説明

プリント配線板

【課題】曲げ半径が小さくても補強板の剥がれを抑制することが可能なプリント配線板を提供する。
【解決手段】プリント配線板1は、折り曲げ線Cを中心として折り曲げられる折り曲げ予定部分101を有する配線板本体10と、配線板本体10に貼り付けられた補強板20と、を備えており、補強板20は、配線板本体10において折り曲げ予定部分101に隣接する第1及び第の2の隣接部分102,103に貼り付けられた第1及び第2の補強部201,202と、折り曲げ予定部分101に貼り付けられ、第1及び第2の補強部201,202を一体的に連結する連結部203と、を有しており、連結部203に開口203aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強板を有すると共に小さな曲げ半径で折り曲げられるプリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FPC本体と、当該FPC本体の屈曲部のトレー側の部位に粘着シートを介して貼り付けられた補強板と、を備えたFPCが知られている(例えば特許文献1参照)。このFPCでは、補強板によってFPCの剛性を確保して、トレーの移動に伴うFPCの波打ちを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−239109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の補強板は、屈曲部側に端部を有している。FPCの曲げ半径が小さくなると、FPC本体の屈曲に伴ってこの端部に応力が集中し、補強板がFPC本体から剥がれてしまうという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、曲げ半径が小さくても補強板の剥がれを抑制することが可能なプリント配線板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係るプリント配線板は、折り曲げ線を中心として折り曲げられる折り曲げ予定部分を有する配線板本体と、前記配線板本体に貼り付けられた補強板と、を備えたプリント配線板であって、前記補強板は、前記配線板本体において前記折り曲げ予定部分に隣接する第1及び第2の隣接部分に貼り付けられた第1及び第2の補強部と、前記折り曲げ予定部分に貼り付けられ、前記第1及び第2の補強部を一体的に連結する連結部と、を有しており、前記連結部に開口が形成されていることを特徴とする。
【0007】
[2]上記発明において、前記折り曲げ線に沿った前記折り曲げ予定部分の外幅(W)と、前記折り曲げ線に沿った前記連結部の外幅(W)と、が実質的に同一であってもよい。
【0008】
[3]上記発明において、下記の(1)式を満たしてもよい。
【0009】
1/10≦W/W≦1/3 … (1)式
【0010】
但し、上記の(1)式において、Wは、前記折り曲げ線に沿った前記折り曲げ予定部分の外幅であり、Wは、前記折り曲げ線に沿った前記連結部の幅である。
【0011】
[4]上記発明において、前記プリント配線板は、前記折り曲げ予定部分で折り曲げられていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、配線板本体の第1の隣接部分、折り曲げ予定部分、及び第2の隣接部分に補強板が一体的に貼り付けられているので、配線板本体から補強板が剥がれてしまうのを抑制することができる。
【0013】
また、本発明では、補強板において折り曲げ予定部分に対応する部分に開口が形成されており、当該部分の剛性が弱められているので、小さな曲げ半径にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態におけるプリント配線板を示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示すプリント配線板の底面図である。
【図3】図3は、図1及び図2のIII-III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図1及び図2のIV-IV線に沿った断面図である。
【図5】図5は、図1及び図2のV-V線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1及び図2は本実施形態におけるプリント配線板を示す平面図及び底面図、図3は図1のIII-III線に沿った断面図、図4は図1のIV-IV線に沿った断面図、図5は図1のV-V線に沿った断面図である。
【0017】
本実施形態におけるプリント配線板1は、例えば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、スマートフォン、ノート型パソコン、タブレット型情報端末、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルオーディオプレーヤ、ハードディスク等の電子機器等に組み込まれるフレキシブルプリント配線板(FPC)である。
【0018】
このプリント配線板1は、図1〜図5に示すように、配線板本体10と、当該配線板本体10に貼り付けられた補強板20と、から構成されており、全体として短冊型の形状を有している。なお、プリント配線板の平面形状は、特にこれに限定されず、任意の形状を選択することができる。
【0019】
配線板本体10は、ベースフィルム11と、配線パターン12と、カバーレイ13と、を備えている。
【0020】
ベースフィルム11は、例えばポリイミド(PI)から構成されたフレキシブルな絶縁性フィルムである。なお、このベースフィルム11を、例えば、液晶ポリマ(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル(PE)、又はアラミド等で構成してもよい。
【0021】
このベースフィルム11上には複数の配線パターン12が形成されている。本実施形態では、図1に示すように、複数の配線パターン12が等間隔で平行に配置されており、ベースフィルム11上に直線状に延在している。なお、配線パターン12の形状や配置等は特にこれに限定されない。また、ベースフィルム10の両面に配線パターンを形成したり、配線パターンにバイアホール等を含めてもよい。
【0022】
この配線パターン12の両端には端子部122がそれぞれ形成されている。この端子部122には、例えば他のプリント配線板やケーブル等に設けられたコネクタが接続されて、この端子部122を介してプリント配線板1が外部の電子回路と電気的に接続される。なお、端子部が形成される位置は、配線パターンの端部に限定されず、配線パターンにおける任意の位置を選択することができる。また、配線パターンにおける端子部の数も特に限定されないし、必ずしも配線パターンに端子部を形成しなくてもよい。
【0023】
配線パターン12において端子部122以外の部分121(以下単に、配線部121と称する。)は、例えば、ベースフィルム11に積層された銅箔を所定形状にエッチングすることで形成されており、図4及び図5に示すように、銅箔123のみで構成されている。
【0024】
これに対し、配線パターン12の端子部122は、図3に示すように、配線部121から延在する銅箔123と、当該銅箔123の表面に電解めっき処理等によって形成されためっき層124と、から構成されている。このめっき層124は、特に図示しないが、例えば、下地としてのニッケル(Ni)層と、そのニッケル層の表面に形成された金(Au)層と、から構成されている。
【0025】
カバーレイ13は、図4及び図5に示すように、配線パターン12の配線部121を保護するための樹脂層131と、この樹脂層131をベースフィルム11に接着する接着層132と、を有しており、図1に示すように、配線パターン12の配線部121を覆うようにベースフィルム11上に積層されている。一方、同図に示すように、配線パターン12の端子部122は、このカバーレイ13から露出している。
【0026】
このカバーレイ13の樹脂層131は、例えばポリイミド(PI)から構成されたフレキシブルな絶縁性基材である。なお、この樹脂層131を、例えば、液晶ポリマ(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステル(PE)、又はアラミド等で構成してもよい。
【0027】
一方、カバーレイ13の接着層132は、例えば、エポキシ系接着剤やアクリル系接着剤から構成されている。なお、ベースフィルム11を液晶ポリマ(LCP)で構成すると共に、カバーレイ13の樹脂層131も液晶ポリマ(LCP)で構成する場合には、熱融着によってこれらを相互に貼り付けることができるので、接着層132が不要となる。
【0028】
なお、このカバーレイ13を、例えば、ポリエステル、エポキシ、アクリル、ポリイミド、ポリウレタン等を用いた感光性カバーレイ材料からなるドライフィルムで構成してもよい。或いは、ポリイミドやエポキシをベースとしたカバーレイインクや、液状の感光性カバーレイ材料を、ベースフィルム11上にスクリーン印刷することで、カバーレイ13を形成してもよい。
【0029】
以上に説明した配線板本体10は、図1に示すように、例えば、折り曲げ線Cを中心として、曲げ半径0.3[mm]以下で折り曲げられた状態で、電子機器に組み込まれる。因みに、本実施形態におけるプリント配線板1は、屈曲が繰り返される電子機器の可動部に組み込まれるのではなく、極小の曲げ半径で折り曲げた(塑性変形させた)状態で電子機器に恒久的に組み込まれる。このため、本実施形態のプリント配線板1には、屈曲耐久性よりも、極小曲げ半径に対する強靭性が要求される。なお、上記のプリント配線板の折り曲げ位置や曲げ半径は一例に過ぎず、特にこれに限定されない。
【0030】
本実施形態では、図2〜図5に示すように、ベースフィルム11の下面111(ベースフィルム11において配線パターン12が形成されている面とは反対の面)に補強板20が貼り付けられている。この補強板20は、配線板本体10を補強する基材21と、この基材21をベースフィルム11に接着する接着層22と、を有している。
【0031】
基材21は、例えば、ポリイミド(PI)、液晶ポリマ(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ガラスエポキシ、若しくはアラミド等の樹脂材料や、ステンレス、アルミニウム、若しくはアルミニウム合金等の金属材料から構成される板状部材である。
【0032】
一方、接着層22は、例えば、エポキシ系やアクリル系の熱硬化性樹脂等から構成されている。なお、接着層22を粘着剤で構成してもよい。
【0033】
ここで、配線板本体10は、図1に示すように、折り曲げ線Cを中心として折り曲げられる折り曲げ予定部分101と、当該折り曲げ予定部分101の両隣りに位置する第1及び第2の隣接部分102,103と、を有している。図2に示すように、本実施形態では、これに対応するように、補強板20は、第1の補強部201、第2の補強部202、及び連結部203を有している。
【0034】
第1の補強部201は、配線板本体10の第1の隣接部分102に貼り付けられており、第2の補強部202は、配線板本体10の第2の隣接部分103に貼り付けられている。そして、連結部203は、配線板本体10の折り曲げ予定部分101に貼り付けられており、第1及び第2の補強部201,202を一体的に連結している。
【0035】
このように、本実施形態では、配線板本体10の折り曲げ予定部分101にも補強板20を貼り付けているので、プリント配線板1を折り曲げた際に、当該補強板20の剛性によって曲げ半径が均一となり、屈曲に伴う配線板本体10からの補強板20の剥がれが抑制される。
【0036】
なお、折り曲げ線Cは、仮想上の直線である。また、折り曲げ予定部分101は、配線板本体10において折り曲げ線Cを中心とした折り曲げが予定されている部分であり、配線板本体10において、折り曲げ線C自体と、当該折り曲げ線Cの近傍と、を含む領域である。これに対し、第1及び第2の隣接部分102,103は、折り曲げを予定しておらず、例えば、コネクタが接続されたり電子部品が実装されたりする部分であり、ある程度の剛性が要求される部分である。
【0037】
本実施形態では、図1及び図2に示すように、配線板本体10の折り曲げ予定部分101の外幅Wと、補強板20の連結部203の外幅Wと、が実質的に同一となっている(W=W)。このため、折り曲げ予定部分101において、補強板20が幅方向の両端で配線板本体10に固定されているので、プリント配線板1を折り曲げた際に、補強板20が剥がれ難くなっている。
【0038】
また、本実施形態では、図2に示すように、補強板20の連結部203に開口203aが形成されており、配線板本体10の折り曲げ予定部分101の外幅Wと、補強板20の連結部203の幅Wとが、下記の(1)式を満たしている。
【0039】
1/10≦W/W≦1/3 … (1)式
【0040】
これにより、補強板20の剛性を連結部203で弱めることができるので、小さな曲げ半径にも対応することが可能となっている。
【0041】
なお、本実施形態における「外幅」や「幅」は、折り曲げ線Cに沿った方向の長さを意味する。
【0042】
以上のように、本実施形態では、配線板本体10の第1の隣接部分102、折り曲げ予定部分101、及び第2の隣接部分103に補強板20が一体的に貼り付けられているので、配線板本体10から補強板20が剥がれてしまうのを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、補強板20において折り曲げ予定部分101に対応する部分に開口203aが形成されており、当該部分203の剛性が弱められているので、小さな曲げ半径にも対応することができる。
【0044】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明をさらに具体化した実施例及び比較例により本発明の効果を確認した。以下の実施例及び比較例は、上述した実施形態における補強板の剥離抑制効果を確認するためのものである。
【0046】
<実施例1>
実施例1では、実施形態において説明した図1及び図2に示すような短冊型の形状のプリント配線板をサンプルとして10個作製した。
【0047】
具体的には、先ず、厚さ25[μm]のポリイミドフィルム(ベースフィルム)に、厚さ10[μm]の接着剤を介して、厚さ18[μm]の銅箔が積層された短冊形状の片面銅箔積層板を準備した。次いで、この銅箔上にレジストパターンを形成してから当該銅箔に対してエッチング処理を行うことで、幅40[μm]の直線状の複数の配線パターンをピッチ80[μm]で平行に形成した。
【0048】
次いで、厚さ12[μm]のポリイミドフィルムに、厚さ30[μm]の熱硬化性接着剤を塗布したカバーレイを、配線パターンの両端がそれぞれ露出するようにベースフィルム上に積層した。
【0049】
次いで、ベースフィルムの下面に、厚さ25[μm]のポリイミドフィルムを、厚さ30[μm]の熱硬化型接着剤を介して積層し、ホットプレスにてキュア処理することで、カバーレイ、ベースフィルム、及び補強板を貼り合わせた。
【0050】
この実施例1では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを5[mm]とすると共に、補強板の連結部の外幅Wも5[mm]とし、補強板における第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を3[mm]とした。また、補強板の連結部の幅Wは、0.5[mm](=W/10)とした。
【0051】
以上のように作製された10個のプリント配線板を、直径0.6[mm]のマンドレル(曲げ半径:0.3[mm])を用いて、折り曲げ線(図1及び図2における符号Cに相当)を中心として手動で折り曲げて塑性変形させた後に、顕微鏡を用いて、補強板の剥がれの有無を目視にて確認した。
【0052】
この実施例1では、表1に示すように、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。なお、表1の「結果」の欄において、「○」は、10個のサンプルのいずれについても補強板に剥がれが発生しなかったことを示し、「×」は、10個のサンプルの中で一つでも補強板の剥がれが発生したことを示す。
【0053】
【表1】

【0054】
<実施例2>
実施例2では、補強板の連結部の幅Wを約1.67[mm](=W/3)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0055】
この実施例2のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0056】
表1に示すように、この実施例2でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0057】
<実施例3>
実施例3では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを1[mm]とし、補強板の連結部の外幅Wも1[mm]とし、補強板において第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を1[mm]とし、補強板の連結部の幅Wを0.1[mm](=W/10)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0058】
この実施例3のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0059】
表1に示すように、この実施例3でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0060】
<実施例4>
実施例4では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを1[mm]とし、補強板の連結部の外幅Wも1[mm]とし、補強板において第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を1[mm]とし、補強板の連結部の幅Wを約0.33[mm](=W/3)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0061】
この実施例4のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0062】
表1に示すように、この実施例4でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0063】
<実施例5>
実施例5では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを1[mm]とし、補強板の連結部の外幅Wも1[mm]とし、補強板において第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を5[mm]とし、補強板の連結部の幅Wを0.10[mm](=W/10)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0064】
この実施例5のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0065】
表1に示すように、この実施例5でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0066】
<実施例6>
実施例6では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを1[mm]とし、補強板の連結部の外幅Wも1[mm]とし、補強板において第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を5[mm]とし、補強板の連結部の幅Wを約0.33[mm](=W/3)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0067】
この実施例6のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0068】
表1に示すように、この実施例6でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0069】
<実施例7>
実施例7では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを10[mm]とし、補強板の連結部の外幅Wも10[mm]とし、補強板において第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を1[mm]とし、補強板の連結部の幅Wを1[mm](=W/10)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0070】
この実施例7のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0071】
表1に示すように、この実施例7でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0072】
<実施例8>
実施例8では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを10[mm]とし、補強板の連結部の外幅Wも10[mm]とし、補強板において第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を1[mm]とし、補強板の連結部の幅Wを約3.33[mm](=W/3)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0073】
この実施例8のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0074】
表1に示すように、この実施例8でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0075】
<実施例9>
実施例9では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを10[mm]とし、補強板の連結部の外幅Wも10[mm]とし、補強板において第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を5[mm]とし、補強板の連結部の幅Wを1[mm](=W/10)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0076】
この実施例9のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0077】
表1に示すように、この実施例9でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0078】
<実施例10>
実施例10では、配線板本体の折り曲げ予定部の外幅Wを10[mm]とし、補強板の連結部の外幅Wも10[mm]とし、補強板において第1の補強板と第2の補強板との間の間隔L(すなわち連結部の長さ)を5[mm]とし、補強板の連結部の幅Wを約3.33[mm](=W/3)としたことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0079】
この実施例10のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0080】
表1に示すように、この実施例10でも、いずれのサンプルについても補強板の剥がれは発生していなかった。
【0081】
<比較例1>
比較例1では、補強板に連結部を設けなかったことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0082】
この比較例1のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0083】
表1に示すように、この比較例1では、10個中8個のサンプルについて、第1の補強部の端部や第2の補強部の端部で剥がれが発生していた。
【0084】
<比較例2>
比較例2では、補強板の連結部に開口を形成しなかったことを除いて、実施例1と同様のサンプルを10個作製した。
【0085】
この比較2のサンプルについても、実施例1と同様の条件で、10個のプリント配線板を折り曲げ線を中心として折り曲げて塑性変形させた後に、補強板の剥がれの有無を確認した。
【0086】
表1に示すように、この比較例2では、全てのサンプルについて折り曲げ線で補強板の剥がれが発生していた。
【0087】
以上のように、補強板の連結部に開口を形成した実施例1〜10では、折り曲げに伴う補強板の剥がれを抑制することができた。特に、実施例3〜10より、折り曲げ予定部分の外幅Wが1〜10[mm]であり、連結部の長さLが1〜5[mm]である場合において、外幅の比率W/Wを1/10〜1/3の範囲内とすることで、折り曲げに伴う補強板の剥がれが抑制されることが確認された。
【0088】
これに対し、補強板に連結部を形成しない比較例1や、連結部に開口を形成しない比較例2では、折り曲げに伴って補強板の剥がれが発生した。
【符号の説明】
【0089】
1…プリント配線板
10…配線板本体
101…折り曲げ予定部分
102…第1の隣接部分
103…第2の隣接部分
11…ベースフィルム
12…配線パターン
13…カバーレイ
20…補強板
201…第1の補強部
202…第2の補強部
203…連結部
203a…開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げ線を中心として折り曲げられる折り曲げ予定部分を有する配線板本体と、
前記配線板本体に貼り付けられた補強板と、を備えたプリント配線板であって、
前記補強板は、
前記配線板本体において前記折り曲げ予定部分に隣接する第1及び第2の隣接部分に貼り付けられた第1及び第2の補強部と、
前記折り曲げ予定部分に貼り付けられ、前記第1及び第2の補強部を一体的に連結する連結部と、を有しており、
前記連結部に開口が形成されていることを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、
前記折り曲げ線に沿った前記折り曲げ予定部分の外幅(W)と、前記折り曲げ線に沿った前記連結部の外幅(W)と、が実質的に同一であることを特徴とするプリント配線板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリント配線板であって、
下記の(1)式を満たすことを特徴とするプリント配線板。
1/10≦W/W≦1/3 … (1)式
但し、上記の(1)式において、Wは、前記折り曲げ線に沿った前記折り曲げ予定部分の外幅であり、Wは、前記折り曲げ線に沿った前記連結部の幅である。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のプリント配線板であって、
前記プリント配線板は、前記折り曲げ予定部分で折り曲げられていることを特徴とするプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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