説明

ペット用トイレ

【課題】ペットの幼少時から成長後まで使用できるトイレを提供すること。
【解決手段】外容器10と内容器20とを備える。外容器10の側壁12aの一部を切り欠いて、側壁の高さの低い外側低側壁部15を設けるとともに、内容器20の側壁22aの一部を切り欠いて、側壁の高さの低い内側低側壁部25を設ける。外側低側壁部15と内側低側壁部25との位置を一致させて内容器20を外容器10の内部に配置することで、ペット進入部2が形成されるようにする。これとともに、壁部高低調整手段によってペット進入部2を閉塞する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猫や犬等のペット(小動物)の排泄液の処理に用いられるペット用トイレに関する。
【背景技術】
【0002】
猫や犬等のペットの排泄液(尿等)を処理するためのペット用トイレとして、トレイ状の容器の底部に、砂などの吸液材を敷き詰めたものが知られている。このようなトイレを用いて例えば猫を飼育する場合、猫は排泄後に排泄箇所に砂をかける習性があることから、砂の飛び散りを防止する必要がある。この目的のために、ペット用トイレにおける砂を収容するトレイの側壁を高くする必要がある。例えば、特許文献1には、平面視して矩形の粒状物収容容器の三面に側壁を設け、残りの一面を低くして出入り口を設けた動物用トイレが記載されている。このトイレにおいては、出入り口からの砂の飛び散りを防止できないので、同文献においては、出入り口に別部材を配置して、砂の飛び散りを防止するようにしている。しかし同文献に記載のトイレでは、出入り口の位置が高いので、幼少の小型の動物を飼育する場合には、出入り口が目線よりも高くなってしまい、そこに出入り口があることを動物が認識できない。また、認識できたとしても、出入り口が高すぎてトイレ内に入ることができない。このことは高齢や疾病等で身体能力が低下している動物についても同様である。
【0003】
身体能力が低下した猫など、高い側壁を乗り越えられない猫にも使用できるトイレとして、特許文献2に記載のものが知られている。このトイレにおいては、出入り口をスロープにして低く形成する代わりに、該スロープに、砂が下方に落ちることが可能な開口部を設けてある。しかし、このスロープは、子猫や身体能力が低下した猫を飼育する場合にのみ必要であり、成長した健常な猫を飼育する場合には不要なものである。したがって、成長した健常な猫を飼育する場合には、スロープの分だけトイレのサイズが大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−6605号公報
【特許文献2】特開2010−284089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得るペット用トイレを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器と、外容器の内部に配置されてペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器とを備えたペット用トイレであって、
前記外容器又は前記内容器の側壁は、その一部の高さを調整可能な壁部高低調整手段を備えており、該壁部高低調整手段によって該側壁に、該側壁の他の部位よりも高さを低くした低側壁部が形成され、それによって、ペットがトイレ内に進入容易となるペット進入部が形成されるようになされている、ペット用トイレを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のペット用トイレは、これをペットの幼少時から使用することができ、成長後であっても砂の飛び散り防止効果を維持することができる。したがって、ペットの成長に合わせてトイレを買い換える必要がなく、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明のペット用トイレの一実施形態における内容器と外容器部分を示す分解斜視図である。
【図2】図2(a)及び(b)は、本発明のペット用トイレの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、図2(a)に示すペット用トイレにおけるIIIa−IIIIa線断面図であり、図3(b)は、図2(b)に示すペット用トイレにおけるIIIb−IIIb断面図である。
【図4】図4は、図1に示す内容器を別の方向から見た斜視図である。
【図5】図5は、本発明のペット用トイレの別の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図6(a)ないし(c)は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を示す斜視図である。
【図7】図7(a)及び(b)は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を示す斜視図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)に示すペット用トイレにおけるVIIIa−VIIIa線断面図であり、図8(b)は、図7(b)に示すペット用トイレにおけるVIIIb−VIIIb線断面図である。
【図9】図9は、図7に示す内容器を別の方向から見た斜視図である。
【図10】図10は、本発明のペット用トイレの更に別の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明のペット用トイレは、猫や犬などのほ乳類小動物を飼育するために用いられるものである。図1に示す実施形態のペット用トイレは、外容器10及び内容器20の2部材を備えている。同図に示すとおり、内容器20は外容器10の内部に入れ子状に配置される。外容器10及び内容器20はいずれも、例えば合成樹脂の射出成形によって製造できる。
【0010】
外容器10は、平面視して略矩形の底部11を有している。底部11の周縁には壁部12が立設されている。壁部12は、底部11の周縁の全域にわたって立設されている。壁部12は、外容器10の外方に向けて若干傾斜している。壁部12の上端14は、外容器10の外方に向けて反り返った形状になっている。壁部12は、対向する平面状の第1壁部12a及び第2壁部12bを有している。更に壁部12は、対向する面状の第3壁部12c及び第4壁部12dを有している。
【0011】
内容器20は、平面視して略矩形の底部21を有している。底部21は、外容器10の底部11と略相似形になっており、該底部11よりも小さくなっている。底部21は、ペットの排泄液の透過が可能な簀の子構造になっている。この簀の子構造は、格子状の桟部23aと、桟部23aによって画成される貫通孔23bとから構成されている。底部21の周縁には壁部22が立設されている。壁部22は、底部21の周縁の全域にわたって立設されている。壁部22は、内容器20の外方に向けて若干傾斜している。壁部22の上端24は、内容器20の外方に向けて反り返った形状になっている。壁部22は、対向する面状の第1壁部22a及び第2壁部22bを有している。更に壁部22は、対向する面状の第3壁部22c及び第4壁部22dを有している。
【0012】
外容器10の内部に内容器20が配置された状態においては、外容器10の壁部12の上端14の上に、内容器20の壁部22の上端24が当接し、それによって、内容器20が外容器10に入れ子状態で保持される。この状態においては、内容器20の簀の子構造の底部21が、外容器10の底部11から上方に離間する。したがって、内容器20の底部21と、外容器10の底部11との間には空間が形成される。この空間には、例えばマット状の吸液材料(図示せず)を配置することができる。マット状の吸液材料は、その下面が、外容器10の底部11の上面と当接する。内容器20の底部21上には、対象動物の習性に応じて該底部21に設けられる簀の子構造の開口部23bを通過しない程度の大きさを有する粒状物等(図示せず)を配置することができる。
【0013】
図1に示すとおり、外容器10は、その壁部12の一部、具体的には第1壁部12aの幅方向略中央域が、該第1壁部12aの上端14から下方に向けて、略逆台形状に切り欠かれている。その結果、第1壁部12aには、壁部12のうち他の部位よりも高さの低い部位である外側低壁形成部15が設けられている。外側低壁形成部15は、その上端15aが、壁部12の他の部位の上端14と略平行になっている。上端15aの幅は、第1壁部12aの幅の20〜80%になっている。
【0014】
外容器10と同様に、内容器20の壁部22も切り欠かれている。詳細には、内容器20は、その壁部22の一部、具体的には第1壁部22aの幅方向略中央域が、該第1壁部22aの上端24から下方に向けて、略逆台形状に切り欠かれている。その結果、第1壁部22aには、壁部22のうち他の部位よりも高さの低い部位である内側低壁形成部25が設けられている。内側低壁形成部25は、その上端25aが、壁部22の他の部位の上端24と略平行になっている。上端25aの幅は、第1壁部22aの幅の20〜80%になっている。
【0015】
以上の構成を有する外容器10及び内容器20を用いてペット用トイレを形成するには、図2(a)及び図3(a)に示すとおり、外側低壁形成部15と、内側低壁形成部25との位置を一致させて内容器20を外容器10の内部に配置する。つまり、内容器20が外容器10の内部に配置された状態において、外容器10の第1壁部12aと、内容器20の第1壁部22aとが対向するようにする。このように配置することで、図2(a)及び図3(a)に示すとおり、外側低壁形成部15と内側低壁形成部25との位置が一致して、ペット用トイレ1に、ペットがトイレ1内に進入可能なペット進入部2が形成される。ペット進入部2は、トイレ1における壁部3よりも高さが低くなっているので、例えば幼少のペットを飼育する場合、該ペットはトイレ1の内部を、ペット進入部2を通じて視認することができる。また、幼少のペットはペット進入部2を通じてトイレ1内に進入することができる。身体能力が低下したペットの場合にも、ペット進入部2を通じてトイレ1内に進入することができる。
【0016】
図2(a)及び図3(a)に示す状態のトイレ1においては、外容器10の外側低壁形成部15の上端15aと、内容器20の内側低壁形成部25の上端25aとは、ほぼ同じ位置にあり、より具体的には、同じ高さにある。しかし、これに代えて内容器20の内側低壁形成部25の上端25aの位置を、外容器10の外側低壁形成部15の上端15aの位置よりも高くしてもよい。
【0017】
また、図2(a)に示す状態のトイレ1においては、外側低側壁部15の幅と、内側低側壁部25の幅とはほぼ同じになっている。しかし、これに代えて、外側低壁形成部15の幅を、内側低壁形成部25の幅よりも広くしてもよく、あるいはその逆に、内側低壁形成部25の幅を、外側低壁形成部15の幅よりも広くしてもよい。トイレ1におけるペット進入部2の幅は、外側低壁形成部15及び内側低壁形成部25の幅のうち、狭い方の幅によって決定される。なお、前述した外側低壁形成部15の幅を、内側低壁形成部25の幅よりも広くした形態の究極の状態が、外容器10の側壁部すべての高さを内容器の内側低壁形成部15の高さと同じ又はそれよりも低くした形態である。
【0018】
図2(a)及び図3(a)に示すペット進入部2が形成されたトイレ1は、飼育しているペットが幼少の場合や身体能力が低下した場合に有用であるが、該トイレ1を用いて成長した健常なペットを飼育する場合には、内容器20の底部21に配置された粒状物等(図示せず)が、ペット進入部2を通じて外部へ飛び散るおそれがある。そこで、トイレ1は、内容器20の壁部22又は外容器10の壁部12が、その一部の高さを調整可能な壁部高低調整手段を備えており、成長した健常なペットを飼育する場合には、図2(b)及び図3(b)に示すように、壁部高低調整手段を用いてペット進入部2を閉塞する。逆に言えば、ペットが成長後、高齢のため身体能力が低下した場合等は、該壁部高低調整手段を用いて、内容器20の壁部22又は外容器10の壁部12に、該壁部の他の部位よりも高さを低くした低側壁部を形成し、それによって、図2(a)及び図3(a)に示すように、ペットがトイレ内に進入容易となるペット進入部2を形成する。
【0019】
ここで、壁部高低調整手段としては、ペット進入部2を必要に応じて形成したり閉塞したりすることができるものであれば良い。例えば、本実施形態においては、図2(a)に示すように、壁部高低調整手段として外容器10及び内容器20とは別部材となっている板状の閉塞部材30を用いる。閉塞部材30は、外容器10又は内容器20に着脱可能なものである。そして、図2(b)及び図3(b)に示すように、閉塞部材30を外容器10の外側低壁形成部15又は内容器20の内側低壁形成部25に取り付けることで、ペット進入部2を完全に閉塞する。したがって、図2(b)及び図3(b)に示す形態のトイレ1においては、高い壁部3が全周にわたって連続して形成された状態になる。これによって、成長した健常なペットが、トイレ1内で排泄を行い、その後に排泄した箇所に粒状物等をかけたとしても、粒状物等が壁部3を越えてトイレ外へ飛び散ることが効果的に防止される。逆に、図2(b)及び図3(b)の状態のトイレ1において図2(a)及び図3(a)に示すペット進入部2を形成する場合は、閉塞部材30を、それが取り付けられた外容器10又は内容器20の壁部から取り外す。
【0020】
本実施形態のペット用トイレ1によれば、ペットの幼少時から使用することができ、成長後であっても吸液材料の飛び散り防止効果を維持することができる。したがって、本実施形態のペット用トイレ1は、ペットの成長に合わせてトイレを買い換える必要がない上に、身体能力が低下した場合にも使用できるという利点を有する。
【0021】
図2及び図3に示す例では、閉塞部材30は内容器20に取り付けられている。つまり、内容器20は壁部高低調整手段を備えており、外容器10は壁部高低調整手段を備えていない。この場合、壁部高低調整手段によって形成される低側壁部は、内側低壁形成部25である。これとは反対に、内容器20が壁部高低調整手段を備えておらず、外容器10が壁部高低調整手段を備えている場合には、壁部高低調整手段によって形成される低側壁部は外側低壁形成部15である。
【0022】
以上の実施形態のトイレ1においては、内容器20として、図4に示す形態のものを用いることが好ましい。同図に示す内容器20は、内側低側壁部25に向かい合う壁部である第2壁部22bの外面にリブ26を設けたものである。リブ26は、壁部22の高さ方向に延びるように互いに離間して一対設けられている。各リブ26は、内容器20が外容器10の内部に配置されたときに、外容器10に設けられた外側低側壁部15の幅方向外方に位置するように設けられている。このようなリブ26を設けることの利点を、図3を参照しながら説明する。
【0023】
図3(a)に示すとおり、内容器20が外容器10の内部に配置され、ペット進入部2が形成された状態において、内容器20に設けられたリブ26を、外容器20の側壁の一部である第2壁部12bの内面に当接させると、内容器20は、リブ26が設けられた側壁(第2壁部22b)と反対側に押し出される。その結果、内容器20の内側低壁形成部25の上端25aが、外容器10の外側低壁形成部15に近接して、内側低壁形成部25と外側低壁形成部15との間に生じる間隙が減じられる。したがって、図3(a)に示すように、閉塞部材30によってペット用トイレ2を形成した場合に、両者の間を通じて粒状物等が落下したり、排泄液が流下したりすることが効果的に防止される。
【0024】
以上のとおり、内容器20の側壁の外面にリブ26を設けることで、トイレ1を、外容器10と内容器20との間に生じる隙間を減じることができ、該隙間が生じることに起因する不都合を解消することができる。
【0025】
内容器20の側壁の外面にリブ26を設けることに代えて、図5に示す形態の内容器20を採用することでも、外容器10と内容器20との間に生じる隙間を減じることができ、該隙間が生じることに起因する不都合を解消することができる。同図に示す内容器20においては、内側低壁形成部25に隣接する第1壁部22aの上端24に掛け止めフック27を設けている。掛け止めフック27は、ヒンジ機構を介して内容器20に一体的に設けられている。掛け止めフック27は、内側低壁形成部25に隣接する左右の位置にそれぞれ設けられている。図2に示す実施形態のように内容器20が外容器10の内部に配置された状態において、掛け止めフック27を外容器10の第1壁部12aの上端14に掛け止めすると、内側低壁形成部25の上端25aが、外側低壁形成部15に近接する。それによって、内側低壁形成部25の上端25aと、外側低壁形成部15との間に生じる間隙を減じることができる。
【0026】
図6(a)ないし(c)には、これまで説明してきた実施形態とは別の実施形態のペット用トイレ1が示されている。本実施形態のトイレ1は、図6(a)に示すように、内容器20が低壁形成部25を有しており、これまでの実施形態と同様である。これに対して、外容器10は低壁形成部を有していない。その代わりに、内容器20が外容器10の内部に配置された状態において、内容器20の壁部22の上端24が、外容器10の壁部12の上端14よりも上方に位置するように構成されている。
【0027】
図6(b)に示すように、内容器20が外容器10の内部に配置された状態において、外容器10の壁部12の上端14の位置を、内容器20の内側低壁形成部25の上端25aの位置とほぼ同じかそれよりも低くすることで、ペットがトイレ内に進入可能なペット進入部2が形成される。この形態のトイレ1は、幼少のペットを飼育する場合に有利なものである。
【0028】
一方、成長した健常なペットを飼育する場合には、図6(c)に示すように、外容器10及び内容器20とは別部材となっている閉塞部材30を別途用意しておき、該閉塞部材30を内容器20の内側低壁形成部25に取り付けることで、ペット進入部2を閉塞する。閉塞部材30としては、先に述べた図2に示す実施形態のものと同様のものを用いることができる。このように、図6に示す実施形態においては、壁部高低調整手段は、内容器に備えられており、外容器には備えられておらず、壁部高低調整手段によって形成される低側壁部は、内側低壁形成部25である。
【0029】
壁部高低調整手段としては、外容器10及び内容器20とは別部材となっている閉塞部材30を用いることに代えて、図7に示すような閉塞手段130を用いても良い。図7に示す閉塞手段130は、内容器20の壁部22に接続された接続部と、該壁部22とは接続されておらず該壁部22から離接可能な非接続部とを有している。
【0030】
以下、図7及び図8に基づいて閉塞手段130について詳述する。なお、図7及び図8に示す実施形態でも、図6に示す実施形態と同様、閉塞手段130は、内容器に備えられている。しかし、図1ないし図4に示す実施形態のように、外容器と内容器の壁部の高さを同程度に形成する場合等は、図7及び図8に示したものと同様に、切り込み部によって形成される閉塞手段130を外容器に備えることができる。この点は、後述する図10に示す実施形態でも同様である。
【0031】
図7及び図8に示す実施形態では、内容器20の壁部22の一部に、具体的には第1壁部22aの幅方向中央域に、その上端から下方に向けて延びる2本の切り込み部28,28が設けられている。更に、2本の該切り込み部28,28の下端部同士間にわたり、該壁部22の上端24と略平行な直線状の薄肉部29が形成されている。2本の切り込み部28,28に挟まれた部分31は、薄肉部29を蝶番として回動可能となっている。その結果、図7及び図8に示す閉塞手段130は、非接続部としての該部分31と、接続部としての薄肉部29とから構成されている。
【0032】
図7(a)及び図8(a)に示すように、トイレ1を成長した健常な動物の飼育に使用する場合には、2本の切り込み部28,28に挟まれた部分31(非接続部)を壁部22と接近させて、閉塞手段130を壁部22の一部として構成させる。幼少な動物等の飼育に使用する場合には、図7(b)及び図8(b)に示すように、薄肉部29(接続部)によって壁部22と閉塞手段130との接続状態を維持しつつ、非接続部を壁部22から離間させて、ペット進入部2を形成する。その場合に形成される低側壁部は、2本の切り込み部28,28に挟まれた部分31がその回動によって壁部22の一部を構成しなくなることにより形成される、壁部22における他の部位よりも高さが低い部位である内側低壁形成部25である。なお、本実施形態のように接続部を蝶番構造とする場合、薄肉部の代わりに嵌め合い構造の蝶番を採用することもできる。
【0033】
図7(b)及び図8(a)に示すように、閉塞手段130が壁部下方に接続されている場合には、閉塞手段130を容器外側に向かって倒せるようにしておく。具体的には、2本の切り込み部28,28に挟まれた部分31を、薄肉部29を蝶番として容器外側に向けて回動させる。このようにすると、閉塞手段130を、動物をペット進入部2に向かって案内するためのスロープとして使用できるので、身体能力が弱った動物に対して好適である。特に、図7(a)に示すように、2本の切り込み28,28は、下方に向かうに連れて互いに近接するように延びており、これによって切り込み28,28に挟まれた部分31は、下向きの台形状に形成されている。このような形状を採用することで、ペット案内用のスロープが安定しやすくなり、またペットがスロープを介してトイレ内に入りやすくなる。
【0034】
また、閉塞手段130と容器との接続方法は、壁部の下方部分に設けた蝶番構造に変えて、スライド手段や、上方への跳ね上げ手段(所謂ガルウィング形式)であっても良い。
【0035】
図9に示すように、図7及び図8に示す形態のトイレ1では、図4に示すものと同様のリブが、内容器20における内側低壁形成部25に向かい合う壁部22bの外面に設けられていてもよい。ただし、図9に示すリブ26は、外容器10の壁部12の高さに対応して、内容器20の壁部22bの下部に設けられている。図8(a)及び(b)に示すように、リブ26を外容器10の壁部12の内面に当接させることで、内容器20の内側低壁形成部25の上端25aが、外容器10の壁部12に近接し、内容器20の内側低壁形成部25の上端25aと外容器10の壁部12との間に生じる間隙が減じられる。これによって、閉塞手段130を回動させて形成されるスロープの安定性が向上し、ペットが歩く際にスロープがぐらつきにくい。
【0036】
なお、図7及び図8に示す形態のように、外容器10の壁部12の上端14の高さを、内容器に形成された低側壁部の上端25aの高さと同じ又はそれよりも低くした場合においても、図10に示すように、掛け止めフック27を用いて、内容器20の内側低壁形成部25の上端と外容器10の壁部12との間に生じる間隙を減じることが可能である。図10に示す掛け止めフック27は、内容器20の壁部22と外容器10の壁部12との高さの差を反映して比較的長いものに形成されている点以外は、図5に示す掛け止めフック27と同様のものである。該掛け止めフック27を、外容器10の壁部12の上端14に掛け止め内容器20の内側低壁形成部25の上端と外容器10の壁部12との間に生じる間隙を減じることによっても前述と同様の効果を図れる。
【0037】
以上の各実施形態のトイレ1は、猫や犬などのほ乳類小動物の飼育に好適に用いられ、特に排尿後に砂をかける習性を有する動物である猫の飼育に好適に用いられる。
【0038】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば図1ないし図10に示す実施形態においては、外容器10及び内容器20の底部11,21が平面視して略矩形であり、4面の壁部を有するものであったが、これに代えて3面や5面以上の壁部を有する外容器及び内容器を用いてもよい。また、壁部は平面状のものに限られず、曲面状であってもよい。例えば、外容器及び内容器として有底の円筒状のものを用いてもよい。
【0039】
また、前記の各実施形態のトイレ1においては、ペット進入部が1箇所のみ形成されていたが、これに代えて2箇所以上のペット進入部が形成されるようにしてもよい。例えば図1ないし図4に示す実施形態においては、外容器10における隣り合う2つの壁部、例えば第1壁部12aと第3壁部12cに外側低側壁部を設けるとともに、内容器20においても、外容器10に対応させて、第1壁部22aと第3壁部22cに内側低側壁部を設けることができる。また、隣り合う2つの壁部の角部に同様に設けても良い。このようにすることで、トイレ1においては、隣り合う2つの壁部のそれぞれにペット進入部が形成される。これら2つのペット進入部を閉塞するときには、各ペット進入部それぞれに対して壁部高低調整手段を設ければよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ペット用トイレ
2 ペット進入部
10 外容器
11 底部
12 壁部
14 壁部の上端
15 外側低壁形成部
20 内容器
21 底部
22 壁部
24 壁部の上端
25 内側低壁形成部
26 リブ
27 掛け止めフック
30 閉塞部材
130 閉塞手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する外容器と、外容器の内部に配置されてペットの排泄液を透過可能な簀の子構造の底部及び該底部の周縁に立設された側壁を有する内容器とを備えたペット用トイレであって、
前記外容器又は前記内容器の側壁は、その一部の高さを調整可能な壁部高低調整手段を備えており、該壁部高低調整手段によって該側壁に、該側壁の他の部位よりも高さを低くした低側壁部が形成され、それによって、ペットがトイレ内に進入容易となるペット進入部が形成されるようになされている、ペット用トイレ。
【請求項2】
前記外容器及び前記内容器のうち、一方の容器は前記壁部高低調整手段を備えており、かつ他方の容器は壁部高低調整手段を備えておらず、
前記壁部高低調整手段を備えていない容器の側壁の一部に、該側壁のうち他の部位よりも高さの低い部位である低壁形成部を設け、
前記内容器を前記外容器の内部に配置した状態において、前記壁部高低調整手段を備えている容器に形成された前記低側壁部の位置と、壁部高低調整手段を備えていない容器に形成された前記低壁形成部の位置とを一致させて、前記ペット進入部が形成されるようにした、請求項1記載のペット用トイレ。
【請求項3】
前記壁部高低調整手段が前記内容器に備えられており、
前記壁部高低調整手段によって前記内容器の側壁に前記低側壁部を形成したときに、前記外容器の側壁の上端の位置が、該低側壁部の上端の位置と同じかそれよりも低くなるようになされている、請求項1記載のペット用トイレ。
【請求項4】
前記壁部高低調整手段が、該壁部高低調整手段を備えている容器の側壁から着脱可能な部材であり、該部材を該側壁から取り外すことによって、前記ペット進入部が形成されるようにした、請求項1ないし3のいずれか一項記載のペット用トイレ。
【請求項5】
前記壁部高低調整手段が、該壁部高低調整手段を備えている容器の側壁に接続された接続部と、該側壁とは接続されておらず該側壁から離接可能な非接続部とを有し、該接続部によって該側壁と該壁部高低調整手段との接続状態を維持しつつ、該非接続部を側壁から離間させることによって、前記ペット進入部が形成されるようになされている、請求項1ないし3のいずれか一項記載のペット用トイレ。
【請求項6】
前記外容器又は前記内容器の側壁の一部に、その上端から下方に向けて延びる2本の切り込み部を設けるとともに、2本の該切り込み部の下端部同士間にわたり該側壁の上端と略平行な直線状の薄肉部を形成して、前記壁部高低調整手段を、2本の該切り込み部に挟まれて該薄肉部を蝶番として回動可能な部分と、該薄肉部とから構成し、
2本の前記切り込み部に挟まれて回動可能な前記部分を、前記薄肉部を蝶番として容器外側に向けて回動させることによって、前記ペット進入部が形成され、かつ該ペット進入部にペットを案内可能なスロープが形成されるようにした、請求項5記載のペット用トイレ。
【請求項7】
前記内容器が前記壁部高低調整手段を備えている場合、該内容器の前記低側壁部に向かい合う側壁の外面にリブを設け、該リブを前記外容器の側壁の内面に当接させることで、内容器の低側壁部の上端を、外容器の前記低壁形成部に近接させて、内容器の低側壁部の上端と外容器の低壁形成部との間に生じる間隙を減じるようにし、
前記外容器が前記壁部高低調整手段を備えている場合、前記内容器の前記低壁形成部に向かい合う側壁の外面にリブを設け、該リブを外容器の側壁の内面に当接させることで、内容器の低壁形成部の上端を、外容器の前記低側壁部に近接させて、内容器の低壁形成部の上端と外容器の低側壁部との間に生じる間隙を減じるようにした、請求項2記載のペット用トイレ。
【請求項8】
前記内容器において、前記低側壁部に向かい合う側壁の外面にリブを設け、該リブを前記外容器の側壁の内面に当接させることで、内容器の低側壁部の上端を、外容器の側壁に近接させて、内容器の低側壁部の上端と外容器の側壁との間に生じる間隙を減じるようにした、請求項3記載のペット用トイレ。
【請求項9】
前記内容器が前記壁部高低調整手段を備えている場合、該内容器の前記低側壁部に隣接する側壁の上端に掛け止めフックを設け、該掛け止めフックを前記外容器の側壁の上端に掛け止めして、内容器の低側壁部の上端を、外容器の前記低壁形成部に近接させて、内容器の低側壁部の上端と外容器の低壁形成部との間に生じる間隙を減じるようにし、
前記外容器が前記壁部高低調整手段を備えている場合、前記内容器の前記低壁形成部に隣接する側壁の上端に掛け止めフックを設け、該掛け止めフックを前記外容器の側壁の上端に掛け止めして、内容器の低壁形成部の上端を、外容器の前記低側壁部に近接させて、内容器の低壁形成部の上端と外容器の低側壁部との間に生じる間隙を減じるようにした、請求項2記載のペット用トイレ。
【請求項10】
前記内容器において、前記低側壁部に隣接する側壁の上端に掛け止めフックを設け、該掛け止めフックを前記外容器の側壁の上端に掛け止めして、内容器の低側壁部の上端を、外容器の側壁に近接させて、内容器の低側壁部の上端と外容器の側壁との間に生じる間隙を減じるようにした、請求項3記載のペット用トイレ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−85493(P2013−85493A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226784(P2011−226784)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)