説明

プリアンブル生成装置、プリアンブル生成方法、およびプログラム

【課題】PAPRの低い任意長のプリアンブルを生成する。
【解決手段】直交周波数分割多重伝送方式における受信装置の同期に用いられ、通信の際にデータの始まりに付加されるプリアンブルを生成するプリアンブル生成装置であって、プリアンブル長識別情報および位置特定情報を受信し、これらに基づいて生成すべきプリアンブルを構成する複数の要素を、予め定められたシーケンスに従って生成する。そしてプリアンブルモデルを作成し、これに含まれる要素決定情報のうち、プリアンブル中のデータ通信に用いられる要素であることを示す位置に生成した要素を当てはめ、複数のプリアンブルを生成する。複数のプリアンブルそれぞれに対応するPAPRを算出し、各プリアンブルのPAPRを比較して最小のPAPRに対応するプリアンブルを通信の際に使用するプリアンブルとして決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリアンブル生成装置、プリアンブル生成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気通信システムにおいて、通信速度の高速化が求められている。このような通信速度の高速化を実現するデータ通信方式として、直交周波数分割多重化(OFDM;Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式が知られている。
【0003】
データ通信を行うにあたっては、信号の検出や補正、同期等を行うためのプリアンブルが最初に送信される。したがって、このプリアンブルが信号歪み等により正常に送信されないと、後に続くデータが正常に復調されなくなる。
【0004】
一般に電力増幅器は、変調信号のピーク対平均電力比(PAPR;Peak−to−Average−Power Ratio)が低いほど、信号歪みが少なく、伝送効率がよいことが知られている。しかしOFDMでは、サブキャリアの重ねあわせによって、瞬間的に大きな電力が発生するため、高いPAPRを有する。そこで、PAPRの低いプリアンブルを生成するための様々な技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、CAZAC系列を反復させることによりPAPRの低いプリアンブルを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−508803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のプリアンブルを生成する技術で生成されるPAPRの低いプリアンブルは、2のべき乗の長さのプリアンブルである。一般に通信を行うにあたっては、プリアンブル中に複数のガードサブキャリアを設ける必要があり、ガードサブキャリアの個数は通信システムによって異なる。そのため様々な通信システムに対応できるよう、任意の長さのプリアンブルが求められる。さらに、CAZAC系列を2個、4個と反復すればするほどPAPRは高くなる。従って、PAPRが低く、かつ任意長のプリアンブルを生成するという観点からみると未だ十分ではない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、PAPRの低い任意長のプリアンブルを生成できるプリアンブル生成装置、プリアンブル生成方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るプリアンブル生成装置は、
直交周波数分割多重伝送方式における受信装置の同期に用いられ、通信の際にデータの始まりに付加されるプリアンブルを生成するプリアンブル生成装置であって、
生成が要求されるプリアンブルの長さを示すプリアンブル長識別情報、プリアンブルを構成する複数の要素のうち、ガード区間を構成する要素の位置、および、該プリアンブルの略中心を示し、かつデータ通信に用いられることのない要素の位置を特定する位置特定情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信したプリアンブル長識別情報に基づいて、生成すべきプリアンブルを構成する複数の要素を、予め定められたシーケンスに従って生成するプリアンブル要素生成手段と、
前記受信手段で受信した位置特定情報に基づいて、生成すべきプリアンブル中の位置を示す位置情報とその位置に対応する要素をプリアンブル中のデータ通信に用いられる要素とするか否かを示す要素決定情報を含むプリアンブルモデルを作成するプリアンブルモデル作成手段と、
前記プリアンブルモデル作成手段で作成したプリアンブルモデルに含まれる要素決定情報のうち、プリアンブル中のデータ通信に用いられる要素であることを示す要素決定情報に対応する位置に前記プリアンブル要素生成手段で生成した要素を当てはめて複数のプリアンブルを生成するプリアンブル生成手段と、
前記プリアンブル生成手段で生成された複数のプリアンブルそれぞれに対応するPAPRを算出するPAPR算出手段と、
前記PAPR算出手段で算出された各プリアンブルのPAPRを比較して最小のPAPRに対応するプリアンブルを通信の際に使用するプリアンブルとして決定するプリアンブル決定手段と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
前記受信手段は、ユーザの入力操作により入力される通信データを更に受信し、
前記プリアンブル生成装置は、前記プリアンブル決定手段で決定されたプリアンブルを前記受信手段で受信した通信データの始まりに付加して、受信した信号を時間領域の信号に変換するIFFTユニットへ送信する送信手段をさらに備えていてもよい。
【0010】
前記プリアンブル生成装置は、前記プリアンブル決定手段で決定されたプリアンブルを通信機の記憶装置へ格納するプリアンブル格納手段をさらに備えていてもよい。
【0011】
前記予め定められたシーケンスがFrank−Zadoffシーケンスであってもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るプリアンブル生成方法は、
直交周波数分割多重伝送方式における受信装置の同期に用いられ、通信の際にデータの始まりに付加されるプリアンブルを生成するプリアンブル生成方法であって、
生成が要求されるプリアンブルの長さを示すプリアンブル長識別情報、プリアンブルを構成する複数の要素のうち、ガード区間を構成する要素の位置、および、該プリアンブルの略中心を示し、かつデータ通信に用いられることのない要素の位置を特定する位置特定情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信したプリアンブル長識別情報に基づいて、生成すべきプリアンブルを構成する複数の要素を、予め定められたシーケンスに従って生成するプリアンブル要素生成ステップと、
前記受信ステップで受信した位置特定情報に基づいて、生成すべきプリアンブル中の位置を示す位置情報とその位置に対応する要素をプリアンブル中のデータ通信に用いられる要素とするか否かを示す要素決定情報を含むプリアンブルモデルを作成するプリアンブルモデル作成ステップと、
前記プリアンブルモデル作成ステップで作成したプリアンブルモデルに含まれる要素決定情報のうち、プリアンブル中のデータ通信に用いられる要素であることを示す要素決定情報に対応する位置に前記プリアンブル要素生成ステップで生成した要素を当てはめて複数のプリアンブルを生成するプリアンブル生成ステップと、
前記プリアンブル生成ステップで生成された複数のプリアンブルそれぞれに対応するPAPRを算出するPAPR算出ステップと、
前記PAPR算出ステップで算出された各プリアンブルのPAPRを比較して最小のPAPRに対応するプリアンブルを通信の際に使用するプリアンブルとして決定するプリアンブル決定ステップと、
を備えることを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
直交周波数分割多重伝送方式における受信装置の同期に用いられ、通信の際にデータの始まりに付加されるプリアンブルを生成するコンピュータを、
生成が要求されるプリアンブルの長さを示すプリアンブル長識別情報、プリアンブルを構成する複数の要素のうち、ガード区間を構成する要素の位置、および、該プリアンブルの略中心を示し、かつデータ通信に用いられることのない要素の位置を特定する位置特定情報を受信する受信手段、
前記受信手段で受信したプリアンブル長識別情報に基づいて、生成すべきプリアンブルを構成する複数の要素を、予め定められたシーケンスに従って生成するプリアンブル要素生成手段、
前記受信手段で受信した位置特定情報に基づいて、生成すべきプリアンブル中の位置を示す位置情報とその位置に対応する要素をプリアンブル中のデータ通信に用いられる要素とするか否かを示す要素決定情報を含むプリアンブルモデルを作成するプリアンブルモデル作成手段、
前記プリアンブルモデル作成手段で作成したプリアンブルモデルに含まれる要素決定情報のうち、プリアンブル中のデータ通信に用いられる要素であることを示す要素決定情報に対応する位置に前記プリアンブル要素生成手段で生成した要素を当てはめて複数のプリアンブルを生成するプリアンブル生成手段、
前記プリアンブル生成手段で生成された複数のプリアンブルそれぞれに対応するPAPRを算出するPAPR算出手段、
前記PAPR算出手段で算出された各プリアンブルのPAPRを比較して最小のPAPRに対応するプリアンブルを通信の際に使用するプリアンブルとして決定するプリアンブル決定手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、PAPRの低い任意長のプリアンブルを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置を備えた通信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す通信装置により送信される通信データの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により生成されるプリアンブルの構成を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により生成されるロングプリアンブルの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により生成されるショートプリアンブルの構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成されるロングプリアンブル用のCAZAC系列の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成されるロングプリアンブル用の複数のCAZAC系列の一例を示す図である。
【図8】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成されるロングプリアンブル用のプリアンブルモデルの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成される複数のロングプリアンブルの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成されるロングプリアンブル用のCAZAC系列の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成されるショートプリアンブル用のCAZAC系列の一例を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成されるショートプリアンブル用の複数のCAZAC系列の一例を示す図である。
【図13】(a)〜(c)は、本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成されるショートプリアンブル用のプリアンブルモデルの一例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成される複数のショートプリアンブルの一例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置により作成されるショートプリアンブル用のCAZAC系列の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置におけるプリアンブル生成処理の一手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置で生成されるプリアンブル信号の信号点配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態に係るプリアンブル生成装置を通信装置に適用した例を示すとともに、プリアンブル生成装置の構成について詳細に説明する。
【0017】
通信装置10は、図1に示すように、プリアンブル生成装置100と、入力部120と、逆高速フーリエ変換(IFFT)ユニット130と、通信部150と、を備えている。
【0018】
理解を容易にするため、通信装置10によるデータ送信についてまず説明する。データ送信は、プリアンブル生成装置100により生成されたプリアンブルが、入力部120から入力された送信データに付加され、無線信号として送出されることで行われる。具体的には、生成されたプリアンブルは周波数領域で生成された後、送信データに付加されIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)ユニット130により時間領域の信号に変換される。そして変換された信号が無線信号として通信部150より送信される。受信側では、FFT(Fast Fourier Transform)により、時間領域から周波数領域の信号に変換して元の情報を取り出す。
【0019】
ここで、プリアンブルについて詳細に説明する。プリアンブルは、図2に示すように送信データの先頭に付加され、信号の検出や補正、同期などに用いられる。プリアンブルは、図示するように、ショートプリアンブルとロングプリアンブルの組み合わせから構成される。例えば、IEEE802.11aにおけるPLCP(Physical Layer Convergence Protocol)プリアンブルは、10個のショート・トレーニング・シンボルから構成されるショートプリアンブルと2個のロング・トレーニング・シンボルから構成されるロングプリアンブルの組み合わせから構成される。ショートプリアンブルは信号検出などの粗調整に、ロングプリアンブルは微調整に用いられる。これらの組み合わせは、各仕様や用途によって自由に定められる。
【0020】
各プリアンブルは、図3に示すように、ガードサブキャリアとDCサブキャリア、およびデータサブキャリアから構成される。
【0021】
ガードサブキャリアは、図示するようにプリアンブルの両端に位置し、2つの周波数帯域間のスペクトル間干渉を回避するために使用される、値が0のサブキャリア(要素)の集合である。
【0022】
DCサブキャリアは、図示するようにプリアンブルの中心に位置し、データ送信には使用されないサブキャリア(要素)である。
【0023】
データサブキャリアは、プリアンブルの両端に位置するガードサブキャリアの間に位置し、データ送信に使用されるサブキャリア(要素)の集合である。
【0024】
本実施形態に係るプリアンブル生成装置100では、CAZAC性能を有するFrank−Zadoffシーケンスによりプリアンブルが生成される。
【0025】
プリアンブル生成装置100により生成されるロングプリアンブルは、図4に示すように、各サブキャリアの間に0が1つ挿入されている。
【0026】
プリアンブル生成装置100により生成されるショートプリアンブルは、図5に示すように、各サブキャリアの間に0が連続して3つ挿入されている。
【0027】
図1に戻り、プリアンブル生成装置100は、記憶部101と、制御部102を備えている。
【0028】
記憶部101は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random−Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等から構成され、プリアンブル生成プログラム103を備えている。また、記憶部101には、予めCAZAC(Constant Amplitude Zero Auto−Correlation)性能を有する下式(1)のFrank−Zadoffシーケンスが格納されている。
【0029】
=exp[jθ(k)],(0≦k<L)・・・・(1)
(L1/2は整数、k=p+q(L1/2)、θ(k)=2πpq/(L1/2)、p=0,1,・・・・,L1/2−1、q=0,1,・・・・,L1/2−1)
【0030】
プリアンブル生成プログラム103は、所定のプリアンブルを生成するための一連の動作が記述されたプログラムである。
【0031】
制御部102は、CPU(Central Processing Unit)等から構成される。制御部102は、プリアンブル生成プログラム103に従って動作し、プリアンブル生成機能を提供する。制御部102は、プリアンブル生成プログラム103により提供される主要な機能部として、受信部104と、ロング・ショート判別部105と、ロングプリアンブル生成部106と、ショートプリアンブル生成部107と、PAPR算出部108と、プリアンブル決定部109と、送信部110と、を備えている。
【0032】
受信部104は、ユーザにより入力されるプリアンブルの設定内容を、後述する入力部120から受信して、ロング・ショート判別部105へその設定内容を送信する。プリアンブルの設定内容には、生成が要求されるプリアンブルを識別するプリアンブル識別情報や、生成が要求されるプリアンブルの長さを示すプリアンブル長識別情報、プリアンブル中のガードサブキャリアの位置を示すガード位置識別情報、プリアンブル中のDCサブキャリアの位置を示すDC位置識別情報等が含まれる。
また、受信部104は、ユーザの入力に応じて、データ通信に用いられる送信データを後述する入力部120から受信し、後述する送信部110へ送信する。
【0033】
ロング・ショート判別部105は、受信部104から受信したプリアンブル識別情報に基づいて、ロングプリアンブルとショートプリアンブルのどちらの生成が要求されているのか、またはその両方の生成が要求されているのかを判別する。
【0034】
ロングプリアンブルの生成が要求されていると判別した場合、ロング・ショート判別部105は、受信部104から受信した設定内容をロングプリアンブル生成部106へ送信する。一方、ショートプリアンブルの生成が要求されていると判別した場合、ロング・ショート判別部105は、受信部104から受信した設定内容をショートプリアンブル生成部107へ送信する。また、両プリアンブルの生成が要求されていると判別した場合、ロング・ショート判別部105は、受信部104から受信した設定内容をロングプリアンブル生成部106およびショートプリアンブル生成部107へ送信する。
【0035】
ロングプリアンブル生成部106は、記憶部101に格納されているFrank−Zadoffシーケンスとロング・ショート判別部105から受信した設定内容に基づいて、図4に示すようなロングプリアンブルを生成する。
【0036】
具体的には、ロングプリアンブル生成部106は、ロング・ショート判別部105から受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が2のべき乗であるか否かを判定する。そして2のべき乗である場合、ロングプリアンブル生成部106は、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長を2で割った値の平方根が整数であるか否かを判定する。ここで、このプリアンブル長を2で割った値は、上記式(1)における値Lに相当する。
【0037】
プリアンブル長が2のべき乗であり、かつ2で割った値の平方根が整数(L1/2が整数)であると判定した場合、ロングプリアンブル生成部106は、プリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長を2で割った値の長さ(値Lの長さ)のCAZAC系列を、記憶部101に格納されているFrank−Zadoffシーケンスに基づいて作成する。
【0038】
例えば、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が32である場合を例に説明すると、プリアンブル長が32であるため、ロングプリアンブル生成部106は、プリアンブル長が2のべき乗であると判定する。そしてこのプリアンブル長を2で割った値は16であり、その平方根が整数であるため、ロングプリアンブル生成部106は、記憶部101に格納されている式(1)にk=0〜15を代入して、図6に示すように、長さ16のCAZAC系列C(1)〜C(16)(a,a,a,a,a,a,a,a,a,a,a10,a11,a12,a13,a14,a15)を作成する。
【0039】
また、ロングプリアンブル生成部106は、図7に示すように、作成した長さ16のCAZAC系列の各要素を巡回させて16種類のCAZAC系列を作成する。そしてロングプリアンブル生成部106は、作成した各CAZAC系列を記憶部101へ格納する。
【0040】
続いてロングプリアンブル生成部106は、ロング・ショート判別部105から受信した設定内容に基づいて、プリアンブルモデルを作成する。プリアンブルモデルは、作成したCAZAC系列の各要素のうち、いずれの要素をプリアンブルのデータサブキャリアとして用いるかを決定するためのモデルである。プリアンブルモデルには、プリアンブル中の位置を示す位置情報と、この位置情報が示す位置の要素をプリアンブルのデータサブキャリアとして用いるか否かを示す要素決定情報とが含まれる。
ロングプリアンブル生成部106は、作成したプリアンブルモデルを記憶部101へ格納する。
【0041】
ロングプリアンブル生成部106におけるプリアンブルモデルの作成について説明する。理解を容易にするため、ここで作成されるプリアンブルモデルでは、プリアンブルのデータサブキャリアとして用いる位置の要素決定情報を1、用いない位置の要素決定情報を0として説明する。ロングプリアンブル生成部106は受信したプリアンブル長識別情報が示す長さのプリアンブルモデルを作成する。ここでは、全ての位置情報に対応する位置の要素決定情報が1となっている。そしてロングプリアンブル生成部106は、ロング・ショート判別部105から受信したガード位置識別情報およびDC位置識別情報により示される位置に対応する要素決定情報を0にする。ロングプリアンブル生成部106は、残りの1である要素決定情報のうち、位置情報によって示される位置が偶数または奇数である要素のどちらか一方の要素決定情報を0にする。本実施形態では、偶数である要素の要素決定情報が0にされるものとする。
【0042】
上述の例のように、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が32である場合について説明すると、ロングプリアンブル生成部106は、図8(a)に示すように、長さ32のプリアンブルモデルを作成する。ロング・ショート判別部105から受信したガード位置識別情報の示す位置が1〜4、30〜32で、DC位置識別情報の示す位置が17である場合、ロングプリアンブル生成部106は、図8(b)に示すように、これらの位置に対応する要素決定情報の値を0にする。
【0043】
続いてロングプリアンブル生成部106は、残りの要素決定情報が1であるプリアンブルモデルの各要素のうち、位置情報によって示される位置が偶数である要素の要素決定情報を、図8(c)に示すように0にする。
【0044】
このようにしてロングプリアンブル生成部106は、プリアンブルモデルを作成する。作成したプリアンブルモデルは、記憶部101に格納される。
【0045】
ロングプリアンブル生成部106は、作成した複数のCAZAC系列を記憶部101から順に読み出し、作成したプリアンブルモデルの要素決定情報が1である要素のうち、位置情報の小さい要素から順に、読み出したCAZAC系列の要素をC(1)から順に当てはめ、CAZAC系列毎にロングプリアンブルを生成する。
【0046】
上記と同様に、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が32である場合について説明する。作成されたプリアンブルモデルは図8(c)に示すプリアンブルモデルで、作成された各CAZAC系列は図7に示すCAZAC系列である。ロングプリアンブル生成部106は、図9に示すように、図8(c)に示すプリアンブルモデルの要素決定情報が1である要素のうち、位置情報の小さい要素から順に、図7におけるCAZAC系列1〜16までの各要素をC(1)から順に当てはめ、CAZAC系列1〜16に対応するプリアンブルを生成する。
【0047】
ロングプリアンブル生成部106は、生成した各プリアンブルをPAPR算出部108へ送信する。
【0048】
プリアンブル長が2のべき乗ではあるが、2で割った値の平方根が整数でない(L1/2が非整数)場合、ロングプリアンブル生成部106は、プリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長を2で割った値の半分の長さ(値L/2の長さ)のCAZAC系列を、記憶部101に格納されているFrank−Zadoffシーケンスに基づいて2つ作成する。
【0049】
例えば、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が64である場合を例に説明すると、ロングプリアンブル生成部106は、プリアンブル長が64であるため2のべき乗であると判定する。そしてこのプリアンブル長を2で割った値は32であり、その平方根が整数ではないため、ロングプリアンブル生成部106は、記憶部101に格納されている式(1)にk=0〜15を代入して、長さ16のCAZAC系列C(1)〜C(16)(a,a,a,a,a,a,a,a,a,a,a10,a11,a12,a13,a14,a15)を2つ作成し、図10に示すようにこれらを合成する。従って作成されるCAZAC系列は、長さ32のCAZAC系列C(1)〜C(32)となる。
【0050】
ロングプリアンブル生成部106は、上述の、プリアンブル長が2のべき乗で、かつ2で割った値の平方根が整数である場合と同様に、作成したCAZAC系列の各要素を巡回させて16種類のCAZAC系列を作成する。そしてロングプリアンブル生成部106は、作成した各CAZAC系列を記憶部101へ格納する。
【0051】
続いて、上述のプリアンブル長が2のべき乗で、かつ2で割った値の平方根が整数である場合と同様に、ロングプリアンブル生成部106は、ロング・ショート判別部105から受信した設定内容に基づいて、プリアンブル長識別情報が示す長さのプリアンブルモデルを作成する。
【0052】
ロングプリアンブル生成部106は、同様に、作成した各CAZAC系列を記憶部101から順に読み出し、作成したプリアンブルモデルの要素決定情報が1である要素のうち、位置情報の小さい要素から順に、各CAZAC系列の要素をC(1)から順に当てはめ、各CAZAC系列に対応するロングプリアンブルを生成する。
【0053】
ロングプリアンブル生成部106は、生成した各プリアンブルをPAPR算出部108へ送信する。
【0054】
ロング・ショート判別部105から受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が2のべき乗でない場合、ロングプリアンブル生成部106は、図4に示すように、生成すべきロングプリアンブルの長さNを、N=s1+d1+1+d2+s2とする。長さNは受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長に相当し、s1及びs2はロング・ショート判別部105から受信したガード位置識別情報の示す位置から算出した長さに相当する。そして、ロングプリアンブル生成部106は、(d1+d2)/2≦Lを満たす最小の値Lを算出し、この値Lの長さのCAZAC系列C(1)〜C(L)を作成する。なお、L1/2は整数であるとする。
【0055】
ロングプリアンブル生成部106は、上述の、プリアンブル長が2のべき乗で、かつ2で割った値の平方根が整数である場合と同様に、作成したCAZAC系列の各要素を巡回させてL種類のCAZAC系列を作成する。そしてロングプリアンブル生成部106は、作成した各CAZAC系列を記憶部101へ格納する。
【0056】
続いて、上述のプリアンブル長が2のべき乗で、かつ2で割った値の平方根が整数である場合と同様に、ロングプリアンブル生成部106は、ロング・ショート判別部105から受信した設定内容に基づいて、プリアンブル長識別情報が示す長さのプリアンブルモデルを作成する。
【0057】
ロングプリアンブル生成部106は、同様に、作成した各CAZAC系列を記憶部101から順に読み出し、作成したプリアンブルモデルの要素決定情報が1である要素のうち、位置情報の小さい要素から順に、各CAZAC系列の要素をC(1)から順に当てはめ、各CAZAC系列に対応するロングプリアンブルを生成する。
【0058】
ロングプリアンブル生成部106は、上述のようにして生成したロングプリアンブルをPAPR算出部108へ送信する。
【0059】
一方、ショートプリアンブル生成部107は、記憶部101に格納されているFrank−Zadoffシーケンスとロング・ショート判別部105から受信した設定内容に基づいて、図5に示すようなショートプリアンブルを生成する。
【0060】
具体的には、ショートプリアンブル生成部107は、上述したロングプリアンブル生成部106での処理と同様に、ロング・ショート判別部105から受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が2のべき乗であるか否かを判定する。そして、2のべき乗である場合、ショートプリアンブル生成部107は、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長を4で割った値の平方根が整数であるか否かを判定する。ここで、ショートプリアンブル生成部107においては、このプリアンブル長を4で割った値が、上記式(1)における値Lに相当する。
【0061】
プリアンブル長が2のべき乗であり、かつ4で割った値の平方根が整数であると判定した場合、ショートプリアンブル生成部107は、プリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長を4で割った値の長さのCAZAC系列を、記憶部101に格納されているFrank−Zadoffシーケンスに基づいて作成する。
【0062】
受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が64である場合を例に説明すると、プリアンブル長が64であるため、ショートプリアンブル生成部107は、プリアンブル長が2のべき乗であると判定する。そしてこのプリアンブル長を4で割った値は16であり、その平方根が整数であるため、ショートプリアンブル生成部107は、図11に示すように、長さ16のCAZAC系列(a,a,a,a,a,a,a,a,a,a,a10,a11,a12,a13,a14,a15)を、記憶部101に格納されている式(1)にk=0〜15を代入して作成する。
【0063】
また、ショートプリアンブル生成部107は、作成した長さ16のCAZAC系列の各要素を巡回させて、ロングプリアンブル生成部での処理と同様にして、図12に示すように、16種類のCAZAC系列を作成する。そしてショートプリアンブル生成部107は、作成した各CAZAC系列を記憶部101へ格納する。
【0064】
続いてショートプリアンブル生成部107は、ロング・ショート判別部105から受信した設定内容に基づいて、プリアンブルモデルを作成する。
ショートプリアンブル生成部107は、作成したプリアンブルモデルを記憶部101へ格納する。
【0065】
ショートプリアンブル生成部107におけるプリアンブルモデルの作成について説明する。理解を容易にするため、ロングプリアンブル生成部106で示したプリアンブルモデルと同様に、プリアンブルとして用いる要素の要素決定情報を1、用いない要素の要素決定情報を0として説明する。ショートプリアンブル生成部107は、受信したプリアンブル長識別情報が示す長さのプリアンブルモデルを作成する。ここでは、全ての位置情報に対応する要素の要素決定情報が1となっている。そしてショートプリアンブル生成部107は、ロング・ショート判別部105から受信したガード位置識別情報およびDC位置識別情報により示される位置の要素を0にする。そしてショートプリアンブル生成部107は、残りの要素決定情報が1である要素のうち最も低い値の位置情報を1と仮定した場合の4n+1に対応する位置の要素決定情報のみを1に保持し、要素決定情報が1であるその他の要素の要素決定情報を0にする。ここで、n≧0とする。
【0066】
上述の例のように、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が64である場合について説明すると、ショートプリアンブル生成部107は、図13(a)に示すように、長さ64のプリアンブルモデルを作成する。ロング・ショート判別部105から受信したガード位置識別情報の示す位置が1〜4、60〜64で、DC位置識別情報の示す位置が33である場合、ショートプリアンブル生成部107は、図13(b)に示すように、これらの位置に対応する要素決定情報の値を0にする。
【0067】
続いて、ショートプリアンブル生成部107は、要素決定情報が1である要素のうち最も低い値の位置情報が5であるため、この位置を1と仮定する。そしてショートプリアンブル生成部107は、要素決定情報が1である要素のうち、位置情報が5である位置を1と仮定した場合に4n+1で表される位置、つまり、5、13、17等の位置情報に対応する要素の要素決定情報を1に保持し、図13(c)に示すように、その他の要素の要素決定情報を0にする。
【0068】
このようにしてショートプリアンブル生成部107は、プリアンブルモデルを作成する。作成したプリアンブルモデルは、記憶部101に格納される。
【0069】
ショートプリアンブル生成部107は、作成した各CAZAC系列を記憶部101から順に読み出し、作成したプリアンブルモデルの要素決定情報が1である要素に、各CAZAC系列の要素をC(1)から順に当てはめ、各CAZAC系列に対応するショートプリアンブルを生成する。
【0070】
上記と同様に、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が64である場合について説明する。作成されたプリアンブルモデルは図13(c)に示すプリアンブルモデルで、作成された各CAZAC系列は図12に示すCAZAC系列である。ショートプリアンブル生成部107は、図14に示すように、図13(c)に示すプリアンブルモデルの要素決定情報が1である要素のうち、位置情報の小さい要素から順に、図12におけるCAZAC系列1〜16までの各要素を、C(1)から順に当てはめ、CAZAC系列1〜16に対応するプリアンブルを生成する。
【0071】
ショートプリアンブル生成部107は、生成した各プリアンブルをPAPR算出部108へ送信する。
【0072】
プリアンブル長が2のべき乗ではあるが、4で割った値の平方根が整数でない場合、ショートプリアンブル生成部107は、プリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長を4で割った値の長さの半分のCAZAC系列を、記憶部101に格納されているFrank−Zadoffシーケンスに基づいて2つ作成する。
【0073】
例えば、受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が32である場合を例に説明すると、ショートプリアンブル生成部107は、プリアンブル長が32であるため2のべき乗であると判定する。そしてこのプリアンブル長を4で割った値は8であり、その平方根が整数ではないため、ロングプリアンブル生成部106は、長さ4のCAZAC系列C(1)〜C(4)(a,a,a,a)を、記憶部101に格納されている式(1)にk=0〜3を代入して2つ作成し、図15に示すようにこれらを合成する。従って作成されるCAZAC系列は、長さ32のCAZAC系列C(1)〜C(8)となる。
【0074】
ショートプリアンブル生成部107は、上述の、プリアンブル長が2のべき乗で、かつ4で割った値の平方根が整数である場合と同様に、作成したCAZAC系列の各要素を巡回させて4種類のCAZAC系列を作成する。そしてショートプリアンブル生成部107は、作成した各CAZAC系列を記憶部101へ格納する。
【0075】
続いて、上述のプリアンブル長が2のべき乗で、かつ4で割った値の平方根が整数である場合と同様に、ショートプリアンブル生成部107は、ロング・ショート判別部105から受信した設定内容に基づいて、プリアンブル長識別情報が示す長さのプリアンブルモデルを作成する。
【0076】
ショートプリアンブル生成部107は、上述の、プリアンブル長が2のべき乗で、かつ4で割った値の平方根が整数である場合と同様に、作成した各CAZAC系列を記憶部101から順に読み出し、作成したプリアンブルモデルの要素決定情報が1である要素のうち、位置情報の小さい要素から順に、各CAZAC系列の要素をC(1)から順に当てはめ、各CAZAC系列に対応するショートプリアンブルを生成する。
【0077】
ショートプリアンブル生成部107は、生成した各プリアンブルをPAPR算出部108へ送信する。
【0078】
ロング・ショート判別部105から受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長が2のべき乗でない場合、ショートプリアンブル生成部107は、図5に示すように、生成すべきショートプリアンブルの長さNを、N=s1+d1+1+d2+s2とする。長さNは受信したプリアンブル長識別情報が示すプリアンブル長に相当し、s1及びs2はロング・ショート判別部105から受信したガード位置識別情報の示す位置から算出した長さに相当する。そして、ショートプリアンブル生成部107は、(d1+d2)/4≦Lを満たす最小の値Lを算出し、この値Lの長さのCAZAC系列C(1)〜C(L)を作成する。なお、L1/2は整数であるとする。
【0079】
ショートプリアンブル生成部107は、上述の、プリアンブル長が2のべき乗で、かつ4で割った値の平方根が整数である場合と同様に、作成したCAZAC系列の各要素を巡回させてL種類のCAZAC系列を作成する。そしてロングプリアンブル生成部106は、作成した各CAZAC系列を記憶部101へ格納する。
【0080】
続いて、上述のプリアンブル長が2のべき乗で、かつ4で割った値の平方根が整数である場合と同様に、ショートプリアンブル生成部107は、ロング・ショート判別部105から受信した設定内容に基づいて、プリアンブル長識別情報が示す長さのプリアンブルモデルを作成する。
【0081】
ショートプリアンブル生成部107は、上述の、プリアンブル長が2のべき乗で、かつ4で割った値の平方根が整数である場合と同様に、作成した各CAZAC系列を記憶部101から順に読み出し、作成したプリアンブルモデルの要素決定情報が1である要素のうち、位置情報の小さい要素から順に、各CAZAC系列の要素をC(1)から順に当てはめ、各CAZAC系列に対応するショートプリアンブルを生成する。
【0082】
ショートプリアンブル生成部107は、上述のようにして生成したショートプリアンブルをPAPR算出部108へ送信する。
【0083】
PAPR算出部108は、ロングプリアンブル生成部106またはショートプリアンブル生成部107、若しくはその両方から受信した各ロングプリアンブル、各ショートプリアンブルのPAPRの値を算出する。
PAPR算出部108は、算出したPAPRの値を、各プリアンブルと対応付けてプリアンブル決定部109へ送信する。
【0084】
プリアンブル決定部109は、PAPR算出部108から受信した各ロングプリアンブルに対応するPAPRの値のうち、最も低い値のPAPRに対応するロングプリアンブルを、データ通信に使用するロングプリアンブルとして決定する。
また、プリアンブル決定部109は、PAPR算出部108から受信した各ショートプリアンブルに対応するPAPRの値のうち、最も低い値のPAPRに対応するショートプリアンブルを、データ通信に使用するショートプリアンブルとして決定する。
【0085】
プリアンブル決定部109は、決定したロングプリアンブルまたはショートプリアンブル、もしくはその両方のプリアンブルを、送信部110へ送信する。
【0086】
送信部110は、図2に示すように、プリアンブル決定部109から受信した各プリアンブルを、受信部104から受信した送信データに付加してIFFTユニット130へ送信する。
【0087】
以上が、プリアンブル生成装置100の構成である。
【0088】
入力部120は、音声信号を拾うマイクや、数字ボタンやモード選択ボタン等の各種設定ボタンから構成され、ユーザの入力操作によりデータ通信に用いられる送信データやプリアンブルの種類、生成すべきプリアンブルの長さ等の設定内容が入力される。
【0089】
IFFTユニット130は、プリアンブル生成装置100から受信したプリアンブルが付加された送信データにIFFT処理を行い、時間領域の信号に変換する。また、IFFTユニット130は、変換した時間領域の信号を通信部150に送信する。
【0090】
通信部150は、IFFTユニット130から受信した信号を無線信号として通信先へ送信する。
【0091】
以上が、プリアンブル生成装置100を備えた通信装置10の構成である。
【0092】
次に、プリアンブル生成装置100の動作について図16を参照して説明する。
【0093】
プリアンブル生成装置100におけるプリアンブル生成処理は、ユーザにより入力される、プリアンブルの種類や生成すべきプリアンブルの長さ等の設定内容や送信データが送信される毎に、記憶部101に格納されているプリアンブル生成プログラム103が実行されて開始される。
【0094】
プリアンブル生成装置100は、受信部104の機能により、ユーザから入力されるプリアンブルの設定内容を入力部120から受信して、ロング・ショート判別部105へその設定内容を送信する。また、プリアンブル生成装置100は、受信部104の機能により、ユーザから入力される送信データを入力部120から受信して送信部110へ送信する(ステップS101)。
【0095】
プリアンブル生成装置100は、ロング・ショート判別部105の機能により、受信した設定内容に含まれるプリアンブル識別情報に基づいて、生成が要求されるプリアンブルがロングプリアンブルであるか否かを判定する(ステップS102)。
【0096】
生成が要求されるプリアンブルがロングプリアンブルであると判定した場合(ステップS102;Yes)、プリアンブル生成装置100は、ロング・ショート判別部105の機能により、受信した設定内容をロングプリアンブル生成部106へ送信する(ステップS103)。
【0097】
続いてプリアンブル生成装置100は、ロングプリアンブル生成部106の機能により、記憶部101に格納されているFrank−Zadoffシーケンス、および、受信した設定内容に基づいて、複数のCAZAC系列とプリアンブルモデルを生成する。そして生成したプリアンブルモデルに各CAZAC系列の要素を当てはめ、各CAZACに対応するロングプリアンブルを生成する(ステップS104)。
【0098】
プリアンブル生成装置100は、ロングプリアンブル生成部106の機能により、生成した各ロングプリアンブルをPAPR算出部108へ送信する(ステップS105)。
【0099】
次に、プリアンブル生成装置100は、ロング・ショート判別部105の機能により、受信した設定内容に含まれるプリアンブル識別情報に基づいて、ショートプリアンブルの生成も要求されているか否かを判定する(ステップS106)。
【0100】
または、プリアンブル生成装置100は、ステップS102において、生成が要求されるプリアンブルがロングプリアンブルでないと判定した場合(ステップS102;No)、プリアンブル生成装置100は、ロング・ショート判別部105の機能により、生成が要求されるプリアンブルがショートプリアンブルであるか否かを判定する(ステップS107)。
【0101】
ステップS106またはステップS107において、ショートプリアンブルの生成が要求されていると判定された場合(ステップS106;Yes)(ステップS107;Yes)、プリアンブル生成装置100は、ロング・ショート判別部105の機能により、受信した設定内容をショートプリアンブル生成部107へ送信する(ステップS108)。一方、ステップS107においてショートプリアンブルの生成が要求されていないと判定された場合(ステップS107;No)、この処理を終了する。
【0102】
続いてプリアンブル生成装置100は、ショートプリアンブル生成部107の機能により、記憶部101に格納されているFrank−Zadoffシーケンス、および、受信した設定内容に基づいて、複数のCAZAC系列とプリアンブルモデルを生成する。そして生成したプリアンブルモデルに各CAZAC系列の要素を当てはめ、各CAZACに対応するショートプリアンブルを生成する(ステップS109)。
【0103】
プリアンブル生成装置100は、ショートプリアンブル生成部107の機能により、生成した各ショートプリアンブルをPAPR算出部108へ送信する(ステップS110)。
【0104】
ステップS106においてショートプリアンブルの生成が要求されていないと判定された場合(ステップS106;No)、または、ステップS110の処理の実行後、プリアンブル生成装置100は、PAPR算出部108の機能により、受信した各プリアンブルに対応するPAPRを算出する(ステップS111)。
【0105】
そしてプリアンブル生成装置100は、PAPR算出部108の機能により、算出したPAPRを各プリアンブルに対応付けてプリアンブル決定部109へ送信する(ステップS112)。
【0106】
プリアンブル生成装置100は、プリアンブル決定部109の機能により、受信した各プリアンブルに対応するPAPRの値のうち、ロングプリアンブルとショートプリアンブルそれぞれの最も低い値のPAPRに対応するプリアンブルを、通信に使用するプリアンブルとして決定する(ステップS113)。
【0107】
プリアンブル生成装置100は、プリアンブル決定部109の機能により決定されたプリアンブルを、入力部120から受信した送信データに付加してIFFTへ送信する(ステップS114)。これによりプリアンブルは時間領域の信号に変換され、通信機10の通信部150により無線信号として送信される。
【0108】
以上が、プリアンブル生成装置100におけるプリアンブル生成処理の動作である。
【0109】
このように、本実施形態に係るプリアンブル生成装置100によれば、要求されるプリアンブル長に応じてCAZAC系列を簡単なアルゴリズムによって加工し、PAPRの低い任意長のプリアンブルを生成することができる。また、CAZAC系列としてFrank−Zadoffシーケンスを用いることにより、図17に示すように、変調信号の信号点配置が、複素平面においてプリアンブル信号数より少ない点で、かつ円周上に配置される。これによりプリアンブル信号の検出における誤りを減少させることができる。
【0110】
さらに、従来のCAZAC系列を反復させてプリアンブルを生成する場合、このCAZAC系列を2個、4個と連ねていくことによりPAPRが上昇する。したがって、本実施形態に係るプリアンブル生成装置100によれば、従来のCAZAC系列を反復させてプリアンブルを生成する場合と比較して、さらに低いPAPRのプリアンブルを生成することができる。
【0111】
(変形例)
この発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。上記実施の形態では、プリアンブル生成装置100が通信装置10の内部に配置され、通信時にプリアンブルを生成して通信を行う例を示したが、これは一例である。プリアンブル生成装置100は通信装置10の外部にあってもよく、このプリアンブル生成装置100により生成されたプリアンブルを通信装置10内のROMに予め記憶させておき、通信時に送信データに付加して通信を行うようにしてもよい。この構成によれば、予めプリアンブルを通信装置に記憶させておくため、より短時間で通信を開始することができる。
【0112】
また、上記実施形態では、通信に用いられるプリアンブルが1種類生成される例を示したが、これは一例である。複数の異なるプリアンブルを生成し、通信システムに合わせて任意のプリアンブルを適宜選択して送信データに付加してもよい。また、生成した複数の異なるプリアンブルを通信装置10内のROMに記憶させておき、通信システムに合わせて任意のプリアンブルを適宜選択して通信時に送信データに付加してもよい。なお、プリアンブルの選択は、ユーザの入力操作に従って行ってもよいし、通信システムの情報を取得して、通信システムに合わせて自動的に行ってもよい。これにより、様々な通信システムに合わせて任意のプリアンブルを適宜選択して通信を行うことができる。
【0113】
上記実施形態では、CAZAC系列を作成した後にプリアンブルモデルを作成して、作成したプリアンブルモデルにCAZAC系列を割り当てることでプリアンブルを生成する例を示したが、必ずしもこれに限定されない。プリアンブルモデルを作成する順序は任意であり、CAZAC系列を作成する前であってもよい。
【0114】
本発明の実施形態にかかるプリアンブル生成機能を実現するためのプリアンブル装置100は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプリアンブル生成プログラム103を格納した媒体(CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行するプリアンブル生成装置100を構成することができる。
【0115】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0116】
また、搬送波にプリアンブル生成プログラム103を重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、当該プログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0117】
10 通信装置
100 プリアンブル生成装置
101 記憶部
102 制御部
103 プリアンブル生成プログラム
104 受信部
105 ロング・ショート判別部
106 ロングプリアンブル生成部
107 ショートプリアンブル生成部
108 PAPR算出部
109 プリアンブル決定部
110 送信部
120 入力部
130 IFFTユニット
150 通信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交周波数分割多重伝送方式における受信装置の同期に用いられ、通信の際にデータの始まりに付加されるプリアンブルを生成するプリアンブル生成装置であって、
生成が要求されるプリアンブルの長さを示すプリアンブル長識別情報、プリアンブルを構成する複数の要素のうち、ガード区間を構成する要素の位置、および、該プリアンブルの略中心を示し、かつデータ通信に用いられることのない要素の位置を特定する位置特定情報を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信したプリアンブル長識別情報に基づいて、生成すべきプリアンブルを構成する複数の要素を、予め定められたシーケンスに従って生成するプリアンブル要素生成手段と、
前記受信手段で受信した位置特定情報に基づいて、生成すべきプリアンブル中の位置を示す位置情報とその位置に対応する要素をプリアンブル中のデータ通信に用いられる要素とするか否かを示す要素決定情報を含むプリアンブルモデルを作成するプリアンブルモデル作成手段と、
前記プリアンブルモデル作成手段で作成したプリアンブルモデルに含まれる要素決定情報のうち、プリアンブル中のデータ通信に用いられる要素であることを示す要素決定情報に対応する位置に前記プリアンブル要素生成手段で生成した要素を当てはめて複数のプリアンブルを生成するプリアンブル生成手段と、
前記プリアンブル生成手段で生成された複数のプリアンブルそれぞれに対応するPAPRを算出するPAPR算出手段と、
前記PAPR算出手段で算出された各プリアンブルのPAPRを比較して最小のPAPRに対応するプリアンブルを通信の際に使用するプリアンブルとして決定するプリアンブル決定手段と、
を備えることを特徴とするプリアンブル生成装置。
【請求項2】
前記受信手段は、ユーザの入力操作により入力される通信データを更に受信し、
前記プリアンブル生成装置は、前記プリアンブル決定手段で決定されたプリアンブルを前記受信手段で受信した通信データの始まりに付加して、受信した信号を時間領域の信号に変換するIFFTユニットへ送信する送信手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプリアンブル生成装置。
【請求項3】
前記プリアンブル決定手段で決定されたプリアンブルを通信機の記憶装置へ格納するプリアンブル格納手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプリアンブル生成装置。
【請求項4】
前記予め定められたシーケンスがFrank−Zadoffシーケンスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリアンブル生成装置。
【請求項5】
直交周波数分割多重伝送方式における受信装置の同期に用いられ、通信の際にデータの始まりに付加されるプリアンブルを生成するプリアンブル生成方法であって、
生成が要求されるプリアンブルの長さを示すプリアンブル長識別情報、プリアンブルを構成する複数の要素のうち、ガード区間を構成する要素の位置、および、該プリアンブルの略中心を示し、かつデータ通信に用いられることのない要素の位置を特定する位置特定情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップで受信したプリアンブル長識別情報に基づいて、生成すべきプリアンブルを構成する複数の要素を、予め定められたシーケンスに従って生成するプリアンブル要素生成ステップと、
前記受信ステップで受信した位置特定情報に基づいて、生成すべきプリアンブル中の位置を示す位置情報とその位置に対応する要素をプリアンブル中のデータ通信に用いられる要素とするか否かを示す要素決定情報を含むプリアンブルモデルを作成するプリアンブルモデル作成ステップと、
前記プリアンブルモデル作成ステップで作成したプリアンブルモデルに含まれる要素決定情報のうち、プリアンブル中のデータ通信に用いられる要素であることを示す要素決定情報に対応する位置に前記プリアンブル要素生成ステップで生成した要素を当てはめて複数のプリアンブルを生成するプリアンブル生成ステップと、
前記プリアンブル生成ステップで生成された複数のプリアンブルそれぞれに対応するPAPRを算出するPAPR算出ステップと、
前記PAPR算出ステップで算出された各プリアンブルのPAPRを比較して最小のPAPRに対応するプリアンブルを通信の際に使用するプリアンブルとして決定するプリアンブル決定ステップと、
を備えることを特徴とするプリアンブル生成方法。
【請求項6】
直交周波数分割多重伝送方式における受信装置の同期に用いられ、通信の際にデータの始まりに付加されるプリアンブルを生成するコンピュータを、
生成が要求されるプリアンブルの長さを示すプリアンブル長識別情報、プリアンブルを構成する複数の要素のうち、ガード区間を構成する要素の位置、および、該プリアンブルの略中心を示し、かつデータ通信に用いられることのない要素の位置を特定する位置特定情報を受信する受信手段、
前記受信手段で受信したプリアンブル長識別情報に基づいて、生成すべきプリアンブルを構成する複数の要素を、予め定められたシーケンスに従って生成するプリアンブル要素生成手段、
前記受信手段で受信した位置特定情報に基づいて、生成すべきプリアンブル中の位置を示す位置情報とその位置に対応する要素をプリアンブル中のデータ通信に用いられる要素とするか否かを示す要素決定情報を含むプリアンブルモデルを作成するプリアンブルモデル作成手段、
前記プリアンブルモデル作成手段で作成したプリアンブルモデルに含まれる要素決定情報のうち、プリアンブル中のデータ通信に用いられる要素であることを示す要素決定情報に対応する位置に前記プリアンブル要素生成手段で生成した要素を当てはめて複数のプリアンブルを生成するプリアンブル生成手段、
前記プリアンブル生成手段で生成された複数のプリアンブルそれぞれに対応するPAPRを算出するPAPR算出手段、
前記PAPR算出手段で算出された各プリアンブルのPAPRを比較して最小のPAPRに対応するプリアンブルを通信の際に使用するプリアンブルとして決定するプリアンブル決定手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−124816(P2012−124816A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275631(P2010−275631)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000100746)アイコム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】