説明

ボイス・スイッチ制御方法と装置。

【課題】自端末がハンズフリー通話を行い、相手端末もハンズフリー通話を行う場合に、ダブルトーク時の双方向性を損なわずに送受話の音量を大きくすること。
【解決手段】 受話信号を音声に変換するスピーカからマイクに回り込む音響エコーを除去するためのエコー・キャンセラ3と、相手端末側からの受話入力信号,自端末側からの送話信号および誤差信号のそれぞれの電力を得るための電力計算部10と、受話入力信号電力と誤差信号電力とから送受話音の有無の状態を判断し、誤差信号電力と送話信号電力の電力比からエコー消去量を得て、これをもとにして送話ロス挿入量と受話ロス挿入量とを得て、誤差信号に送話ロス挿入量を乗算して相手端末側への送話出力信号を得て、相手端末側からの受話入力信号に受話ロス挿入量を乗算して自端末側の受話信号を得るためのボイス・スイッチ20とを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイス・スイッチ制御方法と装置に関する。具体的には、ハンズフリー通話が可能な通話装置における新規なボイス・スイッチの制御方法と装置を提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
図9はループゲインを説明するためのループゲイン図である。ここに示す通話装置を用いてハンズフリー通話をする場合には、ハウリングの発生を防止するために、反響などにより形成されるループゲインを0dB以下になるように設計する必要がある。2線−4線変換のハイブリッド回路が存在しない同図の4線系のみで構成される場合には、相手端末からの回り込みと自端末のスピーカSとマイクM間の音響経路による回り込みで形成されるループゲインを0dB以下にする。このとき、相手端末もハンズフリー通話をする場合があることを考慮すると、自端末の入力端T1から出力端T2までのゲインを0dB以下にする必要がある。ここで、スピーカSとマイクM間の音響経路による音響回りこみ減衰量をZdBとする。
【0003】
図10には従来の通話装置の回路構成図が示されている。図示の自端末は、ハンズフリー通話可能な会議装置やボタン電話装置の端末として使用される。話者が自端末のスピーカSやマイクMから0.5〜1m程度離れても会話が行えるようにアンプ91や96を挿入する。相手端末側も同様にアンプ92や95を挿入している。自端末と相手端末との間には、図示されてはいない2線-4線変換をするハイブリッド回路が自端末と相手端末のそれぞれに介在している。
【0004】
ここで、アンプ91の送話系ゲインをYdB、アンプ96の受話系ゲインをXdB、音響回りこみ減衰量をZdBとすると、エコー・キャンセラ3およびボイス・スイッチ20Bが存在しない場合は、一般には、自端末のゲインX+Y-Zが0dBよりも大きくなってしまう。相手端末側も同様である。このような自端末と相手端末とが接続されると、図9で説明したループゲインは0dBよりも大となるためにハウリングを生じ通話不能となる。
【0005】
そこで、ハンズフリー通話を可能とするために、エコーを消去するためのエコー・キャンセラ3および音声にロスを与えるために挿入されるボイス・スイッチ20Bの実装が必要となる。エコー・キャンセラ3のエコー消去量をαdB、ボイス・スイッチ20Bのロス挿入量をβdBとすると、X+Y-Z-α-β<0 となるように設計されている。自端末の音響回りこみ減衰量ZdBと、エコー・キャンセラ3の最大エコー消去量αdBは測定により求められる。最終的には、送話系ゲインYdB、受話系ゲインXdBおよびボイス・スイッチ20Bのロス挿入量βdBをそれぞれどのような値にするかを決定しなければならない。
【0006】
図11には、従来のボイス・スイッチ20Bのロス挿入箇所が示されている。送話も受話も無音のときは、ロスを送話側に挿入する。送話が無音で受話のみ有音のシングルトーク時には、ロスを送話側に挿入する。受話が無音で送話のみ有音のシングルトーク時には、ロスを受話側に挿入する。つまり、シングルトーク時には、ロスを無音側に挿入するため問題は生じない。
【0007】
ところが、通話装置には、受話と送話のどちらを優先するか予め方式設定できるようになっているために、送話も受話も有音のダブルトーク時には、受話優先方式になっている場合には、ロスを送話側に挿入するようになっているから相手側の受話に挿入の影響が現れ、送話優先方式になっている場合には、ロスを受話側に挿入するようになっているから自端末側の受話に挿入の影響が現れる。
【0008】
通常、経験的には、ダブルトーク中に6dB程度のロスを挿入しても、通話者にはほとんど気付かれず、双方向性を保つことができるが、6dB以上のロス挿入になるとボイス・スイッチ20Bの動作の存在感が顕著化し、ロス挿入量以上のスイッチング感(音量の急激な変化)となってくる。12dB程度のロス挿入になると、挿入の影響が強く現れダブルトークが困難になる。それが15dB程度のロス挿入になると、挿入の影響はさらに強く現れ、ほとんどシングルトークに近い感じとなる。
【0009】
ダブルトーク時の通話品質を重視する場合には、ボイス・スイッチ20Bのロス挿入量を、エコー・キャンセラ3の収束時に6dB程度にして、ロス挿入が通話者にほとんど気付かれないようにするのが一般的である。エコー・キャンセラ3のエコー消去量は通話環境により変動しやすいため、収束したことを判定するには、ある程度のマージンを見込んで設計がなされている。
【0010】
このマージンを少なくすれば送受話の音量を大きくすることができるが、通話環境の変動によりエコー・キャンセラ3の動作が不安定となって収束しない場合には、ボイス・スイッチ20Bのロス挿入量を大きくすることになるため、相手端末の受話の音量が小さくなって通話品質が劣化する。また、マージンを大きくすればエコー・キャンセラ3のエコー消去量が多少変動しても、ボイス・スイッチ20Bのロス挿入量は小さく保たれるが、それだけ、エコー消去量は不十分で送受話の音量を抑えることになり、音量が不足することになる。
【0011】
特許文献1には、連続音スイッチおよび乗算器を含むエコー・サプレッサが示されている。このエコー・サプレッサ制御方法と装置によるならば、受話信号の連続性が検出されたときには送話信号が存在するか否かにかかわらず送話信号を抑圧する。これにより、ダイヤル・トーンに途切れやゆらぎが生じない。受話信号の連続性が検出されないときには、送話信号の存在期間中は受話信号を抑圧するようにして、送話信号の回り込みによるエコーの発生を防止している(特許文献1、段落0012)。
【特許文献1】特開2005-260763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
自端末がハンズフリー通話装置を用いて通話を行う場合、相手端末もハンズフリー通話装置を用いて通話を行う場合と、相手端末はハンドセット通話装置を用いて通話を行う場合とがある。この両方の場合において、通話環境の変動によりエコー・キャンセラ3の動作が不安定となって収束しない場合には、ボイス・スイッチのロス挿入量を大きくすることになるため、通話品質が劣化する。また、ボイス・スイッチのロス挿入量を小さくすればエコー消去量が不十分となり、送受話の音量を抑えることになって、音量が不足することになる。
【0013】
そこで本願発明の解決課題は、自端末がハンズフリー通話装置を用いて通話を行い、相手端末もハンズフリー通話装置あるいはハンドセット装置を用いて通話を行う場合に、ダブルトーク時の双方向性を損なわずに送受話の音量を従来例よりも大きくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
受話信号を音声に変換するスピーカからマイクに回り込む音響エコーを除去するためのエコー・キャンセラ手段と、
相手端末側からの受話入力信号,自端末側からの送話信号および誤差信号のそれぞれの電力を得るための電力計算手段と、
受話入力信号電力と誤差信号電力とから送受話音の有無の状態を判断し、誤差信号電力と送話信号電力の電力比からエコー消去量を得て、これをもとにして送話ロス挿入量と受話ロス挿入量とを得て、誤差信号に送話ロス挿入量を乗算して相手端末側への送話出力信号を得て、相手端末側からの受話入力信号に受話ロス挿入量を乗算して自端末側の受話信号を得るためのボイス・スイッチ手段とを含んでいる
ボイス・スイッチ制御装置
を構成した。
【発明の効果】
【0015】
ダブルトーク中のボイス・スイッチのロス挿入量が6〜12dB程度のかなり大きな値の状態であっても、送話と受話の双方にロス挿入量を振り分けるようにした。これにより、送話側または受話側のロス挿入量は6dB〜8dB程度に抑えることができるから、相手端末がハンズフリー通話装置を用いて通話を行う場合も、あるいはハンドセット通話装置を用いて通話を行う場合にも、双方向性や送受話ゲインの改善が計られるためハンズフリー通話における通話品質が向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
受話信号を音声に変換するスピーカからマイクに回り込む音響エコーを除去するためのエコー・キャンセラ手段と、
相手端末側からの受話入力信号,自端末側からの送話信号および誤差信号のそれぞれの電力を得るための電力計算手段と、
受話入力信号電力と誤差信号電力とから送受話音の有無の状態、すなわち、無音、シングルトークあるいはダブルトークの状態を判断し、誤差信号電力と送話信号電力の電力比からエコー消去量を得て、これをもとにして送話ロス挿入量と受話ロス挿入量とを得て、誤差信号に送話ロス挿入量を乗算して相手端末側への送話出力信号を得て、相手端末側からの受話入力信号に受話ロス挿入量を乗算して自端末側の受話信号を得るためのボイス・スイッチ手段とを含んでいる
ボイス・スイッチ制御装置
を構成した。
【実施例1】
【0017】
図1は、本願発明の実施例を示した構成図である。図10に示した構成要素に対応するものについては、対応する記号を付した。ここでは、2線-4線変換をするハイブリッド回路、マイクM、スピーカS、アンプ91,96および相手端末側の記載は省略されている。エコー・キャンセラ3、電力計算部10およびボイス・スイッチ20を含んでいる。
【0018】
エコー・キャンセラ3には、適応フィルタ5と減算器9が含まれている。適応フィルタ5には誤差信号eと受話信号xが印加され、疑似エコー信号y’が公知の方法で作成される。減算器9は、図示されてはいないマイクMからの送話信号yと疑似エコー信号y’が印加され、送話信号yから疑似エコー信号y’が減算されて、誤差信号e(=y-y’)が出力される。送話信号yには、受話信号xが図示されてはいないスピーカSから音響となって回り込む音響エコー成分が含まれている。
【0019】
電力計算部10には、送話信号y、誤差信号eおよび受話入力信号rinが印加され、それぞれの電力が、たとえば、8kHzサンプリングの場合は、125μsの間隔で常時計算され、送話信号電力P、誤差信号電力Pおよび受話入力信号電力Prinが出力として得られる。ボイス・スイッチ20には、送話乗算器21、受話乗算器22およびロス挿入量計算部25が含まれている。ロス挿入量計算部25は、送話ロス挿入量Lと受話ロス挿入量Lを出力している。
【0020】
送話乗算器21は、誤差信号eに1以下の値である送話ロス挿入量Lを乗算して送話出力信号tout(=e×L)を出力している。受話乗算器22は、受話入力信号rinに1以下の値である受話ロス挿入量Lを乗算して受話信号x(=rin×L)を出力している。
【0021】
図2は、電力計算部の内部構成の詳細を示す回路構成図である。そこには、 受話入力信号電力計算器12、送話信号電力計算器13、誤差信号電力計算器14が含まれている。受話入力信号電力計算器12には受話入力信号rinが印加され、その電力である受話入力信号電力Prinが出力として得られる。送話信号電力計算器13には送話信号yが印加され、その電力である送話信号電力Pが出力として得られる。誤差信号電力計算器14には誤差信号eが印加され、その電力である誤差信号電力Pが出力として得られる。
【0022】
図3は、ロス挿入量計算部25の内部構成の詳細を示す回路構成図である。そこには、通話状態判断部27とロス挿入量決定部28があり、ロス挿入量決定部28には電力比計算器31、エコー消去器32およびロス挿入量振り分け器33が含まれている。通話状態判断部27には受話入力信号電力Prinと誤差信号電力Pが印加され、無音状態、受話のみ有音の受話シングルトーク状態、送話のみ有音の送話シングルトーク状態、または、送受話有音のダブルトーク状態のいずれの通話状態であるかを判断して、通話状態判断信号35を出力している。
【0023】
ロス挿入量決定部28に含まれた電力比計算器31には、通話状態判断信号35、誤差信号電力Pおよび送話信号電力Pが印加され、受話シングルトーク状態のときに、誤差信号電力Pと送話信号電力Pの電力比(P/P)が計算されて、電力比信号36が、たとえば1msの定期的間隔で出力される。電力比信号36はエコー消去器32に印加され、所定のしきい値以下になるまでは、エコー・キャンセラ3の動作が収束していないと判断し、エコー消去量信号37によりロス挿入量振り分け器33に通知する。エコー消去量信号37および通話状態判断信号35を受けたロス挿入量振り分け器33では、ロス挿入量の初期値として最大値が設定されている。
【0024】
エコー消去量信号37の示す値が、所定のしきい値以下の場合には、ロス挿入量振り分け器33は、通話状態判断信号35の示す通話状態にしたがって送話ロス挿入量Lおよび受話ロス挿入量Lを決定して出力する。送話ロス挿入量Lは送話乗算器21に印加され、誤差信号eに送話ロス挿入量Lの示す値を乗算して送話出力信号toutを得ている。受話ロス挿入量Lは受話乗算器22に印加され、受話入力信号rin に受話ロス挿入量Lの示す値を乗算して受話信号xを得ている。
【0025】
図4は、ボイス・スイッチのロス挿入箇所を示すロス挿入箇所図である。すなわち、図3のロス挿入量振り分け器33の動作を表している。まず、エコー消去量信号37の示す値から、ロス挿入量が決定される。この例では、0〜6dB、6〜12dBおよび12dB以上の3段階に区分される。ここで通話状態判断信号35の示す通話状態が、送受話無音、受話シングルトークおよび送話シングルトークの場合には、図11に示した従来例と同じロス挿入箇所となる。ダブルトーク時のロス挿入量が0〜6dBおよび12dB以上の場合も、図11に示した従来例と同じロス挿入箇所となる。すなわち、ロス挿入箇所は、送話側か受話側かの一方だけになる。
【0026】
図5は、図4においてロス挿入量が6dB〜12dBであり、ダブルトーク時であるときに振り分け挿入するロス挿入量振り分け図である。通話装置が、受話優先方式を選択して設定されているか、あるいは、送話優先方式を選択して設定されているかによって、挿入量が受話側と送話側で入れ替わる。たとえば、ロス挿入量が6dBのときには、受(送)話優先方式の場合には、送話側挿入量は6(0)dB、受話側挿入量は0(6)dBである。
【0027】
たとえば、ロス挿入量が9dBのときには、受(送)話優先方式の場合には、送話側挿入量は6(3)dB、受話側挿入量は3(6)dBであり、ロス挿入量が12dBのときには、受(送)話優先方式の場合には、送話側挿入量は8(4)dB、受話側挿入量は4(8)dBである。ダブルトーク時のロス挿入量が12dB以上の場合にロス挿入量を振り分けしないのは、もし振り分けしたとすると、送受話ともに著しい通話品質の低下を招くからである。振り分けないならば、送受話のうちの一方だけが優先されて、優先された一方は良好な通話品質を維持できるからである。
【0028】
図6は、図1においてボイス・スイッチの通話状態を判断する通話状態判断図である。この通話状態の判断は、図3の通話状態判断部27において行われる。通話状態判断部27には受話入力信号電力Prinと誤差信号電力Pが印加されているから、受話入力信号電力Prinと誤差信号電力Pがともに所定値以下ならば、無音状態と判断する。受話入力信号電力Prinが所定値以上で誤差信号電力Pが所定値以下ならば、受話のみ有音の受話シングルトーク状態と判断する。受話入力信号電力Prinが所定値以下で誤差信号電力Pが所定値以上ならば、送話のみ有音の送話シングルトーク状態と判断する。受話入力信号電力Prinと誤差信号電力Pがともに所定値以上ならば、送受話有音のダブルトーク状態と判断する。
【0029】
図7および8は、図1に示した装置の通話動作の流れを示すフローチャートである。通話動作が開始されると、電力計算部10において、送話信号y、誤差信号eおよび受話入力信号rinから、それぞれの電力である、送話信号電力P、誤差信号電力Pおよび受話入力信号電力Prinが出力として得られる(S1、図7)。受話入力信号電力Prinおよび誤差信号電力Pから通話状態判断部27は、無音かシングルトークかそれともダブルトーク状態かの通話状態判断をする(S2)。
【0030】
受話シングルトーク状態ならば(S3Y)、電力比計算器31において誤差信号電力Pと送話信号電力Pの電力比(P/P)を計算する(S4)。この電力比(P/P)に基づいてエコー消去器32においてエコー消去量を計算し(S5)、その結果に基づいて、ロス挿入量振り分け器33は、通話状態に対応して、図4および5に示したロス挿入量を算出し(S6)、ダブルトーク状態になったか否かを調べる(S7)。ダブルトーク状態になっていなければ(S7N)、従来例と同じ動作をしてステップ1に戻る(S8)。
【0031】
ダブルトーク状態になっていたならば(S7Y)、受話優先か送話優先かを選択する(S9、図8)。算出したロス挿入量が6〜12dBでなければ(S9N)、ロス挿入量振り分け器33は、図4に示した送話側または受話側の一方にロス挿入をするべく、送話ロス挿入量Lまたは受話ロス挿入量Lの一方を出力して送話乗算器21または受話乗算器22の一方に印加して(S11)、通話が続けられる(S13)。
【0032】
算出したロス挿入量が6〜12dBならば(S10Y)、ロス挿入量振り分け器33は、図4に示した送話側および受話側にロス挿入をするべく、送話ロス挿入量Lおよび受話ロス挿入量Lを出力して送話乗算器21および受話乗算器22にロス挿入量を振り分けて印加し(S12)、通話が続けられる(S13)。電力計算部10における電力計算周期を経過し(S14Y)、通話が終了していなければ(S15N)、ステップS1の動作に戻って通話動作が繰り返され、通話終了となる(S15Y)。
【0033】
このように動作するから、ダブルトーク中のボイス・スイッチのロス挿入量が、たとえば、6〜12dB程度のかなり大きな値の状態であっても、送話と受話の双方にロス挿入量を振り分けて、送話側または受話側のロス挿入量は6dB〜8dB程度に抑えられ、双方向性や送受話ゲインの改善が計られるためハンズフリー通話における通話品質が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本願発明の実施例を示した回路構成図である。(実施例1)
【図2】図1の重要な構成要素である電力計算部の内部構成の詳細を示す回路構成図である。
【図3】図1の重要な構成要素であるロス挿入量計算部の内部構成の詳細を示す回路構成図である。
【図4】図1においてボイス・スイッチのロス挿入箇所を示すロス挿入箇所図である。
【図5】図4においてダブルトーク時に振り分け挿入するロス挿入量振り分け図である。
【図6】図1においてボイス・スイッチの通話状態を判断する通話状態判断図である。
【図7】本発明による通話動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】図7とともに本発明による通話動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】従来のループゲインを説明するためのループゲイン図である。
【図10】従来例を示した回路構成図である。
【図11】従来のボイス・スイッチのロス挿入箇所を示すロス挿入箇所図である。
【符号の説明】
【0035】
3 エコー・キャンセラ
5 適応フィルタ
9 減算器
10 電力計算部
12 受話入力信号電力計算器
13 送話信号電力計算器
14 誤差信号電力計算器
20,20B ボイス・スイッチ
21 送話乗算器
22 受話乗算器
25 ロス挿入量計算部
27 通話状態判断部
28 ロス挿入量決定部
31 電力比計算器
32 エコー消去器
33 ロス挿入量振り分け器
35 通話状態判断信号
36 電力比信号
37 エコー消去量信号
91,92,95,96 アンプ
e 誤差信号
受話ロス挿入量
送話ロス挿入量
M マイク
P 電力
R 受話器又はスピーカ
in 受話入力信号
S スピーカ
T 送話器又はマイク
out 送話出力信号
x 受話信号
y 送話信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受話信号(x)を音声に変換するスピーカ(S)からマイク(M)に回り込む音響エコーを除去するために疑似エコー信号(y’)を作成して、前記マイク(M)側からの送話信号(y)から前記疑似エコー信号(y’)を減算して誤差信号(e=y-y’)を得るためのエコー・キャンセラ処理(3)をし、
相手端末側からの受話入力信号(rin),前記送話信号(y)および前記誤差信号(e)を受けて、それぞれの電力である受話入力信号電力(Prin),送話信号電力(P)および誤差信号電力(P)を得るための電力計算処理(10)をし、
前記受話入力信号電力(Prin)と前記誤差信号電力(P)とから送受話音の有無の状態を判断し、前記誤差信号電力(P)と前記送話信号電力(P)の電力比(P/P)からエコー消去量を得て、このエコー消去量をもとにして送話ロス挿入量(L)と受話ロス挿入量(L)とを得て、前記誤差信号(e)に前記送話ロス挿入量(L)を乗算して前記相手端末側への送話出力信号(tout)を得て、前記受話入力信号(rin)に前記受話ロス挿入量(L)を乗算して前記受話信号(x)を得るためのボイス・スイッチ処理(20)をする
ボイス・スイッチ制御方法。
【請求項2】
受話信号(x)を音声に変換するスピーカ(S)からマイク(M)に回り込む音響エコーを除去するために疑似エコー信号(y’)を作成して、前記マイク(M)側からの送話信号(y)から前記疑似エコー信号(y’)を減算して誤差信号(e=y-y’)を得るためのエコー・キャンセラ手段(3)と、
相手端末側からの受話入力信号(rin),前記送話信号(y)および前記誤差信号(e)を受けて、それぞれの電力である受話入力信号電力(Prin),送話信号電力(P)および誤差信号電力(P)を得るための電力計算手段(10)と、
前記受話入力信号電力(Prin)と前記誤差信号電力(P)とから送受話音の有無の状態を判断し、前記誤差信号電力(P)と前記送話信号電力(P)の電力比(P/P)からエコー消去量を得て、このエコー消去量をもとにして送話ロス挿入量(L)と受話ロス挿入量(L)とを得て、前記誤差信号(e)に前記送話ロス挿入量(L)を乗算して前記相手端末側への送話出力信号(tout)を得て、前記受話入力信号(rin)に前記受話ロス挿入量(L)を乗算して前記受話信号(x)を得るためのボイス・スイッチ手段(20)とを含んでいる
ボイス・スイッチ制御装置。
【請求項3】
前記電力計算手段(10)が、
前記受話入力信号(rin)を受けて前記受話入力信号電力(Prin)を得るための受話入力信号電力計算手段(12)と、
前記送話信号(y)を受けて前記送話信号電力(P)を得るための送話信号電力計算手段(13)と、
前記誤差信号(e)を受けて前記誤差信号電力(P)を得るための誤差信号電力計算手段(14)とを含む
請求項2のボイス・スイッチ制御装置。
【請求項4】
前記ボイス・スイッチ手段(20)が、
前記受話入力信号電力(Prin)から受話有音のシングルトーク状態、前記誤差信号電力(P)から送話有音のシングルトーク状態、受話有音かつ送話有音のときはダブルトーク状態、受話有音も送話有音も検出されないときには無音状態と判断し、前記受話有音のシングルトーク状態と判断されたときに、前記誤差信号電力(P)と前記送話信号電力(P)の電力比(P/P)からエコー消去量を得て、このエコー消去量をもとにして前記送話ロス挿入量(L)と前記受話ロス挿入量(L)とを得るためのロス挿入量計算手段(25)と、
前記誤差信号(e)に前記送話ロス挿入量(L)を乗算して前記相手端末側への前記送話出力信号(tout)を得て、前記受話入力信号(rin)に前記受話ロス挿入量(L)を乗算して前記受話信号(x)を得るための送受話乗算手段(21,22)とを含んでいる
請求項2のボイス・スイッチ制御装置。
【請求項5】
前記ロス挿入量計算手段(25)が、
前記受話入力信号電力(Prin)が所定の受話有音しきい値より大であれば受話有音のシングルトーク状態、前記誤差信号電力(P)が所定の送話有音しきい値より大であれば送話有音のシングルトーク状態、受話有音かつ送話有音のときはダブルトーク状態、受話有音も送話有音も検出されないときには無音状態と判断するための通話状態判断手段(27)と、
前記ダブルトーク状態と判断されたときに、受話優先とすべきか送話優先とすべきかを所定の手順により選択し、前記誤差信号電力(P)と前記送話信号電力(P)の電力比(P/P)からエコー消去量を得て、このエコー消去量をもとにして前記送話ロス挿入量(L)と前記受話ロス挿入量(L)を決定するためのロス挿入量決定手段(28)とを含んでいる
請求項4のボイス・スイッチ制御装置。
【請求項6】
前記ロス挿入量決定手段(28)が、
前記誤差信号電力(P)と前記送話信号電力(P)から前記電力比(P/P)を計算するための電力比計算手段(31)と、
前記電力比(P/P)からエコー消去量を得るためのエコー消去手段(32)と、
前記エコー消去量をもとにして送話ロス挿入量(L)と受話ロス挿入量(L)とを振り分けるためのロス挿入量振り分け手段(33)とを含んでいる
請求項4のボイス・スイッチ制御装置。
【請求項7】
前記送受話乗算手段(21,22)が、
前記誤差信号(e)に前記送話ロス挿入量(L)を乗算して前記相手端末側への前記送話出力信号(tout)を得るための送話乗算手段(21)と、
前記受話入力信号(rin)に前記受話ロス挿入量(L)を乗算して前記受話信号(x)を得るための受話乗算手段(22)とを含んでいる
請求項4のボイス・スイッチ制御装置。
【請求項8】
前記ロス挿入量振り分け手段(33)が、
前記ダブルトーク状態において、前記エコー消去量に対応してあらかじめ設定された送話ロス挿入量(L)と受話ロス挿入量(L)とを振り分けるためのロス挿入量振り分けチャートを含んでいる
請求項6のボイス・スイッチ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−288372(P2007−288372A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−111424(P2006−111424)
【出願日】平成18年4月14日(2006.4.14)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】