説明

プログラム書込み装置

【課題】独立で動作する2つのマイコンに同じプログラムデータを書き込むとき、書込み側で書き込むプログラムの健全性を図り、書き込まれたプログラムの信頼性を向上させる。
【解決手段】2つのマイコン3a,3bの内蔵ROM4a,4bに同じプログラムデータを書き込むとき、2つのCPU5a,5bはそれぞれ外部記憶装置8a,8bに格納されたプログラムデータとCRCを読み出し、読み出したプログラムデータに誤りがないかどうかを検証し、読み出したプログラムデータに誤りがないことを確認すると、読み出したプログラムデータをマイコン3a,3bの内蔵ROM4a,4bに転送して書き込むことにより、マイコン3a,3bに誤りのない同じプログラムデータを転送して内蔵ROM4a,4bに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば電子連動装置等の信号保安装置で使用する同一プログラムで動作する2つのマイクロコンピュータに対してファームウェアプログラムを書き込むプログラム書込み装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の電子処理装置を使用した鉄道の信号保安装置では、フェールセーフ構成のために、図4に示すように、同一プログラムでそれぞれ独立して動作する2つのマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)22a,22bを使用して安全性を確保している。この2つのマイコン22aとマイコン22bにプログラムデータを書き込むとき、従来は、図4に示すように、プログラムデータ作成パソコン11で同一であると判断されたプログラムデータが書き込まれた外付けの2つのUVEPROM25a,25bを外部の書込み装置24に実装し、書込み装置24に実装されたUVEPROM25aに格納されたプログラムデータを信号保安装置21の一方のマイコン22aに対応するUVEEPROM23aに書き込み、UVEPROM25bに格納されたプログラムデータを信号保安装置21の他方のマイコン22bに対応するUVEEPROM23bに書き込んでいた。
【0003】
また、特許文献1に示すように、近年増えてきたフラッシュROM(FROM)内蔵のマイコンに対しては、図5に示すように、プログラムデータ作成パソコン11でプログラムデータが書き込まれた外部記憶装置34を書込み装置33に実装し、書込み装置33のCPU35は外部記憶装置34に書き込まれたプログラムデータをシリアルインタフェース36によりシリアル伝送して手動切替手段37を介して信号保安装置30の2つのマイコン31a,31bに内蔵したFROM32a,32bに個別で転送して各FROM32a,32bに書き込む。このプログラムデータが書き込まれた2つのマイコン31a,31bはバス比較方式で常に相手を監視し、2つのマイコン31a,31bのFROM32a,32bに異なるプログラムが書き込まれて動作した場合には、安全側に制御をとって処理を停止させている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にマイコン31a,31bに内蔵のFROM32a,32bにプログラムを書き込む場合、書込み装置33に実装した外部記憶装置34に書き込まれたプログラムデータをCPU35によりシリアル伝送して対象とするマイコン31a,31bに書込み、書き込んだプログラムデータをマイコン31a,31bで検証して確実に書き込まれたことを確認している。しかしながら書込み装置33で2つのマイコン31a,31bにプログラムデータを書き込んだとき、2つのマイコン31a,31bに同じプログラムデータが書き込まれたかどうかを書込み装置33側で確認する機能を設けていないため、高い信頼性が求められる信号保安装置で使用できるマイコン31a,31bは書込み対象のプログラムを互いに比較監視できるものに限定され、独立で動作する2つのマイコンを使用することはできなかった。
【0005】
この発明は、このような問題を解消し、独立で動作する2つのマイコンに同じプログラムデータを書き込むとき、書込み側で2つのマイコンに同じプログラムデータが書き込まれたかどうかを判定して書き込むプログラムの健全性を図り、書き込まれたプログラムの信頼性を向上させることができるプログラム書込み装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のプログラム書込み装置は、2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に同じプログラムデータを書き込むプログラム書込み装置であって、2つのCPU及び2つの外部記憶装置を実装する記憶装置装着部を有し、前記2つの外部記憶装置は、それぞれプログラムデータファイル及びCRCデータファイルを有し、前記プログラムデータファイルには外部装置で作成された同じプログラムデータが格納され、前記CRCデータファイルには前記外部装置にて前記プログラムデータから算出された誤り検出符号であるCRCが格納されて前記記憶装置装着部に実装され、前記2つのCPUの一方のCPUは、一方の外部記憶装置に格納されたプログラムデータとCRCを読み出し、読み出したプログラムデータに誤りがないかどうかを検証し、他方のCPUは、他方の外部記憶装置に格納されたプログラムデータとCRCを読み出し、読み出したプログラムデータに誤りがないかどうかを検証し、読み出したプログラムデータに誤りがないことを確認すると、前記一方のCPUは、読み出したプログラムデータを前記2つのマイコンの一方のマイコンに内蔵した記憶媒体に転送して書き込み、前記他方のCPUは、読み出したプログラムデータを前記2つのマイコンの他方のマイコンに内蔵した記憶媒体に転送して書き込み、前記2つのCPUは前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証することを特徴とする。
【0007】
前記2つのCPUは、前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータによりCRCを算出し、算出したCRCと外部記憶装置から読み出したCRCを比較し、両方のCRCが一致している場合、読み出したプログラムデータを前記2つのマイコンに転送し、両方のCRCが一致していない場合は、前記2つのマイコンに対するプログラムデータの転送を禁止することを特徴とする。
【0008】
また、前記2つのCPUは、前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータにより算出したCRCと外部記憶装置から読み出したCRCが一致している場合、前記2つのCPUはそれぞれ他系のCPUで算出したCRCを読み出し、読み出したCRCと自系で算出したCRCを比較し、両方のCRCが一致している場合、読み出したプログラムデータを前記2つのマイコンに転送し、両方のCRCが一致していない場合は、前記2つのマイコンに対するプログラムデータの転送を禁止することを特徴とする。
【0009】
さらに、前記2つのCPUは、前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に転送して書込みが終了すると、前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証し、両方のプログラムデータが一致していない場合は前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを削除することを特徴とする。
【0010】
また、前記2つのCPUは、前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータが前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致している場合、前記マイコンから読み出したプログラムデータからCRCを算出し、算出したCRCと前記外部記憶装置から読み出したCRCを比較し、両方のCRCが一致していない場合は書込み異常と判定して前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを削除することを特徴とする。
【0011】
また、前記マイコンから読み出したプログラムデータから算出したCRCが一致している場合、前記2つのCPUはそれぞれ他系のCPUで前記マイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが自系の前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証し、両方のプログラムデータが一致していない場合は書込み異常と判定して前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを削除することを特徴とする。
【0012】
さらに、前記2つのCPUはそれぞれ他系のCPUで前記マイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが自系の前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証した結果、両方のプログラムデータが一致している場合、他系のCPUで前記マイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータからCRCを算出し、算出したCRCと前記自系の外部記憶装置から読み出したCRCを比較し、両方のCRCが一致していない場合は書込み異常と判定して前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明は、2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に同じプログラムデータを書き込むとき、2つのCPUはそれぞれ外部記憶装置に格納されたプログラムデータとCRCを読み出し、読み出したプログラムデータに誤りがないかどうかを検証し、読み出したプログラムデータに誤りがないことを確認すると、読み出したプログラムデータを2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に転送して書き込むことにより、2つのマイコンに誤りのない同じプログラムデータを転送して内蔵した記憶媒体に書き込むことができる。
【0014】
また、書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証することにより、2つのマイコンに書き込んだプログラムデータに誤りがあるかどうかを確認することができる。
【0015】
また、2つのCPUは、外部記憶装置から読み出したプログラムデータによりCRCを算出し、算出したCRCと外部記憶装置から読み出したCRCとを比較して両方のCRCが一致しているかどうかを確認することにより、読み出したプログラムデータに誤りがないことを確認することができる。
【0016】
さらに、2つのCPUで読み出したプログラムデータにより算出したCRCと外部記憶装置から読み出したCRCとを比較して両方のCRCが一致している場合、他系のCPUで算出したCRCを読み出し、読み出したCRCと自系で算出したCRCを比較して両方のCRCが一致しているかどうかを確認することにより、外部記憶装置に同じプログラムデータが格納されていることを確認することができる。
【0017】
また、2つのCPUは、2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証することにより、プログラムデータをマイコンに内蔵した記憶媒体に誤りなく転送したかどうかを確認することができる。
【0018】
また、2つのCPUは、2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータが外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証した結果、両方のプログラムデータが一致している場合、マイコンから読み出したプログラムデータからCRCを算出し、算出したCRCと外部記憶装置から読み出したCRCを比較することにより、マイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータに誤りがないかどうかを確認することができる。
【0019】
さらに、マイコンから読み出したプログラムデータから算出したCRCと外部記憶装置から読み出したCRCを比較して両方のCRCが一致している場合、2つのCPUはそれぞれ他系のCPUでマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが自系の外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証することにより、2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に同じプログラムデータを書き込んだかどうかを確認することができる。
【0020】
また、2つのCPUはそれぞれ他系のCPUでマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが自系の外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証した結果、両方のプログラムデータが一致している場合、他系のCPUでマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータからCRCを算出し、算出したCRCと自系の外部記憶装置から読み出したCRCを比較することにより、同一のプログラムデータが2つのマイコンに内蔵する記憶媒体に正常に書き込まれたことを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の書込み装置の構成を示すブロック図である。
【図2】書込み処理を示すフローチャートである。
【図3】書き込んだプログラムデータの検証処理を示すフローチャートである。
【図4】従来の書込み装置の構成を示すフローチャートである。
【図5】従来の他の書込み装置の構成を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、この発明の書込み装置の構成を示すブロック図である。書込み装置1は、例えば鉄道の信号保安装置2に設けられ、独立で動作する2つのマイコン3aとマイコン3bに内蔵したFROM4a,4bに同じプログラムデータを書き込むものであり、2つのマイコン3aとマイコン3bに対応した2つのCPU5aとCPU5bと、CPU5aに接続されたRAM6aとCPU5bに接続されたRAM6bと、CPU5aに接続されたシリアルインタフェース7aとCPU5bに接続されたシリアルインタフェース7b及び2つの外部記憶装置8a,8bを実装する記憶装置コネクタを有する。
【0023】
この書込み装置1に実装する外部記憶装置8a,8bは、それぞれプログラムデータファイル9a,9b及びCRCデータファイル10a,10bを有する。プログラムデータファイル9a,9bにはプログラムデータ作成パソコン11で作成された同じプログラムデータが格納され、CRCデータファイル10a,10bにはプログラムデータ作成パソコン11にて算出された誤り検出符号であるCRCが格納されている。
【0024】
書込み装置1のCPU5aは記憶装置コネクタに実装された外部記憶装置8aに格納されたプログラムデータとCRCを読み出し、読み出したプログラムデータに誤りがないかどうかを検証し、CPU5bは記憶装置コネクタに実装された外部記憶装置8bに格納されたプログラムデータとCRCを読み出し、読み出したプログラムデータに誤りがないかどうかを検証する。CPU5aは読み出したプログラムデータに誤りがないことを確認すると、シリアルインタフェース7aを介して信号保安装置2のマイコン3aの内蔵FROM4aにプログラムデータを書込み、CPU5bは読み出したプログラムデータに誤りがないことを確認すると、シリアルインタフェース7bを介して信号保安装置2のマイコン3bの内蔵FROM4bにプログラムデータを書込む。CPU5aとCPU5bはプログラムデータをマイコン3a,3bの内蔵FROM4a,4bに書き込むと、内蔵FROM4a,4bに書き込んだプログラムデータに誤りがないかどうかを検証する。
【0025】
この書込み装置1で信号保安装置2の2つのマイコン3a,3bに設けた内蔵FROM4a,4bにプログラムデータを書き込むときの処理を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0026】
書込み装置1のCPU5aは外部記憶装置8aのプログラムデータファイル9aに格納されたプログラムデータを読み出してRAM6aに展開して記憶し、CPU5bは外部記憶装置8bのプログラムデータファイル9bに格納されたプログラムデータを読み出してRAM6bに展開して記憶する(ステップS1)。次に、CPU5aはRAM6aに記憶したプログラムデータからCRCを算出し、CPU5bはRAM6bに記憶したプログラムデータからCRCを算出する(ステップS2)。
【0027】
その後、CPU5aは外部記憶装置8aのCRCデータファイル10aに格納されたCRCを読み出し、算出したCRCと読み出したCRCを比較して両方のCRCが一致しているかどうかを確認し、CPU5bも外部記憶装置8bのCRCデータファイル10bに格納されたCRCを読み出し、算出したCRCと読み出したCRCを比較して両方のCRCが一致しているかどうかを確認する(ステップS3、S4)。この確認の結果、CPU5aとCPU5bで算出したCRCと外部記憶装置8a,8bのCRCデータファイル10a,10bに格納されたCRCのいずれか一方又は両方が一致していない場合、例えばCPU5bで算出したCRCと外部記憶装置8bのCRCデータファイル10bに格納されたCRCが一致していないことを確認すると、そのことを示す信号をCPU5aに送り、マイコン3a,3bに対するプログラムデータの書込みを禁止する(ステップS4,S10)。
【0028】
また、CPU5aとCPU5bで生成したCRCと外部記憶装置8a,8bのCRCデータファイル10a,10bに格納されたCRCが一致している場合、CPU5aはCPU5bで算出したCRCを読込み、読み込んだCRCとCPU5aで算出したCRCを比較して両方のCRCが一致しているかどうかを確認し、CPU5bもCPU5aで算出したCRCを読込み、読み込んだCRCとCPU5bで算出したCRCを比較して両方のCRCが一致しているかどうかを確認する(ステップS5,S6)。この確認の結果、CPU5aで算出したCRCとCPU5bで算出したCRCが一致していない場合、CPU5aとCPU5bはマイコン3a,3bに対するプログラムデータの書込みを禁止する(ステップS7,S10)。
【0029】
また、CPU5aで算出したCRCとCPU5bで算出したCRCが一致している場合、CPU5aはRAM6aに記憶したプログラムデータをシリアルインタフェース7aからマイコン3aにシリアル転送して内蔵ROM4aに展開して書込み、CPU5bはRAM6bに記憶したプログラムデータをシリアルインタフェース7bからマイコン3bにシリアル転送して内蔵ROM4bに展開して書込む(ステップS7,S8)。この内蔵ROM4a,4bに対するプログラムデータの書込みが完了すると、プログラムデータの書込み処理を終了する(ステップS9)。
【0030】
一方、CPU5aとCPU5bはマイコン3a,3bに対するプログラムデータの書込みを禁止すると、外部記憶装置8a,8bからのプログラムデータの読み出しと、RAM6a,6bに展開して記憶したプログラムデータに誤りがないかどうかの検証を再度行い(ステップS11,S1〜S10)、所定回数繰り返してもプログラムデータの書込みの禁止が続くと書込み処理を終了する(ステップS11)。
【0031】
このようにしてプログラムデータ作成パソコン11で作成されて外部記憶装置8a,8bのプログラムデータファイル9a,9bに書き込まれたプログラムデータや、CPU5a,5bで外部記憶装置8a,8bのプログラムデータファイル9a,9bから読み出してRAM6a,6bに展開して記憶したプログラムデータに誤りがないかどうかに検証することにより、マイコン4a,4bに誤りのない同じプログラムデータを転送して内蔵ROM4a,4bに書き込むことができる。
【0032】
次に、CPU5aでマイコン3aの内蔵ROM4aに書き込んだプログラムデータとCPU5bでマイコン3bの内蔵ROM4bに書き込んだプログラムデータに誤りがないかどうかを検証する処理を図3のフローチャートを参照して説明する。
【0033】
CPU5aとCPU5bはマイコン3a,3bの内蔵ROM4a,4bに対するプログラムデータの書込みが終了すると、CPU5aは内蔵ROM4aに書き込んだプログラムデータを読み出し、CPU5bは内蔵ROM4bに書き込んだプログラムデータを読み出す(ステップS21)。CPU5aは読み出したプログラムデータがRAM6aに記憶しているプログラムデータと一致しているかどうかを検証し、CPU5bは読み出したプログラムデータがRAM6bに記憶しているプログラムデータと一致しているかどうかを検証する(ステップS22)。この検証の結果、CPU5aとCPU5bで読み出したプログラムデータのいずれか一方又は両方がRAM6a,6bに記憶しているプログラムデータと一致していない場合は書込み異常と判定して、マイコン3a,3bの内蔵FROM4a,4bに書き込んだプログラムデータを削除する(ステップS23,S34)。
【0034】
また、CPU5aとCPU5bで読み出したプログラムデータがRAM6a,6bに記憶しているプログラムデータと一致している場合、CPU5aは読み出したプログラムデータからCRCを算出し、CPU5bは読み出したプログラムデータからCRCを算出する(ステップS24)。そしてCPU5aは算出したCRCと外部記憶装置8aのCRCデータファイル10aに記憶しているCRCと比較し、両方のCRCが一致しているかどうかを確認し、CPU5bは算出したCRCと外部記憶装置8bのCRCデータファイル10bに記憶しているCRCと比較し、両方のCRCが一致しているかどうかを確認する(ステップS25)。この確認の結果、CPU5aとCPU5bで算出したCRCのいずれか一方又は両方が外部記憶装置8a,8bに記憶したCRCと一致していない場合は書込み異常と判定して、マイコン3a,3bの内蔵FROM4a,4bに書き込んだプログラムデータを削除する(ステップS26,S34)。
【0035】
また、CPU5aとCPU5bで算出したCRCが外部記憶装置8a,8bに記憶したCRCと一致している場合、CPU5aは他系のマイコン3bの内蔵ROM4bに書き込まれたプログラムデータを読み出し、CPU5bは他系のマイコン3aの内蔵ROM4aに書き込まれたプログラムデータを読み出す(ステップS27)。そしてCPU5aは読み出したプログラムデータがRAM6aに記憶しているプログラムデータと一致しているかどうかを検証し、CPU5bは読み出したプログラムデータがRAM6bに記憶しているプログラムデータと一致しているかどうかを検証する(ステップS28)。この検証の結果、CPU5aとCPU5bで読み出した他系のプログラムデータのいずれか一方又は両方が自系に記憶したプログラムデータと一致していない場合は書込み異常と判定して、マイコン3a,3bの内蔵FROM4a,4bに書き込んだプログラムデータを削除する(ステップS29,S34)。
【0036】
また、CPU5aとCPU5bで読み出した他系のプログラムデータが自系に記憶したプログラムデータと一致している場合、CPU5aは読み出した他系のプログラムデータからCRCを算出し、CPU5bは読み出した他系のプログラムデータからCRCを算出する(ステップS30)。そしてCPU5aは算出したCRCと外部記憶装置8aのCRCデータファイル10aに記憶しているCRCと比較し、両方のCRCが一致しているかどうかを確認し、CPU5bは算出したCRCと外部記憶装置8bのCRCデータファイル10bに記憶しているCRCと比較し、両方のCRCが一致しているかどうかを確認する(ステップS31)。この確認の結果、CPU5aとCPU5bで算出したCRCのいずれか一方又は両方が外部記憶装置8a,8bに記憶したCRCと一致していない場合は書込み異常と判定して書込み処理に戻る(ステップS32,S34)。また、CPU5aとCPU5bで算出したCRCが外部記憶装置8a,8bに記憶したCRCと一致している場合はマイコン3a,3bの内蔵ROM4a,4bに対するプログラムデータの書込みは正常と判定して、書き込んだプログラムデータの検証処理を終了する(ステップS33)。
【0037】
このようにしてCPU5aとCPU5bでマイコン3a,3bの内蔵ROM4a,4bにプログラムデータを書き込んだときに、同一のプログラムデータが内蔵ROM4a,4bに正常に書き込まれたことを確認することができ、独立で動作する2つのマイコン3a,3bに同じプログラムデータを確実に書き込むことができる。また、従来の相互監視機能を有するマイコンに対しても手動切替手段を使用しないで効率良くプログラムデータを書き込むことができる。
【符号の説明】
【0038】
1;書込み装置、2;信号保安装置、3;マイコン、4;内蔵FROM、
5;CPU、6;RAM、7;シリアルインタフェース、8;外部記憶装置、
10;プログラムデータファイル、10;CRCデータファイル、
11;プログラムデータ作成パソコン。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0039】
【特許文献1】特開2001−301619号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に同じプログラムデータを書き込むプログラム書込み装置であって、
2つのCPU及び2つの外部記憶装置を実装する記憶装置装着部を有し、
前記2つの外部記憶装置は、それぞれプログラムデータファイル及びCRCデータファイルを有し、前記プログラムデータファイルには外部装置で作成された同じプログラムデータが格納され、前記CRCデータファイルには前記外部装置にて前記プログラムデータから算出された誤り検出符号であるCRCが格納されて前記記憶装置装着部に実装され、
前記2つのCPUの一方のCPUは、一方の外部記憶装置に格納されたプログラムデータとCRCを読み出し、読み出したプログラムデータに誤りがないかどうかを検証し、他方のCPUは、他方の外部記憶装置に格納されたプログラムデータとCRCを読み出し、読み出したプログラムデータに誤りがないかどうかを検証し、読み出したプログラムデータに誤りがないことを確認すると、前記一方のCPUは、読み出したプログラムデータを前記2つのマイコンの一方のマイコンに内蔵した記憶媒体に転送して書き込み、前記他方のCPUは、読み出したプログラムデータを前記2つのマイコンの他方のマイコンに内蔵した記憶媒体に転送して書き込み、
前記2つのCPUは前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証することを特徴とするプログラム書込み装置。
【請求項2】
前記2つのCPUは、前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータによりCRCを算出し、算出したCRCと外部記憶装置から読み出したCRCを比較し、両方のCRCが一致している場合、読み出したプログラムデータを前記2つのマイコンに転送し、両方のCRCが一致していない場合は、前記2つのマイコンに対するプログラムデータの転送を禁止することを特徴とする請求項1記載のプログラム書込み装置。
【請求項3】
前記2つのCPUは、前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータにより算出したCRCと外部記憶装置から読み出したCRCが一致している場合、前記2つのCPUはそれぞれ他系のCPUで算出したCRCを読み出し、読み出したCRCと自系で算出したCRCを比較し、両方のCRCが一致している場合、読み出したプログラムデータを前記2つのマイコンに転送し、両方のCRCが一致していない場合は、前記2つのマイコンに対するプログラムデータの転送を禁止することを特徴とする請求項1記載のプログラム書込み装置。
【請求項4】
前記2つのCPUは、前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に転送して書込みが終了すると、前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証し、両方のプログラムデータが一致していない場合は書込み異常と判定して前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを削除することを特徴とする請求項2又は3記載のプログラム書込み装置。
【請求項5】
前記2つのCPUは、前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータが前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致している場合、前記マイコンから読み出したプログラムデータからCRCを算出し、算出したCRCと前記外部記憶装置から読み出したCRCを比較し、両方のCRCが一致していない場合は書込み異常と判定して前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを削除することを特徴とする請求項4記載のプログラム書込み装置。
【請求項6】
前記マイコンから読み出したプログラムデータから算出したCRCが一致している場合、前記2つのCPUはそれぞれ他系のCPUで前記マイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが自系の前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証し、両方のプログラムデータが一致していない場合は書込み異常と判定して前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを削除することを特徴とする請求項5記載のプログラム書込み装置。
【請求項7】
前記2つのCPUはそれぞれ他系のCPUで前記マイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを読み出し、読み出したプログラムデータが自系の前記外部記憶装置から読み出したプログラムデータと一致しているかどうかを検証した結果、両方のプログラムデータが一致している場合、他系のCPUで前記マイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータからCRCを算出し、算出したCRCと前記自系の外部記憶装置から読み出したCRCを比較し、両方のCRCが一致していない場合は書込み異常と判定して前記2つのマイコンに内蔵した記憶媒体に書き込んだプログラムデータを削除することを特徴とする請求項6記載のプログラム書込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−60186(P2011−60186A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211764(P2009−211764)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】