説明

プリント配線板の製造方法

【課題】簡易且つ低コストで、基材とカバーレイの位置合せを行うことができるプリント配線板の製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】導電層が形成された基材10の主面に配線パターン40を形成する工程と、配線パターン40の少なくとも一部を覆うようにカバーレイ60を積層する工程と、を備え、配線パターン40を形成する工程は、基材10の主面にめっき層を形成するめっき工程と、配線パターン40に応じた第1マスクパターン21と、カバーレイ60の外縁の少なくとも一部に沿うガイドパターン50に応じた第2マスクパターン22とを含むフォトマスク20を用いて基材10の主面にエッチングレジスト層を形成するレジスト形成工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材にカバーレイを貼り合わせる場合に、撮像手段によりマークを観察して両者の位置ずれを測定し、X軸、Y軸及び回転軸であるθ軸方向の位置を調整することにより位置決めを行う手法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−319688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術に係る装置は高価であり、装置導入準備に時間を要するうえ、装置が大型であるために広いスペースを用意しなければならないという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、コストを増大させることなく且つ簡易な手法で、基材及びカバーレイの位置合せを行うことができるプリント配線板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、導電層が形成された基材の主面に配線パターンを形成する工程と、前記配線パターンの少なくとも一部を覆うようにカバーレイを積層する工程と、を備えるプリント配線板の製造方法において、前記配線パターンを形成する工程は、前記基材の主面にめっき層を形成するめっき工程と、前記配線パターンに応じた第1マスクパターンと前記カバーレイの外縁の少なくとも一部に沿うように配置されるガイドパターンに応じた第2マスクパターンとを含むフォトマスクを用いて前記基材の主面にエッチングレジスト層を形成するレジスト形成工程と、を含むプリント配線板の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【0007】
また、本発明は、導電層が形成された基材の主面に配線パターンを形成する工程と、前記配線パターンの少なくとも一部を覆うようにカバーレイを積層する工程と、を備えるプリント配線板の製造方法において、前記配線パターンを形成する工程は、前記配線パターンに応じた第1マスクパターンと、前記カバーレイの外縁の少なくとも一部に沿うように配置されるガイドパターンに応じた第2マスクパターンとを含むフォトマスクを用いて前記基材の主面にめっきレジスト層を形成するレジスト形成工程と、前記めっきレジスト層が形成された基材の主面にめっきをし、めっき層による前記配線パターン及び前記ガイドパターンを形成するめっき工程と、を含むプリント配線板の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【0008】
上記発明において、前記第2マスクパターンを、互いに垂直に交わる2方向に沿う線状パターンを含むようにすることができる。
【0009】
上記発明において、前記第2マスクパターンを、前記カバーレイを積層する工程において、当該積層されるカバーレイの中心線に対して線対称、又は前記積層されるカバーレイの中心に対して点対称の線形となるようにすることができる。
【0010】
上記発明において、前記第2マスクパターンを、前記基材の外縁に沿う領域であって、前記配線パターンに応じた第1マスクパターンが形成されている領域以外の領域に配置させることができる。
【0011】
上記発明において、前記カバーレイを積層する工程において、前記カバーレイの外縁に沿う側面が、前記ガイドパターンの内側縁に沿う側面に対向するように、前記カバーレイを前記基材に積層することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1マスクパターンと第2マスクパターンを含むフォトマスクを用いて基材の主面に配線パターン及びガイドパターンが形成されるため、基材にカバーレイを積層させる際に、ガイドパターンの内側縁にカバーレイの外縁を突き当てることにより、基材に対するカバーレイの位置を決めることができる。この結果、撮像装置を備えた高価で大型の位置調整装置を用いることなく、簡易かつ安価な手法により、基材に対するカバーレイの位置を高い精度で決めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法の工程を示す工程図である。
【図2】フォトマスクを示す平面図である。
【図3】配線パターン及びガイドパターンが形成されたプリント配線板の平面図である。
【図4A】図3に示すIVA-IVA線に沿う断面図である。
【図4B】図3に示すIVB-IVB線に沿う断面図である。
【図5】カバーレイが積層されたプリント配線板の平面図である。
【図6A】図5に示すVIA-VIA線に沿う断面図である。
【図6B】図5に示すVIB-VIB線に沿う断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法の他の工程図である。
【図8】本発明の実施形態に係るプリント配線板の製造方法のさらに他の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下、図面に基づいて、本発明に係る第1実施形態のプリント配線板の製造方法について説明する。本実施形態では、フォトマスクを用いて基材に露光処理を行う露光装置を少なくとも含むプリント配線板の製造装置に、本発明に係るプリント配線板の製造方法を適用した例を説明する。なお、本実施形態のプリント配線板の製造装置は、工程の態様に応じて、めっき装置、エッチング装置、熱真空プレス装置などを備えることができる。
【0015】
図1は、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。図1に示すように、本発明に係る本実施形態のプリント配線板の製造方法は、基材の主面に配線パターンを形成する工程Aと、配線パターンの少なくとも一部を覆うようにカバーレイを積層する工程Bとを備える。
【0016】
特に限定されないが、本実施形態においては、いわゆるサブトラクティブ法のパネルめっき法を採用した場合におけるプリント配線板の製造方法を例にして説明する。
【0017】
まず、ステップS101において、ポリイミドなどの絶縁性基材の両側の主面に銅箔が張り付けられた一般に市販されている銅張積層材料(CCL)を準備する。なお、銅張積層材料(CCL)には、必要に応じて、スルーホール用の孔を形成し、デスミア処理などを行い、無電解銅めっきを施すことができる。
【0018】
本実施形態において、絶縁性基材の両面に形成されている銅箔が、本発明における導電層として機能する。この導電層としての銅箔は、無電解銅めっきなどにより形成することができる。
【0019】
続くステップS102において、銅張積層材料(CCL)の主面の全面に電解銅めっき、いわゆるパネルめっきを行う。
【0020】
このステップS102に相前後して、フォトリソグラフィ処理に用いるフォトマスクを準備する。本実施形態のプリント配線板の製造方法において用いられるフォトマスクは、所望の配線パターンに応じた第1マスクパターンと、ガイドパターンに応じた第2マスクパターンとを含む。本実施形態において、ガイドパターンは、工程Bにおいて積層されるカバーレイの外縁の少なくとも一部に沿う位置に配置されるカバーレイの位置合わせ用のパターンである。
【0021】
本実施形態において用いられるフォトマスク20の一例を図2に示す。本例では、一の基材から複数の製品を作成する多数個取りを行うため、フォトマスク20には、同じ配線パターンに応じた複数の第1マスクパターン21が一枚の基材10の主面にレイアウトされている。図2に示すように、これら複数の第1マスクパターン21は所定領域Kの範囲内に形成されている。さらに、フォトマスク20の所定領域Kの外側の領域には、一又は複数のガイドパターンに応じた第2マスクパターン22がレイアウトされている。ちなみに、第1マスクパターン21が形成される所定領域Kは、カバーレイの積層工程Bにおけるカバーレイ60の配置予定領域60Aを含む領域又は一致する領域である。なお、図2に示す第1マスクパターン21は、配線パターンに応じた微細なマスクパターンが描かれる領域を概念的に示すものであり、第1マスクパターン21の具体的な線図は特に限定されない。
【0022】
特に限定されないが、本実施形態の第2マスクパターン22は、互いに垂直に交わる2方向に沿う線状パターンを含む。図2に示すように、本実施形態の第2マスクパターン22は、図中x方向に沿う線状パターンと図中y方向に沿う線状パターンとを含むカギ状又はL字形状のパターンとしてもよいし、図中x方向に沿う直線状の第2マスクパターン22x又は図中y方向に沿う直線状の第2マスクパターン22yとしてもよい。また、フォトマスク20には、これらの各形状の第2マスクパターン22,22x、22y(以下、第2マスクパターン22と総称することもある)のいずれか一つの形状のもののみを含ませもよいし、第2マスクパターン22,22x、22yのいずれか二つ以上を組み合わせたものを含ませてもよい。
【0023】
このようなマスクパターンを用いることにより、図中x方向に沿う線状形状と図中y方向に沿う線状形状とを含むカギ状形状又はL字形状のガイドパターン、図中x方向に沿う直線形状のガイドパターン、又は図中y方向に沿う直線形状のガイドパターンを形成することができる。ちなみに、一般的なカバーレイは矩形であるため、このような形状のガイドパターンが形成されていれば、カバーレイの積層工程において、カバーレイの外縁をガイドパターンとの内側縁(カバーレイの配置予定領域60A側の外縁)に当接させることができる。
【0024】
また、特に限定されないが、本実施形態では、図2に示すように、本実施形態の第2マスクパターン22は、後に行われるカバーレイの積層工程において、カバーレイの配置予定領域60Aの中心線H及び/又はPに対して線対称の位置、又はカバーレイの配置予定領域60Aの中心Qに対して点対称の位置に配置されている。このように、線対称及び/又は点対称の位置に第2マスクパターン22を配置することにより、同じく線対称及び/又は点対称の位置にガイドパターンを形成することができるので、カバーレイの積層工程において、カバーレイの位置が左右上下(xy方向)のいずれかに偏ってずれることを防止することができる。
【0025】
さらに、本実施形態において、第2マスクパターン22は、基材10の外縁に沿う領域であって、配線パターンに応じた第1マスクパターン21が形成されている所定領域Kの外側の領域に配置されている。つまり、図2に示すように、本実施形態では、基材10のy軸方向に沿う左側の外縁から距離Ta1の帯状領域及び同じく右側の外縁からTa2の帯状領域内、並びに基材10のx軸方向に沿う上側の外縁から距離Tb1の帯状領域及び同じく下側の外縁からTb2の帯状領域内に、第2マスクパターン22が形成されている。第2マスクパターン22が形成される第1マスクパターン21の外側の領域は、配線パターンを含む製品をカットした後に廃棄されるトリミング部(スクラップ部)である。このように、最終的には廃棄されるトリミング部に第2マスクパターン22を形成することにより、製品となる第1マスクパターン21のレイアウトに影響を与えることがない。
【0026】
図1に戻り、ステップS104において、図2に示すフォトマスク20を用いて、基材10の主面にエッチングレジスト層を形成する。本処理においては、感光性ドライフィルムを基材10に積層し、光を照射して現像を行う一般的なフォトレジスト手法を用いて、エッチングレジスト層を形成する。本実施形態のフォトマスク20は配線パターンに応じた第1マスクパターン21と、カバーレイの外縁の少なくとも一部に沿うガイドパターンに応じた第2マスクパターン22とを含むので、このレジスト形成工程により配線パターン用のエッチングレジスト層及びガイドパターン用のエッチングレジスト層が形成される。
【0027】
次に、ステップS105において、エッチング処理を行い、エッチングレジスト層で覆われていない領域のパネルめっき層及び導電層を除去する。エッチャントの種類やエッチングの条件については、出願時に知られた手法を適宜に用いて設定することができる。
【0028】
続くステップS106において、アルカリ性溶液などを用いてエッチングレジスト層を除去する。レジスト層の溶解液の種類や溶解の条件についても、出願時に知られた手法を適宜に用いて設定することができる。
【0029】
以上の処理を経て、ステップS107において、基材10の主面に配線パターン及びガイドパターンを形成する。
【0030】
図3に、基材10の主面に形成された配線パターン40とガイドパターン50の一例を示す。配線パターン40の形状及び位置はフォトマスク20の第1マスクパターン21に対応し、ガイドパターン50の形状及び位置はフォトマスク20の第2マスクパターン22に対応する。なお、図3に示す配線パターン40は、所望の配線パターンに応じた微細な線図が描かれる領域を概念的に示すものであり、配線パターン40の具体的な線図は特に限定されない。
【0031】
図3に示すように、本実施形態のガイドパターン50は、図中x方向に沿う線状パターン及び図中y方向に沿う線状パターンを含むカギ状又はL字形状のパターン、図中x方向に沿う直線状の線状パターン、並びに図中y方向に沿う直線状の線状パターンを含む。もちろん、ガイドパターン50は、第2マスクパターン22の態様に応じて、いずれか一つの形状のものであってもよいし、いずれか二つ以上を組み合わせたものであってもよい。
【0032】
また、図3に示すように、本実施形態のガイドパターン50は、後の工程で積層されるカバーレイの配置予定領域60Aの中心線H及び/又はPに対して線対称の位置、又は積層されるカバーレイの配置予定領域60Aの中心Qに対して点対称の位置に配置されている。このように、線対称及び/又は点対称の位置にガイドパターン50を配置することにより、カバーレイの積層工程において、カバーレイが左右上下(xy方向)のいずれかに偏ってずれることを防止することができる。
【0033】
さらに、図3に示すように、本実施形態のガイドパターン50は、基材10のy軸方向に沿う左側の外縁から距離Ta1の帯状領域及び同じく右側の外縁からTa2の帯状領域内、並びに基材10のx軸方向に沿う上側の外縁から距離Tb1の帯状領域及び同じく下側の外縁からTb2の帯状領域内に形成されている。ガイドパターン50が形成される配線パターン40の外側の領域は、配線パターン40を含む製品をカットした後に廃棄されるトリミング部(スクラップ部)である。このように、最終的には廃棄されるトリミング部にガイドパターン50を形成することにより、製品となる配線パターン40のレイアウトに影響を与えることがない。
【0034】
図4Aには、図3に示すIVA-IVA線の断面を示し、図4Bには、図3に示すIVB-IVB線の断面を示す。図4A及び図4Bに示すように、ガイドパターン50は基材10の主面から図中z方向に沿う高さhの側壁50Wを有する。この側壁50Wは、カバーレイ60の配置予定領域60A側を向いているため、後述するカバーレイ60の積層工程において、カバーレイ60の外縁と当接させることができる。
【0035】
図1に戻り、ステップS108において、配線パターン50の少なくとも一部を覆うようにカバーレイ60を積層する。基材10にカバーレイ60を積層する工程においては、ガイドパターン50の位置を目印に、図4A及び図4Bに示すガイドパターン50の側壁Wにカバーレイ60の外縁に沿う側面を突き当てて、カバーレイ60を積層する位置を決める。
【0036】
図5に、基材10の主面に配線パターン40とガイドパターン50とが形成されたプリント配線板100(半製品を含む、以下同じ)にカバーレイ60を積層した状態を示す。図示は省略するが、カバーレイ60には配線パターン40の態様に応じて欠損部(切り欠き、孔)が形成されており、配線パターン40の少なくとも一部を覆う。
【0037】
また、同図に示すように、ガイドパターン50に囲まれた領域に矩形のカバーレイ60が配置されており、カバーレイ60の外縁はガイドパターン50の内側の側壁に沿って延在している。
【0038】
図6A、図6Bは、基材10にカバーレイ60が積層された状態の断面図であり、図6Aは図5に示すVIA-VIA線の断面を示し、図6Bは図5に示すVIB-VIB線の断面を示す。カバーレイ60は厚さを有するシート状の材料であるので、その外縁に沿って側面が存在する。基材10に積層されたカバーレイ60の外縁に沿う側面は、図6A及び図6Bに示すように、ガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wに当接(面接)している。
【0039】
このように、カバーレイ60の外縁に沿う側面をガイドパターン50の側壁Wに当接(面接)させて、カバーレイ60を積層する位置を決めることができるので、簡単な方法でありながら、カバーレイ60を正確な位置に配置することができる。しかも、フォトマスク20に第2マスクパターン22を含ませるだけなので、新たなコストも生じない。
【0040】
特に限定されないが、本実施形態のカバーレイ60は、ポリイミドなどの絶縁性材料の主面に接着剤層が形成された、厚さ12.5μm〜50μm程度の薄いシート状の材料である。一般に、カバーレイ60は、薄く柔らかい材料であるため、ハンドリング性が悪く寸法安定性にも劣る。また、外力によって動きやすく、シワが発生しやすく、傷がつきやすい。さらに、一般にカバーレイ60配線パターンに応じて開口部が形成されており、さらに腰の無い状態となっている。このようなカバーレイ60を基材10に対して正確な位置に積層することは簡単ではない。
【0041】
カバーレイ60の積層後は、真空熱プレス処理、外形加工(製品抜き)、さらに、必要に応じて保護層の形成、金めっき処理、部品の実装、多層積層などの後処理工程を行う。
【0042】
以上のとおり、本実施形態のプリント配線板の製造方法によれば、カバーレイ60の積層工程において、カバーレイ60の外縁に沿う側面をガイドパターン50の側壁Wに当接させて、カバーレイ60の積層位置を決めることができるので、コストをかけることなく簡易な手法で、基材及びカバーレイの位置合せを行うことができる。
【0043】
従来技術のように、撮像装置を用いてカバーレイの位置合わせを行う装置は高価であり、導入する際の立ち上げ作業及び条件設定にも大きな時間的、金銭的なコストがかかる。また、装置自体が大きいため、広いスペースの確保が必要であり、ラインの運用コストを上昇させる。これに対して、本実施形態のプリント配線板の製造方法はフォトマスクにガイドパターン用のマスクパターンを含ませればよいだけであるので、新たなコストを発生させることなく、簡単な手法でカバーレイの位置合せを正確に行うことができる。
【0044】
<第2実施形態>
第2実施形態においては、配線パターンの形成手法の一つである、いわゆるセミアディティブ法を採用した場合におけるプリント配線板の製造方法を例にして説明する。ここでは重複した説明を避けるため、異なる点を中心に説明し、共通する部分については第1実施形態における説明を援用する。
【0045】
図7は、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。図7に示すように、本発明に係る本実施形態のプリント配線板の製造方法は、基材の主面に配線パターンを形成する工程Aと、配線パターンの少なくとも一部を覆うようにカバーレイを積層する工程Bとを備える。
【0046】
図7に示すように、本実施形態のプリント配線板の製造方法では、まず、ステップS201において、ポリイミドなどの絶縁性基材を準備し、必要に応じてスルーホール用の孔を形成し、粗面化、触媒化を行う。ステップS202において、無電解銅めっきを施して導電層を形成する。
【0047】
そして、ステップS203において、第1実施形態と同様に、図2に示す配線パターンに応じた第1マスクパターン21と、ガイドパターンに応じた第2マスクパターン22とを含むフォトマスク20を準備する。
【0048】
続いて、ステップS204において、準備したフォトマスク20を用いて配線パターン用のめっきレジスト層及びガイドパターン用のめっきレジスト層を形成する。
【0049】
ステップS205では、めっきレジスト層が形成された基材10の主面に電解銅メッキなどのめっき処理を行い、めっきレジスト層に覆われていない部分にめっき層を形成する。
【0050】
そして、ステップS206において、めっきレジスト層を除去し、続くステップS207において、第1実施形態と同様の図3及び図4に示す配線パターン40及びガイドパターン50を形成する。
【0051】
次のステップS208において、第1実施形態と同様に、図5に示すように、カバーレイ60の外縁に沿う側面をガイドパターン50の側壁Wに当接させて、カバーレイ60を積層する位置を決める。このとき、図6A及び図6Bに示すように、基材10に積層されたカバーレイ60の外縁に沿う側面は、ガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wに対向している。
【0052】
以上のとおり、本実施形態のプリント配線板の製造方法では、セミアディティブ法を用いた場合であっても、第1実施形態のプリント配線板の製造方法と同様の作用及び効果を奏する。
【0053】
さらに、本実施形態ではセミアディティブ法を用いるので、ガイドパターン50を電解銅めっきなどのめっき処理により形成することができる。これにより、図4Aに示すガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wを、基材10の主面に対して略垂直に形成することができるので、カバーレイ60の外縁に沿う側面と、ガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wとが、基材10の主面に対して垂直な面に沿って面接させることができる。この結果、ガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wが基材10の主面に対して斜めになっている場合よりも高い精度で位置合せを行うことができる。
【0054】
<第3実施形態>
第3実施形態においては、配線パターンの形成手法の一つである、いわゆるサブトラクティブ法のパターンめっき法を採用した場合におけるプリント配線板の製造方法を例にして説明する。ここでは重複した説明を避けるため、異なる点を中心に説明し、共通する部分については第1実施形態における説明を援用する。
【0055】
図8は、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法を示す工程図である。図8に示すように、本発明に係る本実施形態のプリント配線板の製造方法は、基材の主面に配線パターンを形成する工程Aと、配線パターンの少なくとも一部を覆うようにカバーレイを積層する工程Bとを備える。
【0056】
図8に示すように、本実施形態のプリント配線板の製造方法では、まず、ステップS301において、ポリイミドなどの絶縁性基材の両主面に銅箔が張り付けられた銅張積層材料(CCL)を準備する。この絶縁性基材の両面に形成されている銅箔が、本発明における導電層として機能する。必要に応じてスルーホール用の孔を形成し、デスミア処理などを行い、無電解銅めっきを施す。
【0057】
そして、ステップS303において、第1実施形態と同様に、図2に示す配線パターンに応じた第1マスクパターン21と、ガイドパターンに応じた第2マスクパターン22とを含むフォトマスク20を準備する。
【0058】
続いて、ステップS304において、準備したフォトマスク20を用いてステップS204において、配線パターン用のめっきレジスト層及びガイドパターン用のめっきレジスト層を形成する。具体的に、感光性のドライフィルムを貼り付けて、光を照射し、未硬化のドライフィルムを除去してめっきレジスト層を形成する。
【0059】
ステップS305では、めっきレジスト層が形成された基材10の主面に電解銅メッキなどにより、めっきレジスト層に覆われていない部分にめっき層を形成し、パターンめっき処理を行う。
【0060】
必要に応じて、ステップS306において、次のエッチングにおいてパターンが溶解されないように、レジスト金属めっきを行う。レジスト金属としては、スズ又は鉛を用いることができる。
【0061】
ステップS307においてめっきレジストを剥離し、ステップS308においてエッチング処理を行う。また、必要に応じてレジスト金属により形成されたレジストめっき層を剥離する。
【0062】
これにより、ステップS309において、第1実施形態と同様に、図3及び図4に示す配線パターン40及びガイドパターン50が形成される。
【0063】
続くステップS310において、第1実施形態と同様に、図5に示すようにカバーレイ60の外縁に沿う側面をガイドパターン50の側壁Wに当接させて、カバーレイ60を積層する位置を決める。また、本実施形態においても、図6A及び図6Bに示すように、基材10に積層されたカバーレイ60の外縁に沿う側面が、ガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wに対向している。
【0064】
以上のとおり、本実施形態のプリント配線板の製造方法では、サブトラクティブ法のパターンめっき法を用いた場合であっても、第1実施形態のプリント配線板の製造方法と同様の作用及び効果を奏する。
【0065】
さらに、本実施形態ではサブトラクティブ法のパターンめっき法を用いるので、ガイドパターン50を電解銅めっきなどのめっき処理により形成することができる。これにより、図4Aに示すガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wを、基材10の主面に対して垂直に形成することができるので、カバーレイ60の外縁に沿う側面と、ガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wとが、基材10の主面に対して垂直な面に沿って対向させることができるので、ガイドパターン50の内側縁に沿う側面50Wが基材10の主面に対して斜めになっている場合よりも高い精度で位置合せを行うことができる。
【0066】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0067】
以上説明した実施形態のプリント配線板100の製造方法を実施するにあたって用いられる各部材、基材10、フォトマスク20、レジスト層(ドライフィルム)、めっき用金属、カバーレイ60は、プリント配線板の製造のために出願時においてに利用されている部材を適宜に用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
100…プリント配線板,プリント配線板の半製品
10…基材
11…導電層
20…フォトマスク
21…第1マスクパターン(配線パターン用のマスクパターン)
22…第2マスクパターン(ガイドパターン用のマスクパターン)
30…レジスト層
31…エッチングレジスト層
32…めっきレジスト層
40…配線パターン
50…ガイドパターン
50W…(ガイドパターンの)側壁
60…カバーレイ
60A…カバーレイの配置予定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電層が形成された基材の主面に配線パターンを形成する工程と、前記配線パターンの少なくとも一部を覆うようにカバーレイを積層する工程と、を備えるプリント配線板の製造方法において、
前記配線パターンを形成する工程は、
前記基材の主面にめっき層を形成するめっき工程と、
前記配線パターンに応じた第1マスクパターンと、前記カバーレイの外縁の少なくとも一部に沿うように配置されるガイドパターンに応じた第2マスクパターンとを含むフォトマスクを用いて前記基材の主面にエッチングレジスト層を形成するレジスト形成工程と、を含むことを特徴とする配線パターンの製造方法。
【請求項2】
導電層が形成された基材の主面に配線パターンを形成する工程と、前記配線パターンの少なくとも一部を覆うようにカバーレイを積層する工程と、を備えるプリント配線板の製造方法において、
前記配線パターンを形成する工程は、
前記配線パターンに応じた第1マスクパターンと、前記カバーレイの外縁の少なくとも一部に沿うように配置されるガイドパターンに応じた第2マスクパターンとを含むフォトマスクを用いて前記基材の主面にめっきレジスト層を形成するレジスト形成工程と、
前記めっきレジスト層が形成された基材の主面にめっきをし、めっき層による前記配線パターン及び前記ガイドパターンを形成するめっき工程と、を含むことを特徴とする配線パターンの製造方法。
【請求項3】
前記第2マスクパターンは、互いに垂直に交わる2方向に沿う線状パターンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の配線パターンの製造方法。
【請求項4】
前記第2マスクパターンは、前記カバーレイを積層する工程において、当該積層されるカバーレイの中心線に対して線対称、又は前記積層されるカバーレイの中心に対して点対称の線形であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の配線パターンの製造方法。
【請求項5】
前記第2マスクパターンは、前記基材の外縁に沿う領域であって、前記配線パターンに応じた第1マスクパターンが形成されている領域以外の領域に配置されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の配線パターンの製造方法。
【請求項6】
前記カバーレイを積層する工程において、
前記カバーレイの外縁に沿う側面が、前記ガイドパターンの内側縁に沿う側面に対向するように、前記カバーレイを前記基材に積層することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の配線パターンの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate