プリント配線板
【課題】 小型軽量のチップコンデンサを確実に実装できる多層プリント配線板を提供する。
【解決手段】 チップコンデンサを搭載するためのパッド58up、58umは、レーザにより形成される開口151uにより露出される。即ち、形状性に優れるレーザにより開口を形成することでパッドの形状が略同一になる。従って、チップコンデンサのプラス端子に接続するパッド58upと、チップコンデンサのマイナス端子に接続するパッド58umとで、半田量及び半田濡れ性が略同等になる。このため、マンハッタン現象が生じ難い。
【解決手段】 チップコンデンサを搭載するためのパッド58up、58umは、レーザにより形成される開口151uにより露出される。即ち、形状性に優れるレーザにより開口を形成することでパッドの形状が略同一になる。従って、チップコンデンサのプラス端子に接続するパッド58upと、チップコンデンサのマイナス端子に接続するパッド58umとで、半田量及び半田濡れ性が略同等になる。このため、マンハッタン現象が生じ難い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップとチップコンデンサを実装するためのプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はソルダーレジスト層を有しないビルドアップ多層配線板を開示している。特許文献1では最外層のビルドアップ樹脂絶縁層がソルダーレジスト層として機能し、その最外層のビルドアップ樹脂絶縁層に外部接続端子としてのパッドが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−63904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高集積化に対応させるため、表面に実装するチップコンデンサは小型化、軽量化している。しかしながら、特許文献1に開示されている導電パッドに軽いチップコンデンサを実装させると、プラス端子、アース端子のいずれか一方のみ導電パッドに接続し、他方が離れてしまいチップコンデンサが傾くという、所謂マンハッタン現象が生じ易くなると考えられる。ここで、マンハッタン現象が発生すると、パッケージ基板用のキャップが填められなくなり、実装が不可能になる。
【0005】
[目的]
本発明の目的は、小型軽量のチップコンデンサを確実に実装できるプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係るプリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層上に形成されていてビア導体用のパッドとチップコンデンサを実装するためのパッドとを含む導体層と、前記絶縁層と前記導体層上に形成されていて、前記ビア導体用のパッドに至るバイアホールと前記チップコンデンサ用のパッドを露出する開口を有する最外樹脂絶縁層と、前記バイアホールに形成されているビア導体と該ビア導体から延びていて前記最外樹脂絶縁層上に形成されているランドとで形成されている電極と、前記電極上に形成されていてICを搭載するための半田バンプと、前記チップコンデンサを実装するためのパッド上に形成されている半田とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図2】本発明の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図3】本発明の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図4】本発明の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図5】本発明の実施形態に係るプリント配線板の断面図。
【図6】本発明の実施形態に係るプリント配線板の断面図。
【図7】本発明の実施形態のプリント配線板にチップコンデンサが実装されている状態を示す図。
【図8】本発明の実施形態のプリント配線板にICチップが搭載されている状態を示す図。
【図9】図9(A)はチップコンデンサの平面図であり、図9(B)は側面図である。図9(C)、図9(D)は、最外層の層間樹脂絶縁層の平面図である。
【図10】別の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図11】別の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図12】別の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図13】従来技術に係る多層プリント配線板の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
高集積化のため、プリント配線板の表面に実装されるチップコンデンサは小型化、軽量化している。特許文献1に開示されているパッドに軽いチップコンデンサが半田で実装されると、チップコンデンサのプラス端子、アース端子(マイナス端子)のいずれか一方はパッドに半田で接続されるが、他方はパッドに接続されないケースが発生すると考えられる。所謂、マンハッタン現象が発生すると考えられる。
【0009】
マンハッタン現象が生じる理由は次のように考えられる。
パッドは、セミアディティブ法又はサブトラクティブ法で、エッチング処理を経て形成される。エッチング処理でパッドが形成される場合、各パッドでエッチング量を均一にすることは困難なので、チップコンデンサのプラス端子と接続するためのパッド(プラスパッド)と、マイナス端子と接続するためのパッド(マイナスパッド)とを同形状に形成することは難しい。チップコンデンサの実装は、先ず、パッド上に半田が形成される。続いて、プラスパッドに形成されている半田上にチップコンデンサのプラス端子が載せられ、マイナスパッドに形成されている半田上にチップコンデンサのマイナス端子が載せられる。その後、リフローを行うことで、パッド上に半田を介してチップコンデンサが実装される。プラスパッドとマイナスパッドの大さが異なると、それぞれのパッドで半田量、半田の濡れ性が異なると考えられる。その違いにより、チップコンデンサのプラス端子、マイナス端子のいずれか一方のみがパッドに接続し、他方がパッドに接続しない現象が発生すると考えられる。
【0010】
最外樹脂絶縁層から露出しているパッドにチップコンデンサが半田を介してリフローにより実装される時、半田はパッドの上面と同時に側面へ濡れ広がると考えられる。パッドの上面と側面が露出しているとパッドの高さや形状がそれぞれのパッドで異なり易いと考えられる。そのため、各パッドで半田が濡れ拡がる速度は異なると考えられる。これも、マンハッタン現象の原因と考えられる。
【0011】
[実施形態]
次に、本発明の実施形態に係るプリント配線板10の構成について、図1〜図8を参照して説明する。図6は該プリント配線板10の断面図を示す。図7は、図6に示されているプリント配線板10にチップコンデンサ94が実装されている状態を示している。図8は、プリント配線板10にICチップ90とチップコンデンサ94が実装されている状態を示している。図6に示すように、プリント配線板10は、コア基板30とコア基板の表面と裏面に形成されている導体回路34とスルーホール導体36を有する。スルーホール導体36は、コア基板30の表面の導体回路と裏面の導体回路とを接続している。コア基板30の表面(第1面)に第1の下層樹脂絶縁層50Aが形成されていて、コア基板の裏面(第2面)に第2の下層樹脂絶縁層50Bが形成されている。コア基板の裏面はコア基板の表面と反対側の面である。第1の下層樹脂絶縁層50A上に複数の第1の上層の導体回路58Aと複数のビア導体用のパッド58Vと複数のチップコンデンサを実装するためのパッド(チップコンデンサ用パッド)58U(58up、58um)とを含む第1の上層の導体層58が形成されている。第1の下層樹脂絶縁層50Aに第1の下層ビア導体60Aが形成されていて、コア基板の表面上の導体回路と第1の上層の導体層は第1の下層ビア導体60Aにより接続されている。第2の下層樹脂絶縁層50B上に複数の第2の上層の導体回路580Bを含む第2の上層の導体層580が形成されている。第2の下層樹脂絶縁層50Bに第2の下層ビア導体60Bが形成されていて、コア基板の裏面上の導体回路と第2の上層の導体回路は第2の下層ビア導体60Bにより接続されている。
【0012】
第1の下層樹脂絶縁層50Aと第1の上層の導体層上に上層の最外樹脂絶縁層150Aが形成されている。上層の最外樹脂絶縁層150Aはビア導体用のパッド58Vを部分的に露出するバイアホール151cAとチップコンデンサ用パッド58Uを露出する開口151uを有している。ビア導体用のパッド58Vの形状としては円が好ましく、その直径は40μmから100μmである。チップコンデンサ用パッド58Uの形状としては矩形が好ましく、一方の長さは0.21mmから0.4mmであり、もう一方の長さは0.325mmから1.305mmである。
【0013】
第2の下層樹脂絶縁層50Bと第2の上層の導体層580上に下層の最外樹脂絶縁層150Bが形成されている。下層の最外樹脂絶縁層150Bは第2の上層の導体回路580Bに至るバイアホール151dを有している。バイアホール151dにより露出する第2の上層の導体回路580Bはマザーボードと接続するための半田バンプやピンを搭載するための外部電極として機能する。外部電極に半田バンプ76Dやピンが搭載される。
【0014】
上層の最外樹脂絶縁層150A上にランド(上層の最外樹脂絶縁層上のランド)158Lが形成されている。ランド158Lとビア導体用のパッド58Vはバイアホール151cAに形成されているビア導体で接続される。ビア導体はバイアホール151cを導体で充填しているフィルドビアとバイアホール151cの内壁を導体で覆っているコンフォーマルビアを含む。図6ではランド158Lとパッド58Vはビア導体(フィルドビア)160Aで接続されている。ランドはビア導体の回りに形成されランドとビア導体は直接接続している(ランドはビア導体から延びている)。図6では、ランド158Lはフィルドビア160Aの周りに形成され、ランド158Lとフィルドビア160Aは直接接続している。ランド158Lはフィルドビア160Aから延びている。ビア導体160Aの上面とランド158Lの上面またはビア導体160Aの上面とランド158Lの上面とランド158Lの側面がICなどの電子部品を搭載するための電極158として機能する。電極に半田バンプ76Uが形成されている。チップコンデンサ用パッド58Uに半田76Cが形成されている。
電極上に形成される半田はPbフリーバンプが望ましい。実施形態では、半田バンプがソルダーレジスト層などの樹脂層と接していない。そのため、クラックが入り易いPbフリーバンプでICチップを実装することができる。
チップコンデンサ用パッドの上面や電極の露出面や外部電極の上面にOSPやSn膜などの保護膜を形成することができる。
ビア導体がフィルドビアの時、フィルドビアの上面とランドの上面は略同一平面に位置する。
【0015】
図7に示すようにチップコンデンサ用パッド58U上の半田76Cを介してチップコンデンサ94が実装される。図9(A)は該チップコンデンサの平面図を、図9(B)は側面図を示す。図7に示されているチップコンデンサの図は、図9(A)のチップコンデンサをCの方向から観察することで得られる断面図である。チップコンデンサは、プラス端子96Pとマイナス端子96Mとを備え、サイズが長さL:0.60mmから2.00mm、幅W:0.30mmから1.25mm、高さH:0.3mmから0.5mmと小型化されており、重量が軽いためリフローによる実装が難しくなっている。図9(D)は、上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成されている開口(チップコンデンサ用パッドを露出するための開口)151uとチップコンデンサ用パッド58Uを拡大して示す平面図である。この図ではチップコンデンサ用パッドや導体パターン58Pが矩形の例である。この例は矩形であるが、図9(C)に示すようにチップコンデンサ用パッドと導体パターンの形状として円形であることも可能である。チップコンデンサ用パッドはその周りを導体で取り囲まれている。チップコンデンサ用パッドとその周りを囲んでいる導体で所定形状の導体パターン58Pが形成され、導体パターンの外周は上層の最外樹脂絶縁層150Aで覆われている。チップコンデンサ用パッドの周りの導体は上層の最外樹脂絶縁層150Aで覆われている。つまり、チップコンデンサ用パッドは導体パターンの内、開口151uにより外部に露出している部分である。コンデンサ用パッドを含む導体パターンは第1の上層の導体層に含まれる。開口151uはレーザまたは露光・現状処理により形成される。レーザなどの光を用いて開口151uを形成するため、開口の大きさを所望の大きさに制御することが可能になる。そのため、開口151uにより露出される導体パターン58Pの部分の大きさは所定の大きさとすることができる。各チップコンデンサ用パッド58Uの大きさが所定の大きさになる。エッチング液で導体をエッチングすることでチップコンデンサ用パッドが形成される場合、各チップコンデンサ用パッドでエッチング量を同じにすることは困難である。即ち、エッチング処理でチップコンデンサ用パッドが形成される場合、各チップコンデンサ用パッドの大きさが異なり易い。エッチング処理よりチップコンデンサ用パッドを形成する方法に比べ実施形態の方法はチップコンデンサ用パッドの大きさを制御する点で優れる。即ち、実施形態では各チップコンデンサ用パッドで半田の濡れ性の差が特開2004−63904号公報に比べ小さいと考えられる。そのため、実施形態のプリント配線板は小さなチップコンデンサや軽いチップコンデンサを実装するためのプリント配線板に適している。実施形態のプリント配線板ではマンハッタン現象が起こりにくい。開口151uはレーザにより形成されることが好ましい。なぜなら、レーザは露光・現像より多くの材料に開口151uを形成することができるからである。チップコンデンサ用パッド58Uはチップコンデンサのプラス端子接続用のプラス端子用パッド58upと、マイナス端子用パッド58umとを有する。半田76Cを介してプラス端子用パッド58upにチップコンデンサのプラス端子96Pが接続され、マイナス端子用パッド58umに半田76Cを介してチップコンデンサのマイナス端子96Mが接続される。
【0016】
図8に示すように、上層の最外樹脂絶縁層150Aから露出している電極158に形成されている半田バンプ76Uを介してICチップ90の端子92が接続されている。電極158の上面は上層の最外樹脂絶縁層150Aから突出している。
【0017】
実施形態のプリント配線板10では、電極158を部分的に露出すると共に電極の外周を覆うソルダーレジスト層が設けられていない。上層の最外樹脂絶縁層150Aから露出している電極158に半田バンプ76Uが形成されている。
【0018】
図13に上層の最外樹脂絶縁層5000と上層の最外樹脂絶縁層5000上に形成されている電極5800と電極を部分的に露出している開口202aを有するソルダーレジスト層202とソルダーレジスト層の開口202aにより露出している電極上に形成されている半田バンプ7600とを有するプリント配線板が示されている。図13に示されているソルダーレジスト202は電極5800の全外周を覆っている。この例では、ソルダーレジストの側壁と電極5800上の半田バンプ7600が接触している。プリント配線板が収縮することでソルダーレジスト層の開口の上端に集中する応力が電極上の半田バンプにストレスを与えると考えられる。そのため、図13に示されているようなソルダーレジスト層を有するプリント配線板では、半田バンプ7600にクラック204が発生しやすいと考えられる。クラックの例が図13の半田バンプ内に示されている。しかしながら、実施形態は、図13に示すようなソルダーレジスト層を有していないので、半田バンプ76Uにクラックが発生し難い。
【0019】
実施形態では、チップコンデンサのプラス端子に接続するチップコンデンサ用パッド58upと、チップコンデンサのマイナス端子に接続するチップコンデンサ用パッド58umとで、半田量及び半田の濡れ性が略等しくなる。このため、従来技術(特許文献1)のパッド(導電パッド)にチップコンデンサが搭載される場合に比べ、マンハッタン現象が生じ難い。なお、チップコンデンサ用パッド58up、58umは、ICチップを実装するための電極158と比べて上面の面積が大きい。即ち、チップコンデンサ用パッド58up、58um上に形成される半田の量は、電極158上に形成される半田の量より多い。また、チップコンデンサ用パッドは大きいため、半田が最外の樹脂絶縁層の上端に接する可能性が低い。そのため、チップコンデンサパッドが最外の樹脂絶縁層から露出していなくても、チップコンデンサ用パッド58up、58um上の半田76C内には、クラックが入り難い。
【0020】
引き続き、図6のプリント配線板10の製造方法について図1〜図6を参照して説明する。
(1)エポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂とガラスクロス等の芯材で形成されている絶縁性基板30が準備される。絶縁性基板30がプリント配線板のコアに相当する。この絶縁性基板30の両面に3〜12μmの銅箔32がラミネートされる(図1(A))。図1Aに示されている基板は銅張積層板30Aである。まず、レーザを照射しスルーホール導体用貫通孔28が形成される(図1(B))。スルーホール導体用の貫通孔はストレート形状であっても砂時計形状であってもよい(図10(B))。スルーホール導体用の貫通孔がストレート形状の場合、ドリルにより貫通孔を形成することができる。砂時計形状の場合、絶縁性基板の第1面側からレーザが照射され、続いて絶縁性基板の第2面側からレーザが照射されることで形成することができる。
【0021】
(2)スルーホール導体用貫通孔を有する銅張積層板30Aに無電解銅めっきを施すことにより、銅張積層板30Aの表面及びスルーホール導体用貫通孔28の側壁に厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜26が形成される(図1(C):図10(C))。
【0022】
(3)電解めっきにより、スルーホール導体用貫通孔28内、及び、銅張積層板30Aの表面に電解銅めっき膜24が形成される(図1(D))。スルーホール導体用貫通孔を銅などの電解めっき膜で充填することができる。スルーホール導体用貫通孔が砂時計形状であって、スルーホール導体用貫通孔は電解めっき膜で充填されていることが好ましい。
【0023】
(4)電解銅めっき膜24上に所定パターンのエッチングレジスト33が形成される(図1(E))。
【0024】
(5)エッチングレジスト33から露出している導体がエッチング液にて除去される。その後、エッチングレジスト33が除去される。スルーホールランド36cを含む導体回路34が形成される(図2(A))。
【0025】
(6)基板30の表面(第1面)及び裏面(第2面)に、樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)が積層され、硬化されることで下層樹脂絶縁層50A、50Bが形成される(図2(B))。
【0026】
(7)下層樹脂絶縁層50A、50Bにバイアホール51が形成される(図2(C))。
【0027】
(8)下層樹脂絶縁層50A、50Bの表面に触媒が付与される。
【0028】
(9)次に、上村工業社製の無電解銅めっき水溶液(スルカップPEA)中に、基板が浸漬される。バイアホール51の内壁を含む下層樹脂絶縁層50A、50Bの表面に無電解銅めっき膜52が形成される(図2(D))。
【0029】
(10)無電解銅めっき膜52上に厚さ25μmのめっきレジスト54が形成される(図3(A))。
【0030】
(11)電解めっきによりめっきレジスト54から露出している無電解めっき膜52上に厚さ15μmの電解銅めっき膜56が形成される(図3(B))。
【0031】
(12)さらに、めっきレジスト54を除去することで露出する無電解めっき膜(電解めっき膜間の無電解めっき膜)がエッチング処理で除去される。導体層58、580及びビア導体60(60A、60B)が形成される(図3(C))。第1の上層の導体層58は複数の導体パターン58Pと複数のビア導体用のパッド58Vを有している。各導体パターンはチップコンデンサ用パッド58Uとチップコンデンサ用パッドを囲む導体を含んでいる。チップコンデンサ用パッドとチップコンデンサ用パッドを囲む導体は同じ材質で形成されている。
【0032】
(13)次に、上記(6)と同様に下層樹脂絶縁層50A、50B上に、樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)が積層され硬化されることで最外樹脂絶縁層150A、150Bが形成される(図11(A))。
【0033】
(14)レーザにて、上層の最外樹脂絶縁層150Aにバイアホール151cAとチップコンデンサ用パッドを露出するための開口151uが形成される。バイアホール151cAは上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しビア導体用のパッド58Vに至っている。開口151uは上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通し導体パターン58Pに至っている。チップコンデンサ用パッド58Uが開口151uにより露出される。下層の最外樹脂絶縁層150Bに第2の上層の導体回路580Bに至るバイアホール151dが形成される。バイアホール151dにより露出される第2の上層の導体回路580Bの部分が外部電極として機能する(図11(B))。
【0034】
(15)開口151uとバイアホール151d上にフィルム154が被覆されることで、開口151uとバイアホール151dはフィルム154で覆われる(図11(C))。
【0035】
(16)上述の(8)〜(12)と同様な処理により、上層の最外樹脂絶縁層150A上にランド158Lが形成され、上層の最外樹脂絶縁層150Aのバイアホール151cA内にビア導体160Aが形成される。ランドはビア導体を囲んでいて、ビア導体とランドは直接接続している。ビア導体とランドで形成されている電極158が形成される(図12(A))。電極を構成しているビア導体がフィルドビアの場合、フィルドビアの上面はバイアホールから突出していて、フィルドビア160Aの上面とランド158Lの上面は略同一平面に位置している。上層の最外樹脂絶縁層150Aの上面はランド以外露出している。上層の最外樹脂絶縁層150Aの上面に形成されている導体回路はランド158Lのみである。
【0036】
(17)フィルム154が除去され開口151uを介してチップコンデンサ用パッドが露出される。また、バイアホール151dを介して外部電極が露出される(図12(B))。電極の上面とチップコンデンサ用パッドの上面と外部電極の上面に保護膜が形成される。電極に関しては、上面と側面に保護膜が形成されてもよい。保護膜は、OSP(有機保護膜)、Sn膜、Ni/Au膜、Ni/Pd/Au膜などから選択される。これらの中で、最外樹脂絶縁層から突出している電極と凹んでいるチップコンデンサ用パッドに同時に均一に保護膜を形成できる点からOSPやSn膜が好ましい。
【0037】
(18)外部電極上に半田ボールが搭載され、リフローを行うことで、外部電極上にマザーボードと接続するための半田バンプ76Dが形成される(図5(C))。
【0038】
(19)電極上に半田ペーストが印刷され、リフローを行うことで、電極上にICを搭載するための半田バンプ76Uが形成される(図5(D))。
【0039】
(20)チップコンデンサ用パッド上に半田ペーストが印刷され、リフローを行うことでチップコンデンサ用パッド上にチップコンデンサを搭載するための半田76Cが形成される(図6)。
【0040】
(21)半田76C上にチップコンデンサ94のプラス端子96P、マイナス端子96Mを接触させリフローを行うことで、半田76Cを介してプラス端子用パッド58upにチップコンデンサのプラス端子96Pが接続され、マイナス端子用パッド58umにチップコンデンサのマイナス端子96Mが接続される(図7)。
【0041】
(22)電極158上の半田バンプ76UにICチップ90の端子92が搭載され、リフローを行うことで、ICチップ90が実装される(図8)。
【0042】
[実施形態の改変例]
実施形態の改変例のプリント配線板は実施形態のプリント配線板と略同様である。実施形態の改変例の製造方法によれば、実施形態の(13)までの工程によりコア基板上に最外樹脂絶縁層150A、150Bが形成される(図3(D))。その後、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しビア導体用のパッド58Vに至るバイアホール151cAが上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成される。この時、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しチップコンデンサ用パッドに至る開口は上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成されない。また、下層の最外樹脂絶縁層150Bを貫通し第2の上層の導体回路58Bに至るバイアホールも下層の最外樹脂絶縁層150Bに形成されない。
【0043】
続いて、実施形態の(8)〜(12)と同様な処理により、電極が形成される(図4(A)〜図4(D))。このとき、下層の最外樹脂絶縁層150B上の無電解銅めっき膜152Bは、電解めっき膜が形成される時、めっきレジスト155Dで覆われている(図4(B)、図4(C))。下層の層間樹脂絶縁層上の無電解銅めっき膜152Bは電極間の無電解銅めっき膜152Aと同時に除去される。
【0044】
その後、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しチップコンデンサ用パッドに至る開口151uが上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成される。また、下層の最外樹脂絶縁層150Bを貫通し第2の上層の導体回路58Bに至るバイアホール151dが下層の最外樹脂絶縁層150Bに形成される(図5(A))。
【0045】
続いて、電極の上面とチップコンデンサ用パッドの上面と外部電極の上面に保護膜が形成される。電極に関しては、上面と側面に保護膜72が形成されてもよい。保護膜としては実施形態と同様な材料を用いることができる(図5(B))。
【0046】
その後、実施形態の(18)から(22)と同様な処理(図5(C)、図5(D)、図6、図7)により半田バンプや半田を介して実施形態の改変例のプリント配線板にICチップやチップコンデンサが実装される(図8)。
【0047】
[実施形態の改変例2]
実施形態の改変例2のプリント配線板は実施形態のプリント配線板と略同様である。
実施形態の改変例2の製造方法によれば、実施形態の(13)までの工程によりコア基板上に最外樹脂絶縁層150A、150Bが形成される(図11(A))。
その後、マスクを用い、露光・現像により、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しビア導体用のパッド58Vに至るバイアホールとチップコンデンサ用パッドに至る開口が上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成される。同様に、露光・現像により、下層の最外樹脂絶縁層150Bを貫通し第2の上層の導体回路580Bに至るバイアホール151dが下層の最外樹脂絶縁層150Bに形成される。
【0048】
その後、実施形態の(15)〜(16)の処理により、半田バンプや半田を介して実施形態の改変例2のプリント配線板にICチップやチップコンデンサが実装される(図8)。
【0049】
スルーホール導体用貫通孔がストレート形状であっても上述の実施形態または実施形態の改変例または実施形態の改変例2の方法により図6と同様なプリント配線板を製造することができる。
【0050】
[実施例]
(1)0.6mm厚みのガラスエポキシ樹脂と5μm厚みの銅箔で形成されている銅張積層板が出発材料として準備される(図1(A))。コア基板の表面からと裏面からレーザが照射される。砂時計形状のスルーホール導体用貫通孔28が形成される(図1(B))。この貫通孔はコア基板の表面から裏面に向かって徐々に細くなる第1開口とコア基板の裏面から表面に向かって徐々に細くなる第2開口で形成されている。第1開口と第2開口はコア基板の内部で繋がっている。実施形態、実施形態の改変例、実施形態の改変例2に示されている貫通孔も実施例と同様な方法で形成される。
【0051】
(2)スルーホール導体用貫通孔を有する銅張積層板30Aに無電解銅めっきを施すことにより、銅張積層板30Aの表面及びスルーホール導体用貫通孔28の側壁に厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜26が形成される(図1(C))。
【0052】
(3)電解めっきにより、スルーホール導体用貫通孔28内、及び、銅張積層板30Aの表面に電解銅めっき膜24が形成される(図1(D))。この時、スルーホール導体用貫通孔は電解銅めっきで充填される。
【0053】
(4)電解銅めっき膜24上に所定パターンのエッチングレジスト33が形成される(図1(E))。
【0054】
(5)エッチングレジスト33から露出している導体がエッチング液にて除去される。その後、エッチングレジスト33が除去される。スルーホールランド36cを含む導体回路34が形成される(図2(A))。
【0055】
(6)基板30の表面(第1面)及び裏面(第2面)に、樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)が積層され、硬化されることで下層樹脂絶縁層50A、50Bが形成される(図2(B))。
【0056】
(7)CO2 ガスレーザにて、下層樹脂絶縁層50A、50Bにバイアホール51が形成される(図2(C))。
【0057】
(8)下層樹脂絶縁層50A、50Bの表面に触媒が付与される。
【0058】
(9)次に、上村工業社製の無電解銅めっき水溶液(スルカップPEA)中に、基板が浸漬される。バイアホール51の内壁を含む下層樹脂絶縁層50A、50Bの表面に無電解銅めっき膜52が形成される(図2(D))。
【0059】
(10)無電解銅めっき膜52上に厚さ25μmのめっきレジスト54が形成される(図3(A))。
【0060】
(11)電解めっきによりめっきレジスト54から露出している無電解銅めっき膜52上に厚さ15μmの電解銅めっき膜56が形成される(図3(B))。
【0061】
(12)さらに、めっきレジスト54を除去することで露出する無電解めっき膜(電解めっき膜間の無電解めっき膜)がエッチング処理で除去される。導体層58、580及びビア導体60が形成される(図3(C))。導体層58は複数の導体パターン58Pと複数のビア導体用のパッド58Vを有している。各導体パターンはチップコンデンサ用パッドとチップコンデンサ用パッドを囲む導体を含んでいる。チップコンデンサ用パッドとチップコンデンサ用パッドを囲む導体は銅で形成されている。
【0062】
(13)次に、上記(6)と同様に下層樹脂絶縁層50A、50B上に、樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)が積層され硬化されることで最外樹脂絶縁層150A、150Bが形成される(図3(D))。
【0063】
(14)CO2レーザにて、上層の最外樹脂絶縁層150Aにビア導体用のパッドに至るバイアホール151cAが形成される(図3(E))。
【0064】
(15)最外樹脂絶縁層150A、150Bの表面に触媒が付与される。
【0065】
(9)次に、上村工業社製の無電解銅めっき水溶液(スルカップPEA)中に、基板が浸漬される。バイアホール151cAの内壁を含む上層の最外樹脂絶縁層150Aと下層の最外樹脂絶縁層150Bの表面に無電解銅めっき膜152A、152Bが形成される(図4(A))。
【0066】
(10)無電解銅めっき膜152上に厚さ25μmのめっきレジスト155(155U、155D)が形成される。上層の最外樹脂絶縁層150A上のめっきレジスト155Uは無電解銅めっき膜152を部分的に露出するための所定のパターンを有する。下層の最外樹脂絶縁層150B上のめっきレジスト155Dは下層の最外樹脂絶縁層150B上の無電解銅めっき膜152Bを覆っている(図4(B))。
【0067】
(11)電解めっきによりめっきレジスト154Uから露出している無電解銅めっき膜152A上に厚さ15μmの電解銅めっき膜156が形成される(図4(C))。
【0068】
(12)さらに、めっきレジスト155を除去することで露出する無電解めっき膜152(152A、152B)がエッチング処理で除去される。電極158が形成される(図4(D))。
【0069】
(13)CO2レーザにより、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通し導体パターンに至る開口151uが上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成される(図5(A))。チップコンデンサ用パッドの形状は矩形でそのサイズは0.21×0.4mmである。
【0070】
(14)CO2レーザにより、下層の最外樹脂絶縁層150Bを貫通し第2の上層の導体回路580Bに至るバイアホール151dが下層の最外樹脂絶縁層150Bに形成される(図5(A))。
【0071】
(15)電極の上面と側面、チップコンデンサ用パッドの上面と外部電極の上面にOSP72が形成される(図5(B))。
【0072】
(16)Sn−Bi系の半田ボールが外部電極上に搭載される。リフローにより外部電極上にSn−Bi系の半田バンプ76Dが形成される(図5(C))。Sn−Ag系の半田ペーストがチップコンデンサ用パッドに印刷される。リフローによりチップコンデンサ用パッド58um、58up上にSn−Ag系の半田76Cが形成される。Sn−Pb系の半田ペーストが電極上に印刷される。リフローにより電極158上にSn−Pb系の半田76Uが形成される(図6)。
【0073】
(17)チップコンデンサ用パッド58up、58um上にチップコンデンサ74が載せられる。リフローによりチップコンデンサ(長さ:0.6mm、幅:0.3mm、高さ:0.3mm)がチップコンデンサ用パッド58up、58umに半田76Cを介して実装される(図7)。電極158L上にIC90が載せられる。リフローによりIC90が電極158Lに半田76Uを介して実装される(図8)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップとチップコンデンサを実装するためのプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はソルダーレジスト層を有しないビルドアップ多層配線板を開示している。特許文献1では最外層のビルドアップ樹脂絶縁層がソルダーレジスト層として機能し、その最外層のビルドアップ樹脂絶縁層に外部接続端子としてのパッドが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−63904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高集積化に対応させるため、表面に実装するチップコンデンサは小型化、軽量化している。しかしながら、特許文献1に開示されている導電パッドに軽いチップコンデンサを実装させると、プラス端子、アース端子のいずれか一方のみ導電パッドに接続し、他方が離れてしまいチップコンデンサが傾くという、所謂マンハッタン現象が生じ易くなると考えられる。ここで、マンハッタン現象が発生すると、パッケージ基板用のキャップが填められなくなり、実装が不可能になる。
【0005】
[目的]
本発明の目的は、小型軽量のチップコンデンサを確実に実装できるプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の観点に係るプリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層上に形成されていてビア導体用のパッドとチップコンデンサを実装するためのパッドとを含む導体層と、前記絶縁層と前記導体層上に形成されていて、前記ビア導体用のパッドに至るバイアホールと前記チップコンデンサ用のパッドを露出する開口を有する最外樹脂絶縁層と、前記バイアホールに形成されているビア導体と該ビア導体から延びていて前記最外樹脂絶縁層上に形成されているランドとで形成されている電極と、前記電極上に形成されていてICを搭載するための半田バンプと、前記チップコンデンサを実装するためのパッド上に形成されている半田とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図2】本発明の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図3】本発明の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図4】本発明の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図5】本発明の実施形態に係るプリント配線板の断面図。
【図6】本発明の実施形態に係るプリント配線板の断面図。
【図7】本発明の実施形態のプリント配線板にチップコンデンサが実装されている状態を示す図。
【図8】本発明の実施形態のプリント配線板にICチップが搭載されている状態を示す図。
【図9】図9(A)はチップコンデンサの平面図であり、図9(B)は側面図である。図9(C)、図9(D)は、最外層の層間樹脂絶縁層の平面図である。
【図10】別の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図11】別の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図12】別の実施形態に係るプリント配線板を製造するための工程図。
【図13】従来技術に係る多層プリント配線板の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
高集積化のため、プリント配線板の表面に実装されるチップコンデンサは小型化、軽量化している。特許文献1に開示されているパッドに軽いチップコンデンサが半田で実装されると、チップコンデンサのプラス端子、アース端子(マイナス端子)のいずれか一方はパッドに半田で接続されるが、他方はパッドに接続されないケースが発生すると考えられる。所謂、マンハッタン現象が発生すると考えられる。
【0009】
マンハッタン現象が生じる理由は次のように考えられる。
パッドは、セミアディティブ法又はサブトラクティブ法で、エッチング処理を経て形成される。エッチング処理でパッドが形成される場合、各パッドでエッチング量を均一にすることは困難なので、チップコンデンサのプラス端子と接続するためのパッド(プラスパッド)と、マイナス端子と接続するためのパッド(マイナスパッド)とを同形状に形成することは難しい。チップコンデンサの実装は、先ず、パッド上に半田が形成される。続いて、プラスパッドに形成されている半田上にチップコンデンサのプラス端子が載せられ、マイナスパッドに形成されている半田上にチップコンデンサのマイナス端子が載せられる。その後、リフローを行うことで、パッド上に半田を介してチップコンデンサが実装される。プラスパッドとマイナスパッドの大さが異なると、それぞれのパッドで半田量、半田の濡れ性が異なると考えられる。その違いにより、チップコンデンサのプラス端子、マイナス端子のいずれか一方のみがパッドに接続し、他方がパッドに接続しない現象が発生すると考えられる。
【0010】
最外樹脂絶縁層から露出しているパッドにチップコンデンサが半田を介してリフローにより実装される時、半田はパッドの上面と同時に側面へ濡れ広がると考えられる。パッドの上面と側面が露出しているとパッドの高さや形状がそれぞれのパッドで異なり易いと考えられる。そのため、各パッドで半田が濡れ拡がる速度は異なると考えられる。これも、マンハッタン現象の原因と考えられる。
【0011】
[実施形態]
次に、本発明の実施形態に係るプリント配線板10の構成について、図1〜図8を参照して説明する。図6は該プリント配線板10の断面図を示す。図7は、図6に示されているプリント配線板10にチップコンデンサ94が実装されている状態を示している。図8は、プリント配線板10にICチップ90とチップコンデンサ94が実装されている状態を示している。図6に示すように、プリント配線板10は、コア基板30とコア基板の表面と裏面に形成されている導体回路34とスルーホール導体36を有する。スルーホール導体36は、コア基板30の表面の導体回路と裏面の導体回路とを接続している。コア基板30の表面(第1面)に第1の下層樹脂絶縁層50Aが形成されていて、コア基板の裏面(第2面)に第2の下層樹脂絶縁層50Bが形成されている。コア基板の裏面はコア基板の表面と反対側の面である。第1の下層樹脂絶縁層50A上に複数の第1の上層の導体回路58Aと複数のビア導体用のパッド58Vと複数のチップコンデンサを実装するためのパッド(チップコンデンサ用パッド)58U(58up、58um)とを含む第1の上層の導体層58が形成されている。第1の下層樹脂絶縁層50Aに第1の下層ビア導体60Aが形成されていて、コア基板の表面上の導体回路と第1の上層の導体層は第1の下層ビア導体60Aにより接続されている。第2の下層樹脂絶縁層50B上に複数の第2の上層の導体回路580Bを含む第2の上層の導体層580が形成されている。第2の下層樹脂絶縁層50Bに第2の下層ビア導体60Bが形成されていて、コア基板の裏面上の導体回路と第2の上層の導体回路は第2の下層ビア導体60Bにより接続されている。
【0012】
第1の下層樹脂絶縁層50Aと第1の上層の導体層上に上層の最外樹脂絶縁層150Aが形成されている。上層の最外樹脂絶縁層150Aはビア導体用のパッド58Vを部分的に露出するバイアホール151cAとチップコンデンサ用パッド58Uを露出する開口151uを有している。ビア導体用のパッド58Vの形状としては円が好ましく、その直径は40μmから100μmである。チップコンデンサ用パッド58Uの形状としては矩形が好ましく、一方の長さは0.21mmから0.4mmであり、もう一方の長さは0.325mmから1.305mmである。
【0013】
第2の下層樹脂絶縁層50Bと第2の上層の導体層580上に下層の最外樹脂絶縁層150Bが形成されている。下層の最外樹脂絶縁層150Bは第2の上層の導体回路580Bに至るバイアホール151dを有している。バイアホール151dにより露出する第2の上層の導体回路580Bはマザーボードと接続するための半田バンプやピンを搭載するための外部電極として機能する。外部電極に半田バンプ76Dやピンが搭載される。
【0014】
上層の最外樹脂絶縁層150A上にランド(上層の最外樹脂絶縁層上のランド)158Lが形成されている。ランド158Lとビア導体用のパッド58Vはバイアホール151cAに形成されているビア導体で接続される。ビア導体はバイアホール151cを導体で充填しているフィルドビアとバイアホール151cの内壁を導体で覆っているコンフォーマルビアを含む。図6ではランド158Lとパッド58Vはビア導体(フィルドビア)160Aで接続されている。ランドはビア導体の回りに形成されランドとビア導体は直接接続している(ランドはビア導体から延びている)。図6では、ランド158Lはフィルドビア160Aの周りに形成され、ランド158Lとフィルドビア160Aは直接接続している。ランド158Lはフィルドビア160Aから延びている。ビア導体160Aの上面とランド158Lの上面またはビア導体160Aの上面とランド158Lの上面とランド158Lの側面がICなどの電子部品を搭載するための電極158として機能する。電極に半田バンプ76Uが形成されている。チップコンデンサ用パッド58Uに半田76Cが形成されている。
電極上に形成される半田はPbフリーバンプが望ましい。実施形態では、半田バンプがソルダーレジスト層などの樹脂層と接していない。そのため、クラックが入り易いPbフリーバンプでICチップを実装することができる。
チップコンデンサ用パッドの上面や電極の露出面や外部電極の上面にOSPやSn膜などの保護膜を形成することができる。
ビア導体がフィルドビアの時、フィルドビアの上面とランドの上面は略同一平面に位置する。
【0015】
図7に示すようにチップコンデンサ用パッド58U上の半田76Cを介してチップコンデンサ94が実装される。図9(A)は該チップコンデンサの平面図を、図9(B)は側面図を示す。図7に示されているチップコンデンサの図は、図9(A)のチップコンデンサをCの方向から観察することで得られる断面図である。チップコンデンサは、プラス端子96Pとマイナス端子96Mとを備え、サイズが長さL:0.60mmから2.00mm、幅W:0.30mmから1.25mm、高さH:0.3mmから0.5mmと小型化されており、重量が軽いためリフローによる実装が難しくなっている。図9(D)は、上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成されている開口(チップコンデンサ用パッドを露出するための開口)151uとチップコンデンサ用パッド58Uを拡大して示す平面図である。この図ではチップコンデンサ用パッドや導体パターン58Pが矩形の例である。この例は矩形であるが、図9(C)に示すようにチップコンデンサ用パッドと導体パターンの形状として円形であることも可能である。チップコンデンサ用パッドはその周りを導体で取り囲まれている。チップコンデンサ用パッドとその周りを囲んでいる導体で所定形状の導体パターン58Pが形成され、導体パターンの外周は上層の最外樹脂絶縁層150Aで覆われている。チップコンデンサ用パッドの周りの導体は上層の最外樹脂絶縁層150Aで覆われている。つまり、チップコンデンサ用パッドは導体パターンの内、開口151uにより外部に露出している部分である。コンデンサ用パッドを含む導体パターンは第1の上層の導体層に含まれる。開口151uはレーザまたは露光・現状処理により形成される。レーザなどの光を用いて開口151uを形成するため、開口の大きさを所望の大きさに制御することが可能になる。そのため、開口151uにより露出される導体パターン58Pの部分の大きさは所定の大きさとすることができる。各チップコンデンサ用パッド58Uの大きさが所定の大きさになる。エッチング液で導体をエッチングすることでチップコンデンサ用パッドが形成される場合、各チップコンデンサ用パッドでエッチング量を同じにすることは困難である。即ち、エッチング処理でチップコンデンサ用パッドが形成される場合、各チップコンデンサ用パッドの大きさが異なり易い。エッチング処理よりチップコンデンサ用パッドを形成する方法に比べ実施形態の方法はチップコンデンサ用パッドの大きさを制御する点で優れる。即ち、実施形態では各チップコンデンサ用パッドで半田の濡れ性の差が特開2004−63904号公報に比べ小さいと考えられる。そのため、実施形態のプリント配線板は小さなチップコンデンサや軽いチップコンデンサを実装するためのプリント配線板に適している。実施形態のプリント配線板ではマンハッタン現象が起こりにくい。開口151uはレーザにより形成されることが好ましい。なぜなら、レーザは露光・現像より多くの材料に開口151uを形成することができるからである。チップコンデンサ用パッド58Uはチップコンデンサのプラス端子接続用のプラス端子用パッド58upと、マイナス端子用パッド58umとを有する。半田76Cを介してプラス端子用パッド58upにチップコンデンサのプラス端子96Pが接続され、マイナス端子用パッド58umに半田76Cを介してチップコンデンサのマイナス端子96Mが接続される。
【0016】
図8に示すように、上層の最外樹脂絶縁層150Aから露出している電極158に形成されている半田バンプ76Uを介してICチップ90の端子92が接続されている。電極158の上面は上層の最外樹脂絶縁層150Aから突出している。
【0017】
実施形態のプリント配線板10では、電極158を部分的に露出すると共に電極の外周を覆うソルダーレジスト層が設けられていない。上層の最外樹脂絶縁層150Aから露出している電極158に半田バンプ76Uが形成されている。
【0018】
図13に上層の最外樹脂絶縁層5000と上層の最外樹脂絶縁層5000上に形成されている電極5800と電極を部分的に露出している開口202aを有するソルダーレジスト層202とソルダーレジスト層の開口202aにより露出している電極上に形成されている半田バンプ7600とを有するプリント配線板が示されている。図13に示されているソルダーレジスト202は電極5800の全外周を覆っている。この例では、ソルダーレジストの側壁と電極5800上の半田バンプ7600が接触している。プリント配線板が収縮することでソルダーレジスト層の開口の上端に集中する応力が電極上の半田バンプにストレスを与えると考えられる。そのため、図13に示されているようなソルダーレジスト層を有するプリント配線板では、半田バンプ7600にクラック204が発生しやすいと考えられる。クラックの例が図13の半田バンプ内に示されている。しかしながら、実施形態は、図13に示すようなソルダーレジスト層を有していないので、半田バンプ76Uにクラックが発生し難い。
【0019】
実施形態では、チップコンデンサのプラス端子に接続するチップコンデンサ用パッド58upと、チップコンデンサのマイナス端子に接続するチップコンデンサ用パッド58umとで、半田量及び半田の濡れ性が略等しくなる。このため、従来技術(特許文献1)のパッド(導電パッド)にチップコンデンサが搭載される場合に比べ、マンハッタン現象が生じ難い。なお、チップコンデンサ用パッド58up、58umは、ICチップを実装するための電極158と比べて上面の面積が大きい。即ち、チップコンデンサ用パッド58up、58um上に形成される半田の量は、電極158上に形成される半田の量より多い。また、チップコンデンサ用パッドは大きいため、半田が最外の樹脂絶縁層の上端に接する可能性が低い。そのため、チップコンデンサパッドが最外の樹脂絶縁層から露出していなくても、チップコンデンサ用パッド58up、58um上の半田76C内には、クラックが入り難い。
【0020】
引き続き、図6のプリント配線板10の製造方法について図1〜図6を参照して説明する。
(1)エポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂とガラスクロス等の芯材で形成されている絶縁性基板30が準備される。絶縁性基板30がプリント配線板のコアに相当する。この絶縁性基板30の両面に3〜12μmの銅箔32がラミネートされる(図1(A))。図1Aに示されている基板は銅張積層板30Aである。まず、レーザを照射しスルーホール導体用貫通孔28が形成される(図1(B))。スルーホール導体用の貫通孔はストレート形状であっても砂時計形状であってもよい(図10(B))。スルーホール導体用の貫通孔がストレート形状の場合、ドリルにより貫通孔を形成することができる。砂時計形状の場合、絶縁性基板の第1面側からレーザが照射され、続いて絶縁性基板の第2面側からレーザが照射されることで形成することができる。
【0021】
(2)スルーホール導体用貫通孔を有する銅張積層板30Aに無電解銅めっきを施すことにより、銅張積層板30Aの表面及びスルーホール導体用貫通孔28の側壁に厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜26が形成される(図1(C):図10(C))。
【0022】
(3)電解めっきにより、スルーホール導体用貫通孔28内、及び、銅張積層板30Aの表面に電解銅めっき膜24が形成される(図1(D))。スルーホール導体用貫通孔を銅などの電解めっき膜で充填することができる。スルーホール導体用貫通孔が砂時計形状であって、スルーホール導体用貫通孔は電解めっき膜で充填されていることが好ましい。
【0023】
(4)電解銅めっき膜24上に所定パターンのエッチングレジスト33が形成される(図1(E))。
【0024】
(5)エッチングレジスト33から露出している導体がエッチング液にて除去される。その後、エッチングレジスト33が除去される。スルーホールランド36cを含む導体回路34が形成される(図2(A))。
【0025】
(6)基板30の表面(第1面)及び裏面(第2面)に、樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)が積層され、硬化されることで下層樹脂絶縁層50A、50Bが形成される(図2(B))。
【0026】
(7)下層樹脂絶縁層50A、50Bにバイアホール51が形成される(図2(C))。
【0027】
(8)下層樹脂絶縁層50A、50Bの表面に触媒が付与される。
【0028】
(9)次に、上村工業社製の無電解銅めっき水溶液(スルカップPEA)中に、基板が浸漬される。バイアホール51の内壁を含む下層樹脂絶縁層50A、50Bの表面に無電解銅めっき膜52が形成される(図2(D))。
【0029】
(10)無電解銅めっき膜52上に厚さ25μmのめっきレジスト54が形成される(図3(A))。
【0030】
(11)電解めっきによりめっきレジスト54から露出している無電解めっき膜52上に厚さ15μmの電解銅めっき膜56が形成される(図3(B))。
【0031】
(12)さらに、めっきレジスト54を除去することで露出する無電解めっき膜(電解めっき膜間の無電解めっき膜)がエッチング処理で除去される。導体層58、580及びビア導体60(60A、60B)が形成される(図3(C))。第1の上層の導体層58は複数の導体パターン58Pと複数のビア導体用のパッド58Vを有している。各導体パターンはチップコンデンサ用パッド58Uとチップコンデンサ用パッドを囲む導体を含んでいる。チップコンデンサ用パッドとチップコンデンサ用パッドを囲む導体は同じ材質で形成されている。
【0032】
(13)次に、上記(6)と同様に下層樹脂絶縁層50A、50B上に、樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)が積層され硬化されることで最外樹脂絶縁層150A、150Bが形成される(図11(A))。
【0033】
(14)レーザにて、上層の最外樹脂絶縁層150Aにバイアホール151cAとチップコンデンサ用パッドを露出するための開口151uが形成される。バイアホール151cAは上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しビア導体用のパッド58Vに至っている。開口151uは上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通し導体パターン58Pに至っている。チップコンデンサ用パッド58Uが開口151uにより露出される。下層の最外樹脂絶縁層150Bに第2の上層の導体回路580Bに至るバイアホール151dが形成される。バイアホール151dにより露出される第2の上層の導体回路580Bの部分が外部電極として機能する(図11(B))。
【0034】
(15)開口151uとバイアホール151d上にフィルム154が被覆されることで、開口151uとバイアホール151dはフィルム154で覆われる(図11(C))。
【0035】
(16)上述の(8)〜(12)と同様な処理により、上層の最外樹脂絶縁層150A上にランド158Lが形成され、上層の最外樹脂絶縁層150Aのバイアホール151cA内にビア導体160Aが形成される。ランドはビア導体を囲んでいて、ビア導体とランドは直接接続している。ビア導体とランドで形成されている電極158が形成される(図12(A))。電極を構成しているビア導体がフィルドビアの場合、フィルドビアの上面はバイアホールから突出していて、フィルドビア160Aの上面とランド158Lの上面は略同一平面に位置している。上層の最外樹脂絶縁層150Aの上面はランド以外露出している。上層の最外樹脂絶縁層150Aの上面に形成されている導体回路はランド158Lのみである。
【0036】
(17)フィルム154が除去され開口151uを介してチップコンデンサ用パッドが露出される。また、バイアホール151dを介して外部電極が露出される(図12(B))。電極の上面とチップコンデンサ用パッドの上面と外部電極の上面に保護膜が形成される。電極に関しては、上面と側面に保護膜が形成されてもよい。保護膜は、OSP(有機保護膜)、Sn膜、Ni/Au膜、Ni/Pd/Au膜などから選択される。これらの中で、最外樹脂絶縁層から突出している電極と凹んでいるチップコンデンサ用パッドに同時に均一に保護膜を形成できる点からOSPやSn膜が好ましい。
【0037】
(18)外部電極上に半田ボールが搭載され、リフローを行うことで、外部電極上にマザーボードと接続するための半田バンプ76Dが形成される(図5(C))。
【0038】
(19)電極上に半田ペーストが印刷され、リフローを行うことで、電極上にICを搭載するための半田バンプ76Uが形成される(図5(D))。
【0039】
(20)チップコンデンサ用パッド上に半田ペーストが印刷され、リフローを行うことでチップコンデンサ用パッド上にチップコンデンサを搭載するための半田76Cが形成される(図6)。
【0040】
(21)半田76C上にチップコンデンサ94のプラス端子96P、マイナス端子96Mを接触させリフローを行うことで、半田76Cを介してプラス端子用パッド58upにチップコンデンサのプラス端子96Pが接続され、マイナス端子用パッド58umにチップコンデンサのマイナス端子96Mが接続される(図7)。
【0041】
(22)電極158上の半田バンプ76UにICチップ90の端子92が搭載され、リフローを行うことで、ICチップ90が実装される(図8)。
【0042】
[実施形態の改変例]
実施形態の改変例のプリント配線板は実施形態のプリント配線板と略同様である。実施形態の改変例の製造方法によれば、実施形態の(13)までの工程によりコア基板上に最外樹脂絶縁層150A、150Bが形成される(図3(D))。その後、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しビア導体用のパッド58Vに至るバイアホール151cAが上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成される。この時、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しチップコンデンサ用パッドに至る開口は上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成されない。また、下層の最外樹脂絶縁層150Bを貫通し第2の上層の導体回路58Bに至るバイアホールも下層の最外樹脂絶縁層150Bに形成されない。
【0043】
続いて、実施形態の(8)〜(12)と同様な処理により、電極が形成される(図4(A)〜図4(D))。このとき、下層の最外樹脂絶縁層150B上の無電解銅めっき膜152Bは、電解めっき膜が形成される時、めっきレジスト155Dで覆われている(図4(B)、図4(C))。下層の層間樹脂絶縁層上の無電解銅めっき膜152Bは電極間の無電解銅めっき膜152Aと同時に除去される。
【0044】
その後、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しチップコンデンサ用パッドに至る開口151uが上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成される。また、下層の最外樹脂絶縁層150Bを貫通し第2の上層の導体回路58Bに至るバイアホール151dが下層の最外樹脂絶縁層150Bに形成される(図5(A))。
【0045】
続いて、電極の上面とチップコンデンサ用パッドの上面と外部電極の上面に保護膜が形成される。電極に関しては、上面と側面に保護膜72が形成されてもよい。保護膜としては実施形態と同様な材料を用いることができる(図5(B))。
【0046】
その後、実施形態の(18)から(22)と同様な処理(図5(C)、図5(D)、図6、図7)により半田バンプや半田を介して実施形態の改変例のプリント配線板にICチップやチップコンデンサが実装される(図8)。
【0047】
[実施形態の改変例2]
実施形態の改変例2のプリント配線板は実施形態のプリント配線板と略同様である。
実施形態の改変例2の製造方法によれば、実施形態の(13)までの工程によりコア基板上に最外樹脂絶縁層150A、150Bが形成される(図11(A))。
その後、マスクを用い、露光・現像により、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通しビア導体用のパッド58Vに至るバイアホールとチップコンデンサ用パッドに至る開口が上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成される。同様に、露光・現像により、下層の最外樹脂絶縁層150Bを貫通し第2の上層の導体回路580Bに至るバイアホール151dが下層の最外樹脂絶縁層150Bに形成される。
【0048】
その後、実施形態の(15)〜(16)の処理により、半田バンプや半田を介して実施形態の改変例2のプリント配線板にICチップやチップコンデンサが実装される(図8)。
【0049】
スルーホール導体用貫通孔がストレート形状であっても上述の実施形態または実施形態の改変例または実施形態の改変例2の方法により図6と同様なプリント配線板を製造することができる。
【0050】
[実施例]
(1)0.6mm厚みのガラスエポキシ樹脂と5μm厚みの銅箔で形成されている銅張積層板が出発材料として準備される(図1(A))。コア基板の表面からと裏面からレーザが照射される。砂時計形状のスルーホール導体用貫通孔28が形成される(図1(B))。この貫通孔はコア基板の表面から裏面に向かって徐々に細くなる第1開口とコア基板の裏面から表面に向かって徐々に細くなる第2開口で形成されている。第1開口と第2開口はコア基板の内部で繋がっている。実施形態、実施形態の改変例、実施形態の改変例2に示されている貫通孔も実施例と同様な方法で形成される。
【0051】
(2)スルーホール導体用貫通孔を有する銅張積層板30Aに無電解銅めっきを施すことにより、銅張積層板30Aの表面及びスルーホール導体用貫通孔28の側壁に厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜26が形成される(図1(C))。
【0052】
(3)電解めっきにより、スルーホール導体用貫通孔28内、及び、銅張積層板30Aの表面に電解銅めっき膜24が形成される(図1(D))。この時、スルーホール導体用貫通孔は電解銅めっきで充填される。
【0053】
(4)電解銅めっき膜24上に所定パターンのエッチングレジスト33が形成される(図1(E))。
【0054】
(5)エッチングレジスト33から露出している導体がエッチング液にて除去される。その後、エッチングレジスト33が除去される。スルーホールランド36cを含む導体回路34が形成される(図2(A))。
【0055】
(6)基板30の表面(第1面)及び裏面(第2面)に、樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)が積層され、硬化されることで下層樹脂絶縁層50A、50Bが形成される(図2(B))。
【0056】
(7)CO2 ガスレーザにて、下層樹脂絶縁層50A、50Bにバイアホール51が形成される(図2(C))。
【0057】
(8)下層樹脂絶縁層50A、50Bの表面に触媒が付与される。
【0058】
(9)次に、上村工業社製の無電解銅めっき水溶液(スルカップPEA)中に、基板が浸漬される。バイアホール51の内壁を含む下層樹脂絶縁層50A、50Bの表面に無電解銅めっき膜52が形成される(図2(D))。
【0059】
(10)無電解銅めっき膜52上に厚さ25μmのめっきレジスト54が形成される(図3(A))。
【0060】
(11)電解めっきによりめっきレジスト54から露出している無電解銅めっき膜52上に厚さ15μmの電解銅めっき膜56が形成される(図3(B))。
【0061】
(12)さらに、めっきレジスト54を除去することで露出する無電解めっき膜(電解めっき膜間の無電解めっき膜)がエッチング処理で除去される。導体層58、580及びビア導体60が形成される(図3(C))。導体層58は複数の導体パターン58Pと複数のビア導体用のパッド58Vを有している。各導体パターンはチップコンデンサ用パッドとチップコンデンサ用パッドを囲む導体を含んでいる。チップコンデンサ用パッドとチップコンデンサ用パッドを囲む導体は銅で形成されている。
【0062】
(13)次に、上記(6)と同様に下層樹脂絶縁層50A、50B上に、樹脂絶縁層用樹脂フィルム(味の素社製:商品名;ABF−45SH)が積層され硬化されることで最外樹脂絶縁層150A、150Bが形成される(図3(D))。
【0063】
(14)CO2レーザにて、上層の最外樹脂絶縁層150Aにビア導体用のパッドに至るバイアホール151cAが形成される(図3(E))。
【0064】
(15)最外樹脂絶縁層150A、150Bの表面に触媒が付与される。
【0065】
(9)次に、上村工業社製の無電解銅めっき水溶液(スルカップPEA)中に、基板が浸漬される。バイアホール151cAの内壁を含む上層の最外樹脂絶縁層150Aと下層の最外樹脂絶縁層150Bの表面に無電解銅めっき膜152A、152Bが形成される(図4(A))。
【0066】
(10)無電解銅めっき膜152上に厚さ25μmのめっきレジスト155(155U、155D)が形成される。上層の最外樹脂絶縁層150A上のめっきレジスト155Uは無電解銅めっき膜152を部分的に露出するための所定のパターンを有する。下層の最外樹脂絶縁層150B上のめっきレジスト155Dは下層の最外樹脂絶縁層150B上の無電解銅めっき膜152Bを覆っている(図4(B))。
【0067】
(11)電解めっきによりめっきレジスト154Uから露出している無電解銅めっき膜152A上に厚さ15μmの電解銅めっき膜156が形成される(図4(C))。
【0068】
(12)さらに、めっきレジスト155を除去することで露出する無電解めっき膜152(152A、152B)がエッチング処理で除去される。電極158が形成される(図4(D))。
【0069】
(13)CO2レーザにより、上層の最外樹脂絶縁層150Aを貫通し導体パターンに至る開口151uが上層の最外樹脂絶縁層150Aに形成される(図5(A))。チップコンデンサ用パッドの形状は矩形でそのサイズは0.21×0.4mmである。
【0070】
(14)CO2レーザにより、下層の最外樹脂絶縁層150Bを貫通し第2の上層の導体回路580Bに至るバイアホール151dが下層の最外樹脂絶縁層150Bに形成される(図5(A))。
【0071】
(15)電極の上面と側面、チップコンデンサ用パッドの上面と外部電極の上面にOSP72が形成される(図5(B))。
【0072】
(16)Sn−Bi系の半田ボールが外部電極上に搭載される。リフローにより外部電極上にSn−Bi系の半田バンプ76Dが形成される(図5(C))。Sn−Ag系の半田ペーストがチップコンデンサ用パッドに印刷される。リフローによりチップコンデンサ用パッド58um、58up上にSn−Ag系の半田76Cが形成される。Sn−Pb系の半田ペーストが電極上に印刷される。リフローにより電極158上にSn−Pb系の半田76Uが形成される(図6)。
【0073】
(17)チップコンデンサ用パッド58up、58um上にチップコンデンサ74が載せられる。リフローによりチップコンデンサ(長さ:0.6mm、幅:0.3mm、高さ:0.3mm)がチップコンデンサ用パッド58up、58umに半田76Cを介して実装される(図7)。電極158L上にIC90が載せられる。リフローによりIC90が電極158Lに半田76Uを介して実装される(図8)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されていてビア導体用のパッドとチップコンデンサを実装するためのパッドとを含む導体層と、
前記絶縁層と前記導体層上に形成されていて、前記ビア導体用のパッドに至るバイアホールと前記チップコンデンサ用のパッドを露出する開口を有する最外樹脂絶縁層と、
前記バイアホールに形成されているビア導体と該ビア導体から延びていて前記最外樹脂絶縁層上に形成されているランドとで形成されている電極と、
前記電極上に形成されていてICを搭載するための半田バンプと、
前記チップコンデンサを実装するためのパッド上に形成されている半田とを有するプリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記最外樹脂絶縁層に形成されている前記バイアホールと前記開口はレーザにより形成されている。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記最外樹脂絶縁層に形成されている前記バイアホールと前記開口は露光・現像処理により形成されている。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記開口の大きさは前記バイアホールの大きさより大きい。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記最外樹脂絶縁層上に前記ランド以外導体回路が形成されていない。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記最外樹脂絶縁層上にソルダーレジスト層が形成されていない。
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されていてビア導体用のパッドとチップコンデンサを実装するためのパッドとを含む導体層と、
前記絶縁層と前記導体層上に形成されていて、前記ビア導体用のパッドに至るバイアホールと前記チップコンデンサ用のパッドを露出する開口を有する最外樹脂絶縁層と、
前記バイアホールに形成されているビア導体と該ビア導体から延びていて前記最外樹脂絶縁層上に形成されているランドとで形成されている電極と、
前記電極上に形成されていてICを搭載するための半田バンプと、
前記チップコンデンサを実装するためのパッド上に形成されている半田とを有するプリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記最外樹脂絶縁層に形成されている前記バイアホールと前記開口はレーザにより形成されている。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記最外樹脂絶縁層に形成されている前記バイアホールと前記開口は露光・現像処理により形成されている。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記開口の大きさは前記バイアホールの大きさより大きい。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記最外樹脂絶縁層上に前記ランド以外導体回路が形成されていない。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板において、前記最外樹脂絶縁層上にソルダーレジスト層が形成されていない。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−129501(P2012−129501A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228411(P2011−228411)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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