説明

プリント及びカット装置

【課題】メディアに絵図又は/及び文字をプリントしてそのメディアをカットする作業を短縮可能なプリント及びカット装置を提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ100と、該プリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされて送り出されて来るメディア10を送り込んで、該メディアをカットするカッティングプロッタ200とを、両プリンタとプロッタとの間を搬送されるメディア10を弛み10aを持たせて通過させる通路300を介して、併置する。そして、プリンタ100によるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業と、プロッタ200によるメディア10のカット作業との間に遅速が生じても、両プリンタとプロッタとの間を搬送されるメディア10の弛み10aの量を大小に変化させて、両プリンタとプロッタとの間を搬送されるメディア10に不具合が生ずるのを防ぐ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状に長いメディアに絵図又は/及び文字をインクジェットプリンタによりプリントして、その絵図又は/及び文字がプリントされたメディアをカッティングプロッタにより待ち時間少なく連続して所望のカット線に沿ってカットする、プリント及びカット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示したような、ほぼ蒲鉾状をした横長のプラテン20上方をプラテン20表面とほぼ平行なX−Y方向(図の左右方向と表裏面方向)に相対的に移動させるインクジェットヘッド30に並ぶインク吐出口(図示せず)からインクを噴射させて、そのインクをプラテン20上に搭載されたシート等のメディア10表面にドット状に着弾させる、インクジェットプリンタが周知である。このプリンタによれば、そのメディア10表面に、複数のインクのドットの配列からなる絵図又は/及び文字をプリントできる。
図4に示したプリンタにおいては、そのインクジェットヘッド30を、一定の移動停止時間をあけて、プラテン20上方を、繰り返しY方向(図の表裏面方向)に往復移動させている。他方、メディア10は、プラテン20上を、正方向のみのX方向(図の左方向)に所定距離づつ順送り移動させている。そして、そのインクジェットヘッド30を、メディア10上方をX−Y方向に相対的に移動させている。
【0003】
また、図5に示したような、同じくほぼ蒲鉾状をした横長のプラテン20上方をプラテン20表面とほぼ平行なX−Y方向(図の左右方向と表裏面方向)に相対的に移動させるヘッド40にカッター42が装着されてなる、カッティングプロッタが周知である。このカッティングプロッタによれば、そのヘッド40に装着されたカッター42先端をプラテン20上に搭載されたメディア10に押接させた状態で、そのヘッド40をプラテン20上方をX−Y方向に相対的に移動させることにより、メディア10をカッター42により所望のカット線に沿ってカットできる。
この図5に示したカッティングプロッタにおいては、そのヘッド40を、プラテン20上方を、Y方向に繰り返し往復移動させている。他方、メディア10は、プラテン上を、X方向に正逆に往復移動させている。そして、カッター42が装着されたヘッド40を、メディア10上方をX−Y方向に相対的に移動させている。
【0004】
これらのプリンタ及びカッティングプロッタを用いて、絵図又は/及び文字をメディア10にプリントして、その絵図又は/及び文字がプリントされたメディア10を所望のカット線に沿ってカットする場合には、従来は専ら、図4に示したインクジェットプリンタにより、先ず、そのメディア10に絵図又は/及び文字をプリントしている。
続いて、そのインクジェットプリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされて、そのプリンタから送り出されて来る帯状に長いメディア10を、プリンタの巻き取り手段50に、ロール状に巻き取っている。
その後、そのロール状に巻き取られたメディア10を、図5に示したカッティングプロッタの支持手段60に巻き戻し可能な状態に支持し直している。
次いで、そのロール状に巻き取られて支持手段60に支持されたメディア10を順に巻き戻して、そのメディア10をカッティングプロッタのプラテン20上に送り込んでいる。そして、そのプロッタに送り込まれたメディア10を、そのメディア10にプリントされた絵図又は/及び文字の輪郭線等の所望のカット線に沿ってカッター42によりカットしている。
【特許文献1】特開2003−145783号公報
【特許文献2】特開2004−050509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようにして、プリンタ及びカッティングプロッタをそれぞれ独立して別々に用いて、インクジェットプリンタにより絵図又は/及び文字をメディア10にプリントした後、その絵図又は/及び文字がプリントされたメディア10をカッティングプロッタにより所望のカット線に沿ってカットした場合には、その作業をし始めてから仕上げるまでの時間が、そのメディア10に絵図又は/及び文字をプリンタによりプリントするのに要するスループット時間(絵図又は/及び文字をプリントし始めてから、その絵図又は/及び文字をプリントし終わるまでに掛る時間)と、その絵図又は/及び文字をプリントし終えたメディア10をカッティングプロッタにより所望のカット線に沿ってカットするのに要するスループット時間(所望のカット線に沿ってカットし始めてから、そのカット線をカットし終わるまでに掛る時間)との両方を合わせた時間以上掛ってしまった。また、そのプリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされて巻き取り手段50にロール状に巻き取られたメディア10を、カッティングプロッタの支持手段60に支持し直す必要があって、その分、多大な手数と時間を要した。
【0006】
このような課題を解消する方法として、インクジェットプリンタとカッティングプロッタとを横に並べる等して併置し、それらのプリンタとプロッタとのプラテン20上を帯状に長いメディア10をX方向に連続的に移動させる方法が、考えられる。そして、インクジェットプリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされたメディア10を、プロッタに連続して送り込んでカットする方法が考えられる。
しかしながら、上記のように、インクジェットプリンタでは、メディア10をプラテン20上を正方向のみのX方向に順送り移動させている。それに対して、プロッタでは、メディア10をプラテン20上を正逆のX方向に往復移動させながら、そのメディア10をカッター42によりカットしている。
従って、プリンタとプロッタとの間では、それらのプラテン20上をメディア10をそのまま連続してX方向に搬送することは、不可能である。
加えて、メディア10に絵図又は/及び文字をプリンタによりプリントするのに要するスループット時間と、その絵図又は/及び文字がプリントされたメディア10をプロッタにより所望のカット線に沿ってカットするのに要するスループット時間とは、一般に、異なっている。
従って、その点からも、上記のように、プリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされたメディア10を、そのままプロッタに連続して送り込んでカットすることは、不可能な場合が殆どである。即ち、そのようにした場合には、プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア10部分に皺が生じて、そのメディア10部分が折り重なった状態でプロッタに送り込まれたり、逆に、プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア10部分が強く引っ張られて伸びて破れたり等してしまう。そして、そのディア10を所望のカット線に沿って的確にカットできなかったり、プリンタ側でメディア10が引っ張られてジッターが発生し、そのメディア10にプリントされる絵図又は/及び文字の画質を劣化させる原因になったりする。
【0007】
そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、このような課題を解消する方法として、プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア10部分に弛みを持たせて、その弛み量を調整することにより、プリンタによるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業のスループット時間と、プロッタによるメディア10のカット作業のスループット時間とを短縮する方法を開発した。
即ち、そのようにすれば、例えば、プリンタによるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業に比べて、プロッタによるメディア10のカット作業が遅くなっても、そのプリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア10部分の弛み量が大きくなるだけで、そのメディア10部分に皺が生じなくなることに、想到した。また逆に、プリンタによるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業が、プロッタによるメディア10のカット作業に比べて遅くなっても、そのプリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア10部分の弛み量が小さくなるだけで、そのメディア10部分が強く引っ張られて破れ、不適格なカットや、絵図又は/及び文字の画質劣化等がなくなることに、想到した。
【0008】
また、このような課題を解消する他の方法として、プリンタによるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業速度を遅速に調整することにより、プリンタによるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業時間と、プロッタによるメディア10のカット作業の全体作業のスループット時間を短縮する方法を、開発した。
具体的に述べれば、インクジェットプリンタにおいては、前記のように、インクジェットヘッド30を、一定の移動停止時間をあけて、プラテン20上方を、繰り返しY方向に往復移動させている。従って、インクジェットプリンタにおいては、そのインクジェットヘッド30のY方向への一定の移動停止時間を長短に調整すれば、プリンタによるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業時間を、長短に自在に調整できる。そして、そのようにすれば、例えば、プリンタによるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業に比べて、プロッタによるメディア10のカット作業が遅くなっても、そのプリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア10部分に大きな弛みが生じて皺が寄らなくなることに、想到した。また逆に、プリンタによるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業が、プロッタによるメディア10のカット作業に比べて遅くなっても、そのプリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア10部分が強く引っ張られて破れ、不適格なカットや、絵図又は/及び文字の画質劣化等が発生しなくなることに、想到した。
そして、このような発想に基づいて、プリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされたメディア10を、そのままプロッタに連続的に送り込んで、そのメディア10をプロッタにより連続してカットするための、プリント及びカット装置を開発した。
【0009】
即ち、本発明は、プリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされたメディアをプロッタに連続的に送り込んで、そのメディアをプロッタにより連続してカットする装置であって、メディアに絵図又は/及び文字をプリントしてそのメディアを所望のカット線に沿ってカットする作業を大幅に簡易化したりその作業時間を大幅に短縮化したり可能な、プリント及びカット装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明のプリント及びカット装置は、インクジェットプリンタと、該プリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされて、そのプリンタから送り出されて来る前記メディアを連続的に送り込んで、該メディアを所望のカット線に沿ってカットするカッティングプロッタとが、両プリンタとプロッタとの間を連続して搬送される前記メディア部分を該メディア部分に下方等にほぼU字状、W字状等の弛みを持たせて通過させる通路を介して、併置されてなることを特徴としている。
インクジェットプリンタとカッティングプロッタとは、左右に並べて併置されたもの、上下に並べて併置されたもののいずれでも良い。
【0011】
このような構成のプリント及びカット装置においては、プリンタによるメディアの絵図又は/及び文字のプリント作業に比べて、プロッタによるメディアのカット作業が遅くなっても、両プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア部分の弛み量を大きくすることにより、そのメディア部分に皺が発生するのを、防ぐことができる。また逆に、プリンタによるメディアの絵図又は/及び文字のプリント作業が、プロッタによるメディアのカット作業に比べて遅くなっても、両プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア部分の弛み量を小さく調整することにより、そのメディア部分が強く引っ張られて破れ、不適格なカットや、絵図又は/及び文字の画質劣化等が発生するのを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明のプリント及びカット装置においては、インクジェットプリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされて、該プリンタから送り出されて来るメディアのプリント速度と、該メディアを連続的に送り込んで、そのメディアを所望のカット線に沿って前記カッティングプロッタによりカットするカッティング速度との比率を、大小に調整することにより、インクジェットプリンタとカッティングプロッタとの間の前記通路を下方等にほぼU字状等の弛みを持たせて通過させるメディア部分の弛み量を所望範囲内に保持し続ける保持手段が備えられた構造とすることを好適としている。
【0013】
このような構成のプリント及びカット装置にあっては、例えば、プリンタによるメディアの絵図又は/及び文字のプリント作業に比べて、プロッタによるメディアのカット作業が遅くなっても、両プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア部分に大きな弛みが生ずるのを、保持手段により防ぐことができる。そして、その大きな弛みが生じたメディア部分に大きな荷重が発生して、そのメディア部分に連なるプロッタ内やプリンタ内のメディア部分に大きなテンションが加わり、そのメディア部分がプロッタ内やプリンタ内でスリップ等するのを、防ぐことができる。また逆に、プリンタによるメディアの絵図又は/及び文字のプリント作業が、プロッタによるメディアのカット作業に比べて遅くなって、両プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア部分の弛みがなくなり、そのメディア部分がプリンタとプロッタとの間で強く引っ張られて破れ、不適格なカットや、絵図又は/及び文字の画質劣化等が発生するのを防ぐことができる。
【0014】
本発明のプリント及びカット装置においては、前記インクジェットプリンタが、そのインクジェットヘッドを、一定の移動停止時間をあけて、プラテン上方をY方向に繰り返し往復移動させたり、そのプラテン上をメディアをX方向に順送り移動させたりすることにより、インクジェットヘッドをメディア上方をX−Y方向に相対的に移動させる構造をしており、前記保持手段が、前記インクジェットヘッドのY方向への移動停止時間を長短に調整することにより、前記インクジェットプリンタから絵図又は/及び文字がプリントされて送り出されて来るメディアのプリント速度を大小に調整する構造をしていることを好適としている。
前記保持手段は、光学式レベルセンサが用いられた構造とすることを好適としている。
【0015】
このような構成のプリント及びカット装置にあっては、プリンタのインクジェットヘッドのY方向への一定の移動停止時間を長短に調整することにより、そのプリンタによるメディアの絵図又は/及び文字のプリント作業時間を、長短に調整できる。そして、例えば、プリンタによるメディアの絵図又は/及び文字のプリント作業に比べて、プロッタによるメディアのカット作業が遅くなっても、両プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア部分に大きな弛みが発生して、そのメディア部分に大きな荷重が加わり、そのメディア部分に連なるプリンタ内やプロッタ内のメディア部分がスリップ等するのを、防ぐことができる。また逆に、プリンタによる絵図又は/及び文字のプリント作業が、プロッタによるメディアのカット作業に比べて遅くなっても、両プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア部分の弛みがなくなって、そのメディア部分が強く引っ張られて破れ、不適格なカットや、絵図又は/及び文字の画質劣化等が発生するを防ぐことができる。
また、保持手段に光学式レベルセンサを用いることにより、その光学式レベルセンサを用いて、プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディア部分の弛み量を的確かつ容易に把握できる。
【0016】
本発明のプリント及びカット装置においては、前記インクジェットプリンタのインクジェットヘッドから噴射されてメディアに着弾する絵図又は/及び文字プリント用のインクを、そのインク着弾地点又は/及びそのインク着弾地点の前後でメディアを介して加熱する加熱手段が備えられた構造とすることを好適としている。
【0017】
このような構成のプリント及びカット装置においては、そのメディアに着弾する絵図又は/及び文字プリント用のインクをメディアを介して間接的に加熱して、そのインクの粘性を低下させることができる。そして、そのインクのメディアに対しての濡れ性を向上させて、そのインクのドット径を安定化させたり、そのインクを用いてメディアにプリントされる絵図又は/及び文字の色濃度、色調、色鮮度等を色むらのない状態にほぼ均一化させたりできる。さらに、そのメディアにインクこすれのない鮮明な絵図又は/及び文字をプリント可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明のプリント及びカット装置によれば、メディアに絵図又は/及び文字をプリントしてそのメディアを所望のカット線に沿ってカットする作業を待ち時間少なく連続して行うことができる。そして、そのプリント及びカット作業を大幅に簡易化したり、そのプリント及びカット作業時間を大幅に短縮化したり可能となる。
その際には、そのプリンタとプラテンとの間を連続搬送されるメディア部分に皺が発生して折り重なったり、逆に、そのプリンタとプラテンとの間を連続搬送されるメディア部分が強く引っ張られて破れ、不適格なカットや、絵図又は/及び文字の画質劣化等が発生したりするのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明のプリント及びカット装置の好適な実施の形態を示し、図1はその概略構成図である。以下に、このプリント及びカット装置を説明する。
【0020】
このプリント及びカット装置は、インクジェットプリンタ100と、該プリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされて、そのプリンタ100から送り出されて来る帯状に長いメディア10を連続的に送り込んで、該メディアを所望のカット線に沿ってカットするカッティングプロッタ200とが、両プリンタとプロッタとの間を連続して搬送されるメディア10を下方にほぼU字状の弛み10aを持たせて通過させる所定幅の縦長の通路300を介して、共通の架台400上に、左右に並べて併置されている。
なお、インクジェットプリンタ100とカッティングプロッタ200とは、それぞれ分離可能に連結された別々の架台400上に、左右に並べて併置することも、可能である。そして、その別々の架台400上に搭載されたインクジェットプリンタ100と、カッティングプロッタ200とを、それぞれ別個に独立して使用できる構造とすることも、可能である。
また、インクジェットプリンタ100とカッティングプロッタ200とは、図2に示したように、共通の架台400上に、上下に並べて併置することも、可能である。そして、インクジェットプリンタ100とカッティングプロッタ200とを併置するための床占有面積の幅を狭めることも、可能である。その際の、インクジェットプリンタ100とカッティングプロッタ200との間に設ける、両プリンタとプロッタとの間を連続して搬送されるメディア10を下方等にほぼU字状等の弛み10aを持たせて通過させる通路300は、例えば、図2に示したように、両プリンタとプロッタとのプラテン20前方の空間に設けると、良い。
【0021】
図1に示したプリント及びカット装置は、以上のように構成されている。
次に、このプリント及びカット装置の使用例及びその作用を説明する。
先ず、ロール状に巻かれた帯状に長いメディア10を、プリンタ100のプラテン20の前方空間に設置された巻き戻し手段70に巻き戻し可能に支持しておく。それと共に、その巻き戻し手段70に支持されたメディア10の先部を、図1に示したように、プリンタ100のプラテン20上と、プロッタ200のプラテン20上とに亙って連続して順に搭載した状態としておく。プロッタ200のプラテン20後方に伸びるメディア10の先端は、プロッタ200のプラテン20後方の空間に設置された巻き取り手段80に巻き掛けて、その巻き取り手段80にメディア10をロール状に巻き取ることができる状態にしておく。プリンタ100とプロッタ200との間に介在する通路300には、両プリンタとプロッタとの間に位置するメディア10を下方等にほぼU字状等の弛み10aを持たせて垂下させた状態としておく。
次いで、巻き戻し手段70に支持されたロール状に巻かれたメディア10を、順に巻き戻して、プリンタ100のプラテン20上に順に送り込む。そして、そのプラテン20上に送り込んだメディア10に、インクジェットヘッド30のインク吐出口から噴射させてメディア10表面にドット状に着弾させるインクにより、複数のインクのドットの配列からなる絵図又は/及び文字を、X方向に所定幅づつ順にプリントする。そして、その絵図又は/及び文字が所定幅づつ順にプリントされたメディア10を、プリンタ100のプラテン20後方の通路300に順に送り出す。
プリンタ100により絵図又は/及び文字を所定幅づつ順にプリントして、通路300に順に送り出したメディア10は、図1に示したように、プリンタ100とプロッタ200との間の通路300を、例えば下方に向けてほぼU字状の弛み10aを持たせた状態で、プリンタ100側からプロッタ200側に移動させる。
次いで、その通路300をほぼU字状の弛みを持たせてプロッタ200側に移動させたメディア10を、プロッタ200のプラテン20上に順に送り込む。そして、そのメディア10を、X方向に正逆に往復移動させながら、その絵図又は/及び文字がプリントされたメディア10を、ヘッド40に装着されたカッター42により、所望のカット線に沿ってカットする。
すると、このプリント及びカット装置においては、プリンタ100によるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業に比べて、プロッタ200によるメディア10のカット作業が遅くなっても、両プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディアの弛み10aの量を大きくすることにより、そのメディア10に皺が発生するのを、防ぐことができる。また逆に、プリンタ100によるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業が、プロッタ200によるメディア10のカット作業に比べて遅くなっても、両プリンタとプロッタとの間を連続搬送されるメディアの弛み10aの量を小さく調整することにより、そのメディア10が強く引っ張られて破れる等するのを、防ぐことができる。
その結果、このプリント及びカット装置を用いれば、そのプリンタ100により絵図又は/及び文字が所定幅分づつ順にプリントされて、プロッタ200に順に送り出されて来るメディア10を、皺や破れ等を発生させたり、スリップさせたりすることなく、時間をおかずに、プロッタ200により所望のカット線に沿って何ら支障なく連続して円滑にカットすることが可能となる。
【0022】
このプリント及びカット装置においては、同じ図1に示したように、インクジェットプリンタ100により絵図又は/及び文字がプリントされて、該プリンタのプラテン20上から順に送り出されて来るメディア10のプリント速度と、該メディアをカッティングプロッタのプラテン20上に連続的に送り込んで、そのメディア10を所望のカット線に沿ってカッティングプロッタ200のヘッド40に装着されたカッター42によりカットするカッティング速度との比率を、大小に調整することにより、インクジェットプリンタ100とカッティングプロッタ200との間に介在する通路300を、下方にほぼU字状の弛みを持たせて通過させるメディアの弛み10aの量を所望範囲内に保持し続ける保持手段500が備えられた構造とすると良い。
そして、例えば、プリンタ100によるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業に比べて、プロッタ200によるメディア10のカット作業が遅くなっても、両プリンタ100とプロッタ200との間に介在する通路300を、下方に向けてほぼU字状に垂下させた状態で、連続搬送されるメディアの弛み10aが大きく生ずるのを、保持手段500により防ぐと良い。そして、その大きな弛み10aが生じたメディア10による大きな荷重が発生するのを防ぐと、良い。そして、そのメディアの弛み10aに連なるプロッタ200内やプリンタ100内のメディア10に大きなテンションが加わり、そのメディア10がプロッタ200内やプリンタ100内でX方向等にスリップするのを、防ぐと良い。また逆に、プリンタ100によるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業が、プロッタ200によるメディア10のカット作業に比べて遅くなって、両プリンタ100とプロッタ200との間を連続搬送されるメディアの弛み10aの弛みがなくなり、そのメディアの弛み10aがプリンタ100とプロッタ200との間で強く引っ張られて破れ、不適格なカットや、絵図又は/及び文字の画質劣化等が発生するのを防ぐと良い。
【0023】
また、このプリント及びカット装置においては、図1に示したように、インクジェットプリンタ100が、そのインクジェットヘッド30を、一定の移動停止時間をあけて、プラテン20上方をY方向に繰り返し往復移動させたり、そのプラテン20上をメディア10をX方向に順送り移動させたりすることにより、インクジェットヘッド30をメディア10上方をX−Y方向に相対的に移動させる構造とすると良い。そして、上記保持手段500が、インクジェットプリンタ100のインクジェットヘッド30のY方向への一定の移動停止時間を長短に調整することにより、インクジェットプリンタ100のプラテン20上から絵図又は/及び文字がプリントされてプラテン20後方に順に送り出されて来るメディア10のプリント速度を大小に調整する構造とすると良い。
そして、保持手段500を用いて、プリンタのインクジェットヘッド30のY方向への一定の移動停止時間を長短に調整することにより、プリンタ100によるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業時間を、長短に調整できる構造とすると、良い。そして、例えば、プリンタ100によるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業に比べて、プロッタ200によるメディア10のカット作業が遅くなっても、両プリンタ100とプロッタ200との間を連続搬送されるメディアの弛み10aに大きな弛みが発生するのを、防ぐと良い。そして、そのメディアの弛み10aに大きな荷重が加わって、そのメディア10に連なるプリンタ100内やプロッタ200内のメディア10がX方向等にスリップするのを、防ぐと良い。また逆に、プリンタ100によるメディア10の絵図又は/及び文字のプリント作業が、プロッタ200によるメディア10のカット作業に比べて遅くなっても、両プリンタ100とプロッタ200との間を連続搬送されるメディアの弛み10aがなくなり、そのメディア10が強く引っ張られて破れる等するのを、防ぐと良い。
保持手段500は、図1に示したような、発光素子と受光素子との組み合わせからなる光学式レベルセンサ510及び電子回路等を用いて構成すると良い。
そして、その光学式レベルセンサ510を用いて、プリンタ100とプロッタ200との間を連続搬送されるメディアの弛み10aの量を的確かつ容易に把握できるようにすると良い。
【0024】
図3は、以上の説明に関してのブロック図であり、光学式レベルセンサ510からのセンサ信号に基づく制御例を表している。
センサ信号は一定時間ごとにパルス信号で送られ、センサ状態検出がなされる。センサ状態検出では、信号状態からメディア10を監視し、メディア10が無い状態と判断すると、プリンタ動作継続・プロッタ動作停止の状態になる。このプリンタ動作継続・プロッタ動作停止の動作時間2が設定された積算時間より長ければプリンタ動作継続・プロッタ動作停止が継続される。逆に、短ければカッティング速度<プリント速度でプリンタとプロッタが動作する。
センサ状態検出がメディア10が有る状態と判断すると、プロッタ・プリンタ同時動作となる。この同時動作でも動作時間1が設定された積算時間より長ければプリンタ動作停止・プロッタ動作継続となる。逆に、動作時間1が設定された積算時間より短ければカッティング速度>プリント速度でプリンタとプロッタが動作する。
動作時間1、動作時間2は、カットする絵図又は/及び文字の大きさとプリント及びプロッタによる作業の品質に影響を及ぼさない範囲を考慮して、動作の継続する継続積算時間を任意に設定する。
メディア10が連なるプリンタ100やプロッタ200のこれらの動作を可能にするには、そのプリンタ100とプロッタ200との間に通信手段を設ける必要がある。
【0025】
このプリント及びカット装置においては、図1に示したように、インクジェットプリンタ100のインクジェットヘッド30のインク吐出口から噴射されてメディア10にドット状に着弾する絵図又は/及び文字プリント用のインクを、そのインク着弾地点又は/及びそのインク着弾地点の前後でメディア10を介して加熱する加熱手段600が備えられた構造とすると良い。
そして、そのメディア10に着弾するインクを、加熱手段600により、メディア10を介して、間接的に加熱して、そのインクの粘性を低下させることができるようにすると良い。そして、そのインクのメディア10に対しての濡れ性を向上させて、そのインクのドット径を安定化させたり、そのインクを用いてメディア10にプリントされる絵図又は/及び文字の色濃度、色調、色鮮度等を色むらのない状態にほぼ均一化させたりできるようにすると良い。さらに、そのメディア10にインクこすれのない鮮明な絵図又は/及び文字をプリントできるようにすると良い。
加熱手段600は、例えば、図1に示したような、プリンタのプラテン20内側に備えられた電熱ヒータ等により、プラテン20及びそれに搭載されたメディア10を介して、メディア10に着弾するインクを間接的に加熱するもの等から構成すると良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のプリント及びカット装置は、インクジェットプリンタにより絵図又は/及び文字が所定幅分づつ順にプリントされて、そのプリンタ内から順に送り出されて来るメディアを、時間をおかずに、カッティングプロッタにより所望のカット線に沿って連続して円滑かつ迅速にカットするための装置に、広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のプリント及びカット装置の概略構成図である。
【図2】本発明のプリント及びカット装置の概略構成図である。
【図3】本発明のプリント及びカット装置の制御例のブロック図である。
【図4】インクジェットプリンタの概略構成図である。
【図5】カッティングプロッタの概略構成図である。
【符号の説明】
【0028】
10 メディア
20 プラテン
30 インクジェットヘッド
40 ヘッド
42 カッター
50 巻き取り手段
60 支持手段
70 巻き戻し手段
80 巻き取り手段
100 インクジェットプリンタ
200 カッティングプロッタ
300 通路
400 架台
500 保持手段
510 光学式レベルセンサ
600 加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に長いメディアに絵図又は/及び文字をプリントするインクジェットプリンタと、該プリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされて、そのプリンタから送り出されて来る前記メディアを連続的に送り込んで、該メディアを所望のカット線に沿ってカットするカッティングプロッタとが、両プリンタとプロッタとの間を連続して搬送される前記メディア部分を該メディア部分に弛みを持たせて通過させる通路を介して、併置されてなることを特徴とするプリント及びカット装置。
【請求項2】
前記インクジェットプリンタにより絵図又は/及び文字がプリントされて、該プリンタから送り出されて来るメディアのプリント速度と、該メディアを連続的に送り込んで、そのメディアを所望のカット線に沿って前記カッティングプロッタによりカットするカッティング速度との比率を調整することにより、インクジェットプリンタとカッティングプロッタとの間の前記通路に弛みを持たせて通過させるメディアの弛み量を所望範囲内に保持し続ける保持手段が備えられたことを特徴とする請求項1記載のプリント及びカット装置。
【請求項3】
前記インクジェットプリンタとカッティングプロッタとが、左右に並べて併置されてなることを特徴とする請求項1記載のプリント及びカット装置。
【請求項4】
前記インクジェットプリンタとカッティングプロッタとが、上下に並べて併置されてなることを特徴とする請求項1記載のプリント及びカット装置。
【請求項5】
前記インクジェットプリンタが、そのインクジェットヘッドを一定の移動停止時間をあけてプラテン上方をY方向に繰り返し往復移動させたり、そのプラテン上をメディアをX方向に順送り移動させたりすることにより、インクジェットヘッドをメディア上方をX−Y方向に相対的に移動させる構造をしており、前記保持手段が、前記インクジェットヘッドのY方向への移動停止時間を長短に調整することにより、前記インクジェットプリンタから絵図又は/及び文字がプリントされて送り出されて来るメディアのプリント速度を調整する構造をしていることを特徴とする請求項2記載のプリント及びカット装置。
【請求項6】
前記保持手段に、光学式レベルセンサが用いられたことを特徴とする請求項2記載のプリント及びカット装置。
【請求項7】
前記インクジェットプリンタのインクジェットヘッドから噴射されてメディアに着弾する絵図又は/及び文字プリント用のインクを、そのインク着弾地点又は/及びそのインク着弾地点の前後でメディアを介して加熱する加熱手段が備えられたことを特徴とする請求項1記載のプリント及びカット装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−281684(P2006−281684A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107105(P2005−107105)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000137823)株式会社ミマキエンジニアリング (437)
【Fターム(参考)】