説明

ベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩並びにそれらを含有する農園芸用殺菌剤

【課題】新規な農園芸用殺菌剤の提供。
【解決手段】式(I):


[式中、Rは炭素数7〜14のアルキル、炭素数7〜14のアルケニル又は炭素数7〜14のアルキニルであり、該炭素数7〜14のアルキル、該炭素数7〜14のアルケニルなど、Yは酸素または硫黄原子、Zは水素原子、OHまたはアルキル置換アミノ基を示す]で表されるベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩、それらを有効成分として含有する農園芸用殺菌剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩並びにそれらを含有する農園芸用殺菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、卵菌類の防除剤として有用な一定の化学構造を有する化合物が記載されているが、本発明化合物は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開公報 WO 2010/136185
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から提供された多くの農園芸用殺菌剤は、各々その植物病原菌防除効果において特徴を有しており、あるものは予防効果に比べて治療効果がやや劣ったり、或いは残効性が比較的短かったりし、施用場面によっては、植物病原菌に対し実用上不十分な防除効果しか示さないことがある。従って、強力な植物病原菌に対する防除効果を有する新規化合物の創製が希求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく研究した結果、式(I)で表される化合物を有効成分として使用することにより、種々の病害、特に野菜のべと病、疫病、ムギ類ふ枯病に対して優れた防除効果を発現するとの知見を得、本発明を完成した。
【0006】
すなわち本発明は、式(I):
【0007】
【化1】

[式中、RはAで置換されていてもよい炭素数7〜14のアルキル、Aで置換されていてもよい炭素数7〜14のアルケニル又はAで置換されていてもよい炭素数7〜14のアルキニルであり、該炭素数7〜14のアルキル、該炭素数7〜14のアルケニル、該炭素数7〜14のアルキニルのなかで、Oに隣接していない1〜3個の−CH2−(メチレン)は、該メチレンの代わりに−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−COO−又は−OCO−であってもよく;Rは炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数3〜6のシクロアルキル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、S(O)、OR、COR、CO2、NR又はCONRであり;R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル又は炭素数3〜6のシクロアルキルであり;Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル又は炭素数3〜6のシクロアルキルであり;R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数3〜6のシクロアルキル、COR又はCO2であり;R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数3〜6のシクロアルキル、OH又は炭素数1〜6のアルコキシであり;R及びRは直接又は酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を介して結合し、環を形成してもよく;Aは炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、N、OR、OCOR又はS(O)であり;Yは酸素原子又は硫黄原子であり;Zは水素原子、OH又はNRであり;mは0〜4の整数であり;nは0〜2の整数であり;uは1〜3の整数であり;uが2又は3のとき、複数の(R1−O)は同一又は異なっていてもよい]で表されるベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩に関する。
また、本発明は、式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩を有効成分とする農園芸用殺菌剤に関する。
【発明の効果】
【0008】
前記式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩を有効成分とする農園芸用殺菌剤は、低薬量で植物病原菌に対する高い防除効果を有し、且つ、安全性を併せ持つ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式(I)中のハロゲン原子又は置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲン原子の数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、各ハロゲン原子は同一でも相異なってもよい。また、ハロゲン原子の置換位置はいずれの位置でもよい。
【0010】
式(I)中のRは複数のAで置換されていてもよく、Aがハロゲン原子以外である場合、その置換数は1〜6であり、望ましくは1〜4である。
【0011】
式(I)中、Rのアルキル又は、直鎖状であり、炭素数7〜14のものが挙げられる。例えば、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシルなどが挙げられる。中でも炭素数9〜14のものが望ましく、炭素数9〜12のものが特に望ましい。
【0012】
式(I)中、Rのアルケニルとしては、直鎖状であり、炭素数7〜14のものが挙げられる。例えば、2−ヘプテニル、5−ヘプテニル、6−ヘプテニル、2,6−ヘプタジエニル、2−オクテニル、5−オクテニル、6−オクテニル、7−オクテニル、2,6−オクタジエニル、2−ノネニル、6−ノネニル、7−ノネニル、8−ノネニル、2,6−ノナジエニル、3,7−ノナジエニル、2−デセニル、4−デセニル、6−デセニル、7−デセニル、8−デセニル、4,8−デカジエニル、2−ウンデセニル、4−ウンデセニル、8−ウンデセニル、9−ウンデセニル、10−ウンデセニル、5,9−ウンデカジエニル、2−ドデセニル、4−ドデセニル、9−ドデセニル、10−ドデセニル、11−ドデセニル、6,10−ドデカジエニル、2,6,10−ドデカトリエニル、2−トリデセニル、4−トリデセニル、9−トリデセニル、10−トリデセニル、11−トリデセニル、7,11−トリデカジエニル、2−テトラデセニル、4−テトラデセニル、6−テトラデセニル、7−テトラデセニル、8−テトラデセニル、8,12−テトラデカジエニルなどが挙げられる。中でも炭素数9〜14のものが望ましく、炭素数9〜12のものが特に望ましい。
【0013】
式(I)中、Rのアルキニルとしては、直鎖状であり、炭素数7〜14のものが挙げられる。例えば、2−ヘプチニル、5−ヘプチニル、6−ヘプチニル、2,6−ヘプタジイニル、2−オクチニル、5−オクチニル、6−オクチニル、7−オクチニル、2,6−オクタジイニル、2−ノニニル、6−ノニニル、7−ノニニル、8−ノニニル、2,6−ノナジイニル、3,7−ノナジイニル、2−デシニル、4−デシニル、6−デシニル、7−デシニル、8−デシニル、4,8−デカジイニル、2−ウンデシニル、4−ウンデシニル、8−ウンデシニル、9−ウンデシニル、10−ウンデシニル、5,9−ウンデカジイニル、2−ドデシニル、4−ドデシニル、9−ドデシニル、10−ドデシニル、11−ドデシニル、6,10−ドデカジイニル、2,6,10−ドデカトリイニル、2−トリデシニル、4−トリデシニル、9−トリデシニル、10−トリデシニル、11−トリデシニル、7,11−トリデカジイニル、2−テトラデシニル、4−テトラデシニル、6−テトラデシニル、7−テトラデシニル、8−テトラデシニル、8,12−テトラデカジイニルなどが挙げられる。中でも炭素数9〜14のものが望ましく、炭素数9〜12のものが特に望ましい。
【0014】
式(I)中、A、R、R、R、R、R、R、R及びRのアルキル又はアルキル部分としては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルのような炭素数1〜6のものなどが挙げられる。
【0015】
式(I)中、A、R、R、R、R、R、R、R及びRのアルケニル又はアルケニル部分としては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、ビニル、1−プロペニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、1,3−ブタジエニル、1−ヘキセニルのような炭素数2〜6のものなどが挙げられる。
【0016】
式(I)中、A、R、R、R、R、R、R、R及びRのアルキニル又はアルキニル部分としては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、エチニル、2−ブチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、2−ペンテン−4−イニル、3−ヘキシニルのような炭素数2〜6のものなどが挙げられる。
【0017】
式(I)中、R、R、R、R、R、R、R及びRのシクロアルキルとしては、例えばシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルのような炭素数3〜6のものなどが挙げられる。
【0018】
式(I)中のアルコキシ又はアルコキシ部分としては、直鎖状又は分枝状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシのような炭素数1〜6のものなどが挙げられる。
【0019】
式(I)中のR及びRが直接又は酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を介して結合し、環を形成するものの具体例としては、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、トリアゾリジンなどの飽和単環式5員複素環;ピペリジン、モルホリン、ピペラジンなどの飽和単環式6員複素環;などが挙げられる。
【0020】
前記式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体の塩としては、当該技術分野で許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、モルホリン塩、メチルモルホリン塩、イソプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、t−ブチルアミン塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩;グアニジン塩;アルギニン塩;などが挙げられる。
【0021】
前記式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体には、幾何異性体が存在し、各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。本願明細書においては、特に言及しない限り、異性体は混合物として記載する。また、前記式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体には、光学異性体のような異性体が存在する場合があるが、本発明には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。本願明細書においては、特に言及しない限り、異性体は混合物として記載する。尚、本発明には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。また、異性体の種類によっては、前記式(I)とは異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
【0022】
前記式(I)の化合物の望ましい態様は以下の通りである。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
(1)RがAで置換されていてもよい炭素数9〜14のアルキル、Aで置換されていてもよい炭素数9〜14のアルケニル又はAで置換されていてもよい炭素数9〜14のアルキニルであり、該炭素数9〜14のアルキル、該炭素数9〜14のアルケニル、該炭素数9〜14のアルキニルのなかで、Oに隣接していない1〜3個の−CH2−(メチレン)は、該メチレンの代わりに−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−COO−又は−OCO−であってもよい、前記式(I)に記載のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩。
(2)RがAで置換されていてもよい炭素数9〜12のアルキル、Aで置換されていてもよい炭素数9〜12のアルケニル又はAで置換されていてもよい炭素数9〜12のアルキニルであり、該炭素数9〜12のアルキル、該炭素数9〜12のアルケニル、該炭素数9〜12のアルキニルのなかで、Oに隣接していない1〜3個の−CH2−(メチレン)は、該メチレンの代わりに−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていてもよい、上記(2)に記載のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩。
(3) 式(I-A):
【0023】
【化2】

[式中、R、R、R、R、m、u、Y及びZは前述の通りである]で表される前記式(I)に記載のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩。
【0024】
前記式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体又その塩(以下、本発明化合物と略す)は、以下の製法〔1〕〜〔4〕並びに、通常の塩の製造方法に従って製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
製法〔1〕
【0025】
【化3】

【0026】
製法〔1〕において、R、R、R、R、Y、m及びuは前述の通りである。
本反応は、式(II)の化合物と式(X)の化合物とを反応させることにより行うことができる。式(X)の化合物は公知物である。
本反応は、必要に応じ酸又は塩基の存在下で行うことができる。酸としては、例えば硫酸、塩酸、リン酸のような無機酸類;パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸のような有機酸類;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。塩基としては、例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム第3級ブトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムのような炭酸塩;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムのような重炭酸塩;アンモニア、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリンのようなアミン類;ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンのようなピリジン類;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。また、必要に応じ、酸と塩基両方を組み合わせて使用することもできる。
【0027】
本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンのようなエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンのような極性非プロトン性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類;水;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。また、これに加えて、本製法〔1〕で使用できる上記酸又は塩基の中で、無機酸類、有機酸類、アミン類又はピリジン類を溶媒として使用することもできる。
【0028】
本反応は、必要に応じ、脱水剤の存在下で行うことができる。脱水剤としては、例えば、無水酢酸、塩化アセチル、トリフルオロ酢酸無水物、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、モレキュラーシーブスなどから1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0029】
本反応の反応温度は、通常20〜150℃、望ましくは50〜130℃である。
本反応の反応時間は、通常0.1〜48時間、望ましくは0.5〜24時間である。
【0030】
製法〔2〕
【0031】
【化4】

【0032】
製法〔2〕において、R、R、R、R、R、R、Y、m及びuは前述の通りであり、Qはハロゲン原子である。Qで表されるハロゲン原子としては、塩素又は臭素の各原子が挙げられる。
【0033】
本反応は、式(III)の化合物と式(IV)の化合物とを反応させることにより行うことができる。式(IV)の化合物は、その塩を用いてもよく、式(IV)の化合物の塩としては、当該技術分野で許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば塩酸塩、硫酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩;などが挙げられる。
【0034】
本反応は、必要に応じ、塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。
【0035】
本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。また、これに加えて、前記製法〔1〕で使用できる塩基の中で、アミン類又はピリジン類を溶媒として使用することもできる。
【0036】
本反応は、必要に応じ、相間移動触媒の存在下で行うことができる。相間移動触媒としては、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドのような四級アンモニウム塩類;テトラブチルホスホニウムブロミドのような四級ホスホニウム塩類;1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムクロリドのようなイミダゾリウム塩類;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。
【0037】
本反応の反応温度は、通常−10〜100℃、望ましくは0〜30℃である。
本反応の反応時間は、通常0.1〜12時間、望ましくは0.5〜6時間である。
【0038】
製法〔3〕
【0039】
【化5】

【0040】
製法〔3〕において、R、R、R、R、R、R、Y、m及びuは前述の通りである。
【0041】
本反応は、式(I-1)の化合物と式(IV)の化合物とを反応させることにより行うことができる。式(IV)の化合物は、その塩を用いてもよく、式(IV)の化合物の塩としては、例えば前記製法〔2〕と同様のものが挙げられる。
【0042】
本反応は、通常、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。また、これに加えて、前記製法〔1〕で使用できる塩基の中で、アミン類又はピリジン類を溶媒として使用することもできる。
【0043】
本反応は、通常、脱水縮合剤の存在下で行うことができる。脱水縮合剤としては、例えばN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、クロロスルホニルイソシアネート、N,N′−カルボニルジイミダゾール、イソブチルクロロホルメート、トリフルオロ酢酸無水物、五塩化リン、オキシ塩化リンなどから1種又は2種以上を適宜選択できる。本反応は、必要に応じ、反応促進剤の存在下に行うことができる。反応促進剤としては、例えば1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、塩基などを挙げることができる。該塩基としては、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。
【0044】
本反応は必要に応じ、相間移動触媒の存在下で行うことができる。相間移動触媒としては、前記製法〔2〕と同様のものが挙げられる。
【0045】
本反応の反応温度は、通常−10〜100℃、望ましくは0〜30℃である。
本反応の反応時間は、通常0.1〜24時間、望ましくは0.5〜12時間である。
【0046】
製法〔4〕
【0047】
【化6】

【0048】
製法〔4〕において、R、R、R、R、Y、m及びuは前述の通りである。
【0049】
本反応は、通常、酸化剤、水及び溶媒の存在下で行うことができる。酸化剤としては、例えばN−ブロモスクシンイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、m−クロロ過安息香酸、モノ過フタル酸マグネシウム、過酢酸などが挙げられる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。
【0050】
本反応は、必要に応じ、塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。
【0051】
本反応の反応温度は、通常−20〜100℃、望ましくは−20〜50℃である。
本反応の反応時間は、通常0.1〜24時間、望ましくは0.5〜12時間である。
【0052】
製法〔1〕〜〔4〕の原料物質は、以下の製法〔A〕〜〔D〕並びに、通常の塩の製造方法に従って製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
前記製法〔1〕の原料物質である式(II)の化合物は、例えば、以下に示す製法〔A〕に従って製造できる。
【0053】
製法〔A〕
【0054】
【化7】

【0055】
製法〔A〕において、R、R、R、Y、m及びuは前述の通りであり、Qはハロゲン原子である。Qで表されるハロゲン原子としては、塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる。
【0056】
本反応は、式(VI)の化合物と式(XI)の化合物とを、通常、塩基及び溶媒の存在下で反応させることにより行うことができる。式(VI)の化合物及び式(XI)の化合物は公知物である。
【0057】
塩基としては、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。
【0058】
溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。また、これに加えて、前記製法〔1〕で使用できる上記塩基の中で、アミン類又はピリジン類を溶媒として使用することもできる。
【0059】
本反応は、必要に応じ、相間移動触媒の存在下で行うことができる。相間移動触媒としては、例えば前記製法〔2〕と同様のものが挙げられる。
【0060】
本反応の反応温度は、通常0〜150℃、望ましくは20〜80℃である。
本反応の反応時間は、通常0.1〜48時間、望ましくは0.5〜24時間である。
【0061】
前記製法〔2〕の原料物質である式(III)の化合物は、例えば以下に示す製法〔B〕に従って製造できる。
製法〔B〕
【0062】
【化8】

【0063】
製法〔B〕において、R、R、R、R、Y、Q、m及びuは前述の通りである。
【0064】
本反応は、式(I-1)の化合物とハロゲン化剤とを反応させることにより行うことができる。ハロゲン化剤としては、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル、二塩化オキサリル、三臭化リン、オキシ臭化リン、臭化チオニルなどを挙げることができる。
【0065】
本反応は、必要に応じ、反応促進剤の存在下で行うことができる。反応促進剤としては、例えばN,N−ジメチルホルムアミド又は塩基などを挙げることができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンのような有機塩基類を挙げることができる。
【0066】
本反応は、必要に応じ、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、石油ベンジンなどの脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、プロピオニトリルのようなニトリル類;アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;などから1種又は2種以上を適宜選択できる。また、本反応で使用できる上記ハロゲン化剤を溶媒とすることもできる。
【0067】
本反応の反応温度は、通常0〜150℃、望ましくは20〜100℃である。
本反応の反応時間は、通常0.1〜12時間、望ましくは0.5〜6時間である。
【0068】
前記製法〔4〕の原料物質である式(V)の化合物は、例えば、以下に示す製法〔C〕に従って製造できる。
製法〔C〕
【0069】
【化9】

【0070】
製法〔C〕において、R、R、R、R、Y、m及びuは前述の通りである。Jが水素原子、B(OH)、B(OW)、BFKなどである場合は、Q2はハロゲン原子である。Q2がB(OH)、B(OW)、BFKなどである場合は、Jはハロゲン原子である。J及びQで表されるハロゲン原子としては、塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる;Wは各々独立にアルキル又はシクロアルキルである。B(OW)中、Wは相互に結合して環を形成していてもよい。
【0071】
本反応は、式(VII)の化合物と式(VIII)の化合物とを、通常、金属触媒、塩基及び溶媒の存在下で反応させることにより行うことができる。式(VII)の化合物及び式(VIII)の化合物は公知物である。
【0072】
金属触媒としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム炭素、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)などが挙げられる。
【0073】
塩基としては、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。
【0074】
溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。
【0075】
本反応は、必要に応じ、相間移動触媒の存在下で行うことができる。相間移動触媒としては、例えば前記製法〔2〕と同様のものが挙げられる。
【0076】
本反応の反応温度は、通常0〜150℃、望ましくは20〜80℃である。
本反応の反応時間は、通常0.1〜48時間、望ましくは0.5〜24時間である。
【0077】
製法〔C〕の出発物質である式(VII)の化合物は、例えば、以下に示す製法〔D〕に従って製造できる。
製法〔D〕
【0078】
【化10】

【0079】
製法〔D〕において、R、R、Q、m及びuは前述の通りである。
【0080】
本反応は、式(IX)の化合物と式(XI)の化合物とを、通常、塩基及び溶媒の存在下で反応させることにより行うことができる。式(IX)の化合物及び式(XI)の化合物は公知物である。
【0081】
塩基としては、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。
【0082】
溶媒としては、反応が進行する限り特に限定はなく、例えば前記製法〔1〕と同様のものが挙げられる。また、これに加えて、前記製法〔1〕で使用できる上記塩基の中で、アミン類又はピリジン類を溶媒として使用することもできる。
【0083】
製法〔D〕の反応は、必要に応じ、相間移動触媒の存在下で行うことができる。相間移動触媒としては、例えば前記製法〔2〕と同様のものが挙げられる。
【0084】
本反応の反応温度は、通常0〜150℃、望ましくは20〜80℃である。
本反応の反応時間は、通常0.1〜48時間、望ましくは0.5〜24時間である。
【0085】
本発明化合物は、農園芸用殺菌剤の有効成分として有用であり、例えばイネのいもち病、ごま葉枯病、紋枯病;ムギ類のうどんこ病、赤かび病、さび病、雪腐病、裸黒穂病、眼紋病、葉枯病、ふ枯病;カンキツの黒点病、そうか病;リンゴのモニリア病、うどんこ病、斑点落葉病、黒星病、炭そ病、褐斑病、輪紋病、すす点病、すす斑病、黒点病;ナシの黒星病、黒斑病、うどんこ病、疫病、;洋ナシの輪紋病、うどんこ病;モモの灰星病、黒星病、フォモプシス腐敗病;ブドウの黒とう病、晩腐病、うどんこ病、べと病、灰色かび病、褐斑病、枝膨病;カキの炭そ病、落葉病、うどんこ病、すす点病;ウリ類の炭そ病、うどんこ病、つる枯病、べと病、疫病、褐斑病;トマトの輪紋病、葉かび病、疫病、灰色かび病、うどんこ病;アブラナ科野菜のべと病、黒斑病、バレイショの夏疫病、疫病;イチゴのうどんこ病、灰色かび病、炭そ病;種々の作物のべと病、疫病、灰色かび病、菌核病、うどんこ病等の病害の防除に有効であるが、特に果樹類、野菜類の疫病、べと病、ムギ類のふ枯病に優れた防除効果を示す。また、フザリウム菌、ピシウム菌、リゾクトニア菌、バーティシリウム菌、プラズモディオホーラ菌等の植物病原菌によって引き起こされる土壌病害の防除にも有効である。
【0086】
本発明化合物は、通常、該化合物と各種農業上の補助剤とを混合して粉剤、粒剤、顆粒
水和剤、水和剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤、微量散布剤などの種々の形態に製剤して使用されるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。製剤に使用する補助剤としては、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト、セリサイト、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉などの固型担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコールなどの溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンなどの植物油や鉱物油;などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもでき、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤、など通常使用される各種補助剤も使用することができる。本発明化合物と各種補助剤との配合割合は、一般に0.005 : 99.995 〜95:5、望ましくは0.2:99.8 〜90:10である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して使用することができる。
【0087】
本発明化合物の使用濃度は、対象作物、使用方法、製剤形態、施用量などの違いによって異なり、一概に規定できないが、茎葉処理の場合、有効成分当たり通常、0.1〜10,000 ppm、望ましくは、1〜2,000 ppm である。土壌処理の場合には、通常、10〜100,000 g/ha、望ましくは、200〜20,000 g/haである。
【0088】
本発明化合物は、その種々の製剤又はその希釈物の施用に関して、通常一般に行なわれている施用方法すなわち、散布(例えば散布、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用等)、土壌施用(混入、灌注等)、表面施用(塗布、粉衣、被覆等)等により行うことができる。また、いわゆる超高濃度少量散布法(ultra low volume application method)により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100 %含有することが可能である。
【0089】
本発明化合物は、必要に応じて他の農薬、例えば、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、抗ウイルス剤、誘引剤、除草剤、植物成長調製剤などと、混用、併用することができ、この場合には一層優れた効果を示すこともある。
【0090】
上記他の農薬中の、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会試験コード)としては、例えばプロフェノホス(profenofos)、ジクロルボス(dichlorvos)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、EPN、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos‐methyl)、アセフェート(acephate)、プロチオホス(prothiofos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、カズサホス(cadusafos)、ジスルホトン(dislufoton)、イソキサチオン(isoxathion)、イソフェンホス(isofenphos)、エチオン(ethion)、エトリムホス(etrimfos)、キナルホス(quinalphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジメトエート(dimethoate)、スルプロホス(sulprofos)、チオメトン(thiometon)、バミドチオン(vamidothion)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロパホス(propaphos)、ホサロン(phosalone)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、シアノホス(cyanophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、メチダチオン(methidathion)、フェントエート(phenthoate)、ESP、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、フェンチオン(fenthion)、ヘプテノホス(heptenophos)、メトキシクロル(methoxychlor)、パラチオン(parathion)、ホスホカルブ(phosphocarb)、デメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、モノクロトホス(monocrotophos)、メタミドホス(methamidophos)、イミシアホス(imicyafos)、パラチオン-メチル(parathion-methyl)、テルブホス(terbufos)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホスメット(phosmet)、ホレート(phorate)、ホキシム(phoxim)、トリアゾホス(triazophos)のような有機リン酸エステル系化合物;
カルバリル(carbaryl)、プロポキスル(propoxur)、アルジカルブ(aldicarb)、カルボフラン(carbofuran)、チオジカルブ(thiodicarb)、メソミル(methomyl)、オキサミル(oxamyl)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカルブ(pirimicarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メトルカルブ(metolcarb)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC、フェノチオカルブ(fenothiocarb)のようなカーバメート系化合物;
カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、チオスルタップナトリウム(thiosultap-sodium)、チオスルタップジナトリウム(thiosultap-disodium)、モノスルタップ(monosultap)、ビスルタップ(bisultap)、シュウ酸水素チオシクラム(thiocyclam hydrogen oxalate)のようなネライストキシン誘導体;
ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、エンドスルファン(endosulfan)、ジエノクロル(dienochlor)、ディルドリン(dieldrin)のような有機塩素系化合物;
酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、シヘキサチン(cyhexatin)のような有機金属系化合物;
フェンバレレート(fenvalerate)、ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、テフルトリン(tefluthrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フルフェンプロックス(flufenprox)、シフルトリン(cyfluthrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、ラムダシハロトリン(lambda-cyhalothrin)、ピレスリン(pyrethrins)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、テトラメスリン(tetramethrin)、レスメスリン(resmethrin)、プロトリフェンブト(protrifenbute)、ビフェントリン(bifenthrin)、ゼータシペルメトリン(zeta-cypermethrin)、アクリナトリン(acrinathrin)、アルファシペルメトリン(alpha-cypermethrin)、アレスリン(allethrin)、ガンマシハロトリン(gamma-cyhalothrin)、シータシペルメトリン(theta-cypermethrin)、タウフルバリネート(tau-fluvalinate)、トラロメスリン(tralomethrin)、プロフルスリン(profluthrin)、ベータシペルメトリン(beta-cypermethrin)、ベータシフルトリン(beta-cyfluthrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、フェノトリン(phenothrin)、フルメトリン(flumethrin)、デカメトリン(decamethrin)のようなピレスロイド系化合物;
ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、フルアズロン(fluazuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;
メトプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ジオフェノラン(diofenolan)のような幼若ホルモン様化合物;
ピリダベン(pyridaben)のようなピリダジノン系化合物;
フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フィプロニル(fipronil)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、エチプロール(ethiprole)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、アセトプロール(acetoprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)のようなピラゾール系化合物;
イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、ニジノテフラン(nidinotefuran)、ジノテフラン(dinotefuran)、ニチアジン(nithiazine)のようなネオニコチノイド系化合物;
テブフェノジド(tebufenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)のようなヒドラジン系化合物;
ピリダリル(pyridalyl)、フロニカミド(flonicamid)のようなピリジン系化合物;
スピロディクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロテトラマト(spirotetramat)のような環状ケトエノール系化合物;
フルアクリピリム(fluacrypyrin)のようなストロビルリン系化合物;
フルフェネリム(flufenerim)のようなピリジナミン系化合物;
ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラゾン系化合物、また、その他の化合物として、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、シラフルオフェン(silafluofen)、トリアザメイト(triazamate)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、インドキサカルブ(indoxacarb)、アセキノシル(acequinocyl)、エトキサゾール(etoxazole)、シロマジン(cyromazine)、1,3−ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート(bifenazate)、プロパルギット(propargite)、クロフェンテジン(clofentezine)、メタフルミゾン(metaflumizone)、フルベンジアミド(flubendiamide)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(Cyantraniliprole)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、フェナザキン(fenazaquin)、アミドフルメット(amidoflumet)、スルフルアミド(sulfluramid)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、メタアルデヒド(metaldehyde)、HGW-86、リアノジン(ryanodine)、ベルブチン(verbutin)、AKD‐1022、クロロベンゾエート(chlorobenzoate)、チアゾリルシナノニトリル(thiazolylcinnanonitrile)、スルホキサフロル(sulfoxaflor)、フルエンスルホン(fluensulfone)、3−ブロモ−N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−(1−シクロプロピルエチルカルバモイル)−6−メチルフェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(2−ブロモ−4−クロロ−6−(シクロプロピルメチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−N−(4−クロロ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド、3−ブロモ−1−(3−クロロピリジン−2−イル)−N−(4−シアノ−2−メチル−6−(メチルカルバモイル)フェニル)−1H−ピラゾール−5−カルボキサミドのような化合物;等が挙げられる。更に、Bacillus thuringiensis aizawai、Bacillus thuringiensis kurstaki、Bacillus thuringiensis israelensis、Bacillus thuringiensis japonensis、Bacillus thuringiensis tenebrionis、Bacillus thuringiensisが生成する結晶タンパク毒素、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤等のような微生物農薬、アベルメクチン(avermectin)、エマメクチンベンゾエート(emamectin Benzoate)、ミルベメクチン(milbemectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、スピノサッド(spinosad)、イベルメクチン(ivermectin)、レピメクチン(lepimectin)、DE−175、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン(emamectin)、スピネトラム(spinetoram)のような抗生物質及び半合成抗生物質;アザディラクチン(azadirachtin)、ロテノン(rotenone)のような天然物;ディート(deet)のような忌避剤;等と、混用、併用することもできる。
【0091】
上記他の農薬中の、殺菌剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会試験コード)としては、例えば、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)、フェリムゾン(ferimzone)のようなアニリノピリミジン系化合物;
5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンのようなトリアゾロピリミジン系化合物;
フルアジナム(fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole‐cis)、プロクロラズ(prochloraz)、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、シプコナゾール(sipconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、フルトリアホール(flutriafol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、プロベナゾール(probenazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペフラゾエート(pefurazoate)、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、アザコナゾール(azaconazole)、トリチコナゾール(triticonazole)、イマザリル(imazalil)のようなアゾール系化合物;
キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;
マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)のようなジチオカーバメート系化合物;
フサライド(fthalide)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物;
ベノミル(benomyl)、シアゾファミド(cyazofamid)、チオファネートメチル(thiophanate‐methyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フベリアゾール(fuberiazole)のようなイミダゾール系化合物;
シモキサニル(cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル−M(metalaxyl-M)、メフェノキサム(mefenoxam)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル−M(benalaxyl-M、別名キララキシル(kiralaxyl、chiralaxyl))、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)、カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、ボスカリド(boscalid)、ビキサフェン(bixafen)、イソチアニル(isothianil)、チアジニル(tiadinil)、セダキサン(sedaxane)のようなアニリド系化合物;
ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルファミド系化合物;
水酸化第二銅(cupric hydroxide)、有機銅(oxine copper)のような銅系化合物;
ヒメキサゾール(hymexazol)のようなイソキサゾール系化合物;
ホセチルアルミニウム(fosetyl‐Al)、トルクロホスメチル(tolclofos‐Methyl)、S−ベンジル O,O−ジイソプロピルホスホロチオエート、O−エチル S,S−ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネート、エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)のような有機リン系化合物;
キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)、フォルペット(folpet)のようなフタルイミド系化合物;
プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)、ベノダニル(benodanil)のようなベンズアニリド系化合物;
ペンチオピラド(penthiopyrad)、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドと3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの混合物(イソピラザム(isopyrazam))、シルチオファム(silthiopham)、フェノキサニル(fenoxanil)、フラメトピル(furametpyr)のようなアミド系化合物;
フルオピラム(fluopyram)、ゾキサミド(zoxamide)のようなベンズアミド系化合物;
トリホリン(triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(pyrifenox)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(fenarimol)、ヌアリモール(nuarimol)のようなカルビノール系化合物;
フェンプロピディン(fenpropidin)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(tridemorph)のようなモルフォリン系化合物;
フェンチンヒドロキシド(fentin hydroxide)、フェンチンアセテート(fentin acetate)のような有機スズ系化合物;
ペンシキュロン(pencycuron)のような尿素系化合物;
ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph)のようなシンナミック酸系化合物;
ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;
フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim‐methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、オリザストロビン(oryzastrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、エネストロブリン(enestroburin)、ピラオキシストロビン(pyraoxystrobin)、ピラメトストロビン(pyrametostrobin)のようなストロビルリン系化合物;
ファモキサドン(famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;
エタボキサム(ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ−イソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)のようなバリンアミド系化合物;
メチル N-(イソプロポキシカルボニル)-L-バリル-(3RS)-3-(4-クロロフェニル)-β-アラニナート(valiphenalate)のようなアシルアミノアシッド系化合物;
フェナミドン(fenamidone)のようなイミダゾリノン系化合物;
フェンヘキサミド(fenhexamid)のようなハイドロキシアニリド系化合物;
フルスルファミド(flusulfamide)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
アントラキノン系化合物;
クロトン酸系化合物;
バリダマイシン(validamycin)、カスガマイシン(kasugamycin)、ポリオキシン(polyoxins)のような抗生物質;
イミノクタジン(iminoctadine)、ドディン(dodine)のようなグアニジン系化合物;テブフロキン(tebufloquin)のようなキノリン系化合物;
フルチアニル(flutianil)のようなチアゾリジン系化合物;
その他の化合物として、ピリベンカルブ(pyribencarb)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、ピロキロン(pyroquilon)、ジクロメジン(diclomezine)、キノキシフェン(quinoxyfen)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)クロルピクリン(chloropicrin)、ダゾメット(dazomet)、メタムナトリウム塩(metam‐sodium)、ニコビフェン(nicobifen)、メトラフェノン(metrafenone)、UBF-307、ジクロシメット(diclocymet)、プロキンアジド(proquinazid)、アミスルブロム(amisulbrom;別名アミブロドール(amibromdole))、ピリオフェノン(pyriofenone)、マンジプロパミド(mandipropamid)、フルオピコリド(fluopicolide)、カルプロパミド(carpropamid)、メプチルジノキャップ(meptyldinocap)、N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド、N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド、N-[(3', 4'-ジクロロ-1,1-ジメチル)フェナシル]−1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド、N-[[2'-メチル-4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-メチル-2-チオフェンカルボキサミド、N-[[4'-(2-プロピルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]−1-メチル-3-トリフルオロメチル-4-ピラゾールカルボキサミド、N-[[2'-メチル−4'-(2-ペンチルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド、N-[[4'-(2-ペンチルオキシ)-1,1-ジメチル]フェナシル]-3-トリフルオロメチル-2-ピリジンカルボキサミド、スピロキサミン(spiroxamine)、フェンピラザミン(fenpyrazamine)、アメトクトラジン(ametoctradin)ペンフルフェン(penflufen)、フルキサピロキサド(fluxapyroxad)、バリフェナレート(valifenalate)、ピラメトストロビン(pyrametostrobin)、S-8606、S-2200、ZF-9646、DKF-1001、MF-1001、MF-1002、NC-233、NK-1001、SB-4303、BAF-1107等が挙げられる。
【実施例】
【0092】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、本発明化合物の合成例を記載する。
【0093】
合成例1
3-(4-ノニルオキシベンゾイル)アクリル酸(化合物No.1-3)の合成
(1) 4'-ヒドロキシアセトフェノン2.047g、1-ブロモノナン3.454g、炭酸カリウム2.550g、N,N-ジメチルホルムアミド4.5mLを混合し、50℃で14時間加熱攪拌した。室温に冷却後、ヘキサン及び酢酸エチルを加え、水で2回、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 92/8 〜 85/15 )で精製して、白色結晶の4'-ノニルオキシアセトフェノン3.819gを得た。このものの1H-NMRスペクトルデータは以下の通りである。
1H NMR ( 溶媒 : CDCl3 /500MHz ): δ (ppm) = 0.89(3H, t)、1.27-1.39(10H, m)、1.46(2H, m)、1.80(2H, m)、2.56(3H, s)、4.02(2H, t)、6.92(2H, d)、7.93(2H, d)
(2) 4'-ノニルオキシアセトフェノン1.933gとグリオキシル酸一水和物0.875gを混合し、100℃で2.5時間加熱攪拌した後、トルエン5mL、触媒量のパラトルエンスルホン酸一水和物を加えて100℃でさらに4.5時間攪拌した。反応混合物を短いシリカゲルカラムに通し、酢酸エチルで溶出した。溶出液を濃縮後、析出した固体をヘキサン及び酢酸エチルで洗浄し、固体の目的物(融点102-108℃)0.643gを得た。さらに、その洗浄液から目的物0.430gを得た。
【0094】
合成例2
3-[3-(9-デセン-1-イルオキシ)ベンゾイル]アクリル酸(化合物No.2-42)の合成
(1) 3'-ヒドロキシアセトフェノン1.431g、10-ブロモ-1-デセン2.520g、炭酸カリウム1.753g、N,N-ジメチルホルムアミド3mLを混合し、50℃で13時間加熱攪拌した。室温に冷却後、ヘプタン及び酢酸エチルを加え、水で2回、次いで飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した。溶媒を減圧下に留去し、褐色油状の3'-(9-デセン-1-イルオキシ)アセトフェノン3.367gを得た。このもののNMRスペクトルデータは以下の通りである。
1H NMR ( 溶媒 : CDCl3 /300MHz ): δ (ppm) =1.27-1.51(10H, m)、1.80(2H, m)、2.05(2H, dd)、2.60(3H, s)、4.00(2H, t)、4.91-5.03(2H, m)、5.75-5.89(1H, m)、7.10(1H, dd)、7.36(1H, t)、7.48(1H, s)、7.53(1H, d)
(2) 3'-(9-デセン-1-イルオキシ)アセトフェノン1.433g、グリオキシル酸一水和物0.949g、トルエン5mL、触媒量のパラトルエンスルホン酸一水和物を混合し、100℃で5時間加熱攪拌した後、酢酸を約0.5 mL加えて100℃でさらに1時間攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル= 92/8 〜 35/65 )で精製し、固体の目的物(融点67-68℃)0.103gを得た。
【0095】
前記式(I)の化合物の代表例を第1〜6表に挙げる。第1〜6表中、No.は化合物No.を示し、Meはメチル、Etはエチルを、Prはノルマルプロピルを、iPrはイソプロピルを、cPrはシクロプロピルを、Buはノルマルブチルを、tBuはターシャリーブチルを、Acはアセチルを、Hexはヘキシルを各々示す。また、表中、置換基の欄に「−」と表記した化合物は、該置換基で置換されていないことを表す。第5表においては、フェニル基に結合するROは2〜3個あり、それぞれ、R部分をR1−a、R1−b及びR1−cと表記した。、物性として示した数値は融点(℃)である。これら化合物は、前記合成例或は前記した本発明化合物の種々の製造方法に基づいて合成することができる。また、前記式(I)の化合物のいくつかにつき、1H-NMRのデータ〔1H-核磁気共鳴分光法にて測定。δは化学シフト値である〕を第7表に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
【表4】

【0100】
【表5】

【0101】
【表6】

【0102】
【表7】

【0103】
【表8】

【0104】
【表9】

【0105】
【表10】

【0106】
【表11】

【0107】
【表12】

【0108】
【表13】

【0109】
【表14】

【0110】
【表15】

【0111】
【表16】

【0112】
【表17】

【0113】
【表18】

【0114】
【表19】

【0115】
以下に、本発明組成物の試験例を記載する。各試験において、防除指数は以下の基準に従った。
〔防除指数〕 〔発病程度:肉眼観察〕
5 : 病斑が全く認められない。
4 : 病斑面積又は病斑数が無処理区の10% 未満。
3 : 病斑面積又は病斑数が無処理区の50% 未満。
2 : 病斑面積又は病斑数が無処理区の70% 未満。
1 : 病斑面積又は病斑数が無処理区の70% 以上。
試験例1 (トマト疫病予防効果試験)
直径7.5cmのポリ鉢でトマト(品種:イエローペア)を栽培し、3葉期に達した時に式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩を所定濃度に調整した薬液をスプレーガンにて滴り落ちる程度散布した。薬液が乾燥した後に、疫病菌(Pyhtophthora infestans)の遊走子嚢懸濁液を噴霧接種し、20℃の接種箱に18時間保ち、その後20℃の恒温室内に保った。接種3〜4日後に病斑面積を調査し、前記評価基準に従って防除指数を求めた。前記化合物No.1-1、1-2、1-3、1-4、1-22、1-27、1-28、1-32、1-42、1-59、1-60、1-72、1-74、1-94、2-2、2-3、2-4、2-42、2-60、6-2、6-4、6-5、6-9について試験したところ、400ppmで防除指数4以上の効果を示した。
試験例2 (キュウリべと病予防効果試験)
直径7.5cmのポリ鉢でキュウリ(品種:相模半白)を栽培し、1.5葉期に達した時に式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩を所定濃度に調整した薬液をスプレーガンにて滴り落ちる程度散布した。薬液が乾燥した後に、キュウリべと病菌(Pseudoperonospora cubensis)の遊走子嚢懸濁液を噴霧接種し、20℃の接種箱に24時間保ち、その後20℃の恒温室内に保った。接種6〜7日後に病斑面積を調査し、前記評価基準に従って防除指数を求めた。前記化合物No.1-1、1-2、1-3、1-4、1-27、1-28、1-29、1-32、1-41、1-42、1-58、1-72、1-74、1-94、1-114、2-1、2-3、2-4、2-42、2-60、6-4、6-5、6-7、6-8、6-9について試験したところ、400ppmで防除指数4以上の効果を示した。
試験例3 (コムギふ枯病予防効果試験)
直径7.5cmのポリ鉢でコムギ(品種:農林61号)を栽培し、2葉期に達した時に式(I)のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩を所定濃度に調整した薬液をスプレーガンにて滴り落ちる程度散布した。薬液が乾燥した後に、コムギふ枯病菌(Septoria nodorum)の分生子懸濁液を噴霧接種し、20℃の接種箱に24時間保ち、その後20℃の恒温室内に保った。接種10〜11日後に病斑数を調査し、前記評価基準に従って防除指数を求めた。前記化合物No.1-2、1-27、1-41、1-42、1-74、2-3、2-42、2-60、6-9について試験したところ、400ppmで防除指数4以上の効果を示した。
【0116】
製剤例1
(1)本発明化合物 20重量部
(2)クレー 72重量部
(3)リグニンスルホン酸ソーダ 8重量部
以上のものを均一に混合して水和剤とする。
【0117】
製剤例2
(1)本発明化合物 5重量部
(2)タルク 95重量部
以上のものを均一に混合して粉剤とする。
【0118】
製剤例3
(1)本発明化合物 20重量部
(2)N,N−ジメチルアセトアミド 20重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル 10重量部
(4)キシレン 50重量部
以上のものを均一に混合、溶解して乳剤とする。
【0119】
製剤例4
(1)クレー 68重量部
(2)リグニンスルホン酸ソーダ 2重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート 5重量部
(4)微粉シリカ 25重量部
以上の各成分の混合物と、本発明化合物とを4:1の重量割合で混合し、水和剤とする。
【0120】
製剤例5
(1)本発明化合物 50重量部
(2)オキシレーテッドポリアルキルフェニルフォスフェートトリエタノールアミン
2重量部
(3)シリコーン 0.2重量部
(4)水 47.8重量部
以上のものを均一に混合、粉砕した原液に更に
(5)ポリカルボン酸ナトリウム 5重量部
(6)無水硫酸ナトリウム 42.8重量部
を加え均一に混合、造粒、乾燥して顆粒水和剤とする。
【0121】
製剤例6
(1)本発明化合物 5重量部
(2)ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 1重量部
(3)ポリオキシエチレンの燐酸エステル 0.1重量部
(4)粒状炭酸カルシウム 93.9重量部
(1)〜(3)を予め均一に混合し、適量のアセトンで希釈した後、(4)に吹付け、アセトンを除去して粒剤とする。
【0122】
製剤例7
(1)本発明化合物 2.5重量部
(2)N−メチル−2−ピロリドン 2.5重量部
(3)大豆油 95.0重量部
以上のものを均一に混合、溶解して微量散布剤(ultra low volume formulation)とする。
【0123】
製剤例8
(1)本発明化合物 20重量部
(2)オキシレーテッドポリアルキルフェニルフォスフェートトリエタノールアミン
2重量部
(3)シリコーン 0.2重量部
(4)ザンサンガム 0.1重量部
(5)エチレングリコール 5重量部
(6)水 72.7重量部
以上のものを均一に混合、粉砕して水性懸濁剤とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、RはAで置換されていてもよい炭素数7〜14のアルキル、Aで置換されていてもよい炭素数7〜14のアルケニル又はAで置換されていてもよい炭素数7〜14のアルキニルであり、該炭素数7〜14のアルキル、該炭素数7〜14のアルケニル、該炭素数7〜14のアルキニルのなかで、Oに隣接していない1〜3個の−CH2−(メチレン)は、該メチレンの代わりに−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−COO−又は−OCO−であってもよく;Rは炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数3〜6のシクロアルキル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、S(O)、OR、COR、CO2、NR又はCONRであり;R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル又は炭素数3〜6のシクロアルキルであり;Rは水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル又は炭素数3〜6のシクロアルキルであり;R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数3〜6のシクロアルキル、COR又はCO2であり;R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のハロアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、炭素数3〜6のシクロアルキル、OH又は炭素数1〜6のアルコキシであり;R及びRは直接又は酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子を介して結合し、環を形成してもよく;Aは炭素数1〜6のアルキル、炭素数2〜6のアルケニル、炭素数2〜6のアルキニル、ハロゲン原子、シアノ、ニトロ、N、OR、OCOR又はS(O)であり;Yは酸素原子又は硫黄原子であり;Zは水素原子、OH又はNRであり;mは0〜4の整数であり;nは0〜2の整数であり;uは1〜3の整数であり;uが2又は3のとき、複数の(R1−O)は同一又は異なっていてもよい]で表されるベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩。
【請求項2】
請求項1のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩を有効成分として含有する農園芸用殺菌剤。
【請求項3】
請求項1のベンゾイルアクリル酸誘導体又はその塩を有害菌類及びそれらが生育する場所に施用する有害菌類の防除方法。

【公開番号】特開2013−18738(P2013−18738A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153328(P2011−153328)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】