説明

ベンゾトリアゾール誘導体化合物

【課題】380〜400nmの長波長領域に高い吸収性能を持ちながら、優れた耐光性能をも持ち合わせる紫外線吸収性の新規化合物を提供すること。
【解決手段】下記一般式で表されるベンゾトリアゾール誘導体化合物。式中Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボニルオキシアルキル基、カルボキシアルキル基、アルキルオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンゾトリアゾール誘導体化合物に関し、また当該新規化合物を含有する紫外線吸収剤及び樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、380〜400nmの紫外線領域で高い吸収を示す紫外線吸収剤及び樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂は自然光の紫外線の作用によって劣化を生じて、軟化、脆化または変色などの現象を伴ってその機械的強度が著しく低下することはよく知られている。このような光による劣化を防ぐため、従来より各種の紫外線吸収剤が樹脂の加工工程中に添加され、使用されている。
【0003】
ディスプレイ表示装置において、偏光板保護フィルム等の光学フィルムは、高い透明性を求められており、紫外線による劣化を防ぐために紫外線吸収剤を添加することが一般的に行なわれている。また、反射防止フィルムに含まれる近赤外線吸収剤の紫外線による劣化を防ぐため、反射防止フィルムに紫外線吸収剤が添加されている。また、プラズマディスプレイのカラーフィルターに用いられる色素の紫外線による劣化を防ぐため、プラズマディスプレイ前面板の保護フィルムに紫外線吸収剤が添加されている。すなわち、光学フィルムは、紫外線を十分に遮断することと同時に、そのフィルムの耐光性が高いことが求められている。
【0004】
紫外線が人の目の角膜や水晶体に悪影響を及ぼすことは知られており、屋外の紫外線量の多い場所で太陽光線に眼を晒すと角膜炎を起こしやすく、また、水晶体への影響として、紫外線の蓄積性により白内障を引き起こす場合がある。人の目を保護するという面において、紫外線が目に達するのを防止するために紫外線吸収剤を眼鏡レンズ又はコンタクトレンズに添加することが一般的に行なわれている。
【0005】
昆虫類の可視領域は250〜600nmの範囲であり、特に300〜400nmの波長域における感度が高い。昆虫類が夜間に照明器具の光源に引き寄せられるのは、照明器具から発生する300〜400nmの波長域の光に反応するためであり、これを防ぐためには、照明器具から発生する300〜400nmの波長域の紫外線をカットすればよい。この波長域をカットする防虫シートが提案されており、これらには300〜400nmの波長域の紫外線を吸収する目的で紫外線吸収剤が用いられている。
【0006】
上記の各用途では紫外線を十分に遮断することが求められており、すなわち、400nm以下の紫外線を十分に遮断することが求められている。これまで使用されてきた紫外線吸収剤は350〜400nm、特に380〜400nmの長波長領域の吸収が低いが、これらの長波長領域の光を効率よく吸収するために多くの紫外線吸収剤が開発され、このような波長領域に吸収を持つ化合物として、例えば、特許文献1〜3に記載されているように、2−ターシャリーブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2‘−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]などが、上記の各用途で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−263694号公報
【0008】
【特許文献2】特開2000−67629号公報
【0009】
【特許文献3】特開2004−10875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、これらの化合物は380〜400nmの長波長領域の吸収が十分とはいえない。またこれらの紫外線吸収剤を練り込んだ樹脂成型品は、使用とともに徐々に黄色に着色しはじめる、亀裂が生じ始める、光沢性が劣るといった耐光性の問題があった。
【0011】
そこで本発明が解決しようとする課題は、380〜400nmの長波長領域に高い吸収性能を持ちながら、優れた耐光性能をも持ち合わせる紫外線吸収性の新規化合物、さらには該化合物を含む紫外線吸収剤および該化合物を配合した紫外線吸収性樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明では、下記一般式(1)で示されるベンゾトリアゾール誘導体化合物であることを上記課題の主要な解決手段とする。
【化1】

一般式(1)

[式中Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が各々1〜8のアルキルカルボニルオキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜3のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数の合計が2〜10のアルキルオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表す。]
【0013】
上記一般式(1)で示される新規のベンゾトリアゾール誘導体化合物は、好ましくはRが水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基又はアルキル基の炭素数が各々1〜8のアルキルカルボニルオキシアルキル基で表される化合物である。さらに好ましくはRが水素原子、塩素原子、メチル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜2のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキルカルボニルオキシメチル基又はアルキル基の炭素数が1〜7であるアルキルカルボニルオキシエチル基で表される化合物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、ベンゾトリアゾール構造にセサモールを化学修飾した化合物であり、最大吸収波長λmaxが365nm以上で、その時の吸光度εは約20000以上であり、長波長領域に特に高い紫外線吸収能力を持つ。したがって本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、紫外線吸収剤の材料として使用できる。
【0015】
さらに、本発明のベンゾトリアゾール誘導体を配合した紫外線吸収性樹脂、なかでもポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂では、従来の紫外線吸収性樹脂に比べて耐光性能が優れていることが実験的にも明らかとなった。
【0016】
かかる効果を奏する本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、一方で従来の紫外線吸収性化合物と同等の耐熱性を維持しうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】化合物(a)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図2】化合物(b)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図3】化合物(c)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図4】化合物(d)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図5】化合物(e)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図6】化合物(f)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図7】化合物(g)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図8】化合物(h)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図9】化合物(i)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図10】化合物(j)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図11】化合物(k)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図12】化合物(l)の紫外〜可視吸収スペクトルである。
【図13】化合物(a)の赤外線吸収スペクトルである。
【図14】化合物(b)の赤外線吸収スペクトルである。
【図15】化合物(c)の赤外線吸収スペクトルである。
【図16】化合物(d)の赤外線吸収スペクトルである。
【図17】化合物(e)の赤外線吸収スペクトルである。
【図18】化合物(f)の赤外線吸収スペクトルである。
【図19】化合物(g)の赤外線吸収スペクトルである。
【図20】化合物(h)の赤外線吸収スペクトルである。
【図21】化合物(i)の赤外線吸収スペクトルである。
【図22】化合物(j)の赤外線吸収スペクトルである。
【図23】化合物(k)の赤外線吸収スペクトルである。
【図24】化合物(l)の赤外線吸収スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明につき詳細に説明する。本発明は紫外線吸収剤及び樹脂組成物として、下記一般式(1)によって示す化合物を用いたものである。以下に下記一般式(1)において表される化合物について説明する。
【0019】
【化1】

一般式(1)

【0020】
一般式(1)中、該任意の置換基の例としてRは、水素原子;
フッ素、塩素、ヨウ素などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などの置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルコキシ基またはヒドロキシル基;アミノ基、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノn−プロピルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、モノイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等の置換されても良い炭素数1〜4の直鎖または分岐のアミノ基;ニトロ基;カルボキシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等の置換されても良いアルキル基の炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキルオキシカルボニル基;
ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシオクチル基等の置換されても良い炭素数1〜8の直鎖または分岐のヒドロキシアルキル基;メチルカルボニルオキシメチル基、エチルカルボニルオキシメチル基、プロピルカルボニルオキシメチル基、ブチルカルボニルオキシメチル基、ヘキシルカルボニルオキシメチル基、ヘプチルカルボニルオキシメチル基、オクチルカルボニルオキシメチル基、メチルカルボニルオキシエチル基、エチルカルボニルオキシエチル基、プロピルカルボニルオキシエチル基、ブチルカルボニルオキシエチル基、ヘキシルカルボニルオキシエチル基、ヘプチルカルボニルオキシエチル基、オクチルカルボニルオキシエチル基等の置換されても良いアルキル基の炭素数が各々1〜8の直鎖または分岐のアルキルカルボニルオキシアルキル基;下記(化2〜化4)の−RCOOHで表されるカルボキシアルキル基;下記(化5〜化14)の−RCOORで表されるアルキルオキシカルボニルアルキル基;フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基等のアシル基;スルホ基;シアノ基が挙げられる。
【0021】
カルボキシアルキル基(−RCOOH)
【化2】


【化3】


【化4】

【0022】
アルキルオキシカルボニルアルキル基(−RCOOR
【化5】


【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】

【0023】
上記の置換基の中でも好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基又はアルキルカルボニルオキシアルキル基である。さらに好ましくは水素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基、n−オクチルオキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、ヒドロキシエチル基、メチルカルボニルオキシエチル基、ヘプチルカルボニルオキシエチル基である。
【0024】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物一般式(1)としては、例えば、次に示すものを挙げることができる。6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−オクチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−ヒドロキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−アミノ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−カルボキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−メトキシカルボニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−オクチルオキシカルボニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−ヒドロキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−メチルカルボニルオキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−ヘプチルカルボニルオキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−カルボキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−カルボキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール メチルエステル、6−(5−フェニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−アセチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−スルホ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−シアノ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール等。
【0025】
ここに例示する化合物の中で、特に6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−オクチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−ヒドロキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−カルボキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−メトキシカルボニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−オクチルオキシカルボニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−ヒドロキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−メチルカルボニルオキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール、6−(5−ヘプチルカルボニルオキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールが好ましく用いられる。
【0026】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物一般式(1)は、従来公知の方法によって合成することができる。すなわち、下記(化15〜化18)に示した反応式のように、ニトロアニリン類をジアゾ化し、常法によりセサモールとカップリングして得られるニトロフェニルアゾ化合物を還元して、目的とするベンゾトリアゾール誘導体を合成できる。
【化15】


【化16】


【化17】


【化18】

【0027】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物を配合可能な樹脂は特に限定されるわけではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリ-3−メチルブチレン、ポリメチルペンテンなどのα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ臭化ビニル、ポリフッ化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、臭素化ポリエチレン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル三元共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、内部可塑性ポリ塩化ビニルなどの含ハロゲン合成樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、スチレンと他の単量体(無水マレイン酸、ブタジエン、アクリロニトリルなど)との共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン樹脂、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン樹脂などのスチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、メタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンオキシド、ポリアセタール、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、強化ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリオキシベンゾイル、ポリイミド、ポリマレイミド、ポリアミドイミド、アルキド樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、水溶性樹脂、粉体塗料用樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。本発明のベンゾトリアゾール誘導体化合物の樹脂への配合方法は、樹脂中に添加してもよいし、樹脂上に塗布してもよい。
【0028】
本発明のベンゾトリアゾール化合物は、樹脂に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%の範囲で使用されることが好ましい。
【実施例】
【0029】
以下に本発明で実施したベンゾトリアゾール誘導体化合物の合成法及び化合物の特性を示す。ただし合成方法はこれに限定されるものではない。
【0030】
(実施例1)
[化合物(a);6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化19】

化合物(a)

【0031】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、オルソニトロアニリン15.2g(0.110モル)、62.5%硫酸25.4g(0.162モル)を入れて溶解させ、撹拌させながら85mlの水を加えた。これに36%亜硝酸ナトリウム水溶液21.7g(0.113モル)を3〜7℃で滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を147g得た。500mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メタノール120ml、水酸化ナトリウム4.6g(0.115モル)、炭酸ナトリウム6.2g(0.058モル)、セサモール15.2g(0.110モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。62.5%硫酸でpH4に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、赤色結晶を40.3g得た。この40.3gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、6−(2−ニトロフェニルアゾ)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールを22.0g得た。
【0032】
300mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、この赤色結晶22.0g(0.077モル)、イソプロピルアルコール100ml、水50ml、水酸化ナトリウム3.7g(0.093モル)、ハイドロキノン0.2g、60%ヒドラジン水和物3.6g(0.043モル)を入れて50〜55℃で1時間撹拌させ、62.5%硫酸でpH7に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシドを18.4g得た。
【0033】
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、N−オキシド体18.4g(0.068モル)、トルエン360ml、水120ml、亜鉛末8.9g(0.136モル)を入れて混合し、62.5%硫酸31.9g(0.203モル)を70〜75℃を保って1時間で滴下し、同温度で1時間撹拌した。静置して下層部の水層を分離して除去し、温水100mlで洗浄し、活性炭0.6gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時ろ過し、ろ液からトルエン180mlを回収した後に5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、トルエン30mlで洗浄した後、60℃で乾燥し、黄色結晶である化合物(a)を9.9g得た。収率35%(オルソニトロアニリンから)であった。融点は195℃。
【0034】
また、化合物(a)の紫外〜可視吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長λmaxは367nmであり、この時の吸光度εは20900であった。スペクトルを図1に示す。スペクトルの測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:UV−2450((株)島津製作所製)
測定波長:250〜 450nm
溶媒:クロロホルム
濃度:10ppm
セル:1cm石英
なお、以下の実施例2〜6及び8〜12も本実施例と同様の測定条件で紫外〜可視吸収スペクトルの測定を行った。
【0035】
また、HPLC分析により、化合物(a)の純度を測定した。
<測定条件>
装置:L−2130((株)日立ハイテクノロジーズ製)
使用カラム:Inertsil ODS−3 4.6×150mm 5μm
カラム温度:25℃
移動相: アセトニトリル/水=9/1(リン酸3ml/L)
流速:1.0ml/min
<測定結果>
HPLC面百純度:99.6%
なお、以下の実施例も本実施例と同様の測定条件でHPLC測定を行った。
【0036】
また、化合物(a)の赤外線吸収スペクトルも測定した。測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:FTIR−8400S(( 株)島津製作所製)
検体:1/200(KBr)
得られた赤外線吸収スペクトルを図13に示す。なお、以下の実施例も本実施例と同様の測定条件で赤外線吸収スペクトル測定を行った。
【0037】
また、化合物(a)のNMR測定を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:JEOL AL−300
共振周波数:300MHz(1H−NMR)
溶媒:クロロホルム−d
1H−NMRの内部標準物質として、テトラメチルシランを用い、ケミカルシフト値はδ値(ppm)、カップリング定数はHertzで示した。またsはsinglet、dはdoublet、
tはtriplet、ddはdoublet doublet、bはbroad singlet、mはmultipletの略とする。以下の実施例すべてにおいても同様である。
得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ11.37(s,OH),7.8−8.0(m,3H,benzotriazol−H),7.4−7.6(m,2H,benzotriazol−H phenol−H),6.69(s,1H,phenol−H),6.02(s,2H,
O−CH−O−H)
【0038】
(実施例2)
[化合物(b);6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化20】

化合物(b)

【0039】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、パラクロロオルソニトロアニリン19.0g(0.110モル)、62.5%硫酸45.4g(0.289モル)、水48mlを入れて混合し、36%亜硝酸ナトリウム水溶液21.7g(0.113モル)を3〜7℃で滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を134g得た。500mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メタノール120ml、水酸化ナトリウム6.9g(0.173モル)、炭酸ナトリウム16.7g(0.158モル)、セサモール15.2g(0.110モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。62.5%硫酸でpH4に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、赤色結晶を58.6g得た。この58.6gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、6−(4−クロロ−2−ニトロフェニルアゾ)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールを18.5g得た。
【0040】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、この赤色結晶18.5g(0.058モル)、イソプロピルアルコール80ml、水45ml、水酸化ナトリウム2.8g(0.070モル)、ハイドロキノン0.2g、60%ヒドラジン水和物2.7g(0.032モル)を入れて50〜55℃で1時間撹拌させ、62.5%硫酸でpH7に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシドを16.2g得た。
【0041】
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、N−オキシド体16.2g(0.053モル)、トルエン320ml、水150ml、亜鉛末13.6g(0.208モル)を入れて混合し、62.5%硫酸49.2g(0.313モル)を70〜75℃を保って1時間で滴下し、同温度で3時間撹拌した。静置して下層部の水層を分離して除去し、温水100mlで洗浄し、活性炭0.5gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時ろ過し、ろ液からトルエン160mlを回収した後に5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、トルエン30mlで洗浄した後、60℃で乾燥し、黄色結晶である化合物(b)を5.7g得た。収率18%(パラクロロオルソニトロアニリンから)であった。融点205℃、最大吸収波長λmaxが375nmの時の吸光度εは21500、HPLC面百純度99.3%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図2に示す。赤外線吸収スペクトルを図14に示す。
【0042】
また、化合物(b)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置: VARIAN Mercury300
共振周波数:300MHz(1H−NMR)
溶媒:DMSO−d6
得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。なお、以下の実施例3〜5、7、10も本実施例と同様の測定条件でNMR測定を行った。
δ8.17(s,1H,benzotriazol−H),8.07(d,1H,J=9.07Hz,benzotriazol−H),7.52(dd,1H,J=9.28Hz,J=1.98Hz,J=1.97Hz,benzotriazol−H),7.33(s,1H,phenol−H),6.74(s,1H,phenol−H,),6.09(s,2H,O−CH−O−H)
【0043】
(実施例3)
[化合物(c);6−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化21】

化合物(c)

【0044】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、パラメチルオルソニトロアニリン16.7g(0.110モル)、62.5%硫酸35.2g(0.224モル)、水85mlを入れて混合し、36%亜硝酸ナトリウム水溶液21.7g(0.113モル)を3〜7℃で滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を158g得た。500mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メタノール120ml、水酸化ナトリウム4.6g(0.115モル)、炭酸ナトリウム12.8g(0.121モル)、セサモール15.2g(0.110モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、赤色結晶を50.4g得た。この50.4gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、6−(4−メチル−2−ニトロフェニルアゾ)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールを21.8g得た。
【0045】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、この赤色結晶21.8g(0.072モル)、イソプロピルアルコール60ml、水70ml、水酸化ナトリウム4.3g(0.108モル)、ハイドロキノン0.2g、60%ヒドラジン水和物4.2g(0.050モル)を入れて50〜55℃で1時間撹拌させ、62.5%硫酸でpH7に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、6−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシドを19.6g得た。
【0046】
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、N−オキシド体19.6g(0.069モル)、トルエン390ml、水100ml、亜鉛末8.9g(0.136モル)を入れて混合し、62.5%硫酸32.2g(0.205モル)を70〜75℃を保って1時間で滴下し、同温度で3時間撹拌した。静置して下層部の水層を分離して除去し、温水100mlで洗浄し、活性炭0.6gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱ろ過し、ろ液からトルエン200mlを回収した後に5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、トルエン30mlで洗浄した後、60℃で乾燥し、黄色結晶である化合物(c)を11.9g得た。収率40.3%(パラメチルオルソニトロアニリンから)であった。融点195℃、最大吸収波長λmaxが365nmの時の吸光度εは21600、HPLC面百純度99.9%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図3に示す。赤外線吸収スペクトルを図15に示す。
【0047】
また、化合物(c)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ10.5(b,OH),7.99(d,1H,J=8.74Hz,benzotriazol−H),7.79(s,1H,benzotriazol−H),7.44(s,1H,phenol−H),7.39(dd,1H,J=8.8Hz,J=1.49Hz,J=1.49Hz,benzotriazol−H),6.79(s,1H,phenol−H,),6.12(s,2H,O−CH−O−H),2.50(s,3H,Me−H)
【0048】
(実施例4)
[化合物(d);6−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化22】

化合物(d)

【0049】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、パラメトキシオルソニトロアニリン18.2g(0.108モル)、62.5%硫酸42.5g(0.271モル)、水108mlを入れて混合し、36%亜硝酸ナトリウム水溶液21.2g(0.111モル)を3〜7℃で滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を189g得た。500mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メタノール200ml、水酸化ナトリウム12.5g(0.313モル)、セサモール15.2g(0.110モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、赤色結晶を48.6g得た。この48.6gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、6−(4−メトキシ−2−ニトロフェニルアゾ)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールを25.7g得た。
【0050】
300mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、この赤色結晶25.7g(0.081モル)、イソプロピルアルコール75ml、水85ml、水酸化ナトリウム4.8g(0.120モル)、ハイドロキノン0.3g、60%ヒドラジン水和物4.6g(0.055モル)を入れて50〜55℃で1時間撹拌させ、62.5%硫酸でpH7に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、6−(5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシドを24.2g得た。
【0051】
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、N−オキシド体24.2g(0.080モル)、トルエン480ml、水150ml、亜鉛末15.6g(0.239モル)を入れて混合し、62.5%硫酸56.3g(0.359モル)を70〜75℃を保って1時間で滴下し、同温度で3時間撹拌した。静置して下層部の水層を分離して除去し、温水150mlで洗浄し、活性炭0.7gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時ろ過し、ろ液からトルエン240mlを回収した後に5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、トルエン30mlで洗浄した後、60℃で乾燥し、黄色結晶である化合物(d)を4.3g得た。収率14%(パラメトキシオルソニトロアニリンから)であった。融点221℃、最大吸収波長λmaxが368nmの時の吸光度εは23800、HPLC面百純度99.7%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図4に示す。赤外線吸収スペクトルを図16に示す。
【0052】
また、化合物(d)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ10.55(b,OH),7.90(d,1H,J=9.23Hz,benzotriazol−H),7.39(s,1H,benzotriazol−H),7.32(s,1H,phenol−H),7.39(dd,1H,J=9.23Hz,J=2.31Hz,J=2.32Hz,benzotriazol−H),6.76(s,1H,phenol−H,),6.09(s,2H,O−CH−O−H),3.88(s,3H,OMe−H)
【0053】
(実施例5)
[化合物(e);6−(5−ヒドロキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化23】

化合物(e)

【0054】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、パラヒドロキシオルソニトロアニリン13.5g(0.086モル)、62.5%硫酸34.3g(0.219モル)、水68mlを入れて混合し、36%亜硝酸ナトリウム水溶液17.3g(0.090モル)を3〜7℃で滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を132g得た。500mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メタノール96ml、水50ml、水酸化ナトリウム5.5g(0.138モル)、炭酸ナトリウム12.0g(0.113モル)、セサモール12.1g(0.088モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、赤色結晶を32.2g得た。この32.2gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、6−(4−ヒドロキシ−2−ニトロフェニルアゾ)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールを8.0g得た。
【0055】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、この赤色結晶8.0g(0.026モル)、イソプロピルアルコール50ml、水50ml、水酸化ナトリウム2.9g(0.073モル)、ハイドロキノン0.1g、60%ヒドラジン水和物2.6g(0.031モル)を入れて50〜55℃で1時間撹拌させ、62.5%硫酸でpH7に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、6−(5−ヒドロキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシドを4.8g得た。
【0056】
300mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、N−オキシド体4.8g(0.017モル)、メチルイソブチルケトン100ml、水30ml、亜鉛末4.2g(0.064モル)を入れて混合し、62.5%硫酸15.4g(0.098モル)を70〜75℃を保って1時間で滴下し、同温度で3時間撹拌した。静置して下層部の水層を分離して除去し、温水100mlで洗浄し、活性炭0.1gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱ろ過し、ろ液を5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、メチルイソブチルケトン10mlで洗浄した後、60℃で乾燥し、黄色結晶である化合物(e)を1.7g得た。収率7%(パラヒドロキシオルソニトロアニリンから)であった。融点282℃、最大吸収波長λmaxが369nmの時の吸光度εは23900、HPLC面百純度99.0%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図5に示す。赤外線吸収スペクトルを図17に示す。
【0057】
また、化合物(e)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ10.5,10.2(b,OH),7.85(d,1H,J=9.07Hz,benzotriazol−H),7.42(s,1H,benzotriazol−H),7.11(d,1H,benzotriazol−H),7.07(m,1H,phenol−H),6.76(s,1H,phenol−H),6.10(s,2H,O−CH−O−H)
【0058】
(実施例6)
[化合物(f);6−(5−オクチルオキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化24】

化合物(f)

【0059】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、6−(5−ヒドロキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール0.9g(0.0033モル)、メチルイソブチルケトン100ml、炭酸ナトリウム0.6g(0.0057モル)、オクチルクロライド1.8g(0.0121モル)、ポリエチレングリコール400を0.3g、ヨウ化カリウム0.3gを入れて混合し、117℃で30時間還流脱水した。温水50mlで2回洗浄し、活性炭0.1gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱ろ過し、ろ液を5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、メチルイソブチルケトン10mlで洗浄した後、60℃で乾燥し、黄色結晶である化合物(f)を0.6g得た。収率47%(6−(5−ヒドロキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールから)であった。融点107℃、最大吸収波長λmaxが368nmの時の吸光度εは24600、HPLC面百純度99.6%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図6に示す。赤外線吸収スペクトルを図18に示す。
【0060】
また、化合物(f)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置: VARIAN Mercury300
共振周波数:300MHz(1H−NMR)
溶媒:クロロホルム−d
得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。なお、以下の実施例8〜9、11〜12も本実施例と同様の測定条件でNMR測定を行った。
δ11.3(b,OH),7.79(s,1H,benzotriazol−H),7.75(d,1H,J=9.0Hz,benzotriazol−H),7.13(dd,1H,J=9.2Hz,J=2.4Hz,J=2.1Hz,benzotriazol−H),7.08(s,1H,phenol−H),6.67(s,1H,phenol−H),6.01(s,2H,O−CH2−O−H),4.05(t,2H,PH−O−CH2−H),1.88(m,2H,CH2−H),1.2−1.5(m,10H,(CH2)5−H),0.90(t,3H,CH3−H)
【0061】
(実施例7)
[化合物(g);6−(5−カルボキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化25】

化合物(g)

【0062】
300mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸27.3g(0.150モル)、水150ml、炭酸ナトリウム8.9g(0.084モル)、36%亜硝酸ナトリウム水溶液30.3g(0.158モル)を入れて50〜55℃で撹拌して溶解する。別の容器に62.5%硫酸59.0g(0.376モル)、水150mlを入れて混合し、これに3〜7℃で溶解液を滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を423g得た。1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メタノール275ml、水酸化ナトリウム8.6g(0.215モル)、炭酸ナトリウム12.8g(0.121モル)、セサモール20.8g(0.151モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、赤色結晶を70.0g得た。この70.0gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、4−[(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)アゾ]−3−ニトロ安息香酸を32.4g得た。
【0063】
500mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、4−[(6−ヒドロキシベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)アゾ]−3−ニトロ安息香酸23.0g(0.069モル)、イソプロピルアルコール100ml、水60ml、水酸化ナトリウム4.2g(0.105モル)、ハイドロキノン0.2g、60%ヒドラジン水和物4.1g(0.049モル)を入れて70〜75℃で2時間撹拌させ、62.5%硫酸でpH7に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、茶色結晶を18.4g得た。この18.4gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、6−(5−カルボキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシドを15.0g得た。
【0064】
1000mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、N−オキシド体15.0g(0.048モル)、メチルイソブチルケトン320ml、水110ml、亜鉛末6.3g(0.096モル)を入れて混合し、62.5%硫酸22.5g(0.143モル)を70〜75℃を保って1時間で滴下し、同温度で3時間撹拌した。静置して下層部の水層を分離して除去し、温水180mlで洗浄し、活性炭0.2gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時にろ過し、ろ液を5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、メチルイソブチルケトン20mlで洗浄した後、60℃で乾燥し、化合物(g)を1.1g得た。収率3%(4−アミノ−3−ニトロ安息香酸から)であった。融点287℃、HPLC面百純度99.2%であった。赤外線吸収スペクトルを図19に示す。
【0065】
また、化合物(g)の紫外〜可視吸収スペクトルを測定したところ、最大吸収波長λmaxは370nmであり、この時の吸光度εは19000であった。スペクトルを図7に示す。スペクトルの測定条件は次のとおりである。
<測定条件>
装置:UV−2450((株)島津製作所製)
測定波長:250〜 450nm
溶媒:メタノール
濃度:10ppm
セル:1cm石英
【0066】
また、化合物(g)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ13.4(b、COOH),10.8(b,OH),8.63(s,1H,benzotriazol−H),8.12(dd,1H,J=9.9Hz,J=0.9Hz,J=0.9Hz,benzotriazol−H),8.03(dd,1H,J=10.5Hz,J=1.5Hz,J=1.2Hz,benzotriazol−H),7.52(s,1H,phenol−H),6.24(s,2H,O−CH2−O−H)
【0067】
(実施例8)
[化合物(h);6−(5−メトキシカルボニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化26】

化合物(h)

【0068】
300mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、6−(5−カルボキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール1.1g(0.0037モル)、トルエン200ml、塩化チオニル0.9g(0.0076モル)、N,N−ジメチルホルムアミド0.2mlを入れて、65〜70℃で3時間撹拌した。溶媒を留去した後、トルエン150ml、メタノール0.5g(0.0156モル)、ピリジン0.8g(0.0101モル)を加え、70〜75℃で2時間撹拌した。温水100mlで2回洗浄し、活性炭0.1gを加え、還流撹拌して脱色させた後に熱時にろ過し、ろ液を5℃まで冷却し、析出する結晶をろ過し、トルエンで洗浄した後、60℃で乾燥し、化合物(h)を0.5g得た。収率43%(6−(5−カルボキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールから)であった。融点217℃、最大吸収波長λmaxが377nmの時の吸光度εは22800、HPLC面百純度95.0%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図8に示す。赤外線吸収スペクトルを図20に示す。
【0069】
また、化合物(h)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ11.8(s,OH),8.69(s,1H,benzotriazol−H),8.14(dd,1H,J=8.9Hz,J=1.5Hz,J=1.2Hz,benzotriazol−H),7.95(dd,1H,J=9.0Hz,J=0.9Hz,J=0.9Hz,benzotriazol−H),7.86(s,1H,phenol−H),6.13(s,2H,O−CH2−O−H),4.0(s,3H,CH3−H)
【0070】
(実施例9)
[化合物(i);6−(5−オクチルオキシカルボニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化27】

化合物(i)

【0071】
メタノールをオクタノールとした以外は実施例8と同様にして、化合物(i)を収率58%(6−(5−カルボキシ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールから)で得た。融点120℃、最大吸収波長λmaxが377nmの時の吸光度εは21100、HPLC面百純度94.5%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図9に示す。赤外線吸収スペクトルを図21に示す。
【0072】
また、化合物(i)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ11.8(s,OH),8.69(s,1H,benzotriazol−H),8.14(dd,1H,J=9.0Hz,J=1.5Hz,J=1.5Hz,benzotriazol−H),7.95(dd,1H,J=9.2Hz,J=0.9Hz,J=0.6Hz,benzotriazol−H),7.86(s,1H,phenol−H),6.13(s,2H,O−CH2−O−H),4.39(t,2H,PH−COOCH2−H),1.83(m,2H,CH2−H),1.2−1.6(m,10H,(CH2)5−H),0.89(t,3H,CH3−H)
【0073】
(実施例10)
[化合物(j);6−(5−ヒドロキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化28】

化合物(j)

【0074】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、常法にて合成した2−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)エタノール8.0g(0.044モル)、62.5%硫酸17.2g(0.110モル)、水80mlを入れて混合し、36%亜硝酸ナトリウム水溶液8.8g(0.046モル)を3〜7℃で滴下し、同温度で2時間撹拌してジアゾニウム塩水溶液を113g得た。300mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、メタノール50ml、水酸化ナトリウム2.8g(0.070モル)、炭酸ナトリウム6.0g(0.057モル)、セサモール6.1g(0.044モル)を入れて混合し、ジアゾニウム塩水溶液を3〜7℃で滴下し、同温度で4時間撹拌した。生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、赤色結晶を14.6g得た。この14.6gをイソプロピルアルコール水溶液でリパルプ洗浄し、6−[4−ヒドロキシエチル−2−ニトロフェニルアゾ)]ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールを5.9g得た。
【0075】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、この赤色結晶5.9g(0.018モル)、イソプロピルアルコール30ml、水20ml、水酸化ナトリウム0.9g(0.023モル)、ハイドロキノン0.1g、60%ヒドラジン水和物1.1g(0.013モル)を入れて、50〜55℃で1時間撹拌させた後、62.5%硫酸でpH7に調整し、生成した沈殿物をろ過、水洗、乾燥し、6−(5−ヒドロキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール−N−オキシドを4.7g得た。
【0076】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、N−オキシド体4.7g(0.015モル)、メチルイソブチルケトン100ml、水35ml、亜鉛末2.0g(0.031モル)を入れて混合し、62.5%硫酸7.0g(0.045モル)を70〜75℃を保って1時間で滴下し、同温度で1時間撹拌した。静置して下層部の水層を分離して除去し、温水70mlで洗浄し、活性炭0.2gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時にろ過し、ろ液からメチルイソブチルケトン100mlを減圧で回収した後にイソプロピルアルコール40mlを加え、析出した結晶をろ過し、イソプロピルアルコール20mlで洗浄した後、乾燥機にて60℃で乾燥し、化合物(j)を2.6g得た。収率14%(2−(4−アミノフェニル)エタノールから)であった。融点179℃、最大吸収波長λmaxが367nmの時の吸光度εは22100、HPLC面百純度98.1%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図10に示す。赤外線吸収スペクトルを図22に示す。
【0077】
また、化合物(j)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ10.5(b,PH−OH),7.90(dd,1H,J=8.9Hz,J=0.6Hz,J=0.9Hz,benzotriazol−H),7.84(s,1H,benzotriazol−H),7.41(dd,1H,J=8.7Hz,J=1.5Hz,J=1.5Hz,benzotriazol−H),7.40(s,1H,phenol−H),6.76(s,1H,phenol−H),6.09(s,2H,O−CH2−O−H),4.7(b,PH−(CH2)2−OH),3.69(t,2H,PH−CH2−CH2−H),2.90(t,2H,PH−CH2−H)
【0078】
(実施例11)
[化合物(k);6−(5−メチルカルボニルオキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化29】

化合物(k)

【0079】
200mlの4つ口フラスコに玉付きコンデンサー、温度計、撹拌装置を取り付け、6−(5−ヒドロキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オール2.0g(0.0067モル)、トルエン50ml、酢酸1.6g(0.0266モル)、メタンスルホン酸0.1g(0.0010モル)を入れて、110〜115℃で4時間還流脱水した。温水50mlで3回洗浄し、活性炭0.1gを加え、還流撹拌して脱色させた。熱時にろ過し、析出した結晶をろ過し、トルエン10mlで洗浄した後、60℃で乾燥し、化合物(k)を2.2g得た。
収率96%(6−(5−ヒドロキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールから)であった。融点149℃、最大吸収波長λmaxが368nmの時の吸光度εは22500、HPLC面百純度98.9%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図11に示す。赤外線吸収スペクトルを図23に示す。
【0080】
また、化合物(k)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ11.3(b,OH),7.85(dd,1H,J=8.9Hz,J=0.6Hz,J=0.9Hz,benzotriazol−H),7.84(s,1H,benzotriazol−H),7.73(s,1H,phenol−H),7.35(dd,1H,J=8.7Hz,J=1.5Hz,J=1.5Hz,benzotriazol−H),6.69(s,1H,phenol−H),6.02(s,2H,O−CH2−O−H),4.38(t,2H,PH−CH2−CH2−H),3.12(t,2H,PH−CH2−H),2.05(s,3H,CH3−H)
【0081】
(実施例12)
[化合物(l);6−(5−ヘプチルカルボニルオキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールの合成]
【化30】

化合物(l)

【0082】
酢酸をオクタン酸とした以外は実施例11と同様にして、化合物(l)を収率84%(6−(5−ヒドロキシエチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−オールから)で得た。融点113℃、最大吸収波長λmaxが368nmの時の吸光度εは22500、HPLC面百純度98.6%であった。紫外〜可視吸収スペクトルを図12に示す。赤外線吸収スペクトルを図24に示す。
【0083】
また、化合物(l)のNMR解析を行った結果、上記構造を支持する結果が得られた。得られたNMRスペクトルの内容は以下のとおりである。
δ11.4(b,OH),7.84(dd,1H,J=8.9Hz,J=0.9Hz,J=0.6Hz,benzotriazol−H),7.84(s,1H,benzotriazol−H),7.72(s,1H,phenol−H),7.35(dd,1H,J=8.9Hz,J=1.5Hz,J=1.8Hz,benzotriazol−H),6.69(s,1H,phenol−H),6.02(s,2H,O−CH2−O−H),4.39(t,2H,PH−CH2−CH2−H),3.11(t,2H,PH−CH2−H),2.29(t,2H,OCO−CH2−H),1.2−1.6(m,10H,(CH2)5−H),0.85(t,3H,CH3−H)
【0084】
[ポリエチレンテレフタレートの耐光変色性試験]
実施例1〜4で得られた化合物(a)、(b)、(c)、(d)をそれぞれポリエチレンテレフタレートに混合し、押し出し成形によりペレットを作製し、これらのペレットを射出成形により1mm厚のシートにし、フェードメーターで紫外線を照射した。これらのシートの紫外線照射前後における黄変度(ΔYI)を測定した結果を表1に示す。なお、比較として、従来の紫外線吸収剤である化合物(m);2−ターシャリーブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノール、化合物(n);2,2‘−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン]もそれぞれ同様に、押し出し成形、射出成形及び紫外線照射を行い、また、紫外線吸収剤を添加せずに、同様に、押し出し成形、射出成形及び紫外線照射を行った。
【0085】
【表1】

【0086】
表1より、本発明品が従来品化合物(m)、(n)よりΔYIが小さく、優れた耐光性能を有することがわかる。押し出し成形、射出成形、紫外線照射、ΔYIの条件は次の通りである。
【0087】
<押し出し成形>
ポリエチレンテレフタレート原料:(株)ベルポリエステルプロダクツ製 E−02 4kg
各化合物:8g
押し出し機:(株)テクノベル製 二軸押出機 KZW31−42MG−01R
温度:230℃
【0088】
<射出成形>
射出成型機:東洋機械金属(株)製 S80IV
温度:230℃
【0089】
<紫外線照射>
フェードメーター:スガ試験機(株)製 キセノンフェードメーターX25
ブラックパネル温度:63℃
湿度:50%
紫外線強度:42W/平方メートル
【0090】
<ΔYI>
測定器:コニカミノルタセンシング(株)製 分光測色計CM−3500d
照明・受光光学系:拡散照明8°方向受光 SCI方式
【0091】
[ポリプロピレンの耐光性試験]
実施例1、2で得られた化合物(a)、(b)をそれぞれポリプロピレンに混合し、押し出し成形によりペレットを作製し、これらのペレットを射出成形により1mm厚のシートにし、フェードメーターで紫外線を照射した。これらのシートの表面亀裂及び光沢度を測定した結果を表2に示す。なお、比較として、従来の紫外線吸収剤である化合物(m);2−ターシャリーブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノールも同様に、押し出し成形、射出成形及び紫外線照射を行い、また、紫外線吸収剤を添加せずに、同様に、押し出し成形、射出成形及び紫外線照射を行った。
【0092】
【表2】

【0093】
表2より、本発明品が従来品化合物(m)に比べて、長時間紫外線照射後も表面亀裂が少なく、また光沢度が高いので、優れた耐光性能を有することがわかる。押し出し成形、射出成形、紫外線照射及び光沢度の条件は次の通りである。
【0094】
<押し出し成形>
ポリプロピレン原料:サンアロマー(株)製 PX600N 4kg
各化合物:8g
押し出し機:(株)テクノベル製 二軸押出機 KZW31−42MG−01R
温度:180℃
【0095】
<射出成形>
射出成型機:東洋機械金属(株)製 S80IV
温度:210℃
【0096】
<紫外線照射>
フェードメーター:スガ試験機(株)製 キセノンフェードメーターX25
ブラックパネル温度:63℃
湿度:50%
紫外線強度:42W/平方メートル
【0097】
<光沢度>
測定器:コニカミノルタセンシング(株)製 光沢計GM−60
測定角度:60°
【0098】
[耐熱性試験]
ビーカーに化合物(a)、(b)をそれぞれ1g入れ、これらを空気中220℃で1時間加熱した。これらの加熱減量及び紫外線吸収スペクトルの比較を表3に示す。なお、比較として、従来の紫外線吸収剤である化合物(m);2−ターシャリーブチル−6−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチルフェノールも同様に行った。
【0099】
【表3】

【0100】
表3より、本発明品が従来品化合物(m)と同等の耐熱性を持つことが認められた。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明のベンゾトリアゾール誘導体は、350〜400nm、特に380〜400nmの長波長領域の吸収が高く、また、優れた耐光性能を有することから、樹脂用の紫外線吸収剤として好適に利用できる。なかでも、光学フィルム、眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、防虫シート等に好適に利用できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で表されることを特徴とするベンゾトリアゾール誘導体化合物。
【化1】

一般式(1)

[式中Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のモノ置換アミノ基、炭素数1〜4の直鎖または分鎖のジ置換アミノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が各々1〜8のアルキルカルボニルオキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜3のカルボキシアルキル基、アルキル基の炭素数の合計が2〜10のアルキルオキシカルボニルアルキル基、アリール基、アシル基、スルホ基又はシアノ基を表す。]
【請求項2】
上記一般式(1)におけるRが水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基又はアルキル基の炭素数が各々1〜8のアルキルカルボニルオキシアルキル基である請求項1記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物。
【請求項3】
上記一般式(1)におけるRが水素原子、塩素原子、メチル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルキル基の炭素数が1〜8のアルキルオキシカルボニル基、炭素数1〜2のヒドロキシアルキル基、アルキル基の炭素数が1〜7であるアルキルカルボニルオキシメチル基又はアルキル基の炭素数が1〜7であるアルキルカルボニルオキシエチル基である請求項1記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの項に記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物を含有する紫外線吸収剤。
【請求項5】
樹脂に、請求項1〜3のいずれかの項に記載のベンゾトリアゾール誘導体化合物を配合した紫外線吸収性樹脂組成物。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−41333(P2012−41333A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147023(P2011−147023)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(301000675)シプロ化成株式会社 (33)
【Fターム(参考)】