説明

ペットの排泄物処理具

【課題】 道端等に排泄されるペットの排泄物を素早く且つ確実に包みとって処理することができる構造が簡単なペットの排泄物処理具を提供する。
【解決手段】 横長長方形状の柔軟なシート状物1の左半部上と右半部上とに、柔軟なシート片からなる被覆片2A、2Bを重ね合わせてこの被覆片2A、2Bにおける対向する端縁以外の三方の端縁を上記シート状物1の対向する端縁部に一体に連設することにより、左右一対の指挿入袋部3A、3Bを形成してあり、シート状物1を二つ折りしてこれらの指挿入袋部3A、3Bの開口端を上向きにした状態で親指とその他の指とをこれらの指挿入袋部3A、3Bに差し込んで開閉することにより排泄物を掴持したのち、上記被覆片2A、2Bをその上端縁から折り返して反転させることにより、排泄物を包み込むように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は犬や猫などのペットの排泄物を収納処理するための排泄物処理具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば犬の散歩中に犬が排泄した糞(以下、排泄物という)を収納処理するための処理具としては特許文献1に記載されているような排泄物処理袋が知られている。この排泄物処理袋は、可撓性を有する合成樹脂シートよりなる偏平な内袋に紙等の柔軟性材料からなる外袋を剥離可能に被せた二重構造に形成してなり、使用に際しては、まず、内袋の開口上端から該内袋内に一方の手を挿入した状態で外袋の外底面を排泄物上に押し付けることにより、この外袋の底部を内袋の底部と一体に排泄物に沿って上方に凹入、変形させて排泄物を変形した外袋の外底部内に受け入れさせ、この状態にして排泄物を掴持し、次いで、排泄物を掴持した一方の手を上方に引き上げる一方、他方の手で内外袋の開口端部を底部側に引き下ろすことにより内袋が外側に、外袋が内側になるように反転させ、この反転した二重袋内に排泄物を収納した状態で携行したのち、家庭内で外側の袋から排泄物を収納している内側の袋を引き出して水洗トイレ等に流すことにより処理するように構成している。
【0003】
この際、排泄物を収納する袋(以下、排泄物収納用袋とする)が非水溶性の合成樹脂フィルム等から形成されている場合には、この排泄物収納用袋から排泄物を水洗トイレ等に流したのち、該排泄物収納用袋を不燃ゴミとして処理し、残った内袋を再使用可能に構成することも行われている。
【0004】
一方、特許文献2には、袋の底部を上方に向かって断面逆V字状に折り返してこの折り返した対向面間で下方に向かって開口した開閉自在な排泄物受け入れ凹部を形成してなる携帯用袋と、この携帯用袋に重ね合わせた状態にして順次剥離可能に被せている排泄物収納用袋とからなり、使用時には携帯用袋内に手を挿入して排泄物受け入れ凹部の内面を親指とその他の指とによって把持し、これらの指操作によって排泄物受け入れ凹部を大きく開いた状態にして該排泄物受け入れ凹部を被覆している排泄物収納用袋の外底面により排泄物を掴持したのち、他方の手でこの排泄物収納用袋を開口上端側から下方に向かって内外面を反転させながら携帯用袋から剥離することによって排泄物を底部内に包み込むように構成したペットの排泄物処理袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−313043号公報
【特許文献2】特開2008−125379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者の排泄物処理袋によれば、使用に際して排出物を外袋内に包み込む際に、この外袋の外底面を排泄物上に押し付けることにより、該外袋の底部と内袋の底部とを一体に排泄物の表面に沿って上方に凹入、変形させなければならないために、押付け力が強すぎると排泄物が偏平状に変形して掴持がし難くなる虞れがあると共に、内外袋の底部が内袋内に挿入した手により排泄物の一部分に沿って凹入、変形させることができても、他の部分が排泄物を完全に内包した状態に変形させることが困難であって、一度の操作で排泄物全体を掴持することができなくなる事態が発生するばかりでなく、排泄物の掴持時には袋の上端開口部を把持して内外袋を一体的に引き上げ方向に保持しながら掴持操作を行わなければならず、排泄物の掴持を円滑に行うことができないといった問題点がある。
【0007】
これに対して、後者の排泄物処理袋によれば、底部を断面逆V字状に折り返してその外底面を下方に向かって開口した開閉自在な排泄物受け入れ凹部に形成してなる携帯用袋に複数枚の排泄物収納用袋を重ね合わせ状態にして被せているので、携帯用袋内に挿入した手の指先で排泄物受け入れ凹部を開閉操作することによって排泄物収納用袋の底部を広げながらその凹部内に排泄物を受け入れたのち掴持することができるが、携帯用袋が一定の形態を維持しているので、その排泄物受け入れ凹部の対向する掴持面が平坦な面を保持しながらこの掴持面上に被せている排泄物収納用袋の底部内に受け入れた排泄物を掴持することになり、そのため、排泄物収納用袋の柔軟性が阻害されて該排泄物収納用袋の底部を排泄物の外形に沿って下周面側にまで巻き込むように変形させることができず、排泄物を両側から挟持するような使用態様となって円滑に摘まみ上げることが困難となる。
【0008】
さらに、排泄物収納用袋の底部は単に携帯用袋の外底面に沿って重ねているだけであるから、排泄物受け入れ凹部を広げた際に、排泄物収納用袋の底部が携帯用袋の外底面から垂れ下がって排泄物受け入れ凹部と一体的に開閉動作を行わせることができず、そのため排泄物を正確に掴持することが困難となる事態が発生する。
【0009】
また、排泄物の掴持時には上記内外袋からなる処理袋と同様に、携帯用袋の開口端の一側部を他方の手で摘んで携帯用袋内に挿入している一方の手側に引き寄せることにより排泄物受け入れ凹部の開閉操作を容易に行えるようにしているが、携帯用袋全体がこの携帯用袋内に挿入した手の指に対する馴染性が極めて悪くて、この携帯用袋の排泄物受け入れ凹部内に挿入している指と排泄物受け入れ凹部の内面との間に比較的広い空隙部が生じているため、指の運動を排泄物受け入れ凹部に円滑に伝達することが難しくなり、軽快にして正確な排泄物掴持操作ができなくなるといった問題点があった。
【0010】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ペットの排泄物の形状に沿って該排泄物全体を包み込むように変形させながら簡単且つ確実に掴持できると共にその掴持操作や排泄物包被作業も円滑に行え、且つ、構造が極めて簡単にして処理前、処理後の携行も簡便に行えるペットの排泄物処理具を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のペットの排泄物処理具は、請求項1に記載したように、長方形状の柔軟なシート状物の長さ方向の一半部と他半部とにこのシート状物の略半部分の大きさの柔軟なシート片からなる被覆片を重ね合わせて上記シート状物の長さ方向の中央部で対向しているこれらの被覆片の対向端縁以外の三方の端縁をこの端縁が重なるシート状物の端縁に一体に連設してなり、このシート状物の長さ方向の中央部を上記被覆片が外側となるように下方に向かって二つ折りすることにより、シート状物の一半部と他半部とで上記折り目を支点として左右方向に開閉自在な排泄物掴持片を形成すると共に、これらの左右の排泄物掴持片と該排泄物掴持片上に重ねている上記被覆片とによって上端開口部を指挿入口とした左右一対の指挿入袋部を形成してなる構造を有している。
【0012】
このように構成したペットの排泄物処理具において、請求項2に係る発明は、上記左右の指挿入袋部のいずれか一方の指挿入袋部における被覆片の下端中央部に、排泄物の掴持後に捲り返される他方の指挿入袋部の端部を挿通させる通孔を穿設していることを特徴とし、請求項3に係る発明は、一方の指挿入袋部における被覆片の下端中央部に排泄物の包被後に捲り返される他方の指挿入袋部の端部を挿通させる通孔を、他方の指挿入袋部における被覆片に上記通孔から引き出された端部に指を係止可能な吊支孔を穿設していることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項5に係る発明は、上記左右の指挿入袋部を形成している排泄物掴持片とこれらの排泄物掴持片に重ねている被覆片との両側端縁間を横断面V字状に折り畳まれている展開可能な襠片によって連設していることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、紙製の外側排泄物処理具と、この外側排泄物処理具内に該外側排泄物処理具の内面にその外面を重ね合わせた状態に配設している非通水性の樹脂シート又は樹脂フィルムからなる内側排泄物処理具とからペットの排泄物処理具を構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、長方形状の柔軟なシート状物をその長さ方向の中央部から二つ折りすることによって対向する内面を排泄物掴持面とした左右排泄物掴持片に形成すると共に、これらの排泄物掴持片の外面に柔軟なシート片からなる被覆片を重ね合わせてこれらの被覆片の対向する端縁以外の3辺の端縁部をそれぞれの排泄物掴持片の対向する端縁に一体に連設させることによって、これらの左右排泄物掴持片と該排泄物掴持片上に重ねている上記被覆片とによって上端開口部を指挿入口とした左右一対の指挿入袋部を形成してなるものであるから、構造が簡単で多量生産に適し、安価に提供できると共に、左右の指挿入袋部が重なるように二つ折りして、複数枚、コンパクトに積層した状態で手軽に携行することができる。
【0016】
さらに、使用時には、左右の指挿入袋部に直接、その上向きに開口する指挿入口から親指とその他の指とをそれぞれ挿入することによって、簡単に排泄物を掴持する準備が行えると共に、指挿入袋部があたかも薄い手袋を手に被せたような機能を奏して指先との馴染み性が良く、指先の動きをそのまま指挿入袋部に伝達することができ、左右の指挿入袋部をこれらの指挿入袋部が一体に接続している上端の折り目を中心として軽快に開閉させながら排泄物を掴持することができる。
【0017】
その際、柔軟なシート状物よりなる指挿入袋部の排泄物掴持片がペットの排泄物に直接、被さるので、排泄物の外形に応じて排泄物掴持片がこの排泄物の表面に沿って湾曲変形しながら排泄物の下側周面にまで円滑に且つ確実に包み込むことができると共に排泄物を落とすことなくその包み込み状態を保持しながら持ち上げることができ、この持ち上げながら或いは持ち上げた状態を保持しながら左右の指挿入袋部の外面を形成している被覆片を他方の手で捲るようにしてその上端側から折り返すことにより、排泄物を内包している排泄物掴持片をこれらの反転した被覆片によって簡単に包み込むことができ、排泄物の収集処理が円滑に行うことができる。
【0018】
さらに、請求項2に係る発明によれば、上記左右の指挿入袋部のいずれか一方の指挿入袋部における被覆片の下端中央部に、排泄物の掴持後に捲り返される他方の指挿入袋部の端部を挿通させる通孔を穿設しているので、排泄物掴持片によって掴持された排泄物を被覆片の捲り返しによって包み込んだのち、一方の被覆片に設けている上記通孔に他方の被覆片の端部を挿通することによって被覆片が不測に開放するのを防止することができ、排泄物掴持片とこれらの被覆片とによって排泄物を簡単に包被した状態を保持しておくことができる。
【0019】
その上、請求項3に係る発明によれば、上記一方の指挿入袋部における被覆片の下端中央部に排泄物の包被後に捲り返される他方の指挿入袋部の端部を挿通させる通孔を、他方の指挿入袋部における被覆片に上記通孔から引き出された端部に指を係止可能な吊支孔を穿設しているので、排泄物掴持片によって掴持された排泄物を被覆片の捲り返しによって包み込んだのち、一方の被覆片に設けている上記通孔に他方の被覆片の端部を挿通して該通孔から突出した他方の被覆片の端部に穿設している吊支孔に指等を引っかけることによって、排泄物を収納した本発明の排泄物処理具を手軽に携行しながらペットの散歩等を続行することができる。
【0020】
また、請求項4に係る発明によれば、上記左右の指挿入袋部を形成している排泄物掴持片とこれらの排泄物掴持片に重ねている被覆片との両側端縁間を横断面V字状に折り畳まれている展開可能な襠片によって連設しているので、排泄物掴持片によって掴持される排泄物を包み込む深さ、即ち、容積がこの襠片によって増大して大きな排泄物や多量の排泄物を包被することができると共に、排泄物掴持片によって掴持した排泄物をこの襠片と被覆片とによって全面的に包被することができ、排泄物から発する匂いが外部に漏れるのをなくすることができる。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、紙製の外側排泄物処理具と、この外側排泄物処理具内に該外側排泄物処理具の内面にその外面を重ね合わせた状態に配設している非通水性の樹脂シート又は樹脂フィルムからなる内側排泄物処理具とから内外二重構造のペットの排泄物処理具を構成しているので、外側排泄物処理具の左右指挿入袋部の内面側に重ねている内側汚物処理具の左右の指挿入袋部に指を挿入すれば、これらの内外汚物処理具の排泄物掴持片を一体に開閉させることができるのは勿論、紙製の外側排泄物処理具によって排泄物を掴持した際に、排泄物から滲み出る汚れた水分が該外側排泄物処理具に浸透するが、左右の指挿入袋部に指を差し込んでいる内側排泄物処理具は非通水性の樹脂シート又は樹脂フィルムからなるので、この内側排泄物処理具によってその指挿入袋部内にまで水分が浸透するのを防止することができ、指が該水分によって汚損されることなく排泄物の処理が行えると共に、処理後においては、家庭内等で内側排泄物処理具から排泄物を包みこんでいる紙製の外側排泄物処理具を取り外して水洗トイレ等に流すことにより簡単に処理することができる一方、内側排泄物処理具は水洗い等して再使用が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明排泄物処理具の一部切欠簡略斜視図。
【図2】その幅方向の中央縦断面図。
【図3】二つ折りした状態の斜視図。
【図4】折り目を支点として左右の指挿入袋部を逆V字状に拡げた状態の斜視図。
【図5】別な実施例を示す簡略斜視図。
【図6】そのC−C線断面図。
【図7】左右の指挿入袋部を逆V字状に拡げた状態の斜視図。
【図8】さらに別な実施例を示す簡略斜視図。
【図9】左右の指挿入袋部を二つ折りした状態の断面図。
【図10】使用に際して左右の指挿入袋部を拡げた状態の縦断正面図。
【図11】指挿入袋部に指を差し込んだ状態の斜視図。
【図12】排泄物を掴持する直前の状態を示す縦断正面図。
【図13】排泄物を排泄物掴持片によって包み込んだ状態を示す縦断正面図。
【図14】被覆片を下方に捲って反転させた状態の縦断正面図。
【図15】被覆片を上側にして排泄物を包被した状態の縦断正面図。
【図16】排泄物を包被する別な形態を示す縦断正面図。
【図17】排泄物を包被するさらに別な形態を示す縦断正面図。
【図18】その斜視図。
【図19】指挿入袋部の指挿入口を狭くした排泄物処理具の簡略斜視図。
【図20】左右指挿入袋部の両側部に襠片を設けた排泄物処理具の一部を断面した簡略斜視図。
【図21】そのD−D線断面図。
【図22】左右の指挿入袋部を逆V字状に拡げた状態の斜視図。
【図23】内外二重構造に構成した排泄物処理具の簡略斜視図。
【図24】そのE−E線断面図。
【図25】二つ折りした状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、ペットの排泄物処理具10は、図1〜図4に示すように、横長長方形状の柔軟なシート状物1の片面における該シート状物1の長さ方向の中央部に対して左側の一半部上と右側の他半部上とに、このシート状物1と同じ柔軟なシート片からなり、且つ、上記一半部と他半部と略同大、同形の四角形状の被覆片2A、2Bをそれぞれ重ね合わせてシート状物1の長さ方向の中央部で対向する端縁以外の三方の端縁をこれらの端縁が重なっているシート状物1の端縁に一体に連設することにより、シート状物1の一半部とこの一半部に重ね合わせている被覆片2Aとでシート状物1の長さ方向の中央部において他方の被覆片2Bに向かって開口している左側の指挿入袋部3Aを形成していると共に、シート状物1の他半部とこの他半部に重ね合わせている被覆片2Bとでシート状物1の長さ方向の中央部において一方の被覆片2Aに向かって開口している右側の指挿入袋部3Bを形成している。
【0024】
具体的には、上記左右指挿入袋部3A、3Bは、シート状物1の長さ方向の中央部上でシート状物1から遊離している被覆片2A、2Bの端縁とシート状物1の中央部との対向面とによってシート状物1の中央部で互いに対向した状態で開口してあり、これらの開口部をそれぞれ指挿入口3a、3bとしていると共に左右の指挿入袋部3A、3Bの対向する指挿入口3a、3b間のシート状物1の中央部を被覆片2A、2Bが外側となるように下方に向かって山折れ状に二つ折りすることによって、左右の指挿入袋部3A、3Bの内壁部を形成しているシート状物1の一半部と他半部とで上記折り目4を支点として左右方向に開閉自在な排泄物掴持片5A、5Bを形成している。なお、上記シート状物1や被覆片2A、2Bを形成しているシート片としては、塩化ビニルフィルム等の柔軟な薄肉合成樹脂フィルムや水溶性を有する紙、或いは、布、不織布等の柔軟なシート状物を使用している。
【0025】
なお、指挿入口3a、3bを形成している左右の被覆片2A、2Bの端縁以外の端縁と、これらの端縁が重なっているシート状物1の端縁との連設、即ち、シート状物1の互いに平行する長辺側の端縁における左右の端縁部とこれらの端縁部にそれぞれ重なった左右の被覆片2A、2Bの両端縁との連設、及び、シート状物1の短辺側の端縁とこれらの端縁にそれぞれ重なった左右の被覆片2A、2Bの端縁との連設は、シート状物1と被覆片2A、2Bとが別々に形成されている場合には、熱融着又は接着剤によって一体に接続することにより行われるが、シート状物1の一方の長辺側の端縁に左右の被覆片2A、2Bの対向端縁が一体に設けられてなる場合等には、これらの左右被覆片2A、2Bをシート状物1に折り重ねることによって重なりあった端縁部どうしを熱融着又は接着剤によって連設させればよい。
【0026】
図5〜図7は本発明の別な実施例を示すもので、上記のように構成した汚物処理具10において、一方の指挿入袋部3Aの底部中央における被覆片2A部分、即ち、左右の指挿入袋部3A、3Bをシート状物1の長さ方向の中央部から二つ折りした場合における被覆片2Aの下端中央部に、後述するように、左右の排泄物掴持片5A、5Bによって排泄物を掴持した後に左右の指挿入袋部3A、3Bにおける被覆片2A、2Bを下方に捲り返した際に、他方の指挿入袋部3Bの被覆片2Bを挿通させる通孔6を穿設した構造を有している。その他の構成については上記実施例と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0027】
図8、図9は本発明のさらに別な実施例を示すもので、上記一方の指挿入袋部3Aにおける被覆片2Aの下端中央部に通孔6を設けている汚物処理具10において、他方の指挿入袋部3Bにおける被覆片2Bの下端中央部に指先等が係止可能な吊支孔7を穿設してなる構造を有している。その他の構成については上記実施例と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。なお、この吊支孔7は被覆片2Bの下端部ではなく中央部に設けておいてもよい。
【0028】
上記のように構成したペットの排泄物処理具10は、いずれも使用前においては左右の指挿入袋部3A、3Bを展開した形態にしておいてもよく、上記折り目4から二つ折りした形態にしておいてもよいものであり、いずれの場合においても多数枚の排泄物処理具10を積層した状態にして保管等をしておくことができると共に、ペットの散歩時等には複数枚、積層した状態にして手軽に携行することができる。
【0029】
次に、上記排泄物処理具10の使用態様を説明すると、例えば、犬を散歩させる際にはこの排泄物処理具10を数枚、ポケット等に入れて携行し、道端等において犬が排泄した糞を処理するには、この排泄物処理具10に該排泄物を包被した状態となるように収納する。具体的には、排泄物処理具10を一枚取り出して、該排泄物処理具10をそのシート状物1の長さ方向の中央部から二つ折りした状態において、図11に示すように、上向きに開口している左右の指挿入袋部3A、3Bにおける一方の指挿入袋部3Aに一方の手の親指を、他方の指挿入袋部3Aに該一方の手の残りの指(第2指〜第5指)を、指先がこれらの指挿入袋部3A、3Bの内底面に当接するまで差し込む。
【0030】
このように、左右の指挿入袋部3A、3Bに指を差し込むと、指挿入袋部3A、3Bの外側壁面部を形成している被覆片2A、2Bと内側壁面部を形成しているシート状物1の左右部分の排泄物掴持片5A、5Bとが、その柔軟性によって指の太さに応じて拡がるように変形しながら指に対して馴染みよく接触する。
【0031】
この状態にして手を広げることにより、左右の指挿入袋部3A、3Bを図12に示すように、その上端折り目4を支点として逆V字状に大きく拡開させ、拡開した左右指挿入袋部3A、3Bの内側壁面部を形成している排泄物掴持片5A、5Bを下向きにして排泄物11に被せるように位置付ける。この状態から手を掴持する方向に動かすと、薄くて柔軟性のある左右の排泄物掴持片5A、5Bが排泄物11の外形に沿って変形しながら図13に示すように、指挿入袋部3A、3Bに係止している指先部分に相当する先端部が排泄物11の下側周面にまで回り込んで排泄物11を持ち上げながら排泄物11を潰すことなく全面的に包み込む。
【0032】
次いで、この排泄物処理具10による排泄物包被状態を維持しながら、他方の手によって一方の指挿入袋部3Aの外側壁面部を形成している上記被覆片2Aの上端縁を摘んで、この被覆片2Aを捲りながら下方に向かって折り返すことにより該被覆片2Aを反転させ、他方の被覆片2Bも同様にしてその上端縁を摘んで、捲りながら下方に向かって折り返すことにより反転させる(図14参照)。そうすると、これらの被覆片2A、2Bが排泄物11を包被している左右の排泄物掴持片5A、5Bの下端から下方に延出した状態となり、排泄物掴持片5A、5Bと共に下方に向かって開口した袋状体となる。しかるのち、この袋状体の開口端部側を、図15に示すように、上向きにしてその開口端部、即ち、左右の被覆片2A、2Bを束ね、その束ねた部分を輪ゴム等で結着するか、或いは、排泄物11を包み込むように収納している左右の排泄物掴持片5A、5Bをこれらの被覆片2A、2Bによってさらに包被した状態にして密封する。
【0033】
また、上記図5〜図7に示した排泄物処理具10のように、左右の指挿入袋部3A、3Bをシート状物1の長さ方向の中央部から二つ折りした場合における一方の指挿入袋部3Aの被覆片2Aの下端中央部に通孔6を設けている場合には、上記のように、左右の排泄物掴持片5A、5Bによって排泄物11を包み込み、被覆片2A、2Bを下方に折り返し反転させて左右排泄物掴持片5A、5Bの下端からそれぞれ延出させた状態にしたのち、図16に示すように、上記通孔6を設けていない他方の被覆片2Bの端部を上記一方の被覆片2Aに設けている通孔6に挿通し、その挿通した被覆片2Bの端部を把持すれば、排泄物11を包被、収納した状態を維持することができる。
【0034】
さらに、上記図8、9に示した排泄物処理具10のように、一方の指挿入袋部3Aにおける被覆片2Aの下端中央部に設けた上記通孔6と共に、他方の指挿入袋部3Bにおける被覆片2Bの下端部又は中央部に指先等が係止可能な吊支孔7を穿設しておけば、上記のように左右の排泄物掴持片5A、5Bによって排泄物11を包み込み、被覆片2A、2Bを下方に折り返し反転させて左右排泄物掴持片5A、5Bの下端からそれぞれ延出させた状態にしたのち、図17、図18に示すように、上記吊支孔7を設けている他方の被覆片2Bの端部を上記一方の被覆片2Aに設けている通孔6に挿通し、この通孔6から突出した被覆片2Bの端部に設けている上記吊支孔7に指を引っ掛けたり、或いは、携行しているバッグ等に装着したフックに引っ掛けば、排泄物11を収納したこの排泄物処理具10を手軽に携行することができる。
【0035】
なお、以上の排泄物処理具10においては、左右の指挿入袋部3A、3Bの指挿入口3a、3bをシート状物1の幅に等しい開口幅に形成しているが、図19に示すように、シート状物1の幅よりも狭い開口幅に形成しておいてもよい。このように構成しておくと、左右の指挿入袋部3A、3Bに指を挿入した際に、被覆片2A、2Bと指との密接性(馴染性)が一層良好となって左右指挿入袋部3A、3Bによる排泄物掴持、包被操作が円滑に行うことができる。
【0036】
また、上記排泄物処理具10においては、いずれも横長長方形状のシート状物1の一半部上と他半部上とに、このシート状物1と同じ柔軟なシート片からなる被覆片2A、2Bをそれぞれ重ね合わせてシート状物1の長さ方向の中央部で対向する端縁以外の三方の端縁をこれらの端縁が重なっているシート状物1の端縁に直接、連設させることにより、左右の指挿入袋部3A、3Bを形成しているが、図20〜22に示すように、シート状物1の互いに平行な長辺側の両側端縁と、この両側端縁に対向する左右被覆片2A、2Bの両側端縁との間にシート状物1と同一材料よりなり且つシート状物1と同一長さで細幅の襠片8、8を介在させ、この襠片8、8をその幅方向の中央部から横断面V字状に折り畳んだ状態にしてその長辺側の両側端縁を上記シート状物1と左右被覆片2A、2Bとの両側端縁にそれぞれ一体に連設させると共に、短辺側の両端部をシート状物1の短辺側の両端縁における両側部とこの両端縁に対向する左右被覆片2A、2Bの両端縁における両側部とにそれぞれ介在させた状態にして一体に固着してなる排泄物処理具10を構成しておいてもよい。
【0037】
このように構成した排泄物処理具10によると、上記のように、左右の排泄物掴持片5A、5Bによって排泄物11を包み込み、被覆片2A、2Bを下方に折り返し反転させた際に、両側の襠片7、7も展開しながら折り返されてこれらの被覆片2A、2Bと襠片8、8とによりあたかも袋の中央部が外径方向に向かって壺状に膨らんだ内部空間を形成することができると共に排泄物11を包み込む深さも深くなって大きな排泄物や多量の排泄物を安定した状態で包被することができ、また、上述した被覆片2A、2Bの反転操作も容易に行えることができる。
【0038】
なお、以上のいずれの実施例においては、排泄物処理具10を一枚ものとしているが、図23〜図25に示すように、紙製の外側排泄物処理具10と、この外側排泄物処理具10' 内に該外側排泄物処理具10の内面にその外面を重ね合わせた状態に配設している非通水性の樹脂シート又は樹脂フィルムからなる内側排泄物処理具10’との内外二重の排泄物処理具から構成してもよい。これらの内外排泄物処理具10、10' はいずれも上記実施例と同じ構造を有しているものであり、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
このように構成した内外二重構造の排泄物処理具によって排泄物を処理するには、内外排泄物処理具10、10' を互いに重なる合っているシート状物1、1'の長さ方向の中央部から二つ折りした状態において、これらの内外排泄物処理具10、10' の上向きに開口している左右の指挿入袋部3A、3B:3A' 、3B' における内側排泄物処理具10B の指挿入袋部3A'
、3B' 内に一方の手の親指とその他の指とをそれぞれ差し込んで、内外排泄物処理具10、10' の左右の指挿入袋部3A、3B:3A' 、3B' を、互いに重なり合っているシート状物1、1'の長さ方向の中央部の上端折り目4、4'を支点として逆V字状に大きく拡開させ、外側排泄物処理具10A 、10B の排泄物掴持片5A、5Bを排泄物11に被せたのち、上記同様に、手を掴持する方向に動かして内外排泄物処理具10、10’の左右の指挿入袋部3A、3B:3A' 、3B' をそれぞれ一体的に排泄物11の外形に沿って変形させながら外側排泄物処理具10、10’の排泄物掴持片5A、5B内に排泄物11を包み込む。
【0040】
この際、外側排泄物処理具10は紙製であるので、排泄物11の包み込み作業時においては排泄物11から滲み出る汚い水分が浸透するが、内側排泄物処理具10' は非通水性の樹脂シート又は樹脂フィルムからなるので、手を汚す虞れはない。また、排泄物11の収納処理後においては、家庭内等で排泄物11を包みこんでいる紙製の外側排泄物処理具10を内側排泄物処理具10’から分離させてこの外側排泄物処理具10のみをトイレ等に投入、処理し、内側排泄物処理具10' は水洗い等して再使用が可能となるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 シート状物
2A、2B 被覆片
3A、3B 指挿入袋部
3a、3b 指挿入口
4 折り目
5A、5B 排泄物掴持片
6 通孔
7 吊支孔
8 襠片
10 排泄物処理具
11 排泄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状の柔軟なシート状物の長さ方向の一半部と他半部とにこのシート状物の略半部分の大きさの柔軟なシート片からなる被覆片を重ね合わせて上記シート状物の長さ方向の中央部で対向しているこれらの被覆片の対向端縁以外の三方の端縁をこの端縁が重なるシート状物の端縁に一体に連設してなり、このシート状物の長さ方向の中央部を上記被覆片が外側となるように下方に向かって二つ折りすることにより、シート状物の一半部と他半部とで上記折り目を支点として左右方向に開閉自在な排泄物掴持片を形成すると共に、これらの左右排泄物掴持片と該排泄物掴持片上に重ねている上記被覆片とによって上端開口部を指挿入口とした左右一対の指挿入袋部を形成してなることを特徴とするペットの汚物処理具。
【請求項2】
左右の指挿入袋部のいずれか一方の指挿入袋部における被覆片の下端中央部に、汚物の掴持後に捲り返される他方の指挿入袋部の端部を挿通させる通孔を穿設していることを特徴とする請求項1に記載のペットの汚物処理具。
【請求項3】
一方の指挿入袋部における被覆片の下端中央部に汚物の包被後に捲り返される他方の指挿入袋部の端部を挿通させる通孔を、他方の指挿入袋部における被覆片に上記通孔から引き出された端部に指を係止可能な吊支孔を穿設していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペットの汚物処理具。
【請求項4】
左右の指挿入袋部を形成している排泄物掴持片とこれらの排泄物掴持片に重ねている被覆片との両側端縁間を横断面V字状に折り畳まれている展開可能な襠片によって連設していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のペットの汚物処理具。
【請求項5】
紙製の外側汚物処理具と、この外側汚物処理具内に該外側汚物処理具の内面にその外面を重ね合わせた状態に配設している非通水性の樹脂シート又は樹脂フィルムからなる内側汚物処理具とからペットの汚物処理具を構成していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のペットの汚物処理具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−135252(P2012−135252A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289728(P2010−289728)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(592248754)
【Fターム(参考)】