説明

ペレタイザ

【課題】 樹木などの枝葉類を原料としたペレット材の製造を、枝葉類を切断刈除する作業現場において可能とすることにより、樹木などの枝葉類の資源としての有効利用を効率的に実現する。
【解決手段】 トラック100の荷室内に搭載固定した破砕部10により、切断刈除された枝葉類を細片状に破砕し、破砕された枝葉類を、トラック100の荷室内に搭載固定した乾燥部20に送出する。破砕部10より送出された細片状の枝葉類を、乾燥部20により所定の含水率に乾燥し、乾燥された枝葉類を、トラック100の荷室内に搭載固定したペレット化部30に送出する。乾燥部20より送出された所定の含水率の細片状の枝葉類を、ペレット化部30によりペレット化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はペレタイザに関する。具体的には、樹木などの枝葉類を原料としたペレット材の製造を、枝葉類を切断したり刈除したりする作業現場において可能とすることにより、樹木などの枝葉類の資源としての有効利用を効率的に実現することができるペレタイザを提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、樹木の枝葉が大きく張り出して障害となる場合や、樹木に枯れ枝が生じた場合には、枝葉あるいは枝のみを樹木から切断分離することが行われる。その場合、切断分離された枝や葉は、従来は、費用をかけて焼却処分したり、地中に埋めて大地に還元したり、あるいは、そのまま他の場所に廃棄して朽ちるにまかせていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、今日、石油や天然ガスなどの炭化水素系天然燃料である化石燃料のエネルギー資源としての有限性が指摘される中、化石燃料に代わるエネルギー資源の実現が求められており、その1つとして、樹木などの枝葉類を燃料資源として利用することが注目されている。
【0004】
その場合、樹木などの枝葉類を切断刈除する作業現場において、切断刈除された枝葉類を直ちに燃料資源として利用し得る形態に形成することができるならば、従来は、有効利用されないまま、費用をかけて焼却処分などが行われていた枝葉類を、燃料資源として活用できるだけでなく、切断刈除され作業現場に散乱する枝葉類を集積して、これを他の場所に搬送したうえで、燃料資源化のための所要の処理を施す場合よりも効率的であり、処理コストの低減化を図ることが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、上記課題に照らし、本発明はなされたものである。そのために、本発明では、つぎのような手段を用いるようにした。すなわち、切断刈除された樹木などの枝葉類を細片状に破砕する破砕部と、破砕部により細片状に破砕された枝葉類を乾燥する乾燥部と、乾燥部により乾燥された細片状の枝葉類をペレット状に成形するペレット化部とを、運輸手段に搭載して移動できるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によるならば、樹木などの枝葉類を切断刈除する作業現場において、切断刈除された枝葉類を直ちに燃料資源として利用し得る形態に形成することができるので、従来は、有効利用されずに費用をかけて焼却処分などが行われていた枝葉類を、燃料資源として活用することが可能となる。のみならず、切断刈除され作業現場に散乱する枝葉類を集積して、これを他の場所に搬送したうえで、燃料資源化のために必要な処理をする場合よりも効率的であり、コストの低廉化を図ることができる。したがって、本発明によりもたらされる効果は、実用上極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明を実施するための最良の形態を、図1ないし図4に示し説明する。ここで、図1は、本発明によるペレタイザの構成概念を示しており、図2ないし図4は、図1に示した各部の構成をそれぞれ示している。
【0008】
図1において、本発明によるペレタイザは、切断刈除された樹木などの枝葉類を破砕する破砕部10、破砕部10により破砕された枝葉類を乾燥する乾燥部20、および乾燥部20により乾燥された細片状の枝葉類をペレット状に成形するペレット化部30からなり、各部は、トラック100の、図示されてはいない開閉ウイング式の荷室内に搭載固定される。したがって、本発明によるペレタイザは、樹木などから枝葉類を切断刈除する作業現場に移動させることが可能である。
【0009】
図2は、枝葉類を破砕する破砕部10の構成を示しており、破砕部10は、図2(a)(部分断面図)に示すように、切断刈除された樹木などの枝葉類を投入する略四角錐台状の投入口11が上方に開口している。この投入口11の下方には、図2(b)(一部を切欠いた平面図)に示すように、所定の間隔をおいて平行して配設された2つの回転軸12a,12bが配設されており、その外周面に、投入口11を介して投入された枝葉類を内部に送り込むスクリュー・フィーダ13a,13bが、それぞれ固着されている。
【0010】
また、2つの回転軸12a,12bには、スクリュー・フィーダ13a,13bにより送り込まれた枝葉類を、まず粗めに破砕する切刃14a,14bと、粗めに破砕された枝葉類をより微細に破砕する切刃15a,15bが、それぞれ装着されている。後者の切刃15a,15bの前方側下方には、図2(a)に示すように、細かく細片状に破砕された枝葉類が排出される方形体状の排出口16が、下方に開口して設けられている。
【0011】
図3(部分縦断面図)は、図2に示した破砕部10により破砕され細片状となった枝葉類を乾燥する乾燥部20の構成を示している。ここにおける乾燥部20は、熱風による気流乾燥方式を用いている。すなわち、横設された円筒状の乾燥ドラム21の底部付近において先端を乾燥ドラム21の周面に開口し、かつ、乾燥ドラム21の円周の接線方向に沿って配設された熱風供給路28を介して、熱風供給装置29から乾燥ドラム21内に熱風を供給する。この乾燥ドラム21の上方には、乾燥された細片状の枝葉類を排出する円筒状の排出口23を上端部に有する箱筒状の上部乾燥室22の下端が連通しており、乾燥ドラム21内に供給された熱風は、上部乾燥室22内を上昇する。
【0012】
他方、被乾燥物である、破砕された枝葉類を乾燥ドラム21内に供給するための被乾燥物供給路26が、上部乾燥室22と熱風供給路28との間において先端を乾燥ドラム21の周面に開口して突立されて設けられている。この被乾燥物供給路26の下端開口部は、被乾燥物が熱風を受けて被乾燥物供給路26内に吹き込むのを防止するための、断面円弧状の熱気流整流板27によって部分的に遮蔽されている。
【0013】
また、被乾燥物供給路26の上方には、破砕部10より排出された細片状の枝葉類を収容するホッパ24が配設され、その下端開口と被乾燥物供給路26の上端開口との間に介装されたロータリ・フィーダ25の作動により、細片状の枝葉類は、乾燥ドラム21内に連続供給される。なお、破砕部10より排出される細片状の枝葉類の、ホッパ24への投入は、多数のバケットを用いたチェーン・コンベヤであるピボテッド・バケット・コンベヤ(図示せず)により行われる。
【0014】
図4(部分縦断面図)は、図3に示した乾燥部20により乾燥された細片状の枝葉類をペレット状に成形するペレット化部30の構成を示すものである。このペレット化部30は、乾燥部20により乾燥された細片状の枝葉類を投入する、上方に開口した四角錐台状の投入口31を有し、その下端開口に、投入された細片状の枝葉類を円筒状のチャンバー33内に供給するための、2つの乾燥物供給路32a,32bが二股状に連通している。乾燥部20より排出される細片状の枝葉類の、ペレット化部30の投入口31への投入は、図示されてはいないピボテッド・バケット・コンベヤにより行われる。
【0015】
チャンバー33内には、供給された細片状の枝葉類をペレット状に成形するための、直径がチャンバー33の内径と同一である円板状の成形板36が、配設されている。この成形板36には、その厚さ方向に貫通する多数の円孔37が、穿設されている。また、チャンバー33内には、回転軸34に支持されて回動する2つの押圧ローラ35a,35bが、回転軸34に関して対称となるように配設されている。これらの押圧ローラ35a,35bは、それ自体フリーに回転し、成形板36の上面部に摺接しながら回転軸34を中心として回動する。
【0016】
成形板36および押圧ローラ35a,35bがそれぞれ配設されたチャンバー33の下方には、ペレット状に成形された枝葉類を排出する、チャンバー33よりは小径の円筒状の排出口38が設けられている。
【0017】
以上説明した破砕部10、乾燥部20およびペレット化部30は、既述のように、トラック100(図1)の開閉ウイング式の荷室内に固定される。ここで、破砕部10の重量は約1400kg、乾燥部の重量は約360kg、ペレット化部30の重量は約1200kgである。これにピボテッド・バケット・コンベヤなどの付帯装置の重量を考慮して、最大積載量が4000kgクラスのトラック100の荷室内に、各部を搭載して固定する。
【0018】
以上のように構成された本発明によるペレタイザを用いる場合は、このペレタイザは移動可能であるので、樹木などの枝葉類を切断刈除する作業現場に移動させる。作業現場では、まず、トラック100の荷室のウイングをはね上げて、荷室を開放状態にする。そこで、切断刈除された枝葉類を、作業現場において直ちに破砕部10に投入し、5mm平方程度の細片状に破砕する。破砕部10では、作業者が投入口11(図2)を介して投入した枝葉類を、各スクリュー・フィーダ13a,13bが各刃物胴14a,14bに向けて送り込む。これを受けた各刃物胴14a,14bは、枝葉類を細片状に破砕し、破砕された枝葉類は、排出口16を介して排出される。
【0019】
排出された細片状の枝葉類は、ピボテッド・バケット・コンベヤにより搬送されて乾燥部20のホッパ24(図3)内に収容される。そこで、ホッパ24内に収容された枝葉類は、ロータリ・フィーダ25の作動により、被乾燥物供給路26を介して乾燥ドラム21内に連続的に定量供給される。乾燥ドラム21内に供給された枝葉類は、熱風供給路28を介して供給される熱風供給装置29からの熱風を受けて、乾燥ドラム21内で飛び交うようにして乾燥される。その後、上昇する熱気流に乗って上部乾燥室22内に流入して乾燥が促進され、排出口23を介して排出される。ホッパ24より乾燥ドラム21内に枝葉類が供給されてから排出口23を介して排出されるまでの所要時間は、数秒である。
【0020】
このようにして枝葉類は乾燥部20により乾燥されるのであるが、その際、乾燥部20は、含水率が15〜20%となるように細片状の枝葉類を乾燥する。これは、枝葉類の含水率が低過ぎると、枝葉類に含まれるペレット化に必要な結着成分が作用しなくなり、細片状の枝葉類をペレット状に成形することが不可能となるからである。
【0021】
乾燥部20により乾燥された枝葉類は、上部乾燥室22上端部の排出口23を介して排出され、排出された枝葉類は、ペレット化部30の投入口31(図3)に向けてピボテッド・バケット・コンベヤにより搬送される。ペレット化部30の投入口31に投入された細片状の枝葉類は、各乾燥物供給路32a,32bを介してチャンバー33内に落下供給される。
【0022】
チャンバー33内では、回転する各押圧ローラ35a,35bにより、供給された細片状の枝葉類を、成形板36に穿設された各円孔37内に押し込む。各円孔37に押し込まれ加圧された細片状の枝葉類は、加圧されることによって熱を発生し、これにより枝葉類に含まれている結着成分が作用して細片状の枝葉類は、径が5mm、長さが10mm程度の円柱状に成形されてペレット化する。ペレット化された枝葉類は、排出口38を介してペレット化部30より排出される。排出されるペレット状の枝葉類は、人手あるいは袋詰め装置(図示せず)により袋詰めにする。切断刈除された枝葉類が破砕部10に投入され始めてからペレット化部30よりペレットとして排出されるまでに要する時間は、数分程度である。
【0023】
以上のようにして本発明によるペレタイザによりペレット化する対象は、樹木の枝葉が代表的であるが、これに限定されるものではない。その他にも、例えば、竹の幹および枝葉、草、花、ツタなども適用対象となり得るものである。
【0024】
なお、本発明によるペレタイザに用いる破砕部10およびペレット化部30の構成は、それぞれ図2および図4に示した構成に限られるものではない。樹木などの枝葉類を細片状に破砕し得る装置であり、細片状の枝葉類をペレット化し得る装置であれば、その構成を問わないものである。
【0025】
しかし、破砕部10により細片状に破砕された枝葉類を乾燥する乾燥部20は、図3に示した構成に限られるものである。すなわち、図3に示した構成は、本発明の目的を達成するうえでは、必須的である。この構成によるならば、連続的かつ高速処理が可能であり、最も小型で処理能力が小さいタイプであっても、1時間当たり少なくとも100kgの細片状の枝葉類を乾燥することができる。そのため、破砕部10およびペレット化部30の各処理速度に相応することができ、枝葉類の破砕、乾燥およびペレット化を同時に一括処理することができる。
【0026】
その結果、図3に示した構成による乾燥部20を、破砕部10とペレット化部30との間に介在させて、破砕部10、乾燥部20およびペレット化部30の全体を1つの装置として構成しても、装置全体を円滑に作動させることができる。したがって、破砕部10、乾燥部20およびペレット化部30の全体をトラック100の荷室に搭載して、枝葉類を切断刈除する作業現場に移動させ、そこで直ちに枝葉類をペレット化すれば、効率的に低コストで枝葉類を原料とした燃料資源を得ることが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明によるペレタイザの構成概念を示す概念図である。
【図2】図1に示した破砕部の構成を示す構成図である。
【図3】図1に示した乾燥部の構成を示す部分縦断面図である。
【図4】図1に示したペレット化部の構成を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 破砕部
11 投入口
12a,12b 回転軸
13a,13b スクリュー・フィーダ
14a,14b,15a,15b 切刃
16 排出口
20 乾燥部
21 乾燥ドラム
22 上部乾燥室
23 排出口
24 ホッパ
25 ロータリ・フィーダ
26 被乾燥物供給路
27 熱気流整流板
28 熱風供給路
29 熱風供給装置
30 ペレット化部
31 投入口
32a,32b 原料供給路
33 チャンバー
34 回転軸
35a,35b 押圧ローラ
36 成形板
37 円孔
38 排出口
100 トラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝葉類を細片状に破砕するための破砕手段(10)と、
前記破砕手段により細片状に破砕された前記枝葉類を所定の含水率に乾燥するための乾燥手段(20)と、
前記乾燥手段により前記所定含水率に乾燥された、前記細片状に破砕された枝葉類をペレット状に成形するためのペレット化手段(30)とを
運輸手段(100)に搭載して移動可能としたペレタイザ。
【請求項2】
前記乾燥手段が、
熱風を供給するための熱風供給装置(29)と、
横設された円筒状の乾燥ドラム(21)と、
前記乾燥ドラムの底部付近において先端を前記乾燥ドラムの周面に開口して前記乾燥ドラムの円周の接線方向に沿って配設された、前記熱風供給装置からの熱風を前記乾燥ドラム内に供給するための熱風供給路(28)と、
上端部に排出口(23)を有する、前記乾燥ドラムの上方に配設されて下端が前記乾燥ドラムに連通する箱筒状の上部乾燥室(22)と、
前記破砕手段より排出される前記細片状に破砕された枝葉類を収容するためのホッパ(24)と、
前記熱風供給路と前記上部乾燥室との間において先端を前記乾燥ドラムの周面に開口して突立されて設けられるとともに下端開口部が断面円弧状の熱気流整流板(27)により部分的に遮蔽された、前記ホッパ内に収容された前記細片状に破砕された枝葉類を前記乾燥ドラム内に供給するための被乾燥物供給路(26)と、
前記ホッパの下端開口と前記被乾燥物供給路の上端開口との間に介装された、前記細片状に破砕された枝葉類を連続的に定量供給するためのロータリ・フィーダ(25)とを
具備したものである請求項1記載のペレタイザ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−231712(P2006−231712A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49956(P2005−49956)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(302006061)株式会社マルミ (3)
【Fターム(参考)】