説明

プラスチック顔料を含むコーティングスリップを有する少なくとも1つの化粧紙を含む石膏ボード、コーティングスリップ、およびその製造方法

少なくとも1つの化粧紙とプラスチック顔料を含むコーティングスリップとを含む石膏ボード、コーティングスリップ、およびその製造工程である。
本発明は、ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙と、前記化粧紙の上に積層されたコーティングスリップと、を含む石膏ボードであって、前記コーティングスリップが増白剤としてプラスチック顔料を含むことを特徴とする、石膏ボードに関する。
石膏ボード用に設計された化粧紙のためのコーティングスリップにおける増白剤としての、プラスチック顔料の使用である。
石膏ボードおよび石膏ボードの紙のためのコーティングスリップである。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術分野
本発明は、建設資材の一般的な技術分野、特に石膏本体および、コーティングスリップ(coating slip)もしくは下塗りでコートされた少なくとも1つの外装の化粧紙(facing paper)または厚紙を含む、組み立て済みの石膏ボード(plasterboaed)に関する分野に関連する。
【0002】
本発明は、ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙、前記石膏ボードの外観を改善するため、および/または化粧紙の上および前記紙の上にあらかじめ積層されたコーティングスリップの上に壁紙を直接設置することを可能にするために設計された、上にコーティングスリップが積層された化粧紙を含む石膏ボードに関する。
【0003】
本発明はまた、正確に言えば前記化粧紙の上に塗るもしくは積層されるように設計されたコーティングスリップまたは下塗りに関する。
【0004】
本発明はまた、石膏ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙を含む石膏ボードの製造工程であって、コーティングスリップまたは下塗りが前記化粧紙の上に積層される工程に関する。
【0005】
最後に、本発明はまた、コーティングスリップまたは下塗りの組成物に組み込まれる化合物の、石膏ボード用に設計された化粧紙のためのコーティングスリップにおける増白剤としての新規な使用に関する。
【0006】
従来技術
石膏ボードまたはパネル用材はよく知られており、石膏の本体またはコアが、石膏の機械的な保持または枠組みと、その外側の表面の外装の面との両方を確実にする2枚の厚紙の支持材の間に、一般には流し込むことによって、積層されると従来から理解されている。
【0007】
この種の石膏パネル用材の製作はよく知られており、特に本願出願人による欧州特許出願公開第0521804号に記載されており、必要に応じて参照されうる。
【0008】
この以前の特許において、すべてが紙の製造、その経時的な性能および、その特に機械的な強度特性に悪影響をおよぼすことなく、特にその黄変を避けることによって、および白色の適切な均一性を確実にすることによって、特に化粧紙の外部層の適切な美観を確実にする目的で、化粧紙の外装の面にコーティングスリップを積層することも提供された。
【0009】
それにもかかわらず、外部層の美的な特性を与え、一方で低コストである、化粧紙を有する石膏ボードを得るために探索が常になされている。
【0010】
考えられる手段のひとつは、低コストの材料、したがって特に繊維において、従来用いられたものよりも低品質の材料によって化粧紙を実現することである。ここで、一般に再生紙から得られる低品質の繊維に頼ると、その全体としておよびその全体的な色調において、より暗く、より均一性の低い化粧紙となる問題がある。原紙のコストの削減は、実際に石膏ボードのコストがかなり削減されたとしても、より暗く、より均一性の低い外観を与える紙が製造される否定的な結果になる。したがって、得られる石膏パネルは全体として美的な質が低下する。
【0011】
紙のコーティングスリップ中の増白剤の比率を増加させることによる、低品質の紙の白さの回復もまた考慮されている。このような混入は、その経済的な意味に議論の余地があるばかりではなく、コートされた紙の気孔率の減少を伴い、これは石膏のセッティングの間の水の蒸発を減少させる傾向を有するため、直接的には想定されない。したがって、この乾燥時間の増加は、このように製造の生産性を低下させ、したがってこの解決方法は容認されない。
【0012】
その他の点では、紙の乾燥性の減少、すなわち紙のガーレー透気度(Gurley porosity)(NF ISO 5636−5)の値の増加もまた、石膏が製造されるときの紙の剥離のおそれ、または気泡の発生によって発現する。
【発明の開示】
【0013】
発明の開示
本発明の目的は、したがって、既に列挙されたさまざまな問題を改善し、製造コストが低減されたものであっても仕上がりおよび外観、特に白さの優れた性質を示し、一方で製造が容易であって長期にわたってその品質を保持する、新規な石膏ボードを、新規なコーティングスリップおよび新規な石膏ボードの製造工程とともに提供することを目的とする。
【0014】
本発明の他の目的は、新規な石膏ボードおよびそれに関する新規な製造工程を、この石膏ボードの特に均一な視覚効果が効果的に得られるようにする新規なコーティングスリップとともに、提供することを目的とする。
【0015】
本発明の目的は、石膏ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙と、前記化粧紙の上に積層されたコーティングスリップと、を含む石膏ボードであって、前記コーティングスリップが増白剤としてプラスチック顔料を含むことを特徴とする石膏ボードによって達成される。
【0016】
本発明の目的はまた、石膏ボードの化粧紙の上層にコートされるように設計されたコーティングスリップであって、増白剤としてプラスチック顔料を含むことを特徴とする、コーティングスリップによって達成される。
【0017】
本発明の目的はまた、化粧ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙を含み、前記化粧紙の上面にコーティングスリップが積層された石膏ボードの製造工程であって、増白剤としてプラスチック顔料を含むコーティングスリップが積層されることを特徴とする、製造工程によって達成される。
【0018】
最後に、本発明の目的は、石膏ボード用に設計された化粧紙のためのコーティングスリップにおける増白剤としての、プラスチック顔料の新たな使用によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明を実施するための最良の形態
本発明の他の目的および利点は、単に説明として非制限的に与えられる以下の説明を読むことでより詳細に明らかになるであろう。
【0020】
本発明は、一般に紙または厚紙からなり、したがって石膏ボードの外装の面およびそれを支持する枠組みの両方を担う2つの外枠の間に、適当なフィッティングの中に流し込まれた石膏の本体またはコアから形成される石膏ボードを目的とする。
【0021】
このような石膏ボードは、伝統的には建設資材として用いられ、仕切りもしくは天井を形成するために、または内張り、特に断熱材を形成するために用いられる。
【0022】
これらのボードの製造は、当業者によく知られているように、1枚の化粧紙の上に石膏を流し込み、次いで2枚目の化粧紙を設置し、その後、最後に、ボードを乾燥させて大量の水の蒸発および設置した後の最終的な建造物の製造に導くことを含む、一連の標準的な操作を通して一般に理解されている。
【0023】
製造の全体の段階は、特許EP−0521804に記載され、必要に応じて参照されうる。
【0024】
本発明の場合、本発明による石膏ボードは、ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙、より好ましくは石膏本体の両側に配置される2つの化粧紙を有する。
【0025】
用いられる化粧紙は、より好ましくは、例えば2以上の層が積層されて形成された多層紙であり、層の数は限定されないが、特には2〜9層である。
【0026】
特に有利には、本発明による石膏ボードの化粧紙は、2層の連続によって形成され、本発明の意味の範囲内で本発明の枠組みを外れることなく、3または5層の積層の使用もなされると理解されるであろう。
【0027】
以下に挙げた制限されない紙の特性、例えばその坪量(NFQ03−019)、またはその厚さ(NFQ03−016)、その吸水性(石膏のシートと接触する表面上の水の吸収の性質もしくは3分間のCobb(NFQ03−014)であっても、または外側の表面上の水の吸収の性質もしくは3分間のCobb(NFQ03−014)であっても)、その空気の透過性(ガーレー透気度 NFISO−5636−5)、標準に従って測定されたその破壊に対する耐性(NFQ03−004)、その折りたたみ強度、横断方向の23℃で1分後に測定した水中でのその伸長(NFQ03−063)などが、さまざまな製造の操作に加えて、水の存在および蒸発に耐えるために採用される。
【0028】
非制限的な例として、原紙の坪量は、100〜250g/mであり、好ましくは160〜200g/mであり、さらに好ましくは180〜200g/mである。
【0029】
一般に、低コストの石膏ボードの製造は、通常の石膏ボードに比べて、低コストの化粧紙の使用を含み、これは相まって、結局全体の色がより暗い、例えば50〜70ISO(ISO2469/2470)のオーダーであり、例えば、60のオーダーである紙がもたらされる、低品質の繊維に頼ることを伴う。
【0030】
最も有利には、石膏ボードの外装を形成するように設計され、したがってボードの目に触れる表面になるであろう化粧紙の上層は、白い切り抜きもしくは古い事務用紙などの、漂白または半漂白された再生繊維の混合物から実現されるであろう。紙、本願出願人による特許EP−0521804に記載の紙の参照および命名は、全体が本明細書中に適用される(群C、ならびに特にC7〜C9、およびC11、C12、C14〜C19)。
【0031】
上層はまた、再生された印刷されていない事務用紙から、または新聞用紙から実現されうる。情報として、他の使用できる繊維またはパルプは、例えば化学機械繊維、熱機械繊維または熱機械化学繊維などの、漂白または半漂白された未使用のセルロース繊維でありうる。
【0032】
上層の基礎的な坪量は、約20〜90g/mであり、好ましくは約30〜50g/mでありうる。明らかに、また当業者に知られているように、化粧紙の上層の坪量は、紙の最終的な白さの製造に非常に重要な役割を果たし、当業者は、上層の坪量を、コーティングスリップの性質の観点の他に、他の層の坪量および性質の観点から適合させるであろう。非制限的に、上層の白さは65〜68ISOである。
【0033】
石膏と接触する紙の層は、最も有利には古い段ボールから、または、家庭用由来であって、これらの層に要求される固形性および気孔率を与える、例えば液体のパッケージまたは類似の型の繊維またはこれらの繊維の混合物を含む回収された原料から作製されるであろう。
【0034】
石膏ボードの露出面を作り上げる紙の上面または上層は、この表面の優れた美的な質、特に:
−確認された均一な白さを有する表面;
−使用につれて、特にUV照射によって、黄色にならない、またはなりにくい表面;
−その後の下塗剤の塗布を排除する表面;
−清潔にしやすい表面;
−紙の層の劣化なしに壁紙の設置および特に除去を可能にし、特に大きな劣化なしに紙のいくつかの層の連続的な除去を可能にする表面;
−石膏ボードまたはパネル用材の設置後すぐに塗る必要のない表面;
から選択される1以上の質を与えるコーティングスリップを受け入れるように設計される。
【0035】
コーティングスリップは、その枠組みとしての役割に関する、および石膏の乾燥の間の脱水のための、既に記載した目的を紙の質および機能を低下させることなく満たすための位置にある。
【0036】
コーティングスリップは、最も有利には約25〜30g/mの比率で積層されうるが、その塗布は紙の初めの白さの程度に非常に明らかに依存する;原紙が白いほど必要なコーティングスリップの塗布は少なくなる。コートされる紙、すなわちコーティングスリップでコートされる紙の白さの程度は、最も有利には75〜85のISO gloss indexを有し、最も有利には78〜80である。
【0037】
コーティングスリップの塗布は、当該分野で用いられる通常の技術に従って、例えばエアナイフによって、またはローラーによって、またはブレードによって、またはスプレーすることによって、または他の方法で、または当業者によく知られているこれらの技術の1以上の組み合わせによって、そして特許EP−A−0521804の実施例を参照して行われる。
【0038】
本発明に記載されるように、石膏ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙を、前記化粧紙の上に積層されたコーティングスリップに加えて含む石膏ボードは、増白剤としてプラスチック顔料を含むコーティングスリップを含む。
【0039】
コーティングスリップを通したプラスチック顔料の塗布は、実際は、化粧紙の良好な白さの程度を与えるまたは回復することがわかり、これは、高いガーレー値に対応する紙の気孔率の相当の低下を観察することができるすべてのものなくして、均一に行われる。
【0040】
石膏ボードの化粧紙のために設計されたコーティングスリップにおけるプラスチック顔料の使用は知られておらず、紙の気孔率に関するかぎり、悪影響が確かに予想されたため、これは驚くべきことであるとわかった。
【0041】
今回、化粧紙が相対的に暗い色である状況であっても、気孔率に関するかぎり大きな副作用のおそれもなくコーティングスリップ中に高い濃度のプラスチック顔料を組み込むことが可能であるため、逆に白さが化粧紙に与えられる、または回復されうることがわかった。
【0042】
非常に明らかに、本発明はまた、増白剤としてプラスチック顔料を含むコーティングスリップに関する。
【0043】
最も有利には、本発明のコーティングスリップおよび/または上にコーティングスリップが積層された少なくとも1つの化粧紙を含む石膏ボードは、前記コーティングスリップが少なくとも5重量%のプラスチック顔料を含むものである。
【0044】
有利な工業的な効果は、コーティングスリップ中の5重量%のプラスチック顔料から明らかに得られ、紙の白さの改善に関する限りであっても、より低い濃度で効果が得られうる。
【0045】
最も有利には、コーティングスリップ、およびコーティングスリップが上に積層された化粧紙を含む石膏ボードは、5〜40重量%のプラスチック顔料、より好ましくは15〜25重量%のプラスチック顔料を含む。
【0046】
既に述べたように、コーティングスリップは、約10g/m〜45g/mの比率で、より好ましくは約20〜30g/mの比率で、さらに好ましくは25〜30g/mの比率で塗布される。
【0047】
プラスチック顔料もまた、例えば粘土、タルク、または炭酸カルシウムのような無機顔料とは対照的に設計され、合成ポリマーラテックスである。そのガラス転移点は十分に高く、この種のラテックスを形成する粒子を分離したままにすることを可能にする1以上の非造膜性を与える。
【0048】
本発明のコーティングスリップに用いられうるプラスチック顔料または有機顔料は、市場で入手できるプラスチック顔料の中から、特に充填粒子を含む、または中空粒子を含むプラスチック顔料の中から選択されうる。最も有利には、プラスチック顔料は、中空粒子、すなわちフリーの内部体積を含む粒子から形成される。
【0049】
非制限的な例として、コーティングスリップに用いられるプラスチック顔料は、ROHM&HAAS社から入手できる、ROPAQUE(登録商標)HP−1055の商品名で販売されているプラスチック顔料、または同社の商品であるROPAQUE(登録商標)BC−643に対応するプラスチック顔料でありうる。他の化合物も非常に明らかに、本発明の全体の枠組みを外れることなく用いられうる。
【0050】
プラスチック顔料は、プラスチック顔料の他に:
−少なくとも25%、好ましくは少なくとも約30%の充填剤、より好ましくは炭酸カルシウムであり、より好ましくは約44%である、
−大量の水、
−分散剤、
−消泡剤、
−少なくとも8%のバインダ(より好ましくはスチレン−ブタジエンであり、より好ましくは約16%である)、
−不溶化剤、より好ましくは脂肪族エポキシ樹脂、
−殺生物剤、より好ましくは有機硫黄/窒素含有剤(有機硫黄/窒素化合物);
を含むコーティングスリップに含まれ、混合される。
【0051】
無機充填剤として、炭酸カルシウムの代わりに、例えば任意の形態の硫酸カルシウム二水和物のような任意の等価の充填剤を使用できる。
【0052】
バインダとしては、原則的に、合成バインダ、特に合成ラテックス(特にスチレン−ブタジエンまたはスチレン−アクリル)を用いることができる。したがって、スチレン−ブタジエンの代わりに、またはそれと組み合わせて、他の合成ラテックス、ならびにより一般的に、通常用いられているすべてのポリマー材料、および、例えばポリビニルアセテートおよびアクリル単量体のような合成ポリマー材料を、特に制限されないが、変性されたまたはされていないデンプン性ポリマー、カゼイン型タンパク質などの天然起源のポリマー材料のほかに、または合成ポリマー材料と天然起源のポリマー材料との組み合わせを用いることは、明らかに考えられる。
【0053】
最も有利には、コーティングスリップにおける合成バインダの比率は、従来知られたコーティングスリップに比べて優位に増加しうる。
【0054】
したがって、本発明による石膏ボードは、合成ラテックスまたは合成ラテックスの組み合わせから形成されるバインダを含み、前記バインダは、好ましくは、コーティングスリップ中に少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも12重量%の比率で含まれる。
【0055】
最も有利には、合成ラテックスは、コーティングスリップ中に少なくとも15重量%の比率で含まれる。
【0056】
最後に、最も有利には、バインダはスチレン−ブタジエンから作製され、コーティングスリップ中に約15〜16%の比率で含まれる(表2)。
【0057】
この添加は、標準的な添加のパーセンテージよりも有意に高く、コートされた紙の研磨に対する耐性を改善し、したがって、驚くべきことに観察することなく、期待されたように、対応する紙の枠の石膏ボードの耐性を改善し、乾燥時間の延長を導く。さらに、高い比率でラテックスを含むコーティングスリップでコートされた紙を含む石膏ボードの接続の下塗りの性能は影響されず、少なくとも既知の石膏ボードに対する性能と同程度である。
【0058】
既に示した成分に加えて、コーティングスリップは、コーティングスリップ中に存在してもしなくてもよい2次的な成分を含みうる。
【0059】
このように、コーティングスリップは、充填剤としてはたらく二酸化チタンを、10重量%の比率でさらに含んでもよい。
【0060】
コーティングスリップは、例えば水酸化ナトリウムなどのpH剤を、例えば1重量%以下の比率でコーティングスリップ中に含んでもよい。
【0061】
コーティングスリップはまた、液化剤としてアンモニウムを含みうる。アンモニウムが非常に低い濃度で含まれうる。
【0062】
最後に、コーティングスリップは、バインダとして働く酸化トウモロコシでんぷんを、スチレン−ブタジエンに補足として、より好ましくは約15重量%の比率でさらに含みうる。
【実施例】
【0063】
実現の実施例1
以下の表2は、本発明によるコーティングスリップの実際の具現例を与える。
【0064】
「フラクション」に関する9列目の値は、当該分野で従来用いられてきたコーティングスリップの組成は、顔料の乾燥物の関数として成分の乾燥物の値のパーセンテージとして示され、その参照は100として与えられる。
【0065】
コーティングスリップ中に数種類の顔料がある場合、その相対値の和もまた、参照を100として示され、コーティングスリップの他の成分の値は、この関数として計算される。
【0066】
この場合、プラスチック顔料は、したがって、用いられた3つの充填剤の合計の乾燥抽出物の20%を示し、これは合わせて193.769kg(組成物中の充填剤の総量の乾燥物の合計)であり、これは乾燥製剤の総量に対して約13重量%のプラスチック顔料に対応する。
【0067】
前記コーティングスリップは、充填剤として約44%の炭酸カルシウムと、バインダとして約16%のスチレン−ブタジエンを含む。
【0068】
プラスチック顔料(Ropaque HP−1055)は、直径が1.0μmのオーダーで55%の空隙容量を有する、アクリルスチレンのポリマー顔料からなる。
【0069】
コーティングスリップは、コーティングスリップの粘度を低下させるために補足的な量の水を、例えば以下の表1に示される特性を示す化粧紙に対して80リットルのオーダーで加えた後、エアナイフシステムで積層された。
【0070】
積層は、約29g/mの比率で行われた。
【0071】
表1に示す値は、現行の基準、すなわち:
−気孔率:(ガーレー値)NF ISO 5636−5
−Cobb:ISO 535、
−デニソン(Dennison)試験:TAPPI 459、
−色測定:標準T527 OM94(TAPPI)に従って、CIE L*、a*、b*システムに従ってカラーシステムが表された:
に従って得られた。
【0072】
この結果の研究から、コートされた紙の測定された色指数が有意に向上し、一方紙の気孔率は許容される値のままであった。すなわち、紙の気孔率(ガーレー値)は、67.4s/100ml(コートされていない紙)から137.8s/100ml(コートされた紙)になった。
【0073】
紙の白さの初期値は84.27(0の値が黒に対応し、100の値が完全な白に対応する)であり、その部分は、89.23になった。
【0074】
色測定の他の表示されている値、グレーのa*およびブルーのb*もまた明らかに改善された。
【0075】
したがって、コーティングスリップ中にプラスチック顔料の増白剤を含ませること、およびこのコーティングスリップを特に石膏ボードのために設計され、例えば漂白されていない再生繊維などの低品質の繊維から製造された原紙に塗布することは、効果的におよび安価に、石膏ボードの化粧紙に良好な白さを与えることを可能にすることが明らかになった。この添加は、特に暗い原紙の場合に要求されうる添加量を多くした場合であっても、紙の質、特にその気孔率の質および性質における負の副作用のおそれもなく行われうる。したがって、化粧紙の白さを回復させることができるだけでなく、それを効果的に行うことができる。
【0076】
実施例2(表3)
この実施例は、実質的には実施例1と違わない。コーティングスリップの組成は変えず、製品の特定の商品名だけを変えて、炭酸カルシウムおよびバインダ(酸化トウモロコシでんぷん)については異なった供給者から入手した(したがって異なった参照を有する)。他の条件は原則的に実施例1と同様である。
【0077】
表5に示されたこの実施例2の結果もまた、コーティング後の紙および石膏ボードの白さの有意な向上を示す。用いられた紙は、195g/mの坪量を示し、コーティングスリップは上述の手順に従って30g/mの比率で積層された。
【0078】
実施例3(表4)
原則的に、コーティングスリップの組成は、バインダの組成、酸化トウモロコシでんぷんが省かれ、それに付随する成分、すなわち水酸化ナトリウム(液化剤)の比率が低下されたこと以外は、実施例1および2と同様である。このコーティングスリップ中の他の成分の比率は原則的に同じままであった。
【0079】
このコーティングスリップは、上述した手順に従って、195g/mのオーダーの坪量の原紙の上に23g/mの比率でコートされた。プラスチック顔料の添加は、表5に示すように、紙の白さの有意な向上に寄与する。
【0080】
最後に、表5に示された結果はまた、実施例2と3との間の比較特性において、実施例2および3のコーティングスリップがコートされた同じ紙と同じ石膏ボードとのバッジに由来して測定が行われたため興味深い。酸化トウモロコシでんぷんの紙の白さにおける調節効果が、したがって注目され、この調節効果はコートされた紙の光沢において特に明らかであった。
【0081】
実施例4(表6)
この実施例では、プラスチック顔料の添加を大幅に低下させ、コーティングスリップに対してわずか4.15重量%(5重量部)とした。添加のレベルをこのように低くしたにもかかわらず、コートされた紙および製造された石膏ボードの白さの有意な向上を観察することができ(表7)、したがってプラスチック顔料の優位な効果を明らかにすることができた。プラスチック顔料の含有量の大幅な低下もまた、充填剤の高い含有量に関連して、低い光沢の値を示す。
【0082】
塗装能力試験
塗料の塗布の試験もまた、TOLLENS社製の「FASTOATIN」アクリル塗料を用いてコートされた紙の上で行われた。
【0083】
塗料の塗布は、特に容易であり、被覆のレベルは非常に良好であることがわかった。乾燥後、塗布された領域は、石膏ボードの化粧紙よりもかなり白く、全体的な結果は優れていた。第2の層の塗布においても特に問題はなく、結果は依然として優れていた。
【0084】
壁紙の剥離および除去の試験
また、壁紙の除去および剥離の間の化粧紙の強度および品質の保持を評価するための試験を行った。
【0085】
使用された紙はCASTORAMA社製の標準的な壁紙であった。
【0086】
表面活性剤:HENKEL社製のPERFAX。
【0087】
製品の希釈:40mlを4lの水で。
【0088】
用いられた接着剤はHENKEL社製の通常の「Metylan(登録商標)」接着剤であった。
【0089】
紙の剥離および除去の初期の試みは、表面活性剤が石膏ボード上で迅速に作用する傾向があることを示した。
【0090】
表面活性剤をスプレーすることによって進めることもまた可能である。
【0091】
すべての場合において、石膏ボードの化粧紙を損傷または損害することはほとんど不可能であることがわかった。
【0092】
最初の壁紙の除去の後、壁紙の第2の層の接着が第1の操作と同一の条件下で行われた。
【0093】
この第2の層の除去もまた、なんらの特別な問題も引き起こさず、化粧紙はなお、この紙の第2の層を依然として非常に容易にはがすことができるように、迅速に、非常に良好に表面活性剤と反応した。化粧紙の劣化したわずか2つの領域は、操作に用いたストリッピングナイフによって生じたものであった。
【0094】
研磨に対する耐性の試験
化粧紙の研磨に対する機械的な耐性の試験が、コントロールとして標準的な石膏ボードと、本発明によるコーティングスリップが積層された、化粧紙を張った本発明による石膏ボードとについて行われた。
【0095】
結果から、2つの石膏ボードは機械的な侵食を通して原則的に同じ重量、すなわち約0.2gを失ったことが示された。他の点ではこれらの性質は原則的に同一であった。
【0096】
これらの試験の全体は、プラスチック顔料の使用によって得られた良好な白さに加えて、紙の全体の強度の機械的な特性が保たれることを明らかに示す。
【0097】
本発明はまた、石膏ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙を含み、前記化粧紙の上面にコーティングスリップが積層された石膏ボードの製造工程に関する。
【0098】
本発明の製造工程は、増白剤の能力でプラスチック顔料を含むコーティングスリップが積層されることを特徴とする。
【0099】
最も有利には、コーティングスリップは、少なくとも5重量%のプラスチック顔料を含む。
【0100】
好ましくは、本発明の製造工程は、塗布されるコーティングスリップが5〜40重量%のプラスチック顔料、より好ましくは15〜25重量%のプラスチック顔料を含む。
【0101】
最も有利には、コーティングスリップの塗布は、10〜45g/mの比率で、より好ましくは20〜30g/mの比率で、さらにより好ましくは25〜30g/mの比率で行われる。
【0102】
さらにより好ましくは、コーティングスリップの塗布は約29g/mのオーダーで行われる。
【0103】
コーティングスリップの塗布は、上述の技術のうち1つに従って行われる。
【0104】
本発明の工程によれば、バインダは、合成ラテックスまたは合成ラテックスの組み合わせから形成され、前記バインダは少なくとも約12重量%の比率で前記コーティングスリップ中に組み込まれる。
【0105】
本発明の工程によれば、前記合成ラテックスは、少なくとも15重量%の比率で前記コーティングスリップ中に組み込まれ、前記バインダはより好ましくはスチレン−ブタジエンである。
【0106】
本発明の意味の範囲内で、「石膏ボードの製造方法(工程)」の表現は、原則的に石膏をその枠組みの中に流し込み、石膏ボードを乾燥させることを原則的に含む石膏ボードの工業的な製造段階だけでなく、化粧紙の製造に対応する枠組みの製造の前の段階をも含む。
【0107】
したがってコーティングスリップの塗布は、これらの任意の段階の間で無差別に行われうる。
【0108】
最後に、本発明の製造工程は、コーティングスリップの塗布は、石膏コアを注ぎ込む操作の前または石膏ボードの形成の後で処理されることを特徴とする。
【0109】
石膏を注ぎ込む前に、紙は同じ製造ラインでまたは他の完全に独立した製造ラインで、実際は紙が製造される他の工場で、コーティングスリップでコートされうる。
【0110】
したがって、紙のコーティングは、正確に言えば石膏の注ぎ込みを含む石膏ボードの組み立て工程よりもかなり前の、紙の製造段階で行われうる。
【0111】
コーティングの操作は、実際は、石膏コアの注ぎ込みの前または原則的に間、したがって石膏ボードの工業的な乾燥の前に、石膏ボードの機械的な維持を確実にする紙の支持体の上で行われうる。コーティングスリップの塗布はまた、注ぎ込む操作の後、一度石膏ボードが形成され、工業的な乾燥の前、または工業的乾燥の後であっても、工業的な製造工程の間に行われうる。
【0112】
最後に、本発明は、石膏ボード用に設計された化粧紙のためのコーティングスリップにおける増白剤としてのプラスチック顔料の新しい使用に関する。このような顔料の使用は、実際、特に対象とする用途のコーティングスリップ、すなわち石膏ボードの製造の間に用いられる紙の上の積層においては知られていなかった。
【0113】
産業上の利用可能性
本発明は、少なくとも1つの化粧紙を含む石膏ボードの製造における、化粧紙の上にコートされるように設計されるコーティングスリップの製造における、少なくとも1つの化粧紙を含む石膏ボードの製造工程における、および石膏ボードの化粧紙のためのコーティングスリップ中の増白剤としてのプラスチック顔料の使用における、その工業的な応用を見出す。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】

【0117】
【表4】

【0118】
【表5】

【0119】
【表6】

【0120】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
石膏ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙と、前記化粧紙の上に積層されたコーティングスリップと、を含む石膏ボードであって、前記コーティングスリップが増白剤としてプラスチック顔料を含むことを特徴とする、石膏ボード。
【請求項2】
前記コーティングスリップが、少なくとも5重量%のプラスチック顔料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の石膏ボード。
【請求項3】
前記コーティングスリップが、5〜40重量%、より好ましくは15〜25重量%のプラスチック顔料を含むことを特徴とする、請求項2に記載の石膏ボード。
【請求項4】
前記コーティングスリップが、約13重量%のプラスチック顔料を含むことを特徴とする、請求項3に記載の石膏ボード。
【請求項5】
前記コーティングスリップが、約10〜45g/m、より好ましくは約20〜30g/mの比率で塗布されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の石膏ボード。
【請求項6】
前記プラスチック顔料が、充填粒子を含む、または中空粒子を含むプラスチック顔料から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の石膏ボード。
【請求項7】
前記コーティングスリップが、前記プラスチック顔料に加えて、
少なくとも25%の充填剤、より好ましくは炭酸カルシウムであり、より好ましくは約44%である;
十分な量の水;
分散剤;
消泡剤;
少なくとも8%のバインダ;
不溶化剤、より好ましくは脂肪族エポキシ樹脂;
殺生物剤、より好ましくは有機硫黄/窒素含有剤(有機硫黄/窒素化合物);
を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の石膏ボード。
【請求項8】
前記バインダが、合成ラテックスまたは合成ラテックスの組み合わせから形成され、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも12重量%の比率で前記コーティングスリップに組み込まれることを特徴とする、請求項7に記載の石膏ボード。
【請求項9】
前記合成ラテックスが、少なくとも15重量%の比率で前記コーティングスリップに組み込まれることを特徴とする、請求項8に記載の石膏ボード。
【請求項10】
前記バインダが、スチレン−ブタジエンからなることを特徴とする、請求項8または9に記載の石膏ボード。
【請求項11】
前記コーティングスリップが、二酸化チタンを約10重量%の比率でさらに含むことを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の石膏ボード。
【請求項12】
前記コーティングスリップが、水酸化ナトリウムをさらに含むことを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項に記載の石膏ボード。
【請求項13】
前記コーティングスリップが、アンモニウムをさらに含むことを特徴とする、請求項7〜12のいずれか1項に記載の石膏ボード。
【請求項14】
前記コーティングスリップが、酸化トウモロコシでんぷんを、より好ましくは約15重量%の比率でさらに含むことを特徴とする、請求項7〜13のいずれか1項に記載の石膏ボード。
【請求項15】
石膏ボードの化粧紙の上層にコートされるように設計されたコーティングスリップであって、増白剤としてプラスチック顔料を含むことを特徴とする、コーティングスリップ。
【請求項16】
少なくとも5重量%のプラスチック顔料を含むことを特徴とする、請求項15に記載のコーティングスリップ。
【請求項17】
5〜40重量%、より好ましくは15〜25重量%のプラスチック顔料を含むことを特徴とする、請求項16に記載のコーティングスリップ。
【請求項18】
約13重量%のプラスチック顔料を含むことを特徴とする、請求項17に記載のコーティングスリップ。
【請求項19】
前記プラスチック顔料が、充填粒子を含む、または中空粒子を含むプラスチック顔料から選択されることを特徴とする、請求項15〜18のいずれか1項に記載のコーティングスリップ。
【請求項20】
前記プラスチック顔料に加えて、
少なくとも25%の充填剤、より好ましくは炭酸カルシウムであり、より好ましくは約44%である;
十分な量の水;
分散剤;
消泡剤;
少なくとも8%のバインダ;
不溶化剤、より好ましくは脂肪族エポキシ樹脂;
殺生物剤、より好ましくは有機硫黄/窒素含有剤(有機硫黄/窒素化合物);
を含むことを特徴とする、請求項15〜19のいずれか1項に記載のコーティングスリップ。
【請求項21】
前記バインダが、合成ラテックスまたは合成ラテックスの組み合わせから形成され、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも12重量%の比率で前記コーティングスリップに組み込まれることを特徴とする、請求項20に記載のコーティングスリップ。
【請求項22】
前記合成ラテックスが、少なくとも15重量%の比率で前記コーティングスリップに組み込まれることを特徴とする、請求項21に記載のコーティングスリップ。
【請求項23】
前記バインダが、スチレン−ブタジエンからなることを特徴とする、請求項21または22に記載のコーティングスリップ。
【請求項24】
二酸化チタンを約10重量%の比率でさらに含むことを特徴とする、請求項20〜23のいずれか1項に記載のコーティングスリップ。
【請求項25】
水酸化ナトリウムをさらに含むことを特徴とする、請求項20〜24のいずれか1項に記載のコーティングスリップ。
【請求項26】
アンモニウムをさらに含むことを特徴とする、請求項20〜25のいずれか1項に記載のコーティングスリップ。
【請求項27】
酸化トウモロコシでんぷんを、好ましくは約15重量%の比率でさらに含むことを特徴とする、請求項20〜26のいずれか1項に記載の石膏ボード。
【請求項28】
石膏ボードの外装を形成する少なくとも1つの化粧紙を含み、前記化粧紙の上面にコーティングスリップが積層された石膏ボードの製造方法であって、増白剤としてプラスチック顔料を含むコーティングスリップが積層されることを特徴とする、製造方法。
【請求項29】
前記コーティングスリップが、少なくとも5重量%のプラスチック顔料を含むことを特徴とする、請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記コーティングスリップが、5〜40重量%、より好ましくは15〜25重量%のプラスチック顔料を含むことを特徴とする、請求項29に記載の製造方法。
【請求項31】
コーティングスリップの塗布が、10〜45g/m、より好ましくは約20〜30g/mの比率で行われることを特徴とする、請求項28〜30のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項32】
コーティングスリップの塗布が、石膏コアの流し込みの操作の前または石膏ボードの形成後に行われることを特徴とする、請求項28〜31のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項33】
紙のコーティングが、紙の製造段階で行われることを特徴とする、請求項32に記載の製造方法。
【請求項34】
石膏ボード用に設計された化粧紙のためのコーティングスリップにおける増白剤としての、プラスチック顔料の使用。

【公表番号】特表2008−504476(P2008−504476A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518644(P2007−518644)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001646
【国際公開番号】WO2006/010853
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507000202)
【Fターム(参考)】