説明

プリント装置

【課題】プリントを包装して出力するプリント装置において、1件を複数のプリントパックに分けて出力する際にも、照合等の作業を容易できるプリント装置を提供する。
【解決手段】1件を複数のプリントパックに分けて出力する際には、プリントパックに関する情報を記録したオーダプリントに、この件は複数のプリントパックに分かれている旨の情報を記録し、かつ、1件分のプリントパックを切断せずに接続した状態で出力することにより、前記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、写真プリント等のプリントを作成し、包装してプリントパックとするプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(PC)やPDA(Personal Digital Assistance)等の普及に伴い、デジタルカメラの普及率が拡大している。さらに、撮影機能を有する携帯電話も普及している。
デジタルカメラや携帯電話等で撮影された画像は、PC等に取り込まれて処理され、ホームページや年賀状等の各種の用途に使用されるのが通常である。しかしながら、これらで撮影した画像を高品位な(写真)プリントとして残したいという要望も多い。これに対応して、近年では、ラボ店等の専門の業者によって、デジタルカメラや携帯電話等で撮影された画像からのプリント作成が行われている。
【0003】
デジタルカメラ等で撮影した画像のプリント作成をプリント業者に注文する場合には、例えば、ラボ店等の店頭や各種商業施設内等に設置されるプリント注文受付機(以下、受付機とする)を用いて行われる。
【0004】
受付機は、通常、撮影した画像(画像データ)を記憶するメモリーカード、ICカード、CD−Rなどの記録媒体を装填し、あるいは、接続手段等を用いてデジタルカメラや携帯電話を接続すると、画像を読み取って、注文画面と共にディスプレイに表示する。
顧客は、タッチパネルとなっているディスプレイや所定の入力方法を用いて、プリント作成する画像、プリントサイズ、画像毎のプリント枚数などを入力する。注文が確定して、出力指示が出されると、プリントを注文された画像とプリントサイズや枚数などの注文情報とが対応付けされて、例えばラボ店などのサーバや画像処理装置に送られ、此処からデジタルのフォトプリンタに画像が供給されて、注文情報に応じたプリントが作成、出力される。
【0005】
また、近年では、インターネットなどの通信手段を利用して、写真注文ソフトウエアのインストールやラボ店のホームページの閲覧等によって、自宅のパーソナルコンピュータを受付機として作用させ、通信手段によって画像および注文情報をラボ店等に送って、プリント作成を注文する、いわゆるネット注文も行われている。
【0006】
従来の写真フィルムからのプリント作成では、ラボ店等の店頭でプリント作成注文を受け付けると、DP袋と呼ばれる専用の袋に顧客(プリント注文者)の氏名や連絡先(住所、電話番号等)などを記録して写真フィルム(パトローネやカートリッジ等)を収容し、プリント作成を行う際に、DP袋から写真フィルムを取り出して現像処理を行い、現像済のフィルムを用いて(仕上がり写真)プリントを作成して、プリントと現像済のフィルムとを対応するDP袋に入れて、顧客に返却している。
【0007】
これに対し、デジタルカメラ等で撮影した画像からのプリント作成では、写真フィルムが存在しない。そのため、出荷時の作業が簡単になり、プリントの作成から包装までの工程を自動化して、プリントを袋状の包材に収容して封止してなる、プリントパックとして顧客に提供することが可能となる。
例えば、特許文献1には、注文情報が記憶される注文情報記憶部と、(写真)プリントを作成するための画像データ記憶部と、画像データに基づいて感光材料を露光する画像露光部と、注文情報を画像データに変換して画像露光部に送って注文情報プリントを感光材料に露光させる注文情報制御部とを有し、かつ、プリント収納袋にプリントおよび注文情報プリントを収納するプリント受け入れ手段を有し、あるいはさらに、注文情報プリントおよび所定数のプリントを収容したプリント収納袋を閉塞する機構を有するデジタルのフォトプリンタ(写真処理機)が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−35938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1にも示されるように、このようなプリントパックは、所定の包材(袋体)に1件分のプリントを収容した後、この包材を封止(閉塞)することで作成される。
ここで、当然のことであるが、1つの包材に収容可能なプリントの枚数、すなわち、1つのプリントパックに収容可能なプリントの枚数には、限度がある。
【0010】
一方で、デジタルカメラが内蔵する記憶媒体や、デジタルカメラに装填される記憶媒体の容量は、近年、飛躍的に増大しており、数百枚を優に超える大量数の画像(写真)を1つの記憶媒体に記憶することが可能である。また、いわゆるネット注文であれば、記憶媒体よりも遥かに多い枚数のプリントを一度に注文することが可能である。
【0011】
一般的に、記憶媒体に記録された画像からのプリント注文の受付では、1つの記憶媒体から1度にプリントを注文された全画像を1件として取り扱う。また、ネット注文であれば、1回の注文操作でプリントを注文された全画像を1件として取り扱う。
しかしながら、前述のように、1つの記憶媒体には数百枚の画像が記憶可能であり、また、ネット注文では、1度に記憶媒体の容量を超える枚数のプリント注文が可能である。そのため、1件のプリント注文で、1つのプリントパックに収容できない枚数のプリントを注文される場合も、多々、考えられる。
1件でプリントパックに収容できない大量枚数のプリントを注文された場合には、1件のプリントを、複数のプリントパックに分けて収容する必要がある。
【0012】
このように、1件のプリント注文に対して、プリントパックが複数に別れてしまうと、、プリントパックの照合や、プリントを顧客(プリントの注文者)に提供する際における選択等の作業が煩雑で手間のかかるものとなり、作業効率の低下等を招く。
一方、このような問題を解決するために、プリントパックに収容可能な枚数に応じて1件のプリント注文枚数を制限し、この枚数を超える場合には、再度のプリント注文操作が必要なようにしてしまう方法も考えられる。しかしながら、この方法では、大量枚数のプリントを注文する際における顧客の手間が増大してしまい、逆に、プリントの注文を敬遠されてしまう可能性も有る。
【0013】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、画像データから写真プリント等のプリントを作成して、各件毎に包材に収容してプリントパックとするプリント作成装置において、1件当たりの注文枚数に制限を加えることなく、数百枚等の大量の注文も1件として処理することができ、かつ、大量注文によって1件のプリントが複数のプリントパックに分かれてしまった場合でも、プリント(プリントパック)の照合や選択等を容易に行なうとを可能にするプリント装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、本発明は、画像データに応じて記録媒体に画像を記録して、前記画像データを再生したプリントを作成する画像形成部と、前記画像形成部が作成したプリントをまとめて包材に袋詰めしてプリントパックとするパッカーとを有し、前記画像形成部は、各プリントパック毎に、その件の情報を示したオーダプリントを作成し、このオーダプリントの情報記録面が前記プリントパック内で表面となるように、前記パッカーにプリントおよびオーダプリントを供給すると共に、1件のプリントが複数のプリントパックに収容される場合には、前記オーダプリントに、この件のプリントが複数のプリントパックに別れている旨の情報を記録し、前記パッカーは、複数件分の包材が連続している包材シートにプリントを投入した後、封止および包材シートの切断を行なって1つのプリントパックとするものであり、かつ、1件のプリントが複数のプリントパックに収容される場合には、各プリントパック毎の封止のみを行なって、1件分の複数のプリントパックを接続している状態で出力することを特徴とするプリント装置を提供する。
【0015】
このような本発明のプリント装置において、前記パッカーは、前記1件分の複数のプリントパックを接続している状態で出力する際には、通常の切断と異なる条件で各プリントパック毎の切断処理を行なうことにより、各プリントパック間を不完全に切断した状態とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
このような本発明によれば、画像データに応じて写真プリント等のプリント(ハードコピー)を作成して、件毎に包材に収容してプリントパックとするプリント装置において、1件で数百枚等の大量のプリントを注文され、プリントを複数のプリントパックに分けて収容する必要がある場合でも、プリント(プリントパック)の照合等を容易に行なうことができる。
また、プリントの注文枚数によらず、1件のプリント注文として取り扱うことができるので、大量枚数の注文であっても、手間をかけずにプリント注文を受け付けることができ、煩雑かつ面倒な注文操作に起因するプリント注文の敬遠等も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明のプリント装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0018】
図1に、本発明のプリント装置を利用するプリントシステムの一例の概略図を示す。
図1に示すプリントシステム10は、デジタルカメラや携帯電話などで撮影された画像(画像データ)等を取得し、この画像に応じて変調した光ビームによって感光材料A(印画紙)を露光して潜像を形成し、露光済の感光材料Aに所定の現像処理を施して(仕上がり写真)プリントPとし、さらに、1件毎にパッキング(袋詰め包装)してプリントパックPaとするものである。
図示例において、プリントシステム10は、デジタルイメージコントローラ12(DIC12)と、プリンタ14とを有して構成される。また、プリンタ14は、露光部16と、プロセサ18と、パッカー20と、制御部22とを有して構成される。なお、特に説明はしないが、プリンタ14において、感光材料Aは、搬送ローラ対やガイド等の公知の搬送手段によって、各部位に搬送される。
【0019】
DIC12は、例えばコンピュータで構成されるものであり、インターネットやLAN(Local Area Network)等の公知の通信手段によって、ラボ店の店頭や商業施設等に設置される前述のプリント注文受付機(プリント注文受付端末)、顧客のパーソナルコンピュータ(これらが接続されるサーバ)、ラボ業者が有する画像データベースや画像サーバ等が接続されている。
【0020】
DIC12は、これら接続された装置から、プリント注文(プリント作成の注文)の1件毎に、プリント注文された画像(その画像データ)、および、プリントの注文情報を供給される。
あるいは、DIC12は、フィルムに撮影された画像を光電的に読み取るスキャナ等の画像読取装置や、画像読取装置が読み取った画像に所定の画像処理を施す画像処理装置などから、画像および注文情報を取得してもよい。あるいは、注文情報は、DIC12が有するキーボード等の入力手段で入力されてもよい。
【0021】
注文情報とは、プリントサイズやプリント枚数等のプリント注文の内容など、その件のプリントの注文に関する各種の情報である。
具体的には、プリント注文の注文番号(識別情報(注文ID))、各画像毎のプリント枚数、プリントサイズ、プリントの仕上げに関する情報(高品位(ハイクオリティー)仕上げ、通常仕上げなど)、プリントの面種(選択可能な場合)等のプリントの作成に必須の各種の情報に加え、プリント料金、プリントの注文日(プリント注文の受付日時)、納期(プリントの仕上がり予定日時)、顧客(プリント注文者)の情報(識別情報(顧客ID)、住所、氏名、年齢、電話番号など)等である。
【0022】
DIC12は、画像および注文情報を供給されたら、各画像に注文情報等に応じた必要な画像処理を施して、プリンタ14(露光部16)における画像記録に対応する画像(画像データ)とする。DIC12は、さらに、各件毎に、注文情報から、オーダプリントの画像(オーダプリントを作成するための画像データ)を生成する。
以下、便宜的に、プリント注文された画像を製品画像、製品画像のプリントを製品プリント、オーダプリントの画像をオーダプリント画像とする。
【0023】
オーダプリントとは、プリントパックPaの検索や照合のために、その件のプリント注文に関する各種の情報を示したプリントである。
オーダプリントに記載する情報には、特に限定はなく、その件のプリント注文に関する各種の情報が例示される。一例として、注文番号、注文日時、納期、プリント料金、プリント枚数、プリントサイズ、プリントの仕上げに関する情報、プリントの面種、氏名などの顧客に関する各種の情報、商品名、宣伝やラボ店などに関する各種の情報、これらの情報の1以上を示すバーコード等が例示される。
図2に、一例を示す。図2に示すオーダプリントには、注文番号(注文no.)、注文日時(注文日および注文時間)、納期(仕上がり予定時刻)、顧客名(注文者)および顧客ID、商品名、面種、仕上げに関する情報(画質)、プリント料金(金額)、および、プリントサイズが記載される。
【0024】
ここで、プリントパックPaに収容可能なプリント枚数には、限界がある。
図示例のプリントシステム10においては、1件のプリント枚数に制限を設けることはなく、1件の注文枚数がプリントパックPaに収容可能な最大枚数を超える場合には、1件のプリントを複数のプリントパックPaに分けて収容して、出力する。
【0025】
当然のことであるが、プリントパックPaの最大枚数は既知であり、DIC12にも、この最大枚数は設定されている。
DIC12は、1件のプリント枚数がプリントパックPaの最大枚数を超える場合には、その件のプリントPは複数のプリントパックPaに分けて収容するように情報等を設定すると共に、全てのプリントパックPaに対応して、オーダプリント画像を作成する。すなわち、オーダプリント画像は、各プリントパックPa毎に作成する。
【0026】
ここで、図示例においては、プリントパックPaが1つの件であっても、複数の件であっても、オーダプリントに、その件のプリントパックの数(包装数量)を記録する。従って、このプリントパックの数より、その件のプリントが複数のプリントパックに分かれていることを、容易に知ることができる。
このように、オーダプリントに、その件のプリントが複数のプリントパックPaに分かれている旨の情報を記録することにより、大量枚数の件でプリントパックPaが複数になってしまった場合でも、プリントパックPaの照合や検索を容易に行なうことが可能になり、1件が複数パックに分かれることに起因する、ラボ店などにおける作業効率の低減を防止できる。
【0027】
本発明において、各オーダプリントに記録する、その件のプリントが複数のプリントパックPaに分かれている旨を示す情報は、各件のプリントパックPaの総数に限定はされない。例えば、「1/3」、「2/3」、「3/3」のように、その件のプリントパックPaの総数と、その件の中におけるプリントパックPaの順番とを記載してもよい。図示例においては、複数のプリントパックPaとなった件は、包装数量と、総数および順番の両者が記載されているが、いずれか一方のみでもよい。
また、オーダプリントに記載する、この件が複数のプリントパックPaに分かれている旨を示す情報は、文字ではなくバーコードや各種の記号で示してもよく、あるいは、文字とバーコードの両者を記録してもよい。
さらに、プリントパックPaの数など、その件のプリントが複数のプリントパックPaに分かれている旨を示す情報は、プリントパックPaが複数に分かれている件のオーダプリントのみに記録するものであってもよい。
【0028】
DIC12は、各画像の画像処理を行い、また、オーダプリント画像を生成したら、各件毎に、注文情報と画像(製品画像およびオーダプリント画像)とを対応付けして、プリンタ14に送る。また、DIC12は、注文情報に対応付けして、その件のプリントパック数の情報もプリンタ14に送る。さらに、DIC12は、1つのプリントパックの画像に対応して、ソート情報を生成して、プリンタ14に送る。
なお、本発明において、プリントパックPaの数の情報は、全ての件に送るのには限定はされず、プリントパックPaが1つの件ではプリントパック数の情報を送らず、プリントパックPaが複数に分かれた件のみ、プリントパックPaの数の情報をプリンタ14に送ってもよい。
【0029】
ここで、画像は、プリントパックPaの中で、オーダプリントが表面となる順番となるように送る。後述するが、プリンタ14においては、プリントは画像面を上方にして積層されて、包材である包装用シートSに投入されるので、オーダプリントは、プリントパック内の最後の画像となるように、各件の画像をプリンタに供給する。
【0030】
前述のように、プリントシステム10のプリンタ14は、露光部16と、プロセサ18と、パッカー20と、制御部22とを有して構成される。
【0031】
制御部22は、プリンタ14の各部位の駆動や動作を制御するものである。
また、制御部22は、DIC12から注文情報および各件毎のプリントパック数の情報を受け、パッカー20等の各種の部位に、必要な情報を供給する。
【0032】
露光部16は、感光材料Aを作成するプリントに応じたサイズに切断して、切断済の感光材料Aにバックプリントを記録して、DIC12から送られた製品画像およびオーダプリント画像に応じて変調した光ビームLによって感光材料Aを露光して潜像を記録し、露光済の感光材料Aをプロセサ18(現像部38)に供給するものである。
【0033】
露光部16には、感光材料Aを巻回してなる感光材料ロール24を収容するマガジン26が所定位置に装填され、さらに、バックプリンタ28と、露光ユニット30と、2つの副走査搬送ローラ対32とを有して構成される。
図示例のプリンタ10は、マガジン26を2個装填可能となっている。感光材料Aは、マガジン26から引き出されて、カッタ34によってプリントサイズに応じて切断された後、バックプリンタ28によってバックプリントを記録され、副走査搬送ローラ対32に供給される。
【0034】
他方、露光ユニット30には、製品画像およびオーダプリント画像(その画像データ)が供給される。
露光ユニット30は、光源、光偏向器、fθレンズ、光路調整用のレンズ等を有し、記録画像に応じて変調した光ビームを、所定方向(主走査方向)に偏向して所定の露光位置に入射する、公知の光ビーム走査光学系である。
露光ユニット30は、製品画像もしくはオーダプリント画像に応じて変調した光ビームLを主走査方向に偏向して、所定の露光位置に入射する。一方、感光材料Aは、搬送方向に露光位置を挟んで配置される副走査搬送ローラ対32によって、前記露光位置に位置されつつ、主走査方向と直交する副走査方向に走査搬送される。従って、感光材料Aは、画像に応じて変調された光ビームLによって二次元的に走査露光され、全面に潜像を記録される。
【0035】
ここで、各感光材料Aの露光は、プリントパック内においてオーダプリントが最も上に来るように行なわれる。プリンタ14において、プリントPは、画像面を上にして積層されて、包装用シートSに投入される。従って、感光材料Aの露光は、1つのプリントパックPaの中で、全製品画像の露光を終了した後に、オーダプリント画像の露光を行なう順番となる。
また、前述のように、オーダプリント(オーダプリントとなる感光材料A)には、注文情報や注文日時などの各種の情報に加え、その件のプリントパック数(包装数量)が記録される。
【0036】
露光ユニット30および副走査搬送ローラ対32によって潜像を記録された感光材料Aは、次いで、プロセサ18に供給される。
【0037】
プロセサ18は、現像部38および乾燥部40を有して構成される。
露光部16で潜像を形成され、プロセサ18に供給された感光材料Aは、まず、現像部38において、現像槽42で現像されて潜像が顕像となり、漂白/定着槽44で漂白および定着が行われ、4つの水洗槽46で水洗されて、乾燥部40に搬送される。
現像済の感光材料Aは、次いで、乾燥部40においてヒータや温風等によって乾燥され、プリントP(製品プリントおよびオーダプリント)として、排出部48の出口ローラ対50からパッカー20(集積部56)に排出される。
なお、プリントパックに入らない大形のプリントPは、パッカー20には搬送せずに、排出部48から上方の大サイズプリント排出部52に排出する。なお、この搬送路の切り換えは、例えば、切り換えガイドを用いる方法等の公知の方法で行なえばよい。
【0038】
パッカー20は、注文情報に応じて、プリントPを集積して包材に包装してプリントパックPaとするもので、集積部56と、搬送部58と、投入部60と、包材である包装用シートSを供給するシート供給部62と、開口手段64と、シール/カット手段66と、製品収容部68とを有して構成される。
【0039】
図3に、集積部56、搬送部58、および、投入部60の概略図を示す。
なお、図3において、(A)は正面図(図1と同方向から見た図)であり、(B)は平面図である。
【0040】
集積部56は、出口ローラ対50から排出されたプリントPを集積すると共に、搬送方向と直交する方向(以下、幅方向とする)にプリントPを揃えて、下流の搬送部58に搬送するものである。
図示例において、集積部56は、コンベア72と、幅寄せガイド74(図3(A)では点線で示す)とを有する。
【0041】
コンベア72は、1対のローラ76と、このローラ76に張架されるエンドレスベルト78とからなる、公知のベルトコンベアで、プリントPを集積して下流の搬送部58に搬送する。ローラ76は、支持板76aに軸支されている(図3(A)では、構成を明瞭にするために省略。 他の支持板も同様)。図1より明らかなように、プリントPは、画像面を上にして、集積される。また、前述のように、包装用シートSに投入されるプリントの積層体においては、一番上に、オーダプリントが積層される。
コンベア72は、出口ローラ対50から排出されたプリントPがエンドレスベルト78上に排出され、集積されるように、天地方向には出口ローラ対50の下方で、かつ、プリントPの搬送方向には、上流側のローラ76が出口ローラ対50とほぼ同位置の若干下流となる位置に配置される。また、幅寄せガイド74による幅寄せを確実に行えるように、エンドレスベルト78の幅は、対応するプリントPの幅方向の最小サイズよりも狭くなっている。
【0042】
集積部56のコンベア72は、出口ローラ対50から排出されたプリントPが、所定位置よりも下流側に行ってしまうことを防止するために、エンドレスベルト78の表面に、プリントPの排出時に排出位置(集積位置)よりも下流に位置する、突起や壁部などの規制部材78aを設けるのが好ましい。
また、コンベア72によるプリントPの搬送をより確実するために、エンドレスベルト78の表面に、プリントPの排出時に出口ローラ対50によるプリントPの排出位置(プリントPの集積位置)よりも上流側に位置する、突起や壁部などの押圧部材78bを有するのも好ましい。
【0043】
幅寄せガイド74は、コンベア72を幅方向に挟むようにして両側に1枚ずつ、計2枚配置される板状のガイド部材である。
2枚の幅寄せガイド74は、モータ等を用いる公知の手段で、図3(B)に矢印aで示す方向に同期して往復動する。この往復動により、図3(B)中に点線で示すように、幅方向の両側から挟む様に、コンベア72上に排出/集積されたプリントPの幅方向の端部に当接して、出口ローラ対50から排出されたプリントPの幅方向の位置を規制(幅方向に移動)して、集積されたプリントPを幅方向に揃える(幅寄せする)。
【0044】
集積部56において、幅寄せガイド74の駆動タイミング(すなわちプリントPを揃えるタイミング)には特に限定はなく、積層されたプリントPを移動できる枚数に応じて、適宜設定した所定枚数のプリントPが排出、集積された後、次のプリントPが排出される前に、幅寄せガイド74を駆動して、プリントPを揃えればよい。
ここで、プリントPにかかる負担を考えると、幅寄せガイド74による挟持力は、小さい方が好ましい。特に、図示例のような写真プリントは、比較的、表面の摩擦係数が大きいので、あまり枚数を重ねると、幅寄せに大きな力が必要になる。また、少ない枚数毎に幅寄せを行う方が、確実かつ整然とプリントを揃えることができる。
【0045】
以上の点を考慮すると、集積部56では、5枚以下の適宜設定された枚数のプリントPが排出される毎に、幅寄せガイド74を駆動してプリントPを揃えるのが好ましく、特に2枚毎、中でも特に1枚のプリントが排出される毎に、幅寄せガイド74を駆動してプリントPを揃えるのが好ましい。
【0046】
搬送部58は、集積部56が集積し、幅方向に揃えたプリントPの積層体(以下、プリント積層体とする)を受け取り、下流の投入部60に搬送する部位であり、コンベア80と、カール潰しローラ82と、図示しないコンベア80の揺動手段とを有する。
【0047】
コンベア80は、エンドレスベルト84と、このエンドレスベルト84を幅方向の端部で張架する1対のローラ86とからなる、公知のベルトコンベアである。ローラ86は、支持板86aに軸支される。図示例において、搬送部58は、集積部56のコンベア72の下流側のローラ76の回転軸と、コンベア80の上流側のローラ86の回転軸とが幅方向に延在する直線状になるように、コンベア72を幅方向に挟んで2つのコンベア80を有する。これにより、集積部56と搬送部58とで搬送領域を重ねて、集積部56から搬送部58へのプリント積層体の搬送を確実にしている。なお、2つのコンベア80の支持板86aは、一体的な部材となっている。
また、集積部56から搬送部58にプリント積層体を搬送する際に、その搬送経路が直線状になるように、集積部56のコンベア72と、このコンベア80とが配置される。
【0048】
後述するが、コンベア80は、投入部60にプリント積層体を搬送する際には、上流側を持ち上げて、搬送方向を斜め下方にするように傾斜する(図3(A)点線)。
この際にプリント積層体が搬送方向に崩れるのを防止するために、コンベア80のエンドレスベルト84の表面には、プリントパック12におけるプリントPの最大収容枚数等に応じた高さを有する、壁部88が立設される。コンベア80は、この壁部88が、集積部56からプリント積層体を受け取る際にプリント積層体よりも下流側に位置し、かつ、搬入終了時にコンベア80の上面に位置するように、駆動を制御される。
また、集積部56のコンベア72と同様に、プリント積層体の搬送をより確実するために、エンドレスベルト84の表面に、プリント積層体が完全にコンベア80に載った時点で、プリント積層体よりも上流に位置する、突起や壁部などの押動部材84aを有するのが好ましい。
【0049】
乾燥直後のプリントPは、通常、画像面を凹にカールしている(樋状になっている)。また、前述のようにプリントPは、画像面を上にして排出部48から集積部56にプリントPを排出する。
カール潰しローラ82は、好ましい態様として設けられるものであり、プリント積層体を上方から押圧することにより、プリントPのカールを潰して矯正する。
【0050】
図示例において、カール潰しローラ82は、棒状のアーム90の一端に軸支されている。また、アーム90は、カール潰しローラ82の逆端で軸92に揺動可能に軸支されており、図示しない駆動源によってアーム90を揺動することにより、図中に矢印bに示すように、カール潰しローラ82を回動して上下動する。
集積部56からプリント積層体が搬入される前は、カール潰しローラ82は、上方に移動している。集積部56から搬送部58にプリント積層体が搬送されたら、カール潰しローラ82を下方に移動して、上方からプリント積層体を押圧して、カールを矯正する。
なお、カール潰しローラ82は、従動ローラであっても、後述する投入部60へのプリント積層体の搬送に同期して回転する駆動ローラであってもよい。
【0051】
搬送部58のコンベア80は、下流側のローラ86の回転軸を中心に揺動可能となっており、図示しない駆動源によって例えば上流側のローラ86を持ち上げることにより、図3(A)に点線で示すように、下流側を下方にして斜めになり、後述する投入部60のコンベア96と同角度(略同角度)となる。なお、このコンベア80の揺動に同期してカール潰しローラ82も移動し、カール潰しローラ82は、コンベア80が斜めになった状態でもプリント積層体を押圧している。また、後述するが、コンベア80と投入部60のコンベア96とは、ローラの回転軸が直線状となるように配置されるので、両者が同角度となった状態で、搬送経路が直線状になる。
【0052】
搬送部58においては、コンベア80を水平にした状態で集積部56からプリント積層体を受け取り、その後、上流側を持ち上げて投入部60のコンベア96と同角度とし、この状態で投入部60にプリント積層体を搬送する。これにより、搬送部58は、投入部60と(略)同角度の斜め下方への搬送で、直線状の搬送経路でプリント積層体を投入部60に搬送する。
このようにして、両者の搬送方向を直線状にすることにより、プリント積層体を搬送部58から投入部60に搬送する際に、プリント積層体が崩れる事を防止できる。
【0053】
投入部60は、搬送部58から受け取ったプリント積層体を斜め下方に搬送することにより、包装用シートSに投入するものである。
図示例において、投入部60は、コンベア96と、シャッタ98と、ガイド板100と、ガイド板100に軸支される2つのカール潰しローラ102とを有する。
【0054】
コンベア96は、1対のローラ104と、このローラ104に張架されるエンドレスベルト106と、エンドレズベルト106の上に立設される押動部材106aおよび壁部106bからなるベルトコンベアで、搬送方向を下方に向けて斜めに配置されている。
ローラ104は、先と同様の支持板104aに軸支されている。また、前述の集積部56および搬送部58と同様に、投入部60のコンベア96の上流側のローラ104の回転軸と、搬送部58のコンベア80の下流側のローラ86の回転軸とが、幅方向に延在する直線状となるように、2つのコンベア80に挟まれてコンベア96が配置される。これにより、搬送部58と投入部60(両者のコンベア)で搬送領域を重ね、確実な搬送を可能にしていると共に、搬送部58と投入部60におけるプリント積層体の搬送経路をより好適に直線状にすることを可能にしている。
図示例のプリンタ10においては、この斜め下方への搬送と重力落下とによって、後述するシャッタ98(扉130)によってガイドしつつ、プリント積層体を包装用シートSに投入する。
【0055】
図示例においては、コンベア96のエンドレスベルト106の表面には、好ましい態様として、直方体状(壁状)の押動部材106aが立設される。この押動部材106aは、コンベア96でプリント積層体を搬送して包装用シートSに投入する際に、搬送方向の上流側からプリント積層体を押動するものである。
このような押動部材106a(押動手段)を有することにより、投入部60におけるプリント積層体の搬送、および、包装用シートSへの投入を、より整然と、かつ、確実に行うことが可能になる。
【0056】
押動部材106aの高さには、特に限定はない。しかしながら、プリント積層体の全プリントPを確実に押動するためには、プリントパック12におけるプリントPの最大収容枚数等に応じて、プリント積層体の最大厚さよりも大きな高さを有するのが好ましい。なお、図示例の投入部60のように、プリントPのカールを押さえてプリント積層体の高さを規制するガイド板100のような、プリント積層体の高さ規制部材を有する場合には、押動部材106aの高さは、この規制部材よりも高くすればよい。
また、押動部材106aの形状にも、特に限定はなく、図示例のような直方体(壁状)以外にも、棒状(柱状)等の各種の形状が利用可能である。
【0057】
また、投入部60のコンベア96には、搬送されたプリント積層体が崩れるのを防止し、かつ、不要に落下するのを防止するために、コンベア96のエンドレスベルト106の表面に、壁部106bが立設される。なお、この壁部106bの高さは、前記押動部材106aと同様に決定すればよい。
【0058】
投入部60のコンベア96においては、搬送部58からプリント積層体を受け取る際に、押動部材106aが搬入の邪魔にならず、かつ、壁部106bがプリント積層体よりも下流側に位置し(好ましくはプリント積層体の先端面に当接し)、さらに、プリント積層体の搬入が終了した時点で、押動部材106aがプリント積層体の上流側に位置し、かつ、押動部材106aおよび壁部106bが共にコンベア96の上面に位置するように、押動部材106a等の位置を決定し、また、駆動を制御する。
好ましくは、搬送部58のコンベア80の押動部材84aがコンベア80の上面から下面に移動するのと交代に(あるいは若干遅れて)、押動部材106aがコンベア96の下面から上面に現れるように、押動部材106a等の位置を決定し、コンベア80およびコンベア96の駆動等を制御する。
【0059】
包装用シートSにプリント積層体を投入する際のコンベア96(投入部60)による搬送速度には、特に限定は無いが、コンベア96上におけるプリント積層体の自由落下速度以上とするのが好ましい。
これにより、包装用シートSへの投入時にプリント積層体が自由落下によって下方に崩れるのを、より確実に防止でき、整然と積層した状態で、より確実にプリント積層体を包装用シートSに投入することが可能になる。また、プリント積層体の上方のプリントがコンベア96の搬送速度についていけず、上流側に崩れるような状態となっても、前述の押動部材106aによって押動され、確実に搬送されるので、やはり、整然と積層した状態で、より確実にプリント積層体を包装用シートSに投入することができる。
【0060】
コンベア96の搬送速度の上限には、特に、限定は無い。
しかしながら、プリント積層体の搬送速度すなわち包装用シートS(包材)への投入速度が早すぎると、包装用シートSに強い勢いでプリント積層体が投入され、包装用シートSを損傷してしまう可能性や、包装用シートSの底等で跳ね返されて、一部のプリントが飛び出してしまう可能性も有る。
以上の点を考慮すると、コンベア96の搬送速度は、1〜2000mm/sec程度とするのが好ましい。
【0061】
また、コンベア96の角度(水平方向に対する角度)すなわち投入時におけるプリント積層体の包装用シートSへの入射角度(仰角)にも、特に限定はなく、斜め下方に向かってプリント積層体を投入するものであればよい。
しかしながら、コンベア96の角度が小さすぎると、包装用シートS面にプリント積層体が衝突して包装用シートSの姿勢の乱れが生じて投入が安定しない可能性が有る。
以上の点を考慮すると、プリント積層体を包装用シートSに投入するコンベア96の角度は、45〜90°が好ましく、特に50〜90°が好ましい。
【0062】
ガイド板100は、プリント積層体の最大枚数およびカールに応じた最大高さ分だけエンドレスベルトと離間して配置される、板状の部材である。
図示例においては、ガイド板100は、上流側(搬入部分)は搬送方向に向かって漸次下方に傾斜し、次いで、コンベア96の搬送面と平行となる形状を有する。なお、ガイド板100の幅方向の中央部には、押圧部材106aおよび壁部106bが通過するためにスリット状の開口が形成される。
【0063】
このガイド板100は、投入部60に搬送されたプリント積層体の上端に当接して高さを規制すると共に、カール潰しローラ102を軸支し、かつ、搬送部58から搬送されるプリント積層体を上流側のカール潰しローラ102の下方に案内する。なお、前述のように、プリントPは凹状にカールしているので、ガイド板100には、プリントPの幅方向の端部が当接する。従って、このガイド板100がプリントPの画像面等を損傷して、製品としての品質を低下させることは無い。
また、カール潰しローラ102は、先のカール潰しローラ82と同様に、プリント積層体を上方から押圧することにより、プリントのカールを矯正する。なお、カール潰しローラ102は、好ましい態様として設けられるものであり、プリントPの紙質等によってカールの少ない場合には、省略してもよい。
【0064】
シャッタ98は、主に、包装用シートSへのプリント積層体の投入時に、幅方向および落下方向にプリント積層体を案内する、ガイド部材として作用するものである。
図示例において、シャッタ98は、幅方向の端部を軸支されて、図3(B)に矢印cで示すように、中央から両側に向けて開く2枚の扉130で構成される、いわゆる観音開きによって開閉するシャッタである。
【0065】
扉130は、包装用シートSに投入されるプリント積層体を下方から支持(ガイド)する底部130aと、この底部130aに対して垂直に立設する側壁130bとからなる、開放状態で搬送方向から見た際に略L字状の断面を有する板状部材である。
扉130の基端(閉塞時の幅方向外端/開放時の搬送方向上流端)には、円柱状の支柱132が固定され、また、この支柱132は中心線を中心に回転可能に軸支される。なお、支柱132は、プリント積層体の搬送経路に対して幅方向の外側に配置される。
【0066】
シャッタ98は、通常の状態では、図3に実線で示すように、各扉130の側壁130bでプリント積層体の搬送路を閉塞した状態となっている。他方、包装用シートSへプリント積層体を投入する際には、図3に点線で示すように、支柱132は中心線を中心に両扉130を内側から外側に揺動して、観音開きでシャッタ98を開放する。
これにより、包装用シートSへプリント積層体を投入する際には、底部130aはプリント積層体を下方から支持する(すなわち、プリント積層体の不要な落下を防止して、投入方向にガイドする)ガイド部材として、側壁130bはプリント積層体の幅方向のガイド部材として、それぞれ作用する。
【0067】
パッカー20においては、包装用シートSの後述する切込みc(プリント積層体の投入口)を開口した状態でシャッタ98を開放すると、扉130の先端部が、この切込みcに挿入されるように、投入部60およびシート供給部62が構成される(シャッタの開放によって、扉130の先端部が包材に挿入されるように構成される)。
これにより、シャッタ98のガイドとしての機能を、より好適なものにしている。
【0068】
一方、包装用シートSは、図4に示すような、2枚の長尺なシートを重ね合わせて幅方向(長手方向と直交する方向)の端部で接着してなる、筒状の透明な長尺シートであって、一面には、1つのプリントパックPaに対応する間隔tで、長手方向と直交する方向に延在して切込みcが形成されている。
【0069】
シート供給部62において、包装用シートSはロール状に巻回されたシートロール110として、切込みcを有する面を投入部60に向けて装填され、ガイドローラ対112や搬送ローラ対114等によって、所定の経路を搬送される。
包装用シートSの搬送は、例えば、切込みcが投入部60(ストッパ72)の下端よりも、若干、下方に来た位置等、切込みcが投入部60からのプリント積層体の投入に対応する所定位置に来た時点で、停止する。
【0070】
開口手段64は、プリント積層体を包装用シートS(プリントパックPa)に投入するために、包装用シートSの切込みcを開放させるものである。
図示例において、開放手段64は、一例として、前記投入に対応する所定位置に切込みcが位置している状態において、切込みcの直下で、かつ、包装用シートSの幅方向の両端部近傍(例えば、図4に示す位置v)で、包装用シートSを構成する2枚の長尺シートを摘む様に挟持し、次いで、内側に移動することにより、切込みcを開放させる。
なお、切込みcの開放手段は、これに限定はされず、吸盤で切込みcの下を吸着して引っ張ることにより開放する手段、治具を用いて切込みcを開放する手段等、公知の方法が各種利用可能である。
【0071】
このようにして包装用シートSの切込みcを開放したら、好ましくは、ファン等による風を上方から切込みcに吹きつけ、切込みcの開き方を大きくし、かつ、包装用シートSを膨らませる。
この際においては、若干、包装用シートSに向かう向きで、ファン等による風を上方から切込みcに吹きつけることで、より好適に、切込みcの開き方を大きくし、かつ、包装用シートSを膨らませることができる。
【0072】
包装用シートSは、このようにして切込みcを開放し、かつ、後述するように下端部をシールされた状態で、下部を搬送ローラ対114によって案内され、かつ、このように開口手段64によって切込みcを開放された状態で、ガイドローラ対112から垂下した状態で待機している。
【0073】
一方、前述のように、プリントPは、排出部48を搬送されて出口ローラ対50によって集積部56(コンベア72上)に排出、集積される。また、集積部56では、1枚毎等の所定のタイミングで幅寄せガイド74で集積されたプリントPを挟持して、プリントPを幅方向に揃える。
パッカー20では、DIC12から供給されたソート情報やプリント枚数のカウント等によって、1つのプリントパックPaに収容するプリントP(製品プリントおよびオーダプリント)が集積部56に集積された事を知見すると、集積部56のコンベア72と搬送部58のコンベア80とを同期して駆動して、集積部56から搬送部58にプリント積層体を搬送する。
【0074】
搬送部58にプリント積層体が搬送されたら、カール潰しローラ82を下方に移動してプリント積層体を上方から押圧してカールを矯正し、次いで、上流側のローラ86を持ち上げることにより、図3(A)に点線で示すように、コンベア80を斜めにする。
【0075】
搬送部58のコンベア80が、投入部60のコンベア96と同角度になったら、観音開きによってシャッタ98を開放する。これにより、前述のように、扉130の先端が開口されている包装用シートSの切込みcに挿入される。また、観音開きすることにより、確実かつ円滑に扉130の先端を包装用シートSに挿入できるのは、前述のとおりである。
次いで、コンベア80とコンベア96とを同期して駆動し、プリント積層体を搬送部58から投入部60に搬送し、さらに投入部60でプリント積層体を斜め下方に搬送して、開放された切込みcから包装用シートSにプリント積層体を投入する。この際において、扉130は、先端が包装用シートSに挿入されており、かつ、扉130の底部130aは下方からプリント積層体をガイドし、側壁130bは幅方向にプリント積層体をガイドするので、プリント積層体を、確実かつ整然と包装用シートSに投入できる。
【0076】
1つのプリントパックPa分のプリントPを包装用シートSに収容したら、開口手段64が包装用シートSを解放し(あるいはさらにファンを停止して)、次いで、シートロール110やガイドローラ対112等を回転して、切込みcがシール/カット手段66に至る位置まで、包装用シートSを送り出す。
【0077】
シール/カット手段66は、例えば、ヒータによる加熱で包装用シートSを構成する2枚の長尺シートを融着(ヒートシール)して包装用シートSを閉塞し、かつ、加熱による溶断で包装用シートSを各プリントパックPa毎に切断するものである。
図示例において、シール/カット手段66のヒータは、ヒータの中心(包装用シートSの搬送方向の中心位置)に、幅方向に延在する微小な凸部を有するヒータである。
【0078】
前記包装用シートSの送り出しは、前記ヒータ中心の凸部が切込みcと一致する位置で停止する。次いで、シール/カット手段66の前記ヒータを包装用シートSに押圧して、切込みcの上部および下部で包装用シートSをシール(閉塞)し、かつ、ヒータ中央の凸部によって切込みcで包装用シートSを切断(溶断)する。
これにより、次にプリントPを収容する包装用シートSの下端(シートロール110に繋がる包装用シートSの下端)を閉塞し、かつ、1件のプリントPを収容する包装用シートSの上端を閉塞かつ切断して、1個のプリントパックPaを完成する。
プリントPを収容するプリントパックPcは、搬送ローラ対114および116によって下方に搬送され、ガイド118に案内されて、製品収容部68に収容される。
【0079】
ここで、前述のように、プリンタ10には、DIC12から、各件のプリントパックPaの数の情報が供給されている。
パッカー20では、プリントPが複数のプリントパックPaに分かれて収容される件では、1件の各プリントパックPaの間では、プリントパックPaの上端および下端の封止/閉塞のみを行い、プリントパックPaの切断を行なわずに、図2(B)に概念的に示すように、1件分の複数のプリントパックPaを接続した状態で出力する。
なお、包装用シートSの切断を行なわずに、上下端の封止のみを行なう方法としては、例えば、シール/カット手段66のヒータを、凸部とそれ以外の領域とを独立して加熱制御できるようにしておき、凸部の加熱を行なわずに、包装用シートSの封止のみを行なうようにすればよい。
【0080】
好ましくは、全く包装用シートSの切断を行なわないのではなく、凸部のみ温度を低くする、ヒータ(シール/カット手段66)による封止/切断時間を短くする、ヒータの押圧力を弱くする、ヒータの温度を低くする等、封止/切断条件を変更することにより、各プリントパックの封止は行い、かつ、各プリントパック間を不完全に切断した状態として、1件分の複数のプリントパックPaを接続した状態で、製品収容部68に出力する。
【0081】
このように、大量枚数の件で1件のプリントを複数のプリントパックPaに分けて出力する際に、1件分のプリントパックPaを切断せずに、接続した状態で出力することにより、1件分のプリントパックPaが離れてしまう事を防止することができ、プリント(プリントパック)の照合や検索を容易にし、さらには顧客にプリントパックを提供する際の手間を、大幅に低減することができる。
さらに、前述のように、本発明によるプリントパックには、その件のプリントパックPaの数など、その件が複数のプリントパックに分かれている旨の情報をオーダプリントに記載するので、プリントパックを切断しないこととの相乗効果によって、より照合や作業の効率を向上できる。
【0082】
本発明において、前述の各プリントパックPa間を不完全に切断した状態とするための封止/切断条件は、例えば、包材の材質等を考慮して、予め実験やシミュレーション等を行なって設定すればよい。
【0083】
以上、本発明のプリント装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【0084】
例えば、以上の例は、本発明のプリント装置を、感光材料(印画紙)を走査露光して潜像を形成し、所定の現像処理を行なってプリントを作成する写真プリンタに利用した例であるが、本発明はこれに限定はされず、インクジェットプリンタ、電子写真プリンタ、感熱プリンタ等、各種のプリンタ(プリント装置)に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明のプリント装置の一例の概念図である。
【図2】(A)および(B)は、本発明のプリント装置によるプリントパックの一例の概念図である。
【図3】図1に示すプリント装置のパッカーの部分拡大図であって、(A)は正面図、(B)は平面図である。
【図4】プリントパックとなる包装用シートの一例の概略斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
10 プリンタ
12 DIC(デジタルイメージコントローラ)
16 露光部
18 プロセサ
20 パッカー
24 感光材料ロール
26 マガジン
28 バックプリンタ
30 露光ユニット
32 副走査搬送ローラ対
34 カッタ
38 現像部
40 乾燥部
42 現像槽
44 漂白/定着槽
46 水洗槽
48 排出部
50 出口ローラ対
52 大サイズプリント排出部
56 集積部
58 搬送部
60 投入部
62 包装用シート供給部
64 開口手段
66 シール/カット手段
68 製品収容部
72,80,96 コンベア
74 幅寄せガイド
76,86,104 ローラ
78,84,106 エンドレスベルト
82,102 カール潰しローラ
88 壁部
90 アーム
92 軸
98 シャッタ
100 ガイド板
106a 押動部材
110 シートロール
112 ガイドローラ対
114,116 搬送ローラ対
118 ガイド部材
130 扉
132 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに応じて記録媒体に画像を記録して、前記画像データを再生したプリントを作成する画像形成部と、
前記画像形成部が作成したプリントをまとめて包材に袋詰めしてプリントパックとするパッカーとを有し、
前記画像形成部は、各プリントパック毎に、その件の情報を示したオーダプリントを作成し、このオーダプリントの情報記録面が前記プリントパック内で表面となるように、前記パッカーにプリントおよびオーダプリントを供給すると共に、1件のプリントが複数のプリントパックに収容される場合には、前記オーダプリントに、この件のプリントが複数のプリントパックに別れている旨の情報を記録し、
前記パッカーは、複数件分の包材が連続している包材シートにプリントを投入した後、封止および包材シートの切断を行なって1つのプリントパックとするものであり、かつ、1件のプリントが複数のプリントパックに収容される場合には、各プリントパック毎の封止のみを行なって、1件分の複数のプリントパックを接続している状態で出力することを特徴とするプリント装置。
【請求項2】
前記パッカーは、前記1件分の複数のプリントパックを接続している状態で出力する際には、通常の切断と異なる条件で各プリントパック毎の切断処理を行なうことにより、各プリントパック間を不完全に切断した状態とする請求項1に記載のプリント装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−52170(P2007−52170A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−236445(P2005−236445)
【出願日】平成17年8月17日(2005.8.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】