説明

ペン先反射ペン軸発光型ペンおよび位置・ポインティング動作検出装置

【課題】ペン先の位置を連続的に検出可能とし且つポインティング動作を検知可能とし且つ電池の消耗を少なくする。
【解決手段】ペン軸状の外形を有するペン軸部(1)の下端から突出したペン先部(2)に再帰反射部(3)を設置し、ペン軸部(1)の上端に発光部(4)を設置し、プッシュボタン(6,7)が押されたときに発光部(4)を発光させる。発光部(4)は、LED(4a)と、プリズム(4b)と、反射板(4c)とから構成する。
【効果】ペン先(7)の位置を連続的に検出できる。ポインティング動作を検知できる。電池(5)の消耗を少なくすることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペン先反射ペン軸発光型ペンおよび位置・ポインティング動作検出装置に関し、さらに詳しくは、ペン先の位置を連続的に検出可能であり且つポインティング動作を検知可能であり且つ電池の消耗が少ないペン先反射ペン軸発光型ペンおよび該ペン先反射ペン軸発光型ペンを用いた位置・ポインティング動作検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペン先に再帰反射部材を設けたペン先反射型ペンおよび該ペン先反射型ペンを用いた光デジタイザが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
他方、ペン先が発光するようにしたペン先発光型ペンおよび該ペン先発光型ペンを用いた筆記用具の動きの追跡装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−142630号公報
【特許文献2】特表2003−515800号公報([請求項55])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のペン先反射型ペンおよび光デジタイザでは、ペン先反射型ペンのペン先を走らせる領域の近傍に赤外線光源および赤外線センサを置き、赤外線光源の光がペン先の再帰反射部材で反射されるのを赤外線センサで検知してペン先の位置を検出する。赤外線光源への電力供給が容易であるため、赤外線光源を連続的に発光させておくことが可能であり、ペン先の位置を連続的に検出できる利点がある。しかし、ポインティング動作を検知できない問題点がある。
他方、上記従来のペン先発光型ペンおよび筆記用具の動きの追跡装置では、ペン先反射型ペンに電池,スイッチおよび赤外線光源を内蔵し、ペン先を走らせる領域の近傍に赤外線センサを置き、スイッチがオンされた時に電池から電力供給して赤外線光源を発光させ、その光がペン先から放射されるのを赤外線センサで検知してペン先の位置を検出する。スイッチのオン/オフを検知できるため、ポインティング動作を検知可能になる。しかし、ペン先の位置を連続的に検出できなくなる問題点がある。なお、赤外線光源を連続的に発光させておけばペン先の位置を連続的に検出できるが、内蔵電池がすぐに消耗してしまうため、実用的ではない。
そこで、本発明の目的は、ペン先の位置を連続的に検出可能であり且つポインティング動作を検知可能であり且つ電池の消耗が少ないペン先反射ペン軸発光型ペンおよび該ペン先反射ペン軸発光型ペンを用いた位置・ポインティング動作検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、ペン軸状の外形を有するペン軸部(1)と、前記ペン軸部(1)の下端から突出したペン先部(2)と、前記ペン先部(2)に設置された再帰反射部(3)と、前記ペン軸部(1)の上端に設置された発光部(4)と、前記ペン軸部(1)に内蔵された電池(5)と、前記ペン軸部(1)にプッシュボタン(6)が設置されるか又はペン先(7)をブッシュボタンとし且つ前記プッシュボタン(6,7)が押されたときに前記電池(5)から通電し前記発光部(4)を発光させるスイッチ回路部(8)とを具備したことを特徴とするペン先反射ペン軸発光型ペン(9)を提供する。
上記第1の観点によるペン先反射ペン軸発光型ペン(9)では、ペン先反射ペン軸発光型ペン(9)のペン先(7)を走らせる領域の近傍に光源および光センサを置き、光源の光が再帰反射部(3)で反射されるのを光センサで検知してペン先(7)の位置を検出する。光源への電力供給が容易であるため、光源を連続的に発光させておくことが可能であり、ペン先(7)の位置を連続的に検出できる。また、プッシュボタン(6,7)がプッシュされた時に電池(5)から電力供給して発光部(4)を発光させ、ペン先(7)を走らせる領域の近傍に置いた光センサで発光部(4)の発光を検知してプッシュボタン(6,7)が押されたことを検知できるため、ポインティング動作を検知可能になる。さらに、プッシュボタン(6,7)が押されていない時は発光部(4)を発光させないため、電池(5)の消耗を少なくすることが出来る。
【0006】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点によるペン先反射ペン軸発光型ペン(9)であって、前記発光部(4)は、前記ペン軸部(1)の軸方向に上端へ向けて光を放射するLED(4a)と、前記ペン軸部(1)の軸方向にほぼ直交する方向に前記光を反射するプリズム(4b)と、前記光を前記ペン軸部(1)の軸方向にほぼ直交する方向よりも下向きに反射する反射板(4c)とを具備することを特徴とするペン先反射ペン軸発光型ペン(9)を提供する。
上記第2の観点によるペン先反射ペン軸発光型ペン(9)では、LED(4a)の光がプリズム(4b)だけでなく反射板(4c)でも反射され、ペン軸部(1)の軸方向にほぼ直交する方向からそれよりも下向きまでの広い角度(例えばθ=75゜)で放射されるから、ユーザが持つことによりペン軸部(1)の姿勢が変わっても、ペン先(7)を走らせる領域の近傍に置いた光センサで発光部(4)の発光を確実に検知できるようになる。なお、プリズム(4b)だけだと狭い角度(例えばθ=50゜)になる。
【0007】
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点によるペン先反射ペン軸発光型ペン(9)と、前記ペン先反射ペン軸発光型ペン(9)のペン先(7)を走らせる領域(A)の近傍に設置され前記領域(A)に向けて光を放射する光源(10a,10b)と、前記領域(A)の近傍に設置され前記光源(10a,10b)の光が前記ペン先反射ペン軸発光型ペン(9)の再帰反射部(3)で反射されるのを検知する第1の光センサ(11a,11b)と、前記領域(A)の近傍に設置され前記ペン先反射ペン軸発光型ペン(9)の発光部(4)の発光を検知する第2の光センサ(12a,12b)とを具備したことを特徴とする位置・ポインティング動作検出装置(100)を提供する。
上記第3の観点による位置・ポインティング動作検出装置(100)では、光源(10a,10b)への電力供給が容易であるため、光源(10a,10b)を連続的に発光させておくことが可能であり、ペン先(7)の位置を連続的に検出できる。また、第2の光センサ(12a,12b)で発光部(4)の発光を検知してプッシュボタン(6,7)が押されたことを検知できるため、ポインティング動作の検知も可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のペン先反射ペン軸発光型ペンおよび位置・ポインティング動作検出装置によれば、ペン先の位置を連続的に検出可能になり、ポインティング動作を検知可能になり、ペンに内蔵する電池の消耗を少なくすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1に係るペン先反射ペン軸発光型ペンを示す構成説明図である。
【図2】実施例1に係る位置・ポインティング動作検出装置の位置検出状態を示す構成説明図である。
【図3】実施例1に係る位置・ポインティング動作検出装置のポインティング動作検出状態を示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
−実施例1−
図1は、実施例1に係るペン先反射ペン軸発光型ペン9を示す構成説明図である。
このペン先反射ペン軸発光型ペン9は、ペン軸状の外形を有するペン軸部1と、ペン軸部1の下端から突出したペン先部2と、ペン先部2に設置された再帰反射部3と、ペン軸部1の上端に設置された発光部4と、ペン軸部1に内蔵された電池5と、ペン軸部1に設置された3個のプッシュボタン6と、プッシュボタン6またはペン先7が押されたときに電池5から通電し発光部4を発光させるスイッチ回路部8とを具備してなる。
【0012】
発光部4は、ペン軸部1の軸方向に上端へ向けて光を放射する赤外線LED4aと、ペン軸部1の軸方向にほぼ直交する方向に光を反射するプリズム4bと、光をペン軸部1の軸方向にほぼ直交する方向よりも下向きに反射する反射板4cとを具備してなる。
反射板4cは、例えば平面アルミシートである。
【0013】
スイッチ回路部8は、3個のプッシュボタン6およびペン先7のどれが押されたかを識別し、押されたパターンに応じて異なった発光パターンで発光部4を発光させる。
【0014】
図2は、実施例1に係る位置・ポインティング動作検出装置100の位置検出状態を示す構成説明図である。また、図3は、位置・ポインティング動作検出装置100のポインティング動作検出状態を示す構成説明図である。
【0015】
位置・ポインティング動作検出装置100は、ペン先反射ペン軸発光型ペン9と、ペン先反射ペン軸発光型ペン9のペン先7を走らせる領域Aの近傍に設置された赤外線LED10a,10bおよび第1のイメージセンサ11a,11bおよび第2のイメージセンサ12a,12bと、ペン先7の位置を検出すると共にポインティング動作を検出する制御部13とを具備してなる。
【0016】
図2に示すように、制御部13は、赤外線LED10a,10bの光がペン先反射ペン軸発光型ペン9の再帰反射部3で反射されるのを第1のイメージセンサ11a,11bで検知し、得られたデータを上位装置へ送信する。上位装置は、第1のイメージセンサ11a,11bで得られたデータを解析し位置を検出する。赤外線LED10a,10bおよび第1のイメージセンサ11a,11bへの電力供給は連続的に行われ、赤外線LED10a,10bおよび第1のイメージセンサ11a,11bは連続的に動作するため、ペン先7の位置を連続的に検出できる。
【0017】
図3に示すように、プッシュボタン6をユーザが指で押すか又はペン先7を領域Aの面に押し付けるようにペン軸部1を押下すると、発光部4が発光する。制御部13は、発光部4の発光を第2のイメージセンサ12a,12bで検知すると、発光パターンに対応したデータを上位装置へ送信する。上位装置は、発光パターンに対応したデータを基にプッシュボタン6のどれが押されたか又はペン先7が押されたかを判定する。
【0018】
実施例1に係るペン先反射ペン軸発光型ペン9および位置・ポインティング動作検出装置100によれば次の効果が得られる。
(1)ペン先7の位置を連続的に検出できる。
(2)ポインティング動作を検知可能になる。
(3)電池5の消耗を少なくすることが出来る。
(4)発光部4から赤外線を放射する角度θが広い(例えば75゜)ので、発光部4の発光を確実に検知できる。なお、100インチクラスの大型モニタの画面を領域Aとした場合でも、発光部4の発光を確実に検知できた。
(5)第2のイメージセンサ12a,12bを複数の箇所に備えているので、発光部4の発光を確実に検知できる。なお、100インチクラスの大型モニタの画面を領域Aとした場合でも、発光部4の発光を確実に検知できた。
(6)発光部4から赤外線を放射する角度θを安価な構成(例えば平面アルミシート)で広げることが出来る。
【0019】
−実施例2−
制御部13は、第1のイメージセンサ11a,11bで得たデータを解析してペン先7の位置を検出し、その位置データを上位装置へ送信してもよい。
【0020】
−実施例3−
制御部13は、第2のイメージセンサ12a,12bで得たデータを解析してプッシュボタン6のどれが押されたか又はペン先7が押されたかを判定し、その判定データを上位装置へ送信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のペン先反射ペン軸発光型ペンおよび位置・ポインティング動作検出装置は、マウスの代わりとして利用することが出来る。
【符号の説明】
【0022】
1 ペン軸部
2 ペン先部
3 再帰反射部
4 発光部
4a 赤外線LED
4b プリズム
4c 反射板
5 電池
6 プッシュボタン
7 ペン先
8 スイッチ回路部
9 ペン先反射ペン軸発光型ペン
10 赤外線LED
100 位置・ポインティング動作検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン軸状の外形を有するペン軸部(1)と、前記ペン軸部(1)の下端から突出したペン先部(2)と、前記ペン先部(2)に設置された再帰反射部(3)と、前記ペン軸部(1)の上端に設置された発光部(4)と、前記ペン軸部(1)に内蔵された電池(5)と、前記ペン軸部(1)にプッシュボタン(6)が設置されるか又はペン先をブッシュボタン(7)とし且つ前記プッシュボタン(6,7)が押されたときに前記電池(5)から通電し前記発光部(4)を発光させるスイッチ回路部(8)とを具備したことを特徴とするペン先反射ペン軸発光型ペン(9)。
【請求項2】
請求項1に記載のペン先反射ペン軸発光型ペン(9)であって、前記発光部(4)は、前記ペン軸部(1)の軸方向に上端へ向けて光を放射するLED(4a)と、前記ペン軸部(1)の軸方向にほぼ直交する方向に前記光を反射するプリズム(4b)と、前記光を前記ペン軸部(1)の軸方向にほぼ直交する方向よりも下向きに反射する反射板(4c)とを具備することを特徴とするペン先反射ペン軸発光型ペン(9)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のペン先反射ペン軸発光型ペン(9)と、前記ペン先反射ペン軸発光型ペン(9)のペン先(7)を走らせる領域(A)の近傍に設置され前記領域(A)に向けて光を放射する光源(10a,10b)と、前記領域(A)の近傍に設置され前記光源(10a,10b)の光が前記ペン先反射ペン軸発光型ペン(9)の再帰反射部(3)で反射されるのを検知する第1の光センサ(11a,11b)と、前記領域(A)の近傍に設置され前記ペン先反射ペン軸発光型ペン(9)の発光部(4)の発光を検知する第2の光センサ(12a,12b)とを具備したことを特徴とする位置・ポインティング動作検出装置(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−250520(P2010−250520A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98609(P2009−98609)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】