に使用されるスイッチに関し、特に回路基板上に実装され、当該回路基板と平行な向きに変位可能な操作部材を備えるプッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のスイッチにおいては、回路基板上に実装された樹脂性のケースに凹部が形成されている。導電性部材がインサート成形等により当該ケースと一体とされており、当該導電性部材の一部が固定電極として当該凹部内に配置されている。当該凹部内にはさらに可動電極が配置されており、固定電極と接触する第1の位置と、離間する第2の位置との間で弾性変位可能とされている。
【0003】
上記のスイッチには操作部材が設けられている。スイッチが回路基板上に実装された状態において当該操作部材をユーザが押圧操作すると、操作部材は回路基板と平行な向きに移動して可動電極を第1の位置へ変位させ、固定電極との導通状態を得る。押圧力が解除されると、可動電極が第2の位置に弾性復帰して固定電極との導通状態が解除される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4557043号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のスイッチにおいては、回路基板に平行な向きに操作部材を移動させる押圧力が加えられることにより、回路基板と平行な向きの分力および回路基板から離れる向きの分力が生じ、ケースの一部を導電性部材から剥離するように作用する。近年の電子機器の小型化に伴ってスイッチも小型化されるにつれ、ユーザの押圧力がスイッチの構造強度に対して相対的に高くなる。押圧力がスイッチの構造強度を上回ると、ケースの一部が破壊されて導電性部材から剥離してしまうことがある。
【0006】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、小型化の要請に応えつつも、操作部材の押圧力に対する耐久性の向上を可能とするプッシュスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の少なくとも一部を解決するために本発明が採り得る一態様は、回路基板上に実装されるプッシュスイッチであって、
凹部を区画形成する壁部を有する絶縁性のケースと、
前記壁部に埋設された第1の部分と、固定電極として前記凹部内に配置された第2の部分とを有する導電性部材と、
前記凹部内に配置され、前記固定電極と接触する第1の位置と、離間する第2の位置との間で変位可能とされている可動電極と、
前記プッシュスイッチが前記回路基板に実装された状態において、外部からの押圧力によって前記回路基板と平行な向きに移動し、前記可動電極を前記第2の位置から前記第1の位置へ変位させる操作部材と、
前記導電性部材より前記操作部材の移動方向と非平行な向きに突出し、前記壁部に埋設されているアンカー部材とを備える。
【0008】
上記の構成によれば、特に回路基板と平行な向きの分力によりケースの一部が導電性部材から剥離されるのを食い止めることができる。
【0009】
前記アンカー部材は、第1の幅寸法を有する第1アンカー部と、前記第1の幅寸法よりも大きい第2の幅寸法を有する第2アンカー部とを有し、前記第1アンカー部は、前記第2アンカー部よりも前記導電性部材の近くに位置する構成としてもよい。この場合、特に回路基板と離れる向きの分力によってケースの一部が導電性部材から剥離されるのをより効果的に食い止めることができる。
【0010】
前記アンカー部材は、前記第1の部分と前記第2の部分の少なくとも一方と一体構造を成している構成としてもよい。この場合、高い強度の構造を金属板の打ち抜き等の容易な加工で得ることができる。
【0011】
ここで「一体構造」とは、上記第1の部分と第2の部分の境界部が同一素材からなり、かつ連続している状態(モノリシックな状態)を指す。素材や特性の異なる二つ以上の部材を接着や溶着により一体とした構成とは区別する意味で用いる。
【0012】
前記アンカー部材が前記第1の部分と前記第2の部分の少なくとも一方の側縁より突出している構成の場合、アンカー部材を折り曲げ加工等により容易に形成しうる。
【0013】
前記スイッチが前記回路基板に実装された状態において、前記アンカー部材が前記導電性部材の前記回路基板と平行に延在する部分に設けられている構成の場合、上記の食い止め効果をより顕著にすることができる。
【0014】
前記導電性部材は、前記ケースの側面において露出する第3の部分を有する構成としてもよい。この場合、回路基板の実装面に当該第3の部分を容易に半田付けして固定し、回路配線との接続部として利用することができる。
【0015】
前記導電性部材は、前記ケースの前記回路基板に対向する面において露出する第3の部分を有する構成としてもよい。当該第3の部分を回路配線との接続部として利用すれば、プッシュスイッチの実装面積を縮小することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、小型化の要請に応えつつも、操作部材の押圧力に対する耐久性の向上を可能とするプッシュスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るプッシュスイッチの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のプッシュスイッチの外観を示す5面図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は背面図、(e)は右側面図である。
【図3】図1のプッシュスイッチの内部構成を示す分解斜視図である。
【図4】(a)は図1のプッシュスイッチにおける導電性部材の形状を示す斜視図であり、(b)は図1における線IV−IVに沿った断面を示す図である。
【図5】図1のプッシュスイッチにおけるアンカー部材の形状の例を示す図である。
【図6】図1のプッシュスイッチの変形例の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について以下詳細に説明する。なお以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るプッシュスイッチ1の外観を示す斜視図である。プッシュスイッチ1は、回路基板50上に実装されるケース2を備えている。ケース2の上面にはカバー8が設置され、前方には操作部材7が設けられている。操作部材7は、ユーザによる押圧操作に応じて前後方向に変位可能とされている。
【0020】
ケース2の左右側面には第1外部接続端子4aおよび第2外部接続端子4bが設けられている。第1外部接続端子4aおよび第2外部接続端子4bは、各々回路基板50の実装面上に形成された配線端子のランド部50cに半田付けによって接続・固定される。以降の説明においては、第1外部接続端子4aおよび第2外部接続端子4bを必要に応じて「外部接続端子」と総称する。
【0021】
図2は上記プッシュスイッチ1の外観を示す5面図であり、図3はプッシュスイッチ1の内部構成を示す分解斜視図である。図2において(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は背面図、(e)は右側面図である。左側面から見た形状は右側面図に示したものと対称であるため、図示を省略している。
【0022】
ケース2は樹脂等の絶縁性材料からなり、壁部によって上方に開口する凹部2aが区画形成されている。凹部2aの底部における周縁部には複数の第1固定電極3aが配置されており、底部中央には複数の第2固定電極3bが配置されている。
【0023】
可動電極5は、弾性変形が可能なドーム形状の導電性部材である。可動電極5は凹部2a内に収容され、その外縁部5aが第1固定電極3aと接触するように、かつ中央部5bが第2固定電極3bと間隔をあけて対向するように配置される。すなわち可動電極5は通常時において上側に凸とされている。
【0024】
保護部材6は、ポリアミド樹脂等の絶縁性樹脂シート材であり、凹部2aを覆うようにケース2の上面2bに載置され、接着剤等により固定される。保護部材6は凹部2aへの異物の侵入を防止するとともに、後述する操作部材7と可動電極5の間に介在して緩衝材として機能する。
【0025】
操作部材7は樹脂材等からなり、押圧部7a、支持部7b、および操作部7cを備えている。操作部材7は保護部材6の上方に載置される。
【0026】
カバー8は、金属板を打ち抜き折り曲げることにより形成されており、ケース2の上面2b上に載置される本体8aの前後縁より計4本の係止脚部8bが下方に延在している。本体8a中央の一部は切り欠かれて後方に向かって斜め下方に延在する案内片8cが形成されている。
【0027】
係止脚部8bがケース2の前面2cおよび後面2dの所定箇所に係止されることにより、カバー8がケース2に装着され、操作部材7の支持部7bおよび操作部7cがカバー8の本体8aと保護部材6の間において前後方向に移動可能に保持される。操作部材7の押圧部7aは、ケース2の前面2cより前方に突出している。
【0028】
図2に示すように、ケース2の下側における左右側部は基板対向面2gとされている。この基板対向面2gに挟まれた領域は下側に突出する基板挿入部2hとされている。図1に示すように、基板挿入部2hは回路基板50の端面50aに形成された切欠き部50bに挿入され、底面2iは回路基板50の下面側に位置する。
【0029】
この状態において基板対向面2gは僅かな間隙を介して回路基板50の上面に対向する。第1外部接続端子4aおよび第2外部接続端子4bは、各々回路基板50の実装面上に形成された配線端子のランド部50cに僅かな間隙を介して対向する。半田が当該間隙に流れ込むことにより、第1外部接続端子4aおよび第2外部接続端子4bは、各々対応するランド部50cに接続・固定される。
【0030】
図4の(a)は、プッシュスイッチ1の導通経路を形成するための第1導電性部材11および第2導電性部材12の外観を示す斜視図である。以降の説明においては、第1導電性部材11および第2導電性部材12を必要に応じて「導電性部材」と総称する。
【0031】
導電性部材は金属板を打ち抜き折り曲げることにより形成され、さらにインサート成形等を通じてケース2と一体成形されることにより、その一部がケース2に埋設されている。具体的には、導電性部材は、ケース2の凹部2aを区画形成する壁部に埋設される第1の部分と、ケース2の凹部2a内に配置される第2の部分と、ケース2の外側に露出する第3の部分とを有している。
【0032】
第1導電性部材11は左右方向に延在しており、中央部11aの左右両側に第1固定電極3aが設けられている。また第1の導電性部材11の左右両端部は上方に折り曲げられて第1外部接続端子4aとされている。図3に示すように、第1固定電極3aを含む部分11b(以降、電極形成部11bと称する)はケース2の凹部2a内に配置され(第2の部分)、第1外部接続端子4aはケース2の左右側面2e、2fにおいてケース2の外側に露出している(第3の部分)。これら以外の部分11cは、凹部2aを区画形成する壁部に埋設されている(第1の部分)。すなわち第1固定電極3aと第1外部接続端子4aは、埋設部分11cを介して導通している。
【0033】
第2導電性部材12はT字形状を呈しており、左右方向に延在する部分の中央部12aより前方に延在する部分の前端部12bに第2固定電極3bが設けられている(以降、電極形成部12bと称する)。左右方向に延在する部分の両端は上方に折り曲げられて第2外部接続端子4bとされている。図3に示すように、第2固定電極3bを含む部分12bはケース2の凹部2a内に配置され(第2の部分)、第2外部接続端子4bはケース2の左右側面2e、2fにおいてケース2の外側に露出している(第3の部分)。これら以外の部分12cは、凹部2aを区画形成する壁部の内部に埋設されている(第1の部分)。すなわち第2固定電極3bと第2外部接続端子4bは、埋設部分12cを介して導通している。
【0034】
図4の(b)に示すように、ユーザが直接的あるいは間接的に操作部材7の押圧部7aを後方に向けて押圧すると、支持部7bおよび操作部7cがケース8の下方で後方に摺動する。操作部7cが一定量後方に移動するとケース8の案内片8cの下面に当接する。案内片8cは斜め下方に傾斜しているため、操作部材7の操作部7cは下方へと案内されて保護部材6を介して可動電極5を押圧する。
【0035】
可動電極5に加わる負荷が所定値を超えると、中央部5bがクリック感を伴って反転して下方に凸の状態になるとともに、第2固定電極3bに接触する。これに伴い、第1固定電極3aと第2固定電極3bが可動電極5を介して導通状態となる。したがって第1固定電極3aおよび第2固定電極3bは、各々少なくとも一つ設けられていればよい。
【0036】
押圧力を解除すると、可動電極5の自己復元力(弾性)により中央部5bがクリック感を伴って元の状態(上方に凸の状態)に復帰し、第1固定電極3aと第2固定電極3bの導通は解除される。操作部材7の操作部7cはケース8の案内片8cにより上方に向かって斜め上方に案内されて支持部7bが前方へ摺動し、押圧部7aが元の位置に復帰する。
【0037】
すなわち可動電極5は、第2固定電極3bと接触する第1の位置と、離間する第2の位置との間で変位可能とされており、操作部材7は、プッシュスイッチ1が回路基板50に実装された状態において加えられる外部からの押圧力によって回路基板50と平行な向きに移動し、可動電極5を第2の位置から第1の位置へ変位させる。
【0038】
操作部材7を押圧する操作力は、回路基板50と平行な向きの分力および回路基板50から離れる向きの分力を生じ、ケース2の一部を導電性部材から剥離するように作用する。そこで本実施形態のプッシュスイッチ1は、図4の(b)に示すように、導電性部材より操作部材7の移動方向Aと非平行な向きに突出し、ケース2の凹部2aを区画形成する壁部に埋設されたアンカー部材13を備えている。このアンカー部材13によって、特に回路基板50と平行な向きの分力によりケース2の一部が導電性部材から剥離されるのを食い止めることができる。
【0039】
図4の(a)と(b)に示すように、第1導電性部材11は、複数のアンカー部材13を備えている。各アンカー部材13は、埋設部11cの側縁11dより上方に突出している。各アンカー部材13は埋設部11cと一体構造をなしており、第1導電性部材11と共に金属板を打ち抜き折り曲げて容易に形成されうる。
【0040】
第2導電性部材12もまた複数のアンカー部材13を備えている。各アンカー部材13は、埋設部12cの側縁12dより上方に突出している。各アンカー部材13は埋設部12cと一体構造をなしており、第2導電性部材12と共に金属板を打ち抜き折り曲げて容易に形成されうる。
【0041】
ここで「一体構造」とは、アンカー部材13と埋設部11c、12cの境界部が同一素材からなり、かつ連続している状態(モノリシックな状態)を指す。以降の説明においては、素材や特性の異なる二つ以上の部材を溶着や接着により一体とした構成とは区別する意味で用いる。アンカー部材13と埋設部11c、12cを一体構造とすることにより、高い強度の構造を容易な加工で得ることができる。
【0042】
各アンカー部材13は上方に向かうほど、換言すると埋設部11c、12cから離間するほど幅寸法が大きくなっている。これにより特に回路基板50と離れる向きの分力によってケース2の一部が導電性部材から剥離されるのをより効果的に食い止めることができる。幅寸法が大きくなる方向は、操作部材7の移動方向と直交する向きとされている。
【0043】
より詳しくは、図5の(a)に示すように、各アンカー部材13は、第1の幅寸法W1を有する第1アンカー部13aと、第1の幅寸法W1よりも大きい第2の幅寸法W2を有する第2アンカー部13bとを有し、第1アンカー部13aは第2アンカー部13bよりも導電性部材の埋設部11c、12cの近くに位置することにより、ケース2の一部を導電性部材から離間させる向きの応力に対抗可能としている。
【0044】
アンカー部材13は傾斜する側端面を有する上記の形状に限定されるものではない。第1アンカー部13aよりも幅が広い第2アンカー部13bが、第1アンカー部13aよりも埋設部11c、12cよりも離れた位置にあれば、図5の(b)に示すアンカー部材13Aのように、段状の側端面を有する形状としてもよい。
【0045】
また第1アンカー部13aよりも幅が広い第2アンカー部13bが、第1アンカー部13aよりも埋設部11c、12cよりも離れた位置にあれば、図5の(c)に示すアンカー部材13Bのように、第1アンカー部13aよりも幅が広い部位が埋設部11c、12cに近い側に設けられていてもよい。さらに図5の(d)に示すアンカー部材13Cのように、第2アンカー部13bよりも幅が狭い部位が埋設部11c、12cより遠い側に設けられていてもよい。
【0046】
各アンカー部材13は、プッシュスイッチ1が回路基板50に実装された状態において、導電性部材の埋設部11c、12cのうち回路基板50と平行に延在する部分に設けられている。これにより上述した食い止め効果をより顕著とすることができる。
【0047】
さらに本実施形態のプッシュスイッチ1は、図4の(a)に示すように、導電性部材12の電極形成部12bより操作部材7の移動方向と非平行な向きに突出し、ケース2の凹部2aを区画形成する壁部に埋設されたアンカー部材14を備えている。このアンカー部材14により、特に回路基板50と平行な向きの分力によりケース2の一部が導電性部材から剥離されるのを食い止めることができる。
【0048】
第2導電性部材12は、複数のアンカー部材14を備えている。各アンカー部材14は、電極形成部12bの側縁12eより斜め下方に突出している。各アンカー部材14は電極形成部12bと一体構造をなしており、第2導電性部材12と共に金属板を打ち抜き折り曲げて容易に形成されうる。
【0049】
各アンカー部材14は下方に向かうほど、換言すると電極形成部12bから離間するほど幅寸法が大きくなっている。これにより特に回路基板50と離れる向きの分力によってケース2の一部が導電性部材から剥離されるのをより効果的に食い止めることができる。なお幅寸法が大きくなる方向は、操作部材7の移動方向と直交する向きとされている。
【0050】
各アンカー部材14は図4の(a)に示した形状に限定されるものではなく、アンカー部材13と同様に図5の(a)〜(d)を参照して説明した変形が可能である。
【0051】
各アンカー部材14は、プッシュスイッチ1が回路基板50に実装された状態において、電極形成部12bのうち回路基板50と平行に延在する部分に設けられている。これにより上述した食い止め効果をより顕著とすることができる。
【0052】
次に図6を参照しつつ、上記実施形態の変形例に係るプッシュスイッチ1Aについて説明する。本変形例においては外部接続端子の形状が上記実施形態と異なっている。それ以外の構成は上記実施形態と同様であるため、繰返しとなる説明は割愛する。
【0053】
第1導電性部材11を介して第1固定電極3aと導通している第1外部接続端子24aは、ケース2の左右側面2e、2fの外側に露出し、下方に屈曲している。第1外部接続端子24aは回路基板50Aの実装面に形成された配線端子に接続する挿通孔50dに挿入され、半田付けにより固定される。
【0054】
第2導電性部材12を介して第2固定電極3bと導通している第2外部接続端子24bは、ケース2の左右側面2e、2fの外側に露出し、屈曲することなく回路基板50Aの実装面と平行に延在している。第2外部接続端子24bは実装面上に形成された配線端子のランド部50cに半田付けによって接続される。
【0055】
第1外部接続端子24aは、第2外部接続端子24bのように回路基板50Aの実装面と平行に延在し、ランド部50cに接続される形状としてもよい。また第2外部接続端子24bは、第1外部接続端子24aのように下方に屈曲し、回路基板50Aの挿通孔50dに挿入される形状としてもよい。
【0056】
上記の実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0057】
操作部材7の移動により導通状態と非導通状態が切り替えられるものであれば、導電性部材の数、形状、および配置は、設計上の要請に応じて適宜定められるものであり、上記の構成に限定されるものではない。アンカー部材13、14の数、形状、突出方向、および配置は、導電性部材におけるこれらの条件に応じて適宜決定される。
【0058】
例えば上記の実施形態において、アンカー部材13の主面(最も面積の大きい面)は操作部材7の移動方向に直交する向きに延在しており、アンカー部材14の主面は操作部材7の移動方向に平行な向きに延在している。しかしながら導電性部材の形状や配置によっては、アンカー部材13、14の主面の延在方向を上記いずれか一方に一致させてもよく、また操作部材7の移動方向と斜めに交差する向きとすることもできる。
【0059】
また例えば上記の実施形態において、アンカー部材13、14は導電性部材の回路基板50と平行に延在する部分に設けられている。しかしながら導電性部材の形状や配置によっては、導電性部材が回路基板50と非平行に延在する部分に設けてもよい。
【0060】
上記の実施形態においては、アンカー部材14は第2導電性部材12の電極形成部12bのみに設けられている。しかしながら第1導電性部材11の電極形成部11bにアンカー部材14を設けてもよい。
【0061】
アンカー部材13、14は導電性部材と一体構造をなしている必要はない。別途形成したアンカー部材を溶着や接着により導電性部材上に固定してもよい。
【0062】
アンカー部材13、14は導電性部材の側縁より突出している必要はない。アンカー部材が埋設されるケース2の壁部の形状や配置に応じて、埋設部11c、12cの上面または下面、電極形成部11b、11cの下面に形成してもよい。
【0063】
図2の(c)に示すように、上記の実施形態においては第1導電性部材11の一部分11cおよび第2導電性部材12の一部分12cがケース2の基板対向面2gにおいて露出している。この露出部分11c、12cの少なくとも一方に対向する位置に回路基板50のランド部50cを設け、半田付けにより接続・固定される構成としてもよい。
【0064】
導電性部材の一部がケース2の回路基板50に対向する面において露出し、当該部分を半田付けにより回路配線と接続する構成の場合、ケース2の側方において露出する外部接続端子を省略することができ、実装面積の縮小に寄与する。
【0065】
上記の実施形態においては、回路基板50に形成した切欠き部50bに基板挿入部2hを挿入してプッシュスイッチ1を回路基板50上に固定する構成とされている。しかしながら、基板挿入部2hは必ずしも設けることを要しない。すなわちケース2の基板対向面2gが実質的にケース2の底面とされている構成としてもよい。
【0066】
この場合においても、外部接続端子の各々は上記に記載の各形状を採用することができ、また外部接続端子を省略してケース2の基板対向面に露出した導電性部材の一部を配線回路との接続に用いる構成とすることができる。
【0067】
上記の説明における「上下」「左右」「前後」に係る表現は、図面を参照した説明において便宜上用いたに過ぎず、製品の使用時における方向を限定する意図ではない。「上方」および「下方」は、各々「回路基板から離間する方向」および「回路基板に接近する方向」と言い換えることができる。同様に「前後方向」および「左右方向」という表現は、「回路基板に平行な向き」と言い換えることができる。
【符号の説明】
【0068】
1:プッシュスイッチ、2:ケース、2a:凹部、2e:右側面、2f:左側面、2g:基板対向面、3a:第1固定電極、3b:第2固定電極、4a:第1外部接続端子、4b:第2外部接続端子、5:可動電極、7:操作部材、11:第1導電性部材、11b:電極形成部、11c:埋設部、11d:側縁、11f:露出部、12:第2導電性部材、12b:電極形成部、12c:埋設部、12d:側縁、12e:側縁、12f:露出部、13:アンカー部材、13a:第1アンカー部、13b:第2アンカー部、14:アンカー部材、50:回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板上に実装されるプッシュスイッチであって、
凹部を区画形成する壁部を有する絶縁性のケースと、
前記壁部に埋設された第1の部分と、固定電極として前記凹部内に配置された第2の部分とを有する導電性部材と、
前記凹部内に配置され、前記固定電極と接触する第1の位置と、離間する第2の位置との間で変位可能とされている可動電極と、
前記プッシュスイッチが前記回路基板に実装された状態において、外部からの押圧力によって前記回路基板と平行な向きに移動し、前記可動電極を前記第2の位置から前記第1の位置へ変位させる操作部材と、
前記導電性部材より前記操作部材の移動方向と非平行な向きに突出し、前記壁部に埋設されているアンカー部材とを備える、プッシュスイッチ。
【請求項2】
前記アンカー部材は、第1の幅寸法を有する第1アンカー部と、前記第1の幅寸法よりも大きい第2の幅寸法を有する第2アンカー部とを有し、前記第1アンカー部は、前記第2アンカー部よりも前記導電性部材の近くに位置する、請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記アンカー部材は、前記第1の部分と一体構造を成している、請求項1または2に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記アンカー部材は、前記第1の部分の側縁より突出している、請求項3に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
前記アンカー部材は、前記第2の部分と一体構造を成している、請求項1から4のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項6】
前記アンカー部材は、前記第2の部分の側縁より突出している、請求項5に記載のプッシュスイッチ。
【請求項7】
前記アンカー部材は、前記プッシュスイッチが前記回路基板に実装された状態において、前記導電性部材の前記回路基板と平行に延在する部分に設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項8】
前記導電性部材は、前記ケースの側面において露出する第3の部分を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項9】
前記導電性部材は、前記ケースの前記回路基板に対向する面において露出する第3の部分を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−114760(P2013−114760A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256999(P2011−256999)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】