説明

ベーカリー上掛け用バッター生地

【課題】生地物性が良好であり、且つ、焼成後に上掛け生地部分に割れを生じたり、剥がれ落ちてしまう現象が防止されたベーカリー上掛け用バッター生地、及び、該特徴を有する複合ベーカリー製品を提供することを提供すること。
【解決手段】油分が30質量%以上である水中油型乳化組成物を含有することを特徴とするベーカリー上掛け用バッター生地、及び、該ベーカリー用上掛け生地を使用した複合ベーカリー製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベーカリー上掛け用バッター生地に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスケット生地やタルト生地などのショートペースト生地、あるいはシュー生地やバターケーキ生地などのバッター生地を、ベーカリー用上掛け生地として、菓子パン生地やデニッシュ生地などの内生地の上に載せて焼成したベーカリー製品はメロンパンと称されている。なかでもバッター生地を使用したメロンパンは、その滑らかな表面としっとりした食感がケーキのような雰囲気をかもしだすため、最近は多く見られるようになってきている。
【0003】
このメロンパンは、内生地焼成部分とベーカリー用上掛け生地焼成部分から構成されるものであるが、焼成直後から、内生地焼成部分からベーカリー用上掛け生地焼成部分への水分移行が始まるため、ベーカリー用上掛け生地焼成部分の食感が経日的に変化してしまう。特に、ベーカリー用上掛け生地としてバッター生地を使用したメロンパンは、焼成直後のしっとりとした食感が経日的に失われ、べたついた食感に変化してしまう。また、水分移行により水分含有量が増えたベーカリー用上掛け生地焼成部分は包装材料に付着してしまうという問題もある。
【0004】
その問題を避けるため、一般的には、ベーカリー用上掛け生地の水分含量を下げ、焼成時間も延長するなどして、上掛け生地部分を硬く焼き上げる方法を採るが、バッター生地の場合、生地水分含量を減少させるとバッター状の生地性状を保つことができない上、しっとりとした食感も得られない。
そこで、固体脂含量の高い油脂を使用する方法(たとえば特許文献1〜3参照)や、糊化澱粉や糊化小麦粉を配合する方法(たとえば特許文献4、5参照)が提案されている。
【0005】
しかし、固体脂含量の高い油脂を使用した上掛け生地部分は内生地部分との接着性が悪いため、焼成後に上掛け生地部分が剥がれ落ちてしまうという問題があった。また糊化澱粉や糊化小麦粉を使用する方法では、焼成時に流動性が悪化するために、焼成後に上掛け生地部分に割れを生じたり、剥がれ落ちてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−149220号公報
【特許文献2】特開2008−086211号公報
【特許文献3】特開2009−039076号公報
【特許文献4】特開2001−340048号公報
【特許文献5】特開平07−099878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、生地物性が良好であり、且つ、焼成後に上掛け生地部分に割れを生じたり、剥がれ落ちてしまう現象が防止されたベーカリー上掛け用バッター生地を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、ベーカリー用上掛け用バッター生地に練り込み使用する油脂として特定の水中油型乳化物を使用した場合、上記問題を解決可能であることを見出した。
すなわち、本発明は、油分が30質量%以上である水中油型乳化組成物を含有することを特徴とするベーカリー上掛け用バッター生地を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のベーカリー上掛け用バッター生地は、生地物性が良好であり、且つ、焼成後に上掛け生地部分に割れを生じたり、剥がれ落ちてしまう現象が防止される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のベーカリー上掛け用バッター生地で使用する油分含量が30質量%以上である水中油型乳化組成物(以下、水中油型乳化組成物ともいう)について説明をする。
【0011】
上記水中油型乳化組成物で含有させる油脂としては特に制限されず、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、菜種油、キャノーラ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した油脂が挙げられる。本発明において、これらの油脂を単独で用いることもでき、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0012】
本発明では、上記油脂として、好ましくは、常温(30℃)で液状である油脂、さらに好ましくは融点20℃未満である油脂、最も好ましくは融点10℃未満である油脂を含有させることが好ましい。
【0013】
上記水中油型乳化組成物の油分は、水中油型乳化組成物に含有させる油脂や、水中油型乳化組成物に含有させる原料に由来する油分も含め、30質量%以上であることが必要であり、好ましく30〜90質量%、さらに好ましくは40〜80質量%、最も好ましくは40〜60質量%である。
【0014】
本発明において上記水中油型乳化組成物の油分含量が30質量%よりも少ないと 焼成時に生地が流れやすくなり、また、焼成後の上掛け生地部分の食感がしっとりした食感とならず、表面も割れが生じ、滑らかな表面とならない。
【0015】
上記水中油型乳化組成物の水分は、例えば、水道水、ミネラル水、地下水などの水や、水中油型乳化組成物に含有させる牛乳や液糖などの下記その他の原材料に含まれる水分を含め、好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは10〜70質量%、一層好ましくは20〜60質量%、最も好ましくは40〜60質量%である。
【0016】
上記水中油型乳化物は、上記油脂と上記水を乳化するために乳化剤を使用する。本発明では、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステルの中から選ばれた1種又は2種以上の乳化剤を使用するのが好ましく、より好ましくは、ソルビタン脂肪酸エステルとグリセリンモノ脂肪酸エステルを組み合わせるか、あるいは、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又は蔗糖脂肪酸エステルにグリセリンモノ脂肪酸エステルを組み合わせて使用する。
【0017】
上記のソルビタン脂肪酸エステルは、好ましくはHLBが2〜10、さらに好ましくは2〜8のソルビタン脂肪酸エステルを用いるのがよい。上記ソルビタン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸残基としては特に制限はなく、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の残基が挙げられる。
【0018】
上記のグリセリンモノ脂肪酸エステルとしては、好ましくはHLBが0〜6、さらに好ましくは0〜4のグリセリン脂肪酸エステルを用いるのがよい。また、構成脂肪酸残基としては特に制限はなく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の残基が挙げられる。
【0019】
上記のポリグリセリン脂肪酸エステルと蔗糖脂肪酸エステルは、グリセリンモノ脂肪酸エステルと組み合わせて使用する場合は、水溶性のものを使用することが好ましく、好ましくはHLBが8以上、より好ましくは9以上、さらに好ましくは11以上のものを使用する。また、構成脂肪酸残基としては特に制限はなく、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の残基が挙げられる。
なお、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成するグリセリン残基としては特に制限はないが、重合度が1〜10のものが好ましい。
また、乳化剤の合計量は、上記水中油型乳化物中、好ましくは0.5〜20質量%、さらに好ましくは1〜20質量%、最も好ましくは1〜10質量%である。
【0020】
上記水中油型乳化組成物は、糖類を含有してもよい。
上記糖類としては、白糖、グラニュー糖、粉糖、液糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、乳糖、還元澱粉糖化物、異性化液糖、ショ糖結合水飴、はちみつ、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、還元乳糖、ソルビトール、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、トレハロース等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
上記水中油型乳化組成物は、甘味料を含有してもよい。
上記の甘味料としては、スクラロース、ステビア、アスパルテーム、ソーマチン、サッカリン、ネオテーム、アセスルファムカリウム、甘草、羅漢果等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記の糖類と甘味料の合計の含有量は、特に制限はないが、上記水中油型乳化組成物中、固形分換算で好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、最も好ましくは0.001〜15質量%である。
【0022】
上記水中油型乳化組成物は増粘安定剤を含有してもよい。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、上記水中油型乳化組成物中、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%、最も好ましくは0.001〜3質量%である。
【0023】
上記水中油型乳化組成物はさらに必要により、その他の材料として、乳製品、蛋白質、穀類、酵素、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、澱粉、デキストリン、酸味料、無機塩、有機酸塩、調味料、アミノ酸、果実、果汁、ナッツペースト、香辛料、卵類、コーヒー製品、カカオ製品、チョコレート、紅茶、緑茶、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、フレーバー、果汁、着色料、保存料、日持ち向上剤、pH調整剤、酸化防止剤等の中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0024】
次に、上記水中油型乳化組成物の製造方法を説明する。上記水中油型乳化組成物は、その製造方法が特に制限されるものではないが、例えばまず、油脂に、必要によりその他の原料を添加した油相を用意する。一方水に、必要によりその他の原料を添加した水相を用意する。そして得られた油相と水相を混合し、水中油型に乳化する。そして必要により殺菌処理を行う。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
次に、冷却(好ましくは5℃以下)、固化し、水中油型乳化組成物を得る。また、上記水中油型乳化組成物を製造する際の何れかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
また上記水中油型乳化組成物は、可塑性を有することが好ましい。
【0025】
次に、本発明のベーカリー上掛け用バッター生地について詳細に説明する。
本発明のベーカリー上掛け用バッター生地は、上記油分が30質量%以上である水中油型乳化組成物を練り込んだベーカリー生地であって上掛け用に使用するバッター生地である。
なお、上記バッター生地(なお、単に「バッター」ということもある)とは、製菓用の焼菓子生地分類の1種であり、でんぷん類と水分を必須成分とし、必要に応じて油脂を使用し、クッキー生地に代表されるショートペースト生地に比べて水分含有量が高く、常温で流動性を有する生地であり、例えば、スポンジケーキ生地やバターケーキ生地、マフィン生地などの各種ケーキ生地、ソフトクッキー生地、シュー生地、ベイクドチーズケーキ生地、ガトーショコラ生地、メレンゲ生地、マカロン生地などが挙げられる。
【0026】
ここで、本発明のベーカリー上掛け用バッター生地における、上記油分が30質量%以上である水中油型乳化組成物の含有量は、ベーカリー上掛け用バッター生地に使用するでんぷん類100質量部に対し好ましくは30〜200質量部、より好ましくは60〜150質量部である。30質量部未満である場合、本発明の効果が得られず、200質量部を超える場合は、焼成時に上掛け生地部分が展板にまで流れ落ちてしまい、均質な厚さにならないおそれがある。また、べたついた食感となってしまう。
【0027】
なお、上記でんぷん類とは、強力粉・準強力粉・中力粉・薄力粉・デュラム粉・全粒粉などの小麦粉類をはじめ、ライ麦粉・大麦粉・米粉などのその他の穀粉類、小麦澱粉・米澱粉・タピオカ澱粉・コーンスターチ・ワキシーコーンスターチ・サゴ澱粉・甘藷澱粉・馬鈴薯澱粉などの穀物澱粉類、さらには、これらに対し、α化処理・分解処理・エーテル処理・エステル処理・架橋処理・微細化・グラフト化処理などの中から選ばれた1種または2種以上の処理を施した加工小麦粉類、加工穀粉類、加工澱粉類を含むものである。
【0028】
なお、本発明のベーカリー上掛け用バッター生地においては、上記油分が30質量%以上である水中油型乳化組成物に加え、油脂を使用する場合、水中油型乳化物として使用することが好ましい。すなわち、油脂を使用する場合は、油分含量が30質量%未満、好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは5〜10質量%の水中油型乳化物として使用することが、焼成時の流動性を調整することができ、焼成時の展板への流れ落ちを防止することができることに加え、上掛け生地部分をより滑らかな表面とすることができる点で好ましい。すなわち、本発明のベーカリー上掛け用バッター生地においては、ベーカリー上掛け用バッター生地で使用する油脂のすべてが、水中油型乳化物由来であることが好ましい。
なお、該油分含量が30質量%未満の水中油型乳化物の好ましい具体例としては、牛乳、発酵乳、濃縮乳、濃縮牛乳状組成物、クリームチーズ等が挙げられる。
【0029】
本発明のベーカリー上掛け用バッター生地には、必要に応じて、一般のベーカリー生地製造材料として使用することのできる上記2種の水中油型乳化物、でんぷん類、水及び油脂以外のその他の原料を使用することができる。該その他の原料としては、例えば、水、全卵・卵黄・卵白・加塩卵・加糖卵・乾燥卵・凍結卵・酵素処理卵、などの卵類、乳化剤、上白糖・グラニュー糖・粉糖・ブドウ糖・果糖・ショ糖・麦芽糖・乳糖・酵素糖化水飴・還元でんぷん糖化物・異性化液糖、ショ糖結合水飴・オリゴ糖・還元糖・ポリデキストロース・還元乳糖・還元水飴・ソルビトール・トレハロース・キシロース・キシリトール・マルチトール・エリスリトール・マンニトール・フラクトオリゴ糖・大豆オリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・乳果オリゴ糖・ラフィノース・ラクチュロース・パラチノースオリゴ糖・はちみつなど糖類、グアーガム・ローカストビーンガム・カラギーナン・アラビアガム・アルギン酸類・ペクチン・キサンタンガム・プルラン・タマリンドシードガム・サイリウムシードガム・結晶セルロース・カルボキシメチルセルロース・メチルセルロース・寒天・グルコマンナン・ゼラチンなどの増粘安定剤、イースト、ステビア・アスパルテーム・スクロース・アセスルファムカリウムなどの甘味料、β―カロチン・カラメル・紅麹色素などの着色料、トコフェロール・茶抽出物などの酸化防止剤、デキストリン、カゼイン・ホエイ・脱脂粉乳・全粉乳・脱脂練乳・チーズなどの乳や乳製品、原料アルコール、焼酎・ウイスキー・ウォッカ・ブランデーなどの蒸留酒、ワイン・日本酒・ビールなどの醸造酒、各種リキュール、膨張剤、無機塩類、食塩、ベーキングパウダー、イーストフード、生地改良剤、カカオおよびカカオ製品、コーヒーおよびコーヒー製品、ハーブ、豆類、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、コンソメ・ブイヨンなどの植物および動物エキス、保存料、苦味料、酸味料、pH調整剤、日持ち向上剤、酵素、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、調味料、香辛料、香料、野菜類・肉類・魚介類などの食品素材や食品添加物などを挙げることができる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例、比較例をもって本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は以下の実施例などによって何ら制限を受けるものではない。
【0031】
<水中油型乳化組成物の調製>
〔製造例1〕
大豆サラダ油43質量%に、HLB4のグリセリンモノステアレート4質量%と、バターフレーバー1質量%を添加し、油相を用意した。水48質量%にHLB13のデカグリセリンモノステアレート4質量%を添加し、水相を用意した、そして油相と水相を水中油型に乳化し、冷却、固化し、可塑性を有する水中油型乳化組成物Aを製造した。
【0032】
〔製造例2〕
大豆サラダ油24質量%とパーム油19質量%の混合油に、HLB4のグリセリンモノステアレート4質量%と、バターフレーバー1質量%を添加し、油相を用意した。水48質量%にHLB13のデカグリセリンモノステアレート4質量%を添加し、水相を用意した、そして油相と水相を水中油型に乳化し、冷却、固化し、可塑性を有する水中油型乳化組成物Bを製造した。
【0033】
〔製造例3〕
パーム油8質量%にレシチン0.1質量%とグリセリン脂肪酸エステル0.1質量%を溶解した油相を用意した。一方、水68質量%に乳糖8質量%、脱脂粉乳15質量%、乳清ミネラル0.5質量%、リン酸塩0.2質量%、香料0.1質量%を溶解した水相を用意した。該油相と水相を65℃で混合し、攪拌して予備乳化物を調製した。該予備乳化物をVTIS殺菌機(アルファラバル社製UHT殺菌機ステリラボ)で143℃で5秒間殺菌し、10MPaの圧力で均質化後、5℃まで冷却し、液状の形態である濃縮牛乳状組成物Aを得た。
【0034】
<ベーカリー上掛け用バッター生地の製造>
〔実施例1〕
上記水中油型乳化物A100質量部、上白糖75質量部を縦型ミキサーでビーターを使用して低速1分、中速1分混合したのち、全卵(正味)75質量部を徐々に添加しながらさらに中速2分混合した。次に、上記濃縮牛乳状組成物A50質量部及び水30質量部を添加し低速1分混合後、あらかじめ篩っておいた薄力粉100質量部を添加し、低速1分混合することで、実施例1のベーカリー上掛け用バッター生地を得た。
【0035】
〔実施例2〕
実施例1における水中油型乳化組成物A100質量部に代えて上記〔製造例2〕の水中油型乳化組成物B100質量部を使用した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、実施例2のベーカリー上掛け用バッター生地を得た。
【0036】
〔実施例3〕
実施例1における濃縮牛乳状組成物A50質量部及び水30質量部に代えて牛乳80質量部を使用した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、実施例3のベーカリー上掛け用バッター生地を得た。
【0037】
〔実施例4〕
実施例1における濃縮牛乳状組成物A50質量部及び水30質量部に代えて水60質量部を使用した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、実施例4のベーカリー上掛け用バッター生地を得た。
【0038】
〔比較例1〕
実施例1において水中油型乳化組成物100質量部に代えて油分100質量%のショートニング(融点34℃)30質量部を使用し、水30質量部を100質量部に変更した以外は、実施例1の配合・製法と同様にして、比較例1のベーカリー上掛け用バッター生地を得た。
【0039】
<ベーカリー試験>
下記の配合・製法で菓子パン生地を製造し、さらに、下記複合ベーカリー食品の製造方法に従い、複合ベーカリー食品(メロンパン)を製造し、得られた複合ベーカリー食品について、上掛け生地の垂れの程度、上掛け生地部分表面の状態、食感を下記評価基準にしたがって評価した。その結果を下記〔表1〕に示した。
【0040】
〔菓子パン生地の配合・製法〕
強力粉70質量部、薄力粉30質量部、イースト4質量部、イーストフード0.1質量部、上白糖15質量部、食塩1.2質量部、脱脂粉乳2質量部、全卵(正味)10質量部、水52質量部をミキサーボウルに投入し、フックを使用して低速3分、中速2分混合した。ここに、練り込み油脂(マーガリン)12質量部を投入し、更に低速2分、中速2分、高速2分混合し、菓子パン生地を得た。(捏ね上げ温度:26℃)
〔複合ベーカリー食品(メロンパン)の製造方法〕
上記菓子パン生地をフロアタイム50分とった後、100gに分割、丸目を行ない、ベンチタイム20分とった後、ロール型に成型して展板に並べ、38℃、湿度85%で60分ホイロをとった。この菓子パン生地上に、上記ベーカリー上掛け用バッター生地50g絞り、固定オーブンで180℃15分焼成した。
【0041】
〔評価基準〕
・生地の垂れ:
◎:上掛け生地部分が展板に達していない。
〇:上掛け生地部分が2〜3条の細い流れで展板に達している。
△:上掛け生地部分が塊状となって展板に達している。
×:上掛け生地部分のほとんどが展板まで流出している。
【0042】
・上掛け生地部分表面の状態
◎:平滑な表面である
〇:粗い凹凸が見られる
△:空隙が多数見られる
×:割れ目が多数見られる
【0043】
・上掛け生地部分の食感
◎:ソフトでしっとりしていて、且つ、歯切れが良好である。
〇:ソフトでしっとりしている。
△:ややボソついた食感である。
×:ボソついた食感である。
【0044】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
油分が30質量%以上である水中油型乳化組成物を含有することを特徴とするベーカリー上掛け用バッター生地。