説明

プリンタ

【課題】文字や図形などの視認情報とデジタルデータとを一体に記録する。
【解決手段】印字用紙13にRFIDタグ14を設ける。一方、プリンタ機能およびファクシミリ機能を有する複写機に原稿用のリーダライタおよび印字用紙用のリーダライタを設け、パソコンなどの外部機器から送信されてきた文字データやグラフィックデータなどに基づいて印字用紙に視認情報を印字すると共に、デジタルデータとして記録しておくべきデータはRFIDタグ14に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字や図形などの記録に併せてデジタルデータを記録できるプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、文字や図形など、人が目で見て認識できる情報(以下、視認情報)とコンピュータが扱うデジタル情報とを一体にして取り扱いたいという要求がある。例えば、ソフトウエアを頒布する場合、マニュアルがなければソフトウエアの取り扱いが困難である。このような場合、文字や図形などを印刷できると共に、デジタルデータを記録できる媒体があれば、ソフトウエアとそのマニュアルとを一体化できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在では、文字や図形などの視認情報とデジタル情報とを一体にできる媒体はなく、上記の要求に対応することはできない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、文字や図形などの記録に併せてデジタルデータを記録できる媒体に文字や図形を印刷すると共にデジタルデータを記録できるプリンタ置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1記載のプリンタによれば、デジタルデータを記録可能なRFIDタグが付属されたRFIDタグ付き印字用紙を使用し、その印字用紙に文字や図形などの視覚情報を印字できると共に、デジタル情報を書き込むことができる。
【0005】
請求項2記載のプリンタによれば、RFIDタグ付き印字用紙がトレーに収容されていない場合、RFIDタグに記録するデータについては、通常の印字用紙に二次元コード化して印字するので、RFIDタグ付き印字用紙がなくなったような場合に便利である。
【0006】
請求項3記載のプリンタによれば、印字操作する人のID情報がRFIDタグ付き印字用紙のRFIDタグに書き込まれるので、不正な印字を抑制できる。
請求項4記載のプリンタによれば、印字操作する人のID情報を印字許可情報と照合して印字操作の資格を有する人か否かを判断するので、資格のない人によって印字されてしまうおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明をプリンタおよびファクシミリ機能付きの複写機に適用した一実施例を図面に基づいて説明する。
図2には、複写機の全体構成が概略的に示されている。同図において、複写機本体1の上部には、蓋2が開閉可能に設けられている。この蓋2には、自動原稿送り装置(図示せず)が装備され、蓋2の原稿置き台3に置かれた原稿は、原稿自動送り装置によって自動的に蓋2内の原稿送り通路4(便宜上、図2に破線の矢印で示す)に送り込まれて原稿排出台5へと排出される。そして、蓋2内には、原稿読取手段としてのスキャナ6が設けられており、上記の原稿送り通路4を通る原稿に記録された文字や図形などの視認情報を光学的に読み取る。
【0008】
なお、複写機本体1内には、蓋2のスキャナ6とは別のスキャナ(図示せず)が設けられている。そして、蓋2を開いて複写機本体1の上面のガラス面に原稿を置くと、その原稿に記録された文字や図形などが複写機本体1内のスキャナによって読み取られるようになっている。
【0009】
さて、複写機本体1内には、印字用紙を収容する複数個のトレー7が出し入れ可能に設けられている。なお、複写機本体1には、各トレー7内に用紙があるか否かを検出する用紙センサー(図示せず)が設けられている。これらトレー7に収容された印字用紙は、自動給紙装置8によって自動的に印字用紙送り通路9(便宜上、図2に実線の矢印で示す)に送り込まれて印字用紙排出トレー10に排出されるようになっている。そして、印字用紙送り通路9中に、印字手段として例えばレーザ静電式転写方式のプリント部11が配置されている。このレーザ静電式転写方式のプリント部11は、レーザ光を印字情報に応じてオンオフさせながら感光ドラム12上に走査して潜像を形成し、その後、感光ドラム12の露光部にトナーを付着させて実像を形成し、その実像を印字用紙に転写して焼き付けるという周知の方法で印字用紙に印字するものである。
【0010】
上記複数個のトレー7のうち、所定の1個のトレーには、図1に示すRFIDタグ付き印字用紙13が収納されている。この印字用紙13には、データを読み書き可能で、そのデータを電波によって送受信するRFIDタグ14が設けられている。一方、蓋2の原稿送り通路4の近くには、読取手段としての第1のリーダライタ15が設けられ、原稿排出台5には、書込手段としての第2のリーダライタ16が設けられている。また、複写機本体1の印字用紙送り通路9の近くには、感光ドラム12よりもトレー7側に位置して書込手段としての第3のリーダライタ17が設けられている。
【0011】
ここで、RFIDタグ12および第1〜第3のリーダライタ15〜17の電気的構成を説明する。まず、RFIDタグ14は、図3に示すように、電波信号を送受信するためのアンテナ用コイル18と、共振コンデンサ19と、変復調回路20と、制御手段としてのCPU21と、整流・平滑回路22と、メモリ部を構成するROM23および情報を読み書き可能な記憶素子、例えば消去可能な不揮発性メモリとしてのEEPROM24とから構成されている。
【0012】
アンテナ用コイル18は、共振コンデンサ19と並列に接続されて共振回路を構成し、リーダライタ15〜17から所定の高周波数の電力用電波信号が送信されてくると、これを受信して整流・平滑回路22に供給する。整流・平滑回路22は、動作用電源回路を構成するもので、共振回路から送信されてきた電力用電波信号を整流し、平滑化して一定電圧の直流電力(動作用電力)にしてCPU21などに供給する。
【0013】
リーダライタ15〜17から送信されてくる信号は、電力用電波信号に重畳して送信されるようになっており、その信号は、変復調回路20により復調されてCPU21に与えられる。CPU21は、ROM23に記憶された動作プログラムに従って動作するもので、変復調回路20から入力される信号に応じた処理を実行し、受信したデータをEEPROM24に書き込んだり、EEPROM24からデータを読み出して変復調回路20により変調し、アンテナ用コイル18から電波信号として送信したりする。
【0014】
なお、以上のようなRFIDタグ14において、アンテナ用コイル18はフィルムに印刷手段によって設けられ、変復調開路20、CPU21、整流・平滑回路22、ROM23、EEPROM24は小チップにして上記フィルムに実装され、そして該フィルムは印字用紙13の中に埋め込まれている。
【0015】
一方、リーダライタ15〜17は、図4に示すように、送信アンテナ用コイル25を備えた送信部26および受信アンテナ用コイル27を備えた受信部28からなり、それら送信部26および受信部28は複写機全体を制御する制御手段としての制御回路29に接続されている。そして、IDタグ14と通信する場合、まず、制御回路29は、キャリア信号を送信部26で変調して電力用電波信号として送信アンテナ用コイル25から送信し、その後、送信すべきデータ信号を電力用電波信号に重畳するように送信部26で変調して送信アンテナ用コイル25から送信する。IDタグ14から送信された電波信号については、これを受信アンテナ用コイル27で受信し、受信部28で復調してデータとして弁別するようになっている。
【0016】
図5は複写機全体の電気的構成の概略を示す。同図のように、制御回路29には、上記第1〜第3のリーダライタ15〜17の他、前記スキャナ6、前記プリント部11、符号化/復号化部30、データ通信制御部31、ファクシミリ送信部と受信部を兼用するファクシミリ通信制御部32、記憶装置33、操作部34、液晶表示部35などが接続されている。
【0017】
また、制御回路29は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータシステムにより構成され、その記憶手段としてのROMには、各種の制御アルゴリズムやデータを二次元コード、例えばQRコードに変換するアルゴリズムなどを記憶している。
【0018】
符号化/復号化部30は、スキャナ6が読み込んだ画像情報を所定の符号化方式に従って符号化してファクシミリ信号とすると共に、受信したファクシミリ信号を復号化する。データ通信制御部31は、外部機器との間での通信を制御する。
【0019】
ファクシミリ通信制御部32は、通信回線の制御を行う網制御部36を介して電話回線などから構成される通信網37に接続され、相手ファクシミリ装置との間でファクシミリ信号を交換し、ファクシミリ通信を実行する。このファクシミリ通信制御部32は、モデム38を有し、相手ファクシミリ装置へ送る送信信号を変調し、相手ファクシミリからの受信信号を復調する。記憶装置33は、画像データなどの各種のデータを記憶する。
【0020】
次に、上記構成の作用を、場合に別けて説明する。
(1)プリント
まず、データ通信制御部31に外部機器、例えば図5に示すパソコン39を接続し、このパソコン39で作成した文書や図形などを複写機でプリントする場合を図6のフローチャートをも参照して説明する。
【0021】
データ通信制御部31がプリント開始信号を受信すると、制御回路29は、まずパソコン39から送信されてくるデータを受信し(ステップA1)、その受信データ中にRFIDタグに書き込むデータが含まれているか否かを判断する(ステップA2)。RFIDタグに書き込むデータが含まれていない場合(ステップA2で「NO」)には、制御回路29は、自動給紙装置8を制御してトレー7のうち、RFIDタグ14のない通常の印字用紙が収納されているトレーを選択し、このトレーから通常の印字用紙を印字用紙送り通路9に送り出すようにする(ステップA6)。トレーから送り出された印字用紙は、印字用紙送り通路9中を送られて行く過程で、プリント部11により文字や図形などが印字(プリント)される。そして、その印字用紙は印字用紙送り通路9から排出トレー10に排出され、以上によりプリントルーチンはエンドとなる。
【0022】
ところで、パソコン39から送信されてきたデータ中にRFIDタグに書き込むデータが含まれている場合がある。例えば、ソフトウエアとそのマニュアルとは一体化されていた方が使い易いので、RFIDタグ付き印字用紙13を用い、ソフトウエアをRFIDタグ14にデジタルデータとして書き込み、マニュアルを印字用紙13にプリントすれば便利である。この場合には、パソコン39でソフトウエアとマニュアルを作成し、そしてソフトウエアを構成するデータをRFIDタグ14に書き込むデータとして、マニュアルを構成する文字データやグラフィックスデータと共に複写機に送信する。このとき、ソフトウエアを複製する権限を有する者を限定したい場合、複製できる人の範囲を特定するデータを許可情報(限定情報)としてRFIDタグ14に書き込んでおく。
【0023】
さて、上記のソフトウエアとマニュアルを構成するデータがパソコン39から送信されてくると、そのデータ中にRFIDタグ14に書き込むべきデータが含まれているので、制御回路29は、RFIDタグ付き印字用紙13が収納されているトレーを選択し、このトレーからRFIDタグ付き印字用紙13を印字用紙送り通路9に送り出すようにする(以上、ステップA2で「YES」、ステップA3)。そして、制御回路29は、印字用紙送り通路9の第3のリーダライタ17を制御して、RFIDタグ14にパソコン39から送信されてきたソフトウエアのデジタルデータを書き込む(ステップA4)。その後、制御回路29は、プリント部11を制御し、パソコン39から送信されてきた文字データやグラフィックスデータにより、RFIDタグ付き印字用紙13に文字や図形などを印字し(ステップA5)、エンドとなる。
【0024】
(2)複写
複写機で複写する場合、操作部34を操作して複写モードを選択し、原稿置き台3に原稿を置いてスタート操作を行う。すると、制御回路29は、図7及び図8の複写ルーチンに入り、図示しない自動原稿送り装置を起動して原稿を原稿送り通路4に送り込み、その原稿に記載された文字や図形などをスキャナ6によって読み取る(ステップB1)。次に、制御回路29は、原稿がRFIDタグ付きであるか否かを判断する。この判断は、原稿送り通路4の第1のリーダライタ15をセンサーとして行われる。すなわち、制御回路29は、原稿送り通路4の第1のリーダライタ15を制御し、その送信アンテナ25からマルチリード信号を発信する。なお、マルチリード信号とは、不特定のRFIDタグに対して発せられる読取信号である。
【0025】
RFIDタグは、マルチリード信号に対して応答信号を発信する。そこで、制御回路29は、第1のリーダライタ15がマルチリード信号を発信したにも拘らず、応答信号を受信しない場合、原稿にはRFIDタグが設けられていないと判断し(ステップB2で「NO」)、トレー7のうちから通常の印字用紙が収納されているトレーを選択し、自動給紙装置8を制御して当該トレーから通常の印字用紙を印字用紙送り通路9に送り出すようにする(ステップB3)。そして、制御回路29は、プリント部11を制御してRFIDタグ付き印字用紙13にスキャナ6で読み取った文字や図形などを印字し、エンドとなる。
【0026】
マルチリード信号の発信後、第1のリーダライタ15の受信部28が応答信号を受信した場合、制御回路29は、原稿送り通路4を通る原稿がRFIDタグ付き印字用紙であると判断し(ステップB2で「YES」)、第1のリーダライタ15を制御して原稿のRFIDタグからデータを読み取る(ステップB5)。
【0027】
次いで、制御回路29は、原稿のRFIDタグから読み取ったデータ中に許可情報(複写許可情報)があるか否かを判断する(ステップB6)。許可情報が含まれていなかった場合には、複写をする者を限定しないのであるから、制御回路29は、ステップB6で「NO」と判断してステップB10に移行し、トレー7のうちからRFIDタグ付き印字用紙13が収納されているトレーを選択する。
【0028】
一方、原稿のRFIDタグから読み取ったデータ中に許可情報が含まれていた場合、制御回路29は、液晶表示器35に「ID番号入力」の表示を出力する(ステップB7)。この表示を見て複写操作を行う者がID情報として自分のID番号を入力手段としての操作部34から入力すると(ステップB8で「YES」)、制御回路29は、入力されたID番号を記憶すると共に、そのID番号が許可情報によって複写を許可された者の中に入っているか否かを判断し、許可者でなかった場合(ステップB9で「NO」)、そこで複写ルーチンを中止し、エンドとなる。
【0029】
複写の操作を行う者が複写を許可された者であった場合(ステップB9で「YES」)、制御回路29は、次にトレー7のうちからRFIDタグ付き印字用紙13が収納されているトレーを選択する(ステップB10)。
【0030】
以上のようにしてRFIDタグ付き印字用紙13が収納されたトレーを選択した後、制御回路29は、用紙センサーの出力により、そのトレー内にRFIDタグ付き印字用紙13があるか否かを判断し(ステップB11)、トレー内にRFIDタグ付き印字用紙13があった場合、図示しない給紙装置を制御して当該トレーからRFIDタグ付き印字用紙13を印字用紙送り通路9に送り出す(ステップB11で「YES」、ステップB12)。
【0031】
次に、制御回路29は、複写の操作を行う者のID番号を記憶しているか否かを判断し(ステップB13)、ID番号を記憶していた場合には、第3のリーダライタ17を制御して、複写用紙であるRFIDタグ付き印字用紙13のRFIDタグ14に、原稿のRFIDタグから読み取ったデータと上記ID番号とを書き込む(ステップB13で「YES」、ステップB14)。その後、制御回路29は、プリント部11を制御してRFIDタグ付き印字用紙13に原稿から読み取った文字や図形などを印字し(複写:ステップB15)、次いで、第2のリーダライタ16を制御して原稿のRFIDタグ14に操作者のID番号を書き込み(ステップB16)、エンドとなる。
【0032】
また、ID番号を記憶していなかった場合には、制御回路29は、第3のリーダライタ17を制御して、RFIDタグ付き印字用紙13のRFIDタグ14に原稿のRFIDタグから読み取ったデータを書き込む(ステップB13で「NO」、ステップB17)。次いで、制御回路29は、プリント部11を制御してRFIDタグ付き印字用紙13に原稿から読み取った文字や図形などを印字し(ステップB18)、エンドとなる。
【0033】
ところで、トレーのRFIDタグ付き印字用紙13を使い尽くしてしまい、トレーに印字用紙13がない場合がある。この場合には、制御回路29は、別のトレーを選択して自動給紙装置8により通常の印字用紙を印字用紙送り通路9に送り出す(ステップB11で「NO」、ステップB19)。次に、制御回路29は、複写の操作を行う者のID番号を記憶しているか否かを判断し(ステップB20)、ID番号を記憶していた場合には、プリント部11を制御して印字用紙に原稿から読み取った文字や図形などを所定の率で縮小して印字する(ステップB20で「YES」、ステップB21)。そして、制御回路29は、プリント部11を制御して、文字や図形などを縮小して印字することにより印字用紙に生じた空白部分に、RFIDタグから読み取ったデータと上記ID番号をQRコード化して印字用紙に印字する(ステップB22)。その後、制御回路29は、前述したと同様にして、原稿のRFIDタグ14に操作者のID番号を書き込み(ステップB16)、エンドとなる。
【0034】
ID番号を記憶していない場合には、制御回路29は、プリント部11を制御して、原稿から読み取った文字や図形などを印字用紙に縮小して印字し(ステップB20で「NO」、ステップB23)、次いで、RFIDタグから読み取ったデータと上記ID番号をQRコード化して印字用紙に印字し(ステップB24)、エンドとなる。
【0035】
(3)ファクシミリ送信
ファクシミリ送信を行う場合には、操作者は、複写機をファクシミリモードに設定し、相手先のファクシミリ装置40(図5参照)のファクシミリ番号を入力すると共に、原稿用紙を原稿置き台3にセットし、スタート操作をする。すると、制御回路29は、図9のファクシミリ送信ルーチンに入り、自動原稿送り装置により原稿を原稿送り通路4に送ってその原稿の文字や図形などをスキャナ6によって読み取る(ステップC1)。次に、制御回路29は、原稿送り通路4の第1のリーダライタ15を制御してその送信アンテナ25からマルチリード信号を発信し、原稿にRFIDタグが付いているか否かを判断する(ステップC2)。原稿にRFIDタグが設けられていない場合、制御回路29は、原稿の文字や図形などをファクシミリ信号に変換して相手先のファクシミリ装置40に送信し(ステップC2で「NO」、ステップC3)、エンドとなる。
【0036】
原稿にRFIDタグが設けられている場合、制御回路29は、原稿のRFIDタグからデータを読み取り(ステップC2で「YES」、ステップC4)、次いで、RFIDタグ14から読み取ったデータの中に許可情報(送信許可情報)があるか否かを判断する(ステップC5)。許可情報が含まれていなかった場合には、送信操作をする者の資格を限定しないのであるから、制御回路29は、その後、直ちに文字や図形などのファクシミリ信号を送信する(ステップC5で「NO」、ステップC9)。
【0037】
許可情報が含まれている場合、制御回路29は、液晶表示器35に「ID番号入力」の表示を出力する(ステップC5で「YES」、ステップC6)。この表示を見て操作者が自分のID番号を操作部34から入力すると(ステップC7で「YES」)、制御回路29は、次に、入力されたID番号を記憶すると共に、そのID番号が許可情報によってファクシミリ送信を許可された者の中に入っているか否かを判断し(ステップC8)、許可者でなかった場合、ファクシミリ送信ルーチンを中止し(ステップC8で「NO」)、エンドとなる。
【0038】
ID番号を入力した者がファクシミリ送信を許可された者であった場合、制御回路29は、文字や図形などのファクシミリ信号を送信する(ステップC8で「YES」、ステップC9)。
文字や図形などのファクシミリ信号を送信すると、制御回路29は、次に送信操作した者のID番号を記憶しているか否かを判断し(ステップC10)、ID番号を記憶していなかった場合、原稿のRFIDタグから読み取ったデータを送信し(ステップC10で「NO」、ステップC13)、エンドとなる。また、ID番号を記憶している場合には、制御回路29は、原稿のRFIDタグから読み取ったデータおよび送信操作者のID番号を送信し((ステップC10で「YES」、ステップC11)、その後、第2のリーダライタ15を制御して、原稿のRFIDタグに送信操作者のID番号を書き込み(ステップC12)、エンドとなる。
【0039】
(4)ファクシミリ受信
網制御部36に呼び出し信号が入ると、制御回路29は、図10のファクシミリ受信ルーチンを実行し、データを受信する(ステップD1)。次に、制御回路29は、受信データ中にRFIDタグへの書き込みデータが存在するか否かを判断する(ステップD2)。RFIDタグへの書き込みデータが存在しない場合、制御回路29は、通常の印字用紙が収納されているトレーを選択し(ステップD2で「NO」、ステップD3)、給紙装置8を制御して当該トレーから通常の印字用紙を印字用紙送り通路9に送り出すようにする。そして、制御回路29は、プリント部11を制御して印字用紙に原稿の文字や図形などを再生(印字)し(ステップD4)、エンドとなる。
【0040】
受信データ中にRFIDタグへの書き込みデータが存在する場合、制御回路29は、RFIDタグ付き印字用紙13が収納されているトレーを選択し(ステップD2で「YES」、ステップD5)、次にトレー内にRFIDタグ付き印字用紙13があるか否かを判断する(ステップD6)、トレー内にRFIDタグ付き印字用紙13があった場合(ステップD6で「YES」)、給紙装置8を制御して当該トレーからRFIDタグ付き印字用紙13を印字用紙送り通路9に送り出す(ステップD7)。
【0041】
そして、制御回路29は、第3のリーダライタ17を制御してRFIDタグ付き印字用紙13のRFIDタグ14に、原稿のRFIDタグから読み取られたデータおよび送信操作者のID番号が存在する場合には当該ID番号を書き込み(ステップD8)、次いで印字用紙13に原稿の文字や図形などを再生し(ステップD4)、エンドとなる。
【0042】
トレー内にRFIDタグ付き印字用紙13がなかった場合、制御回路29は、通常の印字用紙を印字用紙送り通路9に送り出す(ステップD6で「NO」、ステップD9)。そして、制御回路29は、プリント部11を制御して印字用紙に原稿の文字や図形などを所定の率で縮小して再生し(ステップD10)、次いで、原稿のRFIDタグ14から読み取られたデータおよび送信操作者のID番号が存在する場合には当該ID番号をQRコードに変換し、文字や図形などを縮小して印字することによって生じた印字用紙の空白部にそのQRコードを印字し(ステップD11)、エンドとなる。
【0043】
このように本実施例によれば、印字用紙13にRFIDタグ14を設けたので、その印字用紙13に、文字や図形などの視認情報とデジタル情報とを記録することができ、例えば、ソフトウエアとそのマニュアルのように、一体に扱うことが好ましい情報を記録するような場合に便利である。
【0044】
また、RFIDタグ付き印字用紙13に記録された情報を複写したり、ファクシミリ送信する場合、RFIDタグ14に複製できる人の範囲を特定するデータを記録し、その複製を許可されない人が複写やファクシミリ送信の操作をしても、実際に複写やファクシミリ送信することができないようにしたので、機密保持の必要がある情報をIDタグ14に記録するような場合、その機密保持を効果的に行うことができる。
【0045】
しかも、複写やファクシミリ送信を実行すると、その操作者のID番号が原稿のRFIDタグに書き込まれるので、不正な複製を防止する効果があり、機密保持にとってより効果的となる。
【0046】
また、本実施例では、RFIDタグ付き印字用紙13がトレーに収容されていない場合、RFIDタグ14に書き込むべき情報をQRコード化して印字するようにしたので、RFIDタグ付き印字用紙13がなくなったような場合に便利である。
【0047】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような変更或いは拡張が可能である。
複写及びファクシミリ送信する場合には、常に操作者にID番号の入力を要求し、そのID番号を原稿のRFIDタグに書き込むようにしても良い。
操作者のID番号は原稿のRFIDタグだけに書き込むようにしても良い。
原稿のRFIDタグからデータを読み取るリーダライタと原稿のRFIDタグに操作者のID番号を書き込むリーダライタとを第1のリーダライタ15で兼用しても良い。この場合、原稿は原稿送り通路4の途中で停止させ、操作者のID番号を書き込んだ後、原稿排出台5に送るように構成する。
本発明はプリンタ、複写機、ファクシミリ装置の単機能機に適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施例を示すRFIDタグ付き印字用紙の正面図
【図2】複写機の概略構成図
【図3】RFIDタグの電気的構成を示すブロック図
【図4】リーダライタの電気的構成を示すブロック図
【図5】複写機の電気的構成を示すブロック図
【図6】プリンタモードでの制御内容を示すフローチャート
【図7】複写モードでの制御内容を示すフローチャートその1
【図8】複写モードでの制御内容を示すフローチャートその2
【図9】ファクシミリ送信モードでの制御内容を示すフローチャート
【図10】ファクシミリ受信モードでの制御内容を示すフローチャート
【符号の説明】
【0049】
図中、3は原稿置き台、4は原稿送り通路、5は原稿排出台、6はスキャナ、7はトレー、9は印字用紙送り通路、11はプリンタ部、13はRFIDタグ付き印字用紙、14はRFIDタグ、15は第1のリーダライタ(読取手段)、16は第2のリーダライタ(書込手段)、17は第3のリーダライタ(書込手段)、29は制御回路である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられたデータに基づいて文字や図形などを印字用紙に印字するプリンタにおいて、
データの読み書きが可能でそのデータを電波によって送受信するRFIDタグにデータを書き込む書込手段と、
印字用紙を供給するための複数のトレーと、
前記複数のトレーのうち、前記RFIDタグを付属してなるRFIDタグ付き印字用紙を収容する所定のトレー内に印字用紙があることを検出する用紙センサーとを備え、
与えられたデータ中に前記RFIDタグに書き込むデータが含まれていたとき、前記所定のトレー内に前記RFIDタグ付き印字用紙があることを前記用紙センサーが検出した場合は、前記RFIDタグ付き印字用紙の供給を受けて当該印字用紙に文字や図形などを印字すると共に、当該印字用紙のRFIDタグに前記書込手段によってデータを書き込むことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記所定のトレー内に前記RFIDタグ付き印字用紙がないことを前記用紙センサーが検出した場合には、前記通常の印字用紙の供給を受けて、前記RFIDタグに書き込むべきデータについては、これを二次元コード化して当該供給された印字用紙に印字することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
印字する人のID情報を入力する入力手段と、前記RFIDタグ付き印字用紙のRFIDタグにデータを書き込む書込手段とを備え、
前記入力手段から入力された印字する人のID情報を、印字する前記RFIDタグ付き印字用紙のRFIDタグに前記書込手段によって書き込むことを特徴とする請求項1または2記載のプリンタ。
【請求項4】
印字操作する人のID情報を入力する入力手段を備え、
前記与えられたデータに印字許可情報が存在する場合、当該印字許可情報と前記入力手段から入力されたID情報とを比較し、印字操作する人が印字を許可された人であるとき、印字を実行するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のプリンタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−306112(P2006−306112A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198244(P2006−198244)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【分割の表示】特願2001−144698(P2001−144698)の分割
【原出願日】平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】