説明

ペット用水筒

【課題】ペット用水筒において、持ち運びなどが便利であり、しかも給水が簡単且つ迅速、確実に行えるようにする。
【解決手段】水飲み容器2と、これにヒンジ部4を介して上下揺動自在に結合された貯水ボトル3とを有し、貯水ボトル3にはヒンジ部4近傍にボトル内の水を水飲み容器2内へ吐出可能な吐出口部が設けられ、貯水ボトル3を揺動領域の下位置で横倒姿勢とさせたときにはこの貯水ボトル3を水飲み容器2内へ収納可能とされており、貯水ボトル3には水飲み容器2から引き上げる状態にしたときに吐出口部を閉鎖状態と開口状態との間で機械的に弁動作させることのできる弁機構35が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬や猫などのペットに対する給水に好適に使用可能なペット用水筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
散歩中の犬に任意の場所で水を飲ませるときなどに好適に使用できるペット用水筒として、水を入れて持ち運ぶための貯水ボトルと、ペットが水を飲みやすいように貯水ボトルから注ぎだした水を溜めておくための水飲み容器とを有した給水装置が各種知られている(例えば、特許文献1〜3等参照)。
これらの給水装置は、据え置いた水飲み容器に対し、貯水ボトルを倒立状態で結合させて用いるが、貯水ボトルを水飲み容器へ結合する部分に弁機構が設けられていないもの(特許文献1等)と、設けられているもの(特許文献2や3等)とで大別することができる。
【0003】
弁機構が設けられたものは、貯水ボトルを水飲み容器から分離したときには閉弁状態になって貯水ボトルからの漏水を防止し、貯水ボトルを水飲み容器に結合させる行為に伴い、弁が水飲み容器側の適所に当接して押し開かれる(開弁動作する)構造になっている。そのため水飲み容器に貯水ボトルが結合された状態では否応なく開弁状態となる。
すなわちこれらの給水装置は、弁機構の有無に関係なく、ペットが水飲み容器の水を飲むことで倒立させた貯水ボトルの口より水位が下がったときに、この口から貯水ボトル内に空気が侵入して水飲み容器内へ水が補充され、水位が上がると大気圧の作用で水飲み容器内の水面が一定に保たれるという原理になっている。
【0004】
このようなことから、これらの給水装置では、給水時以外は、貯水ボトルと水飲み容器とを分離させたバラバラの状態にすることが必要であり、ペットとの散歩時などでは持ち運びが非常に不便であった。
一方、この不便さを解消する給水装置として、貯水ボトルと水飲み容器とがヒンジ結合され、これら両者をいちいち分離させたり結合させたりする手間を省いたものが知られている(特許文献4参照)。
この給水装置では、貯水ボトルの口部に有底円筒形状をしたゴムキャップが取り付けられ、このゴムキャップの先端(有底円筒形の底に当たる部分)にスリットが形成されたものである。
【0005】
また水飲み容器にはその内側の底部に突起が設けられており、水飲み容器に対して貯水ボトルを立ち上げ、倒立状態にしたとき、水飲み容器内の突起がゴムキャップの側面に当接するようになっている。このときゴムキャップに対する突起の当接が強まるように貯水ボトルを倒立状態から更に傾かせるようにすると、ゴムキャップが円筒形から、微小ではあるが楕円筒形状へと弾性変形するので、これに伴ってスリットが開き、貯水ボトル内の水が水飲み容器へ注ぎ出されるというものであった。
【特許文献1】米国特許第5259336号公報
【特許文献2】実用新案登録第3023261号公報
【特許文献3】米国特許第4134365号公報
【特許文献4】特開2004−121104号公報(図11及び図12)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の給水装置のうち、貯水ボトルと水飲み容器とを分離させたバラバラの状態にしなければならないもの(特許文献1〜3)は、上記したように持ち運びに不便であり、また分離や結合も面倒であるなどの問題があった。
これに対し、貯水ボトルと水飲み容器とをヒンジ結合した給水装置(特許文献4)では、貯水ボトルを倒立状態から更に傾かせるという操作を行っても、うまくスリットが開かない場合があった。そのため使用者は、無理に貯水ボトルを傾かせるようになり、ゴムキャップが破損したり、水飲み容器が不安定になって倒れたりするといったことがあった。
【0007】
またスリットがうまく開いたとしても、水の注ぎ出しは少量で遅いため、ペットにせがまれ、これを待ちきれなくなった使用者は貯水ボトルの胴部を押しつぶすような行為(内圧を高める行為)をすることになる。しかし、それでもスリットの開口幅が大きくなるわけではないので、使用者のイライラが増したり、手が痛くなったり、貯水ボトル自体が変形してしまったりするといった様々な弊害が誘発されることにもなっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、持ち運びなどが便利で、給水が簡単且つ迅速、確実に行えるようにしたペット用水筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るペット用水筒は、底部及びこの周囲を取り囲む周壁を有して上部開口を飲み口とする水飲み容器と、この水飲み容器の一隅部にヒンジ部を介して上下揺動自在に結合された貯水ボトルとを有している。また、貯水ボトルには、上記ヒンジ部近傍にボトル内の水を水飲み容器内へ吐出可能な吐出口部が設けられ、貯水ボトルを揺動領域の下位置で横倒姿勢とさせたときには、この貯水ボトルを水飲み容器内へ収納可能となっている。
【0009】
そして、貯水ボトルには、水飲み容器への収納状態から出したときに、上記吐出口部を閉鎖状態と開口状態との間で機械的に弁動作させることのできる弁機構が設けられている。
このように機械的に弁動作する弁機構であれば、確実で且つ簡単に水飲み容器に対する給水ができる。また一旦、弁動作させれば、更なる力を使わなくても給水状態を維持させることができるので便利である。
なお、弁機構に対して行う弁動作は、貯水ボトル全体を押し引きすることによる直線動作的なものや、貯水ボトル全体を捻ることによる捻り動作的なもの、貯水ボトルを上下揺動させるのに伴わせる傾動動作的(カム動作的)なものをはじめとして、スナップスイッチのような操作片を揺動操作するときのような部分傾動的なものやダイヤルのような操作片を回すような部分回動的なものなど、特に限定されるものではない。
【0010】
貯水ボトルは、ボトル本体とこのボトル本体の先端部に着脱自在に設けられるキャップとを有したものとすることができ、このキャップに弁機構を設ければよい。
この場合、キャップと水飲み容器のうちいずれか一方に軸心を横向きにしたヒンジ軸が突設され、同他方に上記ヒンジ軸を回動自在に保持する軸受け部が設けられたものとして、これらヒンジ軸と軸受け部との係合によってヒンジ部が形成されるものとすればよい。
言うまでもなく、キャップにヒンジ軸が設けられ、水飲み容器に軸受け部が設けられる場合と、キャップに軸受け部が設けられ、水飲み容器にヒンジ軸が設けられる場合のいずれでもよい。
【0011】
この構造を採用する場合には、弁機構は、ヒンジ部におけるヒンジ軸と軸受け部との係合状態を弁動作時の不動点とおいて(即ち、動かさない支点と仮定して)、キャップ自体を動作させる(貯水ボトル全体を押し引きしたり捻ったりする)構造とするのが好適である。この中でも、殊に、ヒンジ部に対して貯水ボトルを押したり引いたりする動作で弁動作をさせる構造とするのが、使用者にとって無理のない自然な動きになるので、操作性に関して好適と言える。
弁機構は、貯水ボトルのボトル内と連通する中空の筒構造に形成された中栓部材と、この中栓部材にガタツキ無く外嵌する筒構造に形成されて、この中栓部材との間で引き出し位置と押し込み位置との間を相対摺動自在とされた外装弁体とを有したものとすることができる。
【0012】
この場合、外装弁体の先端部には、押し込み位置とされたときに中栓部材の先端部に当接する蓋面が設けられていると共に、この蓋面には弁孔が設けられたものとする。またこれに対して中栓部材の先端部には、外装弁体が押し込み位置へ位置付けられたときに上記弁孔を閉鎖する栓部と、外装弁体が引き出し位置へ位置付けられて中栓部材の先端部から蓋面が離反したときに上記栓部の周囲で開通状態とされる連通孔が設けられたものとする。
このようにすると、外装弁体が引き出し位置へ位置付けられることにより、中栓部材の連通孔と外装弁体の弁孔とが連通した状態となり、この状態で吐出口部が形成されることになる。
【0013】
なお、このような弁機構において、中栓部材がキャップ自体に設けられ、外装弁体に対してヒンジ軸又は軸受け部が設けられているものとしても、或いは反対に、外装弁体がキャップ自体に設けられ、中栓部材に対してヒンジ軸又は軸受け部が設けられているものとしてもよいが、構造的には前者の方がシンプルとなり、好適と言える。
弁機構の中栓部材に対し、外装弁体の周囲を取り囲む殻壁を設けておき、この殻壁に、中栓部材と外装弁体とが引き出し位置と押し込み位置との相対摺動をする範囲でヒンジ軸との接触干渉を避ける切欠を設けておくことができる。
【0014】
このようにすると、切欠内をヒンジ軸が横切る方向へ貫通する状態になり、このことで中栓部材と外装弁体との回り止め手段が形成されることになる。従って、ひいては水飲み容器に対する貯水ボトルの回り止めになり、両者間の上下揺動や収納、更には貯水ボトルから水飲み容器への水の供給といった各種の使用上、支障がでることを防止できる。
水飲み容器と貯水ボトルとは、ヒンジ部に対し貯水ボトルを押し込み状態としたうえで収納したときにおいて、ヒンジ部から最も遠い位置で水飲み容器内面と貯水ボトル外面とが当接する寸法関係としておくのが好適である。
【0015】
このようにすることで、水飲み容器内に貯水ボトルが収納された状態にすれば、必然的に弁機構が吐出口部を閉鎖状態になり、またこの閉鎖状態を維持するようになるので、水飲み容器を不使用時(持ち運び時など)に貯水ボトルから水が漏洩することがないという利点に繋がる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るペット用水筒は、持ち運びなどが便利であるだけでなく、給水が簡単且つ迅速、確実に行えるようになっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図8は、本発明に係るペット用水筒1の第1実施形態を示している。このペット用水筒1は、水飲み容器2と貯水ボトル3とを有し、これら水飲み容器2と貯水ボトル3とがヒンジ部4を介してヒンジ結合されたものとなっており、使用のたびに両者をいちいち分離させたり結合させたりする手間をかけなくても済むようになっている。
ヒンジ部4は、水飲み容器2における一隅部へ偏って位置付けられており、貯水ボトル3はこのヒンジ部4を支点としつつこのヒンジ部4から最も遠い位置を円弧動させるように揺動自在とされている。
【0018】
この揺動により、貯水ボトル3を水飲み容器2内へ収納する状態(図1及び図2参照)にしたり、またこの収納状態から貯水ボトル3を引き出して水飲み容器2と略直交するような状態(図3参照)にしたりできるようになっている。水飲み容器2を据え置きにした状態で言えば、貯水ボトル3を揺動領域の下位置で横倒姿勢とさせたときに水飲み容器2内への収納状態となり、この状態から貯水ボトル3を引き上げて略直交状態にさせたときに揺動領域の上位置に至り、倒立姿勢になる。
水飲み容器2は、底部10と、この底部10の周囲を全周的に立ち上げるようにして設けられた周壁11とを有したもので、周壁11の上端周部によって形成される上部開口を、ペット向けの飲み口12とさせているものである。
【0019】
図例では、底部10が細長で一端側にくびれを有する人形形状を呈したものとしてある。また周壁11は、この水飲み容器2内へ貯水ボトル3を収納したときに、貯水ボトル3の太さの約半分(半身)が露出する程度の立ち上がり寸法に形成されている。
周壁11は、底部10の人形形状の胴部に相当する両側の部分に対し、その立ち上がり寸法が部分的に低くなるように傾斜部13が設けられている。またこの傾斜部13の周辺では、対向する壁間隔(飲み口12としての開口幅)が若干広くなるように形成されている。
【0020】
そのため、この水飲み容器2内へ貯水ボトル3を収納した状態では、傾斜部13の部分で貯水ボトル3のボトル側面に指を掛けやすくなっており、またこの部分においてボトル側面と周壁11の内面との間に隙間14が形成されて、取出時の接触摩擦が軽減されるようにしてなっている。従って、水飲み容器2からの貯水ボトル3の取り出しが容易となっている。
底部10において、人形形状の頭部に相当する部位では、その外周側へ張り出すフランジ部15が設けられ、このフランジ部15に、連結用クリップ16や紐、鎖などを連結できるようにする連結孔17が設けられている。
【0021】
貯水ボトル3は、ボトル本体20と、このボトル本体20の先端部に着脱自在に設けられるキャップ21とを有している。ボトル本体20は、一端部を有底とし、他端部に細首部22が設けられた中空円筒形とされている。細首部22の内部は常時開口した口部とされ、この細首部22まわりにキャップ21がネジ嵌合などによって嵌められている。
なお、水飲み容器2への収納時に周壁11の傾斜部13に対応するようになるボトル周面に、指をかける際に滑止めとなる複数条の周凹部23が設けられている。これら周凹部23は貯水ボトル3の剛性を高める役目も奏している。
【0022】
図4乃至図8に示すように、キャップ21は、ボトル本体20の細首部22に外嵌されるキャップ本体30を有し、このキャップ本体30の内周面に、細首部22へネジ嵌合するための雌ねじ等が設けられている(図示略)。またこのキャップ本体30内の奥方にパッキン31が嵌められており、ボトル本体20へこのキャップ21を装着する際に、このパッキン31に細首部22の突端を当て止めしつつ、ネジ嵌合部分を介して漏水が起こらないようにしてある。
このキャップ21には弁機構35が設けられている。この弁機構35は中栓部材36と外装弁体37とを有している。中栓部材36はキャップ本体30の先端部から突出する状態で一体的に設けられており、外装弁体37は、この中栓部材34のまわりに被せるように嵌め付けられている。
【0023】
中栓部材36は、キャップ本体30よりも径小な円筒形に形成されており、キャップ本体30とは同心円関係を保持した位置付けになっている。この中栓部材36の円筒内部はキャップ本体30側へ向けて開口されている。すなわち、キャップ21をボトル本体20へ装着することで、このボトル内と中栓部材36との間は連通状態となる。
これに対し、外装弁体37は中栓部材36に対してガタツキ無く外嵌する筒構造に形成されている。中栓部材36と外装弁体37とは、中栓部材34の軸方向に沿って相対摺動自在な状態となっている。
【0024】
図5及び図7に示すように、中栓部材36の内周面には係止突起40が設けられ、外装弁体37の外周面には、中栓部材36の係止突起40の移動範囲を規制するための先端突起41と基部突起42とが設けられている。そのため、これら中栓部材36と外装弁体37との相対摺動はその摺動ストロークが限定されたものとなっている。
すなわち、基部突起42と係止突起40とが近接又は係合(本実施形態では近接位置とした)したとき(図5)が、中栓部材36と外装弁体37とを相対的に押し込んだ「押し込み位置」であり、先端突起41と係止突起40とが係合したとき(図7)が、中栓部材36と外装弁体37とを相対的に引き離した「引き出し位置」である。
【0025】
本実施形態において、中栓部材36の係止突起40は、中栓部材34の内周面を一周する突条とし、また外装弁体37の先端突起41は、外装弁体37の外周面を一周する突条とした。また外装弁体37の基部突起42は、外装弁体37の外径を一回り径大化させることで形成した。
中栓部材36の先端部にはその略中心部に栓部45が設けられており、またこの栓部45の周囲を取り囲む配置で複数の連通孔46(図例では3個)が設けられている。栓部45は円盤形に突出したものとしてある。また各連通孔46は扇形に形成されている。
【0026】
これに対し、外装弁体37の先端部は蓋面47によって閉塞されており、この蓋面47には弁孔48が設けられたものとしてある。この弁孔48は、蓋面47の中心位置に位置付けられており、中栓部材36に設けられた栓部45と水密的に嵌合する孔径で形成されている。
従って、中栓部材36と外装弁体37とを相対的な「押し込み位置」(図5)へ位置付けたとき、中栓部材36の栓部45と外装弁体37の弁孔48とが水密嵌合し、この弁孔48を閉鎖する。この状態が弁機構35の閉鎖状態であって、キャップ21からはボトル本体20内の水が漏れ出ることがない。
【0027】
これに対し、中栓部材36と外装弁体37とを相対的な「引き込み位置」(図7)へ位置付けると、中栓部材36の栓部45と外装弁体37の弁孔48とが離反すると共に、中栓部材36の先端部から外装弁体37の蓋面47が離反する。これにより、弁孔48は開通状態となり、この弁孔48と中栓部材36の連通孔46とが連通する。この連通で、貯水ボトル3としての吐出口部が形成されることになる。
この状態が弁機構35の開口状態であって、弁孔48から連通孔46、或いは、中栓部材36と外装弁体37との内外周面から連通孔46へと侵入する空気と入れ替わり状に、キャップ21からはボトル本体20内の水が吐出するようになる。
【0028】
図4から明らかなように、外装弁体37には、その外周面の相対向する位置から両側方へ向けてヒンジ軸50が突設されている。このヒンジ軸50は、貯水ボトル3が水飲み容器2とヒンジ結合されるときに、水飲み容器2の飲み口12(上部開口)内を横向きに横断するようにされる。
これに対し、水飲み容器2には、人形形状の頭部に相当する部位の周壁11に対し、ヒンジ軸50の軸径に応じて開口した軸受け部51が設けられている。従って、これらヒンジ軸50と軸受け部51との係合によって、上記したヒンジ部4が形成されるものである。
【0029】
なお、中栓部材36には、外装弁体37の周囲を取り囲むようにして殻壁55が設けられている。この殻壁55には、外装弁体37に設けられたヒンジ軸50に対応した位置付けで切欠56が設けられている。この切欠56は、中栓部材36と外装弁体37とが「引き出し位置」と「押し込み位置」との間で相対摺動をする範囲において、ヒンジ軸50と接触干渉をすることがないように、その開口幅及び開口長さが決定されている。
この殻壁55内をヒンジ軸50が横切るように貫通する状態は、中栓部材36と外装弁体37とを回り止めするための回り止め手段60を形成するものとなる。
【0030】
このような構成を具備して成る本発明のペット用水筒1を使用するには、まず貯水ボトル3においてキャップ21からボトル本体20を外し、このボトル本体20に水を入れる。そして、ボトル本体20をキャップ21に結合させた後、弁機構35の閉鎖状態を確認したうえで貯水ボトル3をヒンジ部4まわりに揺動させ、水飲み容器2内へ収納させる。
ここにおいて、弁機構35を閉鎖状態にするには、水飲み容器2に対し、貯水ボトル3をそのボトル本体20の長手方向に沿って直線的に押し込むようにする。
すなわち、この押し込みにより貯水ボトル3のボトル本体20と共にキャップ21がヒンジ部4へと押しつけられることなるが、これに伴い、ヒンジ部4におけるヒンジ軸50と軸受け部51との係合状態が弁動作時の不動点となり(即ち、外装弁体37が動かない支点となり)、これに中栓部材36が押し付けられることになる。
【0031】
結果、これによって弁機構35では、中栓部材36と外装弁体37とが相対的な「押し込み位置」(図5)になり、中栓部材36の栓部45と外装弁体37の弁孔48とが水密嵌合することによって、この弁孔48が閉鎖されるのである。
なお、このように弁機構35を閉鎖状態にしたうえで、水飲み容器2に貯水ボトル3を収納させたとき、ヒンジ部4から最も遠い位置(貯水ボトル3の有底部分)で水飲み容器2の内面と貯水ボトル3の外面とが当接するような寸法関係としておけば、水飲み容器2内に貯水ボトル3を収納することで必然的に弁機構35が閉鎖状態になり、好適である。
【0032】
このように水飲み容器2に貯水ボトル3を収納させた状態(弁機構35の閉鎖状態)で水飲み容器2に設けた連結用クリップ16等を使って持ち運ぶようにすればよい。
また、ペットへの給水に際しては、水飲み容器2から貯水ボトル3を出し、水飲み容器2を据え置くと共に貯水ボトル3を倒立姿勢まで揺動させ、弁機構35を吐出状態にする。
ここにおいて、弁機構35を吐出状態にするには、水飲み容器2に対し、貯水ボトル3をそのボトル本体20の長手方向に沿って直線的に引き出すようにする。
【0033】
すなわち、この引き出しにより貯水ボトル3のボトル本体20と共にキャップ21がヒンジ部4から引き離される方向へ移動することになるが、これに伴い、ヒンジ部4におけるヒンジ軸50と軸受け部51との係合状態が弁動作時の不動点となり(即ち、外装弁体37が動かない支点となり)、これから中栓部材36が引き出されることになる。
結果、これによって弁機構35では、中栓部材36と外装弁体37とが相対的な「引き出し位置」(図7)になり、中栓部材36の栓部45と外装弁体37の弁孔48とが離反すると共に、中栓部材36の先端部から外装弁体37の蓋面47が離反し、弁孔48と共に中栓部材36の連通孔46が連通状態となるのである。
【0034】
従って、貯水ボトル3から水飲み容器2へ水が吐出される。水飲み容器2内の水量が適量になったなら、再び、貯水ボトル3をヒンジ部4へ向けて押し込むようにして、弁機構35を閉鎖状態にすればよい。
図9は、貯水ボトル3に設けられる弁機構35の別実施形態を示している。この実施形態で示した弁機構35は、外装弁体37がキャップ21自体に設けられ、中栓部材36にヒンジ軸50が設けられたものとなっている。
中栓部材36に栓部45が設けられていると共に、そのまわりに連通孔46が形成されている点、及び、外装弁体37に蓋面47が設けられてこの蓋面47に栓部45によって水密的に閉鎖可能な弁孔48が設けられている点などは、上記した実施形態(図4、図5、図7等参照)と略同様である。
【0035】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。また、本発明のペット用水筒は、水以外のミルクや流動食などにも使用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るペット用水筒の一実施形態を示した平面図である。
【図2】図1に対応する正面図である。
【図3】図2からの動作状態(使用状態)を示した正面図である。
【図4】貯水ボトルの先端部を分解して示した斜視図である。
【図5】貯水ボトルのキャップ(吐出口部の閉鎖状態)を示した側断面図である。
【図6】図5に対応させた側面図である。
【図7】貯水ボトルのキャップ(吐出口部の開通状態)を示した側断面図である。
【図8】図7に対応させた側面図である。
【図9】弁機構の別実施形態を示した側断面図であって(a)は吐出口部の閉鎖状態であり(b)は開通状態である。
【符号の説明】
【0037】
1 ペット用水筒
2 水飲み容器
3 貯水ボトル
4 ヒンジ部
10 底部
11 周壁
12 飲み口
20 ボトル本体
21 キャップ
35 弁機構
36 中栓部材
37 外装弁体
45 栓部
46 連通孔
47 蓋面
48 弁孔
50 ヒンジ軸
51 軸受け部
55 殻壁
56 切欠
60 回り止め手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(10)及びこの周囲を取り囲む周壁(11)を有して上部開口を飲み口(12)とする水飲み容器(2)と、この水飲み容器(2)の一隅部にヒンジ部(4)を介して上下揺動自在に結合された貯水ボトル(3)とを有し、貯水ボトル(3)には上記ヒンジ部(4)近傍にボトル内の水を水飲み容器(2)内へ吐出可能な吐出口部が設けられ、貯水ボトル(3)を揺動領域の下位置で横倒姿勢とさせたときには当該貯水ボトル(3)を水飲み容器(2)内へ収納可能とされているペット用の水筒において、上記貯水ボトル(3)には水飲み容器(2)への収納状態から出したときに上記吐出口部を閉鎖状態と開口状態との間で機械的に弁動作させることのできる弁機構(35)が設けられていることを特徴とするペット用水筒。
【請求項2】
前記貯水ボトル(3)は、ボトル本体(20)とこのボトル本体(20)の先端部に着脱自在に設けられるキャップ(21)とを有して、このキャップ(21)に前記弁機構(35)が設けられており、このキャップ(21)と水飲み容器(2)のうちいずれか一方に軸心を横向きにしたヒンジ軸(50)が突設され、同他方に上記ヒンジ軸(50)を回動自在に保持する軸受け部(51)が設けられることで、これらヒンジ軸(50)と軸受け部(51)との係合によって前記ヒンジ部(4)が形成され、前記弁機構(35)は、ヒンジ部(4)におけるヒンジ軸(50)と軸受け部(51)との係合状態を弁動作時の不動点とおいてキャップ(21)自体を動作させる構造であることを特徴とする請求項1記載のペット用水筒。
【請求項3】
前記弁機構(35)は、ヒンジ部(4)に対して貯水ボトル(3)を押したり引いたりする動作で弁動作可能な構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のペット用水筒。
【請求項4】
前記弁機構(35)は、貯水ボトル(3)のボトル内と連通する中空の筒構造に形成された中栓部材(36)と、この中栓部材(36)にガタツキ無く外嵌する筒構造に形成されて当該中栓部材(36)との間で引き出し位置と押し込み位置との間を相対摺動自在とされた外装弁体(37)とを有し、外装弁体(37)の先端部には、押し込み位置とされたときに中栓部材(36)の先端部に当接する蓋面(47)が設けられていると共に、この蓋面(47)には弁孔(48)が設けられており、中栓部材(36)の先端部には、外装弁体(37)が押し込み位置へ位置付けられたときに上記弁孔(48)を閉鎖する栓部(45)と、外装弁体(37)が引き出し位置へ位置付けられて中栓部材(36)の先端部から蓋面(47)が離反したときに上記栓部(45)の周囲で開通状態とされる連通孔(46)が設けられ、この中栓部材(36)の連通孔(46)と外装弁体(37)の弁孔(48)とが連通した状態として吐出口部が形成されることを特徴とする請求項3記載のペット用水筒。
【請求項5】
前記弁機構(35)の中栓部材(36)がキャップ(21)自体に設けられ、外装弁体(37)に対してヒンジ軸(50)又は軸受け部(51)が設けられていることを特徴とする請求項4記載のペット用水筒。
【請求項6】
前記弁機構(35)の中栓部材(36)には、外装弁体(37)の周囲を取り囲む殻壁(55)が設けられ、この殻壁(55)には中栓部材(36)と外装弁体(37)とが引き出し位置と押し込み位置との相対摺動をする範囲でヒンジ軸(50)との接触干渉を避ける切欠(56)が設けられており、この切欠(56)内をヒンジ軸(50)が横切る方向に貫通していることで中栓部材(36)と外装弁体(37)との回り止め手段(60)が形成されていることを特徴とする請求項5記載のペット用水筒。
【請求項7】
前記水飲み容器(2)と貯水ボトル(3)とは、ヒンジ部(4)に対し貯水ボトル(3)を押し込み状態としたうえで収納したときにおいて、ヒンジ部(4)から最も遠い位置で水飲み容器(2)内面と貯水ボトル(3)外面とが当接する寸法関係とされ、水飲み容器(2)内に貯水ボトル(3)が収納された状態下では弁機構(35)が吐出口部を閉鎖状態に維持可能になっていることを特徴とする請求項3乃至請求項6のいずれかに記載のペット用水筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−180784(P2006−180784A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378154(P2004−378154)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(591230620)株式会社ペッツルート (4)
【Fターム(参考)】