説明

ペット用吸収性シート

【課題】吸収体の材料を変えることなく、厚み方向の吸収拡散を防止することにより、シート面に平行な向きの液拡散性を向上させることができるペット用吸収性シートを提供する。
【解決手段】透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、それらの間に介装される吸収体とを有し、1平方センチメートル当たりの常圧吸収量が0.2cc以上のペット用吸収性シートにおいて、吸収体は、表面シートを透過した液体を30cc吸収した時の厚み方向の膨張を7mm以下に抑える厚み膨張防止加工部を有する。エンボス加工によりペット用吸収性シート面に平行な向きの液拡散性を向上させることで厚み方向の膨張を抑える。接着により前記吸収体が膨張するのを防止する。ホットメルトによる接着またはエンボス加工による接着とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用吸収性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年室内犬の市場が伸張しており、犬、猫等のペットが排泄した尿等を吸収するためのペット用吸収性シートが普及している。特に日中に留守にする飼育者が増加傾向にあることから厚型のペット用吸収性シートであって、複数回の排尿に対応するものが求められている。こうしたペット用吸収性シートとしては、透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に介装される吸収体と、を備える構成が知られている。
【0003】
また、ペットシート用トレーにペット用吸収性シートを敷き、その上にメッシュ状(格子状)の蓋を載せて、ペット用吸収性シートからの逆戻り対策とする使用形態もある。排尿時の吸収拡散がペット吸収性シートの高さ(厚み)方向に広がると、上面に存在するメッシュ状の蓋にまでペット用吸収性シートが膨れ、ペット用吸収性シートの表面がトレーのメッシュ状の蓋に接することで、液溜りや溢れが発生し、吸収阻害を起こしてしまう問題があった。その状態ではペットの足に尿が付着してしまい、そのまま室内を歩くと室内が汚れてしまう。
そこで、例えば、吸収体を上層と下層の2層とし、上層に比べ下層の吸収速度を速めたり、上層と下層との間に拡散性シートを配置したりすることで尿の拡散性を向上させたペット用吸収性シートが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−232684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のペット用吸収性シートは拡散性の向上をもたらすものの、厚み方向の膨張を直接的に防止するものではないから、液溜りや溢れの発生を防止することにおいて確実とはいえない。また、吸収体の構成材料がより増えることとなって、製造コストのアップにつながる。
【0006】
本発明の課題は、吸収体の材料を変えることなく、厚み方向の吸収体膨張を抑制(厚み膨張防止)することにより、シート面に平行な向きの液拡散性を向上し、メッシュ状(格子状)のトレーの蓋を使用した時でも逆戻り防止等の蓋付きトレー本来の機能を損なうことなく使用することができるペット用吸収性シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、
透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を有し、1平方センチメートル当たりの常圧吸収量が0.2cc以上のペット用吸収性シートにおいて、
前記吸収体は、前記表面シートを透過した生理食塩水30ccを吸収した時の厚み方向の膨張を7mm以下に抑える厚み膨張防止加工部を有することを特徴とする。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、吸収体の略全面に厚み膨張防止加工部を有するので厚み方向の膨張が抑えられる。
そのためトレーのメッシュ状の蓋と接しないため、トレー使用時には、液溜り、溢れを防止できる。その結果、排尿の際にペットの足が尿で汚れるのを防止できる。したがって、排尿後ペットが室内を歩いても部屋を汚すことがない。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のペット用吸収性シートにおいて、前記厚み膨張防止加工部は、エンボス加工を施したエンボス加工部であることで厚み方向の膨張を抑えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を有することは無論のこと、既成の生産ラインによる生産が可能であり、型を変更することで当該厚み膨張防止加工部の模様、デザインを変更することができるというメリットを有する。
また、ペット用吸収性シート全体の剛性を高めることができるので、ペット用吸収性シートにペットがのっても皺になりにくいという効果を奏する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2のいずれか一項に記載のペット用吸収性シートにおいて、前記厚み膨張防止加工部は、前記ペット用吸収性シート内の任意の10センチメートル直径円内に少なくとも1つ設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、表面シートが吸収体から浮かないので、厚み方向の膨張防止ができる。それにより、トレー使用の際の液溜り防止がより大きく期待できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、吸収体の略全面に厚み膨張防止加工部を有するので、厚み方向の膨張が抑えられる。
また、吸収体の構成材料は1種類で足りるのでコスト上のメリットがある。
トレー使用時には、液溜り、溢れを防止できる。その結果、排尿の際にペットの足が尿で汚れるのを防止できる。したがって、排尿後ペットが室内を歩いても部屋を汚すことがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態のペット用吸収性シートの一例を模式的に示す断面図(図1(a))および平面図(図1(b))である。
【図2】メッシュ状蓋付きのペットシート用トレーを真上から見た平面図である。
【図3】ペット用吸収性シートの使用の際に液体が吸収される様子を説明する図である。
【図4】エンボス加工部の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態であるペット用吸収性シートを詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
なお、以下の説明では、ペット用吸収性シートの長手方向をX方向、X方向と直交する方向(幅方向)をY方向とする。また、ペット用吸収性シートの厚み方向をZ方向とする。
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のペット用吸収性シートについて、図1、図2、図3に基づいて説明する。
ペット用吸収性シート100は、例えば、図1に示すように、平面視長方形の形状となっており、例えば、図2に描くペットシート用トレー200の内側に敷き、その上にメッシュ状の蓋210を置いて使用されるものであり、表面シートを透してペットにより排泄された排泄物の水分をシート内の吸収体に吸収することができるものである。
【0017】
具体的に、ペット用吸収性シート100は、図1に示すように、尿などの液体を速やかに透過させる透液性のトップシート(表面シート)101と、トップシート101の裏面側に配置される不透液性のバックシート(裏面シート)107と、これらトップシート(表面シート)101とバックシート(裏面シート)107との間に介装される吸収体105とを備えて構成されている。
【0018】
表面シート101は、有孔または無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどにより形成されている。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布を製造する方法としては、公知の方法を適宜用いることができ、例えば、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、或いはこれらを組み合わせた方法等によって不織布を製造することができる。
表面シート101に多数の透孔を形成した場合には、尿等の液体がより速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
【0019】
裏面シート107は、吸収体105底面を覆い、さらに吸収体105の端面を覆って、吸収体105上面の長手両側縁部において、表面シート101側に折り返される。そして裏面シート107の折り返された部分と表面シート101とがホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シール等により接着されている。
裏面シート107は、液不透過性の素材であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。また、このほかにも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂または疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも裏面シート107として用いることができる。
【0020】
吸収体105は、尿等の水様成分を吸収するものであり、例えば、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。また、繊維集合体に、高吸水性樹脂(SAP;Super Absorbent Polymer 以下、「SAP」と略す。)を組み合わせて吸収体105を構成することもできる。
高吸水性樹脂としては、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸およびその塩類、アクリル酸塩重合体架橋物、澱粉−アクリル酸グラフト共重合体、澱粉−アクリロニトリルグラフト共重合体の加水分解物、ポリオキシエチレン架橋物、カルボキシメチルセルロース架橋物、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド等の水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの、あるいはイソブチレンとマレイン酸との共重合体等が好適に用いられる。
さらに、消臭機能を持たせるため、消臭剤を吸収体105に入れてもよい。消臭剤としては、例えば、活性炭や天然鉱物(例えば、ベンナイト、カオリナイト、カネマイト等)、合成無機物(ゼオライト、アモルファスシリカ等)を用いることができる。
【0021】
第1実施形態における吸収体105は、パルプ(バージンフラッフパルプ)と高吸収性ポリマーを主な成分とし、膜状に構成したものであり、その上側(表面シート側)において上クレープ紙103に覆われ、下側(裏面シート側)において下クレープ紙104に覆われる。トップスパイラル102は、ホットメルト接着剤による接着部であり、吸収体105を上クレープ紙103を介してトップシート(表面シート)101に接着している。ホットメルトを図1(b)の破線110で描くように、トップシート(表面シート)の内側(吸収体側)にスパイラル状に塗布し、幅広い面積における接着を少ない接着剤で行うものであり、トップシートの透液性を阻害しない程度のまばらな状態で接着するものである。トップスパイラル102は、霧状に塗布される結果、トップシート101の吸収体側全体に拡がるので図1(a)ではトップシート全体に塗られているように描かれている。一方、スパイラル塗布をする際のホットメルトを塗布するノズルが動く軌跡としては、図1(b)に破線110で描くようなスパイラル状である。
【0022】
吸収体の略全域に、エンボス加工部120が設けられている。第1実施形態にあっては、エンボス加工部120は、ペット用吸収性シート100の外形輪郭線に対して45度傾きをもつ格子状の模様を有しており、吸収体105が上クレープ紙103と下クレープ紙104とに挟まれた状態で、エンボス加工が施されている。エンボス加工部120は、当該ペット用吸収性シートの吸収体の略全域にわたって格子状に形成された凹部、すなわち線状の溝部として設けられている。第1実施形態にあっては、Z方向の上から順に、上クレープ紙103、吸収体105、下クレープ紙104を積層した状態でエンボスロールを押圧するエンボス加工を行うことで形成される。エンボス加工としては、加熱したエンボスロールを用いたヒートエンボス加工が、上クレープ紙103、吸収体105、下クレープ紙104の密着性の点から好ましい。
【0023】
この場合、上クレープ紙103にエンボス加工による凹部を形成するほか、吸収体105の厚み方向一部または略全体に達するようにエンボス加工による凹部を形成する。また、例えば、高圧搾と低圧搾のエンボス加工を交互に付与することで、液の水平方向の拡散速度を調整することができる。エンボス加工により形成される凹部は、これが延在する方向に、液体を誘導し拡散させる効果があり、吸収体105のより広範な部分を吸収に利用できるようになる。よって、尿が一箇所に集中した場合でも。吸収容量不足に基づく漏れが発生し難くなる。
【0024】
バックシート(裏面シート)107の内側(吸収体105側)に設けられるバックビード106は、バックシート(裏面シート)107と吸収体105とを接着する接着剤である。具体的には、ホットメルト接着剤を直線状に塗布することによりバックビードが設けられる。
【0025】
(実施例)
【表1】

【0026】
表1は、実施例における各部材の素材を示している。吸収体を構成するパルプは、本実施例にあっては、バージンパルプを用いたが、古紙パルプを用いることもできる。吸収体を構成する高吸収性ポリマーは、アクリル酸重合体を用いた。トップシート(表面シート)は、多孔性プラスチックシートを用いた。バックシートは、非通気性のポリエチレンフィルムを用いた。ホットメルトは、ベースポリマーSIS/SBSを用いた。
【0027】
【表2】

【0028】
表2は、実施例における各部材の寸法を示している。表2でMDはマシン方向(製造ラインの流れる方向)の長さを意味する。CDは、MDに対して直交する向きを示している。
【0029】
【表3】

【0030】
表3は、実施例のペット用吸収性シートの仕様を示すものである。「常圧吸収量」は、0.9%生理食塩水にトップシート面を水面に向け5分間漬け、物干しに掛けて2分30秒間水切りをした時、どれだけの0.9%生理食塩水を吸収するかを示す量である。「製品の厚み」は、吸収体105の厚みを無加重状態で測定したものである。「吸収後高さ」は、30ccの0.9%生理食塩水を吸収し、1分間経過後の高さを無加重状態で測定したものである。トレー1、トレー2は、市販されているペットシート用トレーの代表的なもの二種類を選定し、それぞれに番号付けをしたものである。比較例1、比較例2は、市販されているペットシートの代表的なものを二種類選定し、それぞれを名づけたものである。実施例の欄は、本発明にかかる第1実施形態のペット用吸収性シートであって、表1、表2の仕様のものである。
【0031】
表3の実験データを得るための実験方法を説明する。トレー1、トレー2は、いずれもおよそ図2に描いたように四角い盆のような形状をしたペットシート用トレー200とメッシュ状(格子状)の蓋210とからなるものであり、それらの間にペット用吸収性シート100を敷いて用いるようになっている。表3に示すように、実施例、比較例1、比較例2のペット用吸収性シートは、同様のサイズであり、トレー1、トレー2のいずれにも対応可能なものである。そして、これら三種類のペット用吸収性シートは、表3の単位面積当りの常圧吸収量の項からわかるように実施例が0.4492cc/cm2、従来品Aが0.3801cc/cm2、従来品Bが0.3708cc/cm2といずれも1平方センチメートル当たりの総吸収量が0.2cc以上のペット用吸収性シートである。
【0032】
図3に描いたように、これらのペット用吸収性シートをそれぞれトレー1、トレー2(200)に敷いて、その上にメッシュ状の蓋210を置く。所定の高さ(具体的には5cmの高さ)の固定した場所から30ccの生理食塩水をゆっくりと垂らす。具体的には、テルモ社製シリンジ50ml(ss−50ESz)を使用し自然落下にて生理食塩水を垂らす。垂らし終えた後、1分間経過後に吸収体の厚みを測定した。この測定を三種類のペット用吸収性シートのそれぞれについて、5個の製品を任意に取り出して5回繰り返し行い、平均値を取った結果が表3に示したものである。実施例にあっては、平均6.6mmであった。それに対し、比較例1では、12.8mm、比較例2では9.6mmであった。
【0033】
表3のトレー使用評価の項に示したように、実施例(第1実施形態の実施例)では、トレー1に使用した場合も、トレー2に使用した場合も、30cc排尿時に液溜りが生じなかった(図3(c))。それに対し、比較例1、比較例2にあっては、トレー1、トレー2いずれの場合も30cc排尿時に液溜りが生じた(図3(b))。図3(a)は、生理食塩水を垂らす様子を示す断面図である。図3(b)は、吸収時に膨れが生じ、トップシートとトレーの蓋とが接している状態を示す拡大断面図である。図3(c)は、吸収時に膨れがなく、吸収後もトップシートとトレーの蓋との間に隙間がある状態を示す拡大断面図である。ここで、液溜りは、ペット用吸収性シートが尿を吸収しきれずに、トレーのメッシュ状の蓋を上から見たときに、ペット用吸収性シートの上に尿が溢れているのが視覚的に認められる状態をいう。
【0034】
ここで、前述の発明の解決手段の項の記載と実施例との関係を明らかにする。まず、実施例、比較例1、比較例2はいずれも「透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を有し、1平方センチメートル当たりの総吸収量が0.2cc以上のペット用吸収性シート」に該当する。
そして、実施例では、「吸収体は、前記表面シートを透過した生理食塩水30ccを吸収した時の厚み方向の膨張を7mm以下に抑えた」ことが、表3に示した実験結果から明らかとなった。そして、この結果をもたらした構成は、吸収体に施したエンボス加工である。したがって、「吸収体に施したエンボス加工」部が厚み膨張防止加工部に該当する。
【0035】
また、吸収体105にエンボスによる凹部を形成すると剛性を高めることができるため、凹部によって吸収体105にコシが生じ、ペット用吸収性シートは、ペットがペット用吸収性シートに乗っても皺になりにくいという効果を奏する。
トレー使用時には、液溜り、溢れを防止できる。その結果、排尿の際にペットの足が尿で汚れるのを防止できる。したがって、排尿後ペットが室内を歩いても部屋を汚すことがない。
【0036】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のペット用吸収性シートについて、説明する。
【0037】
第2実施形態のペット用吸収性シートが、第1実施形態と違う点は、表面シートと吸収体とを積層した状態でエンボス加工を行う点である。第1実施形態では、吸収体105にエンボス加工を施し、吸収体と表面シートとの接着はホットメルトによるものであった。
すなわち、第1実施形態では、エンボス加工の対象は、吸収体105(厳密にいうと、上クレープ紙103と、吸収体105と、下クレープ紙104とを積層した状態)であった。それに対し、第2実施形態では、吸収体105(103,105,104)の上に表面シート101を重ねた状態でエンボス加工を施す。これにより、表面シート(トップシート)と吸収体との密着度が高まり、トップシートの膨らみシロがなくなることで、吸収時の厚み方向の膨らみを抑えることができる。
【0038】
以上説明した第2実施形態のペット用吸収性シート2によれば、トップシートと吸収体を重ねた状態でエンボス加工することでトップシートが張られた状態になり、その張りにより吸収体の厚み膨張が抑制されるという効果をもたらす。
【0039】
(エンボス加工部の変形例1)
次に、第1実施形態及び第2実施形態のペット用吸収性シートにおいて、エンボス加工部120の変形例1を図4(a)に示す。
なお、当該変形例1の説明において、上記第1実施形態又は第2実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
本変形例1のエンボス加工部130は、ドット状の凹部を吸収体105の略全域にちりばめた形状(ドットパターン)を有するものである。エンボス加工部130を備えたペット用吸収性シート3によれば、凹部の縁に沿って尿等の液体を吸収体14の全面に拡散させるとともに、厚み方向の膨張を防止することができる。表3に示したサイズの厚型のペットシートにおいて、3回の排尿を吸収すると考えると、1回の排尿直径は10センチメートル以下となる。したがって、ペットシート内の任意の10センチメートル直径円にすくなくとも一つの支点(厚み膨張防止加工部)を設ける必要があると考えられる。図4(a)に示すドットパターンは、その条件を満たすように設計される。
【0041】
なお、本発明は、上記第1、第2実施形態及び変形例1,2に限定されるものではなく、具体的な構造について適宜変更可能であるのは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
100 ペット用吸収性シート
101 トップシート(表面シート)
102 トップスパイラル(接着部:膨張防止加工部)
103 上クレープ紙
104 下クレープ紙
105 吸収体
106 バックビード
107 バックシート(裏面シート)
110 トップスパイラル(ホットメルトを塗布するノズルの軌跡)
120 エンボス加工部(膨張防止加工部)
130 エンボス加工部(膨張防止加工部)
140 エンボス加工部(膨張防止加工部)
200 ペットシート用トレー
210 メッシュ状の蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透液性の表面シートと、不透液性の裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に介装される吸収体と、を有し、1平方センチメートル当たりの常圧吸収量が0.2cc以上のペット用吸収性シートにおいて、
前記吸収体は、前記表面シートを透過した生理食塩水30ccを吸収した時の厚み方向の膨張を7mm以下に抑える厚み膨張防止加工部を有することを特徴とするペット用吸収性シート。
【請求項2】
前記厚み膨張防止加工部は、エンボス加工を施したエンボス加工部であることを特徴とする請求項1に記載のペット用吸収性シート。
【請求項3】
前記厚み膨張防止加工部は、前記ペット用吸収性シート内の任意の10センチメートル直径円内に少なくとも1つ設けられることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載のペット用吸収性シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−213337(P2012−213337A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79507(P2011−79507)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】