説明

プラズマ発生装置

【課題】保守性に優れた高周波アンテナを持つプラズマ発生装置を提供する。
【解決手段】半円状の高周波アンテナと、前記高周波アンテナを被覆する絶縁性管とを備えたプラズマ発生装置において、前記絶縁性管は、凹部7及び凸部8を有する半円状に二分割された絶縁性部材5、6よりなり、凹部7と凸部8とを嵌め合わせて、スライドさせて一体化させたものであり、絶縁性管の断面の形状をプラズマが内部に侵入し難い形状とし、かつ絶縁性管を容易に分解できる構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナに高周波電流を供給して高周波電界を発生させ、その電界によりプラズマを発生させて、基板面にエッチングや薄膜形成等の表面処理を行うプラズマ発生装置に有用なプラズマ発生装置に関するものであり、特にアンテナの保守性等の向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶ディスプレイの製造工程で使用されるドライエッチング装置やアッシング装置、プラズマCVD装置等のプラズマを用いた処理装置の分野においては、近年の処理基板の大型化に伴い、処理装置のプラズマ源も大口径化が要求されている。また、一方では、エッチングレートや成膜速度、スループットを確保するため、高真空下でのプラズマの高密度化が要求されている。
【0003】
このうち、プラズマの高密度化に関しては、プラズマの励起効率を促進するために、高周波を用いて誘導結合プラズマ(Inductively Coupled
Plasma、以下ICPと略称)を発生させる方法が採用されている。ICPは主としてアンテナ励起用コイルに高周波電流を流し、これによって真空中に誘導電磁界を発生させ、プラズマを生成するものであり、高真空下において高密度プラズマを均一に生成することができる。
【0004】
特許文献1には、複数の高周波アンテナと、この高周波アンテナを被覆する絶縁性管を設けることが記載されている。
【0005】
従来の高周波アンテナの構成について、プラズマ発生装置の一部の概略を示した図6及び図6のA−A矢視図である図7を用いて説明する。図6では1つの略U字状の高周波アンテナ11を示しているが、プラズマ発生装置全体では通常、複数の高周波アンテナが真空容器12内部に配置される。
【0006】
高周波アンテナ11には、真空容器12外の高周波電源15により、高周波電力が印加される。なお、高周波アンテナ11は銅・アルミニウム等の導電性の材料が用いられる。
【0007】
高周波アンテナ11は絶縁フランジ13によって支持され、真空容器12に固定されている。絶縁フランジ13には真空容器12との気密を保つために図示しないシール部材が内蔵されている。
【0008】
高周波アンテナ11の周囲には絶縁性管14が取り付けられている。絶縁性管14の内部に高周波アンテナ11が通される。絶縁性管14は石英やアルミナ等の絶縁性の材料が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−149639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の絶縁性管は、形状がチューブのため内外面共に切削加工が出来ないため精度が悪いといった問題があり、また表面状態が悪いといった問題があった。
【0011】
また、絶縁性管の形状がチューブのため組立性が悪く、分解が困難なので保守等が非常に煩雑であるといった問題もあった。プラズマ発生装置は容器内で均一なプラズマを発生させるために高周波アンテナを複数配置する必要があり、複数の高周波アンテナおよび絶縁性管といった物のメンテナンス時間を短縮することは重要な課題である。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、絶縁性管の断面の形状をプラズマが内部に侵入し難い形状とし、かつ絶縁性管を容易に分解できる構造とすることで、保守性に優れた高周波アンテナを持つプラズマ発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、半円状の高周波アンテナと、前記高周波アンテナを被覆する絶縁性管とを備えたプラズマ発生装置において、前記絶縁性管は、凹部及び凸部を有する円周方向断面に沿って分割された絶縁性部材の前記凹部と前記凸部とを嵌め合わせ、スライドさせて一体化したものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプラズマ発生装置によれば、絶縁性管の断面の形状をプラズマが内部に侵入し難い形状とし、かつ絶縁性管を容易に分解できる構造とすることにより、高周波アンテナの保守性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るプラズマ発生装置の高周波アンテナの断面図である。
【図2】本発明に係る一つの実施形態である半円状絶縁性管の図1のA−A矢視断面図である。
【図3】本発明に係る他の実施形態である半円状絶縁性管の図1のA−A矢視断面図である。
【図4】本発明に係るさらに他の実施形態である半円状絶縁性管を二分割した断面図である。
【図5】図3に示す実施形態の半円状絶縁性管を組み立てる方法を示す図である。
【図6】従来のプラズマ発生装置の高周波アンテナの断面図である。
【図7】従来のプラズマ発生装置の絶縁性管の図6のA−A矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を用いて説明する。
【0017】
図1は本発明に係るプラズマ発生装置の高周波アンテナの断面図であり、半円状の高周波アンテナ1が真空容器2に絶縁フランジ3を介して取付けられた状態を示している。
【0018】
図2は本発明に係る一つの実施形態を示し、図1の半円状の高周波アンテナの全体を覆う絶縁性管のA−A矢視断面図である。
半円状の絶縁性管4は全体が凸部絶縁性管5と凹部絶縁性部材6に二分割し、それぞれの凹部7と凸部8を嵌め合わせ、円周に沿ってスライドさせて、一体化し、半円状の絶縁性管4を構成するものである。
【0019】
図3は本発明に係る他の実施形態を示し、図1の半円状の高周波アンテナの全体を覆う絶縁性管のA−A矢視断面図である。
本実施形態では、半円状の絶縁性管4は全体が凸部絶縁性部材5と凹部絶縁性部材6に二分割しているのは上記実施形態と同様であるが、図1の半円状の絶縁性管4の外周側9にだけ凹部7と凸部8を設けて凸部絶縁性部材5と凹部絶縁性部材6に二分割し、これらの部材の凹部7と凸部8を嵌め合わせて円周に沿ってスライドさせ一体化して、半円状の絶縁性管4を構成するものである。
なお、図1の半円状の絶縁性管4の内周側10に凹部7と凸部8を設けてもよいことは言うまでもない。
【0020】
図4はさらに他の実施形態を表す図であり、半円状の絶縁性管4を、例えば部分的に2ヶ所、凹部7又は凸部8を設けた図4(A)の凸部絶縁性部材5と図4(B)の凹部絶縁性部材6に二分割し、これらを円周に沿ってスライドさせて、凹部7と凸部8を嵌め合わせて一体化して、半円状の絶縁性管4を構成するものである。
このように構成することによって、半円状の絶縁性管4の組み立て時に、円周に沿ってスライドさせる距離を短くすることができ、内部導体を組み入れた状態で嵌め合わせて半円状の絶縁性管4に組み立てることができる。
【0021】
なお、図5は図3に示す実施形態の組み立て方法を示した図である。このように凹部7と凸部8を嵌め合わせて円周方向に回転させながらスライドさせればよいことを表している。このような組み立て方法は他の実施形態のものも同様である。
【0022】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらはあくまで数例の実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0023】
1、11 高周波アンテナ
2、12 真空容器
3、13 絶縁フランジ
4、14 絶縁性管
5 凸部絶縁性部材
6 凹部絶縁性部材
7 凹部
8 凸部
9 絶縁管の外周側
10 絶縁管の内周側
15 高周波電源






















【特許請求の範囲】
【請求項1】
半円状の高周波アンテナと、前記高周波アンテナを被覆する絶縁性管とを備えたプラズマ発生装置において、前記絶縁性管は、凹部及び凸部を有する半円状に二分割された絶縁性部材よりなり、前記凹部と前記凸部とを嵌め合わせ、スライドさせて一体化しているものであることを特徴とするプラズマ発生装置。




































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89477(P2013−89477A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229404(P2011−229404)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003942)日新電機株式会社 (328)
【Fターム(参考)】