説明

ペット販売用ブース構造

【課題】 展示中のストレス蓄積回避やペットの性格把握容易性など共通大展示区画的な利点を保持しつつも、商品情報を把握しやすい個別展示の利点も巧みに融合でき、かつ、共通大展示区画と個別小展示区画との機能融合により広大な展示空間の活用を可能とするペット販売用ブース構造を提供する。
【解決手段】 ペット販売用ブース構造1によると、ブース本体2内にて主展示区画4は壁部上方が開放しており、隣の主展示区画4とも共有される展示室3の空間が大きく拡がっているので圧迫感が少ない。また、その壁部の高さも、ペットの自力での乗り越えは困難であるが、店員は簡単に抱き上げられる程度の高さで仕切られているので、ペットがなついている店員との親近感が損なわれにくい。その結果、壁部で仕切られた展示区画でありながら、ペットは特許文献1の大展示区画に準じた開放的感及び安心感を味わうことができ、該大展示区画と同様の感覚で自由に遊ぶことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ペットショップなどに据えつけて使用するペット販売用ブース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2004−287693号公報
【0003】
犬や猫などのペットを販売する際には、一般には販売に係るペットを個別のケージに入れ、そのケージを、前面がガラス板などで構成された展示用ブロックに個別に収容して展示し、顧客にペットの様子を見てもらいながら販売に供する方法が一般的である。また、売られるペットはその多くが子犬や子猫などの幼少動物であり、その健康管理には十分注意する必要がある。
【0004】
しかし、上記の方式では、販売対象となるペットが狭い展示用ブロックに閉じ込められるために、特に幼少の犬猫などの場合、閉鎖感に長時間圧迫されてストレスがたまりやすく、品質を落としやすい問題がある。また、別の問題として、閉じ込められた空間で圧迫された状態では、ペット本来の性格(おとなしい、いたずら好き、やんちゃ、神経質など)が表に現れにくく、店員が説明しても顧客に十分伝わらないことも多い。その結果、展示用ブロック内での見た目の印象で購入判断した顧客は、連れ帰ったペットの様子が豹変したりするのを見て狼狽したり、店側に苦情を申し出たりすることもありえる。
【0005】
そこでこの問題を解決するために本発明者は、特許文献1において、従来どおりの個別ペット収納部からなる個別小展示区画に加えて、個々の個別ペット収納部よりは大きな床面積を有する共通大展示区画を設け、これを各個別ペット収納部に収容された複数のペットの間で共有される放し飼い空間として利用するペット販売用ブース構造を提案した。該構造によると、そして、その共通大展示区画の壁部前面を第二の展示用壁部とすることで、任意の個別ペット収納部から取り出されたペットを、より大きな空間で自由に放し飼いにすることができ、購入者は、個別小展示区画に入っている状態だけでなく、その放し飼いの様子をつぶさに観察することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のペット販売用ブース構造では、共通大展示区画と個別ペット収納部からなる個別小展示区画とを併設しなければならず、店舗内のスペースが余分に必要となる問題がある。その結果、個別小展示区画を設ける分だけ共通大展示区画に割り振り可能なスペースが削減され、顧客アピール上の目玉となる共通大展示区画の空間的なインパクトが不足しやすい欠点がある。また、個々のペットの商品情報(種別、性別、価格、グレードなど)は個別小展示区画側では把握しやすいが、一旦ペットが個別小展示区画から共通大展示区画に移されると、店員に説明を受けない限り、店舗や売り場をスポット的に訪れた顧客等にとっては商品把握が難しくなってしまう欠点がある。
【0007】
本発明の課題は、展示中のストレス蓄積回避やペットの性格把握容易性など共通大展示区画的な利点を保持しつつも、商品情報を把握しやすい個別展示の利点も巧みに融合でき、かつ、共通大展示区画と個別小展示区画との機能融合により広大な展示空間の活用を可能とし、ひいては空間的なインパクトの大きい商品展示が可能なペット販売用ブース構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のペット販売用ブース構造は、
設置面上に固定されるとともに横長の展示室の床面を形成するベース部と、床面上を店員が立って歩行可能な高さにて展示室の天井を区画する天井部と、ベース部上に立設されるとともに横長の展示室の内部全体を前方側から視認可能な透明壁部として構成され、該展示室の前面側を仕切る前面壁部と、当該前面壁部の左右に続く形でベース部上に立設され展示室の側面側を仕切る側面壁部と、前面壁部の後方に対向配置され展示室の背面側を仕切る背面壁部とを有するブース本体を備える。また、区画前端側が前面壁部に内接し区画後端位置が前面壁部から背面壁部に向う奥行き方向途中位置に定められた主展示区画が、ブース本体の床面上にて前面壁部に沿って左右に複数隣接形成される。上記床面上にて、それら隣接する複数の主展示区画の背後スペースを互いにつなぐ形で、隣接する各主展示区画の背後スペース間を店員が行き来するための店員用通路が区画形成される。隣接する主展示区画同士は、それら主展示区画内に展示されるペットが自力で乗り越えることを抑制し前面壁部の半分以下の高さを有した区画間仕切壁にて仕切られる。また、複数の主展示区画と店員用通路とが、主展示区画内に展示されるペットが乗り越えることを抑制し、該ペットを店員が該店員用通路側から抱き上げ可能な高さを有した通路仕切壁にて仕切られる。そして、展示室内にて、区画間仕切壁と通路仕切壁にて仕切られた店員用通路と主展示区画とがいずれも上方に開放し、かつ、該店員用通路の上方空間と各主展示区画の上方空間とが仕切壁の排除された連通一体空間として形成されてなることを特徴とする。
【0009】
上記本発明のペット販売用ブース構造では、ブース本体内の展示室の内部にて、その透明な前面壁部に沿ってブース本体の床面上に複数の主展示区画を隣接形成し、それら主展示区画の後方に、各主展示区画の背後スペースをつなぐ店員用通路を形成する。そして、隣接する主展示区画は、前面壁部よりも低い、具体的にはペットが自力で乗り越えることを抑制し前面壁部の半分以下の高さを有した区画間仕切壁にて仕切り、店員用通路と主展示区画とは、ペットが乗り越えることを抑制し、該ペットを店員が該店員用通路側から抱き上げ可能な高さの通路仕切壁にて仕切る。展示室自体は店員が立って歩行可能な天井高さに設営されているので、区画間仕切壁と通路仕切壁にて仕切られた店員用通路と主展示区画とは、当該展示室内にて上方に開放し、かつ、その上方空間が、仕切壁のない連通一体空間として展示室内に融合されることとなる。これにより、展示中のストレス蓄積回避やペットの性格把握容易性など共通大展示区画的な利点を保持しつつも、商品情報を把握しやすい個別展示の利点も巧みに融合でき、かつ、共通大展示区画と個別小展示区画との機能融合により広大な展示空間の活用を可能とし、ひいては空間的なインパクトの大きい商品展示が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るペット販売用ブース構造の外観を示すものであり、図2はその内部構造を示すものである。該ペット販売用ブース構造1は、設置面F上に固定されるとともに横長の展示室3の床面を形成するベース部5と、床面上を店員が立って歩行可能な高さにて展示室3の天井を区画する天井部7と、ベース部5上に立設されるとともに横長の展示室3の内部全体を前方側から視認可能な透明壁部として構成され、該展示室3の前面側を仕切る前面壁部9と、当該前面壁部9の左右に続く形でベース部5上に立設され展示室3の側面側を仕切る側面壁部11と、前面壁部9の後方に対向配置され展示室3の背面側を仕切る背面壁部13とを有するブース本体2を備える。また、区画前端側が前面壁部9に内接し区画後端位置が前面壁部9から背面壁部13に向う奥行き方向途中位置に定められた主展示区画4が、ブース本体2の床面上にて前面壁部9に沿って左右に複数隣接形成される。上記床面上にて、それら隣接する複数の主展示区画4の背後スペースを互いにつなぐ形で、隣接する各主展示区画4の背後スペース間を店員が行き来するための店員用通路6が区画形成される。隣接する主展示区画4同士は、それら主展示区画4内に展示されるペットが自力で乗り越えることを抑制し前面壁部9の半分以下の高さを有した区画間仕切壁8にて仕切られる。また、複数の主展示区画4と店員用通路6とが、主展示区画4内に展示されるペットが乗り越えることを抑制し、該ペットを店員が該店員用通路6側から抱き上げ可能な高さを有した通路仕切壁10にて仕切られる。そして、展示室3内にて、区画間仕切壁8と通路仕切壁10にて仕切られた店員用通路6と主展示区画4とがいずれも上方に開放し、かつ、該店員用通路6の上方空間と各主展示区画4の上方空間とが仕切壁の排除された連通一体空間SPとして形成されてなる。
【0011】
上記ペット販売用ブース構造1では、ブース本体2内の展示室3の内部にて、その透明な前面壁部9に沿ってブース本体2の床面上に複数の主展示区画4を隣接形成し、それら主展示区画4の後方に、各主展示区画4の背後スペースをつなぐ店員用通路6を形成する。そして、隣接する主展示区画4は、前面壁部9よりも低い、具体的にはペットが自力で乗り越えることを抑制し前面壁部9の半分以下の高さを有した(例えば、35cm以上70cm以下:一例として50cm)区画間仕切壁8にて仕切られる。また、店員用通路6と主展示区画4とは、ペットが乗り越えることを抑制し、該ペットを店員CL(図4)が該店員用通路6側から抱き上げ可能な高さ(通路床面からの高さでやはり35cm以上100cm以下(望ましくは35cm以上70cm以下):一例として50cm)の通路仕切壁10にて仕切られる。
【0012】
展示室3自体は店員(大人:身長は150cm〜190cm:平均的には170cm程度であろう)が立って歩行可能な天井高さに設営されているので、区画間仕切壁8と通路仕切壁10にて仕切られた店員用通路6と主展示区画4とは、当該展示室3内にて上方に開放し、かつ、その上方空間が、仕切壁のない連通一体空間SPとして展示室3内に融合されることとなる。これにより、展示中のストレス蓄積回避やペットの性格把握容易性など共通大展示区画的な利点を保持しつつも、商品情報を把握しやすい個別展示の利点も巧みに融合でき、かつ、共通大展示区画と個別小展示区画との機能融合により広大な展示空間の活用を可能とし、ひいては空間的なインパクトの大きい商品展示が可能となる。以下、より具体的な効果について述べる。
【0013】
(1)ブース本体2内にて主展示区画4は壁部上方が開放しており、隣の主展示区画4とも共有される展示室3の空間が大きく拡がっているので圧迫感が少ない。また、その壁部の高さも、ペットの自力での乗り越えは困難であるが、店員は簡単に抱き上げられる程度の高さで仕切られているので、ペットがなついている店員との親近感が損なわれにくい。その結果、壁部で仕切られた展示区画でありながら、ペットは特許文献1の大展示区画に準じた開放的感及び安心感を味わうことができ、該大展示区画と同様の感覚で自由に遊ぶことができる。
【0014】
(2)上記ブース本体2の前面壁部9が、横長の展示室3の内部全体を前方側から視認可能な透明壁部として構成されているので、複数の主展示区画4の仕切られているにも拘わらず、内部は一体・単一の広大な展示室3として視認できる。
(3)複数の主展示区画4の背後を横断する形で店員用通路6が設けられているので、上から各主展示区画4のペットを上から見下ろす形で自由に行き来でき、個々の主展示区画4にどのようなペットが収容されているか、また、各ペットの状態がどのであるかを容易に把握できる。
【0015】
(4)顧客は各主展示区画4内のペットを、前面壁部9を介して至近距離から観察できる。そして、個々の主展示区画4の上方が空間的につながっており、その全体を視認できる形で前面壁部9が設けられているので、前面壁部9越しに顧客が指等で指し示すペットがどれであるかを店員が容易に理解できる。特に通路仕切壁10がまたいで乗り越えられる程度の高さ(35cm〜55cm)であれば、店員は店員用通路6からそのペットのいる主展示区画4内に足を踏み入れてペットを抱き上げ、前面壁部9へと簡単に近づくことができる。後述のごとく、展示室3の床面が適当に上げ底されていれば、店員が抱き上げたペットは外の顧客の目線に近い高さとなり、アピール効果は絶大である。
【0016】
(5)個々の主展示区画4は、ペットが自力で乗り超えることが困難な高さの壁部で仕切られているので、万一病気等に感染したペットが発生しても、店員が通路側から個別に管理・コントロールできるので、ブース内のペットに病気等が接触感染により拡がる惧れが極めて小さい。
【0017】
本実施形態では、前面壁部9とともに側面壁部11もガラスやアクリル板等の透明壁部として構成される。図5に示すように、横に広い展示室3を、その横方向に見通す形でも視認できるので、その奥行き感をよりリアルに把握でき、顧客に与える空間的なインパクトがより高められている。
【0018】
図4に示すように、ペットが展示室3から設置面F上に向けて自力で飛び降りることを抑制できかつ、設置面Fと展示室3の床面との間を店員が昇降できる程度((例えば、40cm以上60cm以下:ここでは50cm)に、展示室3の床面がベース部5により上げ底されている。図1に示すように、前面壁部9又は側面壁部11(本実施形態では、後述のごとく両者の兼用される傾斜壁部31)には、それら壁部側にて展示室3と外部空間とを行き来可能とする展示室用出入り口12が、当該展示室用出入り口12の内側縁に蝶番結合された展示室側主扉15により開放・閉鎖可能に形成されている。このような展示室用出入り口12を設けることで、ペットの遊具や付属品などの荷物を展示室3内へ容易に搬入できる。また、展示室側主扉15を開け放っても、上記の高さで床面がベース部5により上げ底されているので、展示室3内部のペットが展示室用出入り口12から脱走する不具合も抑制される。本実施形態では、図6に示すように、展示室用出入り口12の足元に脱走防止用フェンスをEF着脱可能に設けている。
【0019】
図6において、展示室側主扉15は店員の身長と同等又はこれよりも高く(例えば170cm以上210cm以下)形成されている。また、該展示室側主扉15には、主展示区画4の床面上のペットが自力で乗り越え不能となる高さに下縁が位置し、かつ、展示室3側から店員が上半身を乗り出し可能な大きさにてペット受け渡し口17が形成され、当該ペット受け渡し口17が遮蔽部材14により開閉可能に塞がれている。周囲を壁部でいわば密閉された展示室3も、このペット受け渡し口17にてペットの脱走を抑制しつつ開放でき、店員が抱きかかえたペットを顧客に直接近づけたり触らせたりすることができる。また、展示室側主扉15にペット受け渡し口17を組み込むことで、展示室用出入り口12とペット受け渡し口17とを重ねることができ、余計な開口がブース本体2の壁部に形成されない。これにより、ブース本体2の外観や展示室3内の視認が損なわれることがなく、空間的な広がり感も良好に維持できる。
【0020】
本実施形態において、遮蔽部材14は透明板材の周縁をサッシ部材により保持した透視構造体であり、展示室側主扉15のペット受け渡し口17以外の扉面は、扉枠に嵌め殺し保持された嵌め殺し透明板材19にて構成されている。ペット受け渡し口17が形成された多少複雑な構造の扉でありながら、展示室3の周囲を区画する壁部の一角を構成する上での内部の視認性を良好に確保することができる。ここでは、展示室側主扉15の上半部分にペット受け渡し口17が形成され、同じく下半部分に嵌め殺し透明板材19が設けられているので、店員はペット受け渡し口17から上半身を楽に外へ乗り出すことができ、ペット受け渡し等も容易に行なうことができる。
【0021】
一方、図8に示すように、展示室側主扉15は、高さ方向中間位置にペット受け渡し口17を形成することもできる。この場合、該ペット受け渡し口17の上側と下側とにそれぞれ隣接して嵌め殺し透明板材19を設けるようにする。これによると、上げ底されたやや高い床面に立つ店員が、腰をかがめてペット受け渡し口17に臨むことで、これより低い設置面F側に立つ顧客の顔に店員が近づくことができ、親近感を高められる。
【0022】
図6及び図8の例では、遮蔽部材14は、ペット受け渡し口17の内側縁に蝶番結合されたペット受け渡し扉14とされている。蝶番結合された扉構造の採用によりペット受け渡し口17の開放閉鎖が一層容易である。この場合、図7に示すように、展示室側主扉15は展示室用出入り口12に対し外部空間側へ外開き形態で取り付けることで、大型荷物等を展示室3内に運び込む際にも展示室3側に扉が倒れ込まないので邪魔になりにくい。また、ペット受け渡し扉14はペット受け渡し口17に対し展示室3側へ内開き形態で取り付けると(図5も参照)、外の顧客との干渉を気にせずにペット受け渡し扉14を開放できる利点がある。
【0023】
なお、図9に示すように、遮蔽部材は、展示室側主扉15の扉面に対し上下にスライド可能に設けられたスライド窓16とすることもできる。この構成によっても、外の顧客を気にせずにペット受け渡し口17を開放できる利点がある(符号16Gは、スライド窓16の両縁を昇降ガイドするガイドレールである)。
【0024】
次に、図1に示すように、ベース部5の前面側には前面壁部9の下縁に沿って、主展示区画4に展示されるペットの商品情報を表示する商品情報表示部21が設けられている。これにより、個々の主展示区画4(あるいは後述の副展示区画33)に収容されているペット(商品)の情報(種別、性別、価格、グレードなど)を顧客が容易に把握でき、また、もっと詳しく見せて欲しい商品を店員に要求するのも楽である。本実施形態では、図6に示すように、商品情報表示部21は、着脱ベース部21B上に着脱可能に取り付けられる商品情報プレート22を複数横方向に取り付けた構造となっている。着脱ベース部21Bの上下縁には金属あるいは樹脂製のプレート取り付けフレーム21Gが形成され、樹脂ラミネート体等で構成された商品情報プレート22を撓ませてその上下の縁部をフレーム21Gの溝に挿入する形で取り付ける構造となっている。商品情報プレート22派M当然、その商品(ペット)が収容されている主展示区画4の直下に配置するとわかりやすい。
【0025】
なお、図3に示すように、ベース部5の内部には収納スペース23が形成されている。図6に示すように、該収納スペース23への物品出し入れ口24はベース部5の外壁部に開口形成されている。この構成により、ブースの付属品や備品等を簡単に収納できる。本実施形態では、物品出し入れ口24がベース部5の側面部(及び、傾斜壁部31)に開口形成されている。また、物品を収納する引出し25が、物品出し入れ口24から収納スペース23へ出入り可能に設けられている。一方、図1に示すように、ブース本体2の天井部7の上方には、当該天井部7を取り囲む形態で天井ブロック27部が形成され、当該天井ブロック27部の内部に展示室3に連通する換気用ダクト26が形成されている。
【0026】
本実施形態では、区画間仕切壁8が透明板材(アクリル板等)にて構成されている。これにより、図5に示すように、隣接する主展示区画4が横方向に一体化して見え、展示室3内をより広大に演出することができる。一方、図2において通路仕切壁10は不透明板材(化粧合板等)にて構成されている。これにより、店員の足元や通路上の用具や備品等が隠れるので、展示室3内の美観が向上する。
【0027】
また、ブース本体2内には、背面壁部13の奥行き方向後方に展示室3と隣接する形でペット管理室29が形成されている。このようなペット管理室29を設けることで、ペットの手入れなどを行ないやすくなり、展示室3内のペットの入れ換え作業も容易となる。なお、符号40はペット用具などを洗ったりするためのシンクであり、符号41は備品棚である。
【0028】
次に、本実施形態では、複数の主展示区画4のうち、前面壁部9の長手方向において左右少なくともいずれか一方の端に位置するコーナー主展示区画4Cが、側面壁部11に沿って回り込む形で、前面壁部9の長手方向途中位置に位置する主展示区画4の後方縁よりも奥行き方向に延出拡張されている。これにより、主展示区画4列の奥行き感が一層高められ、また、コーナー主展示区画4Cは、奥行き方向に拡張されることでペットにとってより広くて快適な活動スペースとして機能する。また、側面壁部11からの視認性も良好である。
【0029】
前面壁部9と側面壁部11との接続コーナー位置には、前面壁部9側から奥行き方向に傾斜する傾斜壁部31が透明壁部として設けられている。傾斜壁部31を設けることでコーナー主展示区画4Cの角を丸め込むことができ、ペットが閉塞感を感じやすい区画内遇部が形成されにくくなる。本実施形態では、この傾斜壁部31に展示室側主扉15が形成されている。内部視認性雅優先される前面壁部9と側面壁部11に展示室用出入り口12の形成が目立ち難くなり、特に前面壁部9からの展示室3内部の視認性が高められる。
【0030】
次に、図3に示すように、店員用通路6と背面壁部13との間には横長の上げ底ブロック32が設けられ、その上面に、主展示区画4の床面部よりも一定高さ上げ底された形で副展示区画33が設けられている。このようにすると、店員用通路6の背後にもペットの展示区画を確保でき、より多くのペットを展示できる。また、主展示区画4の床面部よりも上げ底されていることで、副展示区画33内のペットの視認性も高められている。
【0031】
上げ底ブロック32の内部には展示室側収納スペース35が形成され、当該収納スペース35の出し入れ口36が店員用通路6側に開口する形で形成されている。これにより、ペットの世話等に使用する備品等の収納スペース35を、主展示区画4及び副展示区画33のいずれにも近い位置に確保できるので非常に便利である。なお、収納スペース35の出し入れ口36を塞ぐ収納扉37が店員用通路6側に旋回開閉する形で設けられている。
【0032】
本実施形態では、副展示区画33は上げ底ブロック32の長手方向に単位区画39が複数隣接する形で形成されている。また、各単位区画39は、図5に示すように、その前面側が該単位区画39内に展示されるペットが自力で乗り越えることを抑制し前面壁部9の半分以下の高さを有した前面副壁部41にて区画されている。また、隣接する単位区画39同士は、それら単位区画39同内に展示されるペットが自力で乗り越えることを抑制し前面壁部9の半分以下の高さを有した区画間副仕切壁43にて仕切られている。そして、それら単位区画39の上方空間が連通一体空間SPの一部を形成している。この構造は、主展示区画4と類似の構造であって、主展示区画4と同様の効果を奏することができる。ただし、上げ底ブロック32の上面に上記単位区画39を形成する代わりに、個別のペット収容ケージを載置してもよい。
【0033】
図2に示すように、コーナー主展示区画4Cは該店員用通路6に沿って奥行き方向へ鍵型に回り込む形で形成されている。これにより、展示室3の内部を視認可能な前面壁部9と側面壁部11とに沿って主展示区画4を有効形成できる。そして、店員用通路6も、これに対応して上げ底ブロック32の長手方向端面を奥行き方向へ鍵型に回り込む形で形成されているので、上記コーナー主展示区画4Cも含めて各主展示区画4の背後スペースにきめ細かく移動することができる。なお、店員用通路6の奥行き方向の端部にて背面壁部13には、展示室3とペット管理室29とを行き来するためのペット管理室出入り口47(扉47Dにより開閉可能に塞がれる)が形成されている。
【0034】
また、図4に示すように、上げ底ブロック32の上方にて背面壁部13の前面壁部9から透視可能な位置に、販売促進用映像を表示する映像表示パネル45が配置されて、PR効果が高められている。
【0035】
本実施形態においては、図5に示すように、複数の主展示区画4がそれぞれ、ペットとしての人気や話題性の最も高い小形犬Dないし幼少犬Dの展示区画とされ、これら人気動物がブース本体のメインディスプレイ面をなす横長の前面壁部9側に集められる形となっている。そして、図2に示すように、展示室3の床面上にてそれら複数の主展示区画4の配列末端に隣接する形で、それら主展示区画4同士を仕切る区画間壁部よりも高い高区画壁51で仕切られた猫専用展示区画49が設けられている。図10は猫専用展示区画49の詳細を示すもので、比較的高い壁等も簡単によじ登る猫の展示スペースを犬用の主展示区画4から分離でき、猫が犬用の展示スペースに乱入したりする不具合も生じにくくなっている。本実施形態では、高区画壁51が展示室3の床面から天井面に至る閉鎖壁部として形成され、猫専用展示区画49から犬用の主展示区画4への猫の侵入がシャットアウトされている。また、閉鎖壁部は、主展示区画4と猫専用展示区画49とを行き来するための猫専用展示区画出入り口52を開閉可能に塞ぐ猫専用展示区画用扉51とされて、猫専用展示区画49への猫の搬入を展示室3側から行なうようになっている。これにより、すばしこい猫がブース本体2外に逃げ出す惧れが大幅に軽減され、また、ブース本体2の該壁面に余計な搬入口が形成されないので、展示室3内の視認性が高められている。
【0036】
本実施形態では、図2に示すように、コーナー主展示区画4Cの奥行き方向背後に隣接する形で猫専用展示区画49が形成され、図10に示すように、透明壁部として形成された側面壁部11から当該猫専用展示区画49の内部が透視可能とされている。図2において、猫の好きな人は側面壁部11から当該猫専用展示区画49内を眺めることになるので、前面壁部9側の犬好きの人とうまく顧客分離でき、ブース周囲に集まる来店者の流れもスムーズとなる。また、猫専用展示区画用扉51を、扉フレームにはめ込まれるフレームアクリル板等の透明壁部51Wにて扉壁を形成している。これにより、例えば前方壁部9側からの猫専用展示区画49内部の視認性が高められ、主展示区画4側との空間的な一体感も高められている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のペット販売用ブース構造の一例を正面図。
【図2】図1の平面断面図。
【図3】図2の要部を示す平面断面図及びその内部構造の正面図。
【図4】図3の要部正面図及び側面断面図
【図5】図1のペット販売用ブース構造の内部を側方から透視した状態を示す斜視図。
【図6】図1のペット販売用ブース構造の傾斜壁部付近を拡大して示す斜視図。
【図7】展示室側主扉の機能を説明する平面図。
【図8】展示室側主扉の変形例を示す正面図及び裏面図。
【図9】展示室側主扉の別の変形例を示す正面図及び側面図。
【図10】図1のペット販売用ブース構造の猫専用展示区画を拡大して示す斜視図。
【符号の説明】
【0038】
F 設置面
1 ペット販売用ブース構造
2 ブース本体
3 展示室
SP 連通一体空間
4 主展示区画
4C コーナー主展示区画
5 ベース部
6 店員用通路
7 天井部
8 区画間仕切壁
9 前面壁部
10 通路仕切壁
11 側面壁部
12 展示室用出入り口
13 背面壁部
14 ペット受け渡し扉
15 展示室側主扉
16 スライド窓(遮蔽部材)
17 ペット受け渡し口
18 排気ダクト
19 嵌め殺し透明板材
21 商品情報表示部
22 ステップ
23 収納スペース
29 ペット管理室
31 傾斜壁部
32 上げ底ブロック
33 副展示区画
35 展示室側収納スペース
36 出し入れ口
39 単位区画
41 前面副壁部
43 区画間副仕切壁
45 映像表示パネル
49 猫専用展示区画
51 猫専用展示区画用扉(高区画壁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面上に固定されるとともに横長の展示室の床面を形成するベース部と、前記床面上を店員が立って歩行可能な高さにて前記展示室の天井を区画する天井部と、前記ベース部上に立設されるとともに横長の前記展示室の内部全体を前方側から視認可能な透明壁部として構成され、該展示室の前面側を仕切る前面壁部と、当該前面壁部の左右に続く形で前記ベース部上に立設され前記展示室の側面側を仕切る側面壁部と、前記前面壁部の後方に対向配置され前記展示室の背面側を仕切る背面壁部とを有するブース本体を備え、
区画前端側が前記前面壁部に内接し区画後端位置が前記前面壁部から前記背面壁部に向う奥行き方向途中位置に定められた主展示区画が、前記ブース本体の前記床面上にて前記前面壁部に沿って左右に複数隣接形成され、
前記床面上にて、それら隣接する複数の主展示区画の背後スペースを互いにつなぐ形で、隣接する各主展示区画の前記背後スペース間を店員が行き来するための店員用通路が区画形成され、
隣接する前記主展示区画同士が、それら主展示区画内に展示されるペットが自力で乗り越えることを抑制し前記前面壁部の半分以下の高さを有した区画間仕切壁にて仕切られてなり、
複数の前記主展示区画と前記店員用通路とが、前記主展示区画内に展示されるペットが乗り越えることを抑制し、該ペットを前記店員が該店員用通路側から抱き上げ可能な高さを有した通路仕切壁にて仕切られてなり、
前記展示室内にて、前記区画間仕切壁と前記通路仕切壁にて仕切られた前記店員用通路と前記主展示区画とがいずれも上方に開放し、かつ、該店員用通路の上方空間と各主展示区画の上方空間とが仕切壁の排除された連通一体空間として形成されてなることを特徴とするペット販売用ブース構造。
【請求項2】
前記側面壁部が透明壁部として構成されてなる請求項1記載のペット販売用ブース構造。
【請求項3】
前記ペットが前記展示室から前記設置面上に向けて自力で飛び降りることを抑制でき、かつ、前記設置面と前記展示室の床面との間を店員が昇降できる程度に、前記展示室の床面が前記ベース部により上げ底されてなり、
前記前面壁部又は前記側面壁部には、それら壁部側にて前記展示室と外部空間とを行き来可能とする展示室用出入り口が、当該展示室用出入り口の内側縁に蝶番結合された展示室側主扉により開放・閉鎖可能に形成されてなる請求項1又は請求項2に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項4】
前記展示室側主扉は店員の身長と同等又はこれよりも高く形成され、かつ、該展示室側主扉には、前記主展示区画の床面上のペットが自力で乗り越え不能となる高さに下縁が位置し、かつ、前記展示室側から店員が上半身を乗り出し可能な大きさにてペット受け渡し口が形成され、当該ペット受け渡し口が遮蔽部材により開閉可能に塞がれてなる請求項3記載のペット販売用ブース構造。
【請求項5】
前記遮蔽部材は透明板材の周縁をサッシ部材により保持した透視構造体であり、前記展示室側主扉のペット受け渡し口以外の扉面が、扉枠に嵌め殺し保持された嵌め殺し透明板材にて構成されてなる請求項4記載のペット販売用ブース構造。
【請求項6】
前記展示室側主扉の上半部分に前記ペット受け渡し口が形成され、同じく下半部分に前記嵌め殺し透明板材が設けられている請求項5記載のペット販売用ブース構造。
【請求項7】
前記展示室側主扉は、高さ方向中間位置に前記ペット受け渡し口が形成され、該ペット受け渡し口の上側と下側とにそれぞれ隣接して前記嵌め殺し透明板材が設けられている請求項5記載のペット販売用ブース構造。
【請求項8】
前記遮蔽部材は、前記ペット受け渡し口の内側縁に蝶番結合されたペット受け渡し扉である請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項9】
前記展示室側主扉は前記展示室用出入り口に対し前記外部空間側へ外開き形態で取り付けられ、前記ペット受け渡し扉はペット受け渡し口に対し前記展示室側へ内開き形態で取り付けられている請求項8記載のペット販売用ブース構造。
【請求項10】
前記遮蔽部材は、前記展示室側主扉の扉面に対し上下にスライド可能に設けられたスライド窓である請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項11】
前記ベース部の前面側には前記前面壁部の下縁に沿って、主展示区画に展示されるペットの商品情報を表示する商品情報表示部が設けられている請求項4ないし請求項10のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項12】
前記ベース部の内部に収納スペースが形成され、該収納スペースへの物品出し入れ口が前記ベース部の外壁部に開口形成されている請求項4ないし請求項11のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項13】
前記区画間仕切壁が透明板材にて構成され、前記通路仕切壁が不透明板材にて構成されてなる請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項14】
前記ブース本体内には、前記背面壁部の前記奥行き方向後方に前記展示室と隣接する形でペット管理室が形成されてなる請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項15】
複数の前記主展示区画のうち、前記前面壁部の長手方向において左右少なくともいずれか一方の端に位置するコーナー主展示区画が、前記側面壁部に沿って回り込む形で、前記前面壁部の長手方向途中位置に位置する主展示区画の後方縁よりも前記奥行き方向に延出拡張されてなる請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項16】
前記前面壁部と前記側面壁部との接続コーナー位置に、前記前面壁部側から奥行き方向に傾斜する傾斜壁部が透明壁部として設けられている請求項15記載のペット販売用ブース構造。
【請求項17】
請求項3ないし請求項12のいずれか1項に記載の要件を備え、前記傾斜壁部が前記展示室側主扉により構成されてなる請求項16記載のペット販売用ブース構造。
【請求項18】
前記店員用通路と前記背面壁部との間に設けられた横長の上げ底ブロックの上面に、前記主展示区画の床面部よりも一定高さ上げ底された形で副展示区画が設けられている請求項1ないし請求項17のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項19】
前記上げ底ブロックの内部に展示室側収納スペースが形成され、当該収納スペースの出し入れ口が前記店員用通路側に開口する形で形成されてなる請求項18記載のペット販売用ブース構造。
【請求項20】
前記副展示区画は前記上げ底ブロックの長手方向に単位区画が複数隣接する形で形成され、各単位区画の前面側が該単位区画内に展示されるペットが自力で乗り越えることを抑制し前記前面壁部の半分以下の高さを有した前面副壁部にて区画され、また、隣接する単位区画同士が、それら単位区画同内に展示されるペットが自力で乗り越えることを抑制し前記前面壁部の半分以下の高さを有した区画間副仕切壁にて仕切られてなり、それら単位区画の上方空間が前記連通一体空間の一部を形成する請求項18又は請求項19に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項21】
請求項15又は請求項16に記載の要件を備え、前記店員用通路が前記上げ底ブロックの長手方向端面を前記奥行き方向へ鍵型に回り込む形で形成され、前記コーナー主展示区画が該店員用通路に沿って前記奥行き方向へ鍵型に回り込む形で形成されている請求項18ないし請求項20のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項22】
前記上げ底ブロックの上方にて前記背面壁部の前記前面壁部から透視可能な位置に、販売促進用映像を表示する映像表示パネルが配置されている請求項18ないし請求項21のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項23】
複数の前記主展示区画がそれぞれ小形犬ないし幼少犬の展示区画であり、前記展示室の床面上にてそれら複数の前記主展示区画の配列末端に隣接する形で、それら主展示区画同士を仕切る前記区画間壁部よりも高い高区画壁で仕切られた猫専用展示区画が設けられている請求項1ないし請求項22のいずれか1項に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項24】
前記高区画壁は前記展示室の床面から天井面に至る閉鎖壁部として形成されてなる請求項23に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項25】
前記閉鎖壁部は、前記主展示区画と前記猫専用展示区画とを行き来するための猫専用展示区画出入り口を開閉可能に塞ぐ猫専用展示区画用扉とされてなる請求項24に記載のペット販売用ブース構造。
【請求項26】
請求項15ないし請求項17のいずれか1項に記載の要件を備え、前記コーナー主展示区画の前記奥行き方向背後に隣接する形で前記猫専用展示区画が形成され、透明壁部として形成された前記側面壁部から当該猫専用展示区画の内部が透視可能とされてなる請求項24又は請求項25に記載のペット販売用ブース構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−20(P2008−20A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170691(P2006−170691)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【特許番号】特許第3946751号(P3946751)
【特許公報発行日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(399061628)AHBインターナショナル株式会社 (4)
【Fターム(参考)】