説明

プリント装置

【課題】プリント媒体を適正な湿度に維持してプリント媒体に良好な画質のプリントを形成するプリント装置を構成する。
【解決手段】ペーパーPを収容するマガジンMの後壁1Sに形成した流路Rに対して、固体高分子電解質膜6Mを有した調湿エレメント6を姿勢変更自在に支持し、マガジンMの内部に湿度センサ7を備え、調湿エレメント6の姿勢を切り換える切換ユニットXを備え、湿度センサ7の計測結果に基づいて調湿を行う調湿制御手段を備えた。固体高分子電解質膜6Mの一方に吸湿面を形成し、他方に放湿面を形成しており、調湿制御を行う場合には、吸湿面又は放湿面の一方をマガジンMの内部の空気に接触させ、他方を外気に接触させるように切換ユニットXで調湿エレメント6の姿勢を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状のプリント媒体を引き出してプリント部に供給する供給ユニットと、前記プリント部に供給された前記プリント媒体にインクを吹き付けて画像をプリントするインクジェット型のプリントヘッドとを備えているプリント装置に関し、詳しくは、湿度の管理によってプリント品質を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
湿度の管理によってプリント品質を向上させるプリント装置として、特許文献1、及び、特許文献2に記載されるものが存在する。
【0003】
特許文献1では、感光体ドラムを用いた転写型のプリント装置(文献では複写機)において、感光体ドラム、帯電チャージャ、クリーニングユニット等、画像形成に必要な機器や、レジストローラ、給紙装置等を収容した本体部の背面に湿度調節ユニットを備えている。本体部には空気排出口と空気流入口とが形成され、この空気排出口と空気流入口とに湿度調節ユニットの両端部分が接続し、この接続部分にファンを備えている。
【0004】
湿度調節ユニットの中央部分の上部空間に空気流路を形成し、下部に精製水を貯留する貯水タンクを形成し、空気流路には除湿用ヒータを備え、貯水タンクの底部には加湿用ヒータを備え、この湿度調節ユニットの内部には湿度センサを備えている。
【0005】
そして、湿度センサで検出した湿度と予め決められた機内最適湿度とを比較し、この機内最適湿度との差が大きい場合には、ファンの回転数を増大させ、除湿を行う場合には除湿用ヒータをONし、加湿を行う場合には加湿用ヒータをONするように制御形態が設定されている。この制御を行うことにより、装置が設置された外部の環境からの影響を最低限に抑え、部分的な異常画像の発生を防いで良好な画像形成を維持している。
【0006】
特許文献2では、プリント装置(文献では、カラー感熱プリンタ)において、長尺の感熱紙をロール状に収容するマガジンの内部に、調湿材料としての調湿紙を備えている。この調湿紙は、高湿度の場合には湿気を吸収し、低湿度の場合には湿気を放出する機能を有するものであり、マガジン内の湿気を標準湿度に維持する。これにより、濃度及びカラーバランスが良好な画像の記録を実現している。
【0007】
【特許文献1】特開平9‐81018号公報
【特許文献2】特開平10‐29355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インクジェット型のプリントヘッドを備えているプリント装置に使用されるプリント媒体には、膨潤タイプと多孔タイプとが存在する。デジタルカメラで撮影された画像をプリントするためのプリント装置では感光紙を用いたプリントと同様の光沢得るために、多孔タイプのペーパーを使用することも多い。この種のペーパーは光沢面を作り出すために樹脂層等を表面に形成するものの、この樹脂層等はプリントヘッドから吹き付けられたインクを表面から吸収するための微細な孔を多数形成した構造を有するものであるため表面は多少硬質である。
【0009】
前述したように表面に光沢を有するペーパーは、表面が硬質であるために、低湿度の環境では表面に微細な割れを生ずることもある。このように割れを生じさせる現象は、ペーパーの面に張力を作用させる方向に湾曲させた場合に生ずることが多い。このような理由から、この種のペーパーでインクが吹き付けられる表面を外側にしてロール状に巻いたものでは、ロールにおける湾曲方向を更に湾曲させる方向にペーパーを湾曲させた場合には、表面に割れを生じさせ易いものとなる。このように表面に割れを生じさせた場合には、表面の光沢が損なわれるばかりでなく、吹き付けられたインクに滲みを生じ、画質を低下させる弊害に繋がる。
【0010】
また、この表面に形成された多数の微細な孔は水分を吸収しやすい性質であるため、湿度の影響が大きく、高湿度である場合にペーパーを波状に変形させることもある。このような理由から、例えば、多孔タイプのペーパを高湿度の環境に放置した場合には、湿気を吸収することにより、ペーパーの一部が膨れるように変形することや、ペーパー全体が波立つように変形することもある。このようにペーパーに変形を生じた場合には、プリント時にプリントヘッドがペーパーの表面に接触して適正なプリントを行えない弊害に繋がることもある。
【0011】
また、ロール状のプリント用紙はローラに巻き掛ける形態でプリントヘッドの部位に搬送させることから、搬送時に表面に割れを発生させることもあり、この割れを生じさせないためにも、プリント用紙の湿度を適正に維持することが望まれている。
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載されるもののように、加湿時に水を蒸発させるものでは、空気が乾燥する季節には水の補給を頻繁に行う必要があり、また、特許文献2に記載されるもののように、調湿材を用いるものでは、空気が乾燥する季節には加湿が充分に行えないことも考えられ、改善の余地がある。
【0013】
本発明の目的は、プリント媒体を適正な湿度に維持して、プリント媒体に良好な画質のプリントを行うプリント装置を合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の特徴は、ロール状のプリント媒体を引き出してプリント部に供給する供給ユニットと、前記プリント部に供給された前記プリント媒体にインクを吹き付けて画像をプリントするインクジェット型のプリントヘッドとを備えているプリント装置において、
通電によって吸湿面において空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面において前記水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子として放出する固体高分子電解質膜を備え、前記プリント媒体が存在する環境の空気の湿度を計測する湿度センサを備え、前記湿度センサの計測結果に基づいて前記固体高分子電解質膜を制御して前記プリント媒体の湿度調節を行う調湿制御手段を備えると共に、
前記調湿制御手段は、前記湿度センサで計測される湿度が設定値を超える場合には、前記プリント媒体が存在する環境の空気を、前記固体高分子電解質膜の前記吸湿面に接触させ、前記湿度センサで計測される湿度が設定値を下回わる場合には、前記プリント媒体が存在する環境の空気を、前記固体高分子電解質膜の放湿面に接触させる切換ユニットを制御する点にある。
【0015】
この構成により、湿度センサで計測される湿度が設定値を超える場合には、調湿制御手段が切換ユニットを制御することにより、プリント媒体が存在する環境の空気を、固体高分子電解質膜の吸湿面に接触させ、この環境の空気の除湿を行える。また、湿度センサで計測される湿度が設定値を下回る場合には、調湿制御手段が切換ユニットを制御することにより、プリント媒体が存在する環境の空気を、固体高分子電解質膜の放湿面に接触させ、この環境の空気の加湿を行える。その結果、プリント媒体を適正な湿度に維持してプリント媒体に良好な画質のプリントを行えるプリント装置が合理的に構成された。
【0016】
本発明は、前記固体高分子電解質膜が、前記吸湿面を前記環境の空気に接触させる姿勢と、前記放湿面を前記環境の空気に接触させる姿勢とに切換自在に構成されると共に、この姿勢の切換作動を行うように前記切換ユニットを構成しても良い。
【0017】
この構成により、切換ユニットによる切換作動によって固体高分子電解質膜の吸湿面又は放湿面をプリント媒体が存在する環境の空気に接触させ、この環境の空気の除湿と加湿とを容易に行える。
【0018】
本発明は、前記固体高分子電解質膜の前記放湿面に対して前記環境の空気を導くと同時に、前記固体高分子電解質膜の前記吸湿面に対して前記環境の外部の空気を導く加湿状態と、前記固体高分子電解質膜の前記吸湿面に対して前記環境の空気を導くと同時に、前記固体高分子電解質膜の前記放湿面に対して前記環境の外部の空気を導く除湿状態とに切換自在なシャッターを備えると共に、このシャッターの切換作動を行うように前記切換ユニットを構成しても良い。
【0019】
この構成により、切換ユニットによってシャッターを切換作動させることにより、環境の空気と、環境の外部の空気とが混合する現象を阻止した状態で固体高分子電解質膜の吸湿面又は放湿面をプリント媒体が存在する環境の空気に接触させ、この環境の空気の除湿と加湿との切り換えを容易に行える。
【0020】
本発明は、前記固体高分子電解質膜の前記吸湿面に対して前記環境の空気を導く吸湿流路と、前記固体高分子電解質膜の前記放湿面に対して前記環境の空気を導く放湿流路とを形成すると共に、この吸湿流路と放湿流路との一方を選択する流路切換機構によって前記切換ユニットを構成しても良い。
【0021】
この構成により、流路切換機構によって放湿流路と吸湿流路との一方を選択することにより、プリント媒体が存在する環境の空気を、固体高分子電解質膜の放湿面又は吸湿面に接触させ、放湿と吸湿との切り換えを容易に行える。
【0022】
本発明は、前記ロール状のプリント媒体がマガジンに収容され、このマガジン内の空気が、前記環境の空気として前記固体高分子電解質膜を用いた湿度調節の対象に設定しても良い。
【0023】
この構成により、マガジン内の空気の湿度の調節を行うことにより、プリント部に供給する以前にプリント媒体を適正な湿度に維持し、このマガジンから送り出されたプリント媒体の表面に割れを生ずる不都合を抑制できる。
【0024】
本発明は、該プリント装置でプリント処理を行わない場合には、前記マガジンに前記プリント媒体を巻き戻す制御を行う搬送制御手段を備えると共に、前記調湿制御手段は、該プリント装置でプリント処理を行わない状況において湿度調節を行っても良い。
【0025】
この構成により、搬送制御手段によってマガジンにプリント媒体を巻き戻し、プリント処理を行わない状態においてマガジン内の調湿を行うことにより、充分な時間をかけて調湿を行うことが可能となり、この調湿の後にプリント処理を行う場合には、適正な湿度のプリント媒体をプリント部に供給して良好なプリントを行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1及び図2に示すように筐体10の下部に2つのマガジン収容部A、Aを配置し、筐体10の上部にインクの吹き付けによってプリントを行うインクジェット型のプリント部Bを配置し、筐体10の側部にインク貯留部Cを配置し、更に、筐体10の上面部に比較的小さいサイズのペーパーP(プリント媒体の一例)を横送りベルト11で送り出す仕分け部12と、大きいサイズのペーパーPを受け止めるラック板13とを配置してインクジェット型のプリント装置が構成されている。
【0027】
このプリント装置では、前記ペーパーPとして、表裏にレジンコート膜を形成したベースの表面側に、微細な孔を多数形成した多孔質インク受容層を形成することにより、表面に光沢を持たせた多孔タイプのものを使用している。
【0028】
前記2つのマガジン収容部A、Aは、上下に位置する関係に配置され、何れのマガジン収容部Aとも、前壁体10Aと一体的なスライド作動によって開閉自在なドロワー15を備え、マガジンMをセットできるように構成されている。このマガジンMは、プリント媒体としてのロール状のペーパーPを収容する空間を形成したケース1と、このケース内でペーパーPを支持する一対の支持ローラ2と、ペーパーPを圧着して搬送する圧着型のフィードローラ3を備えている(図3を参照)。
【0029】
前記プリント部Bは、マガジン収容部Aから供給されるペーパーPに対して前記プリントヘッドH(図3、図4を参照)でのインクの吹き付けによって画像のプリントを行うよう構成され、このプリント部Bの前面部には透明な樹脂板製の窓部Wを形成した上部壁体10Bを開閉自在に備えている。
【0030】
前記インク貯留部Cは、縦向き姿勢の軸芯周りで揺動開閉自在な側部壁体10Cの内部に異なる色相の複数のインクカートリッジ16を交換自在に配置している。尚、夫々のインクカートリッジ16は、ブラック(BK)、ライトブラック(LK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、イエロー(Y)のインクを封入した7色のものが使用される。図面には示していないが、このインクジェット型のプリント装置は、前記インクカートリッジ16に封入されたインクを空気圧によって送り出し、サブタンク(図示せず)に一時的に貯留した後、前記プリントヘッドHに供給するインクの供給系を備えている。
【0031】
〔搬送系の構成〕
図3、図4に示すように、このプリント装置は、前記マガジンMからのペーパーPを、供給ユニットU1でプリント部Bに供給し、このプリント部Bではプリント搬送ユニットU2で搬送を行いながらプリント処理を実行し、このプリントの後には、カッターユニットU3でプリントサイズに切断し、この後に、スイッチバックユニットU4から排出ユニットU5に受け渡し、この排出ユニットU5で筐体10の外部に送り出す搬送系を備えている。
【0032】
前記供給ユニットU1は、下側のマガジンMから送り出されたペーパーPを上方にガイドするように、上側のマガジン収容部Aに備えられたガイド体18と、上側のマガジンMから送り出されたペーパーPを上方にガイドするガイド体19とを備えている。図3に示すように、この供給ユニットU1では、前記支持ローラ2とフィードローラ3とを駆動してマガジンMからのペーパーPの送り出しと、マガジンMへの巻き戻しとを行う電動型の第1モータD1を備えている。
【0033】
前記プリント搬送ユニットU2は、前記プリントヘッドHの上流側に配置された圧着型の第1搬送ローラ21と、プリントヘッドHの下流側に配置された圧着型の第2搬送ローラ22とを備えると共に、この第1、第2搬送ローラ21、22の中間位置においてペーパーPの裏面側を案内する案内プレート23を備えている。この案内プレート23の下方位置には、この案内プレート23に形成された多数の貫通孔を介してペーパーPに負圧を作用させる負圧ケース24と、負圧ケース24の内部の空気を排出して負圧を発生させるファン25とを備えている。
【0034】
前記第1搬送ローラ21は、ペーパーPを圧着搬送するための従動ローラ21Aを備え、前記第2搬送ローラ22は、ペーパーPを圧着搬送するための従動ローラ22Aを備え、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22とを同期駆動するベルト駆動連動26を備えている。そして、このプリント搬送ユニットU2では、第1搬送ローラ21と第2搬送ローラ22とを同期して駆動する電動型の第2モータD2を備えている。
【0035】
前記プリント部Bは、主走査方向(ペーパーPの幅方向)に沿う姿勢で配置されたガイドレール27でガイドされるスライダー28にキャリッジ29を支持し、このキャリッジ29の下面側に前記プリントヘッドHを支持している。
【0036】
前記ガイドレール27の両端部の近傍位置に配置した一対のプーリ30にタイミングベルト型の駆動ベルト31を巻回し、一方のプーリ30を駆動する電動型で主走査用の走査モータDSを備え、駆動ベルト31にキャリッジ29を固定することにより、走査モータDSの駆動力でプーリ30を駆動回転し、キャリッジ29と一体的にプリントヘッドHを往復作動させるように構成している。
【0037】
このような構成から、ペーパーPに画像をプリントする際には、第1、第2搬送ローラ21、22によってペーパーPをプリント位置に供給し、案内プレート23から負圧を作用させることにより、案内プレート23にペーパーPを吸着させてペーパーPの平面精度を高めた状態でキャリッジ29を主走査方向に沿う一方の方向に作動させ乍ら(主走査方向への作動に伴い)、この作動と連係してプリントヘッドHからペーパーPにインクを噴射することにより設定されたプリント幅で画像のプリントを行う。
【0038】
このようにプリントを開始することによって、キャリッジ29が作動端に達した後に、前記第1、第2搬送ローラ21、22によって前記プリント幅に対応した単位搬送量だけペーパーPを搬送し、この後、キャリッジ29を主走査方向に沿う他方(逆方向)に作動させ乍ら、この作動と連係してプリント幅でのプリント作動を行う。このプリント作動を反復することによりペーパーPに画像のプリントが行われる。
【0039】
前記カッターユニットU3は、フレーム(図示せず)に固定された固定刃35と、作動自在に支持された可動刃36と、この可動刃36を駆動する電動型のカッターモータDCと、このカッターモータDCからの回転駆動力を往復作動力に変換するクランク式の駆動機構37とを備えると共に、このカッターユニットU3の切断位置を通過したペーパーPを搬送する圧着型の排出ローラ38を備え、この排出ローラ38を駆動する電動型の第3モータD3を備えている。
【0040】
前記スイッチバックユニットU4は、駆動ローラ40と、これに圧着する位置に配置された遊転型の反転ローラ41と、この反転ローラ41を駆動ローラ40の軸芯周りで正逆両方向に90度作動させる反転機構とを備えている。このスイッチバックユニットU4では、前記排出ローラ38で搬送されることにより先端側から送り込まれるペーパーPを駆動ローラ40と反転ローラ41とで圧着した状態で更に搬送した後、図3において矢印で示すように、反転ローラ41を前記駆動ローラ40の軸芯周りで90度回転させた後、駆動ローラ40を逆転させることにより、ペーパーPを後端側から排出ユニットU5に送り出し、ペーパーPの表裏を反転させるよう構成されている。
【0041】
このスイッチバックユニットU4では、前記駆動ローラ40を駆動する電動型の第4モータD4を備え、前記反転機構として反転ローラ41を反転作動させる電動型の反転モータDRを備えている。
【0042】
前記排出ユニットU5は、ペーパーPを搬送する複数の圧着ローラ45を備えると共に、この圧着ローラ45で搬送されるペーパーPを筐体上部の横送りベルト11とラック板13との何れかに送り出す経路切り換え機構(図示せず)を備え、圧着ローラ45を駆動する電動型の第5モータD5を備えている。
【0043】
本発明のプリント装置では、2つの前記マガジンMには、マガジンMに収容されたペーパーPの湿度を目標とする値に維持する湿度維持装置Kを、このマガジンMのケース1の後壁1Sに備えている。
【0044】
図6に示すように、ケース1の後壁1Sの外部に、断面形状が「コ」字状となる突出壁1Tを設けることにより、この突出壁1Tと、ケース1の後壁1Sとの間に流路Rを形成しており、この流路Rは、マガジンM(ケース1)の内部空間とマガジンM(ケース1)の外部空間とを連通する。この流路Rに対して軸体5に支持されたプレート状の調湿エレメント6を配置し、軸体5を突出壁1Tを上下に貫通する状態で支持することにより、この軸体5の軸芯周りで調湿エレメント6の姿勢を切り換え自在にしている。
【0045】
突出壁1Tの上面には、前記軸体5に揺動力を作用させる切換ユニットXを備えている。この調湿エレメント6と、軸体5と、切換ユニットXとで前記湿度維持装置Kが構成されている。この湿度維持装置Kの取付位置は、後壁1Sに限らず、側壁や前壁等ケース1を構成する壁部に取付けることが可能である。
【0046】
前記調湿エレメント6は、プレート6Pの中央に固体高分子電解質膜6Mを備え、この固体高分子電解質膜6Mは、通電によって吸湿面6Aにおいて空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面6Bにおいて前記水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子として放出する機能を有しており、マガジンM(ケース1)の内部にはペーパーPが存在する環境(マガジンMの内部)の空気の湿度を計測する湿度センサ7を備えている。
【0047】
前記調湿エレメント6は、図7(a)に示すように、前記放湿面6Bをケース1の内部側に向けた加湿姿勢と、図7(b)に示すように、吸湿面6Aをケース1の内部側に向けた除湿姿勢とに切換自在に構成され、何れの姿勢においても、プレート6Pが流路Rを閉塞することにより、この流路Rを介して、マガジンM(ケース1)の内部と外部との間での空気の直接的な流動を阻止するように、プレート6Pの大きさと、流路Rの内面形状とが設定されている。
【0048】
前記切換ユニットXは、電動モータと減速ギヤ等を内蔵した操作機構8、この操作機構8において駆動力によって揺動作動する揺動アーム8A、この揺動アーム8Aと前記軸体5に形成したアーム5Aとを連結する押し引きロッド9を備えており、2つのマガジンMに備えられた切換ユニットXは、制御装置50(図5を参照)で制御される。この制御装置50は、前記湿度センサ7の計測信号に基づいて制御を実行する。図面には示していないが、前記調湿エレメント6にはスパイラルケーブル等、柔軟に変形し得るケーブルを介して電力を供給する電力供給経路を備えることにより、調湿エレメント6の姿勢に拘わらず電力を供給できるように構成している。
【0049】
〔制御系の構成〕
【0050】
前記制御装置50は、マイクロプロセッサを備えており、図5に示すように、プログラム(ソフトウエア)で成る搬送制御手段51と、プリント制御手段52と、調湿制御手段53とを備えている。この制御装置50は、プリントヘッドHと、供給ユニットU1と、プリント搬送ユニットU2と、カッターユニットU3と、スイッチバックユニットU4と、排出ユニットU5とを制御するための出力系とを備えると共に、前記2つの湿度維持装置Kを制御するように、前記湿度センサ7で計測された信号が入力する信号系と調湿エレメント6に供給する電力を制御する電力制御回路55と、切換ユニットXに制御信号を出力するモータ制御回路56とを備えている。
【0051】
前記搬送制御手段51と、プリント制御手段52と、調湿制御手段53とは、ソフトウエアで構成されるものであるが、ハードウエアで構成することが可能であり、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで構成されるものであっても良い。
【0052】
前記搬送制御手段51での制御形態の概要を図8のフローチャートのように示すことが可能である。つまり、プリント処理を行う際には、このプリント処理に先立ってマガジンMに収容されたペーパーPを引き出して前記供給ユニットU1からプリント搬送ユニットU2に供給してプリント処理を実現する(#101〜#103ステップ)。
【0053】
このプリント処理では、プリントヘッドHが主走査方向に作動する毎に、このプリントヘッドHによるプリント幅に対応した量だけペーパーPの搬送を行い、次に、プリント処理後のペーパーPをカッターユニットU3において必要とするサイズに切断し、このように切断されたペーパーPをスイッチバックユニットU4において表裏を入れ換えた状態で排出ユニットU5に送り、この排出ユニットU5から前記横送りベルト11あるいはラック板13に排出する(#104、#105ステップ)。
【0054】
このようにプリント処理が行われた後には、設定時間以上経過するまでに、次のプリント処理を行う場合には、前述と同様に、プリント搬送ユニットU2にペーパーPを供給すると共に、プリント処理後のペーパーPをカッターユニットU3において必要とするサイズに切断し、このように切断されたペーパーPをスイッチバックユニットU4において表裏を入れ換えた状態で排出ユニットU5に送り、この排出ユニットU5から前記横送りベルト11あるいはラック板13に排出する制御を行う。また、先に行われたプリント処理から設定時間以上経過した場合、又は、作業を終了する際には、マガジンMに対してペーパーPを巻き戻す処理が行われる(#106〜#109ステップ)。
【0055】
このような処理を行うことにより、マガジンMからペーパーPが引き出された状態が長時間継続しないようにしており、継続してプリントを行わない場合にはペーパーPをマガジンMに巻き取り、マガジンM内においてペーパーPの湿度を適正に維持できるようにしている。
【0056】
前記プリント制御手段52は、フローチャートには示していないが、前記走査モータDSを作動させ、この作動と同期して前記プリントヘッドHからインクを吹き付けることによりペーパーPに画像をプリントする処理を実現する。
【0057】
前記調湿制御手段53での制御形態の概要を図9のフローチャートのように示すことが可能である。つまり、湿度センサ7で計測した湿度の値を取得し、この湿度の値が、予め設定された目標湿度域に含まれることを判別した場合には、電力制御回路55の制御によって前記調湿エレメント6に対する通電を停止する(#201〜#203ステップ)。
【0058】
また、湿度センサ7で計測した湿度の値が前記目標湿度域より低湿度側に設定された低湿度域に含まれることを判別した場合には、モータ制御回路56を介して切換ユニットXを制御することで前記調湿エレメント6を加湿姿勢にセットし、また、電力制御回路55の制御によって前記調湿エレメント6に対して通電を行う(#204、#205ステップ)。このように通電を行うことにより、前記調湿エレメント6の吸湿面6AからマガジンMの外部の空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面6Bにおいて水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子としてマガジンMの内部に放出することでマガジンMの内部の加湿が行われる。
【0059】
これとは逆に、湿度センサ7で計測した湿度の値が前記目標湿度域より高湿度側に設定された高湿度域に含まれることを判別した場合には、モータ制御回路56を介して切換ユニットXを制御することで前記調湿エレメント6を除湿姿勢にセットし、また、電力制御回路55の制御によって前記調湿エレメント6に対して通電を行う(#206、#207ステップ)。このように通電を行うことにより、前記調湿エレメント6の吸湿面6AからマガジンMの内部の空気中の水分子の水素イオンと取り込むことで除湿を行い、放湿面6Bにおいて水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子としてマガジンMの外部の空気中に放出する。
【0060】
この調湿制御手段53における目標湿度域として、50%を基準に高湿側と低湿側とに数%程度の幅を設定している。従って、調湿制御を行うことにより、マガジンMの内部の空気の湿度が50%程度に維持され、この空気に接触するペーパーPの湿度も50%程度に維持されるのである。尚、目標湿度域としては50%を基準にする必要はなく、ペーパーPの特性等に基づいて任意の値に設定しても良い。
【0061】
このように、本発明によると、通電によって吸湿面6Aから空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面6Bにおいて水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子として放出する固体高分子電解質膜6Mを備えた調湿エレメント6を用い、この調湿エレメント6の姿勢を切り換える切換ユニットXを備えることによって、マガジンMの内部の加湿も除湿も容易に行える。具体的に説明すると、空気が乾燥した季節や時間帯においては加湿を行い、空気の湿度が高い季節や時間帯においては除湿を行うことが可能となり、加湿時に水を補給する操作や、加湿不足に陥ることがなく、除湿時にもオペレータが特別の操作を行わないで済む。その結果、低湿度に起因する表面に割れを発生させる不都合や、高湿度に起因するペーパーPを変形させる不都合を回避して、ペーパーPの湿度を適正な値に維持することが可能となり、環境の湿度に影響されず良好なプリントを実現する。
【0062】
特に、本発明では、プリント処理を行わない状態が設定された時間以上経過した場合には、ペーパーPをマガジンMに巻き戻す制御を行うことにより、ペーパーPが外気に接触する時間をできるだけ短縮し、マガジンMの内部において効率的な除湿又は加湿を行うことによりペーパーPの湿度を適正な値に維持できるのである。
【0063】
〔別実施の形態〕
本発明は、上記した実施の形態以外に以下のように構成しても良い(この別実施の形態では前記実施の形態と同じ機能を有するものには、前記実施の形態と共通の番号、符号を付している)。
【0064】
(a)図10に示すように、マガジンMのケース1の突出壁1Tの内部に、このケース1の後壁1Sと並行する姿勢で調湿エレメント6を設け、この調湿エレメント6の両端部を挟み込む位置に外部壁体61と内部壁体62とを形成する。外部壁体61には調湿エレメント6の吸湿面6Aに連通する開口61Aと、放湿面6Bに連通する開口61Bとを形成し、内部壁体62にも同様に調湿エレメント6の吸湿面6Aに連通する開口62Aと、放湿面6Bに連通する開口62Bとを形成している。前記調湿エレメント6は、通電によって吸湿面6A空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面6Bにおいて前記水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子として放出する固体高分子電解質膜6Mを形成したものである。
【0065】
前記外部壁体61に隣接する位置に、この外部壁体61に沿ってスライド移動自在に外部シャッター63を備え、内部壁体62に隣接する位置に、この内部壁体62に沿ってスライド移動自在に内部シャッター64を配置し、この外部シャッター63と内部シャッター64とを連動して逆方向にスライド作動させるように、天秤型の揺動アーム65の一方の端部と外部シャッター63とをロッド66で連結し、揺動アーム65の他方の端部と内部シャッター64とをロッド66で連結している。更に、揺動アーム65と一体的に揺動する支軸65Aにセクタギヤ67を備え、このセクタギヤ67に咬合するウオームギヤ68を電動モータ69によって駆動するように構成している。
【0066】
このように電動モータ69の駆動力によって支軸65Aと一体的に揺動アーム65を揺動させて外部シャッター63と内部シャッター64とを連動して切り換えることでマガジンMの内部の調湿を行う系によって湿度維持装置Kが構成されている。この湿度維持装置Kのうち、電動モータ69の駆動力によって揺動アーム65を揺動させて外部シャッター63と内部シャッター64とを連動して切り換える機構が切換ユニットXに相当する。
【0067】
図面には湿度センサと調湿制御手段とを示していないが、湿度センサからのフィードバックに基づいて調湿制御手段がマガジンM内のペーパーPの加湿を行う場合には、切換ユニットXの作動により、図10(a)に示す如く、外部シャッター63で外部壁体61の開口61Bを閉塞すると同時に開口61Aを開放し、また、内部シャッター64で内部壁体62の開口62Aを閉塞すると同時に開口62Bを開放する。これにより、吸湿面6AにおいてマガジンMの外部の空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面6Bにおいて水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子としてマガジンMの内部に放出することでマガジンMの内部の空気の加湿が行われる。
【0068】
これとは逆に、マガジンM内のペーパーPの除湿を行う場合には、切換ユニットXの作動により、図10(b)に示すように、外部シャッター63で外部壁体61の開口61Aを閉塞すると同時に開口61Bを開放し、また、内部シャッター64で内部壁体62の開口62Bを閉塞すると同時に開口62Aを開放することにより、吸湿面6AにおいてマガジンMの内部の空気の除湿を行い、放湿面6BからマガジンMの外部の空気中に水分子を放出する。
【0069】
(b)図11、図12に示すように、マガジンMのケース1の後壁1S(他の壁部でも良い)の部位に調湿エレメント6を設け、この調湿エレメント6を挟む位置の後壁1Sに開口1A、1Bを形成し、開口1Aの部位から調湿エレメント6の吸湿面6Aの部位に亘ってスライド移動自在な外部ガイド体71と、開口1Bから調湿エレメント6の放湿面6Bの部位に亘ってスライド移動自在な内部ガイド体72とを備える。前記調湿エレメント6は、通電によって吸湿面6Aにおいて空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面6Bにおいて前記水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子として放出する固体高分子電解質膜6Mを形成したものである。
【0070】
外部ガイド体71に連結したラックギヤ74と、内部ガイド体72に連結したラックギヤ73とに咬合する駆動ギヤ75を備え、この駆動ギヤ75を正逆両方向に作動させる切換モータ76を備えている。このような構成から、切換モータ76の作動によって図11に示すように、外部ガイド体71と内部ガイド体72とで夫々の開口1A、1Bを閉塞すると同時に調湿エレメント6の吸湿面6AをマガジンMの外部の空気に接触させ、放湿面6BをマガジンMの内部の空気に接触させる加湿と、図12に示すように、外部ガイド体71によって調湿エレメント6の吸湿面6Aを開口1Aに連通させ、内部ガイド体72によって調湿エレメント6の放湿面6Bを開口1Bに連通させる除湿とを行える。
【0071】
このように切換モータ76の駆動力によって外部ガイド体71と内部ガイド体72とを作動させてマガジンMの内部の調湿を行う系によって湿度維持装置Kが構成され、この湿度維持装置Kのうち、切換モータ76の駆動力によって外部ガイド体71と内部ガイド体72とを作動させる機構が切換ユニットXに相当する。
【0072】
図面には湿度センサと調湿制御手段とを示していないが、湿度センサからのフィードバックに基づいて調湿制御手段がマガジンM内のペーパーPの加湿を行う場合には、切換ユニットXの作動により、図11に示す如く、外部ガイド体71と内部ガイド体72とで夫々の開口1A、1Bを閉塞すると同時に調湿エレメント6の吸湿面6AをマガジンMの外部の空気に接触させ、放湿面6BをマガジンMの内部の空気に接触させて加湿が実現する。また、マガジンM内のペーパーPの除湿を行う場合には、切換ユニットXの作動により、図12に示す如く、外部ガイド体71によって調湿エレメント6の吸湿面6Aを開口1Aに連通させ、内部ガイド体72によって調湿エレメント6の放湿面6Bを開口1Bに連通させることによって除湿が実現する。
【0073】
(c)図13に示すように、チャンバー81の空間を分割するように調湿エレメント6を収容し、この調湿エレメント6の吸湿面6Aに連通する空気の吸湿流路82と、この調湿エレメント6の放湿面6Bに連通する空気の放湿流路83とを形成し、この吸湿流路82と放湿流路83とに流動する空気を制御する電磁操作型の切換バルブ84(流路切換機構の一例)を備えている。この切換バルブ84に調湿流路85と、外気と連通する外気流路86とを形成している。また、調湿流路85と2つのマガジンM、Mの内部空間に連通する導入流路87との中間位置に電動型の切換機構88Aによって切換操作される選択バルブ88を備えている。前記調湿エレメント6は、通電によって吸湿面6A空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面6Bにおいて前記水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子として放出する固体高分子電解質膜6Mを形成したものである。
【0074】
前記切換バルブ84は、マガジンMの内部の空気の除湿と加湿との切換を行うものであり、切換ユニットXに対応する。前記選択バルブ88は、2つのマガジンM、Mのうち調湿の対象を選択するように機能するものであり、2つのマガジンM、Mの調湿を同時に行う状態と、選択した一方だけの調湿を行う状態との選択が可能である。このチャンバー81に収容した調湿エレメント6と、切換バルブ84と、選択バルブ88と、チャンバー81とマガジンMとの間に形成される空気の流路とで湿度維持装置Kが構成されている。
【0075】
図面には湿度センサと調湿制御手段とを示していないが、湿度センサからのフィードバックに基づいて調湿制御手段がマガジンM内のペーパーPの加湿を行う場合には、切換ユニットXとしての切換バルブ84によって、前記放湿流路83とマガジンMの内部空間とを連通させることで放湿面6BをマガジンMの内部の空気に接触させて加湿が実現する。この際、選択バルブ88によって2つのマガジンM、Mのうち加湿の対象とするものを選択できる。これとは逆に、マガジンM内のペーパーPの除湿を行う場合には、切換ユニットXとしての切換バルブ84によって、前記吸湿流路82とマガジンMの内部空間とを連通させることで吸湿面6AをマガジンMの内部の空気に接触させて除湿が実現する。この際、選択バルブ88によって2つのマガジンM、Mのうち除湿の対象とするものを選択できる。
【0076】
(d)調湿制御の制御対象が筐体10の内部全体であっても良い。このように調湿制御を行う場合には、筐体10ができるだけ密封状態に近い構造を採用することにより、良好な調湿制御を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】写真プリント装置の全体を示す斜視図
【図2】写真プリント装置の一部を開放した状態を示す斜視図
【図3】ペーパーの搬送系を模式的に示す図
【図4】プリント部のペーパーの搬送構造を示す斜視図
【図5】制御系のブロック図
【図6】マガジンに備えた湿度維持装置を示す斜視図
【図7】調湿エレメントの姿勢の切り換え状態を示す概略図
【図8】搬送制御のフローチャート
【図9】調湿制御のフローチャート
【図10】別実施の形態(a)の湿度維持装置を示す図
【図11】別実施の形態(b)において除湿姿勢の湿度維持装置を示す図
【図12】別実施の形態(b)において加湿姿勢の湿度維持装置を示す図
【図13】別実施の形態(c)の湿度維持装置を示す図
【符号の説明】
【0078】
6A 吸湿面
6B 放湿面
6M 固体高分子電解質膜
7 湿度センサ
8 操作機構(アクチュエータ)
53 調湿制御手段
63・64 シャッター
82 吸湿流路
83 放湿流路
84 流路切換機構(切換バルブ)
B プリント部
P プリント媒体(ペーパー)
H プリントヘッド
M マガジン
U1 供給ユニット
X 切換ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状のプリント媒体を引き出してプリント部に供給する供給ユニットと、前記プリント部に供給された前記プリント媒体にインクを吹き付けて画像をプリントするインクジェット型のプリントヘッドとを備えているプリント装置であって、
通電によって吸湿面において空気中の水分子の水素イオンを取り込み、放湿面において前記水素イオンと空気中の酸素とを反応させて水分子として放出する固体高分子電解質膜を備え、前記プリント媒体が存在する環境の空気の湿度を計測する湿度センサを備え、前記湿度センサの計測結果に基づいて前記固体高分子電解質膜を制御して前記プリント媒体の湿度調節を行う調湿制御手段を備えると共に、
前記調湿制御手段は、前記湿度センサで計測される湿度が設定値を超える場合には、前記プリント媒体が存在する環境の空気を、前記固体高分子電解質膜の前記吸湿面に接触させ、前記湿度センサで計測される湿度が設定値を下回る場合には、前記プリント媒体が存在する環境の空気を、前記固体高分子電解質膜の放湿面に接触させる切換ユニットを制御するプリント装置。
【請求項2】
前記固体高分子電解質膜が、前記吸湿面を前記環境の空気に接触させる姿勢と、前記放湿面を前記環境の空気に接触させる姿勢とに切換自在に構成されると共に、この姿勢の切換作動を行うように前記切換ユニットが構成されている請求項1記載のプリント装置。
【請求項3】
前記固体高分子電解質膜の前記放湿面に対して前記環境の空気を導くと同時に、前記固体高分子電解質膜の前記吸湿面に対して前記環境の外部の空気を導く加湿状態と、前記固体高分子電解質膜の前記吸湿面に対して前記環境の空気を導くと同時に、前記固体高分子電解質膜の前記放湿面に対して前記環境の外部の空気を導く除湿状態とに切換自在なシャッターを備えると共に、このシャッターの切換作動を行うように前記切換ユニットが構成されている請求項1記載のプリント装置。
【請求項4】
前記固体高分子電解質膜の前記吸湿面に対して前記環境の空気を導く吸湿流路と、前記固体高分子電解質膜の前記放湿面に対して前記環境の空気を導く放湿流路とを形成すると共に、この吸湿流路と放湿流路との一方を選択する流路切換機構によって前記切換ユニットが構成されている請求項1記載のプリント装置。
【請求項5】
前記ロール状のプリント媒体がマガジンに収容され、このマガジン内の空気が、前記環境の空気として前記固体高分子電解質膜を用いた湿度調節の対象に設定されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント装置。
【請求項6】
該プリント装置でプリント処理を行わない場合には、前記マガジンに前記プリント媒体を巻き戻す制御を行う搬送制御手段を備えると共に、前記調湿制御手段は、該プリント装置でプリント処理を行わない状況において湿度調節を行う請求項5記載のプリント装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−6775(P2008−6775A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181804(P2006−181804)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】