説明

ベースキャビネット及びサイドカバー

【課題】 側部の美観を安価に向上させることができ、しかもサイドカバーの取り付けが容易であるベースキャビネット及びサイドカバーを提供する。
【解決手段】 前板41の背面と蹴込み板42の背面とを側面視変形Z字状の金属製の連結部材3で連結してなる連結体の側部に、連結部材3とは別体の側面視倒立L字状の合成樹脂製のサイドカバー2を、雄部220,230,230と雌部420,330,330との嵌合によって取り付ける。サイドカバー2は蹴込み板42の側端面、前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面との間の空隙の側部等を被覆し、また、連結体の側部にビスは存在しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蹴込み部を有する引出しを備えるベースキャビネット及びサイドカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
厨房に設置されるシンクキャビネット又はガスキャビネットは、シンク又はガスレンジが設けてある天板の下側に、この天板を支持するベースキャビネットを備える。ベースキャビネットは、木製の底板、背板及び左右の側板を備える直方体状であり、上部に天板を載置固定し、更に、正面から出し入れする引出しを備える。従来、ベースキャビネット最下部には、最下段の引出しの前板よりも奥側に凹んだ蹴込み部が設けてあり、蹴込み部の高さの分だけデッドスペースが生じていた。近年、このデッドスペースを収納スペースとして有効利用するために、蹴込み部を有する引出しが最下段の引出しとしてベースキャビネットに備えられている。
【0003】
図5は、従来のベースキャビネットが備える引出しの前板41及び蹴込み板42の連結体の構成を示す背面側からの斜視図であり、図中左上側が手前側、右下側が奥側である。蹴込み部を有する引出しは、合板、パーティクルボード、ファイバーボード等の木質ボードを用いてなる箱状であり、引出しの前面に配された前板41及び蹴込み板42と、蹴込み板42に取り付けられた2枚の側板43,43及び底板44と、この側板43,43及び底板44に取り付けられた図示しない背板とが、引出しの収納スペースを形成している。
【0004】
前板41及び蹴込み板42は夫々正面視矩形平板状であり、前板41の下端部(下端末近傍)の背面と蹴込み板42の上端部(上端末近傍)の前面とが対向するよう互いに略平行に配されており、このために、引出しの前部に蹴込み部が形成されている。
【0005】
従来、前板41及び蹴込み板42は、前板41の背面と蹴込み板42の側端面とを、前板41及び蹴込み板42の横方向両端部(両端末近傍)に夫々配された連結部材51,51で連結されていた(非特許文献1参照)。
【0006】
各連結部材51は金属製であり、前後方向に細長い平面視矩形平板状の基部513と、基部513の長手方向の一端部から基部513に略直交して立ち上がる正面視矩形平板状の第1取付板511と、基部513の幅方向の一端部から基部513に略直交して垂下する側面視倒立L字平板状の第2取付板512とを有する。更に詳細には、基部513は、第1取付板511の幅に略等しい幅と、前板41の背面から蹴込み板42の背面までの長さに等しい長さとを有する。また、第2取付板512は、蹴込み板42の厚さ及び高さに略等しい前後方向長さ及び高さを有する上下方向に細長い矩形平板状の縦板部512aと、縦板部512aの略同一平面上に連続して、縦板部512aの前後方向長さ及び前板41の背面から蹴込み板42の前面までの長さに略等しい高さ及び前後方向長さを有する前後方向に細長い矩形平板状の横板部512bとを有する。
【0007】
第1取付板511は、第1取付板511に形成された横方向取り付け位置を調整するための長孔51aを通してビス531で前板41の背面にビス留めされている。また、第2取付板512は、縦板部512aがビス532,532で蹴込み板42の側端面にビス留めされている。基部513は、前板41の背面と蹴込み板42の前面との間の空隙の上部、更に詳細には、前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面との間の空隙の上部を被覆して、第1取付板511の下端部及び第2取付板512の上端部を連結している。
【0008】
第2取付板512は、縦板部512aで蹴込み板42の側端面を被覆し、横板部512bで前記下端部背面と前記上端部前面との間の空隙の側部を被覆する。このため、連結部材51はサイドカバーとしての機能も有し、前板41及び蹴込み板42の連結体の側部の美観を向上させている。
【0009】
前板41及び蹴込み板42の横方向中央部には、前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面との間の空隙の上部を被覆する金属製のカバー50が配されている。カバー50は側面視コ字状の板状であり、側面視の中央の面50aが前記空隙の上部を覆い、側面視の一端側の面50bが蹴込み板42の背面にビス533,533でビス留めされ、側面視の他端側の面50cが前板41の背面に接触している。カバー50は前板41には取り付けられておらず、このため、連結部材としての機能を有していない。
【0010】
以上のような前板41及び蹴込み板42の連結体においては、前板41及び蹴込み板42の横方向両端部夫々が連結部材51,51で連結されており、横方向中央部は連結されていないため、例えば連結部材51,51をビス留めした場合に前板41に反りが生じることがあり、前板41の背面とカバー50との間に空隙が生じるという問題があった。
【0011】
また、一般に、板部材の平面にビス留めする場合のビス保持力よりも、端面にビス留めする場合のビス保持力の方が弱いため、両側端面に連結部材51,51がビス留めされる蹴込み板42の材料として、ビス保持力が強い合板を用いる必要があり、蹴込み板42の材料が限定されるという問題があった。
【0012】
図6は、従来のベースキャビネットが備える引出しの前板41及び蹴込み板42の連結体の他の構成を示す背面側からの斜視図であり、図中左上側が手前側、右下側が奥側である。上述の問題を解決するために、従来、図6に示すように、前板41の背面と蹴込み板42の背面とを、側面視変形Z字状の連結部材52で連結することが提案されている(特許文献1〜3参照)。
【0013】
連結部材52は金属製であり、平面視矩形平板状の基部523の前後方向前端部から基部523に略直交する正面視矩形平板状の第1取付板521が立ち上がり、後端部から基部523に略直交する正面視矩形平板状の第2取付板522が垂下している。第1取付板521は、前板41の幅に略等しい幅を有し、前板41の背面の横方向両端部夫々及び中央部にビス541,541,543でビス留めされ、第2取付板522は、蹴込み板42の幅より適宜短い幅を有し、横方向両端部夫々及び中央部が、蹴込み板42の背面にビス542,542,542でビス留めされている。ここで、第1取付板521は、第1取付板521に形成された横方向取り付け位置を調整するための長孔52a,52aを通してビス541,541でビス留めされている。
【0014】
また、基部523は、第1取付板521の幅に等しい幅と、前板41の背面から蹴込み板42の背面までの長さに等しい長さとを有し、第1取付板521の下端部及び第2取付板522の上端部を連結している。このような基部523は前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面との間の空隙の上部を被覆するカバーとしての機能も有する。
【0015】
以上のような前板41及び蹴込み板42の連結体においては、連結部材52が前板41の背面の横方向両端部夫々及び中央部にビス留めされているため、横方向中央部のビス543の締め付け具合を調整することによって、前板41に反りが生じることを抑制することができる。
【0016】
また、蹴込み板42の側端面にビス留めする必要がないため、蹴込み板42の材料が合板に限定されない。
【非特許文献1】“フロアラックプラン”、[online]、[平成17年4月11日検索]、インターネット<URL:http://www.eidai.com/product/html/kitchen/diagnosis/kitchen checkup/popup/1 1.html>
【特許文献1】特開2001−87059号公報
【特許文献2】特開2001−292843号公報
【特許文献3】特許第3371100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、連結部材52はサイドカバーとしての機能を有しておらず、特許文献1〜3には、このような連結部材52を用いる場合に適切なサイドカバーが開示されていない。このため、サイドカバーとしての機能も有する連結部材51を連結部材52と共に用いることが考えられるが、前板41及び蹴込み板42は連結部材52によって確実に連結されているため、金属製の連結部材51で更に連結することによって、連結性能が過剰となり、また、必要なビスの個数の増加、ビス留めの工数の増加等が生じて、材料費が増大し、作業性が悪化する。
【0018】
更に、連結部材51は、蹴込み板42の側端面にビス留めされるため、側方からビス532,532が見えて美観を損ねるという問題があった。
【0019】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、前板と蹴込み板とを連結部材で連結し、該連結部材とは別体のサイドカバーを蹴込み板及び/又は連結部材に雄部と雌部との嵌合によって取り付ける構成とすることにより、側部の美観を安価に向上させることができ、しかもサイドカバーの取り付けが容易であるベースキャビネット及びサイドカバーを提供することを目的とする。
【0020】
本発明の他の目的は、前板の背面と蹴込み板の背面とを連結部材で連結し、サイドカバーを蹴込み板の背面及び連結部材の被覆板部に雄部と雌部との嵌合によって取り付ける構成とすることにより、側部、上部及び前部の美観を向上させることができ、しかも蹴込み板の材料が限定されないベースキャビネットを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、連結部材を、前板の横方向両端部夫々及び横方向中央部にビス留めする構成とすることにより、前板に反りが生じることを抑制することができるベースキャビネットを提供することにある。
【0022】
本発明の更に他の目的は、金属製の連結部材と合成樹脂製のサイドカバーとを備えることにより、連結部材によって充分な連結性能を得て、しかも安価なサイドカバーを用いることができるベースキャビネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
第1発明に係るベースキャビネットは、正面視矩形状の前板及び蹴込み板を、前記前板の下端部背面と前記蹴込み板の上端部前面とが対向するように配して、連結部材で前後方向に連結してある引出しを備えるベースキャビネットにおいて、前記蹴込み板及び/又は連結部材に雌部(又は雄部)が形成してあり、縦板部及び横板部を有して側面視倒立L字状をなし、前記雌部(又は雄部)と嵌合する雄部(又は雌部)が形成してあり、前記縦板部が前記蹴込み板の側端面を被覆し、前記横板部が前記下端部背面と前記上端部前面との間の空隙の側部を被覆するサイドカバーを備えることを特徴とする。
【0024】
第2発明に係るベースキャビネットは、前記連結部材は、前記前板の背面に取り付けられた第1取付板部と、前記蹴込み板の背面に取り付けられた第2取付板部と、前記第1取付板部及び前記第2取付板部夫々に略直交して、前記第1取付板部の下端部及び前記第2取付板部の上端部を連結し、前記前板の背面と前記蹴込み板の前面との間の空隙の上部を被覆する被覆板部とを有し、該被覆板部及び前記蹴込み板の背面夫々に、前記サイドカバーの雄部(又は雌部)と嵌合する雌部(又は雄部)が形成してあり、前記サイドカバーは、前記連結部材及び前記蹴込み板に取り付けるべく、前記縦板部及び前記横板部夫々のL字の外縁から前記縦板部及び前記横板部に略直交して同一方向へ突出する取付板部が形成してあり、該取付板部の内面に、前記雄部(又は雌部)が形成してあることを特徴とする。
【0025】
第3発明に係るベースキャビネットは、前記第1取付板部を、前記前板の背面の少なくとも横方向両端部夫々及び横方向中央部にビス留めしてあることを特徴とする。
【0026】
第4発明に係るベースキャビネットは、前記連結部材は金属を用いてなり、前記サイドカバーは合成樹脂を用いてなることを特徴とする。
【0027】
第5発明に係るサイドカバーは、L字状のサイドカバーであって、L字の外縁から突出する取付板部が形成してあり、該取付板部の内面に、他物の一部と嵌合する嵌合部が形成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
第1発明のベースキャビネットによれば、前板及び蹴込み板は、互いに略平行になるよう前板を手前上側に、蹴込み板を奥下側に、前板の下端部背面と蹴込み板の上端部前面とが対向するように配して、前板及び蹴込み板を連結部材で前後方向に連結し、更に、連結部材とは別体であり、蹴込み板及び/又は連結部材に取り付けられるサイドカバーを用いる。
【0029】
このために、例えば、平板状の基部の一端部から立ち上がる第1取付部と他端部から垂下する第2取付部とを有する側面視変形Z字状の連結部材を用い、前板及び蹴込み板夫々の背面に、連結部材の第1取付部及び第2取付部夫々を取り付けることによって、前板と蹴込み板とが、前板及び蹴込み板の公知の連結体のようにして確実に連結される。ここで、連結部材で連結されただけの前板及び蹴込み板は、蹴込み板の側端面が露出しており、また、前板の下端部背面と蹴込み板の上端部前面との間の空隙が露出している。
【0030】
本発明においては、サイドカバーの縦板部及び横板部夫々を上下方向及び前後方向にして側面視倒立L字状に配し、縦板部で蹴込み板の側端面を被覆し、横板部で前記空隙の側部を被覆する。このため、ベースキャビネットの側部の美観を向上させることができる。このサイドカバーは、サイドカバーに形成してある雄部(又は雌部)と、蹴込み板及び/又は連結部材に形成してある雌部(又は雄部)とを嵌合させることによって前板及び蹴込み板の連結体に取り付けられるため、ビス留めに比べて取り付け作業が簡単であり、ビス留めの工数が低減されて、作業性が向上する。しかもビスを準備する必要がないためサイドカバーを安価に取り付けることができる。
【0031】
また、サイドカバーはビス留めされないため、ベースキャビネットの側部にビスが存在しない。この結果、側部の美観を更に向上させることができる。なお、前板の背面及び蹴込み板の側端面にビス留めされる連結部材で前板及び蹴込み板を連結する場合でも、連結部材での連結後にサイドカバーを取り付けることによって、サイドカバーが蹴込み板の側端面にビス留めされたビスを隠すことができるため、側部の美観を更に向上させることができる。
【0032】
更にまた、前板及び蹴込み板は、連結部材によって確実に連結されるため、サイドカバーで前板と蹴込み板とを連結する必要はなく、サイドカバーは前板には取り付けられない。このようなサイドカバーは、前板と蹴込み板とを連結するために必要な強度を有する必要がなく、例えば軽量な薄板で形成することができ、重量、材料費等を低減することができる。更にサイドカバーは、前板と蹴込み板との連結を維持するためにビス留めで強固に取り付けておく必要がないため、雄部及び雌部の嵌合によって簡易に取り付けることができる。
【0033】
また、第1発明のベースキャビネット及び第5発明のサイドカバーによれば、サイドカバーに形成してある嵌合部、具体的には雄部(又は雌部)は、L字の外縁から突出する取付板部の内面に形成してあるため、サイドカバーの雄部(又は雌部)は、例えば蹴込み板の背面及び/又は連結部材の上面に形成してある雌部(又は雄部)と嵌合する。つまり、サイドカバーと蹴込み板又は連結部材との結合部分はユーザの目に触れ難い上部又は後部に配されるため、ユーザの目に触れ易い前部及び側部の美観を向上させることができる。
【0034】
更に、サイドカバーの雄部(又は雌部)は、サイドカバーの取付板部の内面に形成してあるため、ユーザの目に触れるサイドカバーの取付板部の外面に雄部(又は雌部)が露出することを防止でき、サイドカバーの美観を向上させることができる。
【0035】
第2発明のベースキャビネットによれば、サイドカバーに形成してある雄部(又は雌部)と、蹴込み板の背面及び連結部材の被覆板部に形成してある雌部(又は雄部)とを嵌合させる。つまり、サイドカバーと蹴込み板又は連結部材との結合部分はユーザの目に触れ難い上部及び後部に配されているため、ユーザの目に触れ易い前部及び側部の美観を向上させることができる。
【0036】
また、サイドカバーの雄部(又は雌部)は、サイドカバーの取付板部の内面に形成してあるため、縦板部の取付板部が蹴込み板の背面に対して後方から覆い被さるように、また、横板部の取付板部が連結部材の被覆板部に対して上方から覆い被さるように、夫々雄部と雌部とが嵌合する。このため、例えば蹴込み板の背面及び連結部材の被覆板部夫々に雌部を形成し、サイドカバーに雄部を形成することによって、ユーザの目に触れるサイドカバーの取付板部の外面に雄部(又は雌部)が露出することを防止でき、上部及び側部の美観を向上させることができる。
【0037】
連結部材は、被覆板部の前端部から第1取付板部が立ち上がり、後端部から第2取付板部から垂下するような形状をしており、第1取付板部の前面及び第2取付板部の前面夫々が、前板の背面及び蹴込み板の背面夫々の背面に接触してビス留めされる。この場合、被覆板部は、前板の背面と蹴込み板の前面との間の空隙の上部、及び蹴込み板上端面を被覆するため、上部の美観を更に向上させることができる。
【0038】
更にまた、連結部材及びサイドカバーが、蹴込み板の側端面にビス留めされないため、蹴込み板のビス保持力を向上させるために特定の板材を用いる必要がなく、蹴込み板の材料が限定されない。
【0039】
第3発明のベースキャビネットによれば、連結部材の第1取付板部が前板の横方向両端部夫々と横方向中央部とにビス留めされているため、横方向中央部のビスの締め付け具合を調整することによって、前板に反りが生じることを防止することができる。
【0040】
第4発明のベースキャビネットによれば、金属製の連結部材が、前板と蹴込み板とを連結するために必要な強度を有することができる。また、連結部材の形状は、被覆板部の前端部から第1取付板部が立ち上がり、後端部から第2取付板部が垂下するような単純な側面視変形Z字状であるため、例えば1枚の金属平板を折り曲げて容易に形成することができる。
【0041】
一方、合成樹脂製のサイドカバーは、前板と蹴込み板とを連結するために必要な強度を有していないが、サイドカバーは前板と蹴込み板とを連結しないため、合成樹脂を用いてサイドカバーを形成しても、例えばサイドカバー、又は前板と蹴込み板との連結部分が破損することはない。また、このようなサイドカバーは軽量であり、また、合成樹脂を用いて容易に一体成型することができ、同形状のサイドカバーを例えば金属を用いて形成する場合よりも安価に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0043】
図1は、本発明に係るベースキャビネット1の構成を示す正面側からの斜視図である。また、図中二点鎖線はベースキャビネット1が備える引出し4を手前側へ引き出した状態を示している。
【0044】
ベースキャビネット1は、正面上側に両開きの扉11,11が設けられ、正面下側に、正面から出し入れする引出し4,4を左右に並置して備え、更に、背板12、左右の側板13,13及び図示しない底板を備える横長の直方体状である。ベースキャビネット1は、例えば上部にガスレンジが設けてある図示しない天板が載置固定されて、ガスキャビネットのベースキャビネットとして用いられる。
【0045】
各引出し4は、例えばパーティクルボードを用いてなる箱状であり、前板41及び蹴込み板42と、蹴込み板42に取り付けられた2枚の側板43,43及び底板44と、側板43,43及び底板44に取り付けられた図示しない背板とで収納スペースを形成している。前板41及び蹴込み板42は夫々正面視矩形状であり、互いに幅(横方向の長さ)が略等しく、前板41を手前上側に、蹴込み板42を奥下側にして、前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面とが対向するよう互いに略平行に配してある。このように配された前板41及び蹴込み板42は連結部材3で前後方向に連結されて連結体40を形成しており、このため、引出し4は前下部に蹴込み部を有する。更に引出し4は、連結体40の側部を覆うサイドカバー2,2を備える。サイドカバー2,2は、連結部材3とは別体である。
【0046】
次に、前板41及び蹴込み板42の連結体40の詳細を説明する。図2は、連結体40の構成を示す背面側からの斜視図であり、図中左上側が手前側、右下側が奥側である。ただし、図2において、サイドカバー2は、正面視右側(図中左下側)のみが取り付けられており、正面視左側(図中右上側)にはまだ取り付けられていない状態を示している。
【0047】
蹴込み板42背面の横方向両端部上側夫々には、蹴込み板42と側板43,43とを連結するための図示しない連結金具と嵌合する嵌合部421,421,…が2個ずつ上下方向に並置して形成してある。また、横方向両端部下側には、後述する雄部220と嵌合する雌部420,420が1個ずつ形成してある。
【0048】
連結部材3は、前板41背面及び蹴込み板42背面に取り付けられる正面視略矩形状の第1取付板部31及び第2取付板部32と、第1取付板部31及び第2取付板部32夫々に略直交して、第1取付板部31の下端部及び第2取付板部32の上端部を連結する平面視略矩形状の連結板部33とを有する側面視変形Z字状である。第1取付板部31、連結板部33及び第2取付板部32は、この順に前後方向に並設してある。
【0049】
第1取付板部31の横方向両端部夫々には、第1取付板部31のビス留め時に前板41背面に対する横方向取り付け位置を調整するための長孔310,310が1個ずつ形成してある。また、横方向中央部と、長孔310,310近傍の横方向中央部側に、ビス留め用の3個のビス孔311,311,311が形成してある。長孔310,310及びビス孔311,311,311は横方向に略一直線状に並置されている。また、第2取付板部32の横方向両端部及び中央部には、横方向に略一直線状に並置されているビス留め用の3個のビス孔321,321,321が形成してある。更に、連結板部33の横方向両端部夫々には、後述する雄部230,230と嵌合する貫通孔状の雌部330,330,…が2個ずつ前後方向に並置して形成してある。
【0050】
前板41背面の両端部にビス留めするために、第1取付板部31の幅は前板41の幅に略等しく、前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面との間の空隙の上部を被覆するために、連結板部33の幅と奥行き(前後方向の長さ)とは、前板41の幅と前板41背面から蹴込み板42背面までの前後方向長さに略等しくしてある。また、第2取付板部32の幅は、蹴込み板42背面の嵌合部421,421,…を被覆しないように、蹴込み板42の幅よりも短くしてある。
【0051】
このような連結部材3は、前板41と蹴込み板42とを連結するために必要な強度を有する。また、連結部材3は、第1取付板部31、第2取付板部32及び連結板部33となすべき金属平板を、連結板部33の前端部から第1取付板部31が立ち上がり、後端部から第2取付板部32から垂下するように折り曲げて容易に形成される。
【0052】
ここで、連結部材3を用いた前板41及び蹴込み板42の連結手順を説明する。まず、第1取付板部31前面を、連結板部33が前板41下端末から適長離隔するように、前板41の背面下端部に接触させ、次に、第1取付板部31を、長孔310,310を通してビス6,6で、また、ビス孔311,311,311を通して図示しないビスで、前板41の背面にビス留めする。このとき、横方向中央部のビス孔311に対応するビスの締め付け具合を調整し、前板41に反りが生じることを抑制する。
【0053】
次いで、連結板部33下面に蹴込み板42上端面を接触させ、第2取付板部32前面に蹴込み板42背面を接触させ、最後に、第2取付板部32を、ビス孔321,321,321を通して図示しないビスで、蹴込み板42の背面にビス留めする。
【0054】
このようにして前板41及び蹴込み板42が連結された場合、連結部材3の連結板部33は、前板41の背面と蹴込み板42の前面と(更に詳細には前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面と)の間の空隙の上部、及び蹴込み板42の上端面を被覆する被覆板部として機能する。
【0055】
ここで、連結部材3で連結されただけの前板41及び蹴込み板42は、蹴込み板42の側端面が露出しており、また、前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面との間の空隙が露出しているため、連結体40の両側部夫々サイドカバー2,2で被覆する。
【0056】
以下、サイドカバー2の詳細を説明する。図3は、サイドカバー2の構成を示す正面側からの斜視図である。また、図4は、連結体40に対するサイドカバー2の取り付けを説明する背面側からの拡大斜視図であり、図中右上側が手前側、左下側が奥側であって、各種ビスの図示は省略している。更に、図3及び図4には、連結体40の正面視右端部に取り付けられるサイドカバー2を例示している。
【0057】
サイドカバー2は、縦板部21a及び横板部21bを有して側面視倒立L字状をなす平板状のカバー板部21と、縦板部21a及び横板部21b夫々のL字の外縁から縦板部21a及び横板部21b夫々に略直交してサイドカバー2の内側(裏側)へ突出する取付板部22,23とを備える。更にサイドカバー2は、L字の内縁から縦板部21aに略直交してサイドカバー2の内側へ突出するフロントカバー部24を備える。
【0058】
縦板部21aは、蹴込み板42の厚さ及び高さに略等しい前後方向長さ及び高さを有する上下方向に細長い側面視矩形状であり、横板部21bは、縦板部21aの前後方向長さ及び前板41の背面から蹴込み板42の前面までの長さに略等しい高さ及び前後方向長さを有する前後方向に細長い矩形状である。取付板部22は、縦板部21aのL字の外縁、即ち縦板部21aの後端部に設けられており、取付板部22の高さは縦板部21aの高さより小さく、また、内面に雄部220が形成されている。取付板部23は、横板部21bの外縁、更に詳細には横板部21b及び縦板部21aの上端部に設けられており、取付板部23の前後方向の長さは前板41背面から蹴込み板42背面までの長さに略等しく、また、内面に雄部230,230が前後方向に並置して形成されている。
【0059】
フロントカバー部24は、縦板部21aのL字の内縁、即ち縦板部21aの前端部に設けられており、フロントカバー部24の高さは縦板部21a下端部から横板部21b下端部までの高さに略等しい。
【0060】
このようなサイドカバー2は、合成樹脂(例えばポリプロピレン樹脂)を用いて一体成型してなる。ただし、連結体40の正面視右端部に取り付けられるサイドカバー2と、正面視左端部に取り付けられるサイドカバー2とは、前板41及び蹴込み板42の中央部を対称軸として左右対称に設けられている。
【0061】
ここで、前板41及び蹴込み板42の連結体40にサイドカバー2,2を取り付ける手順を説明する。以下では、連結体40の正面視右端部に取り付けられるサイドカバー2の取付手順を例示するが、正面視左端部に取り付けられるサイドカバー2の取付手順も同様である。このようなサイドカバー2は、カバー板部21及び取付板部22,23が適宜の可撓性を有する。
【0062】
前板41及び蹴込み板42を連結部材3で連結して連結体40を構成した後、作業者は、サイドカバー2を連結体40に取り付ける。まず、作業者は、縦板部21aを蹴込み板42側端面の側方に、取付板部22を蹴込み板42背面の後方に、取付板部23を連結板部33上面の上方に夫々配し、次に、取付板部22の雄部220を蹴込み板42背面の雌部420に、取付板部23の雄部230,230を連結板部33の雌部330,330に夫々接近させる。最後に、フロントカバー部24が蹴込み板42前面に配されるようにして、カバー板部21、び取付板部22,23等を一時的に外側へ撓ませ、雄部220を雌部420に、雄部230,230を雌部330,330に夫々無理嵌めすることによって、サイドカバー2を連結体40に取り付ける。
【0063】
この場合、取付板部22が蹴込み板41の背面に対して後方から覆い被さるように、また、取付板部23が連結板部33の上面に対して上から覆い被さるように、雄部220,230,230と雌部420,330,330とが嵌合する。このため、雄部220,230,230と雌部420,330,330との嵌合部分は取付板部22,23に被覆され、外側に露出しない。
【0064】
このようにしてサイドカバー2が連結体40に取り付けられることによって、縦板部21aが蹴込み板42の側端面及び連結板部33の側端面後部を被覆し、横板部21bが、前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面との間の空隙の側部及び連結部材3の連結板部33の側端面前部を被覆する。更に、取付板部23が連結部材3の連結板部33の上面の横方向端末側を被覆し、フロントカバー部24が蹴込み板42の前面の横方向端末側を被覆する。
【0065】
サイドカバー2は合成樹脂製であり、前板41と蹴込み板42とを連結するために必要な強度を有していないが、サイドカバー2は前板41と蹴込み板42とを連結しないため、サイドカバー2又は連結体40が破損することはない。
【0066】
以上のようなサイドカバー2及び連結部材3によって、連結体40、ひいては引出し40、更にはベースキャビネット1の美観を向上させることができる。特に、本実施の形態においては、カバー板部21が、前板41の下端部背面と蹴込み板42の上端部前面との間の空隙の側部、及び連結部材3の連結板部33の側端面を被覆するため、連結体40側部の美観を更に向上させることができる。また、取付板部23が連結部材3の連結板部33の上面の横方向端末側を被覆するため、連結体40上部の美観を更に向上させることができる。更にまた、フロントカバー部24が、蹴込み板42の側端末と縦板部21aとの境界を被覆するため、蹴込み板42前部の美観を更に向上させることができる。
【0067】
また、サイドカバー2は、連結部材3で前板41及び蹴込み板42を連結させてから簡単に取り付けることができる。更に、雄部220,230,230と雌部420,330,330とは無理嵌めされるため、サイドカバー2を確実に取り付けて、連結体40から脱離することを抑制することができる。更にまた、前板41の材料と蹴込み板42の材料とを同一の材料にすることができるため、ベースキャビネット1のコストを低減することができる。
【0068】
なお、サイドカバー2は、取付板部22,23の一方を備える構成でもよい。また、サイドカバー2の雄部と連結体40の雌部との配置は、本実施の形態における配置に限るものではない。更に、サイドカバー2に雌部、連結体40に雄部が形成されていてもよい。また、サイドカバー2及び連結体40夫々に、雄部と雌部とが両方形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るベースキャビネットの構成を示す正面側からの斜視図である。
【図2】本発明に係るベースキャビネットが備える引出しの前板及び蹴込み板の連結体の構成を示す背面側からの斜視図である。
【図3】本発明に係るベースキャビネットが備えるサイドカバーの構成を示す正面側からの斜視図である。
【図4】本発明に係るベースキャビネットが備える引出しの前板及び蹴込み板の連結体に対するサイドカバーの取り付けを説明する背面側からの拡大斜視図である。
【図5】従来のベースキャビネットが備える引出しの前板及び蹴込み板の連結体の構成を示す背面側からの斜視図である。
【図6】従来のベースキャビネットが備える引出しの前板及び蹴込み板の連結体の他の構成を示す背面側からの斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ベースキャビネット
2 サイドカバー
21a 縦板部
21b 横板部
22,23 取付板部
220,230 雄部(嵌合部)
3 連結部材
31 第1取付板部(取付板部)
32 第2取付板部(取付板部)
33 連結板部(被覆板部)
330,420 雌部
4 引出し
41 前板
42 蹴込み板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視矩形状の前板及び蹴込み板を、前記前板の下端部背面と前記蹴込み板の上端部前面とが対向するように配して、連結部材で前後方向に連結してある引出しを備えるベースキャビネットにおいて、
前記蹴込み板及び/又は連結部材に雌部(又は雄部)が形成してあり、
縦板部及び横板部を有して側面視倒立L字状をなし、前記雌部(又は雄部)と嵌合する雄部(又は雌部)が形成してあり、前記縦板部が前記蹴込み板の側端面を被覆し、前記横板部が前記下端部背面と前記上端部前面との間の空隙の側部を被覆するサイドカバーを備えることを特徴とするベースキャビネット。
【請求項2】
前記連結部材は、前記前板の背面に取り付けられた第1取付板部と、前記蹴込み板の背面に取り付けられた第2取付板部と、前記第1取付板部及び前記第2取付板部夫々に略直交して、前記第1取付板部の下端部及び前記第2取付板部の上端部を連結し、前記前板の背面と前記蹴込み板の前面との間の空隙の上部を被覆する被覆板部とを有し、
該被覆板部及び前記蹴込み板の背面夫々に、前記サイドカバーの雄部(又は雌部)と嵌合する雌部(又は雄部)が形成してあり、
前記サイドカバーは、前記連結部材及び前記蹴込み板に取り付けるべく、前記縦板部及び前記横板部夫々のL字の外縁から前記縦板部及び前記横板部に略直交して同一方向へ突出する取付板部が形成してあり、該取付板部の内面に、前記雄部(又は雌部)が形成してあることを特徴とする請求項1に記載のベースキャビネット。
【請求項3】
前記第1取付板部を、前記前板の背面の少なくとも横方向両端部夫々及び横方向中央部にビス留めしてあることを特徴とする請求項2に記載のベースキャビネット。
【請求項4】
前記連結部材は金属を用いてなり、前記サイドカバーは合成樹脂を用いてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のベースキャビネット。
【請求項5】
L字状のサイドカバーであって、
L字の外縁から突出する取付板部が形成してあり、
該取付板部の内面に、他物の一部と嵌合する嵌合部が形成してあることを特徴とするサイドカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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