説明

ホログラム記録再生装置およびホログラム記録装置

【課題】ホログラム記録媒体の欠陥等があっても高い再生品質を実現する。
【解決手段】各記録位置にて記録を行う際に、記録信号光WSが各記録位置を透過したメディア信号光MSを光センサ26にて撮像し、画像データを得る。この画像データに基づいて各記録位置の良否判定を行うようにし、不良である場合には、次の記録位置にスリップして干渉パターンを記録する。また、不良であると判定された不良記録位置を特定する情報をTOC情報としてホログラム記録媒体16に記録しておき、再生時に読み取るようにすることにより、再生時においても不良記録位置をスリップして再生を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム記録再生装置およびホログラム記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のホログラム記録装置として、予めノイズパターンを調査しておき、ノイズパターンを考慮して再生を行うものが提案されている(特許文献1、参照。)。同文献においては、未記録状態のホログラム記録媒体に信号光を照射し、ホログラム記録媒体を透過した信号光を撮像することによりノイズパターンを得ている。そして、当該ホログラム記録媒体に記録したデータの再生時においては、再生信号光を撮像した画像データから、上記のようにして得たノイズパターンに基づいてノイズを除去することによりSNのよい再生を実現している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−70675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ホログラム記録媒体においては多量の記録位置において記録が行われるため、すべての記録位置についてのノイズパターンを記憶しておくと記憶量が膨大となるという問題があった。また、記録位置の位置関係からノイズパターンを補間予測することにより、すべての記録位置についてのノイズパターンを調査しない手法(特許文献1、段落0045、参照。)も提案されている。この手法によれば、記憶すべきノイズパターンの量を抑制することができるが、ホログラム記録媒体の局所的な欠陥や不均等がある場合には補間予測では対応できないという問題があった。さらに、未記録状態のホログラム記録媒体においてノイズパターンを調査するホログラム記録装置と、記録済みのホログラム記録媒体からデータの再生を行うホログラム再生装置とが同一の装置であるとは限らないため、ホログラム再生装置がノイズパターンのデータを得ることができないという問題があった。
本発明は、ホログラム記録媒体の欠陥等があっても高い再生品質を実現することができるホログラム記録再生装置およびホログラム記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、請求項2にかかる発明は、所定の光学系によって光をホログラム記録媒体に照射することにより干渉パターンを記録するホログラム記録装置において、記録対象の記録電子データを2次元の2値画像を示すページデータに変調する変調手段と、上記光学系と上記ホログラム記録媒体とを相対的に移動させるシフト手段と、上記シフト手段がシフトさせた上記ホログラム記録媒体の各記録位置にて記録参照光と上記ページデータを光空間変調して得られた記録信号光とを照射して上記干渉パターンを記録する記録手段と、上記記録手段が上記干渉パターンを記録する前に、上記シフト手段がシフトさせた各記録位置に上記記録信号光を照射するテスト照射手段と、上記テスト照射手段が各記録位置にて照射した上記記録信号光が上記ホログラム記録媒体にて透過または反射したメディア光を撮像素子にて撮像する撮像手段と、上記メディア光を上記撮像手段が撮像して得られた画像データに基づいて各記録位置の良否判定を行う判定手段と、上記判定手段が不良であると判定した上記記録位置にて上記記録手段が有効な記録を行わないようにさせる無効化手段とを具備する構成としてある。
【0006】
上記のように構成した請求項2の発明において、変調手段が記録対象の記録電子データを2次元の2値画像を示すページデータに変調する。シフト手段が上記光学系と上記ホログラム記録媒体とを相対的に移動させることにより、大量の上記記録データを上記ホログラム記録媒体に記録する。さらに、シフト多重等により多重記録するようにしてもよい。記録手段は、上記シフト手段がシフトさせた上記ホログラム記録媒体の各記録位置にて記録参照光と記録信号光とを照射して上記干渉パターンを記録する。なお、上記記録信号光とは上記ページデータを光空間変調して得られた光束である。
【0007】
テスト照射手段は、上記記録手段が上記干渉パターンを記録する前に、予め上記シフト手段がシフトさせた各記録位置に上記記録信号光を照射する。そして、撮像手段は上記テスト照射手段が各記録位置にて照射した上記記録信号光が上記ホログラム記録媒体にて透過または反射することにより得られるメディア光を撮像素子にて撮像する。判定手段は、上記メディア光を上記撮像手段が撮像して得られた画像データに基づいて各記録位置の良否判定を行う。さらに、無効化手段は、上記判定手段が不良であると判定した上記記録位置にて上記記録手段が有効な記録を行わないようにさせる。例えば、上記ホログラム記録媒体に当該記録位置に有効な記録を行っていない旨を記録しておけば、再生時に当該干渉パターンから電子データを再生しないようにすることができる。
【0008】
また、請求項3にかかる発明は、上記判定手段は、上記画像データの輝度情報に基づいて上記良否判定を行う構成としてある。
上記のように構成した請求項3の発明において、上記画像データの輝度情報に基づいて上記良否判定を行う。上記記録位置が正常である場合、上記記録信号光が当該記録位置を反射または透過して得られた上記メディア光の輝度が安定すると考えることができる。従って、上記輝度情報が異常な輝度を示す場合には当該記録位置を不良であると判定することができる。
【0009】
さらに、請求項4にかかる発明では、上記判定手段は、上記画像データを2値化した2値化画像データと上記ページデータとの一致度合いに基づいて上記良否判定を行う構成としてある。
上記のように構成した請求項4の発明において、まず上記画像データを2値化することにより、2値化画像データを得る。この2値化画像データと上記ページデータは、ともに2値画像であるため、両者の一致度合いに基づいて上記良否判定を行うことができる。この一致度合いの評価では、各画素の一致を評価してもよいし、上記2値化画像データと上記ページデータをいくつかに分割したブロックごとの一致を評価してもよい。
【0010】
一方、請求項5にかかる発明では、上記判定手段は、上記画像データを2値化した2値化画像データを電子データに復調して得られた復調電子データに基づいて上記良否判定を行う構成としてある。
上記のように構成した請求項5の発明のように、上記画像データを2値化した2値化画像データを、さらに電子データに復調することにより得られた復調電子データに基づいて上記良否判定を行うこともできる。なお、上記復調においてエラー訂正も行う場合においても、エラー訂正後の電子データに基づいて上記良否判定を行うこととなる。また、パリティ付きの電子データにおいてはパリティチェックによって上記良否判定を行うこともできる。
【0011】
また、請求項6にかかる発明では、上記判定手段は、上記復調電子データと上記記録電子データとの一致度合いに基づいて上記良否判定を行う構成としてある。
上記のように構成した請求項6の発明において、上記復調電子データと上記記録電子データとの比較によれば、より実効的なデータの再現性に基づいて良否判定を行うことができる。
【0012】
さらに、請求項7にかかる発明では、上記撮像手段は、上記ホログラム記録媒体の再生時において、照明参照光を上記干渉パターンに照射して得られた回折光としての再生信号光を上記撮像素子にて撮像させるとともに、上記メディア光を上記撮像素子にて撮像する場合と、上記再生信号光を上記撮像素子にて撮像する場合とでは撮像条件を異ならせる構成としてある。
上記のように構成した請求項7の発明において、上記ホログラム記録媒体の再生時において、照明参照光を上記干渉パターンに照射して得られた回折光としての再生信号光を上記撮像素子にて撮像する。すなわち、上記ホログラム記録装置は再生機能も有する記録再生装置であるとともに、上記撮像素子は上記メディア光のみならず上記再生信号光も撮像する。撮像素子を複数設けなくてもよく、装置を簡素化することができる。ただし、上記メディア光は直接光であり、上記再生信号光は回折光であるため、両者の強度が著しく異なる。従って、上記メディア光を撮像する場合と、上記再生信号光を場合とでは撮像条件を異ならせておくことが望ましい。
【0013】
また、請求項8にかかる発明では、上記撮像手段は、上記メディア光を上記撮像素子にて撮像する場合と、上記再生信号光を上記撮像素子にて撮像する場合とではシャッター開放時間を異ならせる構成としてある。
上記のように構成した請求項8の発明では、撮像条件を異ならせる具体的手法として、シャッター開放時間を異ならせることとしている。これにより、上記メディア光は上記再生信号光の強度の差がある場合でも、上記撮像素子に入射する光量を適正化させることができる。
【0014】
さらに、請求項9にかかる発明では、上記テスト照射手段と上記照射手段が照射する上記記録信号光の強度が互いに異なる構成としてある。
上記のように構成した請求項9の発明では、上記テスト照射手段が照射する上記記録信号光の強度と、上記照射手段が照射する上記記録信号光の強度とを異ならせることにより、双方において適切な光量を上記撮像素子に受光させることができる。
【0015】
さらに、請求項10にかかる発明では、上記テスト照射手段は、上記記録手段が上記干渉パターンを記録する前に、上記シフト手段がシフトさせたすべての上記記録位置にて上記記録信号光を照射するとともに、上記判定手段は、上記記録手段が上記干渉パターンを記録する前に、すべての上記記録位置について良否判定を行う構成としてある。
上記のように構成した請求項10の発明では、記録を行うにあたり、予め上記シフト手段がシフトさせたすべての上記記録位置にて上記記録信号光を照射する。これにより、すべての上記記録位置にて予備的な露光を行うことができる。例えば、上記ホログラム記録媒体の感光層がフォトポリマーを材料とする場合には予め何らかの光を照射しておくことにより、記録時の感光感度を高めることができる。また、記録に先立ってある程度上記ホログラム記録媒体の感光層を収縮させておくことができるため、記録時の著しい収縮を防止することができ、上記干渉パターンを波長整合性のよい回折格子として記録することができる。
【0016】
さらに、より具体的な構成例として、請求項1にかかる発明は、所定の光学系によって光をホログラム記録媒体に照射することにより干渉パターンを記録するホログラム記録再生装置において、記録対象の記録電子データを2次元の2値画像を示すページデータに変調する変調手段と、上記光学系と上記ホログラム記録媒体とを相対的に移動させるシフト手段と、上記シフト手段がシフトさせた上記ホログラム記録媒体の各記録位置にて記録参照光と上記ページデータを光空間変調して得られた記録信号光とを照射して上記干渉パターンを記録する記録手段と、上記記録手段が上記干渉パターンを記録する前に、上記シフト手段がシフトさせた各記録位置に上記記録信号光を照射するテスト照射手段と、上記ホログラム記録媒体の再生時において照明参照光を上記干渉パターンに照射して得られた回折光としての再生信号光を撮像素子にて撮像させるとともに、上記テスト照射手段が各記録位置にて照射した上記記録信号光が上記ホログラム記録媒体にて透過または反射したメディア光を上記再生時とは異なるシャッター開放時間により上記撮像素子にて撮像させる撮像手段と、上記メディア光を上記撮像手段が撮像して得られた画像データを2値化した2値化画像データと上記ページデータとの一致度合いに基づいて各記録位置の良否判定を行う判定手段と、上記判定手段が不良であると判定した上記記録位置にて上記記録手段が有効な記録を行わないようにさせる無効化手段とを具備する構成としてある。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように請求項1および請求項2の発明によれば、ホログラム記録媒体の欠陥等があっても高い再生品質を実現することができるホログラム記録再生装置およびホログラム記録装置を提供することができる。
請求項3にかかる発明によれば、高速に良否判定をすることができる。
請求項4にかかる発明によれば、正確に良否判定をすることができる。
請求項5にかかる発明によれば、再生品質に直結した良否判定をすることができる。
【0018】
請求項6にかかる発明によれば、電子データの再現性に基づいて良否判定をすることができる。
請求項7にかかる発明によれば、撮像素子を兼用することができるともに、その際の不具合を防止することができる。
請求項8および請求項9にかかる発明によれば、撮像素子に入射する光の強度を適正化することができる。
請求項10にかかる発明によれば、記録前の予備露光を別途行わなくても済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)ホログラム記録再生装置の構成:
(2)記録処理:
(3)再生処理:
(4)変形例:
【0020】
(1)ホログラム記録再生装置の構成
以下、本発明の実施形態について図を参照して説明する。本実施形態においては、電子データの記録と再生が可能なホログラム記録再生装置100を例にとって説明するが、むろん、本発明は記録専用装置においても実現できるし、他の機能を併せ持つ複合機においても実現することができる。以下、図1と図2を参照してホログラム記録再生装置100の構成を説明する。図1は、透過型の記録媒体に対して記録再生を行うコリニア方式のホログラム記録再生装置の概略構成を示すブロック図であり、図2は、透過型の記録媒体に対して記録再生を行うコリニア方式のホログラム記録再生装置の光学系50の概略構成を示す構成図である。コリニア方式においては、信号光と参照光とが同一光軸上に配置されるのが大きな特徴であり、2光束干渉法等に比べて光学系をコンパクトに構成することができる。ホログラム記録再生装置100は、駆動系70と光学系50と制御部30とを含んで構成される。なお、本発明はコリニア方式にて透過型の記録媒体に記録再生を行うものに限られず、2光束干渉方式や反射型の記録媒体に記録再生するものに対しても採用することができる
【0021】
光学系50は、レーザ光源10と、DMD[Digital Micro-mirror Device]12と、対物レンズ14と、集光レンズ18,22と、遮光板20と、倍率調整レンズ24と、光センサ26と、を含んで構成される。制御部30は、レーザ光源10の出力制御を行うドライバ30aと、入力された記録電子データを所定のページデータに画像変調してDMD12に出力する本発明の変調手段としてのエンコーダ30bと、光センサ26で得られる画像データを2値化し、さらに復調電子データに復調するデコーダ30dと、光センサ26を制御するドライバ30cと、所定の制御プログラムにしたがって各種制御処理を実行するマイコン30fとから構成されている。マイコン30fは図示しないCPUやRAMやROM等を備えており、ROMから読み出した制御プログラムをRAMに展開しつつCPUが後述する処理に必要な演算を実行する。
【0022】
レーザ光源10は、光(電磁波)を増幅して例えば緑色のコヒーレントな光を発生させてDMD12に入射させる。このDMD12に入射されるレーザ光は、図示しないコリメートレンズ等によってDMD12の入射面形状に合わせた平行光とされている。レーザ光源10としては、固体レーザや液体レーザやガスレーザや半導体レーザ等のレーザ光を発生するものであればよく、様々なものが採用可能である。
【0023】
DMD12は、ドットマトリクス状に配列された複数のマイクロミラーにより構成されており、マイクロミラーの配向角を個別に制御する。DMD12は、入射された光をマイクロミラー毎に空間的に(本実施形態では2次元的に)変調した記録信号光と記録参照光とを生成する。1つの空間光変調器で信号光と参照光とを同時に生成する構成であるため、両者の相対的な位置関係は空間光変調器で決定するため常に一定となる。ここにおける変調とは、例えばDMD12に入力されたページデータに基づいてマイクロミラー単位でオン/オフ制御を行うことにより、一様なレーザ光を加工することを意味する。すなわち、入射されたレーザ光を後段の対物レンズ14に反射する方向と、対物レンズ14に反射しない方向とのいずれかにDMD12の各マイクロミラーの配向角を画像データに応じて切り換えることにより、もとのレーザ光を空間的に変調する。そのため、DMD12が空間光変調器を構成する。本実施形態では空間光変調器としてDMD12を採用したが、反射型液晶や透過型液晶や磁気光学空間変調器[MOSLM]等を用いることも可能である。
【0024】
対物レンズ14はDMD12から入射した光をホログラム記録媒体16の記録層に集光させる。ホログラム記録媒体16の記録層は光感応性の材料で形成されており、記録時に記録信号光と照明参照光とが干渉して形成される干渉縞の強度分布がホログラム記録媒体16の屈折率あるいは透過率の変化となって記録される。そして、この屈折率あるいは透過率の変化は回折格子として振舞う。この記録層としては、例えばニオブ酸リチウム単結晶やフォトポリマー等の感光材料を使用することができる。
【0025】
ホログラム記録媒体16においては記録時に形成した屈折率あるいは透過率の変化が記録後の光照射や他の環境変動に対しても安定して維持される。再生時には、ホログラム記録媒体16に照明参照光が入射されると、記録された屈折率あるいは透過率の変化が回折格子として作用して回折光が発生する。ホログラム記録媒体16は、種々の形状を採用することができ、バルク状のものであってもディスク状のものであってもよい。いずれの形状であっても干渉パターンの結像位置を変えることができ、例えばシフト多重により多量の記録電子データを記録することができる。また、記録層における結像深度や結像角度を変えることにより、より多くの記録電子データを多重記録することができる。
【0026】
本実施形態においては、円盤ディスク状のホログラム記録媒体16が採用され、光学系50とホログラム記録媒体16とを相対的に移動させるシフト手段としての駆動系70が備えられている。具体的には、スピンドルモータ等によって光学系50とホログラム記録媒体16をホログラム記録媒体16の周方向に回転移動させる駆動と、トラッキングモータ等によって光学系50とホログラム記録媒体16をホログラム記録媒体16の径方向に直線移動させる駆動とを組み合わせることにより、駆動系70はホログラム記録媒体16における任意の記録位置・再生位置に光を照射することができる。本実施例ではホログラム記録媒体16に螺旋状のトラックが形成されており、当該トラックに沿って記録位置・再生位置を順にシフトさせることによって連続的にデータを記録再生する。
【0027】
集光レンズ18は、記録時および再生時においてホログラム記録媒体16を通過してきた再生光を集光して平行光線に変換する。集光レンズ22は、集光レンズ18にて変換された平行光線を所定の焦点に再度集光させる。遮光板20は、記録時および再生時において集光レンズ18と集光レンズ22の間の平行光線となる区間に配置され、ホログラム記録媒体16の良否判定および再生に不要な光を遮断している。
【0028】
倍率調整レンズ24は、集光レンズ18,22から出射されて所定の焦点を越えて再度拡散した光を集光し、光センサ26の受光面の所定の範囲内に結像させる。すなわち、光学系50において、倍率調整レンズ24は、倍率調整レンズ24に入射される光が受光面の所定の範囲内に収まるように集光するとともに、倍率調整レンズ24を通過した光の結像面が光センサ26の受光面となるように配置される。
【0029】
光センサ26は、複数の光電素子がドットマトリクス状に配列されたセンサであり、各光電素子に入射した光強度(輝度)に応じて電荷が発生し、当該電荷の量をデジタル化した輝度画像データを生成してデコーダ30bに出力する。光センサ26としては、例えばCCDセンサやCMOSセンサを利用することができる。この光センサ26を構成する複数の光電素子が再生光を撮像する撮像素子を構成する。光センサ26はドライバ30cによって制御されており、シャッター(電子シャッター)の開放時間を調整することが可能となっている。
【0030】
(2)記録処理
図3は記録時におけるホログラム記録再生装置100の主要部の様子を模式的に示している。記録時においては、例えば他の記録媒体から読み取ったり通信媒体を介して取得した電子データがエンコーダ30bに入力される。エンコーダ30bが当該電子データを記録電子データとして取得する。エンコーダ30bは、記録電子データに誤り訂正符号[ECC: Error Correcting Code]を添付する。さらに、エンコーダ30bは、例えば2値の記録電子データを2値(オン/オフ、あるいは明/暗)の2次元画像データに画像変調(エンコード)する。例えば、図4に示すように、記録電子データの“0”を画像パターンの「オフ」+「オン」に、記録電子データの“1”を画像パターンの「オン」+「オフ」に対応させるように規定し、記録電子データにおけるビット配列に応じて当該画像パターンを配列させることにより各画素が2値の情報を有する2次元のページデータに変調することができる。
【0031】
図5は、エンコーダ30bが変換したページデータを示している。同図において、記録電子データに基づくページデータ(実データ領域A1)は略円形とされている。エンコーダ30bは、この実データ領域A1を不変データ領域A2の中央部に合成する。実データ領域A1は記録電子データが反映されてパターンが変化するが、不変データ領域A2は電子データによらない一定の画像データであり、オン/オフ比率が実データ領域A1と略等しくなるような固定のランダムパターンが設定される(オン/オフ比率が1:1であることを灰色で図示。)。実データ領域A1(ページデータ)と不変データ領域A2とを合成した画像データは、DMD12に出力される。この画像データの各画素は、DMD12の各マイクロミラーに対応しており、各画素の値(オン/オフ)によってマイクロミラーの配向角が制御される。
【0032】
すなわち、画像データにおけるオンの画素に対応するマイクロミラーは反射光を対物レンズ14に入射させ、オフの画素に対応するマイクロミラーは反射光を対物レンズ14に入射させない。以上のように各マイクロミラーの配向角が制御されたDMD12に対してレーザ光源10からのレーザ光が照射されると、当該レーザ光が上述した画像データに応じて変調させられ、ホログラム記録媒体16に照射させられる。
【0033】
図6は、記録時の光学系の様子を詳細に示している。同図に示すようにDMD12から実データ領域A1と不変データ領域A2からの反射光が対物レンズ14に入射し、ホログラム記録媒体16に集光して照射される。ここで、実データ領域A1からの反射光を記録信号光WSと不変データ領域A2からの反射光を記録参照光WRというものとする。記録信号光WSと記録参照光WRの光軸は共通線であり、本実施形態の光学系はコリニア方式となっている。記録信号光WSおよび記録参照光WRが集光させられると、干渉が生じ、ホログラム記録媒体16に干渉パターンが形成されることとなる。これにより記録信号光WSに変調された記録電子データをホログラム記録媒体16に干渉パターンとして記録することができる。以上の干渉パターンを各ホログラム記録媒体16の各記録位置にて順次記録して行くことにより大容量のデータを記録可能とする。
【0034】
図7は、記録処理の詳細な流れを示している。同図に示す記録サイクルが記録電子データの記録が完了するまで繰り返し行われる。ステップS100においては、エンコーダ30bが記録電子データを取得し、当該記録電子データに対応するページデータを生成する。また、マイコン30fは生成したページデータをRAM等に記憶しておく。ステップS110においては、駆動系70が記録位置を移動(トラッキング)させる。ステップS120においては、ステップS110にて生成したページデータ(実データ領域A1)にすべての画素がオフ(暗)状態の不変データ領域A2を合成したデータをDMD12に出力するとともに、レーザ光源10にて発光を行わせる。
【0035】
図8は、ステップS120(テスト照射時)におけるホログラム記録再生装置100の主要部の様子を模式的に示し、図9はステップS120においてDMD12に出力するデータを示し、図10はステップS120における光学系の様子を示している。同図に示すように、DMD12において不変データ領域A2に対応するマイクロミラーからは有効な反射角の記録参照光WRが反射されず、実データ領域A1に基づく記録信号光WSのみがホログラム記録媒体16に照射される(テスト照射手段)。ホログラム記録媒体16における記録信号光WSの光軸はステップS110にて駆動系70が予め移動させた所定の記録位置となっている。記録信号光WSの照射中において、記録信号光WSがホログラム記録媒体16をそのまま透過した透過光(本発明においてメディア信号光MSというものとする。)が生じる。このメディア信号光MSは、集光レンズ18と遮光板20と集光レンズ22を経由して光センサ26によって受光される。光センサ26がメディア信号光MSを撮像する(ステップS130)。そして、ステップS140では、光センサ26がメディア信号光MSの像に対応する画像データを生成する。
【0036】
ステップS150においては、デコーダ30bが画像データを2値化することにより、2値化画像データを生成する。例えば、ステップS140の時点で画像データは各画素の輝度が256階調で表現されており、各画素の輝度と所定の閾値とを比較することにより2値化が行われる。また、2値化を行う際には、予め上述したページデータと同じ画像サイズとなるように画像サイズ変換を行っておく。ステップS160においては、ステップS150にて生成した2値化画像データと、ステップS100にて記憶したページデータとの比較を行う。いずれのデータにおいても各画素が“0”または“1”の2値階調を有しており、各画素の階調が一致しているか否かが集計される。一致しない画素の数を全画素数で除算した値がエラーレートとして算出される。
【0037】
ここで、2値画像データは、ページデータに基づいて光空間変調した光がホログラム記録媒体16を経由したメディア信号光MSを撮像したものである。従って、ホログラム記録媒体16の現在の記録位置が平坦かつ均質な透過体であると仮定すれば、2値画像データはページデータと同一の画像を示し、エラーレートは0%となるべきである。しかし、ホログラム記録媒体16における現在の記録位置の厚みが異常であったり、異物を含んでいたりする場合には、エラーレートが高くなる。そして、一定のエラーレートを超える場合には、当該記録位置に干渉パターンを記録しても再生時に十分なSNを得ることができない。
【0038】
ステップS170(判定手段)においてはエラーレートと閾値を比較し、エラーレートが閾値を下回る場合には現在の記録位置が良であるとして、ステップS180にて、ステップS110で生成したページデータ(実データ領域A1)に不変データ領域A2を合成したデータをDMD12に出力するとともに、レーザ光源10にて発光を行わせる。今回は、図5に示すようにオン/オフ比率が実データ領域A1と略等しくなるような固定のランダムパターンが不変データ領域A2として設定される。従って、ステップS120におけるテスト照射と異なり、DMD12における実データ領域A1のみならず不変データ領域A2に対応するマイクロミラーからの反射光も対物レンズ14に入射し、ホログラム記録媒体16に集光して照射される。すなわち、ステップS180では、上述した記録信号光WSと記録参照光WRの双方がホログラム記録媒体16に照射される(照射手段)。これにより、当該記録位置に干渉パターンを記録することができる。干渉パターンが記録されると、ステップS100に戻り、次のページデータを生成するとともに、ステップS110にて次の記録位置に移動する。
【0039】
一方、エラーレートが閾値を上回る場合には、現在の記録位置が不良であるとして、ステップS190にて当該記録位置を不良記録位置としてRAMに記憶する。そして、ステップS110にて次の記録位置に移動(スリップ)する。ここでは、新たなページデータを生成しておらず、前回の記録位置にて記録すべきページデータに基づく干渉パターンが再度記録されることとなる。以上の記録サイクルを繰り返して行うことにより、記録位置を順次シフトさせつつ新たな記録電子データを順次干渉パターンとして記録していくことができるとともに、不良記録位置における記録を避け他の正常な記録位置にスリップ記録させることができる。また、RAMにおいては複数の不良記録位置が蓄積記憶されている。
【0040】
以上の記録サイクルによって記録電子データの記録が完了すると、RAMに蓄積された不良記録位置のリストを例えばホログラム記録媒体16の内周に付近にTOC情報として記録する(無効化手段)。不良記録位置のリストの記録は、ホログラムによって記録してもよいし、直接光で感光させる等、他の光学的記録手法によって記録してもよい。
【0041】
(3)再生処理:
図11は、再生時におけるホログラム記録再生装置100の主要部の様子を模式的に示している。再生時においては、上述した干渉パターンが多重記録されたホログラム記録媒体16がセットされており、ホログラム記録媒体16の読み取りが行われる。まず、エンコーダ30bは、すべてオフの実データ領域A1を作成する。エンコーダ30bは、この実データ領域A1を不変データ領域A2の中央部に合成する。ここにおける不変データ領域A2も記録時と同じ固定のランダムパターンの画像データである。この画像データは、DMD12に出力される。図12は、再生時にDMD12に出力される画像データを示している。同図に示すように、実データ領域A1の画素がオフ(暗)状態に設定され、不変データ領域A2の画素は固定のランダムパターンに応じたがオン・オフ(明・暗)状態に設定された画像データがDMD12に出力される。上述した画像データによって各マイクロミラーの配向角が制御されたDMD12においてレーザ光源10からのレーザ光が反射されることとなる。
【0042】
図13は、再生時の光学系の様子を詳細に示している。同図に示すようにDMD12から光軸を共通させた実データ領域A1と不変データ領域A2からの反射光が対物レンズ14に入射し、ホログラム記録媒体16に集光して照射される。ただし、実データ領域A1に対応するマイクロミラーは対物レンズ14に反射光を入射させないため、実データ領域A1によって反射させられた光束はホログラム記録媒体16に到達せず、不変データ領域A2のみによって反射させられた光束のみがホログラム記録媒体16に到達する。ここで、再生時において不変データ領域A2によって反射させられた光束を照明参照光LRとする。
【0043】
照明参照光LRがホログラム記録媒体16に照射されると、ホログラム記録媒体16を透過した再生光Rが生成される。図13に示すように照明参照光LRがホログラム記録媒体16を透過する際には、ホログラム記録媒体16に記録された干渉パターンを回折格子とした回折が生じ、当該干渉パターンを記録した際の記録信号光WS(メディア信号光MS)と同様の回折透過光を再現することができる。この回折透過光を再生信号光RSというものとする。再生信号光RSは、集光レンズ18にて一旦平行光線に変換され、さらに集光レンズ22と倍率調整レンズ24を介して光センサ26に受光される。光センサ26は、再生信号光RSの像を示す画像データを生成し、当該画像データを2値化してデコーダ30dに出力する。デコーダ30dは、エンコーダ30bにおける符号化処理と逆の復号化処理を行う。具体的には、2次元の2値化画像データを復調電子データに復調するとともに、ECCに基づく誤り訂正を行うことにより復調電子データが再生される。
【0044】
図14は、再生処理の詳細な流れを示している。同図に示す再生サイクルが電子データの再生が完了するまで繰り返し行われる。ステップS200においては、ホログラム記録媒体16の例えば内周付近に記録されたTOC情報を読み取る。上述したとおりTOC情報には記録時に判定した不良記録位置のリストが記録されているため、マイコン30fは不良記録位置を取得しRAMに記憶させておく。ステップS210においては、駆動系70が記録位置を移動させる。ステップS220においては、現在の記録位置が不良記録位置であるか否かを判定し、不良記録位置でなければステップS230にて照明参照光LRを照射し、それにより得られた再生信号光RSを光センサ26がステップS240にて撮像する。
【0045】
ここにおける光センサ26のシャッター開放時間は、上述した記録時(ステップS130)における光センサ26のシャッター開放時間と異なるものとされている。再生時と記録時とではレーザ光源10の出力も異なるとともに、記録時においては回折を経ていない実体光としてのメディア信号光MSを撮像しているのに対し再生時には回折により生じた再生信号光RSを撮像しており、両者の光の強度が異なっているからである。このように、再生時と記録時(ステップS130)とでシャッター開放時間を異ならせることにより、再生時と記録時で光センサ26を共用することができ、記録再生兼用装置の簡略化を図ることができる。
【0046】
ステップS250にて、デコーダ30bがステップS150と同様に画像データを2値化することにより、2値化画像データを生成する。ここではステップS150の場合と受光光量もシャッター開放時間も異なるため、異なる閾値によって2値化判定を行うようにしてもよい。ステップS160においては、2値化画像データを復調電子データに復調する。ここでは、図4と逆の変換処理を行えばよい。さらに、ステップS270においては、復調した復調電子データの誤り訂正を行う。
【0047】
一方、ステップS220にて現在の記録位置が不良記録位置であると判定された場合には、ステップS210に戻り、次の記録位置に移動(スリップ)させられる。このようにすることにより、不良記録位置に記録された干渉パターンの再生を行うことなく、正常に干渉パターンが記録可能な記録位置に記録された干渉パターンのみ再生することができる。記録時においては、不良記録位置に記録すべきであった干渉パターンを他の記録位置にスリップさせて記録しているため、当該干渉パターンに対応する記録電子データが欠損することはない。
【0048】
以上説明したように本実施形態においては、各記録位置にて記録を行う際に、各記録位置の良否判定を行うようにし、不良である場合には、次の記録位置にスリップして干渉パターンを記録する。また、不良であると判定された不良記録位置を特定する情報をTOC情報としてホログラム記録媒体16に記録しておき、再生時に読み取るようにすることにより、再生時においても不良記録位置をスリップして再生を行うことができる。これにより、良好な記録位置に記録された干渉パターンのみを読み取って再生を行うことができ、ホログラム記録媒体16の一部に欠陥等があっても良好なSN比とエラーレートを実現することができる。
【0049】
(4)変形例
以上の実施形態においては、シャッター開放時間を調整することにより記録時における光センサ26の受光量を再生時と同等となるようにしたが、メディア信号光MSを撮像する期間のレーザ光源10の出力を調整することにより光センサ26の受光量を適正化させてもよい。図15は、レーザ光源10の出力の推移を示している。同図に示すように、ステップS180にて記録信号光WSと記録参照光WRの双方を照射するときよりも、ステップS120にて記録信号光WSのみを照射するときの方がレーザ光源10の出力が弱められている。再生時にセンサ26が再生信号光RSを受光する光量と同程度となるようにステップS120にてレーザ光源10の出力を弱めることにより、光センサ26のシャッター開放時間を再生時と記録時で固定することができる。なお、再生時に受光する再生信号光RSの方が、記録時に受光するメディア信号光MSよりも強度が大きい場合も考えられる。この場合は、破線で示すようにメディア信号光MSを撮像する期間のレーザ光源10の出力を大きくしておけばよい。
【0050】
また、上述した実施形態においては、各記録位置についてテスト照射と照射をする記録サイクルを繰り返すものを例示したが、予めホログラム記録媒体16のすべての記録位置について良否判定を行っておき、その後、良と判定された記録位置に対してのみ干渉パターンの記録を行うようにしてもよい。すなわち、図7にて破線で示すようにステップS170にて良であると判定された場合にも記録信号光WSと記録参照光WRを照射することなく、そのまま次の記録位置に移動し、次の記録位置について良否判定を行っていく。これにより、ホログラム記録媒体16に有効な干渉パターンを一切記録せず、ステップS190にて不良記録位置をリストアップしていくことができる。なお、本変形例においては予めホログラム記録媒体16の記録位置の良否が判定できればよく、実際に記録する記録電子データに基づく記録信号光WSによって良否を判定する必要はない。
【0051】
従って、図16に示すような市松模様のテストページデータに基づく記録信号光WSをステップS120にてすべての記録位置に対してテスト照射することもできる。ステップS160におけるエラーレートの取得においては、一定のテストページデータとの比較でよいため処理を高速化させることができる。また、一定のテストページデータを読み出せばよいため、ステップS100にて逐次ページデータを生成する必要はない。以上のようにしてすべての記録位置について良否判定を行い、不良記録位置をリストアップする処理(予備記録処理)を完了させると、次に実際に干渉パターンを記録する処理(本気録処理)を実行する。
【0052】
図17は、本記録処理の流れを示している。同図において、ステップS300においては、エンコーダ30bが記録電子データを取得し、当該記録電子データに対応するページデータを生成する。また、マイコン30fは生成したページデータをRAM等に記憶しておく。ステップS310においては、駆動系70が記録位置を移動(トラッキング)させる。ステップS320においては、予備記録処理にてRAMにリストアップした不良記録位置のリストに基づいて、現在の記録位置が不良記録位置であるか否かを判定し、不良記録位置でなければステップS330にて記録信号光WSと記録参照光WRとを照射することにより、ステップS300にて生成したページデータに基づく干渉パターンを記録する。一方、ステップS320にて現在のトラッキングされている記録位置が不良記録位置であると判定された場合には、ステップS310に戻り、次の記録位置に移動(スリップ)させられる。これにより、不良記録位置での記録を避け、正常な記録位置においてのみ干渉パターンを記録していくことができる。この場合も、すべての記録が完了した時点でTOC情報に不良記録位置を記録しておけばよい。
【0053】
本変形例のように予備記録処理を行うことにより、実際の記録(本気録処理)に先立ってホログラム記録媒体16の全記録位置にわたって一様に記録信号光WSを照射(テスト照射)しておくことができる。このように、予め記録信号光WSを照射しておくことにより、本気録処理における感光感度を高めておくことができ、良好な干渉パターンを記録していくことができる。さらに、実際の記録の前にある程度、感光層を収縮させておくことができるため、記録時の著しい収縮を防止することができる。
【0054】
以上の実施形態において、図3に示したようにページデータと、撮像して得られた2値化画像データとの一致度合い(エラーレート)によって各記録位置の良否判定を行うものを例示したが、他の判定手法によって各記録位置の良否判定を行ってもよい。例えば、図18に示すようにECC添付前の記録電子データと、誤り訂正後の復調電子データ(記録時に光センサ26で撮像した画像データに基づいて復調された電子データを復調電子データと示すものとする。)との比較を行い、その(ビット)エラーレートによって良否判定を行うことも可能である。このようにすることにより、エラー訂正の効果もある程度加味した実効的な良否判定を実現することができる。さらに、予め記録電子データにECCやパリティを付加した場合、元の記録電子データとの比較を行わなくても、パリティチェック等を行うことにより復調電子データのエラーレートを把握することができる。
【0055】
以上の実施形態において、記録時に光センサ26で撮像した画像データに対して2値化を行う前の多階調の画像データに基づいて記録位置の良否判定を行うことも可能である。例えば、図4に示した画像変調処理によれば、いかなる記録電子データにおいても画像変調後のページデータにおいては「オン」と「オフ」の画素数が1:1になると考えることができる。従って、図19に示すように多階調の画像データの輝度値に関するヒストグラムを作成し、明るめの画素数と暗めの画素数とがほぼ1:1となっていれば現在の記録位置が良であると判定することができる。むろん、他の統計手法によって判断することも可能であり、例えば輝度のレンジRaに対して平均値aveがほぼ中間の値であるか否かによって判定してもよいし、明るめの輝度集団と暗めの輝度集団の標準偏差σ1,σ2が不自然でないか否かによって判定してもよい。さらに、各集団の最頻値p1,p2間の輝度差が所定の輝度以上である場合に良であると判定してもよい。
【0056】
なお、図4に示した画像変調処理はあくまでも一例であり、「オン」と「オフ」の画素数が1:1であるものに限られない。例えば、「オン」と「オフ」の画素数が1:3となったり、3:13となったりする不均等な画像変調を行うことも可能である。この場合、上述したヒストグラムとして好ましい分布が異なるため、各変調方式に適合した統計指標に基づいて良否判定を行う必要がある。また、図17に示すヒストグラムを、画像データを分割した複数のブロックごとに作成してブロックごとに良否判定を行い、さらに各ブロックの良否を全体について集計することにより全体の良否を判定するようにしてもよい。例えば、正常なブロックが所定の比率を上回る場合には、全体として良であると判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】透過型の記録媒体に対して記録再生を行うコリニア方式のホログラム記録再生装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】透過型の記録媒体に対して記録再生を行うコリニア方式のホログラム記録再生装置の光学系の概略構成を示す構成図である。
【図3】記録時におけるホログラム記録再生装置の様子を説明する模式図である。
【図4】エンコードを説明する図である。
【図5】記録時においてDMDに出力する画像データを示す図である。
【図6】記録時における光学系の様子を説明する模式図である。
【図7】記録処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】テスト照射時におけるホログラム記録再生装置の様子を説明する模式図である。
【図9】テスト照射時においてDMDに出力する画像データを示す図である。
【図10】テスト照射時における光学系の様子を説明する模式図である。
【図11】再生時におけるホログラム記録再生装置の様子を説明する模式図である。
【図12】再生時においてDMDに出力する画像データを示す図である。
【図13】再生時における光学系の様子を説明する模式図である。
【図14】再生処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15】変形例にかかるテスト照射時および照射時のレーザ出力の推移を示すグラフである。
【図16】別の変形例におけるテストページデータを示す図である。
【図17】別の変形例における本記録処理のフローチャートである。
【図18】変形例の記録時におけるホログラム記録再生装置の様子を説明する模式図である。
【図19】別の変形例における良否判定を説明するヒストグラムである。
【符号の説明】
【0058】
10…レーザ光源、12…DMD、14…対物レンズ、16…ホログラム記録媒体、18…集光レンズ、20…遮光板、22…集光レンズ、24…倍率調整レンズ、26…光センサ、30…制御部、30a…ドライバ、30b…エンコーダ、30c…ドライバ、30d…デコーダ、30f…マイコン、100…ホログラム記録再生装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の光学系によって光をホログラム記録媒体に照射することにより干渉パターンを記録するホログラム記録再生装置において、
記録対象の記録電子データを2次元の2値画像を示すページデータに変調する変調手段と、
上記光学系と上記ホログラム記録媒体とを相対的に移動させるシフト手段と、
上記シフト手段がシフトさせた上記ホログラム記録媒体の各記録位置にて記録参照光と上記ページデータを光空間変調して得られた記録信号光とを照射して上記干渉パターンを記録する記録手段と、
上記シフト手段がシフトさせた各記録位置に上記記録信号光を照射するテスト照射手段と、
上記ホログラム記録媒体の再生時において照明参照光を上記干渉パターンに照射して得られた回折光としての再生信号光を撮像素子にて撮像させるとともに、上記テスト照射手段が各記録位置にて照射した上記記録信号光が上記ホログラム記録媒体にて透過または反射したメディア光を上記再生時とは異なるシャッター開放時間により上記撮像素子にて撮像させる撮像手段と、
上記メディア光を上記撮像手段が撮像して得られた画像データを2値化した2値化画像データと上記ページデータとの一致度合いに基づいて各記録位置の良否判定を行う判定手段と、
上記判定手段が不良であると判定した上記記録位置にて上記記録手段が有効な記録を行わないようにさせる無効化手段とを具備することを特徴とするホログラム記録再生装置。
【請求項2】
所定の光学系によって光をホログラム記録媒体に照射することにより干渉パターンを記録するホログラム記録装置において、
記録対象の記録電子データを2次元の2値画像を示すページデータに変調する変調手段と、
上記光学系と上記ホログラム記録媒体とを相対的に移動させるシフト手段と、
上記シフト手段がシフトさせた上記ホログラム記録媒体の各記録位置にて記録参照光と上記ページデータを光空間変調して得られた記録信号光とを照射して上記干渉パターンを記録する記録手段と、
上記記録手段が上記干渉パターンを記録する前に、上記シフト手段がシフトさせた各記録位置に上記記録信号光を照射するテスト照射手段と、
上記テスト照射手段が各記録位置にて照射した上記記録信号光が上記ホログラム記録媒体にて透過または反射したメディア光を撮像素子にて撮像する撮像手段と、
上記メディア光を上記撮像手段が撮像して得られた画像データに基づいて各記録位置の良否判定を行う判定手段と、
上記判定手段が不良であると判定した上記記録位置にて上記記録手段が有効な記録を行わないようにさせる無効化手段とを具備することを特徴とするホログラム記録装置。
【請求項3】
上記判定手段は、上記画像データの輝度情報に基づいて上記良否判定を行うことを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録装置。
【請求項4】
上記判定手段は、上記画像データを2値化した2値化画像データと上記ページデータとの一致度合いに基づいて上記良否判定を行うことを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録装置。
【請求項5】
上記判定手段は、上記画像データを2値化した2値化画像データを電子データに復調して得られた復調電子データに基づいて上記良否判定を行うことを特徴とする請求項2に記載のホログラム記録装置。
【請求項6】
上記判定手段は、上記復調電子データと上記記録電子データとの一致度合いに基づいて上記良否判定を行うことを特徴とする請求項5に記載のホログラム記録装置。
【請求項7】
上記撮像手段は、
上記ホログラム記録媒体の再生時において、照明参照光を上記干渉パターンに照射して得られた回折光としての再生信号光を上記撮像素子にて撮像させるとともに、
上記メディア光を上記撮像素子にて撮像する場合と、上記再生信号光を上記撮像素子にて撮像する場合とでは撮像条件を異ならせることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のホログラム記録装置。
【請求項8】
上記撮像手段は、
上記メディア光を上記撮像素子にて撮像する場合と、上記再生信号光を上記撮像素子にて撮像する場合とではシャッター開放時間を異ならせることを特徴とする請求項7に記載のホログラム記録装置。
【請求項9】
上記テスト照射手段と上記照射手段が照射する上記記録信号光の強度が互いに異なることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のホログラム記録装置。
【請求項10】
上記テスト照射手段は、上記記録手段が上記干渉パターンを記録する前に、上記シフト手段がシフトさせたすべての上記記録位置にて上記記録信号光を照射するとともに、
上記判定手段は、上記記録手段が上記干渉パターンを記録する前に、すべての上記記録位置について良否判定を行うことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか一項に記載のホログラム記録装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−234787(P2008−234787A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75600(P2007−75600)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(000237721)FDK株式会社 (449)
【Fターム(参考)】