説明

プラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置、延伸ブロー成形プラント、およびセラミック部品の使用

【課題】樹脂製予備成形品の延伸ブロー成形装置において、ポジティブロックスチール締め具と同程度の安定性を有するとともに、潤滑剤の追加なしに、良好な滑り特性を実現する装置を提供する。
【解決手段】樹脂製予備成形品の延伸ブロー成形装置1は、少なくとも2つのシェル部4、5およびベース部6を有するブロー成形用金型3を運搬する運搬デバイス2と、ベース部受け手段11とベース部受け手段を保持する保持デバイス12,13,14、15と有するベース部固定デバイス10とを備え、ベース部受け手段がポジティブロック締め具18により保持手段(保持デバイス)に固定され、樹脂製容器を形成するための予備成形品の延伸ブロー成形装置であって、ポジティブロック締め具が、セラミック材料からなるポジティブロック領域22を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形装置に関し、特に、少なくとも2つのシェル部およびベース部を備えるブロー成形用金型を運搬する運搬デバイスと、ベース部受け手段およびベース部受け手段を保持する保持デバイスとを備えるベース部固定デバイスとで、プラスチック材料予備成形品を延伸ブロー成形してプラスチック材料容器を形成する装置であって、ベース部受け手段をポジティブロック締め具により保持デバイスに固定することができる装置に関する。保持デバイスは、摩耗の際に容易に交換できるようにシェル部に締結される追加部品の形で、あるいはシェル部を構成する一部分の形で構成できることが好ましい。
【0002】
また、本発明は、成形プラントに関し、特にプラスチック材料予備成形品をプラスチック材料容器に延伸ブロー成形するためのプラントであって、クリーンルームと、プラスチック材料予備成形品に形状を与えるブロー成形用金型を備える少なくとも1つのブロー成形工程とが設けられたプラントに関する。
【0003】
同じく、本発明は、セラミック部品、および/または少なくとも部分的にセラミック材料で被覆されている機能部品の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
市販のブロー成形装置は、種々のバリエーションで存在し、特に、これらのブロー成形装置からプラスチック材料の飲料ボトルを満足のいくように製造することが可能である。この目的を達成するために、プラスチック材料予備成形品をブロー成形用金型に挿入し、処理圧力により膨張させて飲料を注入、保存できる実際のプラスチック材料容器を形成する。プラスチック材料予備成形品の膨張によりブロー成形用金型にて成形したプラスチック材料容器をこの金型から取り除くこともできるように、実際のブロー成形用金型は、一般には、互いに分離可能な複数の部分、すなわち、2つの側面のシェル部と、その上にしっかり固定されることが可能なベース部とを有する。
【0005】
全体において、2つの側面のシェル部およびベース部は、それらの内部で、製造されるプラスチック材料容器のネガティブ形状(negative shape)を形成する。プラスチック材料予備成形品の膨張中、比較的高い押付力が発生し、また、特に、ベース部に作用し、ベース部を下方に押圧する。2つのシェル部に半径方向に作用する押付力が2つのシェル部を運搬する運搬デバイスに吸収されている間、ベース部に軸方向に作用する押付力が、同じ様に運搬デバイスまたはベース部固定デバイスに伝わる必要がある。
【0006】
この目的を達成するために、運搬デバイスまたはベース部固定デバイスの各々は、対応のベース部保持手段を備える。軸方向に作用する押付力のために、ベース部保持手段が変形してはならず、またベース部自体がシェル部から立ち上がるべきではない。そうしなければ、シェル部とベース部との間の金型に隙間が形成され、これが後にプラスチック材料容器上で歴然とした見苦しい跡となるからである。特に、この理由で、ベース部受け手段は、ポジティブロック締め具により、ベース部固定デバイスの保持シェル上に支持するのが理想的である。
【0007】
それに加えて、ポジティブロック締め具により、ベース部を2つのシェル部に対して中央に位置させることができる。プラスチック材料容器の製造時における衛生基準に関する最も厳しい条件を満たすことができるように、プラスチック材料容器のブロー成形工程および後続の充填工程の両方がクリーンルームで頻繁に行われる。この状況において特に発生する問題は、ポジティブロック締め具が形成されている間、部品(ベース部受け手段および保持シェル)に頻繁に潤滑剤を与える必要があることである。特に、衛生面で非常に要求度が高い処理、特にクリーンルームにおいては、これらの作用が細菌の発生を促進してしまうので、潤滑剤は望ましくない。そのため、潤滑剤の使用を最小限にすること、または理想的には完全に潤滑剤を省くことが長期間望まれてきた。
【0008】
従来技術として、プラスチック材料予備成形品のブロー成形機の多部品ブロー成形用金型に関する技術が、特許文献1に開示されている。当該技術では、ベース部の側面に沿って旋回させることができる固定デバイス部品により、ブロー成形用金型のベース部受け手段を、ブロー成形金型の側面のシェルに対してポジティブロック方法で固定することができる。固定デバイス部品と固定されるベース部との間のポジティブロック締め具に過分の潤滑剤の使用ができるように、互いに直接対応するポジティブロック部品が復合プラスチック材料で被覆されている。これは、構造上、一方でベース部の外周が被覆され、他方で固定デバイス部品が複合プラスチック材料で被覆されていることによって、本質的に複合プラスチック材料のみが動作可能に接触する。その結果、十分に良好な滑り特性を有するポジティブロック部品を製造することができるため、潤滑剤を省くことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2009/156698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、複合プラスチック材料は、従来のスチール部品と比べて、特に摩耗が増大しやすい。
【0011】
本発明の目的は、上述の課題に対し、プラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置において、周知のポジティブロックスチール締め具とおおよそ同程度の安定性を実現するとともに、潤滑剤を追加することなく、十分に良好な滑り特性を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、特に、少なくとも2つのシェル部およびベース部を有するブロー成形用金型を運搬する運搬デバイスと、ベース部受け手段とベース部受け手段を保持する保持デバイスと有するベース部固定デバイス(10)とを備え、ベース部受け手段が、ポジティブロック締め具により保持手段に固定されることが可能なポジティブロック締め具が、セラミック材料から製造されるポジティブロック領域を有する、プラスチック材料容器を形成するためのプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形を行う成形用装置によって達成される。
【0013】
本発明によれば、ポジティブロック締め具の形成にセラミック材料を使用し、その結果、非常に高い安定性を確保すると同時に、それにもかかわらず、互いに対応する、あるいは互いに係合するポジティブロック部品において、周知のブロー成形用金型のポジティブロック締め具の場合よりも十分に良好な滑り特性を、有益な方法で達成することができる。特に、セラミック材料は、かなり高い耐摩耗性を特徴とするとともに、非常に低い熱膨張挙動を有する。その結果、本発明のポジティブロック締め具は、上述の従来技術よりさらに明らかに突出している。この点に関し、ポジティブロック締め具は、極めて高い耐摩耗性があり、良好な滑り特性のために、潤滑剤を追加することを必要としない。
【0014】
本発明では、セラミック複合材料もセラミック材料とみなされる。
【0015】
この場合、例えば異なるブロー成形用金型に変更する場合のように、例えば接続金具を交換する際に、ポジティブロックセラミック領域を延伸ブロー成形装置に留めたままにしておくことが特に好ましい。その結果、下記において詳細に説明するように、必要なセラミック部品の数を少なく保つことができ、その結果、さらにコストを低減することが可能となる。
【0016】
この点に関し、ポジティブロックセラミック領域またはそれぞれの部品を、例えば適切なフランジ締結を手段として、ブロー成形用金型を運搬する運搬デバイスに、交換可能な方法で直接または間接的に配置することが極めて好ましい。このように、接続金具を交換する際に、これらを永久的に本発明の装置に留めることができるとともに、更に他のブロー成形用金型にも有利に利用することができる。致命的な摩耗が生じたときにのみポジティブロックセラミック部位を交換する必要がある。
【0017】
最後に挙げたこれらの特徴は、セラミック材料を、このポジティブロック機構留め具に関し、より経済的に使用できるということに大きく貢献するので、これら最後に挙げた特徴だけで、本発明の装置を従来技術に対して非常に有利に発展させることができる。
【0018】
また、少なくとも部分的に、クリーンルームにおける延伸ブロー成形装置のポジティブロック締め具の潤滑剤の代替として、セラミック材料で被覆されるセラミック部品および/または機能部品を使用することにより、本発明の目的を達成する。本発明によると、これらの部品を用いることによって、衛生面の厳しい条件を満たす飲料ボトル製造用延伸ブロー成形プラントのクリーンルームにおいて潤滑剤の追加を不要とすることが可能となる。
【0019】
この延伸ブロー成形装置を特に構造的に小さくできるように、ポジティブロック締め具が、例えば冷媒のような調節媒体(tempering medium)を提供する付属装置を備えることが非常に好ましい。例として、ポジティブロック締め具を形成または構成するベース部受け手段には、この種の付属装置が設けられており、この場合、ベース部受け手段を、完全にセラミック部品またはセラミック部品群の形で製造することが好ましい。
【0020】
平板状に設計することが好ましいベース部受け手段を、ベース部固定デバイスの保持デバイスで満足に保持または固定することができるように、前記保持デバイスは、対応する保持シェルを備えることが好ましい。
【0021】
このポジティブロック締め具を様々な方法で設計することができる。ブロー成形分野で特に効果が得られているのは、半径方向に重ね合わせるように協働し、特にベース部受け手段上で軸方向に作用する主な力を吸収することが可能な締め付け要素を備えているが、互いに滑りながら半径方向に重ね合わせるような厳しいやり方で協働する締め付け要素は備えていない締め具である。この場合、指の間の皮膜(web)形態の締め付け要素が、対応する下面くり抜き部(undercut)部の後方に半径方向に十分に突出している。例として、この点に関し、ポジティブロック方式のバネ・溝締め具についてより詳細に説明する。
【0022】
このため、本発明のポジティブロック締め具が、ベース部固定デバイスのバネおよび/または溝が少なくとも部分的にセラミック材料から製造されるバネ・溝デバイスを備えることが好ましい。バネ・溝デバイスは非常に頑丈であるとともに、単純であることが特徴でもある。
【0023】
バネおよび溝は、主にバネ・溝締め具において協働するので、この点に関し、バネおよび溝は、特に滑り面の領域において、少なくとも部分的にセラミック材料から構成されることが好ましい。
【0024】
特に保持シェルに対するベース部受け手段の良好なセンタリングを達成するために、ポジティブロック締め具の互いに対応する部品、特にバネ・溝デバイスのバネおよび溝が、角柱状の外形を有することが好ましい。
【0025】
本発明において、「バネ・溝デバイス」という語は、少なくとも1つの凹部の下面くり抜き部に係合する少なくとも1つのウェブを用いて、互いに対応する部品間でポジティブロック締め具を作り出すことが可能な締結デバイスを表している。
【0026】
この場合、ベース部受け手段に溝を配置することが可能であり、保持デバイスにバネを配置することが可能である。しかし、逆の配置も可能である。
【0027】
本願のベース部固定デバイスを、ブロー成形用金型のシェル部を運搬および作動させる運搬デバイスと一体で製造することができる。ベース部固定デバイスを運搬デバイス上の別個の部品として配置できることも好ましい。
【0028】
相互に交換可能な方法でベース部固定デバイス上の挿入部として装着されることが特に好ましいセラミックベース体を、ベース部固定デバイスのバネが、少なくとも1個有する場合、もし必要であれば、バネを迅速にかつ容易に交換することが可能である。この点に関し、メンテナンスおよび/または修理作業も有利に実施されることが可能となる。
【0029】
相互交換可能な方法でベース部固定デバイス上の挿入部として装着されることが特に好ましいセラミックベース体を、ベース部固定デバイスの溝が、少なくとも1個有する場合、バネにもたらされる効果を、溝にももたらせることが可能となる。
【0030】
この場合、ベース部固定デバイスの残りの部品または部品群は、従来技術と同様、都合の良い方法で、スチールから製造することが可能である。
【0031】
さらに好ましい実施の形態の変形例として、ベース部受け手段および/または保持デバイスまたは保持シェルの各々が、完全にセラミック材料から形成することができる。実施の形態の本変形例では、セラミック/金属複合部品を製造することが絶対必要ではないので、製造が容易であるという効果を得ることができる。
【0032】
例として、保持シェルのみを完全にセラミック材料から製造し、一方で、ベース部受け手段を、スチールのままで製造して、ベース部受け手段を従来技術タイプとすることや、その逆とすることが可能である。
【0033】
本発明の別の側面によれば、少なくとも2つのシェル部およびベース部を備えるブロー成形用金型を運搬する運搬デバイスと、ベース部受け手段とベース部受け手段を保持する保持デバイスとを備えるベース部固定デバイスとを備え、ベース部受け手段が、ポジティブロック締め具により保持デバイスに固定することが可能なプラスチック材料容器を形成するためのプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置であって、ベース部固定デバイスが、ベース部受け手段およびそれぞれベース部受け手段を保持する保持デバイスまたは保持シェルを備える。そして、ベース部受け手段および保持デバイスまたは保持シェルの各々が、いずれの場合も、少なくとも1つの溝を有し、これら溝は、ベース部受け手段および保持デバイスまたは保持シェルがポジティブロッキング方法で互いに接続されるように、少なくとも1つの滑りブロックにより互いに対応し、滑りブロックが、ベース部受け手段および保持デバイスまたは保持シェルのそれぞれの材料とは異なる材料から製造されることが好ましいことを特徴とする装置であることによって、本発明の目的を達成する。
【0034】
本解決手段は、特に、ブロー成形用金型に非常に少数のセラミック部品を用いてポジティブロックセラミック締め具を実現することが可能な、極めて簡易な設計を特徴としている。その結果、前記ブロー成形用金型を容易に据え付けすることが難なく可能となる。
【0035】
この点に関し、滑りブロックがセラミックベース体を有することが好ましい。
【0036】
ベース部固定デバイスのベース部受け手段は、少なくとも2つの溝を有する下面くり抜き部を備え、外側に半径方向に設けられ、この溝は、下面くり抜き部よりさらに内側に半径方向に延在する、部材に設けられた凹部により、ベース部受け手段の周辺方向に互いに離間して配置され、その結果、滑りブロックを溝内部に非常に良好に固定することができ、滑りブロックが不要に周方向に移動することを防ぐことができる。
【0037】
特にブロー成形用金型のベース部とベース部固定デバイスのベース部受け手段との間で、締結領域を封鎖できるように、衛生面で満足できる方法で、ベース部受け手段を少なくとも1つのOリングシールによりベース部から切り離すことが好ましい。その結果、衛生面の危険度をさらに低減することができる。
【0038】
特に好ましい実施形態の変形例としては、延伸ブロー成形装置を、プラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形プラントのクリーンルームに配置する。クリーンルームで潤滑剤を使用することは、衛生面で非常に危険であると見なされているので、この延伸ブロー成形装置をクリーンルームに配置することは特に目的にかなっている。しかし、本発明に係る延伸ブロー成形装置によると、ポジティブロック締め具を滑りやすくするための潤滑剤の使用を省くことが可能となる。このような延伸ブロー成型機の無菌設計は、本発明者のWO2010/020529号公報において知られている。本文献の開示内容は、全体にわたり本願の開示内容に引用として組み込まれている。ブロー成形工程の搬送路周辺のダクトの形で無菌室を設計することが好ましい。ブロー成形部が配置される搬器の領域を望ましいクリーンルームの外部に配置することも好ましい形態である。
【0039】
さらに、本発明の目的は、ここで述べたいずれかの特徴を有し、クリーンルームと、少なくとも1つのブロー成形工程とでプラスチック材料予備成形品をを成形するためのブロー成形用金型を備える、プラスチック材料予備成形品をプラスチック材料容器に延伸ブロー成形するためのプラントにより達成される。プラントは、複数のブロー成形装置、特に上述のタイプの延伸ブロー成形装置を有することが好ましい。
【0040】
特に、クリーンルームおよびブロー成形用金型における潤滑剤使用の問題については、このように構造的に特に簡単かつ低価な方法で対処することができる。
【0041】
全ての上記部品、特にベース部受け手段および保持シェルの固定を、微生物学的に問題がない方法で、延伸ブロー成形装置上で、好ましくはネジ締結により理想的に行う必要がある。これは、特に、これらの部品に摩耗または不良が生じた場合に、これらの部品を簡単に交換できるという利点を有する。また、これらの部品は、殺菌が簡単である。
【0042】
まとめると、セラミック材料の使用に関して、特に下記の実施の形態の変形例が好ましい。すなわち、まず1つ目は、セラミック材料の解除式挿入部を、保持シェルにて締結でき、残りの部品をスチールから製造することができる。2つ目は、代わりに解除式挿入部をベース部受け手段に締結でき、残りの部品をスチールから製造する。3つ目は、保持シェルを完全にセラミック材料から構成することができ、4つ目は、ベース部受け手段を追加的または交換的にセラミック材料から構成することができる。
【発明の効果】
【0043】
従来技術と比べた本発明の特異な効果は、セラミック材料が、例えば、ブロー成形用金型、ベース部等の交換部品の内部または上部には含まれていないが、ブロー成形装置の付属品が交換された時でさえ、ブロー成形装置のベース部固定デバイス上に、セラミック材料が好ましく残った状態になっていることである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】少なくとも2つのシェル部およびベース部を備える部分的に開口したブロー成形用金型と、ベース部受け手段および保持シェルを有するベース部固定デバイスを備える運搬デバイスとを有する延伸ブロー成形装置の図である。
【図2】ベース部固定デバイスの第1詳細図である。
【図3】ベース部固定デバイスのさらに詳細な図である。
【図4】円形ベース受け手段の実施形態の図である。
【図5】矩形ベース受け手段の実施形態の図である。
【図6】他のベース部固定デバイスの部品の図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて、更なる効果、目的および特徴を詳細に述べる。本発明の実施形態として、種々の方法で設計されたベース部固定デバイスを備える本発明に係る延伸ブロー成形装置を、例として例示及び説明する。
【0046】
図1は、本実施形態におけるプラスチック材料予備成形品(ここでは図示しない)をプラスチック材料容器(同じく、ここでは図示しない)に延伸ブロー成形するための延伸ブロー成形装置1の構成を示す図である。図1に示すように、延伸ブロー成形装置1は、第1側面シェル部4、第2側面シェル部5およびベース部6を本質的に備えるブロー成形用金型3を運搬する運搬デバイス2を備える。また、2つのシェル部4,5、およびベース部6は、それぞれのプラスチック材料容器の成形に関与している。
【0047】
運搬デバイス2は、2分割され、第1側面のシェル部4を運搬する第1運搬デバイス半部分7と、第2側面のシェル部5を運搬する第2運搬デバイス半部分8を有する。2つの側面のシェル部4,5は、周知の方法で開閉可能となるように、2つの運搬デバイス半部分7,8は、この場合互いに対して回動可能になるように運搬棒9に装着されている。
【0048】
ベース部受け手段11と、第1保持デバイス12と、第2保持デバイス13とを本質的に備えるベース部固定デバイス10は、運搬デバイス2の下側に解除可能に締結されており、この場合、ベース部受け手段11と、そしてベース部6とを、2つの保持デバイス12,13によって、特に2つのシェル部4および5に対して保持および固定をすることができる。
【0049】
この場合、2つの保持デバイス12および13は、保持シェルまたは半シェル14,15を備えており、第1半シェル14は、フランジ締め具16により第1運搬デバイス半部分7にフランジ取り付けされており、第2半シェル15は、さらにフランジ締め具17により第2運搬デバイス半部分8にフランジ取り付けされている。
【0050】
このように、特に保持シェルまたは半シェル14,15、および通常はベース部受け手段11についてもまた、例えば、ブロー成形用金型3の付属品変更の際に、延伸ブロー成形装置1に有利に保持することができる。
【0051】
ベース部受け手段11は、動作的に信頼できる方法で固定できるように、ブロー成形用金型3の動作中、ポジティブロック締め具18を用いて、ポジティブロック方法で2つの半シェル(第1半シェル14および第2半シェル15)によって固定される。従って、ベース部受け手段11および/またはブロー成形用金型3のベース部6が、ブロー成形用金型3内部の押付力によって、危険な形で変形したり、危険な形でブロー成形用金型の2つのシェル部4および5から立ち上がることなく、ベース部受け手段11を2つの半シェル(第1半シェル14および第2半シェル15)によって、動作的に信頼できる方法で固定できる。ブロー成形用金型3を調節するための調節媒体として、特に冷媒の対応ソケット19をベース部受け手段11の下側に設ける。さらに、延伸ブロー成形装置1は、プラスチック材料予備成形品を膨張するためのブロー成形ノズル(図示しない)を有する。
【0052】
ここに示す延伸ブロー成形装置1は、延伸ブロー成形プラント21のクリーンルーム20(ここでは明確に図示しない)に好ましく位置決めされているので、例えば、クリーンルーム20でのプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形中の衛生条件を満たすために、潤滑剤(ここでは図示しない)は、特にポジティブロック締め具18上にも付与すべきでない。
【0053】
本発明によると、このポジティブロック締め具18には、潤滑剤の代替としてセラミック材料から製造されたポジティブロック領域22(特に図2参照)が設けられている。互いにこすり合うセラミック材料から製造されたポジティブロック領域22は、潤滑剤を追加しなくても問題なく互いに滑り合うことができる。さらに、セラミック材料から製造されたこれらのポジティブロック領域22は、十分な硬度特性を有しており、そしてこの点に関し適切な耐摩耗性も有している。
【0054】
この場合、ポジティブロック締め具18に構造的に関与する構成部品を、セラミック材料で覆うことや塗装をすることができる。
【0055】
あるいは、ポジティブロック締め具18に構造的に関与する構成部品は、完全にセラミック材料から製造される第1半シェル14および第2半シェル15(図1乃至図3に図示)と同様に、固体セラミック部品の形で設計されている。
【0056】
図2および3で更に詳細に示されるポジティブロック締め具18は、構造上簡単に設計され、そして、第1実施の形態に示すように、保持シェルに対してバネ24を有し、ベース部受け手段11に対して溝25を有するバネ・溝デバイス23を特徴としている。
【0057】
この場合、2つの半シェル(第1半シェル14および第2半シェル15)は、固体セラミック部品の形で設計されている。第1半シェル14および第2半シェル15は、それぞれ運搬デバイス半部分7および運搬デバイス半部分8に解除可能にフランジ取り付けされていることから、さらに前記延伸ブロー成形装置に好ましい方法で据え付けることができる。
【0058】
本実施の形態では、ベース部受け手段11は好ましい方法でスチールから製造されているので、ベース部受け手段11は従来の特性を備えることもできる。
【0059】
明らかに、ブロー成形用金型3のベース部6はベース部受け手段11に締結されており、その場合、接触面上の望ましくない隙間を避ける、あるいは密閉することができるように、さらに内側に半径方向に位置する第1Oリングシール26および第2Oリングシール27がベース部6の下側に配置されている。その結果、衛生上の危険性はさらに有利に低下する。この場合、位置決めをより良くするために、ベース部受け手段11および/またはベース部6に、2つのOリングシール26、27に対応するOリング受け溝(数はここでは明記しない)を設けることが可能である。
【0060】
図4に示す円形セラミックベース部受け手段28は、上部の円形Oリング受け溝29を特徴としており、この円形Oリング受け溝29に、第1Oリングシール26または第2Oリングシール27を挿入することができる。この円形セラミックベース部受け手段28を、非常に簡単かつ低価な方法で回転部品として設計することができる。
【0061】
代替形態である図5に示す略矩形セラミックベース部受け手段30は、上部の正方形Oリング受け手段31を特徴としており、この正方形Oリング受け手段31に、第1Oリングシール26または第2Oリングシール27を各々同様に挿入することができる。しかし、矩形セラミックベース部受け部30は、一般に、圧延部品として比較的複雑な方法で製造されなければならない。
【0062】
図6に示す特に好ましい実施の形態である変形例では、前記延伸ブロー成形装置1に用いられる代替形態としてベース部受け手段111は、中央リング135として配置され、第1半シェル114および第2半シェル115は、いずれの場合もスチールで設計されて配置される。
【0063】
この場合、一側面において、ベース部受け手段111は、第1外側溝137および第2外側溝138を備えた下面くり抜き部136を外側に半径方向に有しており、2つの外側溝137および138は、ベース部受け手段111の周辺から見た場合、部材の第1凹部139および第2凹部140によって互いに離間して配置されている。部材の第1凹部139および第2凹部140は、一方では第2外側溝138を通じてベース部受け手段111を介して軸方向に延び、他方では下面くり抜き部136より更に内側に半径方向に延びている切り込みの形で延在している。
【0064】
他の側面では、第1半シェル114および第2半シェル115は、いずれも内側溝141および142を有しており、外側溝137,138の穴と内側溝141および142の穴は、延伸ブロー成形装置1の正常動作状態で互いに反対側に位置しているので、ベース部受け手段111と2つの第1半シェル114および第2半シェル115は、ポジティブロック方法で第1滑りブロック143および第2滑りブロック144により互いに接続されている。この場合、第1滑りブロック143および第2滑りブロック144は、これらに関連したそれぞれの外側溝137および138と、これらに関連したそれぞれの内側溝141および142とにそれぞれ係合する。
【0065】
図6に示す実施の形態では、第1滑りブロック143および第2滑りブロック144は、いずれの場合もセラミック材料から製造されており、その結果、関連部品間で好ましいポジティブロック締め具118が形成される。
【0066】
この場合、ベース部受け手段111および/または2つの半シェル114および115を、特定の実施形態の変形例において好ましい場合は、同様にセラミック材料から構成することが可能である。
【0067】
部材の第1凹部139および第2凹部140の領域において、滑りブロック143および144は、それらに対応する凹部145および146を有しているので、滑りブロック143および144とベース部受け手段111が、互いに対して回転することを防止する。
【0068】
この場合、滑りブロック143および144が、外側溝137および138または内側溝141および142において解除式挿入部147として(ここでは、例としてのみ番号付けする)固定されているかどうかは重要ではない。
【0069】
固定の目的で、滑りブロック143および144は、それぞれの半シェル114および115にネジ締結にてネジ止めされている(ここでは明確に図示しない)。この目的を達成するために、ネジ受け穴148(例としてのみ、番号付けする)が、いずれの場合も半シェル114および115に設けられ、これらネジ受け穴148は、いずれの場合も半シェル114および115をこれらに関連する運搬デバイス半部分7および8それぞれに締結する際にも使用される。
【0070】
上記実施の形態は、本発明に係る延伸ブロー成形機の一実施形態に過ぎないものである。
【0071】
これに関して、本発明のデザインは、これら実施の形態にのみ限定されない。
【0072】
出願者は、出願書類に開示した各特徴のまたは全特徴が、個別または組み合わされて従来技術に比して新規である限り、本発明に最も重要であることを主張する権利を留保する。
【符号の説明】
【0073】
1 延伸ブロー成形用装置
2 運搬デバイス
3 ブロー成形用金型
4 第1側面のシェル部
5 第2側面のシェル部
6 ベース部
7 第1運搬デバイス半部分
8 第2運搬デバイス半部分
9 運搬棒
10 ベース部固定デバイス
11 ベース部受け手段
12 第1保持デバイス
13 第2保持デバイス
14 第1半シェル/保持シェル
15 第2半シェル/保持シェル
16 フランジ締め具
17 追加用フランジ締め具
18 ポジティブロック締め具
19 調節媒体用ソケット
20 クリーンルーム
21 延伸ブロー成形プラント
22 セラミックポジティブロック領域
23 バネ・溝デバイス
24 バネ
25 溝
26 第1Oリングシール
27 第2Oリングシール
28 円形セラミックベース部受け手段
29 円形Oリング受け手段
30 矩形セラミックベース部受け手段
31 正方形Oリング受け手段
111 変形例のベース部受け手段
114 変形例の第1半シェル
115 変形例の第2半シェル
118 ポジティブロック締め具
135 中央リング
136 下面くり抜き部
137 第1外側溝
138 第2外側溝
139 部材の第1凹部
140 部材の第2凹部
141 第1内側溝
142 第2内側溝
143 第1滑りブロック
144 第2滑りブロック
145 第1凹部
146 第2凹部
147 解除式挿入部
148 ネジ受け穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのシェル部(4、5)およびベース部(6)を有するブロー成形用金型(3)を運搬する運搬デバイス(2)と、
ベース部受け手段(11、28,30,111)とベース部受け手段(11,111)を保持する保持デバイス(各々12,13,14、15、114、115)と有するベース部固定デバイス(10)とを備え、
前記ベース部受け手段(11、28、30、111)がポジティブロック締め具(18、118)により保持手段(それぞれ12,13,14,15,114,115)に固定されることが可能な、プラスチック材料容器を形成するためのプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)であって、
ポジティブロック締め具(18、118)が、セラミック材料から製造されるポジティブロック領域(22)を有することを特徴とする、
プラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)。
【請求項2】
前記ベース部受け手段(11、28、30)および/または前記保持手段(各々12、13、14、15)が全面的にセラミック材料から形成されることを特徴とする、
請求項1に記載のプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)。
【請求項3】
前記ベース部受け手段(111、135)および前記保持デバイス(114,115)の両方がいずれの場合も、少なくとも1つの溝(137,138,141,142)を有し、
前記ベース部受け手段(111、135)および前記保持デバイス(114,115)がポジティブロック方法で相互に連結されるように、前記溝は少なくとも1つの滑りブロック(143,144)により互いに対応し、
前記少なくとも1つの滑りブロック(143、144)は、ベース部受け手段(111、135)および保持デバイス(114,115)の材料とは異なる材料である、セラミック材料から製造されることを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載のプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)。
【請求項4】
ベース部受け手段(111、135)は、少なくとも2つの溝(136,137)を備えるアンダーカット(136)で外側に放射状に設けられ、アンダーカット(136)よりさらに内側に放射状に延在する部材の凹部(139,140)により、ベース部受け手段(135)の溝(136,137)が周方向に互いに離間して配置されることを特徴とする、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)。
【請求項5】
ベース部受け手段(11,28,30,111,135)は少なくとも1つのOリングシール(26、27)によりベース部(6)から密封されていることを特徴とする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)。
【請求項6】
前記延伸ブロー成形装置(1)が、プラスチック材料予備成形品延伸ブロー成形プラント(21)のクリーンルーム(20)に配置されていることを特徴とする、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)。
【請求項7】
前記ポジティブロック締め具(18)は、ベース部固定デバイス(10)のバネ(24)および/または溝(25)が少なくとも部分的にセラミック材料から形成されているバネ・溝締め具(23)を備えることを特徴とする、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)。
【請求項8】
前記ベース部締め付け装置(10)の前記バネ(24,143、144)および/または前記溝(25)は、前記ベース部固定デバイス(10)上に解除式挿入部(147)の方法で交換可能に取り付けられる少なくとも1つのセラミックベース体を有することを特徴とする、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)。
【請求項9】
クリーンルーム(20)と、プラスチック材料予備成形品成形用のブロー成形金型(3)を備える少なくとも1つのブロー成形工程とで、前記プラスチック材料予備成形品を前記プラスチック材料容器に延伸ブロー成形するためのプラント(21)であって、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のプラスチック材料予備成形品の延伸ブロー成形装置(1)を有することを特徴とする、
延伸ブロー成形プラント(21)。
【請求項10】
クリーンルーム(20)の延伸ブロー成形装置(1)のポジティブロック締め具(18、118)における潤滑剤の代替品とすることを目的とする、セラミック部品(14,15,28.143,144,147)および/または少なくとも部分的にセラミック材料に被覆された機能部品の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−254630(P2012−254630A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−125818(P2012−125818)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【出願人】(508120916)クロネス アーゲー (65)
【Fターム(参考)】