説明

ペット用トイレシート

【課題】飼い主等の手がペットの排泄物に触れないように使用後のペット用トイレシートを簡単に処理できるとともに、使用後のペット用トイレシートを持ち運んでも、ペットの排泄物が見え難く、他人に不快な思いをさせたり、飼い主が恥ずかしい思いをしたりし難いペット用トイレシートを提供すること。
【解決手段】本発明のペット用トイレシート1Aは、裏面シート3を備えたシート本体10と、裏面シート3の外面に配された最外層シート5とを有する。最外層シート5は、シート本体10の外周縁部6に配された強接着部71,72にて裏面シート3と固定され、強接着部71以外の部分は裏面シート3と固定されていないか又は仮固定部73にて仮固定されている。トイレシート1Aは、強接着部71,72を軸にして最外層シート5を転回し、使用後には転回した最外層シート5が持ち手となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫等のペット(小動物)の排泄液の処理に用いられるペット用トイレシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、犬や猫等のペットを住居内で飼育する場合、ペットの排泄物の処理には、ペット用トイレシートが使用されている。使用後のペット用トイレシートを廃棄処分する際に、飼い主等の手がペットの排泄物に触れないように簡単に処理できるペット用トイレシートとして、例えば、特許文献1又は2には、紐を取り付けたペット用トイレシートが開示されており、特許文献3には、ペット用トイレシートの外周縁部に設けられたミシン目を切り離して紐を見立てるペット用トイレシートが開示されている。
ところで、都市部では、ペットである特に犬の散歩時において、犬の排泄行為により住民とのトラブルが生じることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3053145号公報
【特許文献2】特開2001−204286号公報
【特許文献3】特開2005−137343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3に記載のペット用トイレシートは、何れも、紐を結ぶことにより使用後のペット用トイレシートを巾着袋状に変形させて廃棄するものである。このために、これらシートを散歩時に使用する場合、シート内に排泄物を取り込み、廃棄形状を形成するという操作を行う際には、以下のような困難を伴う場合がある。(1)紐部分に排泄物が付き易いために紐部分を持ち手に使えなくなることがある。(2)引っ張り操作や排泄物の重みによって紐部分がシートから外れてしまうことがある。特に、市街地、住宅地を散歩する場合には、排泄物の処理を急ぐあまりに気が急いてしまい、また、夜間の散歩では見え難く、いずれの場合にもこのような問題が顕著になる。また、特許文献2及び3の技術は外出時の持ち運びを想定したものではなく、これを散歩時の廃棄物処理に使用すると紐の結び目以外の部位から、中の排泄物が見え、他人に不快な思いをさせたり、飼い主が恥ずかしい思いをしたりする場合がある。
【0005】
従って本発明の課題は、飼い主等の手がペットの排泄物に触れないように簡単に処理できるとともに、処理の操作時等に汚染、破損の恐れが少なく、使用後のペット用トイレシートを持ち運んでも、ペットの排泄物が見え難く、他人に不快な思いをさせたり、飼い主が恥ずかしい思いをしたりし難いペット用トイレシートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ペットの排泄物を受ける排泄物捕捉面を形成する液透過性の表面シートと、非排泄物捕捉面を形成する液不透過性の裏面シートとを備えたシート本体を有するペット用トイレシートであって、前記シート本体の前記裏面シートの外面に最外層シートが配されており、前記最外層シートは、前記シート本体の外周縁部に配された強接着部にて前記裏面シートと固定され、該強接着部以外の部分は該裏面シートと固定されていないか又は易離脱可能な仮固定部にて仮固定されており、前記ペット用トイレシートは、前記強接着部を軸にして前記最外層シートを前記排泄物捕捉面側に転回し、使用後には転回した該最外層シートが持ち手となるペット用トイレシートを提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のペット用トイレシートは、飼い主等の手がペットの排泄物に触れないように使用後のペット用トイレシートを簡単に処理できるとともに、使用後のペット用トイレシートを持ち運んでも、ペットの排泄物が見え難く、他人に不快な思いをさせたり、飼い主が恥ずかしい思いをしたりし難い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明のペット用トイレシートの第1実施形態を表面シート側からみた一部破断平面図である。
【図2】図2は、図1のペット用トイレシートを最外層シート側から見た平面図である。
【図3】図3は、図1のX1−X1線断面図である。
【図4】図4は、図1のY1−Y1線断面図である。
【図5】図5は、使用後の図1のペット用トイレシートを使用する際の態様を説明する図であり、図5(a)はペットの排泄物を捕捉したシート本体から最外層シートのシート部を裏返す動作を示す図であり、図5(b)は排泄物をシート本体で包むとともに裏返したシート部どうしを重ねる動作を示す図であり、図5(c)は排泄物をシート本体で包むとともに裏返したシート部どうしを重ねた状態を示す図であり、図5(d)は図5(c)のZ1−Z1線断面図である。
【図6】図6は、本発明のペット用トイレシートの第2実施形態を最外層シート側から見た平面図である(図2相当図)。
【図7】図7は、本発明のペット用トイレシートの第3実施形態を最外層シート側から見た平面図である(図2相当図)。
【図8】図8は、本発明のペット用トイレシートの第4実施形態を最外層シート側から見た平面図である(図2相当図)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のペット用トイレシートについて、その好ましい第1実施形態に基づき図1〜図5を参照しながら説明する。
第1実施形態のペット用トイレシート1A(以下、「トイレシート1A」ともいう)は、図1〜図4に示すように、ペットの排泄物を受ける排泄物捕捉面を形成する液透過性の表面シート2と、非排泄物捕捉面を形成する液不透過性の裏面シート3と、それらシート2,3の間に配された液保持性の吸収体4とを備えたシート本体10を有している。また、トイレシート1Aには、図1〜図4に示すように、裏面シート3の外面に最外層シート5が配されている。
【0010】
本発明のペット用トイレシート又はペット用トイレシートを構成する材料においては、ペットが排泄を行ったり、ペットが排泄した排泄物を捕捉したりする面を「排泄物捕捉面」、「上面」又は「内面」、ペットが排泄を行う面から遠い面(反対側の面)を「非排泄物捕捉面」、「下面」又は「外面」と呼ぶ。
【0011】
第1実施形態のトイレシート1Aを平面視した形状は、図1,図2に示すように、Y方向に長い長方形状であるが、平面視した形状に特に制限はなく、例えば楕円形、多角形等の形状であってもよい。図中の「Y方向」は、トイレシート1Aの長手方向と同じ方向であり、図中の「X方向」は、トイレシート1Aの幅方向と同じ方向であり、Y方向に垂直な方向である。図中の「Z方向」は、トイレシート1Aの厚み方向と同じ方向であり、上下方向である。
【0012】
シート本体10の排泄物捕捉面を形成する表面シート2は、液透過性のシートである。表面シート2は、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、後述する吸収体4の外周よりも外方に延出しており、トイレシート1Aの輪郭と一致する輪郭を有している。
【0013】
表面シート2としては、例えば不織布や多孔性フィルムシート等を用いることができる。表面シート2としては、液保持性がないか極めて低いもので、液を素早く下層側へ通過させやすい材料を用いることが好ましい。そのような材料を使用することにより、表面の液残りが少なくなるので尿が拡散し難く、尿臭も拡散し難くなる。表面シート2の材料としては、撥水性繊維からなる不織布又はそれを親水化処理した不織布や、樹脂性の多孔性フィルムシートが好ましい。
【0014】
表面シート2に不織布を使用する場合には、ペットが特に犬の場合には、いたずらで引っ掻いたり、掘り起こしたりする動作などをするために、十分な強度を有するものが好ましい。そのような不織布としては、ヒートロール不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布などが挙げられる。十分な液透過性及び機械的強度の確保、並びに経済性の観点から、不織布の坪量は、10〜100g/m2、特に15〜40g/m2であることが好ましい。
【0015】
シート本体10の非排泄物捕捉面を形成する裏面シート3は、液不透過性のシートである。裏面シート3は、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、後述する吸収体4の外周よりも外方に延出しており、トイレシート1Aの輪郭と一致する輪郭を有しており、表面シート2と同形同大に形成されている。
【0016】
裏面シート3としては、例えば合成樹脂製の液不透過性フィルムや、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド積層(SMS)不織布等の耐水圧が高い撥水性の不織布を用いることができる。裏面シート3としては、透湿性がないか低い材料を用いることが、尿が排泄された後放置されていても裏面シートから外界に湿気の移動を抑制できるとともに、臭気が外界に漏れることを抑制できるので好ましい。低透湿性という点からは、裏面シート3として合成樹脂製のフィルムを用いることが好ましい。
【0017】
裏面シート3は、ペットの排泄物を包んだトイレシート1Aから該排泄物が見え難く、使用感が向上する観点から、不透明であることが好ましい。「不透明」であるとは、外界からの光を透過しにくくすることで内容物が見えにくい程度になっている状態であることを意味する。具体的には、JIS K 7105法に準拠した全光線透過率測定方法に従って、反射・透過率計(例えば、(株)村上色彩研究所製、商品名「HR−100」)を用いて、裏面シート3の任意の点10点を、A光源で全光透過率Ttの値を測定し、その平均値を光透過率とし、当該値が0〜70%、特に0〜50%、更に0〜30%のものが好ましい。
また、裏面シート3は、その光透過率が比較的高い場合(50%超の場合)には、艶消しや擦り硝子調のもの、あるいは表面に皺や襞を設けたものであると、内容物が見え難くなるので、より好ましい。勿論、光透過率が低い場合(50%以下の場合)でも同様のものを使用してよい。
【0018】
図1に示すシート本体10の吸収体4を平面視した形状は、Y方向に長い長方形状であるが、特に制限はなく、例えば楕円形、多角形等の形状であってもよい。
【0019】
吸収体4としては、パルプ等のセルロース系繊維からなる吸液性繊維と、高吸収性ポリマー等のヒドロゲル材料からなる粒子との混合体から構成されているものや、又は該混合体がティッシュペーパーや不織布等からなる液透過性シートで包被されて構成されているもの、更には、2枚の不織布の間に膨潤可能な状態で高吸収性ポリマーが挟持されたパルプレス構造のものや、特開平8−246395号公報記載の吸収性シートなどを使用することができる。トイレシート1Aでは、吸水性ポリマー、解繊パルプ等の混合物を主とする吸収体4をパルプ製の紙によって包被して吸収構造体を吸収体4として用いている。
【0020】
シート本体10は、図1〜図4に示すように、表面シート2と裏面シート3との間に長方形状の吸収体4を配し、吸収体4の外周よりも外方に延出する表面シート2の延出部分と裏面シート3の延出部分を、ホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール、高周波シール等の融着手段を用いて固定した外周縁部6を有している。外周縁部6により、表面シート2と裏面シート3との間に、吸収体4が挟持されるようになっており、吸収体4を構成する高吸収性ポリマー等が密封されている。外周縁部6の幅は、1〜50mm、特に3〜35mmであることが、排泄物捕捉部分面積の確保と廃棄形状成形性の観点から好ましい。外周縁部6は、X方向に延びる一対の短手シール部61,61とY方向に延びる一対の長手シール部62,62と、を有している。
【0021】
トイレシート1Aには、図1〜図4に示すように、シート本体10の裏面シート3の外面に最外層シート5が配されている。最外層シート5は、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、トイレシート1Aの輪郭(シート本体10の輪郭)と一致する輪郭を有しており、表面シート2及び裏面シート3と同形同大に形成されている。最外層シート5は、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、裏面シート3の全面積(100%)を覆うように配されている。
【0022】
最外層シート5は、図3,図4に示すように、シート本体10の非排泄物捕捉面を形成する裏面シート3の外面(下面)に配されるもので、トイレシート1Aにおいては、Z方向において最も下側に位置するものであることから、使用時、散歩等の場面では地面又は使用者の手等に、室内では床やペット用トイレに直接接触する部位である。
【0023】
最外層シート5は、シート本体10の外周縁部6に配された強接着部71,72にて裏面シート3と固定され、強接着部71,72以外の部分は裏面シート3と固定されていないか又は易離脱可能な仮固定部73にて仮固定されている。ここで「外周縁部に配された」とは、該周縁部6の全てに配されている必要はなく、本実施形態のように、該周縁部6の一部に配されていることを含む。トイレシート1Aにおいては、図1〜図3に示すように、一対のシート部5a,5bを備えており、一対のシート部5a,5bは、それぞれ、シート本体10の外周縁部6に配された強接着部71a,72a,72bにて裏面シート3と固定され、これら以外の部分は裏面シート3と固定されていないか又は易離脱可能な仮固定部73にて仮固定されている。具体的に説明すると、最外層シート5は、トイレシート1Aにおいては、図2,図3に示すように、X方向に関して上側のシート部5aと下側のシート部5bとを備えている。トイレシート1Aにおいては、シート部5a及びシート部5bにより、裏面シート3の全面積を覆うように配されている。尚、トイレシート1Aにおいては、シート部5a及びシート部5bにより、裏面シート3の全面積を覆うように配されているが、裏面シート3の全面積の3分の1以上を覆うように配されていれば良い。また、X方向には3分の2以上、Y方向には2分の1以上の長さを覆うように配されていれば良い。
【0024】
シート部5a及びシート部5bは、トイレシート1Aにおいては、図2に示すように、それぞれ矩形状であり、Y方向においてはシート本体10(裏面シート3)の長さと同じ長さを有している。シート部5aは、トイレシート1Aにおいては、シート本体10(裏面シート3)のX方向の長さの10〜95%の長さを有しており、シート部5bは、トイレシート1Aにおいては、シート本体10(裏面シート3)のX方向の長さの10〜100%の長さを有しており、図3に示すように、シート部5aのX方向下側の他端部を覆うように、シート部5aの他端部とシート部5bのX方向上側の他端部とが重なっている。
【0025】
上側のシート部5aは、トイレシート1Aにおいては、図2に示すように、シート本体10の外周縁部6である一対の短手シール部61,61において、シート部5aのY方向の両端部が、X方向に延びる強接着部71a,71aにて裏面シート3に固定されており、シート本体10の外周縁部6である一方の長手シール部62において、シート部5aのX方向上側の一端部が、Y方向に延びる強接着部72aにて裏面シート3に固定されているが、それ以外の部分においては裏面シート3に固定されていない。トイレシート1Aにおいては、上側のシート部5aに、仮固定部73が配されていない。
【0026】
下側のシート部5bは、トイレシート1Aにおいては、図2に示すように、シート本体10の外周縁部6である他方の長手シール部62において、シート部5aのX方向下側の一端部が、Y方向に延びる強接着部72bにて裏面シート3に固定されており、X方向上側の他端部が、易離脱可能な仮固定部73にて裏面シート3に仮固定されているが、それ以外の部分においては裏面シート3に固定されていない。
【0027】
強接着部71aは、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、外周縁部6の一方の短手シール部61と重なるシート部5aのY方向の一端部の位置に配され、シート部5aのX方向の全長に亘って配されている。同様に、強接着部71aは、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、外周縁部6の他方の短手シール部61と重なるシート部5aのY方向の他端部の位置に配され、シート部5aのX方向の全長に亘って配されている。
また、強接着部72aは、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、外周縁部6の一方の長手シール部62と重なるシート部5aのX方向の一端部の位置に配され、シート部5aのY方向の全長に亘って配されている。
一対の強接着部71a,71aと強接着部72aとで、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、コの字状を形成している。
このように配された強接着部71a,71aを介して、シート本体10の外周縁部6である一対の短手シール部61,61とシート部5aのY方向の両端部とを強固に接着し、強接着部72aを介して、シート本体10の外周縁部6である一方の長手シール部62とシート部5aのX方向の一端部とを強固に接着している。
【0028】
また、強接着部72bは、トイレシート1Aにおいては、図1,図2に示すように、外周縁部6の他方の長手シール部62と重なるシート部5bのX方向の一端部の位置に配され、シート部5bのY方向の全長に亘って配されている。このように配された強接着部72bを介して、シート本体10の外周縁部6である他方の長手シール部62とシート部5bのX方向の一端部とを強固に接着している。上述した強接着部71,72は、外周縁部6の形成と同様に、ホットメルト等の接着剤を塗布したり、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等の融着手段を用いたりして形成されている。
【0029】
仮固定部73は、トイレシート1Aにおいては、図2,図3に示すように、シート部5bのX方向上側の他端部の位置で且つシート部5aの他端部と重ならない位置に配され、トイレシート1AのY方向の中央部にのみ配されている。仮固定部73は、易離脱可能に仮固定されている部分であり、仮固定する手法としては、種々の手法が用いられるが、トイレシート1Aにおいては、最外層シート5に対して剥離性を有する粘着剤を塗布して形成されている。このように配された仮固定部73を介して、シート本体10とシート部5bの他端部とを仮接着している。
【0030】
トイレシート1Aの最外層シート5(シート部5a,5b)は、自己接着性を有している。自己接着性を有する最外層シート5は、シート基材の少なくとも非排泄物捕捉面(下面)に、自着剤を塗布して形成される。ここで、自己接着性とは、同種の材料間で接着する性質を意味し、具体的には、前記シート基材に塗布されている自着剤同士でのみ接着性を有する場合や、シート基材同士の高い摩擦力によって接着される場合などが挙げられる。このような自己接着性を有する最外層シート5を用いると、廃棄形状を容易に、かつ、任意の形状に形成できるので好ましい。特に、他の材料に対しては実質的に接着しない性質を併せ持つと、最外層シート5は、シート本体10を構成する表面シート2や裏面シート3等の該最外層シート5以外のトイレシート1Aの構成部材に実質的に接着しないので、使用後のトイレシート1Aの廃棄時の操作性に優れるようになる。
尚、トイレシート1Aの最外層シート5(シート部5a,5b)は自己接着性を有しているが、本発明のペット用トイレシートにおいては自己接着性を有していなくてもよい。
【0031】
最外層シート5(シート部5a,5b)の基材としては、フィルムシート、不織布シート、パルプ製シートが挙げられるが、フィルム材料であることが、材料の節約、扱いやすさ、臭気閉じ込めの点から好ましい。フィルムシート基材としては、柔らかい液不透過性のフィルムが好ましく、具体的には、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン、ポリエチレン等の樹脂から形成されたフィルムや、これらいくつかの樹脂が複合されて形成されたフィルム等が挙げられる。最外層シート5が、不透過性のフィルムで構成されていると、上述したように、最外層シート5はZ方向において最も下側に位置するものであることから、裏面シート3からの漏れを更に防止することができる。
【0032】
最外層シート5(シート部5a,5b)のフィルムシート基材としては、伸長性のフィルムが好ましく、伸長性で且つ不透過性のフィルムであることが更に好ましく、伸長性で且つ不透過性のフィルムであって更に自己接着性を有していることが、廃棄操作時の形状の形成容易性や操作容易性の観点から特に好ましい。最外層シート5の伸長性は、使用後のトイレシート1Aの廃棄時の操作性に優れる観点から、少なくともX方向に伸長性を有していることが好ましく、X方向及びY方向に伸長性を有していることが更に好ましい。
【0033】
また、最外層シート5(シート部5a,5b)の基材としては、フィルム材料に代えて不織布やパルプシート(紙を含む)を用いることも可能である。不織布の場合には、伸長性のものであり、かつ、毛羽立てたものをシート部5a、5bの一方に使用することによって互いの接着性を発現することが可能となる。また、パルプシートの場合には、シート部5a,5bの一方に目の粗いシートを、他方に目の細かいシートを配することによって接着性を発現することが可能となる。また、いずれの場合にも、撥水性又は疎水性とすることが好ましい。
【0034】
最外層シート5(シート部5a,5b)が伸長性を有している場合、使用後のトイレシート1Aの廃棄時の操作性に優れる観点から、最外層シート5は、X方向における最大伸長率が120%以上であることが好ましく、150%以上であることが更に好ましい。なお、最外層シート5の伸長性は収縮性がないか、極めて弱い、すなわち、塑性変形することが好ましい。最大伸長率は以下の方法で測定される。X方向に伸長性を有している場合も同様である。
【0035】
<最外層シートの伸度の測定方法>
トイレシート1Aから最外層シート5(シート部5a,5b)を、X方向に100mm、Y方向に25mm切り出し、測定片を作製する。測定片を、X方向が引張方向となるように、引張試験機(株式会社オリエンテックの「テンシロン」RTA−100)のチャックに取り付ける。初期チャック間距離は50mmとする。次に、測定片を100mm/minで最外層シートが破断するまで引っ張り、破断時の伸びの長さから初期長(100mm)を引き、その値をチャック間距離で除し更に100を乗じた値を最大伸長率とする。尚、測定片の寸法が、前述した大きさに満たない場合には、その寸法で適宜測定しても良い。Y方向に伸長性を有している場合も同様な方法で測定する。
【0036】
最外層シート5(シート部5a,5b)の自着剤としては、十分な止着力を有するものが好ましい。具体的には、アクリル系重合体、天然ゴム由来の重合体、ポリウレタン系重合体等が挙げられ、アクリル系重合体を使用することが好ましい。アクリル系重合体は、アクリル酸アルキルエステル及び/またはメタクリル酸アルキルエステルを主成分とする(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体または共重合体である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
最外層シート5(シート部5a,5b)は、ペットの排泄物を包んだトイレシート1Aから該排泄物が見え難く、使用感が向上する観点から、有色であることが好ましく、特に、裏面シート3が不透明で且つ最外層シート5が有色であることが好ましい。ここで「有色」とは、無色透明を除くが、白色(L*値が85以上)は含む概念である。ただし、白色の場合には、白乳色であることが好ましい。一方で、白色以外の有色系である場合には、最外層シート5は、具体的には、L***表色系におけるL*値が40以下、特に25以下、更には10以下のものであることが好ましい。ここで最外層シート5のL*値は色差計によって測定できる。例えば、日本電色工業(株)のハンディ型分光色差計NF777(商品名)を用い、照明条件C、視野角条件2°、正面受光条件0/45°、光束径φ10mmの測定条件で、最外層シート5の反射光を測定して求めることができる。このとき、背景板としてL*値が95以上の白色板を用いて測定することが好ましい。
【0038】
トイレシート1Aの厚みは、用途に応じて適宜調整されればよいが、好ましくは1〜20mm、更に好ましくは2〜15mmである。シート本体10の吸収体4の厚みは、用途に応じて適宜調整されればよいが、好ましくは0.5〜18mm、更に好ましくは1〜15mmである。
前記厚みは、特に断らない限り、測定法としてはキーエンス社製のレーザー厚み計(商品名:LK−080)にて0.245kPaの荷重下で測定した値を厚みとする。
【0039】
次に上述した本発明の第1実施形態のトイレシート1Aを使用した際の作用効果について説明する。
トイレシート1Aは、強接着部71,72を軸にして最外層シート5を排泄物捕捉面側に転回し、使用後には転回した最外層シート5が持ち手となる。具体的には、トイレシート1Aの使用に際しては、例えば、飼い犬の散歩時に折り畳んだトイレシート1Aを持ち運び、犬が排泄物である大便をすると、トイレシート1Aを広げて排泄物捕捉面で捕捉する。次いで、図5(a)に示すように、仮固定部73にて、シート本体10に仮接着している最外層シート5のシート部5bの端部を、シート本体10から外す。そして、図5(a),図5(b)に示すように、シート部5aについては、コの字状を形成する一対の強接着部71a,71a及び強接着部72aを軸として、シート部5aを排泄物捕捉面側に転回して裏返す。また、シート部5bについては、Y方向に延びる強接着部72bを軸として、外したシート部5bを排泄物捕捉面側に転回して裏返す。次いで、図5(c),図5(d)に示すように、転回して裏返したシート部5a及びシート部5bを互いに重ね合わせ、重ね合わせた部分を持ち手として握り、その状態で散歩を続けるようにして使用する。このとき、仮固定部73をシート5aに対して固定可能なようにシート5aを伸長させて使用するとトイレシート1Aの密閉性が高くなり、好ましい。トイレシート1Aにおいては、上述したように、飼い主等の手がペットの排泄物に触れないように使用後のペット用トイレシート1Aを簡単に処理できる。また、トイレシート1Aにおいては、最外層シートが外周縁部以外の領域において、使用後には分離した一対のシート部を備えるようなされていることから、上述した図5(c),図5(d)に示すように、転回して裏返したシート部5a及びシート部5bを互いに重ね合わせているので、犬の排泄物である大便を完全に覆うことができ、使用後のペット用トイレシート1Aを持ち運んでも、ペットの排泄物が外部から見え難く、他人に不快な思いをさせたり、飼い主が恥ずかしい思いをしたりし難い。
【0040】
また、トイレシート1Aの最外層シート5(シート部5a,5b)は、自己接着性を有しているので、図5(c),図5(d)に示すように、転回して裏返したシート部5a及びシート部5bを互いに重ね合わせると、シート部5a,5b同士で接着し、犬の排泄物である大便を完全に密閉することができる。その為、更に排泄物が見え難く、排泄物の臭いが拡散し難い。更に、本実施形態では仮固定部73が密閉性を高めるのに役立っている。
【0041】
また、トイレシート1Aの最外層シート5が、伸長性と自己接着性をあわせ持つので、所望の廃棄形状にすることが容易であることから、排泄物量が多い場合と少ない場合で内容物が見え難い形状とすることも、また、コンパクトな形状に纏めることも可能であるので、非常に使い勝手が良いものである。そして、トイレシート1Aは液保持性の吸収体を備えているので、軟便や尿の吸収、保持に有用であり、特に、市街地や住宅地において大量の排尿があった場合には表面シート側を尿に押し当てることによって素早く尿を吸収するので、非常に都合が良い。
【0042】
以下に、本発明の第2実施形態〜第4実施形態のトイレシートについて、図6〜8に基づいて、それぞれ説明する。各実施形態のペット用トイレシート1B〜1D(以下、「トイレシート1B」、「トイレシート1C」及び「トイレシート1D」ともいう)については、第1実施形態のトイレシート1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、トイレシート1Aと同様であり、トイレシート1Aの説明が適宜適用される。
【0043】
裏面シート3の外面に配される最外層シート5は、図6に示すように、裏面シート3の全面積の50%〜90%を覆うように配されていることが好ましい。具体的には、トイレシート1Bの最外層シート5は、図6に示すように、上側のシート部5aと下側のシート部5bとを備えている。トイレシート1Bにおいては、シート部5a及びシート部5bにより、裏面シート3の全面積の50%〜90%を覆うように配されている。シート部5a及びシート部5bは、それぞれ矩形状であり、Y方向においてはシート本体10(裏面シート3)の長さと同じ長さを有している。シート部5a,5bは、トイレシート1Bにおいては、シート本体10(裏面シート3)のX方向の長さの10〜45%の長さを有している。
【0044】
シート部5a,5bは、トイレシート1Bにおいては、図6に示すように、シート本体10の外周縁部6である一対の短手シール部61,61において、シート部5a,5bのY方向の両端部が、X方向に延びる強接着部71a,71a,71b,71bにて裏面シート3に固定されており、シート本体10の外周縁部6である一方の長手シール部62、62において、シート部5aのX方向上側、シート部5bのX方向下側それぞれの一端部が、Y方向に延びる強接着部72a,72bにて裏面シート3に固定されているが、それ以外の部分においては裏面シート3に固定されていない。尚、トイレシート1Bにおいては、シート部5a,5bには、仮固定部73が配されていない。
【0045】
トイレシート1Bのシート部5a,5b各々には、図6に示すように、強接着部71a,71b,72a,72b以外の部分に持ち手用の開口部51a,51bが設けられている。詳述すると、開口部51a,51bは、トイレシート1Bにおいては、図6に示すように、それぞれ、シート部5aのX方向下側の他端部の位置とシート部5bのX方向上側の他端部に配され、トイレシート1BのY方向の中央部に配されている。開口部51a,51bの形状は、トイレシート1Bにおいては、図6に示すように、Y方向に長い楕円形状であるが、その形状に特に制限はなく、指が入れば、例えば多角形等の形状であってもよい。また、散歩用のリードを挿通可能な大きさであっても良い。
【0046】
強接着部71a,71a,71b,71b各々は、トイレシート1Bにおいては、図6に示すように、外周縁部6の一方の短手シール部61と重なるシート部5a,5bのY方向の一端部の位置に配され、シート部5a,5b各々のX方向の全長に亘って配されている。
また、強接着部72b,72bは、トイレシート1Bにおいては、図6に示すように、外周縁部6の一方の長手シール部62と重なるシート部5aのX方向の一端部の位置に配され、シート部5aのY方向の全長に亘って配されている。シート部5a,5b各々に関して、一対の強接着部71a,71a,71b,71bと強接着部72b,72bとで、トイレシート1Bにおいては、図6に示すように、コの字状を形成している。
このように配された強接着部71a,71a,71b,71bを介して、シート本体10の外周縁部6である一対の短手シール部61,61とシート部5a,5b各々のY方向の両端部とを強固に接着し、強接着部72a,72bを介して、シート本体10の外周縁部6である一方の長手シール部62,62とシート部5a,5b各々のX方向の一端部とを強固に接着している。
【0047】
ペット用トイレシート1Bは、上述した第1の実施形態であるペット用トイレシート1Aで説明した効果に加えて、以下のような効果を奏する。強接着部71,72を軸にして一対のシート部5a,5bそれぞれを排泄物捕捉面側に転回し、転回したシート部5a,5bを互いに重ね合わせ、使用後には重ね合わせた開口部51a,51bが持ち手となる。詳述すると、トイレシート1Bは、排泄物捕捉面で捕捉した後、シート5a,5b各々を、コの字状を形成する一対の強接着部及び強接着部を軸として、排泄物捕捉面側に転回して裏返す。そして、転回して裏返したシート部5a及びシート部5bを互いに重ね合わせ、重ね合わせた開口部51a及び開口部51bが持ち手となり、開口部を持って、その状態で散歩を続けるようにして使用する。トイレシート1Bにおいても、トイレシート1Aと同様に、飼い主等の手がペットの排泄物に触れないように使用後のペット用トイレシート1Bを簡単に処理できる。また、トイレシート1Bにおいても、トイレシート1Aと同様に、転回して裏返したシート部5a及びシート部5bを互いに重ね合わせ、重ね合わせた開口部51a及び開口部51bを持ち手としているので、犬の排泄物である大便を完全に覆うことができ、使用後のペット用トイレシート1Bを持ち運んでも、ペットの排泄物が外部から見え難く、他人に不快な思いをさせたり、飼い主が恥ずかしい思いをしたりし難い。
【0048】
また、開口部51a,51bの存在によって、廃棄形状を決め易いとともに、携帯バック様の形態となることから、住宅地や市街地での携帯でも違和感が少ない。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態のトイレシートについて、図7に基づいて説明する。
裏面シート3の外面に配される最外層シート5は、図7に示すように、裏面シート3の全面積を覆うように配されており、最外層シート5には、ペット用トイレシート1Cの使用後に、一対のシート部5a,5bを形成するように、ミシン目8が設けられている。即ち、ミシン目8を破ることにより、最外層シート5がシート部5aとシート部5bとなる。
【0050】
ミシン目8は、トイレシート1Cにおいては、図7に示すように、トイレシート1CのY方向の両端部においては、X方向中央の位置に配されており、Y方向に延在している。Y方向に延びるミシン目8は、図7に示すように、Y方向の中央部において、X方向の上方に凸状に隆起しており、該隆起した部分が使用後のペット用トイレシート1Cを持ち運ぶ際に持ち手となる。
【0051】
上側のシート部5a、下側のシート部5b各々は、トイレシート1Cにおいては、図7に示すように、シート本体10の外周縁部6である一対の短手シール部61,61において、シート部5aのY方向の両端部が、X方向に延びる強接着部71a,71a,71b,71bにて裏面シート3に固定されており、シート本体10の外周縁部6である一方の長手シール部62,62において、シート部5aのX方向上側の一端部とシート部5bのX方向下側の一端部が、Y方向に延びる強接着部72aにて裏面シート3に固定されているが、それ以外の部分においては裏面シート3に固定されていない。トイレシート1Cにおいては、シート部5a,5bそれぞれには、仮固定部73が配されていない。
【0052】
強接着部71a、71aは、トイレシート1Cにおいては、図7に示すように、外周縁部6の短手シール部61と重なるシート部5aのY方向の各端部の位置に配され、それぞれシート部5aのX方向の全長の10〜90%に亘って配されている。また、強接着部72aは、トイレシート1Cにおいては、図7に示すように、外周縁部6の一方の長手シール部62と重なるシート部5aのX方向の一端部の位置に配され、シート部5aのY方向の全長に亘って配されている。一対の強接着部71a,71aと強接着部72bとで、トイレシート1Cにおいては、図7に示すように、コの字状を形成している。
このように配された強接着部71a,71aを介して、シート本体10の外周縁部6である一対の短手シール部61,61とシート部5aのY方向の両端部とを強固に接着し、強接着部72aを介して、シート本体10の外周縁部6である一方の長手シール部62とシート部5aのX方向の一端部とを強固に接着している。
また、シート部5bに関しても同様である。
【0053】
ペット用トイレシート1Cは、ミシン目8を切り離して一対のシート部5a,5bを形成し、強接着部71,72を軸にして一対のシート部5a,5bそれぞれを排泄物捕捉面側に転回し、転回したシート部5a,5bを互いに重ね合わせ、使用後には重ね合わせた部分が持ち手となる。詳述すると、ペット用トイレシート1Cは、排泄物捕捉面で捕捉後、最外層シート5のミシン目8が切り離されて一対のシート部5a,5bを形成される。次いで、シート部5a、5b各々については、コの字状を形成する前記強接着部を軸として、シート部5aを排泄物捕捉面側に転回して裏返す。そして、転回して裏返したシート部5a,5bを互いに重ね合わせ、シート部5bに形成された凸状の隆起部分を持って、その状態で散歩を続けるようにして使用する。トイレシート1Cにおいても、トイレシート1Aと同様に、飼い主等の手がペットの排泄物に触れないように使用後のペット用トイレシート1Dを簡単に処理できる。また、トイレシート1Cにおいても、トイレシート1Aと同様に、転回して裏返したシート部5a及びシート部5bを互いに重ね合わせているので、犬の排泄物である大便を完全に覆うことができ、使用後のペット用トイレシート1Cを持ち運んでも、ペットの排泄物が外部から見え難く、他人に不快な思いをさせたり、飼い主が恥ずかしい思いをしたりし難い。
【0054】
次に、本発明の第4実施形態のトイレシートについて、図8に基づいて説明する。
トイレシート1Dは、矩形状であり、図8に示すように、Y方向に長い長方形状である。裏面シート3の外面に配される最外層シート5は、図8に示すように、矩形状のトイレシート1Dの一方の一対の側辺11,11それぞれと他方の一対の側辺12,12における1側辺12とに一致する輪郭を有するコの字形状である。最外層シート5は、図8に示すように、裏面シート3の全面積の50%〜90%を覆うように配されていることが好ましい。具体的には、トイレシート1Dの最外層シート5は、図8に示すように、Y方向の左側が窪んだコの字形状であり、X方向においてはシート本体10(裏面シート3)の長さと同じ長さを有し、Y方向においてはシート本体10(裏面シート3)の長さの60〜100%の長さを有している。尚、Y方向の最外層シート5の長さは、最も長い位置での長さである。
【0055】
最外層シート5は、トイレシート1Dにおいては、図8に示すように、シート本体10の外周縁部6である一方の短手シール部61において、最外層シート5のY方向の一端部が、X方向に延びる強接着部71にて裏面シート3に固定されている。
また、最外層シート5は、トイレシート1Dにおいては、図8に示すように、シート本体10の外周縁部6である一対の長手シール部62,62において、最外層シート5のX方向の両端部が、Y方向に延びる強接着部72,72にて裏面シート3に固定されている。最外層シート5は、強接着部71,72以外の部分においては裏面シート3に固定されていないか又は易離脱可能な仮固定部73にて仮固定されている。
【0056】
強接着部71は、トイレシート1Dにおいては、図8に示すように、外周縁部6の一方の短手シール部61と重なる最外層シート5のY方向の一端部の位置に配され、最外層シート5のX方向の全長に亘って配されている。また、強接着部72は、トイレシート1Dにおいては、図8に示すように、外周縁部6の一方の長手シール部62と重なる最外層シート5のX方向の一端部の位置に配され、最外層シート5のY方向の全長の10〜90%に亘って配されており、更に外周縁部6の他方の長手シール部62と重なる最外層シート5のX方向の他端部の位置に配され、最外層シート5のY方向の全長の10〜90%に亘って配されている。一対の強接着部72,72と強接着部71とで、トイレシート1Dにおいては、図8に示すように、コの字状を形成している。
このように配された強接着部72,72を介して、シート本体10の外周縁部6である一対の長手シール部62,62と最外層シート5のX方向の両端部とを強固に接着し、強接着部71を介して、シート本体10の外周縁部6である一方の短手シール部61と最外層シート5のY方向の一端部とを強固に接着している。
【0057】
仮固定部73は、トイレシート1Dにおいては、図8に示すように、コの字形状の最外層シート5の開口側の両側先端部分52,52に配されている。言い換えれば、仮固定部73は、図8に示すように、Y方向左側に開口したコの字形状の最外層シート5におけるY方向の両側先端部分52,52に、それぞれ配されている。このように配された仮固定部73を介して、シート本体10の裏面シート3と最外層シート5の両側先端部分52,52とを仮接着している。
【0058】
トイレシート1Dは、強接着部71,72を軸にしてコの字形状の最外層シート5を排泄物捕捉面側に転回し、転回した最外層シート5におけるコの字形状の開口側の両側先端部分52,52を互いに重ね合わせ、使用後には重ね合わせた部分が持ち手となる。詳述すると、トイレシート1Dは、排泄物捕捉面で捕捉後、仮固定部73にて、シート本体10に仮接着している最外層シート5の両側先端部分52,52を、シート本体10から外す。次に、コの字状を形成する一対の強接着部72,72及び強接着部71を軸として、最外層シート5を排泄物捕捉面側に転回して裏返す。そして、転回して裏返したコの字形状の最外層シート5における両側先端部分52,52を互いに重ね合わせ、重ね合わせた両側先端部分52,52を持ち手として握り、その状態で散歩を続けるようにして使用する。トイレシート1Dにおいても、トイレシート1Aと同様に、飼い主等の手がペットの排泄物に触れないように使用後のペット用トイレシート1Dを簡単に処理できる。また、トイレシート1Dにおいても、コの字状を形成する一対の強接着部72,72及び強接着部71を軸として、最外層シート5を転回して裏返すので、犬の排泄物である大便を完全に覆うことができ、使用後のペット用トイレシート1Dを持ち運んでも、ペットの排泄物が外部から見え難く、他人に不快な思いをさせたり、飼い主が恥ずかしい思いをしたりし難い。
【0059】
本発明のペット用トイレシートは、上述の第1実施形態のトイレシート1A、第2実施形態のトイレシート1B、第3実施形態のトイレシート1C及び第4実施形態のトイレシート1Dに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1,第2,第3,第4実施形態のトイレシートにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0060】
例えば、上述したトイレシート1A、トイレシート1B及びトイレシート1Cにおいては、図2,図6,図7に示すように、最外層シート5を構成する一対のシート部5a,5bが、それぞれ、Y方向に長い形状であるが、X方向に長い形状であってもよい。また、上述したトイレシート1Dにおいては、図8に示すように、最外層シート5が、Y方向に長い形状であるが、X方向に長い形状であってもよい。
【0061】
また、本発明のペット用トイレシートの各構成材料には、本発明の効果を損ねない範囲で種々添加剤を配合しても良い。添加剤としては、抗菌剤、無色系又は淡色系の消臭剤、香料などが挙げられる。
【0062】
本実施形態のペット用トイレシートは、犬や猫などの動物用トイレシートとして好適であるが、このほか、ウサギ、ハムスター等の動物用トイレシートとしても使用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1A,1B,1C,1D ペット用トイレシート
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
10 シート本体
11,12 側辺
5 最外層シート
5a,5b シート部
51 開口部
52 先端部分
6 外周縁部
61 短手シール部
62 長手シール部
71,72 強接着部
73 仮固定部
8 ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットの排泄物を受ける排泄物捕捉面を形成する液透過性の表面シートと、非排泄物捕捉面を形成する液不透過性の裏面シートとを備えたシート本体を有するペット用トイレシートであって、
前記シート本体の前記裏面シートの外面に最外層シートが配されており、
前記最外層シートは、前記シート本体の外周縁部に配された強接着部にて前記裏面シートと固定され、該強接着部以外の部分は該裏面シートと固定されていないか又は易離脱可能な仮固定部にて仮固定されており、
前記強接着部を軸にして前記最外層シートは前記排泄物捕捉面側に転回されて、持ち手となるよう構成されたペット用トイレシート。
【請求項2】
前記最外層シートがフィルム材である、請求項1記載のペット用トイレシート。
【請求項3】
前記最外層シートは、自己接着性を有している請求項1又は2に記載のペット用トイレシート。
【請求項4】
前記裏面シートは不透明であり、前記最外層シートは有色である請求項1〜3の何れか1項に記載のペット用トイレシート。
【請求項5】
前記最外層シートは、前記外周縁部以外の領域において、少なくとも使用後には、分離した一対のシート部を備えるようになされている、請求項1〜4いずれか記載のペット用トイレシート。
【請求項6】
一対の前記シート部には、前記強接着部以外の部分に開口部が設けられている請求項5に記載のペット用トイレシート。
【請求項7】
前記最外層シートには、前記一対のシート部を形成するようにミシン目が設けられており、
一対の前記シート部は、それぞれ、前記シート本体の外周縁部に配された強接着部にて前記裏面シートと固定され、該強接着部以外の部分は該裏面シートと固定されていないか又は易離脱可能な仮固定部にて仮固定されている、請求項5又は6に記載のペット用トイレシート。
【請求項8】
前記ペット用トイレシートは、矩形状であり、
前記最外層シートは、矩形状の前記ペット用トイレシートの一方の一対の側辺それぞれと他方の一対の側辺における1側辺とに一致する輪郭を有するコの字形状であり、
前記ペット用トイレシートは、前記強接着部を軸にしてコの字形状の前記最外層シートを前記排泄物捕捉面側に転回し、転回した該最外層シートにおけるコの字形状の開口側の両側先端部分を互いに重ね合わせ、重ね合わせた部分が持ち手となる請求項1〜4の何れか1項に記載のペット用トイレシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−111048(P2013−111048A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261997(P2011−261997)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】