説明

プラズマキーホール溶接システム、および、プラズマキーホール溶接方法

【課題】 よりきれいなビードを形成できるプラズマキーホール溶接方法、および、プラズマキーホール溶接システムを提供すること。
【解決手段】プラズマ電極112と母材Wとの間に、設定周波数Ffrのパルス電流を流す出力回路31と、母材Wに形成されたキーホールのサイズを検出するキーホールサイズ検出部と、上記キーホールサイズ検出部によって検出されたキーホールのサイズの変化に基づき、設定周波数Ffrを算出する周波数算出回路38と、を備える。このような構成によると、パルス電流の周波数を調整することによって、キーホールのサイズを調整できる。これにより、よりきれいなビードを形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマキーホール溶接システム、および、プラズマキーホール溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマキーホール溶接方法は、母材がたとえばI形開先の突合せ継手を溶接するときに、タングステン電極を一般的に陰極として放電したときのアークを、水冷されたノズルとプラズマガスのガス流とによって拘束する。そして、集中性の良い高温プラズマ流を発生させ、この高温のプラズマ流が溶接線上に、溶融池の先端で母材を貫通するキーホールを形成しながら移動していく溶接である。この溶接はアーク熱が裏面に至るまで直接に与えられ、裏面の溶融も適切に行うことができる。プラズマキーホール溶接方法は、たとえば特許文献1に記載されている。
【0003】
プラズマ流を移動させつつ溶接を行う定常溶接中に、キーホールの大きさが変動することがある。キーホールの大きさが変動すると、母材に形成されるビードの幅が不均一になったり、もしくは、母材の裏面にビードが形成されない等の不具合が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平02−18953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、よりきれいなビードを形成できるプラズマキーホール溶接方法、および、プラズマキーホール溶接システムを提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によると、プラズマ電極と母材との間に、設定周波数のパルス電流を流す出力回路と、上記母材に形成されたキーホールのサイズを検出するキーホールサイズ検出部と、上記キーホールサイズ検出部によって検出された上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記設定周波数を算出する周波数算出回路と、を備える、プラズマキーホール溶接システムが提供される。
【0007】
好ましくは、上記プラズマ電極および上記母材の間の溶接電圧を検出する電圧検出回路を更に備え、上記キーホールサイズ検出部は、上記電圧検出回路によって検出された上記溶接電圧の低周波成分のみを通過させるローパスフィルタを含み、上記周波数算出回路は、上記ローパスフィルタの出力電圧値に基づき、上記設定周波数を算出する。
【0008】
好ましくは、上記ローパスフィルタの出力電圧値を、基準電圧値として記憶する基準電圧値記憶部を更に備え、上記周波数算出回路は、電圧差が正である場合には周波数差が0以上であるように、上記設定周波数を算出し、且つ、上記電圧差が負である場合には上記周波数差が0以下であるように、上記設定周波数を算出し、上記電圧差は、上記ローパスフィルタの出力電圧値から、上記基準電圧値を減算した値であり、上記周波数差は、算出される上記設定周波数から、上記出力電圧値が上記基準電圧値である時の上記設定周波数を減算した値である。
【0009】
好ましくは、上記基準電圧値記憶部は、上記キーホールが貫通した時刻以降に上記ローパスフィルタの出力電圧値が安定したときの上記出力電圧値を、上記基準電圧値として記憶する。
【0010】
好ましくは、上記キーホールのサイズに基づき、補助情報を求める確認補助部を更に備え、上記補助情報は、上記母材に形成されたビードの確認を補助するための情報であり、上記確認補助部は、上記補助情報を報知する報知部を含む。
【0011】
好ましくは、しきい値を記憶するしきい値記憶部を更に備え、上記確認補助部は、上記キーホールのサイズの変動を表す変動パラメータと、上記しきい値とを比較する比較回路を含む。
【0012】
好ましくは、上記報知部は、上記しきい値を上記変動パラメータが超えたと上記比較回路によって判断されると、上記補助情報を報知する。
【0013】
好ましくは、上記補助情報は、上記母材に形成されたビードにおける確認すべき箇所を示す確認箇所情報を有し、上記確認補助部は、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記確認箇所情報を求める演算回路を含み、上記報知部は、上記演算回路によって求められた上記確認箇所情報を、報知する。
【0014】
好ましくは、上記補助情報は、上記母材に形成されたビードにおける確認すべき範囲を指示する確認範囲情報を有し、上記演算回路は、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記確認範囲情報を求め、上記報知部は、上記演算回路によって求められた上記確認範囲情報を、報知する。
【0015】
好ましくは、上記変動パラメータは、上記電圧差である。
【0016】
好ましくは、上記報知部は、音もしくは光によって、上記補助情報を報知する。
【0017】
本発明の第2の側面によると、プラズマ電極と母材との間のアークによってキーホールを貫通させる工程と、上記キーホールが貫通した後に、上記プラズマ電極と上記母材との間に、設定周波数のパルス電流を流しつつ、定常溶接を行う工程と、を備え、上記定常溶接を行う工程は、上記母材に形成されたキーホールのサイズを検出する工程と、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記設定周波数を算出する工程と、を含む、プラズマキーホール溶接方法が提供される。
【0018】
好ましくは、上記プラズマ電極および上記母材の間の溶接電圧を検出する工程を更に備え、上記キーホールのサイズを検出する工程は、ローパスフィルタによって上記溶接電圧の低周波成分のみを通過させる工程を含み、上記設定周波数を算出する工程においては、上記ローパスフィルタの出力電圧値に基づき、上記設定周波数を算出する。
【0019】
好ましくは、上記ローパスフィルタの出力電圧値を、基準電圧値として基準電圧値記憶部に記憶する工程を更に備え、上記設定周波数を算出する工程においては、電圧差が正である場合には周波数差が0以上であるように、上記設定周波数を算出し、且つ、上記電圧差が負である場合には上記周波数差が0以下であるように、上記設定周波数を算出し、上記電圧差は、上記ローパスフィルタの出力電圧値から、上記基準電圧値を減算した値であり、上記周波数差は、算出される上記設定周波数から、上記出力電圧値が上記基準電圧値である時の上記設定周波数を減算した値である。
【0020】
好ましくは、上記設定周波数を算出する工程においては、上記キーホールが貫通した時刻以降に上記ローパスフィルタの出力電圧値が安定したときの上記出力電圧値を、上記基準電圧値として用いる。
【0021】
好ましくは、上記キーホールのサイズに基づき、上記母材に形成されたビードの確認を補助するための補助情報を求める工程と、上記補助情報を報知する工程と、を備える。
【0022】
好ましくは、上記補助情報を求める工程においては、上記キーホールのサイズの変動を表す変動パラメータと、しきい値とを比較する。
【0023】
好ましくは、上記報知する工程は、上記しきい値を上記変動パラメータが超えたと、上記比較する工程において判断された場合に、行われる。
【0024】
好ましくは、上記補助情報は、上記母材に形成されたビードにおける確認すべき箇所を示す確認箇所情報を有し、上記補助情報を求める工程は、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記確認箇所情報を求める工程を含み、上記報知する工程においては、上記確認箇所情報を報知する。
【0025】
好ましくは、上記補助情報は、上記母材に形成されたビードにおける確認すべき範囲を指示する確認範囲情報を有し、上記確認箇所情報を求める工程においては、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記確認範囲情報を求め、上記報知する工程においては、上記確認範囲情報を報知する。
【0026】
好ましくは、上記変動パラメータは、上記電圧差である。
【0027】
好ましくは、上記報知する工程においては、音もしくは光によって、上記補助情報を報知する。
【0028】
このような構成によると、パルス電流の周波数を調整することによって、キーホールのサイズを調整できる。これにより、よりきれいなビードを形成することができる。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるプラズマキーホール溶接システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す溶接トーチを示す部分拡大断面図である。
【図3】図1の周波数算出回路が設定周波数を算出するための、電圧差と周波数差との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態にかかるプラズマキーホール溶接方法の一例を示すタイミングチャートである。
【図5】溶接電流の波形の一例を詳細に示す図である。
【図6】溶接電流の波形の一例を詳細に示す図である。
【図7】溶接電流の波形の一例を詳細に示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態のプラズマキーホール溶接方法における、母材の状態を示す断面図である。
【図9】プラズマキーホール溶接を行う際に望まれる溶接状態を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態にかかるプラズマキーホール溶接システムの構成を示す図である。
【図11】溶接途中においてキーホールのサイズが変動した場合の信号等の変化状態を示すタイミングチャートである。
【図12】本発明の第3実施形態にかかるプラズマキーホール溶接システムの構成を示す図である。
【図13】ティーチペンダントの表示部に表示された、補助情報、確認箇所情報、および確認範囲情報の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかるプラズマキーホール溶接システムの構成を示す図である。
【0033】
同図に示すプラズマキーホール溶接システムA1は、溶接ロボット1と、ロボット制御装置2と、溶接電源装置3と、ガス供給装置4と、を備える。
【0034】
溶接ロボット1は、溶接トーチ11と、マニピュレータ12とを含む。
【0035】
図2に示すように、溶接トーチ11は、ノズル111とプラズマ電極112とを有する。ノズル111は、たとえば銅などの金属からなる筒状部材である。ノズル111は適宜、水冷構造を有する。プラズマ電極112は非消耗電極である。プラズマ電極112は、たとえばタングステンからなる金属棒である。プラズマ電極112は、母材Wとの間に溶接電圧Vwを印加するための電極である。ノズル111からは、プラズマガスPGがプラズマ電極112を囲むように噴出される。プラズマガスPGはたとえばArである。プラズマ電極112と母材Wとの間に溶接電圧Vwが印加されることにより、プラズマガスPGを媒体としてアークa1が発生する。アークa1が発生している際には、プラズマ電極112と母材Wとの間には溶接電流Iwが流れている。マニピュレータ12は、溶接トーチ11を保持している。マニピュレータ12はたとえば多関節ロボットである。母材Wは、たとえば、アルミニウム、アルミニウムの合金、もしくはステンレスよりなる。
【0036】
ガス供給装置4は、母材Wに向かって噴出させるプラズマガスPGを供給するためのものである。ガス供給装置4によるプラズマガスPGの供給量(すなわちノズル111からのプラズマガスPGの噴出量)は、ガス流量設定信号(図示略)によって決定される。
【0037】
ロボット制御装置2は、動作制御回路21と、ティーチペンダント23とを含む。ロボット制御装置2は溶接ロボット1の動作を制御するためのものである。
【0038】
ティーチペンダント23は、動作制御回路21に接続されている。ティーチペンダント23は、各種動作をプラズマキーホール溶接システムA1のユーザが設定するためのものである。ティーチペンダント23は、プラズマキーホール溶接システムA1のユーザから溶接を開始する旨の指示を受けると、溶接開始信号Stを送る。
【0039】
動作制御回路21は、図示しないマイクロコンピュータおよびメモリを有している。このメモリには、溶接ロボット1の各種の動作が設定された作業プログラムが記憶されている。また、動作制御回路21は、プラズマ電極112の移動速さVRを制御する。移動速さVRは、母材Wに沿った溶接進行方向Drにおける、母材Wに対するプラズマ電極112の速さである。動作制御回路21は、上記作業プログラム、エンコーダからの座標情報、および移動速さVR等に基づき、溶接ロボット1に対して動作制御信号Msを送る。溶接ロボット1は動作制御信号Msを受け、モータ(図示略)を回転駆動させる。これにより、溶接トーチ11が、母材Wにおける所定の溶接開始位置に移動したり、母材Wの面内方向に沿って移動したりする。
【0040】
溶接電源装置3は、プラズマ電極112と母材Wとの間に、溶接電圧Vwを印加し溶接電流Iwを流すための装置である。溶接電源装置3は、出力回路31と、電圧検出回路32と、定常溶接開始判断回路33と、周波数算出回路38と、基準電圧値記憶部39と、を含む。
【0041】
出力回路31は、プラズマ電極112と母材Wとの間に指示された値で溶接電流Iwを流すためのものである。溶接電流Iwはパルス電流である。出力回路31は、電源回路311と、周波数制御回路312と、を有する。
【0042】
電源回路311は、たとえば3相200V等の商用電源を入力として、電流誤差信号(図示略)に従ってインバータ制御、サイリスタ位相制御等の出力制御を行い、溶接電圧Vwおよび溶接電流Iwを出力する。電源回路311は動作制御回路21から溶接開始信号Stを受ける。
【0043】
周波数制御回路312は、パルス電流たる溶接電流Iwの周波数Ffを制御する。周波数制御回路312は、後述の設定周波数Ffrで溶接電流Iwを流すための周波数設定信号Ffsを、電源回路311に送る。
【0044】
電圧検出回路32は、プラズマ電極112と母材Wとの間の溶接電圧Vwの値を検出するためのものである。電圧検出回路32は、溶接電圧Vwの値に対応する電圧検出信号Vdを送る。
【0045】
定常溶接開始判断回路33は、電圧検出回路32から電圧検出信号Vdを受ける。定常溶接開始判断回路33は、電圧検出信号Vdに基づき、定常溶接を開始するか否かを判断する。定常溶接開始判断回路33は、定常溶接を開始すべきと判断すると、定常溶接開始指示信号Cm3を動作制御回路21に送る。
【0046】
本実施形態において定常溶接開始判断回路33は、キーホール貫通検知回路331と、比較回路332とを有する。キーホール貫通検知回路331は母材Wにてキーホール889が貫通したことを検知すると、キーホール貫通検知信号Cm2を生成し、比較回路332に送る。
【0047】
具体的には、キーホール貫通検知回路331は、絶対値演算回路341と、ローパスフィルタ342と、電圧変動検出回路343と、を有する。
【0048】
絶対値演算回路341には、電圧検出信号Vdが入力される。絶対値演算回路341は、入力された電圧検出信号Vdの絶対値を演算する。そして絶対値演算回路341は、当該演算の結果を電圧絶対値信号Vaとして出力する。ローパスフィルタ342には、電圧絶対値信号Vaが入力される。ローパスフィルタ342は、入力された電圧絶対値信号Vaの高周波成分を除去し、低周波成分のみを通過させる演算を行う。そしてローパスフィルタ342は、当該演算の結果を成形電圧信号Vfとして出力する。なお、絶対値演算回路341は、電圧絶対値信号Vaが交流ではなく直流であった場合は不要である。
【0049】
電圧変動検出回路343は、成形電圧信号Vfの変動を検出するための回路である。電圧変動検出回路343は、成形電圧信号Vfの変動を検出し、キーホール889が貫通した時刻を検出するために設けられている。電圧変動検出回路343は、微分回路BV、比較回路CM1、キーホール形成開始基準電圧設定回路VS、および比較回路CM2を有する。
【0050】
微分回路BVには、成形電圧信号Vfが入力される。微分回路BVは、入力された成形電圧信号Vfの時間微分値を計算し、電圧微分信号Bvを出力する。比較回路CM1には、電圧微分信号Bvが入力される。比較回路CM1は、この電圧微分信号Bvが予め定められた基準値Bth1以下となった場合に、キーホール889の形成が開始されたと判断する。この時、比較回路CM1は、短時間だけHighレベルになるキーホール形成開始信号Cm1を出力する。
【0051】
キーホール形成開始基準電圧設定回路VSには、キーホール形成開始信号Cm1と、成形電圧信号Vfとが入力される。キーホール形成開始基準電圧設定回路VSは、キーホール形成開始信号Cm1が入力された時の成形電圧信号Vfをキーホール形成開始基準電圧信号Vsと設定する。そして、キーホール形成開始基準電圧設定回路VSは、キーホール形成開始基準電圧信号Vsを出力する。
【0052】
比較回路CM2には、キーホール形成開始基準電圧信号Vsと、成形電圧信号Vfとが入力される。比較回路CM2は、キーホール形成開始基準電圧信号Vsと、成形電圧信号Vfとの差が、プラズマガスPGの種類等によって予め定められた基準値Bth2以上になった場合、キーホール889が貫通したと判断する。この時、比較回路CM2は、短時間だけHighレベルになるキーホール貫通検知信号Cm2を出力する。
【0053】
比較回路332は、キーホール貫通検知信号Cm2および電圧微分信号Bvを受ける。比較回路332は、キーホール貫通検知信号Cm2を受けた後に電圧微分信号Bvが予め定められた基準値Bth3以下に達したときに、溶接裏ビードが適切に形成され且つキーホール889が適切な大きさになったと判断する。このとき、比較回路332は、定常溶接を開始すべきと判断し、短時間だけHighレベルになる定常溶接開始指示信号Cm3を送る。定常溶接開始指示信号Cm3は、周波数算出回路38と基準電圧値記憶部39と動作制御回路21とに送られる。
【0054】
なお、以上に説明した、定常溶接開始判断回路33は、キーホールサイズ検出部の機能も担う。すなわち、定常溶接開始判断回路33は、母材Wに形成されたキーホール889のサイズを検出する。本実施形態において成形電圧信号Vfの値を計算することは、キーホール889のサイズを検出することに相当する。本実施形態ではキーホール889のサイズとは、母材Wの裏面側に形成された、キーホール889の開口の直径のことを言うものとする。
【0055】
基準電圧値記憶部39は、成形電圧信号Vfを受ける。基準電圧値記憶部39は、ある時点に受けた成形電圧信号Vfの値(ローパスフィルタ342の出力電圧値)を基準電圧値Vf1として記憶する。好ましくは、基準電圧値記憶部39は、母材Wにキーホール889が貫通した時刻以降にローパスフィルタ342の出力電圧値が安定したときの出力電圧値を、基準電圧値Vf1として記憶する。本実施形態では、基準電圧値記憶部39は定常溶接開始指示信号Cm3を受ける。基準電圧値記憶部39は、定常溶接開始指示信号Cm3を受けると、ローパスフィルタ342の出力電圧値を基準電圧値Vf1として記憶する。
【0056】
周波数算出回路38は設定周波数Ffrを算出する。設定周波数Ffrは、溶接電流Iwの周波数Ffを指示するための値である。周波数算出回路38は、算出した設定周波数Ffrを周波数制御回路312に送る。本実施形態においては、周波数算出回路38は、ローパスフィルタ342から成形電圧信号Vfを受ける。周波数算出回路38は、成形電圧信号Vfの値(ローパスフィルタ342の出力電圧値)に基づき、設定周波数Ffrを算出する。詳細については後述する。なお、周波数算出回路38は、定常溶接開始指示信号Cm3も受ける。
【0057】
次に、図4をさらに用いて、プラズマキーホール溶接システムA1を用いたプラズマキーホール溶接方法の一例について説明する。
【0058】
同図(a)は電圧検出信号Vdの時間変化を示し、(b)は電圧絶対値信号Vaの時間変化を示し、(c)は成形電圧信号Vf(ローパスフィルタ342の出力電圧値)の時間変化を示し、(d)キーホール形成開始信号Cm1の時間変化を示し、(e)はキーホール貫通検知信号Cm2の時間変化を示し、(f)は定常溶接開始指示信号Cm3の時間変化を示し、(g)は、プラズマ電極112の移動速さVRの時間変化を示し、(h)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、(i)は溶接電流Iwのパルスの周波数Ffの時間変化を示す。
【0059】
図8(s−1)、(s−2)、(s−3)はそれぞれ、図4(s−1)、(s−2)、(s−3)のアークa1および母材Wの状態に対応する。
【0060】
図4(a)に示す電圧検出信号Vdは、ピーク値とベース値とを有する交流パルス波形電圧信号を示す。
【0061】
<時刻t1〜時刻t2>
時刻t1において、外部からの溶接開始信号Stがティーチペンダント23を経由して動作制御回路21に入力されると、動作制御回路21は、溶接開始信号Stを、出力回路31(具体的には、電源回路311)に送る。すると、電源回路311はプラズマ電極112と母材Wとの間に溶接電圧Vwを印加し、アークa1が点弧される。そして溶接電流Iwの通電が開始される。
【0062】
図4(i)に示すように、時刻t1からは溶接電流Iwは、所定の周波数Ffで流れ始める。
【0063】
ここで、パルス電流の波形について、図5を参照しつつ説明する。図5は、溶接電流Iwのほぼパルス2周期分を示すグラフである。なお、図5における時間のスケールは、図4における時間のスケールに比べ極めて小さい。
【0064】
図5において、溶接電流Iwを示す縦軸は、プラズマ電極112が陽極となったときに流れる電流をプラスとしている。本図から理解されるように、溶接電流Iwは、周期Teにおいて電極プラス極性電流Iepと電極マイナス極性電流Ienとを1回ずつとる、交流電流である。電極プラス極性電流Iepは、プラズマ電極112が陽極、母材Wが陰極となった状態で流れる電流である。電極マイナス極性電流Ienは、プラズマ電極112が陰極、母材Wが陽極となった状態で流れる電流である。
【0065】
電極マイナス極性電流Ienは、周期Te2を有するパルス電流となっている。周期Te2は、電極マイナス極性期間Tenよりも短い。この周期Te2の間に、電極マイナス極性電流Ienは、電極マイナス極性ピーク電流Inpと電極マイナス極性ベース電流Inbとを1回ずつとる。
【0066】
図5において、電極マイナス極性電流Ienの絶対値を破線で示している。さらに同図には、溶接電流Iwの時間平均値Iaを示している。
【0067】
そして、周波数Ffと周期Teとの関係は以下のとおりである。
Ff=1/Te
【0068】
また、EN比率が、周期Te、電極マイナス極性期間Ten、ないし電極プラス極性期間Tepを用いて、以下の式によって規定される。
EN比率(%)=Ten/Te×100
=Ten/(Ten+Tep)×100
【0069】
周波数Ffを変化させるには、たとえば、EN比率および時間平均値Iaをいずれも変化させずに、電極マイナス極性期間Tenおよび電極プラス極性期間Tepのいずれをも変化させる。ただし、周波数Ffを変化させるのはこれに限られず、EN比率を変化させつつ周波数Ffを調整してもよい。また、時間平均値Iaを変化させるには、たとえば、EN比率を変化させずに、溶接電流Iwの最大絶対値Ieppの値や、溶接電流Iwの最大絶対値Ienpなどを変化させる。
【0070】
溶接電流Iwの波形は、図5に示すものに限られず、図6や図7に示すものであってもよい。
【0071】
図4(g)に示すように、時刻t1から時刻t4の間は、移動速さVRは0であり、プラズマ電極112は母材Wに対し停止している。
【0072】
絶対値演算回路341は、溶接電圧Vwに対応する電圧検出信号Vdの絶対値を演算し、図4(b)に示す電圧絶対値信号Vaを送る。ローパスフィルタ342は、電圧絶対値信号Vaの高周波成分を除去し、同図(c)に示す成形電圧信号Vfを出力する。ローパスフィルタ342は、溶接電流Iwの周波数Ffのたとえば10倍以上の高周波成分を除去する。図8(s−1)に示すように、時刻t1以降、アークa1は、母材Wの表面に溶融池881を形成する。溶融池881が形成され始めた時はアークa1は不安定である。そのため成形電圧信号Vfは変動しやすい。
【0073】
<時刻t2〜t3(キーホール形成期間)>
図4(c)に示すように、成形電圧信号Vfが上昇して時刻t2になると、アークa1は安定する。そのため時刻t2以降、成形電圧信号Vfの上昇率が小さくなる。比較回路CM1は、成形電圧信号Vfを時間微分した電圧微分信号Bvが、予め定めた基準値Bth1以下となった場合、アークa1が母材Wにキーホール889を掘り始め、キーホール889の形成が開始されたと判断する。キーホール889の形成が開始されたと判断すると、比較回路CM1は、同図(d)に示すように、短時間だけHighレベルになるキーホール形成開始信号Cm1を出力する。キーホール形成開始基準電圧設定回路VSは、キーホール形成開始信号Cm1を受けると、このキーホール形成開始信号Cm1を入力した時の成形電圧信号Vfをキーホール形成開始基準電圧信号Vs(同図(c)参照)として設定する。図8(s−2)に示すように、時刻t2以降、キーホール889の形成が継続され、溶融池881の表面882が徐々に低下してゆく。なお、キーホール889の形成が開始した時(時刻t2)から、キーホール889が貫通する時(後述の時刻t3)までの期間は、キーホール形成期間である。
【0074】
<時刻t3〜t4>
時刻t3において、図8(s−3)に示すように、母材Wにてキーホール889が貫通する。キーホール889が貫通したとき、時刻t3において、図4(c)に示すように、成形電圧信号Vfとキーホール形成開始基準電圧信号Vsとの差が予め定めた基準値Bth2より大きくなる。この場合、比較回路CM2は、キーホール889が貫通したと判断する。すると同図(e)に示すように、比較回路CM2は、キーホール貫通検知信号Cm2を、比較回路332に送る。キーホール889が貫通した直後は、成形電圧信号Vfはキーホール889の貫通の影響で不安定である。キーホール889が貫通した時刻t3からしばらくすると、成形電圧信号Vfが減少したのちに成形電圧信号Vfが安定し、成形電圧信号Vfの減少率が小さくなる。
【0075】
<時刻t4以降>
時刻t4において、比較回路332は、電圧微分信号Bvが予め定めた基準値Bth3以下に達すると、溶接裏ビードが適切に形成され且つキーホール889が適切な大きさになったと判断する。このとき、図4(f)に示すように、比較回路332は、定常溶接を開始すべきと判断し、短時間だけHighレベルになる定常溶接開始指示信号Cm3を送る。
【0076】
時刻t4において、動作制御回路21は、定常溶接開始指示信号Cm3を受けると、図4(g)に示すように、移動速さVRを所定の速さに設定するための動作制御信号Msを溶接ロボット1に送る。これにより、溶接進行方向Drにおける、プラズマ電極112の母材Wに対する移動が開始される。
【0077】
以上のように時刻t4から、定常溶接を行う工程が開始され、母材Wに対する溶接が行われる。これにより、図9に示すように、母材Wの表面に溶接進行方向Drに沿って溶接表ビードが、母材Wの裏面には溶接進行方向Drに沿って溶接裏ビードが形成される。
【0078】
時刻t4において、基準電圧値記憶部39は、定常溶接開始指示信号Cm3を受けると、成形電圧信号Vfの値(ローパスフィルタ342の出力電圧値)を、基準電圧値Vf1(図1、図4参照)として記憶する。すなわち、基準電圧値記憶部39は、キーホール889が貫通した時刻(時刻t3)以降にローパスフィルタ342の出力電圧値が安定したときのローパスフィルタ342の出力電圧値を、基準電圧値Vf1として記憶する。基準電圧値Vf1は、たとえば、20.5Vである。なお、本実施形態とは異なり、基準電圧値記憶部39は、時刻t4から数秒程度の時間が経過した後のローパスフィルタ342の出力電圧値を、基準電圧値Vf1として記憶してもよい。これによっても、基準電圧値記憶部39は、ローパスフィルタ342の出力電圧値が安定したときのローパスフィルタ342の出力電圧値を、基準電圧値Vf1として記憶することができる。
【0079】
時刻t4以降の定常溶接を行う工程において、キーホール889のサイズに変動が生じることがある。キーホール889のサイズの変動は、アークa1から母材Wへの入熱のバランスの変動や母材Wの温度の変化等によって生じる。もしくは、キーホール889のサイズの変動は、母材Wの厚さの変化によって生じる。母材Wの厚さの変化の例としては、母材Wの厚さが6mmや10mmから15mmに変化する場合が挙げられる。キーホール889のサイズは、成形電圧信号Vfの値(すなわちローパスフィルタ342の出力電圧値)と正の相関がある。すなわち、キーホール889のサイズが大きくなればローパスフィルタ342の出力電圧値は増加する一方、キーホール889のサイズが小さくなればローパスフィルタ342の出力電圧値の値は減少する。
【0080】
キーホール889のサイズとローパスフィルタ342の出力電圧値の一例を挙げると、キーホール889のサイズ(母材Wの裏面側に形成された、キーホール889の開口の直径)が2.0mmである場合、ローパスフィルタ342の出力電圧値は22.0Vであり、キーホール889のサイズ(母材Wの裏面側に形成された、キーホール889の開口の直径)が5.0mmである場合、ローパスフィルタ342の出力電圧値は25.0Vである。時刻t4以降の定常溶接を行う工程において、キーホール889のサイズが1.5〜2.5mmの範囲内で変動する場合、ローパスフィルタ342の出力電圧値は、たとえば、21.5〜22.5Vの範囲内で変動する。
【0081】
本実施形態では、キーホール889のサイズを同じ大きさのまま維持するため、ローパスフィルタ342の出力電圧値を同一のまま維持できるような制御を行う。具体的には、周波数算出回路38が、電圧差ΔVと周波数差ΔFfとが、たとえば図3(a)〜図3(f)のいずれかに示す関係となるように、設定周波数Ffrを算出する。同図に示す電圧差ΔVは、ローパスフィルタ342の出力電圧値から、基準電圧値Vf1を減算した値である。周波数差ΔFfは、算出される設定周波数Ffrから、ローパスフィルタ342の出力電圧値が基準電圧値Vf1である時(時刻t4)の設定周波数Ffrを減算した値である。図3(a)〜図3(f)のいずれにおいても、電圧差ΔVが正である場合には周波数差ΔFfが0以上であり、電圧差ΔVが負である場合には周波数差ΔFfが0以下である。
【0082】
電圧差ΔVが正である場合、キーホール889のサイズが時刻t4におけるサイズよりも大きくなっている。周波数算出回路38は、電圧差ΔVが正である場合には周波数差ΔFfが0以上であるように、設定周波数Ffrを算出する。これにより、溶接電流Iwの周波数Ffが時刻t4の時よりも大きくなると、アーク圧力が小さくなる。その結果、母材Wがあまり溶融しなくなり、キーホール889のサイズが小さくなる。
【0083】
一方、電圧差ΔVが負である場合、キーホール889のサイズが時刻t4におけるサイズよりも小さくなっている。周波数算出回路38は、電圧差ΔVが負である場合には周波数差ΔFfが0以下であるように、設定周波数Ffrを算出する。これにより、溶接電流Iwの周波数Ffが時刻t4の時よりも小さくなると、アーク圧力が大きくなる。その結果、母材Wがよく溶融するようになり、キーホール889のサイズが大きくなる。
【0084】
以上のように周波数算出回路38によって設定周波数Ffrが算出され、電圧差ΔVが0となるように制御される。これにより、ローパスフィルタ342の出力電圧値が、時刻t4における基準電圧値Vf1に一致するように、制御される。すなわち、キーホール889のサイズが時刻t4におけるサイズと同一となるように制御される。
【0085】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0086】
本実施形態においては、プラズマキーホール溶接システムA1は周波数算出回路38を備える。周波数算出回路38は、キーホールサイズ検出部(本実施形態では定常溶接開始判断回路33)によって検出されたキーホール889のサイズの変化に基づき、設定周波数Ffrを算出する。このような構成にて、溶接電流Iwの周波数Ffは設定周波数Ffrによって決定されるから、キーホール889のサイズの変化に基づき、周波数Ffを調整することができる。周波数Ffを調整できると、アーク圧力を調整することができ、キーホール889のサイズを調整できる。したがって、本実施形態によるとキーホール889のサイズの変化に応じて、キーホール889そのもののサイズを調整することができる。これにより、よりきれいなビードを形成することができる。
【0087】
なお、周波数Ffを調整することに加え、溶接電流Iwの絶対値の時間平均値Iaを調整してもよいし、プラズマガスPGのガス流量を調整してもよいし、移動速さVRを調整してもよい。一方、周波数Ffを調整する際に、溶接電流Iwの絶対値の時間平均値Iaを変化させなくてもよい。この場合、母材Wへの入熱量を変化させなくてよいといったメリットがある。また、周波数Ffを調整する際に、プラズマガスPGのガス流量を変化させなくてもよい。この場合には、アークa1をプラズマガスPGによってシールドできなくなるおそれを回避できる。また、周波数Ffを調整する際に、移動速さVRを変化させなくてもよい。この場合、溶接に要する時間が所望の時間よりも長くなることを防止できる。
【0088】
本実施形態においては、プラズマキーホール溶接システムA1は溶接電圧Vwを検出する電圧検出回路32を備える。上記キーホールサイズ検出部(本実施形態では定常溶接開始判断回路33)は、電圧検出回路32によって検出された溶接電圧Vwの低周波成分のみを通過させるローパスフィルタ342を含む。周波数算出回路38は、ローパスフィルタ342の出力電圧値に基づき、設定周波数Ffrを算出する。上述のように、キーホール889のサイズとローパスフィルタ342の出力電圧値とは、正の相関がある。そのため本実施形態の構成によると、キーホール889のサイズを、プラズマキーホール溶接システムA1内の回路で検知できる。したがって、本実施形態によると、キーホール889のサイズを検出できる装置を、より簡単に得ることができる。
【0089】
本実施形態においては、プラズマキーホール溶接システムA1は、ローパスフィルタ342の出力電圧値を、基準電圧値Vf1として記憶する基準電圧値記憶部39を備える。図3(a)〜図3(f)を参照して説明したように、周波数算出回路38は、電圧差ΔVが正である場合には周波数差ΔFfが0以上であるように、設定周波数Ffrを算出する。一方、周波数算出回路38は、電圧差ΔVが負である場合には周波数差ΔFfが0以下であるように、設定周波数Ffrを算出する。このような構成によると、上述のように、ΔVが0となるように、設定周波数Ffrを算出することができる。したがって、ローパスフィルタ342の出力電圧値を、基準電圧値Vf1に維持することができる。すなわち、キーホール889のサイズを均一に維持することが可能となる。
【0090】
本実施形態においては、基準電圧値記憶部39は、キーホール889が貫通した時刻(時刻t3)以降にローパスフィルタ342の出力電圧値が安定したときのローパスフィルタ342の出力電圧値を、基準電圧値Vf1として記憶する。キーホール889が貫通した時刻(時刻t3)以降にローパスフィルタ342の出力電圧値が安定した際には、キーホール889は適切な大きさになっている。したがって、本実施形態の構成は、キーホール889のサイズを適切な大きさのまま均一に維持するのに適する。
【0091】
<第2実施形態>
図10は、本発明の第2実施形態にかかるプラズマキーホール溶接システムの構成を示す図である。
【0092】
同図に示すプラズマキーホール溶接システムA2は、溶接ロボット1と、ロボット制御装置2と、溶接電源装置3と、ガス供給装置4と、を備える。
【0093】
プラズマキーホール溶接システムA2における溶接ロボット1およびガス供給装置4は、プラズマキーホール溶接システムA1における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0094】
溶接電源装置3は、比較回路361と、しきい値記憶部362と、報知部364と、を更に含む点を除き、第1実施形態と同様である。
【0095】
本実施形態において、比較回路361および報知部364は、本発明の確認補助部を構成している。確認補助部は、キーホール889のサイズに基づき、補助情報Inf1を求める。補助情報Inf1は、母材Wに形成されたビードの確認を補助するための情報である。補助情報Inf1については後述する。
【0096】
しきい値記憶部362にはしきい値Vthが記憶されている。比較回路361は、ローパスフィルタ342から成形電圧信号Vfを受ける。また、比較回路361は、基準電圧値記憶部39から基準電圧値Vf1を受ける。比較回路361は、キーホール889のサイズの変動を表す変動パラメータと、しきい値記憶部362に記憶されたしきい値とを比較する。本実施形態においては、比較回路361は変動パラメータとして上述の電圧差ΔV(ローパスフィルタ342の出力電圧値から、基準電圧値Vf1を減算した値)を用いる。比較回路361は、電圧差ΔVがしきい値Vthを超えたと判断すると、キーホール889のサイズの変動が生じたと判断し、キーホールサイズ変動検知信号Scを生成する。比較回路361は、生成したキーホールサイズ変動検知信号Scを、報知部364に送る。
【0097】
報知部364は補助情報Inf1を報知するためのものである。報知部364は、前記変動パラメータが前記しきい値を超えたと比較回路361によって判断されると、補助情報Inf1を報知する。本実施形態においては、変動パラメータとしての上述の電圧差ΔVがしきい値Vthを超えたと比較回路361によって判断されると、補助情報Inf1を報知する。具体的には、報知部364は、キーホールサイズ変動検知信号Scを受けると、補助情報Inf1を報知する。報知部364は、たとえば、ブザーや警告灯や表示装置である。報知部364は、音もしくは光によって、補助情報Inf1を報知する。補助情報Inf1は、たとえばブザー音やライトやキーホールのサイズが変動した旨の表示である。
【0098】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0099】
図11は、溶接途中においてキーホールのサイズが変動した場合の信号等の変化状態を示すタイミングチャートである。同図を用いて、キーホール889のサイズが変化した場合(図11では、大きくなった場合)の、キーホール889のサイズ、および、プラズマキーホール溶接システムA2内における信号の変化状態について説明する。同図(a)はキーホール889のサイズ、同図(b)は成形電圧信号Vf、同図(c)は周波数Ff、の変化状態を示す。
【0100】
同図(a)に示すように、時刻t21から、キーホール889のサイズが大きくなる。上述したように、キーホール889のサイズは、成形電圧信号Vf(すなわち、ローパスフィルタ342の出力電圧値)と正の相関がある。そのため、同図(b)に示すように、時刻t21から、成形電圧信号Vfの値も大きくなる。時刻t21〜時刻t22間のある時点において、周波数算出回路38が、キーホール889のサイズの変化に基づき、キーホール889のサイズを時刻t21以前のサイズに戻すための設定周波数Ffrを算出する。そして、同図(c)に示すように、時刻t22において、溶接電流Iwの周波数Ffが増加する。溶接電流Iwの周波数Ffが増加するとアーク圧力が小さくなる。その結果、母材Wがあまり溶融しなくなる。そして、時刻t22〜時刻t23の間、しだいにキーホール889のサイズが小さくなり、時刻t23に、キーホール889のサイズが時刻t21以前のサイズに戻る。
【0101】
このように、キーホール889のサイズが変化した場合(図11では大きくなった場合)、キーホール889のサイズの変化が開始した時刻t21からある程度の期間が経過した時刻t23にて、キーホール889のサイズが適性なものとなる。すなわち、時刻t21〜時刻t23の期間のキーホール889のサイズは、時刻t21以前におけるサイズと同一ではない。よって、時刻t21〜時刻t23に形成されたビードには、他の部位とは幅が異なっていたり、もしくは、母材Wの裏面に形成されていない等の不具合が生じている可能性がある。時刻t21〜時刻t23における周波数Ffを調整するプロセスは、プラズマキーホール溶接システムA2内にて自動で行われる。この調整するプロセスは、第1実施形態にかかるアーク溶接システムA1では、アーク溶接システムA1のユーザに知らされない。そのため、当該ユーザは、キーホール889のサイズに変動が生じたか否かを知ることができず、ビードに不具合が生じている可能性が有るか否かを知ることができない。
【0102】
図11では、時刻t21からキーホール889のサイズが大きくなる場合について説明したが、時刻t21からキーホール889のサイズが小さくなった場合であっても、同様に、キーホール889のサイズが変化した時点からある程度の期間が経過した後に、キーホール889のサイズが適切なものとなる。なお、時刻t21〜時刻t23の期間は、たとえば、1〜数sec程度である。
【0103】
本実施形態においては、プラズマキーホール溶接システムA2においては、報知部364が、母材Wに形成されたビードの確認を補助するための補助情報Inf1を報知する。このような構成によると、プラズマキーホール溶接システムA2のユーザは、補助情報Inf1として、母材Wに形成されたビードに不具合が生じている可能性があることを、知ることができる。よって、プラズマキーホール溶接システムA2のユーザが、ビードの確認作業を容易に行うことができる。
【0104】
本実施形態においては、報知部364は、しきい値Vthを変動パラメータである電圧差ΔVが超えたと比較回路361によって判断されると、補助情報Inf1を報知する。このような構成によると、溶接終了後ではなく溶接途中に補助情報Inf1を報知することができる。これにより、プラズマキーホール溶接システムA2のユーザは、溶接途中に、ビードに不具合が生じている可能性があることを知ることができる。これにより、溶接が終了すると即座に、ビードの確認作業を行うことができる。
【0105】
比較回路361は、電圧差ΔVを用いて、キーホール889の変動を検出したが、本発明はこれに限られない。たとえば、比較回路361が、周波数算出回路38によって算出された設定周波数Ffrの変化に基づき、キーホール889が変動したことを検出してもよい。
【0106】
<第3実施形態>
図12は、本発明の第3実施形態にかかるプラズマキーホール溶接システムの構成を示す図である。
【0107】
同図に示すプラズマキーホール溶接システムA3は、溶接ロボット1と、ロボット制御装置2と、溶接電源装置3と、ガス供給装置4と、を備える。
【0108】
プラズマキーホール溶接システムA3における溶接ロボット1およびガス供給装置4は、プラズマキーホール溶接システムA1,A2における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0109】
溶接電源装置3は、報知部364を有さない点を除き、第2実施形態と同様である。なお、本実施形態においては、比較回路361は、生成したキーホールサイズ変動検知信号Scを、動作制御回路21に送る。なお、図12に示したものとは異なり、溶接電源装置3が、第2実施形態で述べた報知部364を有していてもよい。
【0110】
ロボット制御装置2は、動作制御回路21と、ティーチペンダント23とを含む。本実施形態においては、動作制御回路21は、演算回路211を有する点を除き第1実施形態と同様である。
【0111】
演算回路211は、比較回路361からキーホールサイズ変動検知信号Scを受ける。演算回路211は、キーホール889のサイズの変化に基づき補助情報Inf1を求める。本実施形態にて、補助情報Inf1は、確認箇所情報Inf2と確認範囲情報Inf3とを有する(図13も参照)。そして、演算回路211は、キーホール889のサイズの変化に基づき、確認箇所情報Inf2と、確認範囲情報Inf3とを求める。
【0112】
確認箇所情報Inf2とは、母材Wに形成されたビードのうちの確認をすべき箇所(ビードのうち、図11の時刻t21〜時刻t23の期間に形成された箇所)を示す情報である。図13に示すように、確認箇所情報Inf2は、たとえば、ビードの始点を基準とする位置や、溶接開始時からの時間である。本実施形態においては、演算回路211は、キーホールサイズ変動検知信号Scを受けたことに基づき、確認箇所情報Inf2を求める。すなわち、キーホールサイズ変動検知信号Scを受けた時に形成されているビードの部位を、確認すべき箇所と判断する。
【0113】
確認範囲情報Inf3とは、母材Wに形成されたビードにおける確認すべき範囲を示す情報である。図13に示すように、確認範囲情報Inf3は、母材Wに形成されたビードのうち、図11の時刻t21〜時刻t23の間に形成された領域を示す表示や、溶接進行方向Drにおける長さ等である。
【0114】
ティーチペンダント23は表示部231を有する。表示部231は本発明の報知部の一例に相当する。ティーチペンダント23の表示部231は補助情報Inf1を報知(表示)する。具体的には、図13に示すように、ティーチペンダント23の表示部231は、補助情報Inf1として、確認箇所情報Inf2と確認範囲情報Inf3とを報知(表示)する。
【0115】
なお、本実施形態において、比較回路361と、演算回路211と、ティーチペンダント23とが、本発明の確認補助部を構成している。
【0116】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0117】
本実施形態においては、補助情報Inf1は、母材Wに形成されたビードにおける確認すべき箇所を示す確認箇所情報Inf2を有する。演算回路211は、キーホール889のサイズの変化に基づき、確認箇所情報Inf2を求める。ティーチペンダント23の表示部231は、演算回路211によって求められた確認箇所情報Inf2を、報知(表示)する。このような構成によれば、プラズマキーホール溶接システムA3のユーザが、母材Wに形成されたビードのうちの確認をすべき箇所を、知ることができる。これにより、よって、プラズマキーホール溶接システムA3のユーザが、ビードの確認作業を更に容易に行うことができる。
【0118】
本実施形態においては、補助情報Inf1は、母材Wに形成されたビードにおける確認すべき範囲を指示する確認範囲情報Inf3を有する。演算回路211は、キーホール889のサイズの変化に基づき、確認範囲情報Inf3を求める。ティーチペンダント23の表示部231は、演算回路211によって求められた確認範囲情報Inf3を、報知(表示)する。このような構成によれば、プラズマキーホール溶接システムA3のユーザが、母材Wに形成されたビードにおける確認すべき範囲を、知ることができる。これにより、プラズマキーホール溶接システムA3のユーザが、ビードの確認作業を更に容易に行うことができる。
【0119】
なお、ティーチペンダント23の表示部231は、補助情報Inf1として、確認箇所情報Inf2と確認範囲情報Inf3とのいずれをも報知(表示)する例を示したが、本発明はこれに限定されない。ティーチペンダント23の表示部231は、補助情報Inf1として、確認箇所情報Inf2と確認範囲情報Inf3とのいずれか一方のみを、報知(表示)してもよい。
【0120】
また、本実施形態では、演算回路が動作制御回路21の構成である例を示したが、これに限られず、溶接電源装置3の構成であってもよい。
【0121】
ティーチペンダント23の表示部231に、補助情報Inf1として、設定周波数Ffrの変化量を表示させてもよい。
【0122】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0123】
定常溶接開始判断回路33は必ずしも比較回路332を含む必要はない。定常溶接開始判断回路33は、キーホール貫通検知信号Cm2が生成された時から所定の時間が経過したときに、定常溶接を開始すべきと判断してもよい。もしくは、定常溶接開始判断回路33は、出力回路31による出力が開始した時から所定の時間が経過したときに、定常溶接を開始すべきと判断するものであってもよい。
【0124】
上述の実施形態とは異なり、比較回路CM2は、時刻t2ののち成形電圧信号Vfの変化量がある値を超えたときにキーホール889が貫通したと判断し、キーホール貫通検知信号Cm2を出力してもよい。
【0125】
上記実施形態では、周波数算出回路38は、電圧差ΔVに基づき設定周波数Ffrを算出したが、本発明はこれに限られない。たとえば、周波数算出回路38は、ローパスフィルタ342の出力電圧値の時間微分値に基づき、設定周波数Ffrを算出してもよい。
【0126】
キーホールサイズ検出部は、画像処理によってキーホール889のサイズを検出してもよい。
【符号の説明】
【0127】
A1,A2,A3 プラズマキーホール溶接システム
1 溶接ロボット
11 溶接トーチ
111 ノズル
112 プラズマ電極
12 マニピュレータ
2 ロボット制御装置
21 動作制御回路
211 演算回路
23 ティーチペンダント
231 表示部
3 溶接電源装置
31 出力回路
311 電源回路
312 周波数制御回路
32 電圧検出回路
33 定常溶接開始判断回路
331 キーホール貫通検知回路
341 絶対値演算回路
342 ローパスフィルタ
343 電圧変動検出回路
332 比較回路
361 比較回路
362 しきい値記憶部
364 報知部
38 周波数算出回路
39 基準電圧値記憶部
4 ガス供給装置
881 溶融池
882 表面
889 キーホール
a1 アーク
Bth1 基準値
Bth2 基準値
BV 微分回路
Bv 電圧微分信号
Bth3 基準値
CM1 比較回路
Cm1 キーホール形成開始信号
CM2 比較回路
Cm2 キーホール貫通検知信号
Cm3 定常溶接開始指示信号
Dr 溶接進行方向
Ff 周波数
Ffs 周波数設定信号
Ffr 設定周波数
Ia 時間平均値
Iep 電極プラス極性電流
Ien 電極マイナス極性電流
Iepp 最大絶対値
Ienp 最大絶対値
Inf1 補助情報
Inf2 確認箇所情報
Inf3 確認範囲情報
Inp 電極マイナス極性ピーク電流
Inb 電極マイナス極性ベース電流
Iw 溶接電流
Ms 動作制御信号
St 溶接開始信号
Sc キーホールサイズ変動検知信号
t1,t2,t3,t4,t21,t22,t23 時刻
Te2 周期
Te 周期
Ten 電極マイナス極性期間
Tep 電極プラス極性期間
PG プラズマガス
Va 電圧絶対値信号
Vd 電圧検出信号
Vf 成形電圧信号
Vf1 基準電圧値
VS キーホール形成開始基準電圧設定回路
Vs キーホール形成開始基準電圧信号
Vth しきい値
Vw 溶接電圧
W 母材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ電極と母材との間に、設定周波数のパルス電流を流す出力回路と、
上記母材に形成されたキーホールのサイズを検出するキーホールサイズ検出部と、
上記キーホールサイズ検出部によって検出された上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記設定周波数を算出する周波数算出回路と、を備える、プラズマキーホール溶接システム。
【請求項2】
上記プラズマ電極および上記母材の間の溶接電圧を検出する電圧検出回路を更に備え、
上記キーホールサイズ検出部は、上記電圧検出回路によって検出された上記溶接電圧の低周波成分のみを通過させるローパスフィルタを含み、
上記周波数算出回路は、上記ローパスフィルタの出力電圧値に基づき、上記設定周波数を算出する、請求項1に記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項3】
上記ローパスフィルタの出力電圧値を、基準電圧値として記憶する基準電圧値記憶部を更に備え、
上記周波数算出回路は、電圧差が正である場合には周波数差が0以上であるように、上記設定周波数を算出し、且つ、上記電圧差が負である場合には上記周波数差が0以下であるように、上記設定周波数を算出し、
上記電圧差は、上記ローパスフィルタの出力電圧値から、上記基準電圧値を減算した値であり、
上記周波数差は、算出される上記設定周波数から、上記出力電圧値が上記基準電圧値である時の上記設定周波数を減算した値である、請求項2に記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項4】
上記基準電圧値記憶部は、上記キーホールが貫通した時刻以降に上記ローパスフィルタの出力電圧値が安定したときの上記出力電圧値を、上記基準電圧値として記憶する、請求項3に記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項5】
上記キーホールのサイズに基づき、補助情報を求める確認補助部を更に備え、上記補助情報は、上記母材に形成されたビードの確認を補助するための情報であり、
上記確認補助部は、上記補助情報を報知する報知部を含む、請求項3または請求項4に記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項6】
しきい値を記憶するしきい値記憶部を更に備え、
上記確認補助部は、上記キーホールのサイズの変動を表す変動パラメータと、上記しきい値とを比較する比較回路を含む、請求項5に記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項7】
上記報知部は、上記しきい値を上記変動パラメータが超えたと上記比較回路によって判断されると、上記補助情報を報知する、請求項6に記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項8】
上記補助情報は、上記母材に形成されたビードにおける確認すべき箇所を示す確認箇所情報を有し、
上記確認補助部は、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記確認箇所情報を求める演算回路を含み、
上記報知部は、上記演算回路によって求められた上記確認箇所情報を、報知する、請求項5または請求項6に記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項9】
上記補助情報は、上記母材に形成されたビードにおける確認すべき範囲を指示する確認範囲情報を有し、
上記演算回路は、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記確認範囲情報を求め、
上記報知部は、上記演算回路によって求められた上記確認範囲情報を、報知する、請求項8に記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項10】
上記変動パラメータは、上記電圧差である、請求項6ないし請求項9のいずれかに記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項11】
上記報知部は、音もしくは光によって、上記補助情報を報知する、請求項5ないし請求項10のいずれかに記載のプラズマキーホール溶接システム。
【請求項12】
プラズマ電極と母材との間のアークによってキーホールを貫通させる工程と、
上記キーホールが貫通した後に、上記プラズマ電極と上記母材との間に、設定周波数のパルス電流を流しつつ、定常溶接を行う工程と、を備え、
上記定常溶接を行う工程は、
上記母材に形成されたキーホールのサイズを検出する工程と、
上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記設定周波数を算出する工程と、を含む、プラズマキーホール溶接方法。
【請求項13】
上記プラズマ電極および上記母材の間の溶接電圧を検出する工程を更に備え、
上記キーホールのサイズを検出する工程は、ローパスフィルタによって上記溶接電圧の低周波成分のみを通過させる工程を含み、
上記設定周波数を算出する工程においては、上記ローパスフィルタの出力電圧値に基づき、上記設定周波数を算出する、請求項12に記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項14】
上記ローパスフィルタの出力電圧値を、基準電圧値として基準電圧値記憶部に記憶する工程を更に備え、
上記設定周波数を算出する工程においては、電圧差が正である場合には周波数差が0以上であるように、上記設定周波数を算出し、且つ、上記電圧差が負である場合には上記周波数差が0以下であるように、上記設定周波数を算出し、
上記電圧差は、上記ローパスフィルタの出力電圧値から、上記基準電圧値を減算した値であり、
上記周波数差は、算出される上記設定周波数から、上記出力電圧値が上記基準電圧値である時の上記設定周波数を減算した値である、請求項13に記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項15】
上記設定周波数を算出する工程においては、上記キーホールが貫通した時刻以降に上記ローパスフィルタの出力電圧値が安定したときの上記出力電圧値を、上記基準電圧値として用いる、請求項14に記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項16】
上記キーホールのサイズに基づき、上記母材に形成されたビードの確認を補助するための補助情報を求める工程と、
上記補助情報を報知する工程と、を備える、請求項14または請求項15に記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項17】
上記補助情報を求める工程においては、上記キーホールのサイズの変動を表す変動パラメータと、しきい値とを比較する、請求項16に記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項18】
上記報知する工程は、上記しきい値を上記変動パラメータが超えたと、上記比較する工程において判断された場合に、行われる、請求項17に記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項19】
上記補助情報は、上記母材に形成されたビードにおける確認すべき箇所を示す確認箇所情報を有し、
上記補助情報を求める工程は、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記確認箇所情報を求める工程を含み、
上記報知する工程においては、上記確認箇所情報を報知する、請求項16または請求項17に記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項20】
上記補助情報は、上記母材に形成されたビードにおける確認すべき範囲を指示する確認範囲情報を有し、
上記確認箇所情報を求める工程においては、上記キーホールのサイズの変化に基づき、上記確認範囲情報を求め、
上記報知する工程においては、上記確認範囲情報を報知する、請求項19に記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項21】
上記変動パラメータは、上記電圧差である、請求項17ないし請求項20のいずれかに記載のプラズマキーホール溶接方法。
【請求項22】
上記報知する工程においては、音もしくは光によって、上記補助情報を報知する、請求項16ないし請求項21のいずれかに記載のプラズマキーホール溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−82001(P2013−82001A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53950(P2012−53950)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】