説明

ベンゼン誘導体

【課題】 本発明の課題は、PPARαアゴニスト作用を有し、高脂血症の予防および/または治療薬として有用な化合物を提供することにある。
【解決手段】 下記一般式(I)で示される化合物が優れたPPARαアゴニスト作用を有すると共に脂質低下作用を示すことを見出し、本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規なベンゼン誘導体及びそれを有効成分とする医薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Peroxisome proliferator−activated receptor(PPAR)は1990年にペルオキシゾーム増殖剤に応答するレセプターとしてクローニングされた核内受容体であり、他の核内受容体であるretinoid X receptor(RXR)とヘテロ二量体を形成し、転写因子として種々の標的遺伝子を活性化する。PPARには3種のサブタイプ(PPARα、β(δ)、γ)が存在し、PPARαに対しては高脂血症治療薬であるフィブラート系薬剤が、またPPARγに対してはインスリン抵抗性改善薬であるチアゾリジン誘導体がそれぞれリガンドとして働くことが明らかとなっている。
【0003】
フィブラート系薬剤は高脂血症治療薬として広く使用されている薬剤であり、わが国ではこれまでクロフィブラート、クロフィブラートアルミニウム、シンフィブラート、クリノフィブラートなどが用いられてきたが、現在は第二世代と言われているベザフィブラート(ベザトールSR(登録商標)、ベザリップ(登録商標))、フェノフィブラート(リパンチル(登録商標))が汎用されている。
【0004】
フィブラート系薬剤はPPARαを活性化することにより、脂肪酸の代謝に関連する遺伝子(アシルCoA合成酵素、リポ蛋白リパーゼ、脂肪酸輸送蛋白など)や中性脂肪(TG)及びコレステロール代謝に関与するアポリポ蛋白(AI、AII、AV、CIII)遺伝子の発現を調節し、TGならびにLDLコレステロールを低下させ、HDLコレステロールを増加させる。
【0005】
しかしながら、従来のフィブラート系薬剤はPPARαアゴニスト活性(EC50)がμmol/Lオーダー(30μmol/L以上)と弱く、薬物投与量が200−1500mg/dayと多い。また胃部不快感、嘔気等の消化器症状、発疹等の皮膚症状、肝機能障害、膵炎といった種々の副作用も報告されており(以上、リパンチル(登録商標)添付文書)、PPARαアゴニスト作用を有する薬剤としては更なる改良の余地が残されている。
【0006】
以上のことから、従来のフィブラートよりもPPARαを特異的に活性化しうる化合物を創製することにより、PPARα活性化に基づく薬理作用(TG低下作用、LDL−C低下作用、HDL−C増加作用、抗動脈硬化作用、インスリン抵抗性改善作用など)の面でより優れた化合物としての医薬用途が期待される。
このような背景を受け、近年PPARαアゴニストに関して種々のカルボン酸誘導体が報告されている。例えば、特許文献[国際公開番号WO00/23407]及び非特許文献[J.Med.Chem.,42,3785(1999)及びBioorg.Med.Chem.Lett.,11,1225(2001)]には(フェニルチオ)酢酸誘導体が、特許文献[国際公開番号WO00/75103]及び非特許文献[Bioorg.Med.Chem.Lett.,12,333(2002)]には3−フェニルプロピオン酸誘導体が、特許文献[国際公開番号WO02/38553]及び非特許文献[J.Med.Chem.,46,5121(2003)]にはフェノキシ酢酸誘導体が、特許文献[国際公開番号WO02/28821]にはフェノキシ酢酸誘導体が、特許文献[国際公開番号WO96/15784]及び非特許文献[Am.J.Physiol.,283(3,Pt.2),H949(2002)]には2,2−ジクロロアルカンカルボン酸誘導体が、特許文献[国際公開番号WO01/90087]には1,3−ジオキサン−2−カルボン酸誘導体が、特許文献[国際公開番号WO02/096894]にはフェノキシ酢酸誘導体が報告されているが、いずれの化合物も、高脂血症の予防及び/又は治療薬として十分とは言えず、医薬品として満足出来るものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、PPARαアゴニスト作用を有し、高脂血症の予防及び/又は治療薬として有用な化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、高脂血症の予防及び/又は治療薬として有用な薬物の創製を目的として、ヒトPPARαの脂質代謝に関する役割に着目し研究を重ねた結果、下記一般式(I)で示されるベンゼン誘導体が優れたヒトPPARα転写活性作用を有すると共に脂質低下作用を示すことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)一般式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
〔式中、Aは下式
【0011】
【化1】

【0012】
{式中、
1及びR2は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、シアノ基、ニトロ基を;
3及びR4は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、又はR3及びR4は互いに結合してシクロアルキル基を形成し;
5は水素原子又はアルキル基を;
6は水素原子又はアルキル基を;
7はアルキル基、ハロアルキル基又はアリール基を;
Qは酸素原子又は硫黄原子を示す。なお、前記基のうち、アルキル基、アリール基は、それぞれ置換基を有していてもよい。}を示し;
Yは酸素原子、硫黄原子、−NR8−、−CONR8−、−NR8CO−又はNHCONR8−(式中、R8は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールオキシアルキル基又はヘテロアリールアルキル基を示す。)を;
Zはアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基又はシクロアルキル基を示す。
なお、前記基のうち、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールオキシアルキル基又はヘテロアリールアルキル基は、それぞれ置換基を有していてもよい。〕で表されるベンゼン誘導体若しくはその薬剤上許容される塩又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、PPARaアゴニスト作用を有し、高脂血症の予防及び/又は治療薬として有用な化合物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本明細書中で使用されている各定義について以下に説明する。
【0016】
アルキル基とは、炭素数1〜10で直鎖状又は分岐鎖状のアルキルを意味し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。
【0017】
シクロアルキル基とは、炭素数3〜7で、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等が挙げられる。
【0018】
シクロアルキルアルキル基とは、そのシクロアルキル部は前記と同等であり、そのアルキル部は、炭素数1〜8で直鎖状又は分岐鎖状を意味し、例えばシクロプロピルメチル、2−シクロブチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、シクロヘプチルメチル等が挙げられる。
【0019】
ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられる。
【0020】
ハロアルキル基とは、前記ハロゲン原子が置換した前記アルキル基であり、例えばフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル等が挙げられる。
【0021】
ハロアルキルオキシ基とは、前記ハロゲン原子が置換した前記アルコキシ基であり、例えばトリフルオロメチルオキシ、2,2,2−トリフルオロエチルオキシ、ジフルオロメチルオキシ等が挙げられる。
【0022】
アリール基とは、炭素数6〜14のアリールを意味し、例えばフェニル、ナフチル、又はオルト融合した二環式の基で8〜10個の環原子を有し少なくとも一つの環が芳香環であるもの(例えばインデニル等)等が挙げられる。
【0023】
アリールアルキル基とは、そのアリール部は前記と同等であり、そのアルキル部は、炭素数1〜8で直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばベンジル、ベンズヒドリル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチル、フェニルヘキシル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等が挙げられる。
【0024】
アリールアルケニル基とは、前記アリール基が炭素数2〜6のアルケニル基に結合したものを意味し、例えば1−フェニルエテニル、2−フェニルエテニル、1−フェニル−1−プロペニル、2−フェニル−1−プロペニル、3−フェニル−1−プロペニル、1−フェニル−2−プロペニル、2−フェニル−2−プロペニル、3−フェニル−2−プロペニル、1−フェニル−1−ブテニル、2−フェニル−1−ブテニル、3−フェニル−2−ブテニル、4−フェニル−2−ブテニル、3−フェニル−2−プロペニル、2−フェニル−1−ペンテニル、2−フェニル−3−ペンテニル、2−フェニル−1−ヘキセニル等が挙げられる。
【0025】
アリールオキシアルキル基とは、前記アリール基が炭素数1〜8で直鎖状でも分岐鎖状でもよいアルキル基と酸素原子を介して結合したものを意味し、例えば、(フェニルオキシ)メチル基、(1−ナフチルオキシ)メチル基、(2−ナフチルオキシ)メチル基、1−(フェニルオキシ)エチル基、2−(フェニルオキシ)エチル基、1−(1−ナフチルオキシ)エチル基、2−(1−ナフチルオキシ)エチル基、1−(フェニルオキシ)プロピル基、2−(フェニルオキシ)プロピル基、3−(フェニルオキシ)プロピル基、4−(フェニルオキシ)ブチル基、5−(フェニルオキシ)ペンチル基、6−(フェニルオキシ)ヘキシル基等が挙げられる。
【0026】
ヘテロアリール基とは、炭素及び1〜4個のヘテロ原子(酸素、硫黄又は窒素)を有する5〜6員環基、又はそれから誘導される8〜10個の環原子を有するオルト融合した二環式ヘテロアリール、特にベンズ誘導体、もしくはプロペニレン、トリメチレン若しくはテトラメチレン基をそれに融合して導かれるもの、並びにその安定なN−オキシド等が挙げられる。例えば、ピロリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、1,3,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4−トリアジニル、1,2,3−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、オキサゾロピリジル、イミダゾピリダジニル、チアナフテニル、イソチアナフテニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、クロメニル、イソインドリル、インドリル、インドリニル、インダゾリル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、2,1,3−ベンズオキサジアゾリル、ベンズオキサジニル等が挙げられる。
【0027】
ヘテロアリールアルキル基とは、そのヘテロアリール部は前記と同等であり、そのアルキル部は、炭素数1〜3で直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えば2−ピロリルメチル、2−ピリジルメチル、3−ピリジルメチル、4−ピリジルメチル、2−チエニルメチル、2−(2−ピリジル)エチル、2−(3−ピリジル)エチル、2−(4−ピリジル)エチル、3−(2−ピロリル)プロピル、4−イミダゾリルメチル等が挙げられる。
【0028】
ヘテロサイクルとは、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個含有する炭素数2〜10の非芳香族複素環基で、例えばアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、1,2,5,6−テトラヒドロピリジル、チオモルホリノ、オキソチオモルホリノ、ジオキソチオモルホリノ、3−アザスピロ[5,5]ウンデシル、1,3,8−トリアザスピロ[4,5]デシル等が挙げられる。
【0029】
アルキルオキシ基とは、好ましくは炭素数1〜8で直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ等が挙げられる。
【0030】
なお、前記の置換基のうち、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールオキシアルキル基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルキル基及びヘテロサイクルは、それぞれ置換可能な位置に1〜3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えばアルキル基、アルキルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アリール基及びヘテロアリール基が挙げられる。ここで挙げられた置換基はそれぞれ前記と同意義を示す。
【0031】
一般式(I)の化合物の医薬上許容される塩としては、すべての塩を含むが、好ましくは無機酸との塩、有機酸との塩、アルカリ金属との塩、有機塩基との塩又はアミノ酸との塩が挙げられる。
【0032】
本発明において、前記一般式(I)の化合物又はその塩は、溶媒和物(例えば水和物)、生体内において代謝されて前記一般式(I)のカルボン酸又は塩に変換されるプロドラッグ、又は前記一般式(I)の活性代謝物も全て含むものである。
【0033】
本発明の化合物(I)は、例えば下記の方法によって合成することができるが、その製造方法はこれらに限定されるものではない。
【0034】
一般式(I)である化合物のうちAが式(Aa)であり、Y部分の結合様式が酸素原子である一般式(I−2)、(I−4)の化合物は、例えば以下の方法により製造することができる(製造方法1、2)。
[製造方法1]
一般式(II−1)で表されるアルコールと一般式(III−1)で表される脱離基を有するアリール、ヘテロアリール、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルを塩基の存在下にて反応させることで、一般式(I−1)で表されるエーテル化合物を得ることができる(工程1)。又は、アルキル鎖上に脱離基を有する一般式(II−2)で表される化合物を塩基の存在下、一般式(III−2)で表されるアルコール誘導体と反応させることで、一般式(I−1)で表されるエーテル化合物を得ることができる(工程2)。さらに本化合物を脱エステル化してカルボン酸体(I−2)へと変換することができる(工程3)。なお、原料化合物である化合物(II−1)、化合物(II−2)、化合物(III−1)又は化合物(III−2)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0035】


【0036】
〔式中、R1、R2、R3、R4、Q、nは前記と同意義を示し、R9はアルキル基を示し、Z1はアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基を示し、X1は−SO10(式中、R10はアルキル基又はアリール基を示す。)又はハロゲン原子を示し、X2は−OSO11(式中、R11はアルキル基、ハロアルキル基又はアリール基を示す。)又はハロゲン原子を示す。〕
工程1及び工程2は、通常、塩基存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属、水素化カリウム、水素化ナトリウムなどの金属水素化物、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどのアミン類などが用いられる。塩基の使用量は、化合物(II−1)又は化合物(II−2)に対し、好ましくは1〜5モル当量である。反応温度は、通常、−50〜200℃、好適には−10〜100℃にて実施することができる。反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0037】
工程3は、通常、酸又は塩基の存在下、含水溶媒中で行われる。酸としては、例えばギ酸、塩酸、硫酸、酢酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸などが用いられる。塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属などが用いられる。酸又は塩基の使用量は、通常、化合物(I−1)に対して過剰量である。好ましくは、酸の使用量は、化合物(I−1)に対し、2〜100当量、塩基の使用量は、化合物(I−1)に対し、1.2〜5当量である。含水溶媒としては、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ジメチルスルホキシド及びアセトンなどから選ばれる1種以上の溶媒と水との混合溶媒などが用いられる。R9がtert−ブチル基である場合には、上記含水溶媒中での反応に加えて、酸分解することが可能である。酸として、例えばギ酸、塩酸、硫酸、酢酸、臭化水素酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などが用いられる。この際、溶媒を適宜の割合で混合してもよい。溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などが用いられる。酸の使用量は、通常、化合物(I−1)に対して過剰量である。好ましくは、酸の使用量は、化合物(I−1)に対し、2〜100当量である。反応温度は、通常、−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃である。
[製造方法2]
一般式(II−1)で表されるアルコールと一般式(III−3)で表されるアリールアルコール又はヘテロアリールアルコールをホスフィン類及びアゾジカルボン酸誘導体の存在下にて反応させることで、一般式(I−3)で表されるエーテル化合物を得ることができる(工程4)。さらに本化合物を脱エステル化してカルボン酸体(I−4)へと変換することができる(工程5)。なお、原料化合物である化合物(II−1)及び化合物(III−3)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0038】
【化1】

【0039】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R9、Q、nは前記と同意義を示し、Z2はアリール基又はヘテロアリール基を示す。〕
工程4は、通常、ホスフィン類及びアゾジカルボン酸誘導体の存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。ホスフィン類としては、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィンなどが、アゾジカルボン酸誘導体としては、例えばアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボニルジピペラジンなどが用いられる。ホスフィン類及びアゾジカルボン酸誘導体の使用量は、化合物(II−1)に対し、好ましくは1〜5モル当量である。反応温度は、通常、−50〜150℃、好適には−10〜100℃にて実施することができる。反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類などが用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0040】
工程5は、工程3と同様の方法にて実施することができる。
【0041】
一般式(I)である化合物のうちAが式(Aa)であり、Y部分の結合様式が−NH−である一般式(I−6)の化合物は、例えば以下の方法により製造することができる(製造方法3)。
[製造方法3]
一般式(II−3)で表される第1級アミン(例えば、特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される)と一般式(III−1)で表される脱離基を有するアリール、ヘテロアリール、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルを塩基の存在下にて反応させることで、一般式(I−5)で表される第2級アミン化合物を得ることができる(工程6)。さらに本化合物を脱エステル化してカルボン酸体(I−6)へと変換することができる(工程7)。なお、原料化合物である化合物(III−1)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0042】
【化1】

【0043】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R9、Q、n、Z1、X1は前記と同意義を示す。〕
工程6は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0044】
工程7は、工程3と同様の方法にて実施することができる。
【0045】
一般式(I)である化合物のうちAが式(Aa)であり、Y部分の結合様式が−NR12−(式中、R12はアルキル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールオキシアルキル基、ヘテロアリールアルキル基を示し、これらはそれぞれ置換基を有していていてもよい)である一般式(I−8)の化合物は、例えば以下の方法により製造することができる(製造方法4)。
[製造方法4]
製造方法3で合成される一般式(I−5)で表される第2級アミンと一般式(III−4)で表される脱離基を有するアルキル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールオキシアルキル又はヘテロアリールアルキルを塩基の存在下にて反応させることで、一般式(I−7)で表される第3級アミン化合物を得ることができる(工程8)。もしくは、一般式(III−5)で表されるケトン化合物を反応させたのちに、還元反応に付すことにより、一般式(I−7)で表される第3級アミン化合物を得ることができる(工程9)。さらに本化合物を脱エステル化してカルボン酸体(I−8)へと変換することができる(工程10)。なお、原料化合物である化合物(III−4)又は化合物(III−5)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0046】
【化1】

【0047】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R9、R12、Q、n、Z1、X2は前記と同意義を示し、R13及びR14同一又は異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリール基又はヘテロアリールアルキル基を示す。〕
工程8は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0048】
工程9は、通常、還元剤の存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどが挙げられる。反応温度は、通常、0〜100℃にて実施することができる。反応に影響を及ぼさない溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトニトリルなどのニトリル類などが用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよい。また、必要に応じて、酸性触媒、例えば、酢酸、p−トルエンスルホン酸、三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体などを用いてもよい。
【0049】
工程10は、工程3と同様の方法にて実施することができる。
【0050】
一般式(I)である化合物のうちAが式(Aa)であり、Zがアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基であり、そのアリール基又はヘテロアリール基の環上にアリール基又はヘテロアリール基を有する一般式(I−11)の化合物は、製造方法1〜4に示される方法の他に、例えば以下の方法によっても製造することができる(製造方法5)。
[製造方法5]
製造方法1〜3で得られる一般式(I)のZがアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基であり、そのアリール基又はヘテロアリール基の環上にハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離基を有する化合物[一般式(I−9)で表される]と一般式(III−6)で表されるホウ素化合物又は一般式(III−7)で表されるスズ化合物を金属触媒の存在下にて反応させることで、一般式(I−10)で表されるアリール基又はヘテロアリール基を導入した化合物を得ることができる(工程11)。さらに本化合物を脱エステル化してカルボン酸体(I−11)へと変換することができる(工程12)。なお、原料化合物である化合物(III−6)又は(III−7)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0051】
【化1】

【0052】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R9、Q、n、Yは前記と同意義を示し、Z3はアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基を示し、X3はハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基を示し、R15はアリール基又はヘテロアリール基を示し、R16は水素原子又はアルキル基を示すか、又はふたつのR16が一緒になってオルトフェニレン基、エチレン基、1,1,2,2−テトラメチルエチレン基、又は1,3−プロピレン基を形成し、R17はアルキル基を示す。〕
工程11は、通常、金属触媒の存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。この際、塩基を添加してもよい。金属触媒としては、例えば0価のパラジウム、2価のパラジウム、0価のニッケルなどが挙げられる。ここで、0価のパラジウム触媒としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムなどが、2価のパラジウム触媒としては、例えば酢酸パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどが、0価のニッケル触媒としては、例えば1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンニッケルなどが挙げられる。トリフェニルホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィンなどの単座配位子、ジフェニルホスフィノプロパン、ジフェニルホスフィノブタンなどの二座配位子などを加えてもよい。塩基としては、例えば炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、リン酸三カリウムなどのアルカリ金属リン酸塩などが挙げられる。ただし、R15−Sn(R17(III−7)との反応の場合には塩基を用いる必要はない。金属触媒の使用量は、化合物(I−9)に対し、例えば0.01〜1モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量である。塩基の使用量は、化合物(I−9)に対し、例えば1〜20モル当量、好ましくは1〜10モル当量である。反応温度は、通常、0℃から溶媒の還流温度にて実施することができる。反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、水などが用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよい。R15−Sn(R17(III−7)との反応の場合には、非水系の溶媒中で行うのが好ましい。R15−B(OR16(III−6)又はR15−Sn(R17(III−7)の使用量は、化合物(I−9)に対し、例えば1〜5モル当量、好ましくは1〜3モル当量である。
【0053】
工程12は、工程3と同様の方法にて実施することができる。
【0054】
一般式(I)である化合物のうちAが式(Aa)であり、Zがアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基であり、そのアリール基又はヘテロアリール基の環上にアミノ基を有する一般式(I−13)の化合物は、製造方法1〜4に示される方法の他に、例えば以下の方法によっても製造することができる(製造方法6)。
[製造方法6]
一般式(I−9)で表される脱離基を有する化合物と一般式(III−8)で表されるアミン化合物を金属触媒及び塩基の存在下にて反応させることで、一般式(I−12)で表されるアミノ基を導入した化合物を得ることができる(工程13)。さらに本化合物を脱エステル化してカルボン酸体(I−13)へと変換することができる(工程14)。なお、原料化合物である化合物(III−8)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0055】
【化1】

【0056】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R9、Q、n、Y、Z3、X3は前記と同意義を示し、R18及びR19は同一又は異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基を示すか、又はR18とR19は互いに結合して、炭素及びヘテロ原子を有していてもよいヘテロサイクルを形成する。〕
工程13は、非特許文献[J.Org.Chem.,65,1158(2000)]等に記載の方法を参考にして、アミノ化反応を行うことにより、一般式(I−12)で表されるアミン化合物を得ることができる。通常、金属触媒、金属配位子及び塩基の存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。金属触媒としては、例えばトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、酢酸パラジウムなどが挙げられる。金属配位子をしては例えば2−(ジ−tert−ブチルフォスフィノ)ビフェニルなどが挙げられる。塩基としては、例えば炭酸セシウム、リン酸三カリウム、ナトリウム第3級ブトキシドなどが挙げられる。金属触媒の使用量は、化合物(I−9)に対し、例えば0.01〜1モル当量、好ましくは0.05〜0.5モル当量である。塩基の使用量は、化合物(I−9)に対し、例えば1〜5モル当量、好ましくは1〜2モル当量である。反応温度は、通常、0℃から溶媒の還流温度にて実施することができる。反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、メタノール、エタノールなどのアルコール類などが用いられる。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよい。R18(R19)NH(III−8)の使用量は、化合物(I−9)に対し、例えば1〜5モル当量、好ましくは1〜3モル当量である。
【0057】
工程14は、工程3と同様の方法にて実施することができる。
【0058】
一般式(I)である化合物のうちAが式(Aa)でQが酸素原子であり、Y部分の結合様式が−NR12−(式中、R12は前記と同意義を示す)である一般式(I−8)の化合物は、製造方法4に示される方法の他に、例えば以下の方法によっても製造することができる(製造方法7)。
[製造方法7]
一般式(II−4)で表される第1級アミン(例えば、特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される)と一般式(III−1)で表される脱離基を有するアリール、ヘテロアリール、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルを塩基の存在下にて反応させることで、一般式(II−5)で表される第2級アミン化合物を得ることができる(工程15)。本化合物と一般式(III−4)で表される脱離基を有するアルキル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールオキシアルキル又はヘテロアリールアルキルを塩基の存在下にて反応させることで、一般式(II−6)で表される第3級アミン化合物を得ることができる(工程16)。もしくは、一般式(III−5)で表されるケトン化合物を反応させたのちに、還元反応に付すことにより、一般式(II−6)で表される第3級アミン化合物を得ることができる(工程17)。本化合物を脱メチル化反応に付すことで、一般式(II−7)で表されるフェノール化合物を得ることができる(工程18)。本化合物を一般式(IV)で表されるα−ハロエステル化合物を塩基の存在下にて反応させることで、一般式(I−7)で表されるエステル化合物を得ることができる(工程19)。最後に、本化合物を脱エステル化してカルボン酸体(I−8)へと変換することができる(工程20)。なお、原料化合物である化合物(III−1)、化合物(III−4)、化合物(III−5)又は化合物(IV)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0059】
【化1】

【0060】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R9、R12、R13、R14、n、Z1、X1、X2は前記と同意義を示す。〕
工程15は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0061】
工程16は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0062】
工程17は、工程9と同様の方法にて実施することができる。
【0063】
工程18は、通常、ルイス酸の存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。ルイス酸としては、例えば、三臭化ホウ素などが挙げられる。反応に影響を及ぼさない溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類などが用いられる。ルイス酸の使用量は、化合物(II−6)に対し、好ましくは1〜5モル当量である。反応温度は、通常、−10〜100℃にて実施することができる。
【0064】
工程19は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0065】
工程20は、工程3と同様の方法にて実施することができる。
【0066】
一般式(I)である化合物のうち、Aが式(Aa)でQが酸素原子であり、Y部分の結合様式が−NR12−(式中、R12は前記と同意義を示す)であり、Zがアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基であり、そのアリール基又はヘテロアリール基の環上にアミノ基を有する一般式(I−15)の化合物は、製造方法4及び7に示される方法の他に、例えば以下の方法によっても製造することができる(製造方法8)。
[製造方法8]
製造方法7で得られる化合物(II−6)のZ1の環上にハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基などの脱離基を有する化合物[一般式(II−8)で表される]と一般式(III−8)で表されるアミン化合物を金属触媒及び塩基の存在下にて反応させることで、一般式(II−9)で表されるアミノ基を導入した化合物を得ることができる(工程21)。本化合物を脱メチル化反応に付すことで、一般式(II−10)で表されるフェノール化合物を得ることができる(工程22)。本化合物を一般式(IV)で表されるα−ハロエステル化合物を塩基の存在下にて反応させることで、一般式(I−14)で表されるエステル化合物を得ることができる(工程23)。最後に、本化合物を脱エステル化してカルボン酸体(I−15)へと変換することができる(工程24)。なお、原料化合物である化合物(III−8)及び化合物(IV)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0067】
【化1】

【0068】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R9、R12、R18、R19、n、Z3、X2、X3は前記と同意義を示す。〕
工程21は、工程13と同様の方法にて実施することができる。
【0069】
工程22は、工程18と同様の方法にて実施することができる。
【0070】
工程23は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0071】
工程24は、工程3と同様の方法にて実施することができる。
【0072】
一般式(I)である化合物のうちAが式(Ab)であり、Y部分の結合様式が−NR12−(式中、R12は前記と同意義を示す)であり、Zがアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基又はヘテロアリールアルキル基である一般式(I−16)の化合物は、例えば以下の方法により製造することができる(製造方法9)。
[製造方法9]
一般式(II−11)で表される第1級アミンと一般式(III−1)で表される脱離基を有するアリール、ヘテロアリール、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルを塩基の存在下にて反応させることで、一般式(II−12)で表される第2級アミン化合物を得ることができる(工程25)。本化合物を還元反応に付すことにより、一般式(II−13)で表されるジアミン化合物を得ることができる(工程26)。本化合物と一般式(III−4)で表される脱離基を有するアルキル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールオキシアルキル又はヘテロアリールアルキルを塩基の存在下にて反応させることで、一般式(II−14)で表される第3級アミン化合物を得ることができる(工程27)。本化合物を一般式(V)で表される無水スルホン酸化合物を塩基の存在下にて反応させることで、一般式(I−16)で表されるスルホンアミド化合物を得ることができる(工程28)。なお、原料化合物である化合物(II−11)、化合物(III−1)、化合物(III−4)又は化合物(V)は、通常、公知の方法により容易に合成される。
【0073】
【化1】

【0074】
〔式中、R1、R2、R7、R12、n、Z1、X1、X2は前記と同意義を示す。〕
工程25は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0075】
工程26は、通常、金属触媒の存在下、水素雰囲気下で、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。金属触媒としては、例えば、パラジウム炭素などが挙げられる。反応に影響を及ぼさない溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類などが用いられる。金属触媒の使用量は、化合物(II−12)に対し、好ましくは0.01〜0.5当量である。反応温度は、通常、−10〜100℃にて実施することができる。
【0076】
工程27は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0077】
工程28は、工程1と同様の方法にて実施することができる。
【0078】
このようにして製造される本発明の一般式(I)のベンゼン誘導体は、公知の分離精製手段、例えば、濃縮、抽出、クロマトグラフィー、再沈殿、再結晶等の手段を適宜施すことによって、任意の純度のものとして採取できる。
また、このようにして得られる一般式(I)の化合物は必要により塩酸、臭化水素酸等の無機酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム等のアルカリ金属、ジシクロヘキシルアミン等の有機塩基、リジン、アルギニン等のアミノ酸と処理することによりそれらの塩とすることができる。
【0079】
本発明の一般式(I)の化合物は動脈硬化性疾患、特に冠動脈硬化症の予防という観点から有効で安全性の高い高脂血症の予防及び/又は治療薬として有用である。
【0080】
本発明の化合物(I)及びその付加塩を前述の医薬として用いる場合、それ自体あるいは適宜の薬理学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤などと混合し、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、注射剤等の形態で、経口的又は非経口的に投与することができる。上記製剤中には化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩を有効量配合する。
【0081】
当該化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の投与量は、投与ルート、対象疾患、患者の症状、体重あるいは年齢、用いる化合物によっても異なり、投与目的に応じて適宜設定することができる。通常、成人に経口投与する場合、0.01〜1000mg/kg体重/日、好ましくは0.05〜500mg/kg体重/日を、一日1〜数回に分けて投与するのが好ましい。
【0082】
本発明化合物(I)は、他の抗高脂血症剤と同時に同一対象に投与することができ、また、時間差をおいて同一対象に投与することができる。ここにおいて抗高脂血症剤としては、コレステロール合成酵素阻害剤であるスタチン系化合物、スクアレン合成酵素阻害剤あるいはトリグリセリド低下作用を有するフィブラート系化合物等が挙げられる。本発明化合物を多剤と組み合わせて用いる場合、その配合比は、投与対象、投与対象の年齢及び体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、組み合わせ等により適宜選択することができる。
【実施例】
【0083】
以下、原料製造例、実施例、実験例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0084】
H−NMRのケミカルシフトは、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用い、相対的なデルタ(δ)値をパーツパーミリオン(ppm)で表した。カップリング定数は自明な多重度をヘルツ(Hz)で示し、s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)quint(クインテット)、m(マルチプレット)、dd(ダブレット オブ ダブレッツ)、td(トリプレット オブ ダブレッツ)、brs(ブロードシングレット)などと表した。カラムクロマトグラフィーは富士シリシア化学社製のシリカゲルを用いて行った。
【0085】
[実施例1]
2−[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]アミノ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 塩酸塩
【0086】
【化1】

【0087】
(実施例1−1)
2−(4−{2−[(5−エチルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される2−[4−(2−アミノエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル3.0g及び2−クロロ−5−エチルピリミジン1.53gにN,N−ジイソプロピルエチルアミン1.38gを加え、130℃で6時間撹拌した。反応液を直接シリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、表題化合物2.7gを無色油状物質として得た。
(実施例1−2)
2−[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]アミノ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
実施例1−1で合成される2−(4−{2−[(5−エチルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル400mg及び特許文献特願2004−321347号明細書の参考例18で合成される4−(クロロメチル)−1−フェニル−1H−ピラゾール210mgをN,N−ジメチルホルムアミド5.0mLに溶解し、カリウムtert−ブトキシド140mgを添加し、室温で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、表題化合物400mgを無色油状物として得た。
(実施例1−3)
2−[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]アミノ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 塩酸塩
実施例1−2で得られた2−[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]アミノ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル400mgをジクロロメタン4.0mLに溶解し、トリフルオロ酢酸1.0mLを加え室温で20時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した(この時、目的物は酢酸エチル層に抽出されている)。10%クエン酸水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=1:1〜0:1)で精製することにより得られる化合物をジエチルエーテルに溶解し、4mol/L塩酸−酢酸エチルを作用させることにより表題化合物を得た。
【0088】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.26(3H,t,J=7.5Hz),1.59(6H,s),2.59(2H,q,J=7.5Hz),2.96−3.01(2H,m),4.07−4.12(2H,m),4.69(2H,s),6.85−6.87(2H,m),7.11−7.14(2H,m),7.28−7.30(1H,m),7.40−7.45(2H,m),7.61−7.66(3H,m),8.43(3H,brs).
MS:446(M+1)。
【0089】
[実施例2]
2−{[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]アミノ}エチル)フェニル]チオ}−2−メチルプロピオン酸
【0090】
【化1】

【0091】
特許文献WO0023407に記載される方法に従い合成される2−{[4−(2−アミノエチル)フェニル]チオ}−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステルを出発原料として用い、実施例1と同様の操作により表題化合物を得た。
【0092】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.25(3H,t,J=7.5Hz),1.46(6H,s),2.53(2H,q,J=7.5Hz),2.92−2.97(2H,m),3.88−3.93(2H,m),4.61(2H,s),7.14−7.27(3H,m),7.37−7.45(4H,m),7.59−7.63(3H,m),7.92(1H,s),8.39(2H,s).
MS:502(M+1)。
【0093】
[実施例3]
(4−{2−[{[1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}(5−プロピルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}−2−メチルフェノキシ)酢酸
【0094】
【化1】

【0095】
(実施例3−1)
N−{[1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−N−[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]−5−プロピルピリミジン−2−アミン
特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]アミンと2−クロロ−5−プロピルピリミジンを出発原料とし、実施例1−1と同様の方法によりN−[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]−5−プロピルピリミジン−2−アミンを得た。本化合物及び特許文献特願2004−321347号明細書の参考例18と同様の方法により合成される4−(クロロメチル)−1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾールを出発原料とし、実施例1−2と同様の方法により表題化合物を得た。
(実施例3−2)
4−{2−[{[1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}(5−プロピルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}−2−メチルフェノール
実施例3−1で合成されるN−{[1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}−N−[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]−5−プロピルピリミジン−2−アミン500mgをジクロロメタン30mLに溶解し、氷冷下、三臭化ホウ素(1mol/L、ジクロロメタン溶液)2.1mLを滴下した。そのまま室温まで昇温し、2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、メタノールを加え再び減圧濃縮した。酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した(この時、目的物は酢酸エチル層に抽出されている)。10%クエン酸水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより表題化合物320mgを得た。
(実施例3−3)
(4−{2−[{[1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}(5−プロピルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}−2−メチルフェノキシ)酢酸
実施例3−2で合成される4−{2−[{[1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}(5−プロピルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}−2−メチルフェノール320mg及びブロモ酢酸エチル174mgをN,N−ジメチルホルムアミド2.5mLに溶解し、酢酸セシウム339mgを加え80℃で2時間加熱した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することにより、(4−{2−[{[1−(2−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}(5−プロピルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}−2−メチルフェノキシ)酢酸 エチルエステル400mgを無色油状物として得た。本化合物400mgをメタノール4mL及びテトラヒドロフラン4mLに溶解し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液2mLを加え室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、10%クエン酸水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=3:1〜0:1)で精製することにより、表題化合物243mgを白色固体として得た。
【0096】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:0.95(3H,t,J=7.2Hz),1.56−1.63(2H,m),2.25(3H,s),2.42(2H,t,J=7.5Hz),2.83(2H,t,J=7.8Hz),3.77(2H,t,J=7.8Hz),4.59(2H,s),4.68(2H,s),6.62(1H,d,J=8.1Hz),6.96−7.02(2H,m),7.29−7.37(2H,m),7.47−7.55(2H,m),7.65(1H,s),7.78(1H,s),8.24(2H,s).
MS:520(M+1)。
【0097】
[実施例4]
2−[2−フルオロ−4−(2−{{[1−(3−メチルフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]メチル}[4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル]アミノ}エチル)フェノキシ]ブタン酸
【0098】
【化1】

【0099】
特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される[2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]アミンと2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリミジンを出発原料とし、途中、特許文献特願2004−321347号明細書の参考例18と同様の方法により合成される4−(クロロメチル)−1−(3−メチルフェニル)−1H−ピラゾール及び2−ブロモブタン酸 エチルステルを原料とし、実施例3と同様の操作を行うことにより、表題化合物を得た。
【0100】
H−NMR(CDCCl,300MHz)δ:1.10(3H,t,J=7.2Hz),2.01−2.12(2H,m),2.40(3H,s),2.88(2H,t,J=7.2Hz),3.80−3.85(2H,m),4.60−4.64(3H,m),6.82−6.89(3H,m),6.94−6.98(1H,m),7.07−7.10(1H,m),7.30−7.32(1H,m),7.38−7.40(1H,m),7.47(1H,s),7.58(1H,s),7.91−7.95(1H,m),8.56(1H,d,J=4.8Hz).
MS:558(M+1)。
1−(4−{[ピリミジン−2−イル({1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル}メチル)アミノ]メチル}フェノキシ)シクロブタンカルボン酸
【0101】
【化1】

【0102】
4−メトキシベンジルアミンと2−クロロピリミジンを出発原料とし、途中、特許文献特願2004−321347号明細書の参考例18と同様の方法により合成される4−(クロロメチル)−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピラゾール及び1−ブロモシクロブタンカルボン酸 エチルステルを原料とし、実施例3と同様の操作を行うことにより、表題化合物を得た。
【0103】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.95−2.05(2H,m),2.40−2.51(2H,m),2.71−2.79(2H,m),4.65(2H,s),4.85(2H,s),6.55−6.58(1H,m),6.66(2H,d,J=8.4Hz),7.16(2H,d,J=8.4Hz),7.41(1H,s),7.66−7.74(4H,m),7.79(1H,s),8.38(2H,d,J=4.5Hz).
MS:524(M+1)。
【0104】
[実施例6]
2−(4−{2−[ヘプチル(4−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸
【0105】
【化1】

【0106】
特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される2−[4−(2−アミノエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル、特許文献特願2004−321347号明細書の参考例6で合成される4−(2−クロロピリミジン−4−イル)モルホリン及びヨウ化ヘプチルを原料とし、実施例1と同様の操作により表題化合物を得た。
【0107】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:0.87(3H,brs),1.24−1.28(8H,m),1.58(8H,brs),2.86(2H,brs),3.73−3.79(12H,m),6.01−6.03(1H,m),6.83−7.00(4H,m),7.98(1H,brs).
MS:485(M+1)。
【0108】
[実施例7]
2−(4−{2−[ヘプチル(2−モルホリン−4−イルピリミジン−4−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸
【0109】
【化1】

【0110】
特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される2−[4−(2−アミノエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル、特許文献特願2004−321347号明細書の参考例6で合成される4−(4−クロロピリミジン−2−イル)モルホリン及びヨウ化ヘプチルを原料とし、実施例1と同様の操作により表題化合物を得た。
【0111】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:0.89(3H,t,J=6.6Hz),1.29−1.32(8H,m),1.60(8H,brs),2.80(2H,t,J=6.0Hz),3.66−3.77(12H,m),6.78−6.90(5H,m),7.61(1H,brs).
MS:485(M+1)。
【0112】
[実施例8]
2−(4−{2−[ヘプチル(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸
【0113】
【化1】

【0114】
(実施例8−1)
2−(4−{2−[(5−ブロモピリミジン−2−イル)(ヘプチル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される2−[4−(2−アミノエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステルと5−ブロモ−2−クロロピリミジンを出発原料とし、実施例1−1と同様の方法により2−(4−{2−[(5−ブロモピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステルを得た。本化合物及びヨウ化ヘプチルを出発原料とし、実施例1−2と同様の方法により表題化合物を得た。
【0115】
(実施例8−2)
2−(4−{2−[ヘプチル(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
窒素で置換した20mLねじ口試験管にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム73mg、2−(ジ−tert−ブチルフォスフィノ)ビフェニル47mg及びナトリウムtert−ブトキシド168mgを加え、そこへ実施例8−1で合成される2−(4−{2−[(5−ブロモピリミジン−2−イル)(ヘプチル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル850mgとモルホリン208mgのトルエン(3.0mL)溶液を添加した。ふたを閉め、110℃で4時間撹拌した。室温まで冷却後、そのまま溶液をシリカゲルクロマトグラフィーに充填して精製(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=4:1)することにより、表題化合物500mgを無色油状物として得た。
【0116】
(実施例8−3)
2−(4−{2−[ヘプチル(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸
実施例8−2で得られた2−(4−{2−[ヘプチル(5−モルホリン−4−イルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル500mgをジクロロメタン10mLに溶解し、トリフルオロ酢酸2mLを加え室温で20時間撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した(この時、目的物は酢酸エチル層に抽出されている)。10%クエン酸水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=1:1〜0:1)で精製することにより、表題化合物370mgを無色油状物として得た。
【0117】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:0.88(3H,t,J=6.6Hz),1.24−1.29(8H,m),1.59(8H,brs),2.80(2H,t,J=6.6Hz),3.00−3.03(4H,m),3.46(2H,t,J=7.5Hz),3.74−3.88(6H,m),6.76(2H,d,J=8.4Hz),7.01(2H,d,J=8.4Hz),8.01(2H,s).
MS:485(M+1)。
【0118】
[実施例9]
2−(4−{2−[[5−(ジメチルアミノ)ピリミジン−2−イル](ヘキシル)アミノ]エチル}−2−フルオロフェノキシ)ブタン酸 トリフルオロ酢酸塩
【0119】
【化1】

【0120】
(実施例9−1)
5−ブロモ−N−[2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−N−ヘキシルピリミジン−2−アミン
特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される[2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]アミンと5−ブロモ−2−クロロピリミジンを出発原料とし、実施例1−1と同様の方法により5−ブロモ−N−[2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]ピリミジン−2−アミンを得た。本化合物及びヨウ化ヘキシルを出発原料とし、実施例1−2と同様の方法により表題化合物を得た。
【0121】
(実施例9−2)
−[2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−N−ヘキシル−N,N−ジメチルピリミジン−2,5−ジアミン
実施例9−1で得られた5−ブロモ−N−[2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−N−ヘキシルピリミジン−2−アミンとジメチルアミン塩酸塩を出発原料として実施例8−2と同様の操作(溶媒をtert−ブチルアルコールに変更)により表題化合物を得た。
【0122】
(実施例9−3)
2−(4−{2−[[5−(ジメチルアミノ)ピリミジン−2−イル](ヘキシル)アミノ]エチル}−2−フルオロフェノキシ)ブタン酸
実施例9−2で得られたN−[2−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)エチル]−N−ヘキシル−N,N−ジメチルピリミジン−2,5−ジアミンを出発原料として、実施例3−2と同様の操作を行った後、2−ブロモブタン酸 エチルステルを原料とし、実施例3−3と同様の操作(一当量のトリフルオロ酢酸を添加後に精製)により、表題化合物を得た。
【0123】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:0.89(3H,t,J=6.3Hz),1.11(3H,t,J=7.2Hz),1.24−1.59(8H,m),1.98−2.05(2H,m),2.77−2.79(2H,m),2.94(6H,s),3.50(2H,t,J=7.5Hz),3.87(2H,t,J=6.3Hz),4.59(1H,t,J=6.0Hz),6.67−6.74(2H,m),6.83−6.87(1H,m),8.05(2H,s).
MS:447(M+1)。
【0124】
[実施例10]
(4−{2−[[5−(3−メトキシピロリジン−1−イル)ピリミジン−2−イル](7−メチルオクチル)アミノ]エチル}−2−メチルフェノキシ)酢酸 トリフルオロ酢酸塩
【0125】
【化1】

【0126】
特許文献WO03074495に記載される方法に従い合成される[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]アミン、5−ブロモ−2−クロロピリミジン、ヨウ化7−メチルオクチル、3−メトキシピロリジン及びブロモ酢酸エチルを原料として用い、実施例9と同様の操作により表題化合物を得た。
【0127】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:0.74−0.90(7H,m),1.10−1.29(8H,m),1.50−1.70(2H,m),2.05−2.12(2H,m),2.18−2.21(5H,m),3.27−3.41(7H,m),3.51−3.55(2H,m),3.80−3.90(2H,m),4.15−4.16(1H,m),4.63(2H,s),6.51(1H,d,J=8.4Hz),6.77−6.79(1H,m),6.99(1H,s),7.84(2H,s).
MS:513(M+1)。
【0128】
2−(4−{2−[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸
【0129】
【化1】

【0130】
(実施例11−1)
2−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール5.0g及び2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチル24.0gをN,N−ジメチルホルムアミド100mLに溶解し、炭酸カリウム20gを加え80℃で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=3:1〜1:1)で精製することにより、表題化合物4.8gを無色油状物として得た。
【0131】
(実施例11−2)
2−(4−{2−[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
実施例11−1で得られた2−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル500mg及び4’−フルオロビフェニル−4−オール420mgをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、氷冷下、トリフェニルホスフィン760mg及びジアゾジカルボン酸ジエチル(40%トルエン溶液)1.2gを添加し、その後室温にて一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、標記化合物260mgを無色油状物として得た。
【0132】
(実施例11−3)
2−(4−{2−[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸
実施例11−2で得られた2−(4−{2−[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル260mgをジクロロメタン2mLに溶解し、トリフルオロ酢酸2mLを加え室温で一晩撹拌した。反応液を減圧濃縮した後、酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した(この時、目的物は酢酸エチル層に抽出されている)。10%クエン酸水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=3:1〜1:1)で精製することにより、表題化合物162mgを白色固体として得た。
【0133】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.59(6H,s),3.08(2H,t,J=6.9Hz),4.19(2H,t,J=6.9Hz),6.90−6.96(4H,m),7.06−7.12(2H,m),7.21−7.26(2H,m),7.43−7.50(4H,m).
[実施例12]
2−[4−(2−{[5−(4−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸
【0134】
【化1】

【0135】
(実施例12−1)
2−(4−{2−[(5−ブロモピリジン−2−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
実施例11−1で得られた2−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル及び5−ブロモピリジン−2−オールを出発原料として用い、実施例11−2と同様な操作により表題化合物を得た。
【0136】
(実施例12−2)
2−[4−(2−{[5−(4−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
実施例12−1で得られた2−(4−{2−[(5−ブロモピリジン−2−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル600mg及び4−フルオロフェニルホウ酸231mgをジオキサン8ml及び2mol/L炭酸ナトリウム4mlに溶解し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム80mgを加え4時間還流した。反応液を冷却し、水を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=10:1〜5:1)で精製することにより、表題化合物500mgを淡黄色油状物として得た。
【0137】
(実施例12−3)
2−[4−(2−{[5−(4−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸
実施例12−2で得られた2−[4−(2−{[5−(4−フルオロフェニル)ピリジン−2−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステルを用い、実施例11−3と同様な操作により表題化合物を得た。
【0138】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.58(6H,s),3.06(2H,t,J=6.9Hz),4.52(2H,t,J=6.9Hz),6.80(1H,d,J=8.7Hz),6.88−6.91(2H,m),7.10−7.22(4H,m),7.44−7.49(2H,m),7.73−7.76(1H,m),8.32(1H,d,J=2.7Hz).
MS:396(M+1)。
【0139】
[実施例13]
2−[4−(2−{[5−(4−クロロフェニル)ピリミジン−2−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸
【0140】
【化1】

【0141】
(実施例13−1)
2−(4−{2−[(5−ブロモピリミジン−2−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
実施例11−1で得られた2−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル851mgをN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶解し、室温で5−ブロモ−2−クロロピリミジン587mgとカリウム tert−ブトキシド375mgを加え一夜撹拌した。反応液に水50mLを加えて撹拌したのちに酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=4:1〜1:1)で精製することにより表題化合物を558mg得た。
【0142】
(実施例13−2)
2−[4−(2−{[5−(4−クロロフェニル)ピリミジン−2−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
実施例13−1で得られた2−(4−{2−[(5−ブロモピリミジン−2−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル326mg及び4−クロロフェニルホウ酸188mgを用い、実施例12−2と同様な操作により表題化合物を321mg得た。
【0143】
(実施例13−3)
2−[4−(2−{[5−(4−クロロフェニル)ピリミジン−2−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸
実施例13−2で得られた2−[4−(2−{[5−(4−クロロフェニル)ピリミジン−2−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル用い、実施例11−3と同様な操作を行うことにより表題化合物を得た。
【0144】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.58(6H,s),3.11(2H,t,J=7.0Hz),4.59(2H,t,J=7.0Hz),6.90(2H,d,J=8.4Hz),7.23(2H,d,J=8.4Hz),7.45(4H,s),8.68(2H,s).
MS:413(M+1)。
【0145】
[実施例14]
2−メチル−2−{4−[2−({6−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリダジン−3−イル}オキシ)エチル]フェノキシ}プロピオン酸
【0146】
【化1】

【0147】
実施例11−1で得られた2−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル及び5−ブロモー2―クロロピリダジンを出発原料として用い、実施例13−1と同様な操作により2−(4−{2−[(5−ブロモピリダジン−2−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステルを得た。このものと3−トリフロロメチルフェニルホウ酸を出発原料として用い、実施例12−2と同様の操作を行うことにより2−メチル−2−{4−[2−({6−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピリダジン−3−イル}オキシ)エチル]フェノキシ}プロピオン酸 tert−ブチルエステルを得、引き続き実施例11−3と同様な操作を行うことにより、表題化合物を得た。
【0148】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.58(6H,s),3.15(2H,t,J=6.9Hz),4.80(2H,t,J=6.9Hz),6.91(2H,d,J=8.4Hz),7.08(1H,d,J=9.3Hz),7.24(2H,d,J=8.4Hz),7.63(1H,t,J=7.8Hz),7.72(1H,t,J=7.8Hz),7.83(1H,d,J=9.3Hz),8.19(1H,d,7.8Hz),8.29(1H,s).
MS:447(M+1)。
【0149】
[実施例15]
2−メチル−2−[4−(2−{[4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]プロピオン酸
【0150】
【化1】

【0151】
実施例11−1で得られた2−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル及び3−ブロモフェノールを出発原料として用い、実施例11−2と同様な操作により2−(4−{2−[(3−ブロモフェニル)オキシ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステルを得た。このものと3−トリフルオロメトキシフェニルホウ酸を出発原料として用い、実施例12−2と同様の操作を行うことにより2−メチル−2−[4−(2−{[4’−(トリフルオロメトキシ)ビフェニル−3−イル]オキシ}エチル)フェノキシ]プロピオン酸 tert−ブチルエステルを得、引き続き実施例11−3と同様な操作を行うことにより、表題化合物を得た。
【0152】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.58(6H,s),3.08(2H,t,J=6.9Hz),4.20(2H,t,J=6.9Hz),6.89−6.92(3H,m),7.06(1H,t,J=2.07Hz),7.20−7.34(6H,m),7.57(2H,d,J=8.82Hz).
MS:461(M+1)。
【0153】
[実施例16]
(4−{2−[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)オキシ]エチル}フェノキシ)酢酸
【0154】
【化1】

【0155】
4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール及び2−ブロモ酢酸 tert−ブチルエステルを出発原料として実施例11−1と同様の操作を行うことにより2−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェノキシ]酢酸 tert−ブチルエステルを得、これを用いて実施例11−2、11−3と同様の操作を順次行うことにより表題化合物を得た。
【0156】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:3.07(2H,t,J=7.0Hz),4.18(2H,t,J=7.0Hz),4.67(2H,s),6.89(2H,d,mJ=8.85Hz),6.95(2H,d,J=8.49),7.09(2H,t,J=8.85Hz),7.25(2H,d,J=8.61Hz),7.43−7.50(4H,m).
MS:367(M+1)。
【0157】
[実施例17]
2−(4−{[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)オキシ]メチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸
【0158】
【化1】

【0159】
(実施例17−1)
4−(2―tert−ブトキシ−1,1―ジメチル−2−オキソエトキシ)安息香酸
4−ヒドロキシ安息香酸 メチルエステル3.04g及び2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチル11.08mLをN,N−ジメチルホルムアミド200mLに溶解し、炭酸カリウム11.05gを加え80℃で7時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=3:1〜1:1)で精製することにより、4−(2−tert−ブトキシ−1,1−ジメチル−2−オキソエトキシ)安息香酸 メチルエステル2.585gを無色油状物として得た。これをメタノール30mLに溶解し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液30mlを加えて室温で一夜撹拌した。メタノールを留去後、残った水溶液をジエチルエーテルで洗浄した後、1mol/L塩酸水で酸性(pH1程度)とし、酢酸エチルで抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後溶媒を留去すると白色の固体が得られた。これをヘキサンに懸濁させて洗浄、ろ過後、乾燥して表題化合物を白色固体として2.157g得た。
【0160】
(実施例17−2)
2−[4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル
実施例17−1で得られた4−(2―tert−ブトキシ−1,1―ジメチル−2−オキソエトキシ)安息香酸1.682gをテトラヒドロフラン10mLに溶解し、氷冷下ボラン−テトラヒドロフラン錯体溶液(1mol/L,テトラヒドロフラン溶液)12mLを滴下した後、室温で一夜撹拌した。これに氷冷下水を10mLを加えて10分撹拌した後、10%炭酸ナトリウム水溶液100mLを加えて1時間撹拌した。酢酸エチル100mlで抽出後、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=7:3〜1:1)で精製することにより、表題化合物を無色油状物質として1.447g得た。
【0161】
(実施例17−3)
2−(4−{[(4’−フルオロビフェニル−4−イル)オキシ]メチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸
実施例17−2で得られた2−[4−(ヒドロキシメチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステルを用いて実施例11―2、11―3と同様の操作を順次行うことにより表題化合物を得た。
【0162】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.56(6H,s),3.99(2H,s),6.83−6.88(4H,m),7.07(2H,t,J=8.7Hz),7.16(2H,d,J=8.4Hz),7.28−7.32(2H,m),7.43−7.47(2H,m).
MS:379(M+1)。
【0163】
[実施例18]
2−[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(6−フェニルピリジン−3−イル)メチル]アミノ}エチル)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸
【0164】
【化1】

【0165】
実施例1−2で得られる2−(4−{2−[(5−エチルピリミジン−2−イル)アミノ]エチル}フェノキシ)−2−メチルプロピオン酸 tert−ブチルエステル及び特許文献特願2004−321347号明細書の参考例21で合成される5−(クロロメチル)−2−フェニルピリジンを出発原料として用い、実施例1−2及び実施例1−3と同様の操作を行うことにより表題化合物を得た。
【0166】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.23(3H,t,J=7.5Hz),1.52(6H,s),2.51(2H,q,J=7.5Hz),2.89(2H,t,J=6.9Hz),3.80(2H,t,J=6.9Hz),4.67(2H,s),6.74(2H,d,J=8.4Hz),6.98(2H,d,J=8.4Hz),7.40−7.46(3H,m),7.56−7.59(1H,m),7.68−7.71(1H,m),7.87−7.90(2H,m),8.15(1H,brs),8.25(1H,s).
MS:497(M+1)。
【0167】
[実施例19]
N−[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]アミノ}エチル)フェニル]−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド 塩酸塩
【0168】
【化1】

【0169】
(実施例19−1)
N−[2−(4−アミノフェニル)エチル]−5−エチルピリミジン−2−アミン
4−ニトロフェネチルアミン塩酸塩を出発原料として用い、実施例1−1と同様の方法により得られる5−エチル−N−[2−(4−ニトロフェニル)エチル]ピリミジン−2−アミン13gをエタノール150mL及びTHF50mLに溶解し、窒素雰囲気下で10%パラジウム炭素(含水)3.5gを加えた。系内を水素で置換し、室温で2時間撹拌した。セライトろ過により触媒を除き、母液を濃縮することにより、表題化合物を得た。
【0170】
(実施例19−2)
N−[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]アミノ}エチル)フェニル]−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド 塩酸塩
実施例19−1で得られたN−[2−(4−アミノフェニル)エチル]−5−エチルピリミジン−2−アミンを出発原料として用い、実施例1−2と同様の方法により得られるN−[2−(4−アミノフェニル)エチル]−5−エチル−N−[(1−フェニル−1H−ピラゾール−4−イル)メチル]ピリミジン−2−アミン1.3gを塩化メチレン10mLに溶解し、室温にてトリエチルアミン396mgを加えた。氷冷下、無水トリフルオロメタンスルホン酸1.01gを滴下した。そのまま昇温し室温下で一晩撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;へキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、無色油状物1.3gを得た。本化合物300mgを4mol/L塩酸−酢酸エチルを作用させることにより表題化合物230mgを得た。
【0171】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.22(3H,t,J=7.6Hz),2.50(2H,q,J=7.6Hz),2.92(2H,t,J=7.6Hz),3.80(2H,t,J=7.6Hz),4.62(2H,s),7.12−7.27(5H,m),7.38−7.43(2H,m),7.58−7.62(3H,m),7.76(1H,s),8.23(2H,s).
MS:531(M+1)。
【0172】
[実施例20]
N−[4−(2−{(5−エチルピリミジン−2−イル)[(6−フェニルピリジン−3−イル)メチル]アミノ}エチル)フェニル]−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミド
【0173】
【化1】

【0174】
実施例19−1で得られるN−[2−(4−アミノフェニル)エチル]−5−エチルピリミジン−2−アミン及び特許文献特願2004−321347号明細書の参考例21で合成される5−(クロロメチル)−2−フェニルピリジンを出発原料として用い、実施例1−2と同様の操作を行うことによりN−[2−(4−アミノフェニル)エチル]−5−エチル−N−[(6−フェニルピリジン−3−イル)メチル]ピリミジン−2−アミンを得た。本化合物を出発原料として用い、実施例19−2と同様の操作を行うことにより表題化合物を得た。
【0175】
H−NMR(CDCl,300MHz)δ:1.22(3H,t,J=7.5Hz),2.50(2H,q,J=7.5Hz),2.90(2H,t,J=7.2Hz),3.79(2H,t,J=7.2Hz),4.77(2H,s),7.09−7.17(4H,m),7.38−7.46(3H,m),7.61(2H,s),7.89−7.91(2H,m),8.22(2H,s),8.51(1H,s).
MS:556(M+1)。
【0176】
上記実施例と同様の方法により、下記化合物を合成することができる。
【0177】
【化1】

【0178】
【化1】

【0179】
【化1】

【0180】
【化1】

【0181】
【化1】

【0182】
【化1】

【0183】
【化1】

【0184】
【化1】

【0185】
【化1】

【0186】
【化1】

【0187】
【化1】

【0188】
【化1】

【0189】
【化1】

【0190】
【化1】

【0191】
【化1】

【0192】
【化1】

【0193】
【化1】

【0194】
【化1】

【0195】
【化1】

【0196】
【化1】

【0197】
【化1】

【0198】
【化1】

【0199】
【化1】

【0200】
【化1】

【0201】
【化1】

【0202】
【化1】

【0203】
【化1】

【0204】
【化1】

【0205】
【化1】

【0206】
【化1】

【0207】
【化1】

【0208】
【化1】

【0209】
【化1】

【0210】
【化1】

【0211】
【化1】

【0212】
【化1】

【0213】
【化1】

【0214】
【化1】

【0215】
【化1】

【0216】
【化1】

【0217】
【化1】

【0218】
【化1】

【0219】
【化1】

【0220】
【化1】

【0221】
【化1】

【0222】
【化1】

【0223】
【化1】

【0224】
【化1】

【0225】
【化1】

【0226】
【化1】

【0227】
【化1】

【0228】
【化1】

【0229】
【化1】

【0230】
【化1】

【0231】
【化1】

【0232】
【化1】

【0233】
【化1】

【0234】
【化1】

【0235】
【化1】

【0236】
【化1】

【0237】
【化1】

【0238】
【化1】

【0239】
【化1】

【0240】
【化1】

【0241】
【化1】

【0242】
【化1】

【0243】
【化1】

【0244】
【化1】

【0245】
【化1】

【0246】
【化1】

【0247】
【化1】

【0248】
【化1】

【0249】
【化1】

【0250】
【化1】

【0251】
【化1】

【0252】
【化1】

【0253】
【化1】

【0254】
【化1】

【0255】
【化1】

【0256】
【化1】

【産業上の利用可能性】
【0257】
本発明によれば、PPARαアゴニスト作用を有し、高脂血症の予防及び/又は治療薬として有用な化合物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)
【化1】


〔式中、Aは下式
【化1】


{式中、
1及びR2は同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルオキシ基、ハロアルキルオキシ基、シアノ基、ニトロ基を;
3及びR4は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示し、又はR3及びR4は互いに結合してシクロアルキル基を形成し;
5は水素原子又はアルキル基を;
6は水素原子又はアルキル基を;
7はアルキル基、ハロアルキル基又はアリール基を;
Qは酸素原子又は硫黄原子を示す。なお、前記基のうち、アルキル基、アリール基は、それぞれ置換基を有していてもよい。}を示し;
Yは酸素原子、硫黄原子、−NR8−、−CONR8−、−NR8CO−又はNHCONR8−(式中、R8は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールオキシアルキル基又はヘテロアリールアルキル基を示す。)を;
Zはアリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基又はシクロアルキル基を示す。
なお、前記基のうち、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキルアルキル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールオキシアルキル基又はヘテロアリールアルキル基は、それぞれ置換基を有していてもよい。〕で表されるベンゼン誘導体若しくはその薬剤上許容される塩又はそれらの水和物若しくは溶媒和物。

【公開番号】特開2007−246474(P2007−246474A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74822(P2006−74822)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000006725)三菱ウェルファーマ株式会社 (92)
【Fターム(参考)】