説明

ホルダおよびこれを用いたPCB取付構造

【課題】 部品点数が少なくて組立が容易な構成とするとともに、取り付けるPCBの間隔に応じて別部品を用意せずに済む固定高さ調整可能なホルダを提供する。
【解決手段】 ホルダは、中空状の筒部の内面側にフック孔を有する第1ホルダと、貫通孔を形成する筒部の一方端側に第1ホルダの筒部のフック孔に連結するフックを有する第2ホルダと、中空状の筒部の閉じた一方端側に第2ホルダの貫通孔に嵌合する軸部を有する第3ホルダと、を備え、第2ホルダのフックが、その先端部に貫通孔の径方向内側に突出する第1突起と、第1突起に対応して径方向外側に突出する第2突起と、を有し、第2ホルダの貫通孔に嵌入される第3ホルダの軸部が第2ホルダのフックの第1突起に当接すると、第2ホルダのフックが径方向外側に押し広げられて、第2ホルダのフックの第2突起が、第1ホルダの筒部の内面側から係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像音響機器を構成するプリント基板(以下PCB[プリントサーキットボード]と略する。)を筐体または他のPCBに取り付けるのに用いるホルダと、このホルダを用いるPCB取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
映像音響機器を構成するプリント基板(PCB)には、ハンダ付けされて相互に接続する回路部品が載置される。PCBは、映像音響機器の筐体を構成するシャーシ等に、樹脂等で形成されるホルダにより取り付けられ、あるいは、他のPCBにホルダにより取り付けられる。PCB取付構造に用いるホルダには、様々なタイプのものあり、PCBの固定を簡略化するもの、取り付けるPCBの間隔(固定高さ)を調整・可変できるもの、PCBを多段に取り付けるにあたってホルダを構成する部品の共用化を図るもの、等がある。特に、PCB取付構造では、部品点数が少なくて取り付けが容易な構成とするとともに、取り付けるPCBの間隔に応じて別部品を用意せずに済み、固定高さ調整可能なホルダを実現できるようにするのが好ましい。
【0003】
従来には、例えば、専用工具,技能を必要とせずに、簡単にかつ短時間に、2枚の平板を間隔をあけて固定するために、間隔をあけて平行に配設された平板と、前記両平板間に介在したスペーサと、該スペーサの両端部に形成された挿入穴と、前記両端部の両側面に前記挿入穴に連通して形成された係止孔と、前記平板の透孔及び前記挿入穴に挿入された係止棒と、該係止棒の基部に形成され前記平板に当接したつば部と、前記係止棒の基部から先端側に形成された嵌入穴と、前記係止棒の先端部を2個の係止片に分割した切溝と、前記嵌入穴に嵌入されるとともに前記両係止片の外側部を前記係止孔に係止した嵌入棒とを備えた平行板固定装置がある。(特許文献1)。
【0004】
また、従来には、柱状体の一方の側がシャーシ等の保持体へ固定され、他方の側が筒状に形成された足部と、柱状体の一方の側が所定のプリント板へ固定され、他方の側が前記足部の筒状の形成部へ挿入され、高さ可変に連結されるプリント板取付部とを有し、前記足部とプリント板取付部との組合せにより一のホルダが構成され、該ホルダの少なくとも2個により前記プリント板の前記保持体に対する固定高さを可変としたことを特徴とする高さ可変PWBホルダがある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−60187号公報 (第1図〜第4図)
【特許文献2】特開平11−40958号公報 (第1図〜第7図)
【0006】
しかしながら、PCB取付構造に用いるホルダを選択する際には、PCBに取り付けられる高さの異なる部品に応じたホルダを様々に用意していては、ホルダ部品の種類が多くなるという問題があり、また、取り付けるPCBの間隔(固定高さ)を調整・可変できるようにすると、強固なホルダを構成しなければPCB取付構造を不安定にしてしまうという問題がある。さらに、取り付けるPCBの間隔(固定高さ)を調整・可変できるようにしつつ、PCBを多段に取り付けるようにするには、ホルダを同軸上に連結する構造を実現しなければ、上下で位置をずらしたホルダによってPCBを取り付けならず、部品点数が増えてPCBも大きくなるというという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ホルダおよびこれを用いたPCB取付構造に関し、部品点数が少なくて組立が容易な構成とするとともに、取り付けるPCBの間隔に応じて別部品を用意せずに済む固定高さ調整可能なホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のホルダは、中空状の筒部の内面側にフック孔を有する第1ホルダと、貫通孔を形成する筒部の一方端側に第1ホルダの筒部のフック孔に連結するフックを有する第2ホルダと、中空状の筒部の閉じた一方端側に第2ホルダの貫通孔に嵌合する軸部を有する第3ホルダと、を備え、第2ホルダのフックが、その先端部に貫通孔の径方向内側に突出する第1突起と、第1突起に対応して径方向外側に突出する第2突起と、を有し、第2ホルダの貫通孔に嵌入される第3ホルダの軸部が第2ホルダのフックの第1突起に当接すると、第2ホルダのフックが径方向外側に押し広げられて、第2ホルダのフックの第2突起が、第1ホルダの筒部の内面側から係合する。
【0009】
好ましくは、本発明のホルダは、第2ホルダが、貫通孔を形成する筒部の内面側にネジ溝部を有し、第3ホルダの軸部が、第2ホルダのネジ溝部に螺合して連結するネジ山部を含み、第2ホルダのネジ溝部の第3ホルダのネジ山部が螺合すると、第3ホルダの軸部が第2ホルダのフックの第1突起に当接する。
【0010】
さらに、好ましくは、本発明のホルダは、第1ホルダが筒部の一方端側にPCBまたはシャーシに連結するフックをさらに有し、第2ホルダが筒部から延設される基板保持部をさらに有し、第3ホルダが筒部から延設される基板保持部をさらに有する。
【0011】
また、好ましくは、本発明のホルダは、第1ホルダの筒部が複数のフック孔を有し、第2ホルダのフックの第2突起が、一のフック孔に係合する場合と、他のフック孔に係合する場合とで、その全長が変化する。
【0012】
また、好ましくは、本発明のホルダは、第3ホルダの筒部が、第1ホルダの筒部と同形状に形成されて、中空状の筒部の内面側に第2ホルダのフックの第2突起が係合する複数のフック孔を有する。
【0013】
また、本発明のPCB取付構造は、上記のホルダと、第1ホルダのフックに連結するPCBまたはシャーシと、第2ホルダの基板保持部および第3ホルダの基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、を含む。
【0014】
また、本発明のPCB取付構造は、上記のホルダと、第1ホルダのフックに連結するPCBまたはシャーシと、第2ホルダの基板保持部および第3ホルダの基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、第3ホルダの筒部に連結する他の第2ホルダと、他の第2ホルダと連結する他の第3ホルダと、他の第2ホルダの基板保持部および他の第3ホルダの基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、を含む。
【0015】
以下、本発明の作用について説明する。
【0016】
本発明のホルダは、中空状の筒部の内面側にフック孔を有する第1ホルダと、 貫通孔を形成する筒部の一方端側に第1ホルダの筒部のフック孔に連結するフックを有する第2ホルダと、中空状の筒部の閉じた一方端側に第2ホルダの貫通孔に嵌合する軸部を有する第3ホルダと、を備える。本発明のホルダは、例えば、樹脂から形成され、第1ホルダは、筒部の一方端側にPCBまたはシャーシに連結するフックをさらに有し、第2ホルダは筒部から延設される基板保持部をさらに有し、第3ホルダは筒部から延設される基板保持部をさらに有していてもよい。上記のホルダと、第1ホルダのフックに連結するPCBまたはシャーシと、第2ホルダの基板保持部および第3ホルダの基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、により、本発明のPCB取付構造が実現される。
【0017】
具体的には、ホルダを構成する第2ホルダのフックは、その先端部に貫通孔の径方向内側に突出する第1突起と、第1突起に対応して径方向外側に突出する第2突起と、を有している。したがって、本発明のホルダを組む場合に、第2ホルダの貫通孔に嵌入される第3ホルダの軸部が第2ホルダのフックの第1突起に当接すると、第2ホルダのフックが径方向外側に押し広げられて、第2ホルダのフックの第2突起が、第1ホルダの筒部の内面側から係合する。その結果、第1ホルダと第2ホルダとが強固に連結される。したがって、専用工具等を用いなくても強固なPCB取付構造を実現することができる。
【0018】
さらに、第2ホルダの貫通孔を形成する筒部の内面側にネジ溝部が形成され、第3ホルダの軸部に第2ホルダのネジ溝部に螺合して連結するネジ山部が形成されている場合には、第2ホルダのネジ溝部の第3ホルダのネジ山部が螺合すると、第3ホルダの軸部が第2ホルダのフックの第1突起に当接する。したがって、第2ホルダのフックが径方向外側に押し広げられて、第2ホルダのフックの第2突起が、第1ホルダの筒部の内面側から係合するとともに、第2ホルダと第3ホルダとが螺合して連結するので、その結果、第1ホルダと第2ホルダと第3ホルダとが強固に連結されるホルダが実現される。
【0019】
また、本発明のホルダでは、第1ホルダの筒部が複数のフック孔を有し、第2ホルダのフックの第2突起が、一のフック孔に係合する場合と、他のフック孔に係合する場合とで、その全長が変化するので、固定高さ調整可能なホルダを実現できる。つまり、複数の固定高さに応じた複数のフック孔を第1ホルダの筒部に設けているので、第1ホルダのフックに連結するPCBまたはシャーシと、第2ホルダの基板保持部および第3ホルダの基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、の間の距離(固定高さ)を複数段階で調整できる。したがって、取り付けるPCBの間隔に応じて別のホルダを用意せずに済む。
【0020】
また、本発明のホルダでは、第3ホルダの筒部が、第1ホルダの筒部と同形状に形成されて、中空状の筒部の内面側に第2ホルダのフックの第2突起が係合する複数のフック孔を有するようにする。このようにすれば、取り付けるPCBの間隔(固定高さ)を調整・可変できるようにしつつ、ホルダを同軸上に連結してPCBを多段に取り付ける構造が実現される。すなわち、このホルダと、第1ホルダのフックに連結するPCBまたはシャーシと、第2ホルダの基板保持部および第3ホルダの基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、第3ホルダの筒部に連結する他の第2ホルダと、他の第2ホルダと連結する他の第3ホルダと、他の第2ホルダの基板保持部および他の第3ホルダの基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、を含む多段のPCB取付構造を実現できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のホルダおよびこれを用いたPCB取付構造は、部品点数が少なくて組立が容易な構成とするとともに、取り付けるPCBの間隔に応じて別部品を用意せずに済む固定高さ調整可能なホルダを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるPCB取付構造1について説明する断面図である。(実施例1)
【図2】本発明の好ましい実施形態によるPCB取付構造1を構成する第1ホルダ2を説明する一部断面図である。(実施例1)
【図3】本発明の好ましい実施形態によるPCB取付構造1を構成する第2ホルダ3を説明する図である。(実施例1)
【図4】本発明の好ましい実施形態によるPCB取付構造1を構成する第3ホルダ4を説明する一部断面図である。(実施例1)
【図5】本発明の他の好ましい実施形態によるPCB取付構造1を構成する他の第1ホルダ2aを説明する一部断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態によるホルダおよびこれを用いたPCB取付構造について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるPCB取付構造1について説明する断面図である。本実施例のPCB取付構造1は、(図示しない)映像音響機器の筐体の内部において、第1ホルダ2、第2ホルダ3、および、第3ホルダ4の組み合わせからなるホルダ、あるいは、第2ホルダ3、および、第3ホルダ4の組み合わせからなるホルダを用いて、筐体を構成するシャーシ5にPCB6、7、8を多層状に取り付ける構造である。
【0025】
例えば、本実施例のPCB取付構造1は、シャーシ5から構成される筐体を有するAVレシーバー、あるいは、ディスクプレーヤー等の映像音響機器において、ハンダ付けされて相互に接続する(図示しない)回路部品が載置されているPCB6、7、8を、シャーシ5に取り付ける場合を含み、A−A’軸上に連結するホルダ(第1ホルダ2、第2ホルダ3、第3ホルダ4)によって所定の間隔(距離ha、hb、hc)で取り付けて固定する構造である。なお、シャーシ5とPCB6との間隔haは、図示するように、後述する第1ホルダ2のフック部分を除く寸法として規定している。
【0026】
本実施例のホルダは、1個の第1ホルダ2と、3個の第2ホルダ3と、3個の第3ホルダ4と、から構成されており、PCBを多段に取り付けるにあたって、ホルダを構成する部品の共用化が図られている。もちろん、本発明のホルダの構成は、図1の場合に限られるものではなく、PCBの取り付け状況によって異なるホルダ部品の組み合わせであっても良い。本実施例のホルダは、それぞれが射出成形する樹脂等で形成され、例えば、ナイロン樹脂、又は、ポリカーボネート樹脂、等が適している。もちろん、本発明のホルダは、他の樹脂であってもよい。
【0027】
図2は、PCB取付構造1を構成する第1ホルダ2を説明する一部断面図である。具体的には、第1ホルダ2は、中心軸に沿う貫通孔を形成する中空状の筒部21の内面22に外面まで貫通する複数のフック孔23を有し、筒部21の一方端側に厚み約1.0mm〜1.6mmのシャーシ5に連結する鍵状のフック部24および長片の弓状の支持部25を備えている。全長が約15mm〜20mmの筒部21には、中心軸を対称にして設けられる2つを一組とする3組のフック孔23a、23b、23cが、この中心軸に沿って約3.0mm〜5.0mmの間隔となるように配置されている。また、弾力性を有するように形成されるフック部24が、シャーシ5に形成される取付孔に挿入されると、シャーシ5がフック部24と弾力性を有する支持部25に狭持されるので、第1ホルダ2とシャーシ5とが連結する。
【0028】
図3は、PCB取付構造1を構成する第2ホルダ3を説明する図であり、図3(a)の断面図と、図3(a)とは軸方向に90°回転した方向から見た一部断面図である図3(b)を含んでいる。第2ホルダ3は、中心軸に沿う貫通孔を形成する中空状の筒部31と、筒部31から延設される2つのフック33と、筒部31から突出するように延設される基板保持部36と、筒部31の内面32に形成されるネジ溝部37と、を備えている。第2ホルダ3のフック33は、筒部31にスリットを設けて弾性を有するように形成され、それぞれの先端部に中心軸に沿う貫通孔の径方向内側に突出する第1突起34と、第1突起34に対応して径方向外側に突出する第2突起35と、を有する。なお、第2ホルダ3の筒部31の外形直径は、第1ホルダ2の筒部21、あるいは、後述する第3ホルダ4の中空状の筒部41に対応して、これらに嵌入可能な寸法を有し、第1突起34および第2突起35の飛び出し寸法は、約0.6mm〜0.8mmである。
【0029】
図4は、PCB取付構造1を構成する第3ホルダ4を説明する一部断面図である。第3ホルダ4は、中心軸に沿う貫通孔を形成する中空状の筒部41と、中空状の筒部41の内面42に外面まで貫通する複数のフック孔43を有し、さらに、筒部41の閉じた一方端側から延設されて一部にネジ山部45が形成される軸部44と、筒部41の端部であって軸部44を延設する部分に段差状に形成される基板保持部46と、を備えている。全長が15mm〜20mmの第3ホルダ4の筒部41は、第1ホルダ2の筒部21と同形状に形成されており、中心軸を対称にして設けられる2つを一組とする3組のフック孔43a、43b、43cが、この中心軸に沿って約3.0mm〜5.0mmの間隔となるように配置されている。なお、第3ホルダ4の筒部41の外形直径は、PCB6、7、8に形成される取付孔に対応して、これらの取付孔の直径よりも大きな寸法を有している。
【0030】
ここで、ホルダが連結する動作を説明する。第2ホルダ3の筒部31に形成される貫通孔には、第3ホルダ4の軸部44が嵌入される。第3ホルダ4の軸部44の長さは、第2ホルダ3の筒部31から延設されるフック33の長さに対応しているので、第2ホルダ3の貫通孔に嵌入される第3ホルダ4の軸部44が第2ホルダ3のフック33の径方向内側に突出する第1突起34に当接すると、第2ホルダ3のフック33が径方向外側に押し広げられる。その結果、第2ホルダ3のフック33の径方向外側に突出する第2突起35が、第1ホルダ2の筒部21に設けられたフック孔23のいずれかに内面22側から係合するので、第1ホルダ2と第2ホルダ3とを連結することができる。また、その際に、第2ホルダ3のネジ溝部37と第3ホルダ4のネジ山部45が螺合するので、第2ホルダ3と第3ホルダ4とが連結する。したがって、第1ホルダ2と、第2ホルダ3と、第3ホルダ4とは、強固に同軸上に連結する。
【0031】
また、第1ホルダ2が筒部21の一方端側にシャーシ5に連結するフック24をさらに有し、第2ホルダ3が筒部31から延設される基板保持部36を有し、第3ホルダ4が筒部41に基板保持部46をさらに有するので、図1に示すような本実施例のPCB取付構造1が実現される。つまり、本実施例のPCB取付構造1は、上記の第1ホルダ2、第2ホルダ3、および、第3ホルダ4と、第1ホルダ2のフック24に連結するシャーシ5と、第2ホルダ3の基板保持部36および第3ホルダ4の基板保持部46の間に狭持されるPCB6と、を含む。
【0032】
さらに、このPCB取付構造1は、この第3ホルダ4の筒部41に連結して同軸上に設けられる他の第2ホルダ3および第3ホルダ4と、それらの基板保持部36および基板保持部46の間に狭持される他のPCB7、あるいは、PCB8を含む。つまり、第3ホルダ4の筒部41が第1ホルダ2の筒部21と同形状に形成されているので、中空状の筒部41の内面側に他の第2ホルダ31のフック33の第2突起35が、第3ホルダ4の筒部41に形成される複数のフック孔43のいずれかに係合し、多段状にPCB6、7、8を取り付けることができる。
【0033】
この第1ホルダ2の筒部21は、中心軸を対称にして設けられる2つを一組とする3組のフック孔23a、23b、23cを有していて、これらが中心軸に沿って例えば約4.0mmの間隔となるように配置されているとすると、シャーシ5とPCB6とは、所定の間隔(例えば、距離ha=約18mm、hb=約22mm、hc=約26mm)で固定される。このように、第1ホルダ2と、第2ホルダ3と、第3ホルダ4とは、強固に同軸上に連結し、シャーシ5とPCB6との間の距離(固定高さ)を複数段階で調整できる。したがって、取り付けるPCBの間隔に応じて別のホルダを用意せずに済み、また、取り付け用の専用工具を用意する必要がない。
【0034】
図5は、PCB取付構造1を構成する他の第1ホルダ2aを説明する一部断面図である。具体的には、第1ホルダ2aは、先に説明した第1ホルダ2と、複数のフック孔23の配置が異なるバリエーションであって、中心軸に沿う貫通孔を形成する中空状の筒部21の内面22に外面まで貫通する複数のフック孔23を有し、筒部21の一方端側にシャーシ5に連結する鍵状のフック部24および円盤状の支持部25を備えている点で一致する。異なる点は、筒部21に中心軸を対称にして設けられる2つを一組とする5組のフック孔23a、23b、23c、23d、23eを備えることである。
【0035】
第1ホルダ2aでは、3組のフック孔23a、23b、23cは、筒部21の中心軸に沿って約4.0mmの間隔となるように一列に配置されており、23dは23aと23bとの間、23eは23bと23cとの間であって、それぞれ軸方向に45°、あるいは、90°の角度の関係になる位置に配置されている。第1ホルダ2aの筒部21と、第2ホルダ3の筒部31とは、軸回転可能に嵌合するので、したがって、第1ホルダ2aを用いると、シャーシ5とPCB6とが、約18mm、約22mm、および、約26mmの間隔の場合に加えて、約20mm、あるいは、約24mmの間隔にも取り付けできるようになっている。
【0036】
なお、本発明は上記実施例に限定されない。PCB取付構造1は、図示するようなAVレシーバー、あるいは、ディスクプレーヤー等の映像音響機器のPCB取付構造に限られない。また、上記のPCB取付構造1では、フック24および支持部25を備える第1ホルダ2と、第2ホルダ3と、第3ホルダ4を用いているが、第1ホルダ2と第3ホルダ4とが筒部のみを共通化した共通部品とされていてもよい。共通部品化によってホルダの構成部品が少なくなれば、さらにコスト低減が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明のホルダおよびこれを用いるPCB取付構造は、映像音響機器のみならず、パーソナルコンピューター等の電子機器のPCB取付構造にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 PCB取付構造
2 第1ホルダ
21 筒部
22 内面
23 フック孔
24 フック部
25 支持部
3 第2ホルダ
31 筒部
32 内面
33 フック
34 第1突起
35 第2突起
36 基板保持部
37 ネジ溝部
4 第3ホルダ
41 筒部
42 内面
43 フック孔
44 軸部
45 ネジ山部
46 基板保持部
5 シャーシ
6、7、8 PCB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状の筒部の内面側にフック孔を有する第1ホルダと、
貫通孔を形成する筒部の一方端側に該第1ホルダの該筒部の該フック孔に連結するフックを有する第2ホルダと、
中空状の筒部の閉じた一方端側に該第2ホルダの該貫通孔に嵌合する軸部を有する第3ホルダと、を備え、
該第2ホルダの該フックが、その先端部に該貫通孔の径方向内側に突出する第1突起と、該第1突起に対応して径方向外側に突出する第2突起と、を有し、
該第2ホルダの該貫通孔に嵌入される該第3ホルダの該軸部が該第2ホルダの該フックの該第1突起に当接すると、該第2ホルダの該フックが径方向外側に押し広げられて、該第2ホルダの該フックの該第2突起が、該第1ホルダの該筒部の内面側から係合(して該第1ホルダと該第2ホルダとを連結)する、
ホルダ。
【請求項2】
前記第2ホルダが、前記貫通孔を形成する前記筒部の内面側にネジ溝部を有し、
前記第3ホルダの前記軸部が、該第2ホルダの該ネジ溝部に螺合して連結するネジ山部を含み、
該第2ホルダの該ネジ溝部の該第3ホルダの該ネジ山部が螺合すると、該第3ホルダの該軸部が該第2ホルダの前記フックの前記第1突起に当接する、
請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記第1ホルダが前記筒部の一方端側にPCBまたはシャーシに連結するフックをさらに有し、前記第2ホルダが前記筒部から延設される基板保持部をさらに有し、前記第3ホルダが前記筒部から延設される基板保持部をさらに有する、
請求項1または2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記第1ホルダの前記筒部が複数の前記フック孔を有し、前記第2ホルダの前記フックの前記第2突起が、一の該フック孔に係合する場合と、他の該フック孔に係合する場合とで、その全長が変化する、
請求項1から3のいずれかに記載のホルダ。
【請求項5】
前記第3ホルダの前記筒部が、前記第1ホルダの前記筒部と同形状に形成されて、中空状の該筒部の内面側に前記第2ホルダの前記フックの前記第2突起が係合する複数の前記フック孔を有する、
請求項1から3のいずれかに記載のホルダ。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の前記ホルダと、
前記第1ホルダの前記フックに連結するPCBまたはシャーシと、
前記第2ホルダの前記基板保持部および前記第3ホルダの前記基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、
を含む、PCB取付構造。
【請求項7】
請求項5に記載の前記ホルダと、
前記第1ホルダの前記フックに連結するPCBまたはシャーシと、
前記第2ホルダの前記基板保持部および前記第3ホルダの前記基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、
前記第3ホルダの前記筒部に連結する他の第2ホルダと、該他の第2ホルダと連結する他の第3ホルダと、該他の第2ホルダの前記基板保持部および該他の第3ホルダの前記基板保持部の間に狭持される他のPCBまたはシャーシと、
を含む、PCB取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−44568(P2011−44568A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191373(P2009−191373)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000000273)オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社 (502)
【Fターム(参考)】