説明

ペット搬送装置

【課題】従来のペット搬送装置は、操作ハンドルのグリップ高さを最大で20cm程度の狭い範囲でしか安定調整できなかった。
【解決手段】ペット収納手段1と、該ペット収納手段1を積載可能な台車2と、該台車2を操作可能な操作ハンドルHとを有するペット搬送装置において、前記台車2は、前側に1個のキャスタ車輪12、後側に2個の非キャスタ車輪11を有する3輪構成であり、かつ前記操作ハンドルHは、上下方向にスライド自在な1本支柱6を備えたものであるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
この発明は、ペット(=愛玩用小動物。犬、猫、うさぎ、フェレット、マウスなど)の搬送に用いて好適なペット搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ペット搬送装置は、台車の上にペット搬送手段を固定または着脱自在に設けたものである。
【0003】
即ち、従来装置の台車の構成は、ベビーカーなどで一般的な折畳機構が適用され、ペット収納手段としては可搬式の布製バッグなどが用いられている。これらは、「ペットキャリー」、「ペットカート」、「ペットバギー」などの名称で市販されて実用に供されている。
【0004】
従来装置は、その操作ハンドルが、2本の平行支柱を一定間隔でスライドさせて数段階の高さ設定ができるように構成されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のペット搬送装置は、平行支柱が長くなるほど平行度が不安定となるため、操作ハンドルのグリップ高さを最大で20cm程度までしか安定的に調整できなかった。このため、たとえば、身長=120cmの子供から身長=180cmの大人がいる家族の場合、家族皆でペット搬送装置を快適に利用することができないという問題点があった。
【0006】
この発明は、上記の問題点に鑑み、20cm以上の範囲で操作ハンドルのグリップ高さ調整できるペット搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1のペット搬送装置は、ペット収納手段と、該ペット収納手段を積載可能な台車と、該台車を操作可能な操作ハンドルとを有するペット搬送装置において、前記台車は、前側に1個のキャスタ車輪、後側に2個の非キャスタ車輪を有する3輪構成であり、かつ前記操作ハンドルは、上下方向にスライド自在な1本支柱を備えたものとし、操作性を悪化させることなくハンドル高さの調整範囲を広くできるようにした。
【0008】
請求項2のペット搬送装置は、ペット収納手段と、該ペット収納手段を積載可能な台車と、該台車を操作可能な操作ハンドルとを有するペット搬送装置において、前記台車は、前側に2個のキャスタ車輪、後側に2個のキャスタまたは非キャスタ車輪を有する4輪構成であり、かつ前記操作ハンドルは、上下方向にスライド自在な1本支柱を備えたものとし、操作性を悪化させることなくハンドル高さの調整範囲を広くできるようにした。
【0009】
請求項3のペット搬送装置は、前記キャスタ車輪を、旋回と回転を同時または別々にロックできるストッパを備えたものとし、キャスタ車輪のストッパを作動させることにより台車の停止状態を維持できるようにした。
【0010】
請求項4のペット搬送装置は、前記操作ハンドルの1本支柱の上部適所に、前記ペット収納手段とは別個のペット収納手段を縦並列に支持可能な支持ステムを設け、ペット搬送機能を拡大した。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のペット搬送装置は、ペット収納手段と、該ペット収納手段を積載可能な台車と、該台車を操作可能な操作ハンドルとを有するペット搬送装置において、前記台車は、前側に1個のキャスタ車輪、後側に2個の非キャスタ車輪を有する3輪構成であり、かつ前記操作ハンドルは、上下方向にスライド自在な1本支柱を備えたものであることを特徴としているから、ハンドルの高さ調整範囲を非常に大きくできるという効果を奏する。
【0012】
請求項2に記載のペット搬送装置は、ペット収納手段と、該ペット収納手段を積載可能な台車と、該台車を操作可能な操作ハンドルとを有するペット搬送装置において、前記台車は、前側に2個のキャスタ車輪、後側に2個のキャスタ車輪または非キャスタ車輪を有する4輪構成であり、かつ前記操作ハンドルは、上下方向にスライド自在な1本支柱を備えたものであることを特徴としているから、ハンドルの高さ調整範囲を非常に大きくできるという効果を奏する。
【0013】
請求項3のペット搬送装置は、請求項1または2に記載のペット搬送装置において、前記キャスタ車輪は、旋回と回転を同時に、または別々にロックできるストッパを備えたものであるから、ブレーキ機構などを用いない簡潔な機構で、しかも簡単な操作で台車を停止状態に維持できるという効果を奏するものである。
【0014】
請求項4のペット搬送装置は、請求項1、2、3に記載のペット搬送装置において、前記操作ハンドルの1本支柱の上部適所に、前記ペット収納手段とは別個のペット収納手段を縦並列に支持可能な支持ステムを設けたことを特徴としているから、ペット収納手段を2段積みにできるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0015】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】
図において、1はペット収納手段である。
【0013】
該ペット収納手段1は、上面に小判形の開口を有するバスケットからなり、犬、猫、うさぎなどの愛玩用小動物を安全・快適に収納できるように構成されている。
【0014】
該ペット収納手段1を構成するバスケットは、籐(とう)、柳、葡萄、あけびなどの天然蔓性植物を用いてもよいし、ひも状プラスチックや針金(または紙を被覆した針金)などを用いて編み上げたものであってもよい。また、該ペット収納手段1は、木、プラスチック、金属、布、紙などの素材を適宜組み合わせて形成した任意の形状の収納容器でもよい。即ち、該ペット収納手段1の外形形状は、楕円箱型、四角箱型、円筒型などでもよい。
【0015】
2は台車である。
【0016】
該台車2は、前記ペット収納手段1を載置可能なフレーム3を備えている。該フレーム3は、金属の棒またはパイプからなり、前記ペット収納手段1を着脱自在に載置できるように成形されている。即ち、該フレーム3は、ペット収納手段1の底部を支持するとともにその適所にベルトBの一端部を固設できるようになっている。該ベルトBの他端部にフックFを設け、該フックFを前記ペット収納手段1の上枠に係止させることにより、フレーム3とペット収納手段1を結合できるようになっている。
【0017】
4は支柱鞘である。該支柱鞘4は円筒形の貫通穴4aを有し、前記フレーム3の後部にて略垂直に立設されている。
【0018】
該支柱鞘4の貫通穴4aの入口には締め具5が設けられ、該締め具5により、貫通穴4aの外形形状を変形させるように構成されている。即ち、該締め具5は、支柱鞘4に対して回転不能に設けられたボルト5aと該ボルト5aに対してスライド自在な可動ナット5bとからなっており、該可動ナット5bを締め付けカム5cで移動させることにより、貫通穴4aの入り口を締め付けできるようになっている。
【0019】
6はハンドル支柱となる1本支柱である。該1本支柱6は、前記支柱鞘4の貫通穴4aの内側を挿通可能な1本の丸パイプであり、支柱鞘4と同軸で上下方向へスライドできるように構成されている。ここで、該1本支柱6の長さは約55cmであり、最も低いスライド位置は地表から約60cm、最も高いスライド位置は約100cmとなるように設定されている。即ち、最大で約40cmのスライド行程を有している。これにより、操作ハンドルHの高さを身長120cmの子供から身長180cmの大人まで対応できるようになっている。
【0020】
7はグリップである、該グリップ7は、台車2の進行方向に向かって「ハ」の字形に構成され、前記1本支柱の上端に固設されている。
【0021】
該グリップ7は、金属パイプ、天然木、プラスチックパイプなどにより成形され、握り領域には皮革、布、弾性ラバーなど適宜の軟質部材が被覆されている。
【0022】
8はステムである。該ステム8は、前記ペット収納手段1とは別個の物品収納手段を装着するためのもので、前記1本支柱6の上部適所に取り付けできるように構成されている。該ステム8は、ペット収納手段の底部を安定的に支持する十字受枠8aと、該十時受枠8aの端部にて略垂直下方に向けて固設された2本の平行ピン8b,8bとからなっている。
【0023】
9は2個の差込穴9a、9aを有するホルダである。該ホルダ9は、前記1本支柱6の上部適所にネジ締め取り付けできるように構成されており、ホルダ穴9a,9aに前記ステム8の平行ピン8b、8bを差し込むことにより、ステム8を固定できるようになっている。
【0024】
物品収納手段は、前記ステム8の十字受枠8aに載置できるものであればその形状や材質は問わないため、特に図示はしないが、たとえば、前記ペット収納手段1と同一のバスケットを前記ベルトBとフックFで結合できるようにしてもよい。その他の形状のバスケットや袋物などであってもよいのはもちろんである。
【0025】
11、11は、前記台車2の下面に取り付けられた左右一対の後車輪である。該後車輪11,11は台車2のフレーム3を移動可能に支持するものである。該後車輪11,11は車軸を中心にして回転するだけの非キャスタ輪からなっている。即ち、該後車輪11,11によって、台車2は、台車中心線に沿ってほぼ直線方向で安定的に直進できるようになっている。
【0026】
12は、前記台車2の下面に取り付けられた1個の前車輪である。該前車輪12は、回転だけでなく旋回も可能なキャスタ輪であり、任意の方向に向かって進行できるようになっている。すなわち、外部より台車2を左右に回動させる力が加えられると、該前車輪12はキャスタ作用により旋回し、その進行方向を適宜変更できるように構成されている。
【0027】
13は前車輪12に付属のストッパである。該ストッパ13は、前車輪12の回転と旋回を同時にロックできるように構成されている。該ストッパ13のロック機構は、車輪軸と旋回軸に対応する歯車をオン・オフ係止する機構であるが、公知技術であるので特に説明しない。
【0028】
このように、該後車輪11,11と前車輪12とにより、台車2は3輪台車として構成されている。
【0029】
このため、3輪台車である台車2は、後車輪11,11が非キャスタ輪であるため直進方向への走行安定性が良い。しかも方向転換に際しては、前記ハンドルHの1本支柱6から伝わるわずかな回転力によって前車輪12が容易に旋回してその向きを変えることができる。そして、方向転換が確定したあとは、後車輪11,11の直進性作用により安定走行がまた実現する。
【0030】
(作用)
以下、この発明のペット搬送装置の作用を述べる。
【0031】
ペット収納手段1を台車2に載置するとともに、ベルトBのフックFをペット収納手段1の上枠に係止させて固定する。
【0032】
操作ハンドルHの1本支柱6を支柱鞘4に対してスライドさせて使用者の身長に応じた適正高さを選択する。適正高さが決まったら締め具5の締め付けカム5cを介してナット5bを移動させ、ボルト5aとナット5bにより支柱鞘4の入口を締め付ける。これにより支柱鞘4が1本支柱6を外側から締め付けることとなり、1本支柱6の高さが固定される。
【0033】
使用者が、ハンドルHのグリップ7を両手で把持して前進歩行すると、前車輪12と後車輪11、11が回転して台車2が前進する。このとき、後車輪11,11は、キャスタ輪であってもよいし、非キャスタ輪であってもよいが、直進性の良い非キャスタ輪であればより安定した走行が実現する。
【0034】
使用者が方向転換を望む時、グリップ7を所望の向きに向けて回転させると、回転力は1本支柱6と支柱鞘4からフレーム3を介して台車2に伝わることとなる。このとき、前車輪12はキャスタ輪であるため、わずかな力で旋回を始める。そして使用者が所望の向きで回動をやめると同時に前車輪12も旋回をやめる。
【0035】
使用者が台車2を停止させたい時は、前車輪12のストッパ13を作動させれば、旋回と回転を同時にロックされる。後車輪11,11は回転のみ可能な非キャスタ輪であるため、前車輪12がロックされると前進も操作もできなくなり、即ち、3輪構成である台車2が全体としてロックされる。
【0036】
請求項2における4輪構成の台車で、4輪ともにキャスタ輪であっても各キャスタをロックすれば台車を停止状態にできることは同じである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明のペット搬送装置は、都市生活者のペット飼育頭数の増大とペットの高齢化が進展するなかで、散歩、旅行、介護などで活用されるペット関連の生活用品として、産業上の利用可能性が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】 ペット搬送装置の全体構成を示す正面図である。
【図2】 1本支柱と支柱鞘と締め具の関係を示す正面図である。。
【図3】 1本支柱とステムの関係を示す正面図である。
【図4】 ステムの平行ピンとホルダの穴の関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 ペット収納手段(バスケット)
2 台車
3 フレーム
4 支柱鞘
5 締め具
6 1本支柱
7 グリップ
8 ステム
H 操作ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペット収納手段と、該ペット収納手段を積載可能な台車と、該台車を操作可能な操作ハンドルとを有するペット搬送装置において、前記台車は、前側に1個のキャスタ車輪、後側に2個の非キャスタ車輪を有する3輪構成であり、かつ前記操作ハンドルは、上下方向にスライド自在な1本支柱を備えたものであることを特徴とするペット搬送装置。
【請求項2】
ペット収納手段と、該ペット収納手段を積載可能な台車と、該台車を操作可能な操作ハンドルとを有するペット搬送装置において、前記台車は、前側に2個のキャスタ車輪、後側に2個のキャスタ車輪または非キャスタ車輪を有する4輪構成であり、かつ前記操作ハンドルは、上下方向にスライド自在な1本支柱を備えたものであることを特徴とするペット搬送装置。
【請求項3】
前記キャスタ車輪は、旋回と回転を同時に、または別々にロックできるストッパを備えたものである請求項1または2に記載のペット搬送装置。
【請求項4】
前記操作ハンドルの1本支柱の上部適所に、前記ペット収納手段とは別個のペット収納手段を縦並列に支持可能な支持ステムを設けたことを特徴とする請求項1、2、3に記載のペット搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−34083(P2009−34083A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220376(P2007−220376)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(302050673)株式会社東京乳母車 (2)
【Fターム(参考)】